2014年12月12日金曜日

ディベートが上手くなるには ①自分の弱点やミスを受け入れること

上手くならない時期って辛いですよね。
結構努力しているつもりなのになかなか結果が出てこない。

一方、同期は○○の大会でブレイクした、優勝した、ジャッジブレイクした。ACに入った。国際大会でも結果を残した。
先輩はこんなに部にコミットしてくれたのに申し訳ない。先輩はこんなに結果を残しているのに。
後輩にも抜かれ始めている。後輩上手いなあ。○年余分にやっているはずなのに。

やみくもにディベートをやって、それでも上手くいかなくて。他のサークルの人を見るとまぶしく見えて。

こういう葛藤ってあると思います。僕だって感じたことは1度や2度ではないです。

では、どういう人がディベートが上手くなるんでしょうか?
タイトルでネタばれしている感じはありますが、「自分の弱点やミスを受け入れられる人」な気がします。

うちのある後輩は、ラウンドが終わるたびにフィードバックを求めにきました。
もっと自信を持てばいいのに、って思うくらいなのですが勝った時ですら、「あぁ、これが出来なかった」「これがミスだった」「こうすれば良かった」という反省を繰り返していました。

また、とある他大学の後輩はディベートノートを作っていて、みっちり反省をしていました。「○○のやり方」のように理論化をして、自分の弱点を克服していました。「いやあ、これ苦手なんですよね」と苦笑していました。

とある先輩と大会に出たとき、今思い返しても、正直納得しがたい理由で負けにされたことがありました。その時「なんだよー」っていう風に生意気に思っていた(今も変わっていないのですが……)僕の傍ら、その先輩は「でも、ジャッジを説得するのがディベーターの責任だからね」とおっしゃってました。

正直言って、自分のミスや過失、弱点を受け入れるのは非常に難しいし、辛いことだと思います。何かしら自分以外の、外部的要因に目を向けたくなるわけです。やれイラジャだった、やれモーションが悪かった、オープニングに全部言われてしまった、今日はたまたま調子が良くなかった。このような言い訳をして逃げたくなるんですよね。

僕もそうでした。いや、僕もまだそうな気がします。自分の非を認めることっていうのは本当に大人にならないといけないことだし、他の人ができているのは本当にすごいなと思います。

でも、思い返してみると結局のところ、自分が一番伸びたときというのは自分の弱点を受け入れたときだったと思います。一番練習したのは、ジェミニのトライアウトの結果部長なのにAを背負えなくなって、苦しんだときだった気がします。それ以外だと、WUDCでぼこされて4試合連続4位をくらった屈辱的な経験をしたときだったかもしれません。ABPでひたすら勝てなくてパートナーと必死に「どうすれば説得できるのだろう」と考えたときだったかもしれません。その意味で、挫折をするというのは凄く大事なんだろうなぁと思い返しています。

でもそれ以上に強い人というのは、どんなときも自分の非を受け入れられる人だと思います。結局挫折のときしか反省しない人というのは、勝ったときには「やったーー」といって問題から目を背けることしかしていないので。そうではなく、上記にあげた3人のように、常に自省して、毎回のラウンドで反省し、また「自分の弱点がこういうところにある」と考えてそれを克服しようとし、どんなモーション・ジャッジ・ポジションでも「ああこうすれば良かった」ということをしっかりと考える人だと思います。

それは、いわゆる飛びつきたい外部要因があったとしても、「それでも成長できるところは何か?」と考える能力や勇気がある人ということでもあると思います。このDecisionには納得できないところもあるけれども、「この部分は確かにそうだし」と思えるかどうかだと思います。ある先輩がおっしゃってた言葉ですが「ジャッジのせいにしていても上手くならない」というところにも通じるものがあるでしょう。結局、どんなラウンドでも自分が学べるところはあるはず、ということでしょうか。

では、どうすればそういう偉い人になれるのでしょうか。僕は結局のところ自分のミスをなかなか受け入れたくない人間だったので、システムとして反省することを取り入れるようにしました。無理やり自分でラウンドが終わったと反省して何かしらの弱点とその克服法を考える。無理やりディベートノートを作って反省点を洗い出す。(一時期はEvernoteとか、ケータイのメモ帳とかに入れていました。)結局プライドが高い僕はこういうところをするしかなかったんだと思います。おそらく普段から自分のことを受け入れられる人よりはスピードは遅かったと思いますが、この方法をとると少しマシになった気がします。真剣にノートを作っているときの方が、作っていないときよりも成長実感があったばかりか、そもそも結果も出た気がします。

僕自身もまだまだちゃんと自分の弱点やミスを受け入れることができるたいそうな人間ではないので、「俺は受け入れているぜ、どやぁ」という発言が趣旨ではありません。そうではなく、ディベートが上手くなりたいのであれば、つらいかもしれませんが早い段階で自分の弱点やミスを受け入れることができるような人間になるほうが、得だということです。

最後に、皆さんが大好きなShengwu(WUDC 2010でBest Speakerをとった人です。文字通りディベート世界一ということですね)のブログから、ディベートがどうすれば上手くなるのか、というポストの1部を引用したいと思います。自戒のためにも張っておきます。

Stop blaming the motion.  Or the judge.  Take responsibility for your own wins and losses.  Blaming the judge is frequently a way of disclaiming responsibility for your performance, and hinders the critical self-reflection you need to get really good.  Yes, there are unfair motions and bad judges.  But even if the motion is unfair, or the judge biased, your performance is still causally linked to the outcome.  Almost always, there is something you could have done that would have caused you to win.  Figure out what that is.  Unfair motions and bad judges are, unfortunately, always going to be part of debating.  You need to learn to win consistently, even when fighting uphill, if you want to be excellent.  If you only know how to win in front of an excellent judge, then you will throw away many points that better teams will scoop up.  (Of course, this is not an excuse for bad judging or unfair motions.) 

2014年11月14日金曜日

BP Discussion各論③ ブレイクラウンドでのジャッジ

予選のジャッジとブレイクラウンドのジャッジは基本的にやることはもちろん一緒です。
しかし、予選と異なることがいくつかあります。それを知らずに「基本的には予選と一緒だろう」とあまりブレイクラウンドのジャッジを経験せずにいると痛い目にあいます。

BPのブレイクラウンドは、

・ジャッジの人数が多い
・いわゆる「ジャッジの能力」が高い人が多い
・ディベーターもより接戦になる
・いわゆる「上位2チーム」を決めればいいとされている

当たり前ですがこういった変化が起きます。
となると、どういう工夫が必要になるでしょうか。僕は主に2つあると思っています。

① 考慮する点が多くなるため、議論を整理する必要性が高まる
人数が多いということは、それだけ議論をまとめるのに時間がかかるということになります。
とくにどのジャッジもブレイクしているということは説明能力に一定の合理性が推定され、なおさら議論が白熱します。
これは言い換えるとどういうことかというと、(1)基準が乱立し (2)その基準下でも見解が乱立しうることがよくあります。
そうなると、なおさら普段以上にチェアーのfacilitation能力が必要になるということになります。
個人的な経験則をベースにすると、チェアーのfacilitation能力が低いと、よく「なんでそんな結果になったのか」というディベートの不満につながりやすいです。

つまり、いったん物事を整理し、どこまで話してどこまで話していないのかを明確にする必要があります。当たり前ですが議論中は特にチェアーはノートを丁寧にとっておく必要があります。
こういうときはたまにチェアーとしては「一回議論を整理しましょう」と発言し、今までの議論を整理する必要があります。

例えば、「OGとOOの間でもめているときに、見ている基準としては今まで4つあがり、その中で2つはおおむね見解が一致しているが、残りの2つでは意見が分かれている。ここまでは大丈夫ですか?」のように一度議論を整理する必要性が出てきます。

一度議論を整理すると、やるべきこともわかってきます。それは前回書いたような方法でデッドロックを解消していけばいいからです。

また、議論がわき道にそれそうなときはすぐ戻しましょう。例えば、OGとOOの比較なのに、OOとCOの比較をしても意味がありません。

なお、チェアーにだけ責任を押し付けるつもりはなく、「いいパネル」の場合はチェアーに「一度議論を整理しませんか?」のようにチェアーだったらやるであろうことを提案しましょう。

なお、個人的な私見ですがブレイクラウンドでアロケーションをするときは、チェアーはできるだけ(もちろんダイバーシティ等も考慮しますが)ブレイクラウンドのディスカッションに慣れている人、もしくは予選でfacilitationの評価が高かった人を優先すべきです。

② 4チーム間を比較することを常に意識する

僕は個人的に「2チームだけ決めればいい」という考え方は、結果論であって、それは議論の過程に入ってくるべきではないと思います。
つまり、僕は最初から4チームの順位はしっかりブレイクラウンドであっても出すべきだと考えています。 なぜなら、そのほうがより細かく丁寧に比較ができるからです。

もちろん、明らかにbench winが起きている時などは別です。その時に細かく話すのは無意味ですから。また、1位と2位の差で話す必要がないというのもそうです。

しかし、ジャッジするとき(initial callを出すとき、最初のRFDを説明するとき)は必ず1-4位まで出しましょう。(予選と同様、2-3位で迷っている、のような説明方法はOKです)

そしてその後、「とりあえずCOを落とそう/あげよう」のように1チームだけを落としていく方法も合理的ではありません。あくまで、特定のチームを落とすとき/あげるときは他の3チームと共通の軸で比較して落としましょう。 
よく海外の"political judge"がするテクニックとして、とりあえず1番ライバルになりそうなチームをあげるか落とすかし、残りの中から結果的に自分の意見を押し通してあげるというテクニックがあります。
別にそれが起きているとかという話ではなく、どこか特定のチームをあげたり落としたりしてしまうと、実はその後しっかりと比較すると「あれ?このチームって本当にあがっているの?」となったりします。

また、そういったpolitical judgeがいない場合でもこういう悲劇は起こります。それはコンドルセのパラドックスを引き起こしている時です。(詳しい説明はWikipediaで)

ざっくりと説明すると、3チームの優先順位は人によって異なっている可能性があり、それが「投票する順番によって結果が変わってしまうこと」があるからです。
OG>OO>CGの人、OO>CG>OGの人、CG>OG>OOの人がいたら、堂々巡りになってしまうのです。
集団として優劣に循環ができてしまうという状況なわけです。

こういう場合は「2チームの比較」ではなく「3チームで共通の軸で比較」することが少なくともBPにおいてはパラドックスを一番解決できるので、ここでは大変ですが3チームを比較する基準が何か?という点を考えましょう。(大体の場合は、分析の深さや、Clash-baseでどうなったかなどに落ち着くとは思います。)

また、他のところでも書いた気がしますが、時系列順にどのようにディベートが動いていったのかを確認するのも大事です。(例えば、Opening HalfではややOGよりだがあまりまだ分からない状況で、CGがでたことによってGov benchが確実になったのであれば、CG>OG>OOになる可能性が出てきます。)

また、最終的にRFDを「Oralでディベーターに説明して、説得力を持つのか?」というチェックをかけるとさらにディスカッションの精度があがります。


いかがでしたでしょうか。BPのブレイクラウンドはレベルも高いですし、ディスカッションも普段より大変なところもあります。しかし、「議論をより整理すること」と「4チームをより(共通の軸で)比較すること」という点を意識するとディスカッションおよび結果の質があがると思います。

2014年11月6日木曜日

BP Discussion各論② 議論がデッドロックになった時

各論② 議論がデッドロックになった時

基本的に、ディスカッションのゴールは「ディベーターを最も説得できるRFDを考えること」に当たると思います。また基本的にはチーム間を比べる<基準>とその下の<比較>が必要なのでそれから逆算して考えます。

とはいえ、「initial reason for decision」、すなわち最初にチェアー、パネル、(トレイニー)があった順位とその理由をお互い言った後は何をすればいいのでしょうか。

無意識のうちに皆さんもやっていること思うのですが、改めてどのレベルの議論が必要なのか立ち返りましょう。

① 他の人が主張している基準下で、本当に公平に比較しているのか?
② 自分が主張している基準下で、本当に公平に比較しているのか?
③ 基準が乱立している場合、どの基準が妥当なのか?
④ 他の基準はないのか?

どのレベル間で話しているのかは常に気をつけましょう。
基本的には、①、②を精査する形になると思います。

例えば、「Engagementという観点からOG>OOです」となった時、「OOも十二分にOGにEngageしているのではないか」「むしろOO>OGではないか」という部分をノートを見ながら細かく判断していきます。

また、Opening HalfのClashを勝ったのはどちらなのか?と考えるときClashをつくりそのClashがどちらに傾いたのか見るのもここに入るでしょう。

問題は、その次のレベルとして基準が乱立した場合どうするかということでしょう。
ここに関しては正直難しいのですが、例えばEngagementとConstで対立したときとか困りますよね……。とはいえ、例えばTechnicalityやRoleを重視しすぎていないかだとか、他のチームを比較したときに用いた基準とconsistencyがあるのか等を見ていくのが重要でしょう。(例えば、1位と2位ではRelevancyをみていたのに、2位と3位のところでRelevancyを無視したら不公平に感じられます。)

また、議論が煮詰まったとしたら④として、他の観点はないのか考えてみるのも大事でしょう。意外と、こっちのほうがコストパフォーマンスがいい傾向があります。MotionへのRelevancy、具体性、Impact、Framing等比べる基準はたくさんあるので。

とはいえ、これら①-④を議論しても結論が出ず、例えばどっちの話も分かる状態になったときは残念ながらVoteを使う他ないでしょう。Voteは悪いことではないので。

とりあえず、どのレベルで議論をしているのかを意識すると、実は特定の議論しかしていなかったことに良く気づかされます。特に、③の視点や④の視点は議論を進ませることに役立つことが多いという経験則があります。

2014年11月2日日曜日

BP Discussion 各論① 大きく順位がずれたときはどうするか

BPのディスカッションの各論に関して書きたいと思います。全何回のシリーズになるかは不明ですが、まず書きたいと思います。

① 大きく順位がずれた時はどうするか
Opening Half、Closing Half, Government Bench Win等大きく意見が分かれる時があります。
その時はもちろん共通点があればそれは同意しておけばいいと思うのですが(ex.特定のチームの4位や、どこかOG>OO等全員の共通見解がある)それがない場合はどうすれば良いのでしょうか。

おそらくいくつかのアプローチがあるとは思いますが、一つのアプローチしかしらないのでそれを書きます。

ADIでどなたかのレクチャラーが言っていたことをそのままぱくるのですが、その場合は「ざっくりと4チームの評価に関して簡単に意見を交換する」ことが王道とされています。BP Novice 2011 Adjudication にも書いてありますが、これはやっぱり個人的にも時間はかかるもののうまくいきやすいと思います。なぜなら、順位の違いはだいたい1-2個のArgumentや反論の取り方によって大きく分かれることが多いため、どこが判断するところなのかわかりやすくなるからです。

その際、たとえばOGの話がOOと比べてどうなり(Clashはどうなったのか)、そしてCGが入ってくることによってどうかわったのか等に関して時系列順に評価が下せていくというのもメリットがあります。つまり、4チームすべてを比べる基準が自然にできやすいというメリットがあるということです。
また、この4チームの評価を話し合った後、一度各人で考える時間を設け、もう一度順位を出しなおすのがお勧めです。ディスカッションした結果順位が変動せずむしろ確証をもつパターンもありますしそれは問題ありません。場合によって、大きく順位がまた変更することが多いと思いますが少なくともその場合はコンセンサスに近くなっていきます。

実際、自分がとあるブレイクラウンドでジャッジした時、かなりの混戦でOpening Half, Closing Half, Government Bench, Opposition Benchほぼ全てがあった状況だったのですが簡単にOGからCOまでの良かったところ・悪かったところを羅列していくと、自然に「あ、この2チームに やっぱりなるんじゃないか」とコンセンサスに至ったことがあります。

また、他のブレイクラウンドでも、最初は大幅に違った順位が、このプロセス後1位と4位のコンセンサスに至り、2-3位の争いのみに議論の争点がうつったこともありました。上ほど理想的にはなりませんでしたが、かなり大きな前進だったと思います。

2014年11月1日土曜日

ジャッジテストの採点プロセス

ジャッジテストを受ける人にとっては、ジャッジテストがどのように採点されていくのかが気になる、という声を何名かの方に頂いたので書きたいと思います。

ジャッジテストは最初のアロケーションを決める、そしてその後のジャッジブレイクにもかかわってくる重要なファクターなのですがどのように採点されているのでしょうか。ここでは私がACだったときの話や、他の人がACをしているときのやり方をベースに書かせて頂くので、全員のACにおいて当てはまる話ではないと思います。

1. ジャッジテストの採点方針を決める
ACとしてどのようなところに気をつけてジャッジテストを採点するのか話し合います。例えば、以下のようなことが決められます。

・Voteがどれ程ACとあっているのかを重要視するのか?(UADCだとこれはかなり重視される傾向があるようです。また、BPの大会ですと「このチームが1位なのはクリアだが、2・3・4位はクロース」のようにグラデーションをつける場合もあります。だいたいReasonをかなり重視する形には落ち着いている気がします。)

・どこを見るか?→ちゃんとScoringまで総合的にみよう、等

・この際、2-3個ジャッジテストを全てのACが見ることによって点数基準を揃えます。その基準点をベースに採点を行います。

2. AC 2人が採点

・コンフリクトに気をつけた上でACの1人が、採点者としてAC2人をランダムに振り分けていきます。

・大会によってはジャッジテストを記入した人の名前をわからないようにして番号を振り分けます。(ABP, UADC, NEAO等)

・点数とコメントをつけて、Google Docs上のスプレッドシートに書き込みます。自分の分が書き込み終わったら背景を黒にしてもう一人の採点者が見えないようにします。(だいたい実際のAdjudication Feedback Systemに準じて行います。ex. 論理的か?包括的か?具体的か?等...)

・2人の間で大きな点数差があったら話し合うか、3人目のACが見て最終的な点数を決めます。

3. (返却)

・大会によってはジャッジテストを添削やコメントという形で返却します。
私見ですが、特に「ジャッジの権利」や「学ぶ機会の提供」「アカウンタビリティ」などさまざまな観点で行うべきだと思います。

・また、全体的なコメントとしてAC見解を出すこともあります。



なお、この後のプロセスは、こちらになります。

2014年10月26日日曜日

Personal Conflictに関する提言

そういえばなんですが、Personal Conflict制が日本も定着してきたと思います。
Personal Conflictのみで運営する大会も増えました。

ただ、現行の制度にはいくつか問題がある気もします。
(特定の大会を批判しているのではなく、僕自身過去にやれなくて反省していてしっかりと最近思いついたりしたので書いてみました。)

① ディベーターがConflictを申請できない
確かに、Conflictが多すぎるようになってしまうようになってしまうかもしれませんが、とはいえディベーターが申請できない状況は不条理な気がします。

② Hard Conflict/Soft Conflictの概念があまり使われていない
この概念は大会によっても使われ方が違うのですが、「絶対だめ」という場合と「極力避ける」というグラデーションをつくるのも重要な気がします。
例えば「このチームは見れるとは思うけど、できれば外してほしい」というニュアンスを考慮できないかんじです。これがあれば、ACのアロケーションの柔軟性も向上しやすくなりますし、Conflictを申請しやすくもなります。チェックは大変ですが。。。

③ 恋愛関係・雇用関係・過去の敵対関係は考慮しているものの、それと同じくらい仲良くね?やばくね?という状況を包括できていない。

海外だとコーチ関係や"substantially involved in that institution/individual"というのがあるのですがそれがないし、一定の基準もない→つくってみるのもありかもしれない。

例えばこういうのになるかもしれません。もれがあるかもしれないのと、時間間隔は適当なのでもう少し調整は必要ですがたたき台ということでお許し下さい。

Guideline of Personal Conflict 案

1. 過去の恋愛もしくはそれに準ずる関係
2. 雇用関係、もしくは同僚関係
3, 過去の個人的な問題が生じた関係
4. その大学/個人に相当程度かかわっている関係
(a) 現状のコーチ
(b) その大学の正式な練習の1/2以上に参加している関係
5. ディベーターのパートナー
(a) 過去3ヶ月以内に一緒に大会に出た
(b) 過去24ヶ月以内に3回以上一緒に大会に出た
(c) 次1ヶ月以内に一緒に大会に出る予定がある
6. ACを一緒に行った
(a) 過去3ヶ月以内に一緒にACを経験した
(b) 過去24ヶ月以内に3回以上一緒にACを経験した
(c) 次1ヶ月以内に一緒にACを経験する予定がある
7. その他、ACが全会一致で、「このジャッジがいることによって他のディベーターが著しく不合理に感じる」と判断したとき


1. Past/current romantic/physical relationship  
2. Employment/Co-working relationship
3. Past personal problems
4. Substantial involvement of that institution/individual
(a) coaching that institution
(b) attending more than 1/2 of official practice session of that institution for past 3 months
5. Debating partner in recent tournament
(a) attended a tournament with him/her in past 3 months
(b) attended a tournament with him/her for more than 3 times in past 24 months
(c) planning to attend a tournament with him/her in next 1 month
6. Adjudication core member in recent tournament
(a) worked as a part of adjudication core with him/her in past 3 months
(b) worked as a part of adjudication core with him/her for more than 3 times in past 24 months
(c) planning to work as a part of adjudication corew with him/her in next 1 month
7. Any other circumstances where adjudication core unanimously believe that other debaters feel disproportionately unfair

2014年10月21日火曜日

定性的な評価を入れる場合のACのやり方

twitterのこぴぺです。読みづらかったらご了承下さい。

定量的な評価だけで決めるべきというスタンスではなく、定量的・定性的にジャッジブレイクを決めよう!と考える場合のACの場合どのような風にジャッジブレイクを決めればいいのでしょうか。リクエストがあったので書きたいと思います。

まずジャッジテストを採点します。当然ですが、コンフリクトがないAC2人等複数人で採点しつつ、(もし可能ならブラインドにし誰が書いたのかわからない状況にして採点)、大きな触れ幅があれば3人目のACが見ます。それをもとに点数ランキングをつくります。

(1)部屋数を計算し、何人チェアーが必要か計算します。(2)ブレイクラウンドが何部屋あるかを元に、ジャッジブレイクのだいたいの人数の目安を議論します。(3)必要に応じて、Shadow ACのように、信頼できるジャッジをACでコンセンサスをとります。

(1), (2)を元に、おそらくブレイクかブレイク落ちのボーダーになるのではないだろうかという人を最初に大体目安をつけます。大きめにとることが重要です。このあたりを「要チェックリスト」人員とします。

「要チェックリスト」人員をACが見ていきます。(R1から見たほうがいい場合は見ます)。そして、この「要チェックリスト」は適宜ディベーターからのフィードバックや点数を確認しながらアップデートしていきます。

必要に応じて「要チェックリスト」を絶対みたい、できれば見たいに分けたり、再チェックリストをつくったりする工夫もできます。経験則上、それを4ラウンド繰り返すと、少なくともBPでは大体の場合ボーダーになる人には定性的評価が存在することが多いです。

また、定量的な評価ともトレードオフにならず、あえてAC等がパネルにまわってディベーターの点数をみることもできます。また、トップルーム等難しい部屋も見れるかの確認もできます。

他にも色々な工夫の仕方などはあると思いますが、定性的な評価も含めたACを行いたいというのはこういった工夫を施すことがあります。他もあると思いますが。海外だと、HKDO 2012だとか、Australs 2014とかがやっているみたいです。


<補足>すみません、かなり大事なことを失念していました。定性的な評価を入れても、個人的には定量的に点数が高い人は絶対ブレイクさせます。トップ10人とか、20人とか、事前に決めてありますが。定性的評価が入りうるのはボーダーだというニュアンスです。

2014年10月20日月曜日

最近の議論のまとめ①日本ディベート界の英語化に関して

最近、個人的にはコミュニティに関する議論がたくさんされて非常にいいことだなと思っています。
とはいえ、SNSだと一時的にログが流れていってしまったりするので議論に連続性がないので、今の議論を簡単に僕が聞いたり見たりしたことベースでまとめていって、将来的な議論に役立たせればなぁと思っています。

僕はこういった議論に関しては、終わりにも書きますがケースバイケースではありますが大会の趣旨目的や、コミュニティの民主的正統性をベースに決めていくというところに落ち着く気がします。

結局どれかの制度をとらないといけないのは明らかなわけです。ゼロサムなので。うまくその制度の問題点や弱点、反論の点をしっかりと理解して、制度を工夫していくことが求められると思うので、それをベースに書きたいと思います。

また、前置きがもう一つあるのですがここでまとめた内容は必ずしもそれらを主張している人の意見を完全に代弁できているとは限りません。(最大限努力していますが。)また、最終的に似たような結論に至ったとしてもその中でもスペクトラムがあることは(ディベートと同様)当然あります。環境vs経済でも、色々なスタンスがあるのと同じですね。(ちょっと雑いですが。)なのでこういうのもあるよ!という場合はご連絡下さい。

さて、前置きが長くなりましたが第一回は、英語化について書きます。

SNS上で話題になっていたので議論を簡単にまとめつつ整理したいと思います。
ちなみに僕のスタンスとしては、アナウンス系は日英どっちでもやること、オーラルフィードバックとかは正直わからないって感じです。

まず、「英語化」って言ったときに対象になるのは
①大会の案内系
②ジャッジ
の2つになります。①に関してはあまり議論がないのでいったん切りたいと思います。
問題になるのは、②のジャッジの英語化になるかと思います。

1.いつ言語が問題になるのでしょうか。
日本語が得意・もしくは日本語を好む人同士であれば、日本語でフィードバックするのが望ましくなり、問題になりません。
英語が得意な人・もしくは英語を好む人同士であれば、英語でフィードバックするのが望ましくなり、問題になりません。

問題になるのは日本語が得意・もしくは日本語を好む人と、そうでない人がディベーター・ジャッジ間でクロスするときになります。

実際、今回の議論を追ってみると、こういうときを問題にしている人が多いようです。

2. なぜこの問題は複雑なのでしょうか。また議論が熱しやすいのでしょうか。

①プラグマティックなレベルとしてどうすればいいか

②「英語ディベート」はどうあるべきか

③日本人の英語力向上にはどうすればいいか

この3つのレベルが絡み合っているため、議論として白熱しているのだと思います。

①の話は実はほとんどされていません。結局言語の壁が存在している以上、どちらかが妥協しないといけないので、難しいところです。通訳を雇うわけにもいきませんし。

唯一されていたのは某K氏でした。
「相手に合わせる型」がひとつのsolutionとして提示されていました。
すなわち、どちらか両方の言語で意思疎通がしやすい場合にがんばるというもので、日本語が得意・もしくは日本語が好む人が、そうでない人を相手に英語でがんばって説明し、そうでない場合は日本語で説明する、という形になるでしょう。

これは個人的にもとっているスタンスであり、合理的だと思うのですが結局のところ「両方できる人」であり、1.で問題になっているように片方の言語に特化している場合のケースを含めないのが残念なところでしょう。

②はイデオロギーの対立です。

【英語積極派】
英語を押す理由は主に2つに分類されます。

① まず、英語の一貫性を主張する方法です。
「英語ディベートとは、英語で行う競技なのであり、すべて英語で行うべきだ」
「ジャッジも英語ディベートの競技の一環である」
「英語にコンセントしているんだから一貫して英語を使うべきだ」

この議論として問題なのは、なぜその一貫性が重要になるかが少しわかりづらいところにあるでしょう。

② 次に、国際化を押す理由です。
「海外ではそういうものだ」
「また、日本としても海外で活躍できるように練習するべきだ」
というような理由です。

この議論の問題点として、海外に行きたくない人はどうするのだろう、というところの考慮不足があるでしょう。

【英語消極派】
逆に、英語を押さない理由も主に2つに分類されます。

①まず、英語がプラクティカルに必要なく、ジャッジの趣旨目的に合致するという理由です。
「そもそもジャッジの役割は相手を説得するものだ。言語は関係ない」
「むしろ日本語のほうがうまく説得できる場合もある」

この議論の問題点として、結局プラグマティックに英語が必要な相手の場合はどうするのかという現実問題から逃げているところがあるでしょう。

②次に、(日本の特殊性を考えつつ)インクルージョンという理由です。
「英語ジャッジに関してかなり恐怖感がありむしろ人口を減らしてしまう」
「日本語でのいいジャッジを排除してしまう可能性がある。」

この議論の問題点として、「日本語だけで説明できる人はそもそもいいジャッジなのか」という反論がされることもあります。

3. 日本人の英語力向上にはどうすればいいか

結局少し2.でも触れたのですが、日本人の英語力をどのようにみてくかというところでも対立があります。

英語積極派は、英語で全部やることによって英語力が向上していく。特に、英語だけで考えるくせがつく。なれもつく。Educational Effectとかもある。のような説明をしていきます。

英語消極派は、バーが高すぎてむしろ英語力を向上させる人が減っていってしまう。ゆっくりと慣れさせていくほうが良い。のような説明をしていきます。


4. おわりに

結局のところ、この議論に関して終止符はなかなか打たれない気がします。
個人的には正直どっちの議論もかなり分かるので。僕としても分からないです。
そう考えると、ケースバイケースではありますが大会の趣旨目的や、コミュニティの民主的正統性をベースに決めていくというところに落ち着く気がします。

例えばですが、JBPは今年かなり趣旨目的や参加者層に合致させつつ、バランスをとりにいった非常に秀逸なおとしどころにしていると思います。以下、引用します。

本大会では、年末に開催されるWorldsの準備という開催趣旨を踏まえ、英語でのジャッジング(ジャッジテスト、ディスカッション、オーラルフィードバック)を強く推奨いたします。ただし、参加者の誰もが不利益を被らぬよう、特に以下の3に留意してくださるようお願いいたします。
英語のみでジャッジングを行うことが不適切だと判断された場合は、英語と日本語を併用するなど適切な対応をとってください。(英語でディスカッションを続けることによりタイムテーブルを圧迫してしまう場合、ラウンドに1年生や英語が不得意な方がいらっしゃる場合など)ディベーターの皆さまは、英語でオーラルフィードバックが行われた場合、決してその英語が流暢でないことのみを理由に当該ジャッジの評価を下げるようなことはせず、あくまでオーラルフィードバックの内容を基準に評価をしてください。ラウンド後の個人的なフィードバックは、ディベーターとジャッジの両者にとって最適な言語で行ってください。

このように、「WUDCの開催趣旨」をベースに英語にすることを決定しています。
また、日本コミュニティのニーズにもこたえている形で妥協をしている感じとも言えるでしょう。

今回一つのモデルケースとなると思うので、JBPでどのようになったのか、さらに工夫できるところはあるのかのように考えていくとよりよいものになる気がします。

2014年7月22日火曜日

ディベーターがジャッジに抱く疑問④「それって私たちのチームにはどうしようもないことじゃない?」

今回はBPシーズンの幕開けということでBPのジャッジについて少しフォーカスして書きます。
BPのジャッジにおいて縦が入ってくると非常に比べづらいところがあります。特に斜めを比較するのは難しいですよね。(OGとCO、OOとCGとかですね。)
そこでポジションの特異性をしっかりと考慮することが重要なことはTechnicalityという概念からも明らかです。

BPのジャッジを聞いていてたまにポジションの特異性に配慮していない説明のしかたを聞くことがあります。

「OGの話は議論されずに浮いてしまったため、4位です。」
「OOとCGを比較すると、CGの議論は最後まで残ったのですが、OOの議論はCGに消されてしまいました。なのでCGの方が上です。」

こういった説明のしかたはディベーターに納得感を生みません。なぜなら公平性の観点が抜けているし「それで負けるの?」と思うからです。
誤解しないで欲しいのは、もちろん上記のような状況で結果的に順位がそのようになることはあります。あくまで説明のしかたの問題の話です。

ではまず一つ目の「OGの話は議論されずに浮いてしまったため、4位です。」という話です。
「議論されずに浮いた」ということは、OGの過失になるのでしょうか?
当たり前ですが、なる場合とならない場合があります。

なる場合と言うのはOGの話があまりにもAverage Intelligent Voterの観点からディベートに関係ない内容の時です。
例えばOppも同意してくるようなnon-contentiousな話であるかもしれませんし、モーションの肯定否定に繋がらないような話でしょう。
その場合「浮く」ことは当然OGが悪いでしょう。
とはいえ、僕はこの場合は「OGの話はRelevancyの観点から他のチームより評価しづらかったです」というような説明方法を用いると思います。

ならない場合というのは、OGが逆にRelevantな話をしていたものの、他のチームがふれなかった場合でしょう。

したがって、「議論されたかどうか」というのはあまり良い基準でないことがお分かりになったかと思います。「それって私たちのチームにはどうしようもないことじゃない?」と思われてしまうので。


「OOとCGを比較すると、CGの議論は最後まで残ったのですが、OOの議論はCGに消されてしまいました。なのでCGの方が上です。」

これに関しては、少し留意が必要です。OOの話を消したらCGの話が勝つことは十二分にあるからです。
とはいえ、比較の仕方が「OOの話の残り具合」と「CGの話の残り具合」というのはおかしい気がします。
なぜなら、OOはダイレクトに反論されず(せいぜいPOIだけです。なのでPOIは大事なのですが。)CGにダイレクトにエンゲージするのはCOだからです。
おそらくこのラウンドにおいては、エンゲージの観点でCG>>COであることは間違いないでしょうが、COのエンゲージ不足をOOに責任転嫁するのは無理があります。

なので「残ったかどうか」という基準はあまりTechnicalityの観点からもよくないでしょう。
「それって私たちのチームにはどうしようもないことじゃない?」と思われてしまうからです。

結論として、BPの説明の時に比べる「基準」の妥当性というのはTechnicalityの観点(すなわち、当事者の観点)から考えてみると測ることができるでしょう。
BPのジャッジングで、特に縦の要素が絡んでいる時、本当にその基準って納得できるものですか?
「それって私たちのチームにはどうしようもないことじゃない?」と思われる基準は、いけてないですよ。

2014年7月11日金曜日

100記事達成!

こんばんは!
なんとこの投稿で100記事となります。このブログも細々とやっていましたがついに100記事になると思うと感慨深いです。

僕が1年生だった頃はICUのOBのヤングマンさんがブログを書いていて本当に楽しく読んでいました。他にも、ICUのOBのぴかさんがブログを一時期書いていたりしてそっちも好きでした。

なんで僕が書いているかというと、そういうブログがいいなぁと思ったのがきっかけでした。コミュニティのことが書いてあってわくわくしましたし、振り返ってそういうことがあったなぁと思い出したり、自分が知らない頃の記述があったりして面白かったんですよね。

あと、他にも書いている理由としては、少しでもディベートコミュニティにおける公共財が残らないかなぁと思って書いています。MDIを私物化するわけにもいかなかったので、こういう形で書いているわけですが、日本コミュニティが強くなる一つの要因は全員が知見を共有する、何かコミュニティに還元できるものがあればシェアしていく、というようなことなのかなぁと思っています。自分のアイディアや考えが必ず良いとは到底思いませんが、少しでも考える材料になったり、また今後ブログを書く人がでてきたらいいなぁと思っています。

Twitterの@ak_debateの方も引き続きよろしくお願いします。

皆さんのブログやツイッターを楽しみにしているという声を励みにここまで頑張れました。後半年ほどのお付き合いだと思いますが、どうぞよろしくお願いします!

ak_debate

2014年7月10日木曜日

ディベーターがジャッジに抱く疑問③「なんでアーギュメントが立った/立っていないの?」

久しぶりにこのシリーズを更新します。

今回はArgumentの評価の仕方に関してです。

Berlin WUDCのBriefingによれば、Argumentとは「(モーションに関連する)特定の前提から結論までをロジカルに繋げるもの」とされています。

アーギュメントがどのように評価されたかというのがかなり試合を分けてきます。それは、リーダーであれ、デピュティーであれ、クロージングのエクステンションであれ変わりません。

そこで僕があまり好きじゃない表現を書きます。

 「アーギュメントが立っていませんでした」

なんであんまり望ましくないかというと、アーギュメントの強さは0か1か、すなわち立っているか立っていないかというシンプルな二項対立ではないからです。
アーギュメントの強度という概念は当然あると思いますが、システマティックに立つ・立たないという概念はちょっと違うんじゃないかなぁと思います。

例えば、よくあるのは「genericなので取れませんでした」「話が遠いので考慮しませんでした」「1分しか説明されていないので立ってませんでした」というような説明方法だと思います。


「generic」や「遠い」というのは、アーギュメントが相対的に「弱くなりうる」要因ではあると思いますが、「立たない」理由ではありません。

言い換えると、0か1かで説明するのではなく、グラデーションを意識するようにしましょう。

もちろん、留保として、アーギュメントの強さは、いわゆるジャッジが思う指標がいくつかあると思います。logic, relevancy, exclusivity, example, picturization, reality, word choice……等。それらは説得力を左右するファクターであり重要なのは非常に分かります。ただ、「それが無いから立たない」のようなシステマティックな説明ではなく、「どこまで評価できたがどここから評価できないのか」というのを明確化しましょう。


一つ例をあげます。例えば、ban Nazi symbolsのOppで"Free expression is important because it is about expressing how you believe and how you see the world with your own words.  That is when you convey important message to the society of your belief and thoughts.  That is exactly why liberal democracies have moved away from censorship, and really careful about banning expressions.  USA, for instance, heavily respects the first amendment"のような話をしたとしましょう。

まあぶっちゃけジェネリックですよね。とはいえ、「一般的に表現の自由がなぜ大事か」という説明はしていますし、word choiceも悪くないです。大事そうな雰囲気のアナロジーも出してはいます。とはいえ、やはり今回のNazi symbolとの関連性は薄いのは明らかなのでその分評価は高くしづらく、もしGovがNazi symbolに特有な話をしていた場合はこの話単体では勝てないでしょう。


もう一つ例をあげます。THW allow companies to voteのOppで、Extensionで"This policy does not only affect after elections, but also damages the citizen's opportunity to consider their preference regarding non-corporate issues.  When companies have the stronger right to directly influence politicians and citizens, it would lobby and campaign much more stronger than before as their demands may be realized.  Furthermore, politicians tend to discuss company's issue more in election campaigns in order to get the voting block.  This means that during elections, agendas related to companies would be likely to be prioritized, and thus not focus on issues such as privacy acts, gay marriage, female rights, etc.  These agenda also affect citizen's lives by daily rights of security, progressing rights of minorities, forming national identity, etc. Given that, citizens cannot debate or know about non-corporate issues."

というような話をしたとするとします。
だいたいジャッジとしては選挙後の話を一番に思いつく以上すぐ思いつく話ではないものの面白い視点です。おそらくNewになるでしょう(フレーミングとしても選挙後・選挙中という分け方をしてnewに見せています。)企業関連以外のアジェンダが優先されなくなるロジックも2つ出されていてOppのmodelによって起きそうです。

実は告白するとこの話はAustralsで僕が実際に2nd Negativeでしたような話です。ジャッジからの評価も概ねそのようなものでした。選挙中の情報や考える行為というのはARPとしても重要なのはわかるため評価はされました。事実、RFDにも入っていましたしパネルを含め3人のジャッジからの評価も良かったです。いい話だったと。Motionによって変わる話だし重要性もわかると。

ただし、例えばdemocracyとのつながりというprincipleの視点が少ないことや、election中だからこそなぜ大事なのか(その後の国民の運命を握るだとか)とかはもっと言えてさらに強くなったよねみたいなフィードバックをもらいました。それは確かにその通りで、そこは欠点であることには間違いないと思いました。


いかがでしたでしょうか。
大事なのは「アーギュメントの強度」という概念だと思います。0か1かではないです。間があります。「ここまでは評価できたが、ここが少し評価しづらかった」という説明方法に、してみませんか。

2014年7月9日水曜日

Australs体験記

Australsで感じたこと

6年目にして初めてAustralsに参加してきました。
結果は3勝5敗、スピーカーとしては辛うじてアバレージを越えて真ん中くらいの順位とかでした。
悔しい結果になったのは間違いないですが、同時に学ぶことも多くこれは形にしてディベート界にシェアしたいなと思うので書きます。

なお、個人的にはAustralsに関する考察はけーたのが秀逸だと思います。国際大会で結果を残したい人は確実に読むべきです。
(http://icuds.blogspot.jp/2010/07/auckland-australs-2010by.html)
多くの話はここで既に書かれているのですが、それでも新しいことを頑張って書きます。笑

けーたの書き方をぱくるので申し訳ないのですが箇条書きで行きます。
また、少し紋切り型な日本批判のような口調になるようなところもあるかもしれませんがご容赦下さい。
ちなみにモーションはこちらからどうぞ http://tab.australs2014.com/t/australs2014/motions/


1. ModelのWorkability
一番感じたのはここでした。
よく日本でも「Opp Modelって大事だよねー」とかくらいなことは言われたりすると思うのですが、本当に重視します。
Affirmative, Negativeどちらも「Modelがどのように作用するのか」という説明が強く求められました。

例えば、R2で That we should eject sporting teams from international competitions if their fans are found to have committed racist/sexist/queerphobic etc acts during matches
というモーションをやったのですが、個人的には「いやーこれさすがにかわいそうでしょwwwNeg楽勝!」とかと思っていたのですが普通に負けました。

その最大の理由がNegのModelがどのように作用するのかが説明不足だったとのこと。最初呆気に取られましたがよくよく聞くと確かにと納得しました。
Domestic lawや、Playerをpunishするモデルがどのように作用するのかというのをかなり細かく説明することが求められました。
日本だとよく省略されるようなイメージですが、かなり本当に「それでも罰されて自分が捕まりたくなくて……」というような丁寧な説明が求められるようです。

その反省を生かしたR3ではThat we should promote the notion that the decision to have a child is a selfish one
で、childrenを持つことも持たないことも両方promoteするモデルにより良いところにしっかりと気づくという話を丁寧に説明したところ評価されました。

なお、Modelは当然Affでもしっかりかかってくるため、Aff, Neg共にWorkabilityをかなり丁寧に説明する意識が必要だと思いました。

2. ModelのComparison
上記に関連しますが、「なぜAff/Negのモデルの方が良いのか」というのをExplicitに説明することが求められました。
例えばThat corporations should be allowed to voteのNegにおいては「SQのlobbying, CEOのvote等によって声は反映できているが、voteだとdisproportionateに企業の声を反映してしまうためだめ」というのを明確に言ったところcloseながら勝つことができました。

よくジャッジにComparisonしろ!と言われると思うのですがそれは必ずしも相手が一番守りたいものと自分が一番守りたいものの比較軸というわけではなく、Model全体としての比較を強く求められました。

3. Non-initial arguments(3rd, 4th...)
個人的にAustralsで一番手ごたえを感じたのは2nd Speakerの3rd, 4thが圧倒的に評価されるというところでした。
全てのラウンドで自分のArgumentがReasonに反映され嬉しかったです、という単純な感想文ではなく、けーたも書いているように2nd speakerのコンストは強く求められていました。

確かに1st argumentと比べるとintuitiveではないものの、重要なファクターになってくるのはおそらく1st Affirmative/NegativeのClashである程度重要な話が完結するためさらに議論を深めることが求められるからかと思います。
個人的な感覚として「少しユニークじゃない」「少し遠い」「少し解決しづらい」みたいなものでも、関連性がありPrinciple/Practicalどちらか的に必要だと証明すれば自分のModelの優越性を証明していることにつながっているという判断基準を持っているようでした。

少し批判的になってしまって非常に恐縮なのですが、日本だと相手の1st pointにClashするような形や、自分の1st Argumentの延長線上にあるような説明のしかたが強く求められる気がしました。
Australsにおいては(UADCでも感じていたことですが)、モーションをとって生じるArgumentであれば十二分にとられる感じでした。

例えば、That the West should not import food from nations with chronic food shortagesのAffにおいて、monocultureを止めるという話と、先進国における大量生産大量消費のカルチャーが無くなるという話はどちらも評価されました。
また、That corporations should be allowed to voteのNegにおいて、企業で働いていない人たち(Public servants, Househusbands/wives)へのstigmaの話も評価されました。

とはいえ、この話には当然留保が必要で、かなり丁寧に説明しつつ、イラストをしたりインパクトを盛ることは当然必要だというのは強調しておきます。

4. Uniqueness
「Uniqueness」という言い方はされませんでしたが、日本と同じくモーションの肯定否定に必要なユニークネスはかなり求められると思いました。
日本との違いだけ述べておくと、Uniquenessを多角的に分析することが求められました。
例えば、That developed nations should pay developing nations to not extract their fossil fuel resources (coal, gas, oil) という話において、fossil fuel resourceのUniquenessは環境を破壊するかもとかという話だけでは足りず負けました。
「特にexploitativeになりやすい」という分析などが特に必要になってくるらしいです。(詳しくはリサーチして下さい)
なので大事なのはユニークネス1個思いついて満足しないことなんだなぁと思いました。

5. Manner
これは大きいでしょう。語っても語りきれません。
正直「白人うめええええええええええ」って思いました。いやあ上手いです本当に。Replyとかそれだけでひっくり返して来ます。尋常じゃないです。
それで大事なのは可愛そうなイラストは人一倍訴えかけてきますし、くだらない話にはジョークで返してきたり、インパクトを盛るためにword choiceがかっこよかったり。
日本でも確かに「Mannerもみましょう!」って言うと思うんですが多分AustralsはもろにMannerの分が点数に上乗せされます。

例えばThat ransoms should not be paid to Boko Haram(またボコハラムwwwwUADCに続いて僕は縁がありますね)のNegでBoko Haramにkidnapされた人を助けるnecessityを「まじかわいそう」イラストを自分としてもかなりよくできたなと思ったら、この大会で唯一77を越えました。(やった!)
That we should eject sporting teams from international competitions if their fans are found to have committed racist/sexist/queerphobic etc acts during matches でのAffのメルボルンはgayかわいそうイラストがやばくて「いやいやnon-contentiousだろ」という自分たちのクレームを跳ね除けてきました。

今回NUSがブレイク落ち(まさかの4勝しかできず。。。)という悲劇があったわけですが、もしかしたらアジアとオーストラリアの一つの大きな壁はこれなんじゃないかと。
発音はまだしも、word choice、印象操作等は日本としても積極的に評価していくことが必要な気がします。

6. Reply DOES matter
Replyは本当に重きを置かれています。Best Reply Speakerというカテゴリーがあるくらいですしね。
日本だと一部のジャッジは自分のノートを整理したりしているわけですが(実は僕も昔やっていたのであんまり人のことを言えないのですが……)これはまずいなと。
真剣にReplyでひっくり返しにきます。
ブレイクラウンドの音源は絶対に聞くべきです。

ただ同時にNewは厳しく言われました。あくまで、起こった内容をベースに最大限に魅せるのは非常に大事で、ジャッジもReplyもRFDに必ず入れてきました。


個人的にはこんな感じのAustralsでした。いやーー本当に行って良かった!
オセアニアディベートまじ強いじゃないですか。Berlin WUDCとかGF全部オセアニアでしたし。
強い理由が分かりました。基礎に本当に忠実で、それを一次元上のレベルでやってくるんですね。
・自分のModelがどのように作用するのか、相手と比較してどのように良いのか?
・モーションの肯定否定をする(ユニークネスを説明する)
・強い3rd/4thを出す
・Mannerで持っていく。Replyでも勝負を決めに行く
こういう話って日本でも多少なりともしているわけじゃないですか。これを本当に徹底している印象でした。

そう考えると日本ディベート界も発展してきているんだなぁと本当に思います。でも、さらに発展するにはさらに意識をしていかないといけないんじゃないかなと。
世界のnormをつくっているのは今間違いなくオセアニアだと思います。そこを知るのは本当に大事かと。
これはアジアにおいても当てはまります。特にアジアのnormって強いディベーターがつくるわけで、それはAustralsとかにも理解がある人がジャッジしたりGFでスピーチするわけです。

なので本当に行ってよかったです。

余談ですが、こうやって日本と他のディベート界の考えの相対化とかしていけたらいいんじゃないかなと思います。
日本勢って多分音源とか、あとアジアの一部のディベーターをベースにここ数年発展してきたような気がします。
最近は、日本人以外のディベーターがいたりとか、留学してディベートの考えを持って帰ってきてくれたり、海外のジャッジ・AC・ディベーターの経験を持ち帰ってきてくれていてそれに比例するかのようにディベートのレベルがあがってきていると思います。
(もちろんそれ以外のファクター、例えば各人の努力とかも色々あると思いますが)一つのコミュニティ・ビルディングの一環としてこういう考察を個人的に知りたいなぁと。

学ぶことがたくさんあって本当に有意義な大会でした。組んでくれたパートナーや応援してくださった方に感謝の意を込め、また将来の日本人ディベーターの更なる活躍を祈って終わります。

2014年5月17日土曜日

モーションの作り方④(終) Motion Philosophy

いよいよこのシリーズも最後になりました。
モーションの作り方なのですが、最後に実は一番最初にカバーしておくべき内容を書きたいと思います。

それは、「Motion Philosophy」という考え方です。

僕は、MotionはAdjudication Coreからのメッセージ性があると考えています。
どのようなメッセージ性を込めるかは各ACの好みでもあると思いますが、限られた大会の中でACをやる以上、僕はそれなりの責任があると思っています。(ちゃんと出来ているかどうかは分かりませんが。)

したがって、僕はモーションに関して哲学を持とうと思っていますし、そういうことを早い段階でACと共有しようと思っています。

具体的にMotion Philosophyというのは、その大会で、このACが、どういった問題意識を抱き、どういうことを得て欲しく、ディベート界に何かしら正の遺産を残せないかという問いに答えていく営みだと思っています。

それは、具体的には
①ACがどのような問題意識を持っているか?
・自分がディベート界に足りないと思っているものは?
・今のモーションに足りないものは?
・日本人がさらに活躍できるには?
・僕ら・私たちが出来ることは何か?

②この大会の参加者は何が必要か?
・参加者は何を求めているのか?
・参加者が今後必要になっていくものは何か?

というような問いに答えていくのではないでしょうか。

例えばですが、一番最初のCAは僕はPre Icho Cup 2011なのですが、その際「基本に大切にしっかりすれば思いつくモーション」をコンセプトに、新2-3年生の基礎の確認になればと思って出しました。
最近の春Tでは(少なくとも僕は)世界中の色々な話を知ってほしい、でも背後にある対立軸をおろそかにしておしくないというメッセージがありました。その理由はこの前他のところにも書いたので割愛します。

また、Gemini 2011では「難しいモーションも出来るようになって欲しい」というACの願いが込められていたと聞きました。

こうしたMotion Philosophyがあると、その後モーションを選ぶ際にも取捨選択の軸になりますね。

最後に、少し脱線するのですが、モーションというのは参加しているディベーターだけではなく、将来のディベーターにも影響します。なので、しっかりとしたPhilosophyがあるといいんじゃないかなぁと個人的には思っています。

2014年5月12日月曜日

モーションの作り方③ 最終調整

いよいよシリーズ第三弾です。

モーションの公平性が担保できたら、次は最終調整です。具体的にはどのようなことをするのでしょうか。

(1) モーションのwordingを最終調整
大事なのは、「初めてこのモーションを見た人が、モーションの意味が分かるか?」「変な抜け穴がないか?」というところです。「こういう範囲のディベートをして欲しい」ということに関して混乱しないのが重要です。

春Tの例を挙げます。
THW outlaw suicide tourism for non-residents. というモーション候補がありました。
ACとしては、基本的には安楽死したい人ができないから海外に渡航する」みたいなイメージでした。海外で臓器移植したりするようなニュアンスですね。

ただ、ニュアンスとしてあったのが、「安楽死が違法の国からきている人」というところでした。それをもう少し明確化したかったため、以下のような変更点を加えました。
THW not euthanize travellers from nations where euthanasia is illegal.

くだらない抜け穴として"non-residents"でも安楽死が合法化されていたり・・・とか変なクレームとかごちゃりを避けることも少し意図としてはありました。

なお、人によってはwordingをかっこよくしたり、短くすることを目指す人もいるようです。僕も紅葉杯の反省から短くしようとしています。。。笑

(2) モーション全体のDiversity
個々のモーションがよくても、全体として偏っているモーション群というのはよくあります。
例えば、ラディカルなモーションが多かったり、CJSが多かったり……というものです。
テーマがかぶっていたり、動詞がかぶっていたり、対象がかぶっていたり、対立軸がかぶっていたり、といろいろな「かぶり」が想定されます。したがって、色々なモーションが無いのであれば必要に応じて特定の分野を考えたりするのも重要です。

どうしてもという時に、もし仮に似たようなモーションを出す場合は、できるだけ離して出しましょう。(予選と本戦等)
また、最近大会で出ていないかのチェックもここで入ります。

(3) (Asianの場合)3-motionの中の公平性
これはAsianに特有な話ですが、3モーションが並んだときに「実質1モーション状態」が起きていないか調べるのが大事です。
つまり、govだったら絶対これveto、oppだったらこれ絶対vetoとか。
また、2つ以上vetoしたいのが並んでいないか、などという点を確認することが肝要になります。

僕がACの時にやるのは、各自がgov, oppで1,2,3のランキングをつくってみることです。
ここでの考えがばらけたり「これは好みだな」という状況であれば大丈夫だと思います。
3-motionは特にACの自己満モーションをいれやすくなるので(経験談)気をつけましょう。

(4) ラウンドのアロケーション
また、どのラウンドにどのモーションを出すのかというのも重要になっています。
ちまたでよく言われる内容はこのようになっていますが、必ずしもそうである必要はないと思います。ACでぜひとも話し合ってください

・R4(予選最終ラウンドは最も公平なモーション
bubbleであるため、最も公平なモーションが求められます。

・OF(本戦初戦)は難しいモーション
実力があるチームとそうでないチームを振り分けるため、難しいモーションが望ましいとされています。

・GFは、ACの色が出るモーションや、最近ホットな内容
ex. HKDO 2012のban the publication of opinion pollは、その当時アメリカ大統領選挙があってホットで、ACの満場一致でした。
BP Novice 2011の THW ban expressions which glorify assassination.も、当時assassinationがほっとでした。
JPDU Spring Tournament 2012の時に古典が3つでましたがあれはACの「基本に忠実に話すこと」
というメッセージがありました。

・R1はwarm up的なモーション
古典や、わかりやすいモーションを好む人がいます。朝一なので。
ちなみに僕はR1から飛ばす方が好きです。


という感じになると思います。いかがでしたでしょうか。
実は「最終調整」というタイトルがありますがまだ続きます。そもそもモーションを出すとき何を最初に考えているかという話があるので。
続きます。

2014年5月2日金曜日

モーションの作り方② 公平性を担保する


アイディアが面白くても公平性が担保されていない場合があります。結局ディベートで一番重要なのは公平性だと僕は思いますし。
このままじゃGov/Opp(ないし、Closing)に有利・不利という可能性があります。

基本的にはAsianでもBPでもそこまで変わらないのですが、BPの場合"depth(richness)"という概念が登場するので、それだけ別で後で書きます。

では、公平性はどのようにして考えればいいのでしょうか?
僕の中でちゃんとした答えはないのですが、Gov/Oppでしっかりプレパしてみるとことだと思います。

ここで、調整していくものとして例えば

・動詞に注目する (ban⇔何かしらのregulate等, force⇔allow等)
・Value motionにしてみる (It is legitimate to, THBT...)
・Assumingでburdenを減らす (Assuming that both options are available...)
・対象をコントロールする (all⇔some、抽象的⇔具体的)
ということもありだと思います。

また、Oppのstrategicなカンプラ、スタンスによって死なないようなwordingであるかも重要になります。

プレパしてみると分かりますが、片方のインパクトがどうしても弱い場合があったりとかもします。
なのでAC会議でも「この話にどうやって対抗するの?」という答えはある程度出ないとあんまり良いモーションではないのかもしれません。


BPに関してはですが、5-6個各サイドで分析がでるかどうかを必ずチェックするのが大事だとよく言われています。(僕がACに入ったときは全部5-6個出ることを確認してから出しています)
そのためにキーワードをちょっと1個増やしてあげたりするとかで話が広がることもあります。
(主体を入れてみたりする等)

また、補足ですが場合によってはinfoslideを作ることも必要でしょう。対象として、キーワードや、backgroundをinfoslideにのっけることが多いと思います。

2014年5月1日木曜日

モーションの作り方① 最初のアイディアの出し方


巷では、最終的に公平性やダイバーシティを重視しながらモーションをつくろうというような事が書いてあります。かなり僕自身も参考にしていて、モーションがある程度出た後どうやって吟味していくかはすごくよく分かりました。
(ex. Shengwuのブログ等)

でもここでは、「そもそも最初のアイディアの出し方」に関して書こうと思います。そういう記事を書いている人って今のところみたことがないので。

あくまで我流ですので参考程度にお願いします。
また、アイディアを出した=そこから必ずしも良いモーションになるとは限らないので、僕の没モーションは悲惨なことになっています……。
大事なのはとりあえずアイディアベースに最初出してみてみるところってところだと思うので、(ブレストはたくさんしましょう)ちょっと書いてみますね。

(1) 新聞記事、雑誌の記事、本等を少し読んで、「problem」を考える
これは完全にTateの受け売りなのですが、HKDOでTateがどんな風にモーションを考えているか聞いたところ「どうすればこの世界がもっと良くなるのか?」という視点を持つことが大事らしいです。
となると、何かしらの「problem」を考えるのが大事なんだと思います。

例えばですが、先日三鷹のストーカー事件ってありましたよね。それから気になってストーカーのドキュメンタリーを見てみまり、ちょっとネットで調べてみました。
そこで知ったのは現行の法律だと、ストーカーに関しては例え警察に相談しにいってたとしても、最終的には被害者の同意がないと動けないとのことでした。
だいたいストーカーというのは第三者ではなく、もともと自分の元恋人だったりするわけで非常にジレンマに陥るとのことです。その間にストーカーの被害がエスカレートしてしまうこともあるとのこと。
「これって問題なんじゃないかな?」と思って生まれたのが以下のモーションです。

THW allow the police to act (ex. warning, prevention measures) regarding the stalker without victim's consent.(JPDU Spring Tournament 2014 R4)


(2) problemの解決方法を考える(動詞・制度に着目)

problemが分かったらrectifyしないといけません。その方法として着目するのが、「動詞」や「制度」だと思います。
例えばよくありがちなのが、何かあったらbanしておこうという考えです。

一つ例をあげます。EUって人権守っている主体のはずなのに、ネオナチとか極右の政党が台頭しているけどいいのかなと。
そこで、廃止しようと思ってつくったのがこのモーションです。(Sharmilaも気に入っていて本当はHKDOで出す予定だったのですが、opinion pollの方がホットだったので見送られました。)
THBT EU states should ban ultra-nationalist/far-right political parties.(Ryoso Cup 2012 GF)

でもban/legalizeって結構extremeなんですよね。なので、他の「動詞」や「制度」を考えてみます。
「あ、この制度使えるじゃん!」シンプルな例を挙げます。なんとなく日本って医療モーション少ないなぁと思いながら医療訴訟とか調べていました。
そういえば産婦人科とか今少ないらしいなぁ、でもありきたりなモーションばかりだなぁと思っていました。
(ex. THW make juries of malpractice litigation comprised by doctors. 等)

なんか無いのかなぁと思って調べていたら、ニュージーランドのACCという試みがあるというのを知りました。
「あ、これいいんじゃないかな?」と思ってかつ、基本的な対立軸は過失責任と無過失責任になるなと思いつつ、そのまんま安直ですがモーションにしてみました。
THW introduce ACC (Accident Compensation Corporation) scheme in doctor-patient relationship.(JPDU Spring Tournament 2014 OF)


でもやっぱりまだレベルってあがりそうですね。オリジナル感が欲しいですし。
例えば、インド等がコンテキストで女性が性犯罪に苦しんでいます。そういう時にそうすればいいかというと、男性側にもっと責任を負わせるパターンも良いですが女性側をどうやってさらにempowerするかという議論になるかもしれません。
それだと、自分で自分の体を守れたほうが良いなと思って生まれたのがこのモーションです。
THBT the government should distribute free lethal weapons to women living in misogynistic community with excessively high rate of sexual violence.(Titech Cup 2013 QF)

ちょっとイメージとしては、THBT US government should subsidize twitter to liberalize oppressed societies.のように、empowerしていこうよみたいな感じです。


他の例をあげます。警察って色々問題起こしたりしているなぁと。あ、あとそういえば民営化ってよくされてるよなぁ、prisonとかもされてるし。
と「民営化」という手法が思いついてつくって、ACから評価が高かったのがこのモーションです。
THW privatize the police.  (HKDO 2012 R1)

とりあえず、アイディアとしては「動詞」「制度」に注目するというニュアンスが伝わると幸いです。
コツとしては、自分が知っている動詞や制度、もしくは他のモーションである動詞や制度を連想することです。

個人的な感想としては、SharmilaとかTateはこういうモーションが好きな印象があります。
例えば、Berlin WUDCではTHBT countries with booming populations should allocate every adult a single tradable permit to have a child.というモーションが出ましたが、これは「carbon emission trading」という市場原理を導入していることに他なりませんし。


(3) 主体を考えてみる
他の発想方法として、主体を発想してみるというのがあります。

最近流行っているTHBT the feminist movement should...というようないわゆる「アクターディベート」モーションですね。
海外の大会を見てみると、TH, as North Korea,...等主体をかえていることが多いです。

例えば、ICCってcrime against humanityとかをprosecuteしているのはもはや最近では有名になりましたね。
ICC should prosecute crimes against democracyとか、色々ICCモーションってありますよね。そこからアイディアをもらったのが以下のモーションです。

THBT ICC should prosecute heads of IMF upon assisted countries' requests. (Ryoso Cup 2012)


(4) extremeに考える思考実験をしてみる
僕が好きなのはとことんの極限状態とか、とことん何かやってみるとか、想像の世界に思いを寄せてみることです。
なんでかというと、過去の哲学者がやっていたように本質的な議論、対立軸に近づくからです。

Assume that a large meteorite is about to hit the Earth.  The international community was able to build a perfect underground shelter which can hold and sustain a small number of people for reasonable years until human can live again on Earth.  There is no way to avert the crisis.
THW choose who survives based on a lottery-of-fate rather than considering any personal ability/professional skills.(Titech Cup 2012 R2)

これは結局資源の分配の仕方という経済学の問いですね。


いかがだったでしょうか。他にもモーションのアイディアの出し方の方法はあると思います。
(僕もこうやって体系立ててやっているわけじゃなくて、結構勘とか暗黙知の部分は多いと思いますが、言語化するとこの4つは思考パターンとしてあるのかなと思いました。)
少しでもお役に立てると幸いです。

2014年4月29日火曜日

JPDU Spring Tournament 2014で工夫した点


春Tでは、こうしたことに気をつけました。
基本的に、ACの皆様とそれを実現させてくれたコミや参加者の皆様のおかげでできました。色々新しい試みができたことを非常に感謝しています。

特にタブのお二人にはかなり大きな負担をかけました。。。ありがとうございます!
繰り返しますが、別に僕がやったぜどやーーーというのではなく、みんなのアイディアと、実行力のおかげです。

今後の大会でも是非参考にして下さい

General Principles
-RookieもMainもどっちも大事に。Rookieのラウンドにも良いジャッジを優先して入れたり、モーションも配慮
-ジャッジがフェアに評価されつつ、ジャッジのためになるような制度づくり

Rules/Briefing
-Mandatory POI  (JBPからの引継ぎ)
-Average Intelligent Voterの強調(Relevancy, Exclusivity等の裁量、Informed Global Citizen)
-Mutual Exclusivityの重要性の強調(briefing, scoring, adj test)
-Motion選びの際の番号を紙に書いて行うことの義務化
-Score Rangeの拡大
-Grand Final Best Speaker/Rookie Grand Final Best Speaker

Motions
-モーションは複雑すぎず。考えれば分かるように。でもIRとかも。
-Asiaモーション
-Motion Diversity
-公平性、3つのモーションの中でも大丈夫か

Adjudication
-ジャッジフィードバックシートの詳細化(全体性・基準の妥当性・比較・分かりやすさ)
-Chair adjによるPanel/Trainee Adjへのfeedback義務(点数つけた後一言)
-Feedback Sheetのコメント義務化
-ジャッジ評価詳細公開
-ハイレベルなAdjudication Test(ハイレベルで難しいラウンドをジャッジできるかどうか見極めたい)
-Adjudication Testで詳細な質問リスト(ラウンドに関してRFD以外の説明)
-Adjudication Testのフィードバック
-2日目もジャッジ間のフィードバックシートの導入

その他
-モーション発表時、マッチアップ時の音楽工夫
-Individual Adjudicatorの大量リクルート

2014年3月20日木曜日

ディベーターがジャッジに抱く疑問②「なんでtieになるの?」

前回の記事では「何でそこで見たの?」という疑問に関して書きました。
今回の記事では「そこで見たのは分かったけど・・・なんでtieになるの?」という話をしたいと思います。

「Principleはtieになってー」
「子供のcharacterizationは優劣がつけられなくてー」

こういうような表現ってよく聞くと思います。

でもディベーターからしてみると「え、ちょっと待って」ってなることもあるんですよね。
また、これは個人的な経験則でもあるんですが、ジャッジをしてディスカッションをしていると「tieになった」という時「ん?」と首をかしげてしまうことが多いのです。

なぜかというと、ディベートってそう簡単にtieにはならないからです。笑

なので、個人的には「本当にtieなのか?」という問いを自分に立ててみて欲しいと思っています。
つまり、本当にそのイシューってtieなのでしょうか。

「govもoppも説明していたから」tieになるとは限りません。
govが「どう説明したか」とoppが「どう説明したか」が同列の時tieになるからです。

そう考えると、「Argumentの関連性・深さ」や「Refutationの鋭さ」をちゃんと評価しているのか?と見直してみると良いのかもしれません。

「Argumentの関連性・深さ」について説明しましょう。
Argumentは主に関連性と深さで説得力が増すと思います。(もちろん他の評価軸もありますが。)

関連性というのは、Spirit of the Motionを反映しているのか、それともモーションのキーワードやステークホルダー等が守りたいパラダイムにおいて生じるexclusiveな話をしているのか、といったところから評価することができます。

深さというのは、どういったreasoningがされたのか、どういったイラスト/picturizeがされたのか、どういった例(case study, analogy)を出したのかというようなところから生じるでしょう。また、principle/practicalの両観点があったり、相手の話を考慮しているかどうか等も深さの対象になるはずです。

次に「Refutationの鋭さ」について説明しましょう。

鋭さというのは、感覚的なものかもしれませんがどれくらいそのArgumentの信憑性や信頼度を下げたかに左右されると思います。巷で流行っている"not unique"は相手の話を削ることには作用しているものの、多少なりと残ってしまうと感じやすいですし、"not always true"のようにメカニズムを切りに行く話では「それって毎回そうなの?」という疑問をジャッジに残してしまうでしょう。


なお、誤解がないように強調しておきますがtieになることや優劣の判断をつけられない時もあります。大事なのはtieに本当になっているのか?なぜtieになったのか?ということをディベーターが知りたがっているということです。


結論:
もちろんtieになることやそこだけでは優劣の判断をつけられないことも多々あると思います。ただ、簡単にtieにしていないかどうか見直すことは十二分に必要な気がします。その際、Clashの中でArgumentの関連性や深さ、Refutationの鋭さ等を留意しておくといいかもしれません。

2014年3月19日水曜日

ディベーターがジャッジに抱く疑問①「何でそこで見たの?」

いいジャッジというのは何なのでしょうか。
色々な定義があると思いますが、そのうちの一つに「説得性・納得性をディベーターに提供する」というのがあると思います。そう考えるとこれは逆に言うとディベーターがジャッジに対して疑問を抱かないことが必要になってくると思います。

したがって今回何回かにわたってディベーターがジャッジに対して抱く疑問に関して説明していこうかなと思います。

その一つとして「何でそこで見たの?」というのがあると思います。

お恥ずかしながら、僕は昔よくジャッジにかみついているタイプのディベーターだったと思っていて、最近ではましにはなったのかとは思うのですがそれでもまだ結構質問する方だと思っています。(噛み付いた皆さんすみません。。。)

その中で自分がどういうときに噛み付いているのかなぁと考えると、その一つに「なぜそこでみたのかなあ」という疑問がある時なように思えます。

おそらくなのですが、それは「ジャッジが最終的な判断を下した場所(特定のクラッシュ、分析等)」になぜ至ったのかという部分が明言化されていないからだと思います。

最終的にpracticalな部分でみたりとか、contextでみたりとか、engageの度合いでみたりとか、色々な判断があるんだと思います。それはディベートやジャッジにおいて様々でしょうし、色々な場合があると思います。

実際問題として、ジャッジはそういうことを無意識のうちに考えている場合もありますし、ディスカッションでかなり実は議論されたもののそれが単純にアウトプットに至っていない場合もあります。ただ、困るのはディベーターとしていきなりその思考プロセスを説明されずに「ここで見ました」のように言われると「えっ」と思うんです。

もう少し具体的な例をあげたいと思います。

例えば、3つくらいクラッシュがあって、(A, B,. C)Cが実はABにも繋がる前提であり、ディベートでもかなり時間がとられて説明されていた内容だったとします。そして、A,B単独では優劣をつけることが非常に困難だったとしましょう。

その場合、ジャッジがいきなり「Cの観点で・・・」と説明し始めると、ディベーターは「AとBはどこいったんだ!」「何でそこで見たの?」と思ってしまうんだなあと思います。特に、ディベーターが見ているディベートと、ジャッジが見ているディベートはぜんぜん印象がかわってくるので。

従ってその場合、A,Bではなぜ優劣がつかなかったのか、なぜCが重要なクラッシュになったのかというプロセスを説明することが重要なのかなと思います。


あとよくあるのが、「プリンシプルはプラクティカル依存だと思ってプラクティカルで見ました」という説明です。プリンシプルの種類にもよりますし多くのディベーターの説明のしかたによってぜんぜんかわってくるかもしれませんが、プリンシプル自体の説明の深さの説明で差がつくことや、またプラクティカルがよかったけどプリンシプルがないgovと、プリンシプルはよかったけどプラクティカルは分からなかったoppとかだと「プラクティカルでみました」というような判断は必ずしも公平に聞こえない可能性も出てきます。

別にプラクティカルでみようがプリンシプルでみようがいいのですが、なぜ「そこで見たのか」というプロセスがここでも重要な気がします。

結論:
若干抽象的な議論で申し訳ないのですが、言いたいこととして
「何でそこで見たの?」という疑問を解消するためには、
「なぜそこで見たのかという思考プロセスを明示する」ことを意識すると良いと思います。

2014年3月11日火曜日

Principleと日本人?

Principleが日本ディベート界に根付いたのは最近だとよく言われます。

事実、THW torture terrorists.とかのNegでFundamental Human Rightとかの話があまり立たなかったり、feasibilityがかなり重視されていた時代もあったように思えます。2005年頃、当時UTDS OGの中川さん・斉藤さんはかなりPrinciple Argumentを重視していたものの、日本では当時はあまり流行っていなかったとのことです。

Principleを話す人はマイノリティだった時は確実にあったのでしょう。

そうなると2つの疑問が生まれます。

・Principleが当初日本で流行らなかったのはなぜでしょうか?
・そして、最近はなぜPrincipleが流行るようになったのでしょうか?

前者に関しては、私も良く分からないのですが、巷でよく言われている説として、「Academic Debateの名残を受けている」とされています。ここに関しては私は完全な素人なので分かりませんが……。

また、最近興味深い記事があったので紹介します。
http://www.huffingtonpost.jp/rootport/discuss_b_4917090.html?utm_hp_ref=japan&ir=Japan

一部引用します。
日本では、プラクティカルな議論が偏重されがちだ。新聞もテレビも、インターネットでも、フィロソフィカルな議論をしようとすると「現実的でない」「夢想的だ」という烙印を押される。こうして日本人は、物事の「本質」について議論する機会を失うのだ。
 プラクティカルな議論をするためには、土台となる価値観を固めなければいけない。価値観を固めるには、フィロソフィカルな議論が欠かせない。しかし日本では、国の政策でも、企業の事業計画でも、フィロソフィカルな議論は滅多にされず、いつの間にか"空気"で決まっている場合が多いのではないだろうか。
 とあります。
なんとなく頷けそうではあります。そもそも、カルチャーとしてプラクティカルな議論が日本社会において重視されている可能性はあります。ただ、定量的にも分かりませんし、サンプルとしてもテレビ番組や2ちゃんねる等であると、なんとも言いがたいところはあります。


後者に関しては、シンプルに海外の影響なのでしょうか?海外音源や、日本人の国際大会への参加の促進によってPrincipleの「輸入」が増えたのでしょうか?

もちろん、定量的に全くもって証明もできていませんし、分かりませんが実感としてこういう現象が起きているのかもしれませんね。

ただ、もしこのような状況が起きているとしたら、単純に海外音源の真似事をするのではなく、筆者の言葉を借りれば「物事の本質を考える」ことこそが不可欠なのかもしれません。

その方法は、やはり先人に学ぶことと、普段から思いを寄せることなのでしょうか。「XXとはそもそも何か」という問いから発信して。

2014年2月24日月曜日

「自分より上手い(?)」とされている人と対戦する時、ジャッジする時の心構え

「オーソリ」という概念は僕は嫌いなのですが、「世間一般的に自分より今のところ成績を出している」とされる人とラウンドすることや、またジャッジとしてラウンドを見る事とはあると思います。

その時、どのようなマインドセットが重要なのでしょうか。

基本的にどちらにおいても、「実はたいしたことないんじゃないか」と思うことだと思います。
もちろんラウンド前・中の話です。私生活で人を見下すとかそういうのではないです、もちろん。
以下、ディベーター編とジャッジ編で分けて話します。

【ディベーター編】
「気持ちの持ち方」と「実際のパフォーマンス」はかなり相関関係があるというのは様々な研究によって明らかになっています。本当ならもっと出来たはずなのに諦めてしまって本来のパフォーマンスが出せないなんて、すごくもったいないと思います。

正直言って、ディベートなんて各モーション、ポジションによって大きく影響が出ますし、パートナーとの相性等も関係してきます。必ずしも相手が過去にブレイクしたり優勝したりしているからって、今回も勝つっていうわけではないのです。

なので、自信を持ってラウンドに入ってください。

一度どこかの投稿で書いたと思いますが、「白人が言ったからといってその瞬間、そのスピーチが日本人が言った内容よりも優れることなんてない」(意訳)ということをTateも言っていました。多くのレクチャラーが日本人にアドバイスする時に「自信を持つこと」と口をすっぱくして言っているのは、どこかで諦めている姿、もしくは自信がなさそうに映っているのかもしれません。

そういう意味で、ドヤ顔をし続けることというのは、すごく大事なんだと思います。

【ジャッジ編】
ジャッジしている時は、ディベートをしている時以上にさらに自信を持っていいと思います。
なにしろ、あなたには大きなアドバンテージがあるからです。ラウンドを客観的に見てよいという。笑

ディベーターはかなりあせっている筈です。プレパ時間も短いですし。それに、毎回良いスピーチをできるとは限りませんし。なので、ミスもでますしディベートのボトルネックにも気づきやすくなります。

それに、必ずしもディベーターの実績とジャッジの実績は比例関係にあるとは限りません。(あるときもありますが。)したがって、堂々とジャッジしてください。

「この話ってモーションの肯定・否定してるっけ?」「疑問に答えてる?」「相手にエンゲージしてる?」というような問いを立てていけば自然にラウンドが見えていくはずです。訓練はもちろん必要ですが。



以上です。もちろん、ディベーター、ジャッジ共に練習をすることは前提にあります。
いざ、ラウンドで「オーソリ(?)」とあたるときや、見るときにこういうことを念頭においておくといいんじゃないかなあという位置づけです。

2014年2月11日火曜日

MDO 2011 Semi Finalとバーデンコントロール

あの有名なMDO 2011 Semi Finalのディベートですね。 TateのPMスピーチも安定していてうまいのは流石ですが、それ以上に輝いているのはLoganのGWのスピーチでしょう。

合理的なバーデンコントロール(burden control)をしている点で特徴的です。

バーデンコントロールとは、「自分のサイドが証明しないといけないことを明確にしたり、必要に応じて下げたりすることによってモーションの肯定や否定につなげる」行程のことです。

例えばTateとかは、"reasonable improvement"をバーデンとしていることがよくあります。独裁国家の民主化とかは一朝一夕にはいかないけれども、これくらいはなるよね。みたいな言い方でうまく説明しようとしています。

今回のLoganの場合、ジョークを使いながら巧みにバーデンをコントロールしているのは流石ですね。
ディベートのバーデン解釈が複数あったところで、「scarce resourceにおけるtrade-offで、prioritizationのディベートである」ということは確かにPMからも言っているのですが、それをかなり明示的に強調している貢献は大きいですね。

留意すべきなのは、「gov/oppのバーデンはこれだ!」というよく分からない、非合理的なバーデンを投げるという印象操作の失敗例とは異なっているということです。バーデンは別にとりあえずディベーターが言ったら発生するわけではなく、あくまでAverage Reasonable Person (or Average Intelligent Voter)として合理的に納得できるものでないといけないので。それは、一般人がモーションをみたときに感覚的に感じるもの、もしくはディベーターの説明から合理的と解釈できるものではないといけないのは、「モーションの肯定・否定」の考え方の根底にもありますね。

今回のLoganは、コンテキストを説明することによって合理的にモーションからこのバーデンが導き出せることを丁寧に話していること、そしてoppが他のフレームワーク(need-base等)ができたはずなのにしなかった、と言っているところが、ディベートのバーデンの解釈をgovにぐっと引き寄せたのではないでしょうか。




2014年2月3日月曜日

ロジックってどれくらい大事なの?

「ロジックってどんくらい大事なんですか?」

という問いは、誰しもがなんらかのタイミングで聞いたり、思ったりしたと思います。
僕自身は非常にロジックを重視するタイプのディベーターであるため、多少なりバイアスはあると思いますが、何度考えても重要な気がします。

もちろん、いくつかの条件はあります。

例えば、「信じられないロジック」は僕も否定しています。
とりあえず無理やりcounter-intuitiveなロジックを出されたり、「それって起きるの?」って思うようなメカニズム。これらは、常識的にとれないものはとれないでしょう。

あと、「伝えたいことを効果的に伝えられなくなるほどのロジック重視」も僕は否定しています。
最近「パブリックスピーキングの要素をディベートへ」という声が前より強くなっているような気がしますが、それは同意しています。第三者に説得的に伝えるには、詰め込みすぎても伝わりませんし。
7分という制約の中で、学問書ほど書くのはできないでしょう。

また、「ロジックだけを重視すること」も僕は違うと思っています。
つまり、人を説得する上では感情的な側面とかも出てくるので。陳腐な二項対立ではありますが、ロジックとイラストのバランス、と言ってもいいかもしれません。
感情を持っている人を説得する上では、感情にも訴えかける必要があるでしょう。


しかし、ロジックはディベートの根幹にあることは間違いないでしょう。

僕がこう主張するのは、主に2つの理由があります。


第一に、ディベートの趣旨を達成する上でロジックが不可欠だからです。
そもそも、「モーションの肯定・否定とは何か?」と考えてみた時におそらく結局のところ、一般人がモーションを見たときにどう思って、その疑問を一つ一つ解消していくに尽きると思います。
よく使う例で恐縮なのですが、THBT Japan should possess nuclear weaponsというモーションであれば、「何で日本が?」「なんで自衛隊でも、軍隊でもなく核武装なの?」という疑問は当然に出てくるでしょう。それらの立証責任が出てくるのは当然であり、立証するには何かしらのロジックが必要になってくるわけです。

ここで、有名な演繹法なり、帰納法なりが登場するわけですね。三段論法とかも演繹法の一つですね。一応Wikipediaから「演繹」「帰納」を引っ張ってきます。
演繹(えんえき、deduction)は、一般的・普遍的な前提から、より個別的・特殊的な結論を得る推論方法である
帰納(きのう、Inductionεπαγωγή(エパゴーゲー))とは、個別的・特殊的な事例から一般的・普遍的な規則法則を見出そうとする推論方法のこと。

ディベートのような構造が出ているところから考えても、例えば法廷でも感情に訴えることも必要なところもあるとは思いますが、それ以上に条文や、判例との関係性が重視されています。

ディベートが人の営みについて議論しており、かつそれを参考としている学問でも「学説」などという形で「論理」が非常に重視されています。

したがって、ロジックが相当大事であることには間違いないでしょうし、また「論理的な説得方法」よりも「感情的な説得方法」を優先する合理的な理由もないように思えます。

第二に、日本人に不足しているところだという問題意識があるからです。

また、この前UADCを優勝したバレリーに「日本人は何が足りないと思う?」って質問したところ、「日本人はマターが少なく、分析が浅い」傾向があると言われました。確かに、UADCに言った時に「分析がまだまだ浅く、もっと深めないといけない」と言われたのは覚えています。ABPに言った時も、「Case Studyや、Comparison, Context (3C)でもっと分析を深めろ」と何度も言われました。

テートと一緒にジャッジをした時も、またはされた時もかなり細かくロジックを追っていることが特徴的でした。テートやローガンが"I have 3 levels of analysis"のように「level」と表現して分析を深めている傾向がありました。

「分析の深さ=ロジック」というわけではないですが、分析の深さとロジックの相関関係は強いと思います。というのも、ロジックなしに分析を深めるとなると、限界がありますしイラスト、Case Studyですら背後のロジックに支えられているからです。

僕が伝えたいのは、ロジックだけを鍛えなくちゃいけない!というメッセージではありません。もちろんバランスはあるので。
ただ、ロジックを軽視するのはまずいですし、ディベーターもジャッジも重視しないといけないでしょうし、たぶん今後も磨いていかないといけないところなんだろうなぁというところです。

2014年1月29日水曜日

Triple A (2) 発展

この記事は、Triple A (1) 基本 の続編にあたります。

Triple Aという型を前回説明しました。これに関していくつか論点を話しておきたいと思います。

Abstractionについて
前回話したとおり、Abstractionは「抽象論」とはいえ、具体性がかなり必要です。
そして、「論」である必要があるため、単純に「こうだよねー」だけではなくて、その基準を正当化することが必要でしょう。
よく、fairness is important!とかで終わるのですが、「どういうfairnessを守っていて」「そのfairnessがなぜ大事なのか」という話が合理的には説明される必要性があるでしょう。
(どこまで説明するかは、一般的にジャッジが分かる程度、というあいまいな表現になってしまうのですが。)

そして、ここは当たり前ですが、Abstractionは相手との関係性で規定されます。
non-contentiousなprincipleってまじ意味ないと思うんですよね、個人的に。一瞬でoppにI agreeと言われてしまうので。このあたりは、Principleというより、Stance/Caseの話になってしまうので省略しますが、要はStanceがAbstractionと整合性がないとだめだよねという話です。

Analogyについて
Analogyに関しては、近いAnalogyであればあるほど良いと思います。
例えば、tobaccoのbodily autonomyの時に、alcoholという例のほうが、junk foodより近くて感覚的に受け入れやすいでしょう。
一時期はやったcoal minerは、やっぱり遠いような気もしますしね。

また、ここではAbstractionとの関連性において「線引き」の議論になることもあるでしょう。例えばcocaineとかと何が違うの、とか。上の「相手との関係性で規定される」ってところを踏まえると、Govは、alcoholとの違いに言及するなど、柔軟な対応が求められるでしょう。

Applicabilityについて
Applicabilityは、「なぜ今回あてはまるのか」という話なので、特にこれ以上はありません。
Practicalの話とほぼつながると思うので、変にPrinciple/Practicalと分けずに考えるほうが合理的であることもあるということにとどめておきます。


最後に、2点ほど補足してTriple Aの記事を終わりにしたいと思います。

(1) なぜこの型に至ったのか?
これは、僕がKoc WUDCに行った時の感想でした。WUDCでブレイクラウンドをみていると、どんな人もExampleをPrincipleにつけていて、すごく説得的だなと思ったからです。
抽象的なPrincipleを具体化していく工程こそが、Analogy/Applicabilityだったと思い、今後日本のディベーターが海外で活躍するにはこれなんじゃないかなあと思いました。

あと、もう一つ付け加えておくと海外だとExampleを「分かって」くれる人が多いというのもありました。つまり丁寧な説明をしなくても「あそこのあれ」というだけで「あーあれね」という共通言語があるというところです。これはWUDCでAverage Intelligent Voter, Informed Global Citizenというような言い方をされるようなところからも、ジャッジの知的水準は比較的高めに設定されているのでしょう。

(2) この型の問題点とは?
これは別にこの型だけに関わる話ではないのですが、型があると「その型に当てはまってないから・・・」というジャッジング/スピーチ構成につながっていく悪循環があると思っています。
分かりやすいのはSQ/AP/Impactの型で、「SQがなくて・・・」とか「Impactが分からなくて・・・」というのは確かに説得力を欠く要因になることもあるとは思いますが、必ずしもマストではありません。

あくまで目的はジャッジを説得することで、そのプロセスにTriple Aなり、SQAPImpactがなくても、分かればいいですし、分からなければ問題というところに落ちるしょう。


2014年1月26日日曜日

Triple A (1) 基本

Triple Aについて、今更ながら解説しておこうと思います。
基本的に、1年生に最初に教える時としてのTriple Aの話です。
今度、Triple Aの「発展」という続編も書こうと思います。

Triple Aとは
Abstraction 抽象論 (どういう価値を守ろうとしていて、それがなぜ大事か)
Analogy 類似例 (似たような例は何か?)
Applicability 適応性 (なぜ今回にも当てはまるのか?)

の3つのAではじまるものの頭文字をとった、プリンシプルの型です。

例えばですが、ban tobaccoのoppで"free choice"のプリンシプルを立てる時はどのように考えるのか説明しようと思います。

Abstraction
まず、抽象論でそもそもなぜ「そもそも自由が認められるのか」という話をすると思います。
ここで大事なのは"Abstraction"とは言え、抽象的すぎたらだめということです。
この場合、具体的に守るのは「身体の自由権」(bodily autonomy)であるはずです。
特に、「自分の体を傷つけてまでも幸せを追求する権利」と言えると思います。

なぜ、そのような権利があるのでしょうか?
それは、「自分の体は自分がownしているから」という話であったり、「自分の幸せは自分のことが一番分かっているから」という話になるでしょう。

Analogy
そして、その抽象論を支える上で類似例が大事になってきます。
特にPrincipleって自由権ならまだしも、"importance of preservation of culture"だとか"representation as a part of democracy"等抽象的な話になりやすいため、それをぐっと分かりやすくするための機能を果たします。

例えば今回の場合は、他に自分の体を傷つけている自由っていうのはどういうのが認められているのでしょうか?
consumption of junk food, drinking alcohol等が例として思いつくのではないでしょうか。
このような例も、「自分の体を傷つけていても幸せを追求している例である」と説明することになります。

Applicability
そして、最後になぜ今回のモーションにも当てはまるのか、という話になります。
つまり、
・飲酒と喫煙はなぜ同じようなものなのでしょうか?
・そして今回はどういった幸せを守ろうとしているのでしょうか?

前者に関しては、Analogyのところでも多少説明しているでしょう。成年になれば、ストレスの発散などにおける幸福追求という形になるかと。
後者に関しては、タバコのユニークネスのイラストになるかと思います。
例えば、さっと吸えるという話だとか、タバコの煙が体の中を通っていくだとか、そういった話になるかもしれません。

これが、Triple Aの基本になるかと思います。
いくつか、留意点だけ述べていくと

・必ずしもAnalogyはなくても大丈夫です。場合によってはない場合もあるので。新しいPrincipleをつくるのであればなおさらです。

・繰り返しになりますが、具体的に話しましょう。"free choice"とかって何でもあてはまりますし。

・Abstraction, Analogy, Applicabilityは必ずしもこの順番で説明する必要はありません。AREAと異なり、しっかりと3つの間の峻別はつけにくいと思いますし。この要素があると説得的になるのでは?という考えに基づいてつくられています。

いかがでしたでしょうか?今ではきっと他の色々な解釈もあると思いますが、Triple Aの基本はこのようなところになるかと思います。


追記:1/29に続編をUPしました。 Triple A (2) 発展 

2014年1月24日金曜日

個性的なスピーチがしたい!というあなたへ

トップディベーター層だと、それぞれスピーチの個性があるように思えます。

(ここから自己満タイムになってしまうのですがご了承ください)
例えば、Sheng Wuは、スピーチにメリハリがある感じですね。本当に感情がのっているという印象。
Will Jonesは、マクロとミクロ、ロジックと感情のバランスが絶妙。
Chris Crokeは、あの洗練された細かさ。

まあ、挙げていればいくらでもありますね。


最近僕がよくみるのは、その時に流行っているディベーターの真似をするディベーターが多いなという印象です。
しかも、全体的にぱくってるんですよね。笑
いやはや、という感じなのですが。
まあ、もちろん僕も結構色々な人をぱくりながらスピーチを作っているので決して悪いことではないと思います。


しかし、重要なのは
【あなたの強みは何なのか?】
そして、それをベースに
【あなたはどういうスピーチを目指していくべきなのか?】

という思考だと思います。

例えば、雑ですが細かくない人がいきなり細かさをすごく目指しに行こうというのはなかなか難しかったりします。
イラストが得意じゃない人がイラスト中心のスピーカーを真似しまくっても非効率的でしょう。

みんながみんなWill Jonesになれるわけじゃないんです。それは彼の性格や過去に積み上げたものが、あなたとは違うからです。僕は例えばVictorみたいなスピーチはもうとっくの昔に諦めました。だってあんな爽やかなスピーチできないですもん。

そして、上手い人と同じスピーチをやっても勝てないんですね。
そりゃそうです。コピーは本体を倒せないんですから。
なので、新しい価値を提供しないと、勝てないんです。


あなたは何かしらのディベートにおける強みがあるはずです。それはスピーチに直接的に出てこなくても、例えばアイディアがでやすいとか、反論が思いつくとか、何か必ずあるはずです。

そういう強みを考えた上で、それを生かすスピーチスタイルとは何か、というのを考えていくのがベストでしょう。


一応なのですが、これは「弱みを克服しなくてよい」というメッセージではありません。上手いディベーターは、なんでもできます。ロールも、ロジックとイラストのバランスも、マクロもミクロも。その中で、どこを強みとするかだと思います。


でも、自分は最初強みなんかない・・・!っていう人も多いと思います。
そういうときは、「守破離」という考え方を参考にして欲しいと思います。
「守破離」という考え方は、歌舞伎とか茶道の考え方なのですが、「まずは型を守って、自分なりに破って、そして離れていく」というものです。

最初はAREAでも、上手い人のスピーチでもなんでもいいんですが、型を守ってみてください。
そして、そのプロセスの中で自分の強みを見つけて、それを破って、
自分なりの新しい「型」をつくっていくという意識を持ってください。

僕のメッセージとはいうと、とりあえずまねするのはやめましょう。
ただ、一回「守る」意味でまねするのは良いと思います。
ですが、究極的な目的は、「あなたの強みを生かしたスピーチをつくること」です。
「守破離」、ちょっとやってみませんか?

2014年1月15日水曜日

失敗した後に立ち上がること

"Our greatest glory is not in never failing, but in rising up every time we fail." -Ralph Waldo Emerson 

偉大な栄光とは失敗しないことではない。失敗するたびに立ち上がることにある。
 

いい言葉ですね。ディベートにかなり通じるところがあると思います。
ディベートは特に最初の伸びが実感できる競技なので(AREA, Triple A等)最初は成功しやすいです。ですが、その後に待っているのは失敗であることが多いでしょう。

評価されない。
勝てない。
上手くなっている実感がない。
何をやっても空回りする。

そういう時期ってありますよね。特に、1年生だと一回この時期あたりで悩むと思います。

気持ちは痛いほど分かります。ディベートをずっとやり続けようと思っていた人なんてほんの一握りだと思います。僕も、今まで2回ほどディベートをやめることを真剣に考えたことがあります。あの有名なローガンですらディベートをやめることを真剣に考えたらしいです。個人的には信じられませんでしたが、本当らしいです。

でも、もう少し頑張ってみると、ディベートの楽しさがみえてくることも多々あります。
ディベートの成長は急に来ます。ちょっとしたきっかけで一気に世界が開けてきます。


個人的には、人にもよるので全員に共通するアドバイスはできないのですが、「必ず成長する時はくるということを信じること」、それから「普段と違った工夫をしてみる」ことが大事だと思っています。


まず前者の「必ず成長する時はくる」というのは、経験則に人の成長スピードは違いますが、必ず見えないところで伸びているということです。実は、見えていないところで成長していたりします。他の人からみてみると伸びていたりもします。

久しぶりにみてもらったジャッジの方に「上手くなったね」と言われると嬉しいですよね。実は毎日0.1cmずつ成長していても分かりませんよね?それは、積み重なって10cm位伸びると、周りからわかってきてくれます。

きちんとした努力をしたら下手になることはありません。「目に見える成長」と「目に見えない成長」があるだけです。

後者の「普段と違った工夫をしてみる」というのは、特定の練習方法や姿勢だと実は効率的でないことがあるからです。

例えば、僕は2年の時に先輩の田中さんに「ジャッジをしろ」と言われました。最初は正直ラウンドをやりたい時期でしたししぶしぶやっていたのですが、そこで見えてきたのはラウンドを客観的にみる力だったり、自分のスピーチを相対化する機会だったと思います。最近は若い頃からジャッジをする機会が増えているのが、ディベート界全体のレベルの底上げにつながっているのかもしれません。(ちなみに余談ですが、初代銀杏杯のジャッジの主体が2年生なのはこういった意図もあったりします。)


最後に、もうひとつ最近ツイッターで流れてきた画像を紹介したいと思います。
「諦めるというのはこういうことだ」ということらしいです。

ディベートはつらいことがたくさんある競技だと思います。負けたらつらいし、それが如実にでるわけです。すぐ結果がでづらい、すなわち「目に見える成長」が少ない競技でもあると思います。でも、そこで立ち上がると、別の世界が見えてくるはずです。もしよければ、もうちょっとだけ、頑張ってみてください。




2014年1月14日火曜日

僕がブログをやる理由をちょっと語らせてください


僕はなんでブログをやっているのでしょうか。実は恥ずかしながらうまく言語化できないのですが、根底ではこんなことを考えています。


今ディベート界に足りないことって何なのでしょうか?さらに良くするにはどういう工夫ができるのでしょうか?



おそらくこの問いを考える上で、日本のディベート界の特性と、目指すべきビジョンを明確にする必要があると思います。

間違いなく日本の特性は、大会が多いということでしょう。韓国だと大きな大会自体は年に数回だといいます。これはプラスにとらえると、成長・交流の機会が多いということ、マイナスにとらえると大会の飽和状態が起きていること、と捉えなおすことができます。まあ、他にも色々ありますが、他には大きなところだと社会による認知があまりされていない、人口数が少ないなども挙げられるかおしれません。

日本ディベート界が目指すべきビジョン等は、ひとまずJPDUを参考にしてみましょう。


JPDUは日本のパーラメンタリーディベート団体の増加、国際大会への参加者の増加という現状を踏まえ、ディベーターの意思疎通を図り、共通の見解を生み出せるようなNational Debate Bodyとして以下の目的を持ち、国内外にて様々な事務処理や意思決定を行っています。
第2条 目的
本組織の目的は以下の3つとする。
(1) 国内機関としての国際大会に関する情報提供、準備、及び意思決定
(2) 国内のパーラメンタリーディベート活動における参加者および関係者のネットワークの構築
(3) 情報提供、イベント開催、及び教育活動を通じてのパーラメンタリーディベート活動の普及と向上

(JPDU公式サイトより)

これは言い換えると、「海外ディベート界」「国内ディベート界」「ディベート界外」をベースに整理していると言えます。

そう考えると、3つの基準のうちどれかを満たしていると合理的なのでしょう。おそらく(3)も色々工夫ができるでしょうが、感覚的に(1)(2)の方が先にできそうでしょう。

色々な答えがあると思いますが僕は多くの人がコミュニティに関われるような環境にすること、国内でディベーター・ジャッジとして成長の機会が提供できる環境にすることだと思います。

具体的には、地域ベース、ジェンダーベース、大学ベース、年齢ベースで多くの人が携わっていればいるほど良いと思っています。そう考えると、大会に多くの人が参加できるようにするにはどうすれば良いかという問いへとうつります。
僕はこういった考えに基づいて、前にも書きましたが大会における透明性の確保地域援助ACにおけるダイバーシティにより多くの人の参加ができるシステムが必要だと思っています。


そして、ディベーター・ジャッジへの機会の平等はできるだけ担保されていることが重要であり、大会における成長の機会も存分にあるべきだと思います。

そうした考えがあって、大会におけるジャッジの成長機会の提供等を過去に提唱しています。有志ブログであるMarketplace of Debating Ideasを開設したのもそういった意図があります。


そして、ディベート界に関するディベートがあったほうが良いというのは、おそらく色々なヴィジョンが日本として取れるからだと思っています。僕の考えにも限界がありますし、当然僕なんかよりいいアイディアを持っている人はたくさんいるはずです。

このブログも、少しでもディベート界のためになればなあと思いながらやっている次第です。結果はわかりませんがwww

長くなってしまいましたが、そんな感じです。

2014年1月13日月曜日

Debating Cycle Theory



当たり前に聞こえるかもしれませんが、「練習はラウンドだけではありません」。多くの人は「とりあえずラウンドしよう」と思っています。練習と言えばラウンドで、ひたすらラウンドにラウンドを重ねます。別にラウンドがだめという訳ではありません。しかし、ラウンドだけを練習と考えるのは間違いです。ラウンドだけだとどうしても非効率的で、自分の弱点を必ずしも効果的に克服できるとは限らないからです。


野球の部活だとすれば、ひたすら練習試合だけやるわけではないですよね。試合以外にノックをしたり素振りをしたり色々な練習があるわけです。例えば守備が苦手な人なら、3時間くらいかかる試合をやるよりは、ひたすら守備練習をした方がいいでしょう。


 そこで、僕が提唱しているのはDebating Cycle Theoryです。当たり前のことかもしれませんが、僕は「ラウンド」と「ラウンド外」で起こっていることを一本の連続的な現象としてみています。そして全てをつなげることを意識しながら練習することを心がけています。




 もう少し細分化するここうなりますね。ラウンド前のリサーチや予習・プレパ時間・他の人のスピーチ・あなたのスピーチ・他の人のスピーチ・フィードバック・ラウンド後の復習という連続性によってディベートが成り立っていると理解しています。

 なんでこれは重要なのでしょうか?端的に言うと、こうやって練習しないと効率的じゃないってところにメッセージがあります。例えば僕が「スピ練は行ったラウンドの復習という形で行え」と指示することがよくありますが、これはこのサイクルを意識した発言です。「自分のスピーチ」や「フィードバック」を受けて「何が問題で、どのようにすれば解決できるのか?」と考えて実際に練習するというところに意図があります。

 また、もう少し補足するとただ音源きいたりしても、レジュメを読んだりしてもそれ単体では意味を持たないというところでしょうか 。

 例えば最近注目のブロガー・京大の横山君が書いた記事で、弱者の遠吠え:「レコーダーはディベーターの必需品?」というのがあるのですがこれも別の観点から言うと「音源を聞くこと」をどのように位置づけるかという話にもなると思います。詳しい内容は僕が書いているより深いのでそちらを読んでほしいのですが、僕なりに「音源を聞くこと」を位置づけると、例えば「自分が苦手なエクステンションの位置づけの仕方を探すために聞いてみる」とかになるかもしれません。まあもちろん、音源自体をそれ目的として楽しみながら聞くのもありだと思うのですが、ディベートの能力向上という観点からみると、自分の過去のラウンドや経験と繋げることは必須でしょう。

 ちなみに補足なのですが僕が好きな音源は、その時研究している興味関心や問題意識、もしくは持っている仮説によって変化しています。(Debate Videoに過去に紹介した音源があります)

 例えばWUDC 2010 QFを紹介した時は、Solidな1st Speaker Argumentation/Initial Clashについて考えていました。「出るべき議論が1st speakerから出ていない」「その話もっと早くほしかったね」というのはDynamics批判としてとらえるのではなく、「やるべきことができていない」と言い換えることができます。しかし、何でもいえる訳ではありません。では強いPMの時って(本来出るべき議論が出ている時)どういう感じなのだろうか。また、それに対応するLOというのはどんな感じなのか、というのを考えていました。
 まあもちろん後は細かいことを言えば僕はこのワールズに出ていて何を言っているか分からないけどとりあえずガングロとか言ってる!っていうところから「うおおおおすげええええ」っていうのになって初めて価値が分かったとか、色々個人的な思い入れとかもあります。(笑)

2014年1月11日土曜日

ディベートにおける「MECE」

ディベートとコンサルティングの考え方は非常に親和性が高いのですが、その中でも一つ有用なフレームワークとして「MECE」があります。経済学部の方はマーケティング等の授業でみたことがあるかもしれません。

MECEとは、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの頭文字をとったもので、日本語で言うと「もれなく・だぶりなく」となります。よくサイトとかでみると「男/女」とか「年齢(0-10/10-20/....)」とか「需要/供給」が例としてあげられています。

参考として、このサイトが分かりやすいです。

「なにかの軸を持って、全体を網羅するような切り方ができているか?」というような観点でみると分かりやすいかもしれません。例えば、「経済活動という観点」で切っているのか、「年齢という観点」で切っているのか、等です。


僕はMECEという考え方がかなり好きで、去年の夏セミナーにおいてもレクチャーの一環で取り入れさせて頂きました。余談ですが、部内でもコンサルタントになったOBOG、もしくは内定者・志望者がいることもあってか、だんだん浸透してきています。


これって実は既にディベートにおいても導入されています。例えば、キャラクターを分析する時にincentive/capacityで切っているのはMECEと言えるでしょう。

incentiveはさらに深堀りすると、プラスとマイナスがありえるため、incentive/disincentiveに分けることができます。

他にもPrinciple/Practicalという枠組みも実はMECEと言えるでしょう。実は巷で言われている話って色々MECEだったりします。



MECEというのは現象をもれやだぶりなく分析するツールですが、もれを避けるのは特に重要です。全体感がある説明は納得がまずしやすいです。(ジャッジがすぐ、他の観点を思いつきやすく、説得力が下がってしまうからです。)

また、オープニングでMECEに分析できれば、クロージングを相当困らせることもできるでしょう。
この逆もしかりで、クロージングとしてもオープニングの話がMECEなのかみれれば、そうでないところを一気にがっと伸ばせば良いのです。



そう考えると、MECEの考え方はまだまだ応用可能性があるのではないでしょうか。
アイディアベースで考えるのではなく、「分析の仕方、本当にMECEですか?」と考えると分析が思いつきやすいですし、ジャッジとしてもフィードバックがしやすくなるはずです。一つの手段として是非使ってみてください。

2014年1月7日火曜日

Video: UADC 2013 Main Grand Final



個人的には、DPMのバレリーと、DLOのケルビンが好きです。
バレリーは馬鹿にしながらのフリップが素敵で、ケルビンは落ち着いたマナーとかっこいい3rdが好きです。
ちなみに一票差でgovが勝ちました

2014年1月5日日曜日

7 suggestions to Promote Adjudicator's Learning Opportunity


現状の問題として、ジャッジがフィードバックを受ける機会が少なくジャッジの成長の機会が少ないことがあげられます。
つまり、ディベーターはジャッジからのフィードバックを受けて今後の改善ができる機会が提供されています。
しかし、ジャッジは点数の評価はされるものの、具体的にどのようなことが必要でどのようにすればジャッジの改善ができるか知る機会が少ないのが現状です。

したがって、以下のシステムを提案します。


(1) フィードバックシートの項目具体化+アクセスの担保
現状のフィードバックシステムだと、点数は分かっても何が必要かというのが分かりづらいです。
そこで、項目を細分化してその点数を公開するのはどうでしょうか。
例えば、現状だと1-10もしくは1-5の評価でReason For Decisionの説明の評価をすることが多いですが、

・【全体的だったか?】ラウンドで起こったことを網羅的に理解できていたか?多角的な観点からラウンドをみることができていたか?(ex. Principle/Practical, Role Fulfillment, etc.)
・【比較ができていたか?】差を説明する際、用いた基準は適切だったか?また、基準下で公平に比較できていたか?
・【具体的だったか?】「説明の深さ」など抽象的な説明方法ではなく、具体的にどこをみたか説明できていたか?

のような項目にしてそれをそれぞれ1-10で評価するのはどうでしょうか。
したがって、最終的な点数としては例えば【全体的6】【比較7】【具体4】のようなかんじに出るイメージです。
また、必要に応じてコメントも公開してもいいと思います。
公開の仕方は議論があると思いますが、タブのようにして出すなり、各自の開示に任せるなりできるはずです。集計が面倒くさい場合、フィードバックシートを直接手渡す(Tsukushi 2009)のもありでしょう。

(2) ラウンドとセットでReason for Decisionの動画
現状JPDUは多くのラウンドの動画がUPされています。それにさらに付け加えて、予選ラウンドにおいてReason for Decisionの説明もUPされると、ジャッジの勉強になるはずです。

(3) ブレイクラウンドのReason For Decisionの公開
ブレイクラウンドの結果発表後、ORに近い部屋で10分程度で各ラウンドのチェアーがReason for Decisionを説明するということです。(録画してUPしてもいいですね。)
ジャッジブレイクしたレベルの高いラウンドのDecisionを聞くことができます。
なおこれは、ADI 2011等で行われていました。

(4) ブレイクラウンドのDiscussionの公開
ブレイクラウンドで行われるジャッジ間のディスカッションの限定公開はどうでしょうか。
情報漏えいの可能性等もあるため、みれるジャッジは例えば初日ジャッジとして参加していた人だけや、または録画して後に公開など工夫は必要かもしれません。

(5) AC見解のASAP公表
早い段階で公開されないと、当日の対策ができる期間が限られてしまいます。
したがって、添削との兼ね合い等もあるかと思いますが早めの公開が必要でしょう。
なお、ここで全体の傾向へのフィードバックもあるといいでしょう。(Spring JPDU 2012、Japan BP 2012、Ryoso Cup 2013等で行われています。)

(6) 各ジャッジテストの添削or簡易コメント
各ジャッジテストに簡単にでも良いので添削・コメントがあってはじめて具体的に気をつけるところが分かるはずです。
なお、Gemini Cup 2011、BP Novice 2011、Autumn JPDU 2012、Ryoso Cup 2012等で行われています。

(7) ディスカッションの様子の動画作成
特にBPにおいて課題になっているのでは、どのようにディスカッションを進めるか、どのように参加していくかというところだと思います。
特に時間が少ない時にどのように行うのか、またチェアー・パネルと役割が違う時に何をすればよいのか分からない人もいるといいます。
JPDUが2012年に行おうとしていましたが、改めてディスカッションの様子の動画があると良いかもしれません。その解説もあるとさらに嬉しいでしょう。


なお、主観的なまとめです。
個別性というのは、各ジャッジのニーズにあったものがどれくらい得られるかです。
みて分かるとおり、個別性を高めようとすると、やはり負担は大きくなります。
しかし、運営に携わる人が多ければ、工夫次第でできなくもないはずですので、検討してみる余地はありそうです。


行う時 個別性 参考度 負担の少なさ 総合的実現可能性 モデル
(1)Feedback Sheet項目細分化 予選 Tsukushi 2009
(2)Reason for Decision動画 予選・決勝トーナメント 一部の国際大会(Vienna IV)等
(3)Break RoundのRFD公開 決勝トーナメント ADI
(4)Break RoundのDiscussion公開 決勝トーナメント
(5)AC見解のASAP公表 大会前 多くの国内大会
(6)各ジャッジテストの添削・簡易コメント 大会前 × △+ Gemini 2011, BP Novice 2011等
(7)Discussion動画 大会以外