2020年9月22日火曜日

WSDC 2020で感じた世界の高校生のポイント

久しぶりの投稿です。

この前WSDC 2020にジャッジとして参加しました。大学生の世界大会であるWUDC以上にジャッジプールの質が高く、あっぷあっぷでした。なんとかSFまでジャッジしてきました。

その中で感じた世界の強豪校の特徴をいくつか箇条書きで書きます。

・フィードバックに貪欲
WSDCはただでさえラウンド後にチームごとに、全ジャッジがコメントをします。もちろんタイムテーブルに余裕があるようにセットされてはいるものの、3人別々の観点からジャッジが入るというだけでも相当大きいです。また、ACから"transferrable skills"に関してフィードバックするように、というお達しもあることから可能な限り一つのラウンドだけではなく、将来も使えるようなフィードバックも求められます。
強豪校であればあるほど、個人のフィードバックに関してもすごく貪欲でした。「すごく良かったよ」と言っても「さらに良くするため、さらにクリアに勝つためにはどうすればいいでしょうか?」という質問が来るのは印象的でした。
また、とりあえず「全部聞く」というのも印象的でした。ジャッジの中では当然Splitもあるので取り方がすごく異なることもあっても、顔に出さず全部メモするのはすごいなと。
日本国内でも、大会では難しいかもしれませんが練習会では特にこういう試合方式が進むといいなと思いました。

・リーダーで決めに来る
今年のコーチ陣がそういうスタイルが多いからなのかもしれないのと、調査型のディベートは特に時間がある(+即興型でも1時間のプレパ時間がある)ことも影響していると思いますが、やっぱりリーダーの出力がいいですね。具体例もそうですし、相手の話のPreemptionもしっかり行っている印象です。まさに80点スピーチ超えのような印象でした。
(ブログの80点超えシリーズはこちらから
改めて80点スピーチづくりのための練習などは有効だと思いました。

・2nd以降は"Why Likely"でクラッシュを勝ちきりに来る
Why likelyで勝ち切るチームが上に行く印象がありました。要は例えばCharacterizationがどちらもありえるとか、シナリオ(良くなるのか悪くなるのかなど)もどちらもあり得るという時に、なぜこちらのほうがより起きやすいのか、という話で決めに来る印象が特に接戦を制したチームではよくありました。
試合では当たり前ですが、早々のことがない限りすぐTieにはならない(こちらのブログ参照)こともあり、しっかり分析の深さでとっている印象が強かったです。この前ToCでシャーミラに言われたフィードバックですが"押し込む"反論が特に日本人のウィークポイントなのかもしれませんのでそこはhorizontalで練習したほうがいいのかもです。
日本国内での対処法としても、ジャッジがそこまで踏み込み続けること(また、ずっと言われていることですが、安易にtieに逃げないこと)は一つポイントかもしれません。

・FailureはExplicitに指摘する
これはやりすぎでは?というくらいに例えば相手のmodelがよくない、コントラしている、個々のメカニズムが無い、というのは(特にアジアの強豪からは)散見されました。ジャッジとしてもそういう勝敗の基準があると入れやすいんだなと。
ただ一方で、「やりすぎ」なチームも散見され、「もうわかったからいいよ」というフィードバックをたくさんもらっているチームもありました。が、日本からすると幾つか引き出しをもって活用するのは勝ちに繋がりそうですね。

・Strategicなチームが多い
WSDCの特徴としてstrategyの項目があることも影響していますが、戦略面でどこを守り切ってどこで勝つかというのが多いような気がしました。一番強い話はsqueezeするという前提ではありますが。ジャッジからのフィードバックも「ここがもっと戦略上重要なのだから反論したほうがいい」のようなフィードバックが良く見られました。もともとシンガポール等はHorizontalな練習が多い特徴がありますが、もっともっとHorizontalになり切るのが重要かもしれません