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2020年9月22日火曜日

WSDC 2020で感じた世界の高校生のポイント

久しぶりの投稿です。

この前WSDC 2020にジャッジとして参加しました。大学生の世界大会であるWUDC以上にジャッジプールの質が高く、あっぷあっぷでした。なんとかSFまでジャッジしてきました。

その中で感じた世界の強豪校の特徴をいくつか箇条書きで書きます。

・フィードバックに貪欲
WSDCはただでさえラウンド後にチームごとに、全ジャッジがコメントをします。もちろんタイムテーブルに余裕があるようにセットされてはいるものの、3人別々の観点からジャッジが入るというだけでも相当大きいです。また、ACから"transferrable skills"に関してフィードバックするように、というお達しもあることから可能な限り一つのラウンドだけではなく、将来も使えるようなフィードバックも求められます。
強豪校であればあるほど、個人のフィードバックに関してもすごく貪欲でした。「すごく良かったよ」と言っても「さらに良くするため、さらにクリアに勝つためにはどうすればいいでしょうか?」という質問が来るのは印象的でした。
また、とりあえず「全部聞く」というのも印象的でした。ジャッジの中では当然Splitもあるので取り方がすごく異なることもあっても、顔に出さず全部メモするのはすごいなと。
日本国内でも、大会では難しいかもしれませんが練習会では特にこういう試合方式が進むといいなと思いました。

・リーダーで決めに来る
今年のコーチ陣がそういうスタイルが多いからなのかもしれないのと、調査型のディベートは特に時間がある(+即興型でも1時間のプレパ時間がある)ことも影響していると思いますが、やっぱりリーダーの出力がいいですね。具体例もそうですし、相手の話のPreemptionもしっかり行っている印象です。まさに80点スピーチ超えのような印象でした。
(ブログの80点超えシリーズはこちらから)
改めて80点スピーチづくりのための練習などは有効だと思いました。

・2nd以降は"Why Likely"でクラッシュを勝ちきりに来る
Why likelyで勝ち切るチームが上に行く印象がありました。要は例えばCharacterizationがどちらもありえるとか、シナリオ(良くなるのか悪くなるのかなど)もどちらもあり得るという時に、なぜこちらのほうがより起きやすいのか、という話で決めに来る印象が特に接戦を制したチームではよくありました。
試合では当たり前ですが、早々のことがない限りすぐTieにはならない(こちらのブログ参照)こともあり、しっかり分析の深さでとっている印象が強かったです。この前ToCでシャーミラに言われたフィードバックですが"押し込む"反論が特に日本人のウィークポイントなのかもしれませんのでそこはhorizontalで練習したほうがいいのかもです。
日本国内での対処法としても、ジャッジがそこまで踏み込み続けること(また、ずっと言われていることですが、安易にtieに逃げないこと)は一つポイントかもしれません。

・FailureはExplicitに指摘する
これはやりすぎでは?というくらいに例えば相手のmodelがよくない、コントラしている、個々のメカニズムが無い、というのは(特にアジアの強豪からは)散見されました。ジャッジとしてもそういう勝敗の基準があると入れやすいんだなと。
ただ一方で、「やりすぎ」なチームも散見され、「もうわかったからいいよ」というフィードバックをたくさんもらっているチームもありました。が、日本からすると幾つか引き出しをもって活用するのは勝ちに繋がりそうですね。

・Strategicなチームが多い
WSDCの特徴としてstrategyの項目があることも影響していますが、戦略面でどこを守り切ってどこで勝つかというのが多いような気がしました。一番強い話はsqueezeするという前提ではありますが。ジャッジからのフィードバックも「ここがもっと戦略上重要なのだから反論したほうがいい」のようなフィードバックが良く見られました。もともとシンガポール等はHorizontalな練習が多い特徴がありますが、もっともっとHorizontalになり切るのが重要かもしれません





2020年4月18日土曜日

"SMART"にディベートの目標を立ててみよう!

全国で緊急事態宣言が発令されてしまいましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
皆さんや、皆さんにとって重要な人たちの健康を最優先で行動してくださいね。
多くのディベートの大会がキャンセルになってしまい、私も残念です…。オンライン化等色々な試行錯誤の中で新歓や練習も続いていると聞いています。

今日は、1人でもできることとして目標設定に関して書きたいと思います。
なんとなく、ディベートが上手くなりたい!

突然ですが、"SMART"の原則を御存じでしょうか?目標設定の際に意識したほうが良いポイントの頭文字をとったものとなります。
グロービスのこちらのページによると下記のように定義されています。

◆要素1:Specific(具体的に)
誰が読んでもわかる、明確で具体的な表現や言葉で書き表す

◆要素2:Measurable(測定可能な)
目標の達成度合いが本人にも上司にも判断できるよう、その内容を定量化して表す

◆要素3:Achievable(達成可能な)
希望や願望ではなく、その目標が達成可能な現実的内容かどうかを確認する

◆要素4:Related(経営目標に関連した)
設定した目標が職務記述書に基づくものであるかどうか。と同時に自分が属する部署の目標、さらには会社の目標に関連する内容になっているかどうかを確認する

◆要素5:Time-bound(時間制約がある)
いつまでに目標を達成するか、その期限を設定する

ビジネスで使われることも多いSMARTですが、私はディベートでも当てはまると思います。私になりに解釈すると、こうなります

◆要素1:Specific(具体的に)
ディベートのどの能力を身に着けるのか、「なぜ?」を最低3回は繰り返して明示化する。例えば、インプットとしての知識×プロセスとしての思考力×アウトプットとしての英語プレゼン力だとすると、その中でも何の知識?どういう思考力?どういうプレゼン力?となるかと思います。ここを深堀りする際には、例えば目標としているスピーチ、スピーカーなどがあるとより“解像度が高まる"と思います
◆要素2:Measurable(測定可能な)
頑張って"数字"にする。それは例えば最終的な"アウトカム(結果)"であるブレイク、スピーカースコア等も良いかと思いますが、それだけではなく"プロセス"(行為)も重要だと思います。知識をつけるのであれば何冊本を読みますか?音源ならいくつ、何時間?英語力だといくつの単語を覚えますか?…等。 
◆要素3:Achievable(達成可能な)
"2重の目標"にすることが重要だと思います。1つは本当に理想の"優勝"のようなものかもしれませんが、1つは今から少しストレッチしたらできるもの。例えばバブルラウンドで負けてしまう傾向にある場合は、それを一つ超えたブレイクになるかもしれません。本等のプロセスであれば、1日にどれくらいやらないといけないか?と割り戻してみるのも重要です(1か月で100冊、となると1日に3冊以上読まないといけませんが、授業やバイト等もあるかと思います。実現可能ですか?)
◆要素4:Related(目標に関連した)
これは、まずは一義的には大きな「ブレイク」のような目標に紐づくようなものなのか、と解釈しています。(すでに強い部分を伸ばしていても関係ない、評価されない点を伸ばしても仕方ない、等)また、最終的に自分がディベートで何を得たいのか、と言う目標とフィットしているかも重要になると思います。
◆要素5:Time-bound(時間制約がある)
それぞれの目標は短期・中期・長期等があるかと思います。お勧めは両方持つことですが、一つ良いのは大会、引退等をマイルストンにすることです。「ジェミニまでにXXする」のような。そこから「では、4月はこういう目標になる」のようになりますね。

せっかくのタイミングですので、SMARTで目標を立てているか、一度見直してみませんか?

2020年3月20日金曜日

家で1人でもできるAsian Style(3 on 3)の練習方法 "2分 Veto練"

コロナウイルスということで、以前よりも練習がしづらくなってきている状態だと思います。

まず、ラウンド以外での練習方法に関してはIndexとして「上達方法(ラウンド外)」とまとめています。色々な記事が纏まっているので、ぜひ読んでください。(ダイレクトな戦線)

今回紹介するのは、Vetoを2分で決める練習です。
(3 on 3でも、HPDUやWSDCのように、3 motionsではなく、1 motion制の大会もありますが、それでも役にたつ練習方法だと思いますのでぜひ)
昔、akが粛々とやっていたりもしました。

【どういう人がやると良いか?】
・Vetoを決めるのに5分くらいかかってしまっている人
・特にHorizontal思考が弱いと思う人
・ぱっとArgumentが出てこないという人
・特に若手(あまり多くのディベートの"パターン認識"をしていない人)

【練習方法】
(チームでやることを想定。個人の場合は、全部下記を1人でやるイメージ)
3 motionsはだいたい5分くらいでVetoを決める、ということが大会では一般的かもしれませんが、これはぜひ、普段は「2分」を目指してやってみましょう。
(海外のディベーターはなんなら2分以前にやってくることもありますね。)
具体的な流れは下記のとおりです。

(1)ストップウォッチを準備し、サイド、モーションセットを選び
UTDS等でAsian Styleのモーションを選ぶと良いと思います。もし、ある程度やりつくしている場合は、適当に2 on 2, 2 on 2 on 2 on 2, (NA/BP等)で3つ選ぶ形でも良いと思います。

(2) 2分で絶対に終わらせる
2分以上伸ばすのはだめです。絶対に2分で終わらせましょう

(3) その後、5分で選ばなかった方のサイド(GovならOpp、OppならGov)でVetoを考える

(4) その後、5分で、最初のVetoの反省に関して議論
具体的には、(a) Vetoはあっていたか?(相手サイドの話も踏まえて良かったか?) (b) (あっていた、あっていない場合どちらでも)これ以上早くするにはどうすれば良かったか? (c)Vetoをうまく決められなかった原因は何か?(各人の考え方?ディスカッション?そもそもVetoの基準がチームとしてなかった?)(d)次はどうすれば良いか?の4点をディスカッション

(5) 時間があれば、先輩や他の人にもVeto及びその理由を聞いてみて、Vetoの仕方に関してアップデートしてみる

(6) 全てのリストアップを見て、傾向が無いか考え、打ち手を考える
例えば、特定のテーマ(宗教等?)のモーションだと遅くなってしまう、というのが無いでしょうか?もしくは、モーションのHardさ/Softさではないでしょうか?

(7) その一つとして、"対立軸"を意識することは有効かも?
その結果としての打ち手は、例えば"対立軸"をしっかりと抑えきれていないHorizontal思考に起因しているかもしれません。
その場合、即興型ディベート初心者へのおすすめの「最初の詰め込み」 ~もし初大会まで5日間しかないとしたら何をするか~の記事にも書いてありますが、大きな対立軸をMonashやJPDU資料等で抑えるのも良いかと思います。

例えば、ある世界大会のGrand Finalist、EUDCのChampionはディベートを結局何種類かにパターン分けしているようです。オーストラリアのディベーターもこういう風に対立軸を意識している傾向があるように気がしています。

以上となります。ぜひ、たくさんVeto練をしてみてください。

2020年1月1日水曜日

ディベートの関わり方を悩んでいる人へ

2020年もどうぞよろしくお願いします!

ディベートの関わり方って悩みますよね。akも何度も悩みました。
長くディベートに携わってきた身としては、ありがたいことに色々な関わり方をさせてもらいました。それをまとめるとこんな風になります。



色々な人が色々な関わり方、まさに十人十色の関わり方があります。
ぜひ、色々な人に話を聞いてみてください。

私の場合はこんな感じです。(少しでもご参考になれば…)

・競技者としては、短い時間でチームメンバーと共に勝ち負けを競う知的スポーツであるところ、前よりできるようになる成長実感が日々楽しみでした。目標とする大会でのブレイク、優勝等は今でも覚えていますし、負けた試合は思い出すと今でも悔しさがこみ上げてきます。

・ジャッジとしても、国内外のディベーターを説得できた時の嬉しさがありました。特に最初は不慣れで、明確にイラジャだったと思います。それがうまくなっていくプロセスも好きでしたし、そもそも色々な話を知ることが好きな私は、「こういう話もあるんだ」「こんなアーギュメント思いつかないな」と感動を覚えました。

・上級生になってから、コーチをする機会が増えてきました。特に大学院になってからはその機会は増えました。ゼミと言う形をとったこともあります。ある時期は、1か月くらいつきっきりで後輩の練習を見ていた時期もありました。後輩の活躍は、自分の活躍よりも嬉しいものでした。

・運営/コミは私よりも上手な人、たくさんやられている方々もたくさんいらっしゃいますが、どちらも有意義で面白かったです。特に若いころにかかわった大会が今も続いているのを見ると感動ものですね。部長時代は仲間と共に過去の先輩たちのレガシーを梃に黄金時代を創ろうとしたこと、色々迷惑もかけましたし失敗もしましたし、当時の自分がイケていない部分はたくさんありますが、当時としてはやり切ったつもりでした。チームでなにかをつくっていく、というのはすごくいい経験でした。

・ディベートの研究は答えがないところにチャレンジする意味でとても面白いですし、社会に広める活動が最近は増えてきました。ディベートの良さ、楽しさをより多くの人が知ってくれるようになれば幸いです。

・また、ディベートの経験をもとに、色々なサークル、仕事等でご活躍している人たちがたくさんいます。akもディベートのAREAやHorizontal思考は特に色々なところで役立つなぁと思っています。

・また、何よりディベートで培った先輩・同期・後輩との関係は何事にもかえがたいですね。ある種の"戦友"ですし、"同志"です。今でも仲良くさせて頂いている方々もたくさんいて、ディベートをやってて良かったなと思います。

2019年9月21日土曜日

久しぶりに大会に出るときに 5つのポイント

久しぶりの更新です。

・就職活動や院試、留学等のため、暫くディベートから離れていた…
・しばらく他のサークルやバイト等をやっていたけど、久しぶりにディベートコミュニティに復帰したい…
・社会人になって集中していたので、しばらくラウンド等もできていなかった…
・一回引退宣言してしまったのだけれども、色々あってディベートしたくなった…

最後のケースはあまり無いかもしれませんが、上の3つはよくあるのではないでしょうか。

私も、就活の時はディベートから一時期離れていたり、社会人になって大会に出る頻度がすごく下がっている時期などが何度かありました。(現に、今年は半年くらい一度もスピーチしていない)

akのやり方がベストだとは思わないのですが、ポイントを5つほどご共有します。

1. 最近のディベートのトレンドが何か、を早めにアップデートする
これは特に半年や1年単位で大会に出ていない場合等はおすすめです。

10年間定点観測的にディベートを見ていても、Practical重視時期、Principleが重視になる時期、特定のディベート用語が流行する時期(mutually exclusive、counterfactual)、特定のスピーチスタイルが流行するとき(詰め込み型、ゆっくり見せる型)、特定のArgumentが流行する時期(social discourse、echo chamber)等色々あります。

その際には、例えば少なくとも
・最近の現役生がACを行っているモーションはどういうのが多いのか?
・最近のBriefingやAdjudication Examでの特徴は何か?
・最近特にみんなが見ている国内外の音源/ディベーターはだれか?
の3つを抑えると良いと思います。

私のように古い人間だとどうしても、2010年頃の世界大会の決勝を見たり、
困ったらSQ, AP, Impactだ!のようになりがちで、
スピ練をするにしても、昔見たことあるモーションに依存するような、いわゆる"comfort zone"から抜け出せていない、ということが知らず知らずのうちにあります。ぜひ私の二の轍を踏まないように…。具体的には、一回現役の練習にも(恥ずかしいですが)顔を出すなども有効です。

2. 一方で、自分が大事にしていた"ディベートの型"を取り戻す

上の話と矛盾するようですが、実はそうでもないです。時代が変わってもディベートで本質的に必要なスキルなどが大きく変わるわけではありません。

例えば結局のところ、私としてはAREAの考え方であるサンドウィッチ式が伝わりやすいというのはディベート外でも積み重なれた理論ですし、
SQ, AP, Impactの話も、近年Impactの概念がメタの話まで入り込んできている、等のチューニングは必要であったり、必ずしも比較対象がSQ, APではないかもしれないが使える部分があったり、
思考方法としてのTBHは、例えばモーションによっての向き不向きはあるものの、引き出しとして有益である部分もあります。

どう頑張っても一気に現役のころのような勘が急速にとり戻るわけではないこともありますが、一方で自分が現役のころだった時、調子が良かった時にどういうことをやっていたのか、その時の80点を取りに行くことは行ったほうがいいです。

その方法ですが、もし現役のころからルーティーンにしていたものがあれば、まずはそれを行ってみるのが良いです。akの場合は「ディベートノート」と「マターファイル」(詳細はこちら)が絶好調の時はほぼ全部頭に入っている状態だったので、まずはほこりをかぶっているそれらを読み返します。

最近は仕事柄英語もよく使うのですが、一時期使わなかったときはシンプルに一回話してみて口を慣らすこともやっています。社会人ディベーターの弁論同好会さんも似たようなことをやっていますね。(記事はこちら)。また社会人の話し方だとゆっくりと前提から話しすぎる傾向がでてくるので、それを短い時間で話す練習とかもよくやります。

現役のころ再現性高められるようにいくつか理論化している人のほうがこの復帰は早いのですが、もししたことがあまりない方であれば、

・自分がうまかったころのスピーチを聞いてみて、今の自分と比べてみる
・昔レクチャーなどをしていたらそれを読み直す、見返す
・どんなふうにプレパしていたかなどを思い出す、昔のパートナーに聞いてみる

あたりがおすすめです。

3. ラウンドはやったほうが良い、できればWhip等ラウンドの後半で、課題を一気に明確化しよう

ラウンド偏重はもちろんだめなのですが、
一方で、ラウンドは何度かやったほうがいいです。

結局プレパ練だと相手が何を言ってくるかわからなかったり、
反論や立論の優先順位のつけ方、
特にBPでの「立ち回り」等は試合をやったほうが早いです。

事実、社会人になってBPをほぼ1回もできずに大会に出ると、
全然Extensionも出せないし、反論の仕方も忘れていてあわあわし、全然パフォームしなかったときとかもありました。お恥ずかしい…。

その時の反省は、スピ練とかだけだと限界があるなということでした。

特に、PMやLOは比較的練習しやすいのですが、
Whip等、ラウンドの後半のほうがより勘が取り戻されやすいのでお勧めです。

また、ラウンドはそんなに何回もできない場合もあるので、
この前QDOのワークショップでEntingも言っていましたが、終わった後のチームメイトとのディスカッションにむしろ1-2時間かけるくらいの勢いで
「何を学んだか?」「何が良かったか?」「何を改善するといいか?」のようなディスカッションができるといいですし、
akもそちらをLINE等含めて行うようにしています。

4. 今だからこそ出せる「強み」にも注目する

ここまで、ややネガティブであったりチャレンジングな話も多くあったかと思います。
正直ディベートで復帰するって色々難しいです。それはすごくわかります。

一方で、実は「強み」もあることを忘れないでほしいです。

例えば院試であれば特定の分野の知識がよりあがっているかもしれない
留学であれば英語力があがっているかもしれない
他のサークルの経験で何か得たものもあるかもしれない
社会人になって新たに得たスキルがあるかもしれない

このように、他の経験を通じて実は新しい「強み」がある場合が多いです。
社会人であると、経済モーションが強くなるとか、よくあるパターンかもしれませんね。

また、シンプルに「久しぶりにディベートを見る」という客観性が
実は新たな戦い方のヒントの着想に繋がることもあります。

中にいたときは気づかなかったが、外から見て気づくことは色々あります。

例えば、私の場合は、イントロの重要性。昔はイントロを省いてでも3つ目のArgumentを言おうとかと思っていましたが、改めてラウンドを聞いてみると分かりづらい、ジャッジとして取りづらいというところがあるんだろうなと思い、イントロにより魂を込めて差別化するということもあるでしょう。

久しぶりに来たことで感じた「違和感」「気づき」は、戦略にも昇華できる余地があるのです。

5. 一歩セットバックして、ディベートでの目標を改めて設定する

また、やや次元が高い話になりますが、重要になるのはディベートに戻って何を得たいのか、というのをはっきりすることでもあるかと思います。

就活から戻ってきた場合は、再度リベンジし、ブレイクや優勝などが目標になるかもしれませんし、
社会人の場合は、取り急ぎ現役のころのパフォーマンスは諦めて、久しぶりにラウンドして楽しさを思い出す、とかもあり得るかもしれません。

また、長期的にみる場合は、取り急ぎ足元の大会では勘を取り戻す、この大会ではSF以上を目指す、等と時間軸をずらすことも重要です。

特に社会人としてコミットする際に「プロディベーター」として時間をたくさん割ける例外的な場合はともかく、
普段の仕事やプライベート、人によっては家庭もある中で現役とただ張り合って優勝しよう、という目標は場合によってはあいにく現実的ではないことも多いです。

akの場合、とはいえ負けず嫌いなので優勝なども含めて目標をセットするのですが、前よりも目標を下げることもありますし、
また、それ以上に「ディベートを通じて(仕事にも活かせる)自分の弱みを改善する」ことに目標を置いてきました。

例えば仕事柄経済まわりや教育周りのインプットが多くなっていた時は、
あえて国際関係等普段見ていないことをインプットすることを目標にしていましたし、

コンサルで必要なロジカルシンキング(MECE等)が弱かった時期は、
それをディベートを通じてアウトプットする、というようなことを目標に置いていました。

また、シンプルにラウンドでのアドレナリンやチームワークなど、場合によっては観光なども楽しいですよね…!社会人になるとより染みます。。。


いかがでしたでしょうか、普段と違う切り口でしたが、
参考になれば幸いです!

2019年7月27日土曜日

「え、何このモーション」となった時に行う6つのこと

久しぶりの更新です。ディベートを長くやっていても、「え、何このモーション」となる時ってあるかと思います。初心者の方にもありがちですが、私も、国際大会を中心に見たことないモーションを見たとき、久しぶりに大会に出たときに最近の流行となっているモーションを見たとき、なります。そのようなときのTipsをご紹介します。

1. まずとりあえず落ち着いてモーションを読む、書く
慌てても逆効果になってしまいます。とりあえず、まずはゆっくりとモーションをもう一度読む、場合によって実際に書く、ということを行います。
また、私は「難しいモーションの場合、相手も焦っているはずだ」と思うことにしています。テストで難しい問題ができたときの「他の人もきっと解けないはずだ」精神かもしれません。ディベートは相対的に上回れば勝ちにはなるので、落ち着くことが大事です。

2. 何が、「何このモーション」と思ってしまった理由なのか考える
このような状況に追い込まれる際には幾つかのパターンしかないはずです。
① 単純にモーションに書かれている言葉やコンセプトを知らない
(例えば、アフリカのこの国のこういう部族、最近あった具体的な人名等をみて焦ることがあるかもしれません。)
② モーションのワーディングの関係で、意味がすっと分からない
(特に長文である場合、構文が一瞬理解できない。日本のディベート界であまり見ない表現が急に出てくる、等もあるかもしれないです。よく「あるある」だとlift sanctionsってあれ、どっち、となる方が多いとか。)
等はよくある場合ですね。その原因が分かると落ち着いてその対応策を考えられるので、便利です。

3. 分からない場合は早めに他の人に聞く
プレパ時間はあまり長くなりません。まずはパートナーに素直に「分からない」と言うことを伝えましょう。私がディベートの大会に出るときは最初にそういうルールをつくっておくこともあります。意外とパートナーが冷静でよく知っている場合があったりします。また、AC陣(Chief Adjudicator, Deputy Chief Adjudicator)等モーションの意味を聞きに行くこともできます。

4. 思考方法を意識的に切り替える
TBH思考法は、それぞれに得手不得手があります。(意外と知られていないかもですが。)したがって、チームとして普段行うプレパでない形で考えるのも時には重要です。例えば、ボトムアップ型のディベーターの場合、具体的なキーワードを知らない場合パニックになってしまうことがあります。その場合は「抽象的に考えると、これは結局政府がどの程度介入するのかって話かもしれない」「ある種、経済対環境の対立なのでは?のように、1st Principleから考える、などが有効になるかもしれません。議題によっては、片方のチームはよく分かる場合もあるので、Horizontalに切り替えることも有効です。
(思考法に関しては、概要としてのこの記事や身に着ける方法としてのこの記事などが参考になります)

5. 完璧を捨てる
最後に、1でも少し触れましたが、ディベートは相対的に上回れれば勝ちです。また、毎回自分の最高得点の更新を狙う必要もありません。私もジェミニのときは、分からないモーションが出たとき、Matter 4点 Manner 5点(今でいう、65-85点の間であれば、67点とかに相当)で辛勝したこともあります。2nd Speakerが話す3rd Argumentがないこともあります。(あるMDO EFL Championのチームは、何度か3rd Argumentが無い状態に陥ったようです。笑)普段と違うパフォーマンスではあるものの、Harm Minimizationを行う、のがテクニックです。

6. ラウンド外で、冷静になってPDCAを回す
試合が終わった後、「なんでこうなってしまったのか」という反省を基に、PDCAサイクルを回すことが重要になります。例えば単純な苦手分野の場合はそのリサーチということになるかもしれませんし。即興型ディベートは多くの議題に触れないといけないことから、議題の選び方から工夫したほうがいいかもしれません。(詳しくはこの記事参照。)

2019年5月3日金曜日

"戦場"としたいイシュー、選んでいますか?

令和になりましたね。皆さんいかがお過ごしでしょうか。

今日はディベートの戦略のヒントとなることに関してお話したいと思います。

突然ですが、皆さんは「"戦場"としたいイシュー」を選んでいますか?
それとも、取り急ぎ思いついた幾つかのイシューやアーギュメントを出していますか?
(※ イシューは、取り急ぎ相手から反論もされる"観点"、"Clash point"と同義だと思っていただいて構いません。)

最初のうちは思いついたイシューでの「ごり押し」でも勝てるのですが(何を隠そう私もそのタイプのディベーターです…)上手い相手になると、どのイシューを選ぶのか、所謂「イシュー・セレクション」が重要になります。(TBH思考法でいうHorizontalの話かもしれません。)

1. なぜ"戦場"としたいイシューが重要か?

少し話を抽象化して、「勝てる土俵を選ぶ」という表現はご存知でしょうか?自分に有利となるような分野であったり、テーマであったり、"モノサシ"であったり、色々あるかと思いますが、どこで戦うかが重要だということを表しています。

ディベートの各議題において、Gov/Oppが公平だということは、つまりは「Gov、Oppどちらにとっても有利な土俵が存在している」という意味でもあります。

より卑近な話で言うと、かなり相手から反論"されづらい"、とても強いイシューがあり得ます。説明責任も軽く、直観的(Intuitive)な話が多いかと思います。
例えば、THW mandate organ donations after death.というようなモーションで、Governmentで臓器不足が一定解消され、命が助かることはOppositionとしては戦えはしますがなかなか反論しづらいでしょうし、THW ban cosmetic surgeryのOppositionで、奇麗になれる、嬉しい、というような話も強いかと思います。

もちろん、それぞれそのような強いIssueへの対応策は諸々考えるのですが、「勝てる土俵」(≒戦場としたいイシュー)かというとそうではなく、「不利な土俵」(≒戦場とはしたくないイシュー)であることは間違いありません。

必死にミクロな反論を4-5個うったところで、「弱められてはいたが、残った」(≒mitigatoryだった)と評されることが多いかと思います。結局Closeになっても勝てない、というのはこれが原因だったりします。

2. "戦場"としたいイシューはどのように見つけるか?

では、どのようにして戦場としたいイシューを見つけるのでしょうか?

第1に、自分として"戦場"としたい基準を幾つか持っておくことが重要となります。これは、前述したような、説明責任の軽さや、直観的か否かということが基準になり得ます。Moral High Groundをとれるか(≒聞こえの良い話ができるか)、というようなものも直観的の一要素かもしれませんがあるでしょう。場合によっては、自分が知識的に知っている分野であったり、自分の信条とフィットしており話しやすい、というようなこともあるかもしれません。いずれにしろ、まずは議論単体であったり、あなたの強みと照らし合わせて考える部分が存在します。

第2に、相手に「反論されづらい」かどうかを見る必要があるかと思います。ここでは、自分の話に対して相手がどのように反論してくるか、何度か行ったり来たりすることがオススメです。どのような角度から来ても、そこそこ残りそうな話であればそれを"戦場"として相違ないということかもしれません。

第3に、あくまでこれは「相対論」となるので、他のイシューと簡単にでも良いのでスキミングできると良いです。つまり、複数イシューがあり得る場合はその中でもどれが強くなりそうか、という比較になり得ますし、相手が出してきそうな最も強いイシューと同じなのか、そうでないのか等も勘案できるとベストです。

3. どのように自分の"戦場"に持ち込むか?

ここまでくると、どの戦場で戦うかは分かったので、次は実際にその戦場に持ち込む必要性が出てきます。ここはある程度ケースバイケースではあるものの、例えば下記のような戦術が考えられます。

(a) その"戦場"に時間をかける
分かりやすい話かもしれませんが、1st Speakerの最初のArgumentから含め、スピーチのエアタイムを増やすことは一つできることかと思います。ジャッジとしても無視しづらいので。そして単に同じことを繰り返すのではなく、ロジック、例等可能な限り強めます。これをある種"squeeze the argument", "leverage the argument"というような表現を海外勢はしています。最大限活用するということかと思います。
(なお、ただし、結局のところArgumentは量×質なので、質があまりにも悪いとジャッジとしても判断してくれませんが…。)

(b) その"戦場"がなぜ大事か説明する
"This debate is about..."というようなフレーミングが一時期流行していましたが、このイメージです。なぜ話しているIssueが最も重要なのかを明示的に説明することが一手となります。結局はこのtradeoffが普通だよね、というSpirit of the Motionや、Core Issueに近いことを示すことであったり、相手の話を踏まえて"このイシューが最も重要だよね"ということを明示的/暗黙的なコンセンサスだとしてしまうパターン等諸々あります。

(c) 相手の"戦場"が関係ない/重要ではないと言いに行く
なぜ相手の話が重要ではないか、ということを示しに行くことも一つの戦術となります。明らかに関係ないよね、インパクト小さいよね、Exclusiveじゃないよね、Set-upと関係ない話をしているよね、等色々あるかと思います。

4. どのように"戦場"選びを型化していくか?

これらを一過性の取り組みとしないためには、幾つかの方法論があります。

・プレパの一つの問いにしてしまう(例えば、以前プレパ・シートについて書いたかと思いますが、ポイントとなるのは思考を走らせるための問いなので、そこに入れるのが良いかと。)
・"戦場"の基準を精緻化していく (2.の話ですね。これは、例えばうまいディベーターがどのようなイシューを最初に選んでいるのか、ジャッジがどのようなイシューでVoteを決めたのか、というようなところから考えるのも一手となります)
・大きな対立軸(≒Cookie Cutter)とセットで覚える (こちらの記事でも書きましたが、「大きな対立軸」っていくつかあります。結局はトレードオフがある程度ディベートは不可避なので、例えばRetribution vs Rehabilitation、Economy vs Environment等、幾つかのパターン認識を持つというのも効率的です)
・"戦場"選びに失敗したパターンのストック (akもよくやるのですが、なぜ失敗したのかを深堀りします。自分のバイアスが入りすぎた、相手に細かく対応しすぎた、等幾つかの恥ずかしい失敗事由にたどり着きます…)


いかがでしたでしょうか。ぜひ"戦場"としたいイシューを正しく選んでくださいね!

ーーー
主要記事まとめはこちら

2019年2月24日日曜日

Point of Information (POI)の4類型

Point of Information (POI)は即興型ディベートの醍醐味ともされています。競技ディベートの観点では、勝敗を分けえる理由にもなります。(例えば、私はある大会の決勝でPOIのやり取りの関係で優勝を逃したこともあります…)

一方で、POIに関するフィードバックはコミュニティとして少ないかと思います。この前のTitech Cupであるジャッジの方にPOIの話を(おそらく10年目で初めて)され、そういえばPOIに関して体系的に考えたことはあまりなかったな、と思い記事にしてみようと思いました。

私はPOIは4類型あると思っています。下記の4点です。
1. Clarification (確認)
2. Reminding/Hinting your argument (議論の提示)
3. Failure(相手の議論の欠点の指摘)
4. New rebuttals(新しい反論)

ak的には、幾つかのポイントがあるかと思います。

1. 4類型を引き出しとして具備せよ
POIは例えばこの4類型あるんだな、と自覚しておくことにより戦略の幅が広がります。つまり、「今はこのPOIのほうが有効だな」と言う風にケースバイケースで判断することにもつながりますし、場合によっては自分のPOIが偏っていることに気づくこともあります。まずは、自分として4つとも使いこなせるようになっておくという意識からスタートしましょう。

2. Clarificationは、最低限にすることが原則(他の3類型を基本は優先)
ただ単純な聞き逃しへの対応としてのClarification(これも定義に入りますか?等)はしっかりチームとして聞きましょう、ということに尽きるので割けるようにしましょう。どちらかというと、例えば定義が広くなり得る場合に確認し自サイドの議論を立たせようとするための確認であったり、Stanceをとらせることによって相手のケースの一貫性をつく/相手の説明責任を増やす、のような戦略的な面を除いてあまり有効ではない気がします。行うとしても1st Speaker相手かと思います。

例えば古い例で恐縮ですが、WUDC 2010 QFのTHW ban procedures that alters racial appearance.というようなモーションで、OGに対してCOはHow is this different from gender reassignment surgery?のようなPOIをしていたかと思います。これはOGが他のProcedureとの差分を説明することをある種強いているかと思います。ただ、BPという性質上、あまり議論を出しすぎるとOOに取られてしまうというなか行っているPOIだということに留意は必要です。

3. 自分が直接的に反論できないときはNew Rebuttalsを使え
AsianであればOWが新しい議論を出してきたとき、BPであればOpeningがClosingに対してであれば④のNew Rebuttalsが有効になり得ます。

特にBPであれば、直近のChina BP 2018のSFで、あるチームがOOで、CGと競っている際に、COがCGのコアとなる議論に反論していませんでした。その際GWに対してOOが直截的に反論し、それに対して対応できなかったCGを落とす理由になるなと思いながら見ていたところ、世界大会のDCAも含む他のジャッジも重くとっており、OOが上になりました。

直近のAsianのシーズンにおいても、OWで一気に議論を出される際に競っている場合はひっくり返し得る大きなファクターとなるのでぜひ活用しましょう。

4. これらの4類型は組み合わせも可能
必ずしもすべてのPOIがこの4つのどれか、というわけではなく、重なる部分もあります。便宜上分けていますが、例えばComparison的なPOIだと②と④が混ざるかと思います。具体的には、We told you the argument of X, how is this more important than Y in terms of utility?のようなPOIであれば、反論しながら自分の議論を押していることにもなるかと思います。

また、自分がすでにはなしたArgumentに対して反論が来ており、それに対する再反論で例を一つ入れ込む(直近ですと、Macau Tournament of Champions 2018のOGのImranがCOに対して行っていたような、他の国の例が当てはまらないというような反論)は、④にあたりつつも、②にも一部あたるようなものとしても捉えられるかもしれません。


以上、なかなか学ばないPOIに関するエントリーでした。

2018年11月11日日曜日

その練習、ボトルネックを解消していますか?

1. ボトルネックとは何か?
突然ですが「ボトルネック」という言葉を御存じでしょうか?
ググるとこの定義が分かりやすかったので引用します。
「ボトルネック」とは作業やシステムなどにおいて能力や容量などが低い、または小さく、全体の能力や速度を規定してしまう部分のことを指します。つまり、「ボトルネック」は全体の能力や成果に影響する問題となる要因です。 
大きなボトル(瓶)でも通り道が狭いネック(首)になっていると、一定時間当たりの出る液体の量は少なくなってしまいますよね。「ボトルネック」は、この現象に由来してさまざまなビジネスシーンに利用されているのです。
(参照:https://gakumado.mynavi.jp/freshers/articles/43640)

上の定義にもありますが、ボトルって通り道が広いところと狭いところがあります。全部広ければ一気に水はだーっと出るのでいいのですが、狭いところがあると少なくなってしまいます。その狭いところを広げることを「ボトルネックを解消する」ということとイコールになります。

コンサルティングでも「今の問題のボトルネックは何だろう?」という問いがよくされます。最も効率的に問題を解決しようとすると、「一番影響する原因」に対する処方箋を考えるのが良いからです。これは、特にヒト・モノ・カネや時間が有限である際にとても重要な考え方となります。資源があれば全部できるのですが、そうもいかないからですね。

2. ディベートでも重要なボトルネックの概念
そしてこれはディベートにも応用することができる考え方です。特にディベートは多くの人が長くて4年程費やすことがありますが、365日フルであるわけではありません。大学の授業はもちろんとのこと、他のサークルやバイト等も考えると時間はどんどん限られてくるからです。

今あなたがやっている練習法が「ボトルネックを解消しているか?」という点で見直してほしいというのが私のメッセージです。

凄く言い方を悪くすると「非効率的な努力」に時間を費やし、その結果としてなかなかディベートがうまくいかない、という現象に陥ります。「たくさん練習はしているつもりなのに勝てない」「あんなに練習したのにスピーカースコアが伸びない…」という悩みはないでしょうか?実は私もありました。

3. ボトルネックを解消できていない練習例

練習例1:ラウンド依存症
分かりやすいのはラウンド練にのみ傾注しているパターンです。何度もこのブログでも取り上げているように、ラウンドはある種総合練習であり、特定の能力を集中的に高める上では向いていません。これが「(想定外なことが起きそうな)具体的なラウンドでの立ち回りができない」「最近のディベートやジャッジのトレンドが分からない」というのがボトルネックなのであれば最適な練習なのでしょうが、そうでない場合はラウンドばかりやることは向いていないでしょう。

(Debating Cycle Theoryを見ても「ラウンド外」に注目する必要がありますし、どうすれば、上手くなれるのか? -"成長エンジンの設計方法"-でもラウンド依存症が陥りがちな罠としてご指摘させて頂いております。)

練習例2:「とりあえずIR」のリサーチ
他にもよくあるパターンは、とりあえずリサーチ=IRという等式に基づくことです。確かに、IRはできなかった時のインパクトが大きいためIRのリサーチは行いがちです。ですが、これはボトルネックなのか?というのは2つの問いが必要となります。

I. 知識不足と考えた際に、それはIRが最もボトルネックになっているのでしょうか?
例えば、IRは「大会でよく出るのか?」×「あなたが知らないのか?」の2軸で考えた際に最も優先順位が高いものでしょうか?
例えば、akの調査によると、最近の1年生の全国大会でIRの頻出度は11位です。もちろんこれだけで判断するのは浅はかですが(ACの傾向や近年のトレンド等、勘案すべき点は多数あるので)もし、政治、社会的弱者に関する知識が不足しているのであればそちらのほうがより「ボトルネック」ではないでしょうか?


(参考:【即興型ディベート部のマネジメント】練習における議題の選び方)

II. そもそも、私はディベート力は大きくは「インプット(知識)」×「プロセス(思考法)」×「アウトプット(英語プレゼン力)」で構成されていると思っています。(厳密には色々他もありますが)
これは一種ボトルネックを特定するフレームワークとして活用できます。

換言すると、何がボトルネックになっているのか、ということをアセスメントできるのはこういう問いができます。
・議題に関する知識が足りない?
・思考力が弱い?
・英語プレゼン力が弱い?

すなわち、ここで実はあなたはそこそこ知識はあるものの、実はそれを短時間でArgumentにする「プロセス」が弱いかもしれません。またはArgumentやRefutationも考えられているのかもしれませんが、英語力が追いついておらずスピーチに反映されていないかもしれません。正しくボトルネックを解消できていない典型例になり得ます。

4. どうすれば、ボトルネックを解消できる練習方法を立案できるのか?

すこし答えを頭出ししていますが、下記の3ステップをおすすめしています。

Step 1: ディベート力の「全体像」を考える
私は「インプット(知識)」×「プロセス(思考法)」×「アウトプット(英語プレゼン力)」が全体像の一つの切り方だと思いますが、他にも「プレパ(個人)」「プレパ(チーム)」「相手のスピーチを聞く」「自分のスピーチをつくる」のように時間軸で全体像を捉えることもできるでしょう。
さらに一段解像度をあげれば、「知識」も、CJS、経済、IR等たくさんあり得ますし、「思考力」もTBH思考法に分けることもできます。
(なお、思考法に関してはこちら、プレゼンに関してはこちらも参考になるかと思います)

Step 2:その中でも特に自分に欠けているものは何か原因を考える
これは、チームメイトやジャッジなどからのフィードバックをたくさん得ることも大事ですが、それらをもとに「なんで勝てないのか?」「なんでうまくならないのか?」という問いを繰り返すことが重要です。
なお、この際コーチを依頼することも効率的です。僭越ながら私の例では、チームとしての思考法の部分をボトルネックと特定し、過去にプレパ・シートを提案したことがございます。

Step 3:実際にそのボトルネック仮説に基づいて練習を行い、成果が出ているか確認する
その後はいったんJust Do Itという世界にもなります。
実際うまくなっているのか、というところを何かしらの方法で「見える化」していくことが重要になります。
分かりやすい指標は勝率やスピーカースコアになるかと思いますが、色々あり得るかと思います。
成果が出ていないのであればボトルネックが違う、もしくはボトルネックは正しく特定しているがアプローチが異なるのどちらかになりますので、それを修正していくことになります。

いかがでしたでしょうか?
ぜひ「ボトルネックを解消している練習」を毎回行ってくださいね。

2018年10月7日日曜日

akが見た世界トップジャッジ陣のトレンドと、日本のディベート観との比較

今年はKyushu Debate Open、Macau Tournament of Champions、China BPと3つの国際大会に参加しました。

その中で、ひたすらに海外のトップディベーター(近年/今年の、WUDC CA/DCA、Champion、Best Speaker、Australs CA、Champion等)にジャッジされたり一緒にジャッジしたりした中で、akが重視する傾向にあるなぁと感じたことを書いていきます。

(最近国内の大会に顔を出せていないので、日本でもこのトレンドがあるのかもしれませんし、サンプル数は25位なので十分に優位なのかもわかりませんが、ご参考になれば幸いです。また、これらは「近年」重視されはじめたのか、前からなのか、等のところは分からないというところも断っておきます。ややcontroversialになるかもと思いながらも、議論するきっかけになれば幸いです。何かご質問などあればいつも通り当然どうぞ!)

1. Argumentの強さを測るのはWhy true?とWhy important?の2つのレンズ
こちらのMDGによる有名なビデオにもありますが、基本的にArgumentはこの2軸で評価されます。(この2つの掛け算によりArgumentの強度が決定される)

Why true?というのは、akの解釈では、いわゆるメカニズムと呼ばれるような"how"(なぜ起きるのか)が中心となると思います。これは、モーションに関連性の高い(Relevantな)5W1Hにより「なぜ特定のことが起きるのか」というのを深く説明できるか、だと思っています。(なお、Secondary Mechanismの重要性はこちらの記事で書いています)

Why important?というのは、絶対的Impact/相対的Impact両方になるかと思います。(これも同じくこちらの記事で書いています)なお、所説ありますが、特にPrincipleとしてのWhy important?の説明は特に日本勢は下手な傾向にあるのでは?とある海外ディベーターに指摘されたことがあります(大きな主権とか自由とか、正義とかです。)。

事実、直近のChina BPでも、例えば「OpeningはWhy true?はあったけどWhy important?がなかったよね」だとか、「ClosingってWhy importantが無かったから評価できないよね」というコメントが多々存在しました。

なお、これを日本のSQ, AP, Impactと対比してみると、基本的なフレームとしては悪くないのかもしれません。いわゆるWhy true?はSQ, APの説明にあたるかもしれないので。ただ、昨今盛り上がっているSQ, AP, Impact批判論にあえて乗っかるとすると、Why true?を証明する一手段としてのSQ, APのフレームワークとして位置付けるほうが良いのではないか、と個人的には思っています。

なお、ジャッジをしていると「どんなArgumentであってもこの2軸で判断すればよい」と思えるようになるので、よりシンプルにかつ感覚にあったジャッジができたような気がしており、個人的にもお勧めです。フィードバックでも"Why true?というところは例えばX. Y, Zと証明していたけどWhy important?が抜けていたよね"というほうが、海外ディベーターの納得度も個人的に高くなっているように感じました。

2. Counterfactualとの比較でWhy true?を証明
Counterfactualという言葉が最近流行っています。ジャッジでもよく聞きますし、ディベーターも「OGはCounterfactualがなかった」というようなFailure指摘をするようにも増えてきているように思えます。直近でもMacau Tournament of ChampionsのOW(GF Best Speaker, Champion)は1st ClashをOG's missing counterfactualと明示して笑いもとっていました。

Counterfactualは直訳すると「反事実」となりますが、akの解釈では"what would the world look like in their/our world"的に、「もう一方の世界観」だと思っています。例えば、THS the dominant narrative of Xの場合、「Xがdominant narrativeな世界」のcounterfactualは「そうでない世界」になりますが、それは例えば「Xが1 narrativeとなっている世界」もしくは、「Yがdominant narrativeになっている世界」になり得るかと思います。

これを日本の今までのSQ, AP論に当てはまると、SQのcounterfactualは例えばAPにはなり得ることはあると思います。一方で、毎回そうとは限らない(分かりやすいのはcounterplanがあるとき)ので、万全なフレームワークではないのでしょう。特に、Policy MotionではなくAnalysis Motion (THS, THR,等)のときはさらにそうかもしれません。

なお、China BPのBriefingでもAnalysis Motionでは「We need to describe and justify how an alternative world would look」と言っているので、counterfactualがなぜ起きるのかという説明も必要になる(Why true?の説明は当然必用)ことだけ留意ください。

感覚的ですが、本当に多くのジャッジ陣がRFDでも使うことが増えてきているなぁと思ったりしているので、ディベーターとしてスピーチで使うだけでも「おっ」と思わせられるかと思います。事実、China BPで3日目に大きく点数を伸ばしたThe Kansaiチームは、OFも"counterfactualがない"とスピーチにねじ込んでいたところを見ると、アジャストしたのかもしれません。

さらに日本のコンセプトに近づけて論じると、Oppのcounterfactualでは実際もっと悪くなってしまう、という考えだけを見ると、いわゆるBlack Marketの考え方の構図に近いのかもしれません。

3. Mutual Exclusiveであれば、一気に相手のWhy important?を弱体化
ここ数年流行っている概念の一つはMutual Exclusiveかどうかです。Mutual Exclusivityとは、Gov, Opp 2つのModel/Paradigm/Worldにおいてどちらかだけに排他的に存在するか?と問いかけている概念です。要はGov or Oppだけで起きるのか、Gov, Oppどちらでも同じくらい起きるのかという2パターンあるうちのどっちなのか、もし前者であればArgumentとして重要だし、後者であれば重要性ががくっと下がる、というものです。これは上記のWhy true? important?にのっとると、仮にimportanceもめちゃくちゃ説明していたとしてもnot mutually exclusiveということを証明できれば一気に弱くなる、という位置づけになるかもしれません。

もちろん、どのようにExclusiveになるのか/ならないのかというのはディベーターの説明に依存し、何ならそこが論点になることもある、というような感触を得ました。

日本での示唆ですが、反論の型の一つにIt is not mutually exclusiveという型を入れ込む、というのもアリなんじゃないかなと思っています。

なお、余談ですがあるアジアのトップディベーター曰く、この概念はここ数年のトレンドだとか。でも結構アジアでは前から聞いていたような気もしているし、Tateとかも"non-contentious"という反論も結構打ったりしていたなとも思ったので、もしかしたれあHorizontal思考のトップディベーターの中ではずっと概念としてはあったがそれが定着した、ということなのかもしれません。

2018年6月25日月曜日

ディベートを辞めたくなったあなたに4つの問いかけ

他の部活と同様、ディベートを辞めたくなる時ってあると思います。特に、ディベートは辛い時期があります。
ak_debateもそうです。特に全然伸びずに自分はディベートが向いていないんだなと日々思ったときは何度もありました。他のサークル活動と比較したこともありました。"引退"として、9ヵ月間一切ディベートの大会やイベントに出なかったこともありました。

ディベートを辞めたくなる理由は人によりますが、結論として辞めるのもありですし、距離を置くのもありですし、またはがむしゃらに再スタートするのもありだと思います。私は以下のような4つの問いかけをさせて頂くことが多いです。

1.改めて、今ディベートを辞めたい理由って何なんだろう?
 まず、ここの言語化はかなりつらい部分もあると思います。感情の吐露にもなることが多く、akも過去に紙にがーーーっと書き殴ったりして無理やり思考を言語化したり、多くの先輩を捕まえては愚痴を聞いてもらったりしたこともあります。
 これを考える上では、いつごろから辛くなったのか、もやもやしたのか、そのきっかけは、等を考えることが多いです。そしてそれはなぜか、というのをWhyを繰り返しながら考えていきます。
 その結果として、辞めたい理由を分類します。例えばそれがディベートの競技に起因するものなのか、コミュニティに起因するものなのか、もしくは一時的なのか恒常的なのかなどが分かってくるかと思います。これが例えば結構競技・コミュニティ両方にまたがり、恒常的なのであればもしかしたら辞めるという選択肢が現実的になってくるかもしれません。
 そしてその原因を考えます。例えば競技だとしたら何でうまくならないのか、のようなことを考えるわけです。その結果として原因が自分でどうしようもないものとどうにかしようのあるものにも分かれてくるかと思います。自分でどうにかできそうだったらそれを解消する、とかになるかもしれませんし、逆にどうしても解決できないとかであれば諦めるとかかもしれません。
 
2.ディベートをやりたいと思ったきっかけって何なんだろう?やりたいと思った瞬間は何だろう?
 ディベートを始めたきっかけって人それぞれだと思います。また、やり続けようと思った理由もそれぞれだと思います。どういうところが楽しいと思ったり、感動したり、心が動いたりしたのでしょうか?
 これも、競技やコミュニティの話になるかと思います。akの場合は先輩が色々なアイデアをポンポン出せることに感動していたり、英語力を維持したいなと思ったりしていたのが最初で、それが徐々に人の成長に寄り添える喜びなどに代わっていきました。特にakゼミ等のコーチを通じてそれを感じました。理不尽さ、不条理さをなくしたいという自分のミッションにミートする部分が多いと思ったのもあると思います。最近は色々アカデミックな面やディベート初心者向けへのチャレンジ環境も魅力的ですし、OBOG会をはじめとした組織運営も非常に楽しいです。それら関係なしにかけがないの無い友人が属しているというのも大きいかと。

3.例えば、これから1年、2年とディベートを続けたとするとどういう未来が待っているのだろうか?自分は将来どうありたいのか?
 この問いも重要です。時間は有限のため全部やることはできません。どうしても何かしらの優先順位もつけないといけなくなります。
 個人的な所感ですが、競技ディベーターとしてトップを目指してコミットすることはその分かなりの時間的投資を要することにはなるかと思っています。何ならコスパが悪いと評している人もいます。思考力・知識・プレゼン力を上げていく必要性がありますし、当然これはコミュニティが成熟すればするほど相対的に満たさないといけない水準もあがっていきます(=競争は激化します)。もちろん例えばそれがそういう優勝というような結果ではなく、あくまで自分のディベート力を身に着けたいというような教育的意義であれば、その目標が達成されるまでかもしれません。
 ちなみにakは社会人1年目はディベートを"引退"していました。その最大の理由は、私がそんなに器用な人間ではないということと、自分の将来である理不尽さや不条理さを解決したいというミッションに照らし合わせたときに、明確に職業上得られるスキルをつけることが優先順位として高くなるからです。いくらディベートと社会人スキルの一部が重なるとはいえ、未知のスキルのほうが多い中、新しいスキルを身に着けるというのはかなりチャレンジングでcomfort zoneからも抜けないといけません。うまくバランスをとれる人ならともかく、ある種、やり方もわかっているディベートに行くことをakの場合"逃げ道"としてしまうことがありそうだと私の場合は判断し、あえて"引退"にしたわけです。(もちろんもっと器用な人とかはうまくできるでしょうし、これは決して社会人ディベーターを批判している意図では当然ありません)。今は改めて足りないスキルを訓練したり、またはコミュニティビルディングやディベート普及、教育や研究等別の理由があるため"比較的"適度な距離感をもってディベートに携われるようになりましたが、最初からやっていたらできなかったと思います。
 他にも、学生時代から院の研究が忙しい時期、就職活動の時期などはあまりディベートしませんでした。あとはその意思決定はしませんでしたが、他のサークルに入る、だとかをしていたとしたら(ちなみに2年くらいまで2つくらいサークルはやっていましたし、イベントとかはM1とかでも私は出ていました)さらに競技の優先順位は下がっていたかと思います。ディベート以外のコミュニティや活動も当然魅力的なので。
 ネガティブなことをかなり書きましたが、もちろん一方で、ディベートで継続的に得られる短い時間での思考力や、勝つために必死に得られる知識、人を説得するという汎用的なスキルが身についていく様や、それ以上にコミュニティのあったかさなどはとても魅力のため、そこに居続けるという未来もわくわくするものでもあるとは思っています。

4.これらの結果、ディベートとどう向き合うか?
以上の3つの問いに答えると、おのずと今後どうするかというオプションが見えてきます。それは例えば下記のようなパターンになり得るかと思います。

・ディベートに起因しないような一時的な悩みだったのでとりあえずまた明日からがむしゃらに頑張る
・ディベートに起因する問題であり、それを解決できるようにする(例:XXの観点から伸び悩んでいたのでそれを伸ばすためにYYをする)
・しばらくディベートをやった結果の燃えつき症候群だったのでしばらくディベートから距離を置く
・他のやりたいことがあるのでしばらくはそちらを優先する
・ディベートをきっぱりやめて、別のことにコミットする

私自身、この4つの問いは定期的に考えます。どのような選択肢を選ぶのかも、あなた次第だとは思います。ただ、この4つの問いを考えてみると、思考が一歩前進するかもしれません。

2018年6月22日金曜日

大会直前の準備方法

大会直前って不安ですよね。最後の2-3日にak_debateが何をやっているのか、4点ご紹介します。

その1:
「大会中に意識すること」を書きだすリストを最終化します。これは「イントロを短くする」「Intuitiveなイラストをする」とかが5個くらい並んでます。大会中には必ずプレパ用バインダーの一番下のページにおいて、何度も見返しています。

その2:
今までのラウンドの復習をします。やった練習を思い出して、こういうこと言えたなぁというディベート各論的なことであったり(ディベートノートを更新する)、スキル的にこういうことがうまくなったなーとか学びを棚下すイメージです。新しいことよりも定着重視です。新しいことをやり始めちゃうとなかなか一気に習得できないんで。

その3:
自分のディベートの調子を最大限に高める工夫をします。ディベート10年目でもいまだにやっているのは、自分がお手本にしている、こういうスピーチをしたいなという有名音源を聞いてイメトレしたり、調子が良かった時の自分を聞いてモチベートしています。仮に直前で調子が悪かったとしても、寝て切り替えるくらいの勢いです。

その4:
そして最後に、身体的なコンディションを整えることを最優先します。結局持っているスキル・やる気がいくら高くても体調が悪いと元も子もないので、ゆーっくりお風呂に入って、好きな音楽(僕の場合いきものがかりとか)聞いてリラックスします。

少しでも参考になれば幸いです。Good luck!









主要記事まとめはこちら

2018年5月6日日曜日

後輩と組む時に ~akが考えていたこと、やってもらえて嬉しかったこと~

皆さんGWはいかがお過ごしでしょうか。
エリザベス杯に残念ながら間に合わなかったのですが、akが後輩と組む時に気を付けていたことを知りたい、というリクエストを頂戴したので書いてみます。
akも色々な先輩と組ませて頂いた中で、やってもらって嬉しかったこと+やろうとしていたことを取りとめもなく書かせてください。

(ここでの前提は、先輩ということで一定程度ディベートの能力・経験は比較的高い、ということにしています。毎回そうとは限りませんが…笑)

1.あくまでパートナーとしてフェアな関係性を目指すために、Welcomingな雰囲気をつくる
これが一番大事だと思います。結局のところ、先輩ー後輩間にはどうしても何もしない場合だと遠慮というか、力関係が発生してしまうことは避けられないと思います。("power imbalance"ってやつですね)

普通のパートナーでも、「あなたなことを大切に思っている」「あなたの意見・スピーチにも価値がある」というようなコミュニケーションはチームビルディング上肝要ですが、いい先輩方はそれを特に意識してくださっていたように思えます。

例えばですが下記のようなBehaviorに落ちるのではないでしょうか。

・プレパの間で出たアイデアをちゃんと聞いてくれて、それがスピーチに組み入れられる
(例えば、akが思いついた話がちゃんとArgumentになっていくことがある)
・ラウンド外でしっかりと褒められる/リスペクトが払われる
(例えば、ある伝説的な先輩は「akくんはとても組みやすいね」とふとおっしゃってくださったことがあり感激しました)
・フィードバックが双方になされる
(だいたい先輩から後輩への一方通行になりがちですが、先輩も後輩からの意見を求める。例えば、akは「もしよければ僕もフィードバック欲しいんだけど・・・」と話して、困惑された場合「あ、じゃあ良かったところ褒めて(笑)」と言って話しやすそうなところを言ってもらい場を温めてから、「しいて言うとしたらスピーチのどの辺が気になった?」と聞くようにしています。その時出なかった場合は「あ、まあ今後また気になったら教えて!」といって閉じて2回目に聞くと教えてくれたりします)

こうすることによって、勝ち負けに関係なしにラウンドが楽しくなりますし、さらには後輩もよりリラックスして発言してくれるより好循環に入りやすくなるため、チームとしてのパフォーマンスもあがります。

正直、後輩の視点ってめちゃめちゃ参考になります。私もああその話全然思いつかないなぁとか、結構ありますね。(後輩のおかげで勝てたラウンドとかも結構あります)なのでこの1.の話を言い換えると、後輩のいい話をどんどん出してもらえるようにする環境づくり、というところだけは先輩の役割かなと思います。あくまで走りたいなら道路ちゃんと整備するだとか、花を咲かせようとするなら土くらいちゃんと耕すか、くらいの心づもりかもしれません。

2.チームとしての"成長エンジン"の設計;その際、普段よりも人一倍パートナーのディベート力を分析し、勝ちに繋げる

では、後輩と組んで勝ちに繋げるためにはどうすれば良いのでしょうか。
結局のところ、チーム全体としての「総力」が勝敗には基本的に直結します。
となると、チームとしての総力をあげにかかることが重要になるわけです。

そのためには、"成長エンジン"の記事でも書きましたが、To-Be、As-Is、Approachをしっかり考えることが重要になります。この場合の3つの問いは、下記の3つになります。

1.どういうチームになりたいのか?
2.今、パートナーと自分はどういう状態か?(今どういうチームか?)
3.なりたいチームになるためには何が必要か?

1.はブレイクのようなディベートの実績的なこともあるかもしれませんし、イラストがうまくなる!のようなものもあるかと思いますが、
特にキーとなるのは2.となります。

自分のことをよく知ることはもちろんですが、パートナーのディベート力を人一倍分析することが重要となります。

どういうことかというと、例えばパートナーがPracticalが強いと。で、あなたもPracticalが強い。そうだとすると同じことを繰り返してしまいがちでチームとしての最大出力があがらないとかありますね。となると、例えば自分はPrincipleをうまくなる、とかしていくことも場合によってはあるわけです。

例えばakが一回あったのは、後輩をみているとすごくマクロな話が強いと。いわゆるフレーミングはいいのだが、具体論があまりないと感じていて、ジャッジからもそういうフィードバックを多くもらっていました。そこでやったのは、当然具体的にするためのコツみたいなことはその後輩に教えつつ(例えば、こちらで書いたような内容です)、特に具体的な話は意識してプレパでakが詰めるようにしました。一部それを言ってもらったり、どうしてもその後輩がカバーできなかった部分のイラストはあえてakがイントロで言う等するようにしたりしました。

そんな風に今の段階で目立つ強みがない、という場合は彼/彼女ができることを起点に「役割」をお願いする、というところかもしれません。特に、自分の強み/弱みと掛け合わせて考えることがポイントです。例えば、akは具体的な話があるほうが議論がしやすいタイプなのです。(チープな言い方ですが、「叩き台」があればそこからブラッシュアップするほうが得意)なので、一人の後輩にお願いしたのは相手が何を言うか考えてくれない?ということもありました。後輩が考えてくれる相手の話は確かによくて、じゃあそれをどうやって上回ろうか、という議論に時間をより効率的に割くことができるようになったこともありました。

また中長期的な教育の意味も込めて、今までやった練習方法などはかなり積極的に教えるといいとも思います。参考になった練習法やディベート資料はどんどんシェアしましょう。個人的に一度あったのは、昔ICU出身の先輩の方と組ませて頂いたときに、リサーチのメソッドを教えてもらったことがあります。具体的にはPost Itに具体的なArgumentと具体例が貼ってあると。スピーチのときにはそれをぱっと貼って話せるようにしている、と聞いてすごく合理的だなと思いました。(なお、この練習法を最初に始めた人は、世界大会で日本人記録を持っている方です)akも一時期やってかなり役立ちましたが、今はより自分にフィットした形にカスタマイズしディベートノートとマターファイルにしました。また、普段読んでいるメディアなども色々教えてもらいました。

3. 定期的にコミュニケーションをとり、より良いチーム作りを目指す

akはかなりこれをどのような人ともやるのですが、定期的にラウンドやディベートに関してコミュニケーションをとることは意識しています。具体的には、下記をよくコミュニケーションしていました。

・今悩んでいること
・より先輩としてサポートできそうなこと
・より先輩として改善できること

例えば、よくあるパターンというのは、後輩に「独裁的に」なりすぎていないかということです。あと、例えばスピーチづくりなどもPrime Ministerだとついついかなり指示してしまうこともあります。これだと組んでいる側からすると「先輩の言いなり」になっている感がぬぐえなくなってしまう場合もあります(一方で、それを欲しがる場合もありますが…)

なのでそういったこともざっくばらんに聞いていったりできるとより良いですね。

あとくだらないかもしれませんが、akは一緒に食事をとることも結構意識しています。美味しい食事を一緒に食べるとチーム力ってあがるだとか、場合によっては手作りの食事を食べたりすると結束力があがるだとかという研究もあるようです。(最近だと色々な会社が取り入れたりしているだとか。もちろん人それぞれだとは思うので、強制とかはしませんが。)たまたまですが、昔ある大会で、関東圏に住んでいない後輩と組んだ時は家に泊まってもらったのですが、ついでに大したことはないですが手料理もふるまわせて頂きました。後で聞いたところ「手作りの食事をふるまってくださったおかげでだいぶ距離が縮まりました、同じ釜の飯を食った、じゃないですけど」と言ってくれたので、効果があったのかもしれません。
(ちなみにもちろんですが食事中にフィードバックなどはしません。楽しく食べることに集中したいので雑談です 笑)

4. マインドとしては「勝ったら後輩のおかげ、負けたら自分のせい」として臨む

これは特定のアクションに落ちないのかもしれませんが、このスタンスでいる人って格好いいなと思います。
やや蛇足ですが、社会人になっていい上司もこの要件を満たしていると思います。ミスがあっても、上司が矢面にたち「そうですね、ごめんなさい」と言い、「しっかりとリードできずにすみません」と謝られたこともありその時はこの人すごいな…と思いました。

ディベートで言うと、昔尊敬する他大学の先輩と組ませて頂いた時があったのですが、その人の実績を鑑みると十分決勝トーナメントで勝ち進めなかったことがありました。結果が出たときは当然のごとく落ち込みましたし、ああ僕のせいだなぁと思っていたところ、先輩が「あの負けは僕のせいだ」とおっしゃった際は改めてこの先輩は恰好いいなと思った次第です。

あと、ジャッジのイケてないフィードバックのパターンとして、言い方が悪く結果的に「足を引っ張ってしまった」人をかなり責めることがあります。「リーダーでは全然立ってなくて~」「Memberが反論で機能していなくて」のようなことは、フィードバックとしてはあんまりイケてないので他の言い方が当然必要ですが、そのような言葉を聞いて落ち込んでしまうことがあります。そういう時に「あのいい方はちょっと無いよね」「まあ確かにXXの観点はそうかもしれないけど、Yの観点とかよかったし」等のフォローができるといいなぁと思いますね。

ここで言えるのは、ついつい人は他責にしがちです。自責って結構辛いですからね。やれモーションのせいだと言ってACを批判し、やれジャッジのせいだと言ってジャッジにイラジャとラベルを貼りがちです。akも何度もおそらくやっていたので反省しかないのですが、その中でチームメイトである後輩のせいにしたい、というのは無意識的に分かりやすいところではある逃げ道だとは思います。ただ、先輩の責務としてそれを言い訳に絶対にさせない気概で組む、というのが一つ個人的には刺さる先輩像だと感じています。

これは勝敗に少し直結しないかもしれませんが、人として先輩として意識したいポイントかなと思っています。

以上となります。ご参考になれば幸いです。

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(主要記事まとめはこちら)

2018年2月13日火曜日

【即興型ディベートの練習方法】音源を活用した1人でもできる練習のデザイン方法/具体例4選

相変わらず寒いですね、ak_debateです。
最近「1人で練習するには?」というご質問をたくさん頂戴するようになりました。

(なお、身に着けたい能力ベースでは、(思考法、プレゼンテーション力、英語力)をすでにご紹介差し上げていたり、プレパ練、お勧めの本、マターファイル・ディベートノートなど、色々すでに書かせて頂いているのでそちらもご覧ください。)

今回は、「音源」にフォーカスして書いてみたいと思います。音源を活用すべきというのは海外のディベーターも言っていますが、とはいえどのように使うのかという話に踏み込んでいるのはあんまり無いなと思って書きました。

【1. 練習のデザインにおいて重要な問い】
ak_debateは前提として、音源だけでは当然練習は不十分であり、弊害を生む時もあるとは思っていますが、一方で有益な部分も多々あり、うまくデザインさえすればよいと思っている派です。どういうことかというと、下記の3つの問いにこたえてみてください。

1.今あなたはどういう能力を身に着けたいのでしょうか?
2.その能力を身に着ける上で、他の方法と比して、音源はどのように役立ちますか?
3.どのように成果を測りますか?

1.は最上流で見失いがちです。何の目的もなく音源を聞いても意味ないです。あくまで練習方法はHowであり、身に着けたい能力であるWhatから逆算しましょう。

2.は、日本では特に一部大学生の間で「音源病」があるからです。とりあえず音源を聞こうという状態です。音源を聞くのは数ある練習法の1つなので、固執する必要はなく、"Why 音源"という問いに答えられないのであれば別の練習方法のほうが適切です。

3.も重要です。とりあえず聞いて「うーん勉強になったな」となるのではなく、実際に能力向上につながらないと練習としては意味がないです(趣味なら別です)もちろん、勝ち負けないしディベートのスピーカースコア等個人によって最終的な成果は違うでしょうが、それにつながるような目標を設定しましょう。

【2. 具体的なデザイン例】

例えばak_debateは下記のようなシーンで音源を使っていました。

パターン① 英語力を維持・向上する("耳を慣らす")ための音源活用
こちらは、問いに対応すると、
1.今あなたはどういう能力を身に着けたいのでしょうか?
→英語力、特にリスニング力(相手が何を言っているのか英語で理解する力)

2.その能力を身に着ける上で、他の方法と比して、音源はどのように役立ちますか?
→国内ではネイティブ・スピーカーにあたる機会が少なく、集中して聞くことによって、次に出る大会でネイティブ・スピーカーやスピードが速いスピーカーにあたっても聞けるようになる。これはラウンドを行うよりも効果的

3.どのように成果を測りますか?
→①音源をどれくらい聞いたかという時間、②レベルの高い音源/普段のラウンドの英語の理解度

特に、英語力というのは「毎日積み重ねる」ことが重要であることから、ak_debateは、世界大会の決勝の音源は現役時代は毎晩寝る前に聞いていました。最初はぽかんとよく分からない内容だったりもするのですが、何度も聞くうちになれてくるため成長も実感しやすいものとなっております。
ちょっと古いですが、WUDC 2010 GF、WUDC 2010 QF、あたりはお気に入りのスピーカーも多いので今でもたまに聞きます

なお、英語力に限って言うと、「少しストレッチ」して聞くのが重要です。最初から世界大会の決勝を聞くというハードランディングも人によってはありだと思うのですが、それは個人的には最終goalにしつつ、たまに聞くようにし、普段は「4-6割くらいしか分からないもの」を「8割くらいわかる」ようにもっていくとよいと思います。そういう意味で、国内のブレイクラウンドなどから始めるのもいいかもしれません。その次は北東アジアとか。(東南アジア、イギリスの発音などは難しい人が多いようです)

パターン② よく分からないテーマにおいてKey Issuesを特定するための音源活用
こちらは、問いに対応すると、
1.今あなたはどういう能力を身に着けたいのでしょうか?
→特定のテーマにおける「入門」的な内容(何が"重要"とされる議論なのかなんとなくヒントを知りたい)

2.その能力を身に着ける上で、他の方法と比して、音源はどのように役立ちますか?
→本来であれば基本書・学術書だとか、ニュースだとかを見るほうが良いし、ネットでググるほうが良い(特定のテーマであればなおさら)。特に、ディベーターがそのテーマに明るいとは必ずしも限らないので、Intelligenceはそういった1st Hand Informationから「センシング」するほうが圧倒的に良いです。一方で、14分で肯定・否定側のなんとなくの話が分かるのであれば1インプットとしては効率的

3.どのように成果を測りますか?
→特定のディベートノートにおける内容の多さ、特定のテーマにおけるアイデア数/勝ち数

例えば、Israel-PalestineであればAustrals 2012 Semi、UADC 2014 Semi、ReligionであればAustrals 2014 GFを聞きました。また、日本人ディベーターが苦手なArgumentを立てるという意味では、例えばstate abuseのようなargumentであれば、This house prefers a world with memory writing technology.(HWS Robin 2016 R4)のOOを聞くのもいいと思います

そしてこれらは、聞いたら必ずマターファイル・ディベートノートにも反映すると効率的です。

パターン③ 特定のマナーを身に着けるための音源活用
こちらは、問いに対応すると、
1.今あなたはどういう能力を身に着けたいのでしょうか?
→特定のマナー(全体的なスタイル、具体的なword economy、レトリック、クロージングでのFraming等)

2.その能力を身に着ける上で、他の方法と比して、音源はどのように役立ちますか?
→もちろんこれはディベートに限らない有名なスピーチを聞くのもいいのですが、短い時間で何かを示すという意味で、特にClosingでのFramingはディベートで見るほうが効率的

3.どのように成果を測りますか?
→ディベートノートにおけるマナーの理論の数、ジャッジからマナーに関して褒められた数

特に日本だとなかなかMannerに関するフィードバックがもらえないことも多いと思います。(本来的にはもっと行うべきだと思っていますが。)

例えば、word economyをあげる意味では僕はクリス・クロークを追いかけました。あの短い時間であんなに反論できるのはすごいなと。(WUDC 2010 GFのMOです。それ以外でもWUPIDの予選のLO、Student Economic Review DebateのDPM)彼から「いかに効率的に反論するか」というマナーは学びました。フレーミングに関しては、秀逸なのはMDO 2011 SemiのGWのローガンはジョークや、ゲーム性に訴求しながらこのディベートにおいてはzero-sumであることをかなり時間をかけて説明しています。Wikileaksのモーションにおけるシャーミラはwordingによるrelevancyを説明するイントロが上手いです。このExtensionの仕方は線引きスタイルとしてとても参考になります。Closingのフレーミングが上手いなと思うのは、例えば国内だとJapan BP 2013 SemiのCOですし、Japan BP 2015 SemiのCOあたりです。どちらもmotionのwordingに忠実にうまくsolidなopeningを抜いているパターンだと思います。海外ですと、UT MARAは上手いなと持っており、WUDC 2015の予選の抜き方としてOpeningを簡略化した上で、一気に新興国の話を具体名を羅列することで雰囲気も含めて持っていくところはいいなと思っています。

なお、「なぜ、このMannerがよかったのか?」「どうすれば自分もできるのか?」という問いまであわせて、ディベートノートで考察するところまでを目指してください。

パターン④ アセスメント/実践の模擬フィードバックとしての音源活用

これは、今までのパターンとは少し異なります。というのも例外的に問いが当てはまらないからです。総じてGeneral Commentsや自分のスピーチに関するフィードバックが欲しい際に、音源を活用するというパターンです。(ただし、3つめの問いに関しては、問題を発見できた数、というところになるかもしれませんね)

どういうことでしょうか。具体的には、実際に行ったラウンド/スピーチ/プレパ練の後に、似たような、もしくは同じモーションの音源を聞くことで「模擬フィードバック」を得に行く練習方法です。

ak_debateはよく、プレパ練と組み合わせて行っていました。実際にプレパ練をしてそのsideの音源を聞いてみる。そこでひたすら自分と音源との差分を分析するのです。例えば、Matterの観点では「ああこういうアイデア出なかったな」だとか、Mannerでは「同じことを言っているけどこういう言い方のほうが効果的だな」というようなことを学ぶのです。もちろん自分のほうがうまくいっているパターンもあるので、音源を盲目的に信じるのは良くないのですが、gapが何か、そしてそのgapを埋めるためには何を必要か、と考えることが有効になります。

これは特に、具体的な問題意識がまだ芽生えていない場合に「どこに問題があるか」という「アセスメント」を行う上で有効です。というのも、ぼんやりとgeneralにフィードバックをもらうのは当然大事なのですが、それがactionableな、具体的な目的ドリブンで練習できるほうが、一気に能力をあげることができるからです。

いかがでしたでしょうか。
もちろん、これ以外の練習方法もあるのですが、3つの問いをベースに音源の活用方法をデザインするということの重要性はお分かりいただけたかと思います。これらは1人でもできる内容なので、ぜひあなたの練習方法をデザインしてみてください!
(なお、ご紹介した例は海外音源が中心だったのですが、より初心者の方はぜひJPDUの音源等を活用してみてください)

(なお、主要記事まとめはこちらです)

2018年1月19日金曜日

【即興型英語ディベートの練習法】ak_debate式英語の上達方法 5つのポイント

【背景】
「これをakさんに頼むのも変な話ですが、純ジャパとしての成長戦略についての寄稿文を読んでみたいです。(最近、レトリック、fluency、海外音源の聴き取り等、様々な面で帰国子女と比べてハンディキャップを感じることが多いので)」

という質問を頂戴しました。色々な回答方法がありますが、「同じ土俵に立つため」の英語力は重要かと思います。(競争戦略で言うところの「等位」にする部分)また、場合によっては「ノックアウトファクター」、すなわちそもそも「土俵にも立てない」状況になってしまうことがあり得ます。したがって、英語力の向上は至極命題になっているかと思います。

私は質問者の方が示唆してくださっているようにいわゆる海外経験のある人間です。とはいえ、全く英語の努力をしてこなかったというわけではないのと、英語の指導も英語ディベート部の部長やコーチを通じて行ってきました。また、実は英語の家庭教師/レッスン講師も行っていたりしたので、お話できる範囲でポイントを5つあげてみました。


1."伝えたもん勝ち"精神を持つ
 私が思うのは、今までお会いした多くの方(非ディベーター含む)は真面目に英語に取り組まれていることもあり、完璧主義に陥りがちです。きれいな文法で、きれいな発音で相手に伝えることを優先しているように思えます。もちろん、奇麗さを求めるのは中長期的には必要ですが、足元の取り組みとして「伝えること」が競技上も至極命題になるかと思います。
 勿論英語ができない状態が他人に見えることはとても恥ずかしい部分もあるかと思います。特に、英語力が高い人の直後にしゃべるとその差は歴然で、スピーチ中に帰りたい衝動に駆られることもあるかと思います。また、伝わらなかった時の辛さというのも引きずりがちです。私も、日本で何年か過ごした後、再び海外に戻った際、小学校の先生に全く英語が通じず、何度か試み、先生も何度か説明をしたり耳を傾けたりしてくれたのですが、最終的に匙を投げられたことは、未だに脳裏に焼き付いています。
 しかし、まずは英語をコミュニケーションツールとして捉えた際に、大目的は「伝える」ことになるわけで、その合目的性に照らし合わせればどんなに拙くても良いのです。
 私はそういう意味で、出川哲郎さんの「はじめてのおつかい」はとても好きです。この番組は、英語ができない出川さんがニューヨークなどの地で、知っている単語、ボディーランゲージ等を駆使して必死に伝え、それが花開きます。もちろんたまに奇想天外な発言もあり、それは笑いを誘う部分もあるのですが、それ以前に、私は実際にそれで伝わっていく様子を見ていて、伝えようという想いの下、どんなに拙くても、「伝わったら勝ちだ」と思うことが、重要なファースト・ステップであり、出川さんに対して笑って終わってしまうのは勿体ないなと思っています。
 これを繰り返していくと、必ずうまくなります。アウトプットを繰り返すので取りアンドエラーがなされていくかもしれません。

2.  Keep it Simpleの原則を徹底する
 完璧主義者になりがち、というところにつながっているのかもしれませんが、シンプルにすることはとても重要になります。これは特に「話す」という局面で大事になってきます。
 具体的には、whenがあったから…ifがあったから…のように文法をとても気にしがちだったりするかと思います。また、ついつい一つの文章が長くなってしまうことも傾向としてあります。また、単語という意味でも、「あ、あの言葉なんだっけな」とベストフィットな言葉が出てこず、悪戦苦闘することも多々あるかと思います。
 もちろん、それらは中長期的に改善していけばよいと思うのですが、特にスピーキングの文脈では、「シンプルに話すこと」はとても重要になります。私も海外でプレゼンテーションやディベートを中高時代に行った際に「akは言いたいことはとても良いが難しすぎて伝わらない、もっとシンプルに話せ!」と先生にアドバイスを受けました。その時、この原則を教えてもらいました。ーその際は、なんなら、ジョークを交え、「Keep it Simple Stupid!の頭文字で"KISS"の原則だ」と教えてもらいました(笑)
 具体的に英語ディベートの文脈で捉えなおすと、まずシンプルな文法で短く話すことをお勧めしています。文章は極力短くする。接続詞を使用して長くなるようだったら一回文章を切るくらいの勢いで大丈夫です。過去完了形等は難しくなってしまうので、できるだけ過去形のようなシンプルな構造に努める、等になるかと思います。また、単語も一番シンプルな言葉のレベルでいいです。"improve"という言葉が出てこなかったら、"make the situation better"のような言い換えで大丈夫です。Keep it Simpleですね。(もちろん、あとで言葉の反省とかはすればいいかもしれませんが、ラウンド後にとっておきましょう)

3. 最もベースとなる単語力を鍛えるため、文章で、書いて、聞いて、話して、覚える
 「元気 あなた ですか?」という文章を見ても、「あなたは元気ですか?」のように、言いたいことは想像がつきます。一方「xyz abc ですか?」だと、「何か聞いているようだが何を言っているかわからない」という状態になってしまうかと思います。そういう意味で、単語は最も重要だと思っています。いわゆる英語の4技能(リスニング、スピーキング、リーディング、ライティング)を横断するからだと思います。
 とはいえ、さあ、単語力を鍛えようと思ってもなかなか難しいところはあるかと思います。そこでak_debateは「文章で、見て、聞いて、話して」覚えることをお勧めしています。具体的には、私は日本の受験生のような、暗記カードをつくりました。どういうことかというと、表面に文章を書き、覚えたい単語に下線を引きます。右下には同じ単語を書きます。裏にはその意味を英語で書いていました。
 ここでのコツは、まず「想像できるシチュエーションの文章」にすることです。実際に自分が想像できる状態にするのです。稚拙な例で言うと、happyという言葉を覚えたければ自分が実際に嬉しかったシチュエーションの文章で覚えるとかですね。場合によっては例文の主語をリアルの人に代えて想像しやすくする、というようなこともやっていました 笑 仮にすぐ想像できない場合は、頑張って想像できる例文を電子辞書等で探しました。(なお、おすすめの単語帳はこちらにも書きましたが『神部孝(2006)『TOEFLテスト英単語3800』旺文社』です。)
 そして、暗記カードを使う時に「話す」ことも大事です。文章として実際音読(周りに人がいるときは黙読)して口を動かします。見るだけじゃなく、書いて話す、というようなところまで行うため五感をできるだけ使っているというのがミソです。
 これをディベートに置き換えても通じるところはそのまま多くあるかと思いますが、「想像できるシチュエーション」を一ひねりするのが良いと思います。「この単語はディベートだとどういう時に使うかな~」と思い、それを文章にする、場合によっては上手いディベーターのフレーズをそのまま書くとかも考えられます。例えば"pave the way for"という表現があります。weblioによると、道を開くとかの意味があるようです。実際例文は、「The function of the UN is to pave the way for world peace.」 国連の任務は世界平和への道を開くことだ.と書かれています。ak_debateの場合は「国連系のモーション、例えば安保理の拒否権廃止のモーションのときに使えるなぁ」とか思ったり、「また、principle一般で使えるなぁ」と思うわけです。というのも、principleは原則論を話すので、そのアクターが政府であれ国連であれ、NGOであれフェミニストであれ、何かしらの道を開くべきだという「べき論」があるからです。

4. 毎日英語は何かしらの形で触れる。「1日にまとめて」ではなく「毎日15分」
 帰国生であっても、英語をしばらく話さないと口がまわらない、だとかあります。何なら、英語以外でも例えばak_debateはピアノを3才からやっていたのですが、どんなにやる気がでんかうても、高校までは必ず15分はピアノを触っていました。万が一手をあんまり動かせないなという時は、机を鍵盤に見立てて、曲を弾き切るくらいはしていました。「1日ひかないと、取り返すのに何日かかかる」というのは音楽の世界では鉄則とされていたからです。私はこの考え方は英語でも当てはまると思っています。
 帰国生である私ですら、学生時代は毎日オックスフォードなどの有名スピーカーの音源は毎日最低1スピーチ、たいていは30分~1時間聞いて「耳をならす」ことをしていました。それに加え、その日のスピーチの復習としてのスピ練を、イントロだけ、1st Argumentという形だけでもよく行ったものです。「英語に触れないことのこわさ」を肌で感じていたからかもしれません。
 ここでのコツは、「とりあえず始める」ことと、「習慣化すること」の2つに尽きると思います。どんなにやりたくなくても、とりあえずYouTubeで流したら「まあ聞くか」くらいにはなって、だんだんはまっていきます。それから、嫌なことは習慣化するのが勝ちです。そのうち当たり前になります。例えば、ak_debateの場合は寝る前に必ずスピーチの音源を流しながら寝ました。この癖は実は受験時代からあり、英語の例文のCDを流しながら寝ていたのとまったく一緒です。「とりあえず流して寝よう」くらいの勢いでいいので、やっておく、という、その小さな積み重ねが、イチローも言っているような「とんでもないところに行くただ一つの道」だと思っているからです。

5. 英語の成果を"見える化"し、できた自分を褒める
 最後に大事なのは、英語の成果を"見える化"することです。英語はとはいえすぐはうまくならないところは当然あります。また、単語を覚える、文法を学ぶ、のような地道な作業が多いです。すぐに花が開かないし、他の人からも何なら見えづらい。なので、英語がうまくなったね、となかなかすぐには言われないわけです。
 この構造は即興型英語ディベートだとさらにあると思っており、勝ち負けの理由が必ずしも英語だけに依存しない、あくまで論理的・感情的に人を説得することに尽きるからであり、そのための要素として少なくとも、以前取り上げたような思考力・プレゼン力がかかわってくるからです。さらに、だいたいディベートの中身(Matter)に対してフィードバックが中心になりがちという構造もあるかと思います。したがって、なかなか英語の成果が目に見えず、やめてしまうこともあるかと思います。(なので、もちろん、英語に関するフィードバックを自分から求めるのも大事です)
 そこで、何かしらの「指標」、つまりは「ものさし」を準備することが大事になります。目標とかKPIとかのイメージにも近いです。もちろん、この「指標」の置き方は難しいのですが、(合目的性などの要件が必要)例えば、ak_debateでは、下記のような指標を持ったり、お勧めしたりしていました。

・覚えた英単語の数 (自分で知らない単語だけをベースに(=暗記カードをつくった単語だけで構成した)テストを週1回等のペースで定期的に行って、何点とれたかを見える化していく。)
・聞けるようになったスピーカーのタイプ (帰国生で英語が早い人>英語が早い人>英語がゆっくりな人という優先順位付けで、まずは英語がゆっくりな人が聞けるのであれば、早い人を聞けるようにしよう、等)
・聞いた音源の時間 (毎日15分なのであれば、それが30日あれば450分という風に積み重ねが見えてきます)
・読んだ英語の文章の数 (毎日1記事読むだけでも、30日で30記事読んだなとなります。例えば印刷しておくと「ああこんなにやったんだな」という達成感にもつながります)
・英単語/表現をどれくらい使えたか (上記のpave the way等、「覚えた単語を使えた」ときは覚えておきました。赤ペン先生状態じゃないですが、「あ、これやったところだ!」となる瞬間は嬉しいものです)

もちろん指標は多岐にわたりますが、ポイントは成果を目に見えるようにするというこころです。(実は、指標も主に4種類あるのですが、これはまた別途どこかの機会で!)

いかがでしたでしょうか。少しでも5つのポイントが参考になれば幸いです!

2018年1月6日土曜日

即興型ディベートに必要な能力を身に着けるための練習法シリーズ② プレゼンテーション力

前回の「思考法」に引き続き、「プレゼンテーション力」(プレゼン力、パブリックスピーキング力)に関して書きたいと思っています。

そもそも即興型ディベートは議会を模していることから、政治家が「一般人」を説得することが求められていることから、ディベートの中でも特にプレゼン力が重要視される傾向にあります。(毎年行われる世界大会だと余興的にではありますがPublic Speakingの大会も並行して行われていることからも、親和性が高いなと思っています)

まず、下記の2枚がサマリとなります。


【1. そもそも即興型ディベートで目指す「効果的なプレゼンテーション」とは?】
色々な整理があると思うのですが、私は即興型ディベートにおいては「論理的な分かりやすさ」と「感情的な分かりやすさ」の両輪が大事だと思っています。
(巷ですと、前者を左脳的、後者を右脳的と表現していたりですとか、古代ギリシャの哲学者・アリストテレスが人を動かす上で必要だと言っているエトス(ethos)・ロゴス(logos)・パトス(pathos)でいうロゴスとパトスにあたるものだとご理解ください。)

即興型ディベートで言うと、「論理的な分かりやすさ」とは、下記のような特徴があります。

  • アイデアの結論が最初に述べられ、根拠によって支えられている
    • 単純に“言いっぱなし”ではなく、その理由や例が説明されている
  • 複雑な事象であっても、シンプルに本質を抽出している
  • 特定のメッセージを伝えるために効果的なストーリー/構成になっている
    • 理解する上で必要な前提条件から説明したり対戦相手やチームメイトの発言内容の文脈と関連づけたりする
一つ目がKeyとなる原則であり、それが難しい内容であっても、個別最適だけではなく全体最適の観点からも「論理的に分かりやすい状態」であるか、という整理をしております。

「感情的な分かりやすさ」とは、下記のような特徴があります。
  • まるで目の前で起きているかのような、具体的な描写を通じて五感に訴えかける
    • 例えば、政策をとらない場合最も被害を被る人のドラマを描写
  • 声のトーン、表情、身振り、視線、相手との距離等、“非言語的”なコミュニケーションを活用している
  • 最低条件として、誰に見られても好感を持たれるような言い回しになっている
    • 差別的・侮辱的な発言ととられないよう、一言一言配慮している
言語的・非言語的なコミュニケーションを駆使して感情に訴えることが「0からプラスへ」の話だとすると、そもそも「マイナスを0にする」という前提条件が最後の話です。

(なお余談ですが、一部の方は「論理的なわかりやすさ」のみをディベートでは重視する、言い方を悪くするとロジック・マシーン、ロジック・モンスター、場合によっては口喧嘩のようなイメージを持たれています。ですが、実はそもそも「感情的な分かりやすさ」も同じくらい重要であるという話をすると、よく驚かれます)

【2.プレゼンテーション力を強化するための練習方法】
色々な練習方法が様々な本などでもご紹介されているかと思いますが、即興型ディベート関連ですと、下記のような練習方法があるかと思います。

まず、「論理的な分かりやすさ」の強化に関しては「通常よりも短い時間でのスピーチ練習」をお勧めしています。これは短い時間であればより何を言いたいか強制的に考えさせられ、結論・根拠の明示化につながりやすいというのがあります。

「イントロ」の1分だけに集中するのも非常に効果的です。昔は西日本地域の大会で「イントロ合戦」というような余興イベントも大会中にありました。これはどちらかというとエンターテイメント要素も大きかったとは思うのですが、強豪校では練習の一環として取り入れられていた時期もありました。自分でもできるのでおすすめですし、「ちょっとフィードバック頂戴!」というのも気軽ですね。
ak_debateがコーチする際も、イントロだけ書いていただきそれをwordで送っていただき、その添削をすることもあります。

「常に結論を先出しした完璧なスピーチづくり」というのもとても重要です。
AREAの型(Assertion、Reasoning、Example、Assertion;結論→理由→例→結論)を徹底することは、プレゼンテーションにおけるノウハウの一つです。巷では、別名OREOの型とも呼ばれているようです。(O=Opinion、意見)
ミソは、結論が最初と最後でサンドウィッチされているため分かる、またそれが根拠によって必ず支えられているというところです。
ak_debateはラウンド終了後、反論から立論まですべてAREAを徹底しなおした内容を納得するまでスピーチしなおしていましたし、結論の端的な言い方の言い回しをストックしていました。(英語即興型で言うと、具体的には、2010年の世界大会で優勝しているシドニー大学のクリス・クロークがword efficiencyも高く何度も聞きなおしていました)

また、「結局何を言いたいの?」を3回繰り返すディスカッションも重要です。特に思考がボトムアップ型の人、(積み上げ型の人)というのは、「で、何なの?」を他の人よりも意識的に繰り返す必要があります。(何を隠そう、ak_debateがそうでした)他の人と議論しながらso what?を繰り返していくと言いたいことが洗練されていく傾向にあります。コーチのセッション等でよくやらせていただいています。


次に、「感情的な分かりやすさ」で言いますと、まずドキュメンタリー、映画、小説等のストーリーテリングの技法を応用することはお勧めです。すぐできるのは、言い回しのストックですね。例えば、「痩せすぎているモデルの活動を禁止する」という議題があります。(最近フランスで話題になっていますね)こちらの肯定側の議論を行う際ですが、例えば下記のような記述の迫力があります。

In addition to extreme weight loss, symptoms of anorexia can include fatigue, dizziness and fainting, thinning hair, the absence of menstruation, dry skin and irregular heart rhythms. It can be life-threatening, warns the National Institute of Mental Health.

こちらは、モデルの目の前の健康状態の被害が目の前に浮かんできて、とても説得的だと思います。自分でやる方法としてはこのようにリサーチと組み合わせて表現をストックしていくことですね。

他にも「特定の感情(喜怒哀楽)のみを表現するスピーチ練習」も効果的です。これは昔ウィル・ジョーンズ(過去の世界大会チャンピオン)とリディアン・モーガン(現パブリック・スピーキング講師)が日本に来てレクチャーを行ってくれた時に聞いた話ですが、実際にやってみても効果的でした。「はい、じゃあ悲しくスピーチしよう!」「じゃあ次は楽しく」のように、喜怒哀楽の特定表現だけに特化して、すぐ内容にあわせて感情をこめられるようにする「ストック」づくりが重要です。なお、この際、感情を表現する際は表情であったり、場合によっては入場(ないしスピーチ台への向かい方)まで含めてすべてコントロールする必要があり、まさに「雰囲気を作り出すこと」「場を支配すること」が重要だとされています。
これは、鏡の前で自分でもできることなので、私もあえてやったりしています。特に、ディベートの国際大会になると海外は個々の表現が豊かで所謂「印象操作」で負けてしまうのでアジア大会で負けて悔しかった後はかなり練習していました。

最後に、悪い癖の矯正も大事です。不要な「まあ」「皆さん」などの表現を使用してしまった場合、スピーチをやり直すのが一例です。これもリディアンに教えてもらったのですが例えば海外では「特定の悪い口癖」がある場合それをスピーカーが言った瞬間先生や他の生徒がそれを即座に真似するらしいです。すると「あっ、やってしまった」となり恥ずかしさもあり必死に悪い癖を直しにいく傾向があるとのことで、荒治療ではあるものの一定の効果はあるんだろうなと思っています。

自分で行う場合ですが、私は自分のスピーチの音源を必ずその日のうちに聞き直しているのですが「よく使いすぎている表現」などは聞いて、次のラウンドでは「言わない!」という目標を立てたりしています。例えばLadies and Gentlemen!という表現ですが、これは最初や、本当に聴衆に訴えかけたい時は重要ですがそうでない際の「つなぎ」としてよく使ってしまっていました。なので、途中から一切使わないようにしています。

なお、これら一連のプロセスの際のコツですが「いろいろなバックグラウンドの人からフィードバックをもらう」ことが重要です。是非自大学だけではなく他大学の人も、ということもさることながら、社会人の方の視点や何ならディベートをあまり行っていない人の視点も重要で、場合によってはよりクリティカルだったりします。UTDS(東京大学英語ディベート部)で世界大会の日本人記録をたたき出したチームはよく「社会人練習会」で社会人の方にフィードバックをもらっていたのは有名な話ですね。

いかがでしたでしょうか。ぜひ「論理的な分かりやすさ」「感情的な分かりやすさ」の両方を身に着けてください!

2018年1月3日水曜日

即興型ディベートに必要な能力を身に着けるための練習法シリーズ① 思考法

最近テスト期間ということもあってか、一人でもできる練習方法を質問されることが多いです。また、例えばプレパ練をより効率的にするにはですとか、英語力をどのように向上させるのか、ですとか色々個別具体的な練習方法に関する問い合わせもSarahah・メッセンジャー等で頂戴しています。

したがって今回、一回ステップバックして、「即興型ディベートに必要な能力を身に着けるための練習法シリーズ」と題して連載をしてみようと思います。背後にある考え方というのは、「即興型ディベートが"上手い人"が身に着けている能力というのを効果的に身に着けて上手くなろう」というアプローチです。
(なお、即興型ディベートを通じて身につく能力に関してはak_debateが別途学会発表済で、現在私の研究者としての研究テーマとして検証・論文化を進めている最中にあります。また結果などをご共有できればと思います)

以前か即興型ディベートで必要な能力(≒身につく能力)としてTBH思考法をご紹介させて頂きました。具体的なコーチの際(実践編①、②)でも使用させて頂いておりますが、ここではもう一段深堀りして練習法にまで落としてみようと思います。

かなりボリューミーになったので、サマリを最初に載せます。


<1. Top-Down思考法とその練習法>
即興型ディベートにおいてはマクロ的な思考(根本的な問いを起点に発想していく思考)と定義しております。

私はこれは言い換えると「因数分解」する力、「構成要素を明らかにする力」でもあると思っています。いくつかのパターンがあると思っています。

例えば、古典的ですがTHW ban tobacco.(タバコ廃止)、THW allow active euthanasia.(積極的安楽死)のような「選択」に関するディベートであれば、個人の次元で言うと「選択」とその「結果」に関して因数分解することができます。具体的なディベートの議論としてタバコを吸う/安楽死を選ぶという選択の妥当性(例:自由意志に基づいているのか)、結果の良し悪し(例:健康への害、苦痛からの解放、死)の論点が出てくることが分かってきます。

時間軸として「因数分解」する場合、例えばTH prefers a world without marriage.(結婚制度が存在しない世界のほうが今の世界よりも望ましい)の場合、結婚前、結婚という選択をする際、結婚後、場合によっては離婚の際等のシナリオに分かれることがモーションを見た瞬間に分かると思います。

説明責任を起点に「因数分解」するパターンもあります。例えば、THBT feminist movement should actively seek to include men’s right activist in their movement.(フェミニスト運動は、男性の権利活動家を積極的に運動に含めるべきである)のような場合は「そもそもフェミニスト運動とは何を求めるべきか」「男性の権利活動家を運動に含めることはそれになぜ理想像に合致するのか」「男性の権利活動家を運動に含めないことはなぜ理想像に合致しないのか」という3点の説明責任が導出されます。(2つめと3つめは表裏一体ですが。)これはある種「理想像」を起点に2つの世界観(男性を含めている状態/含んでいない状態)を比較していることになります。

これに似ているのは、例えば多くのディベーターが最初に学ぶ説明責任のクッキー・カッターです。特定の政策をとる場合、多くの場合汎用的な争点としてnecessity(必要性)、solvency(解決性)、justification(正当性)、があがるとトレーニングされることがあります。肯定側であれば「必用であり、解決でき、それは正当化できる」ことを説明し、否定側であればそれらのどれかを否定することをチャレンジします。

この練習法はいくつかあると思いますが、個人的には2つあります。

1つ目は、まず足元で過去のモーションから「こういう因数分解が必要なのでは?」というのをストックし、自分の型をつくることです。以前ご紹介した1st Principleに近いですね。Criminal Justice Systemであれば有名な、Retribution, Protection, Deterrence, Rehabilitationのようなイメージです。ここで1こコツなのは、「モーション」レベルではなく「テーマ」レベルで考えること、ある種一段「抽象化」することです。なので、「よし今日はCriminal Justiceだ」と例えばし、今まで行ったモーションを復習したり、音源を聞いたり、場合によっては他の人に聞きながら自分としての因数分解のパターンをつくることになります。いわゆる「パターン認識」的な積み上げアプローチになります。ただ、ここで気を付けてほしいのは「フレームワーク病」「議論自動製造機病」です。いわゆる思考停止状態で「あ、CJSのモーションだからこれ言おう」という視野狭窄状態になると、第三者を説得することが難しくなってしまいます。
なお、この練習方法は一人でもできますし、また実際にこういう風に考えたんだけどどう?と他の人にフィードバックを求めることで他人を巻き込んでみることもブラッシュアップにつながります。

2つ目は、中長期的になるかもしれませんが、単純にロジカルシンキング、いわゆるMECEに「切る」能力を高めるというスタイルです。(ディベートにおけるMECEの過去記事はこちら)いわゆる「コンサル本」が巷には山ほどありますのでそちらをご参照ください。(例えば『問題解決プロフェッショナル「思考と技術」』、『考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則』などです。なお、後者はコンサル業界では名著だと言われていますがかなり難解ではあるので、何度か読むことが必要です。なので前者のほうが個人的にはまずお勧めです。これの第2章の<MECE>の部分がミートしていると思います。もう少しより実践的であれば「フェルミ推定」「ケース問題」などが親和性が高く、やりながら覚えられるので、『東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート』、『現役東大生が書いた 地頭を鍛えるフェルミ推定ノート』、『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』がおすすめです)これは、習得には時間がかかりますがk、比較的ゼロベースで見たことがないモーションでもある程度トップダウン思考ができるようになるメリットがあります。
これは自分でも例えば実践的な本を解きながら練習することもありですし、即興型ディベーターはコンサル業界に行くこともあるので、OBOGを巻き込むのも面白いと思います。

<2. Bottom-Up思考法とその練習法>
即興型ディベートにおいてはミクロ的な思考(具体的な事象・現象から発想していく思考)と定義しております。

これもいくつかのパターンがあると思いますが、まずは「具体的な人」が「どうかわいそうか、幸せか」という問いを立てることが重要だと思っています。(もちろん議題によっては動物実験廃止のように動物等、人が主人公に必ずもならない場合もありますが…)その状況を、映画のワンシーンのように正確に切り取ろうとするとどういうことがあるのか、時間軸に沿って発想していくのです。

例えば、THW not allow religious freedom in public.(宗教的自由を公的空間において認めない)という議題の肯定側では具体的な人を想像します。詳しい人であれば、フランスの「スカーフ事件」が想起されるでしょう。詳しい説明は他に譲りますが、「イスラム子女の公立学校でのスカーフ着用の是非」が議論されました。肯定側であれば、神を信じる一環としてスカーフを身に着けて居たいと考える学生の様子が頭に浮かんでくると思います。(例:「なぜムスリム女性はヴェールをまとうのか」)ちなみに、私はこの関心があったので、『神の法vs.人の法 スカーフ論争からみる西欧とイスラームの断層』という本を読みました。少しボリューミーですが、面白いです)

また、特に話が抽象的になりがちな議題は意識的に具体化することが重要になります。例えば経済関係の議題では顕著です。THW not bail out companies which are TBTF (Too-Big-To-Fail). ("大きくてつぶせない"企業の救済を行わない)というようなモーションの際、例えば肯定側で救済を行わない、その結果として「雇用が失われる」ということは単純に解雇通知の書面だけの話ではなく、その背後に一人一人のストーリーがあるはずなので、そこまで想いを寄せられるとよいかと思います。

ボトムアップの思考法の練習法ですが、幾つかあると思います。

1つ目に、マインドセットとして「その人だったとしたら」と強制的に「自分事化」する練習だと思います。自分がもしスカーフを身に着けたいと思う学生だったとしたらどう考えるか?自分がもし家族を持っていて急に解雇されたらどう思うか?のように「もし自分だったら」と考えることです。人はなかなか、程度の差もありますが、一般的に自分のことにならないと想像力が働きづらい側面はどうしてもあると思います。したがって必死に想像していくことは重要です。

2つ目に、単純に前提となる基礎知識はつけるということは必須になります。ボトムアップ思考が具体的な現象・Factからスタートする以上、その前提となる知識がないとなると手も足もでないことになってしまいます。国内のトップディベーターや海外ディベーターの多くは、The Economist、BBC、The Guardian等のニュースを見ているとのことで、そこのドキュメンタリーは時に目を覆いたくなるようなこともあります。このブログの一番の人気記事である(ここまで反響があるとは思っていませんした)おすすめブックリスト50も併せてご覧ください。

3つ目に、とはいえ2.は毎回すべての事象を知っているとは限りません。そこでak_debateがボトムアップ思考の一類型だと理解している「アナロジー思考」の習得・応用もおすすめです。(こちらは、Triple Aの一つでもありますね)どんぴしゃの例ではないが、構図が似ている例をいかに「引っ張ってこれるか」というのが鍵になります。分かりやすい話で言うと、THW decriminalize marijuana for pleasure.(嗜好用のマリファナを非犯罪化する)という際の肯定派は、タバコと似ているな、という着想で、「じゃあどういうシーンで吸うのだろう」「その個人への便益はどういう感じなのだろう」と発想していきます。また、一段さらに「飛ばした」形で言うと「一見悪そうなものを非犯罪化する例ってないかな・・・?例えばオランダにおける売春とかはどうなのだろうか」と考える、「harm-minimization」(被害の最小化)のために非犯罪化する場合もあるのでは?と考えることもあります。(近年、アムネスティ・インターナショナルも売春を非犯罪化するほうがよいのではという提言を出して議論を呼んでいますね。参考リンクはこちら)
ここでの細かいコツは、まさにどんぴしゃの本である『アナロジー思考』に譲りますが、具体例を見た際に「これって何と似ているのだろう?」、複数の具体例を見た際に「これは何が共通しているのだろう?」と考える癖をつけることをお勧めしています。ストックをする際も「関連付ける」「グループ化」することがコツです。
また、リサーチに落とす場合はその「共通点」を軸に整理します。例えば私は主要な軍事介入の成功例・失敗例をマターファイルにストックしてあるのですが、その際「成功例」「失敗例」という共通点だけではなく、「成功要因」のレベルまで深堀りして「アナロジー化」するようにしています。もちろんアカデミアの方ほど専門的にはできていませんが、発想方法はこういうところかと思います。

<3. Horizontal思考法とその練習法>
Horizontal思考法とは、「相手が話してくること」を起点とした思考だと定義しています。(Horizontal思考法が得意なチームのコーチ事例はこちら(①、②))

したがって、「相手がそもそも何を言ってくるか?」「それに対してどう対応するか?」の2つの要素が必要になります。前者は、Top-DownとBottom-Up思考のどちらか、もしくはその組み合わせで出てくるかと思いますのでそちらのスピードアップになるかと思いますので上記の練習法ということになりますが、後者に関してはどうでしょうか。

2つのパターンがあると思います。

パターン①としては、「相手の一番強い話をどうするか」ということを考えることです。これは「相手の言っている話が起こらない」というmechanism(現象が起きる理由)に対するアプローチ、「起きるがそんなに深刻ではない」というimpact(現象の深刻性)に対するアプローチという細かい反論レベルでもできるとは思いますが、強いチームになるとその2つは確実に立ててきます。そこで例えば「むしろ向こうが守りたいものにとってもこちらのほうが良い」という、いわゆる"flip"と呼ばれる話がないか、というのは一つの考え方です。("rather better", "counterproductive"というような表現が英語ディベートではされます)(なお、余談ですがこれはよく実世界の会議などのディスカッションで用いるようなパターンでもあり、相手の納得感も醸成しやすいです)また、特定の比較軸を出してそのデッドロックを解消していくパターンもあります。(例:インパクトの大きさ等)。(こちらも実社会だとよくつかわれます)

その意味では、中長期的には、いわゆる「ディスカッション能力」を身に着けることもおすすめです。
参考書籍は『ファシリテーションの教科書: 組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ 』、『東大生が書いた 議論する力を鍛えるディスカッションノート』等かと思います。

もう少し足元の話をすると、これらは、具体的なモーションを行いながら「ここまで言ったら勝てそう」という風に考え抜く、もしくはClosingやWhip・Replyのスピーチを見ることもお勧めです。うまいClosing、Whip、Replyのスピーカーは相手の話を考慮した上で「なぜ上回るのか」ということを明示的に話すことができており評価が上がっている傾向にあります。また、そもそも自分で強い話を思いつかない場合は、強い音源を見てそれに対してどう反論するかというのを自分で考えることもあります。ここでのコツは2つの音源を組み合わせることで、1つは「ちょっと頑張れば勝てそう」な相手の音源の反論を考えることと、「すごく強い」相手の音源の反論を考えることです。前者だけだとモチベーションはあがるが大きな伸びが少ない、後者だけだと最大出力が上がる可能性はあるが、圧倒的すぎてそもそもキャパオーバーになってしまうリスクがあるからです。

パターン②としては、Gov/Opp(肯定側・否定側)を何度も行ったり来たりすることで議論をどんどん深めるパターンです。これは、何人かでやる場合と一人でやる場合があります。何人かでやる場合はプレパの後ディスカッション形式で、こう言ってきたらどう返すか、のように議論を深めていきます。この際あまり大きく発散させずに、特定のClashだけでやることも有益だと思います。また、ラウンドの後に「この後さらにスピーカーがいるとしたらどうやって勝つか?」という風にラウンドを活用するパターンもあると思います。また、最近やっているところをあまり見なくなりましたが "Summary and Refute"と呼ばれる練習法も効率的だと思っています。

一人で行う場合でも、あるディベーターはgov、oppをひたすらに交互に一人で考えていくことを地道にやっていたようです。こう言ったら相手がこういってくるから、このように反論して、さらにこのように再反論がくるからこうやって・・・という風に考えると、Horizontalの思考スピードがぐんとあがる傾向にあります。この際書きだすのは一つのコツです。

いかがでしたでしょうか。かなりボリューミーだったので最後まで読んでいただいて恐れ入りますが、思考法に限って言うとこのような練習法が例えばあるかなと思いました。何かご質問などございましたらいつでもご連絡ください。

2018年1月2日火曜日

色々なジャッジのやりかたの考察 ~ジャッジが使用する基準リスト、よくあるジャッジスタイル等~

先日、"ある若手の方から「ジャッジのやり方」が世代や大学により大きく違って、そのギャップの理解が追い付かずに理不尽さを感じてしまうことが多い"というご相談を頂戴しました。

もちろん即興型ディベートにおいて色々なジャッジの仕方があり、それは十人十色であるべきです。なのでジャッジブレイク/評価制度を通じて"より納得感のあるジャッジ"を目指すインセンティブが存在したり、決勝トーナメントでは複数人ジャッジを配置するわけです。なので、完全にジャッジの仕方の標準化などはすべきでもないですし、できないと思います。一方で、様々な「ジャッジのやり方」を知ることは、ディベーターとしての成長にも寄与するだけではなく(=より多くの人を説得する)、ジャッジもよりレベルアップにつながる(=より多様なジャッジングができる)ため有益でしょう。

したがって、今回のポストでは特に、ジャッジが使用する「基準」に関して考察したいと思います。(ジャッジはディベートの内容・全体像を理解した上で、「特定の基準(観点・視点・比較軸)」を用いて比較をするというプロセスがあるかと思いますが、その「基準」の話です)

目次は下記のとおりです。
<1.基準リスト>
<2.(ak_debateの偏見による)基準リストを踏まえた上でのよくあるジャッジスタイル>
<3.事例:ak_debateのジャッジの癖は?>
<4.基準を起点に考える、良いジャッジとは?>


<1.基準リスト>
このリストの注意点だけ先に。
1.包括的では無いと思っています。あくまで、ak_debateの知っている範囲で書いています。
2.下記の基準の理解は人によるかと思います。あくまで、ak_debateの解釈です
3.また、繰り返しになりますが「特定の基準がどれかより良い」という話ではないです。

【Matter関連の基準】
・Relevancy/Uniqueness (モーションのWordingや背後にあるSpirit of the Motionとの関連性)
・Exclusivity (肯定側/否定側にのみ起きるかという排他性)
・Logic(ideaを支える論理。MECEも参考になる。参考記事はこちら)
・Example/Case Study/Analogy (ideaの具体例・ケーススタディや類似例)
・Consistency(ArgumentやMatter全体の矛盾の無さ)
・Responsiveness (反論の強さ)
・POI (POIの内容やそれへの対応等)

【Manner関連の基準】
・Framing (絶対的Impactと相対的Impactの明示等。絶対的Impactの中ではminorityを守るのような、いわゆる"聞こえの良さ"も入る。参考ブログ記事はこちら)
・Structure(内容の分かりやすさ。結論から話されているか、ナンバリングがされているか、話の間の有機的なつながりがあるか、等)
・Wording/Rhetoric/Visualization (効果的・効率的なWording、レトリック、"イラスト"=描写等)
・Non-verbal Languages(ボディランゲージ等パブリック・スピーチ上効果的な非言語的なコミュニケーション)

【Role Fulfillment/Technicality関連の基準】
・Dynamics (重要な議論が早い段階で出ているか)
・Team/Speaker Role (例えばBPの場合はClosingがKnifingしていないか、PMであればset-upができているか等)

<2.(ak_debateの偏見による)基準リストを踏まえた上でのよくあるジャッジスタイル>
※繰り返しになりますが、誰かを否定する意図は一切ありません。
過去のジャッジを通じて「いろいろなジャッジがいるなぁ」と思った際、無意志的にこういう分類をしていたのを棚卸しました。

・「内容(Matter)重視」 vs. 「見せ方(Manner)重視」
前者は、内容を細かく見て、logicやその反論等を丁寧に追っていくスタイルです。調査型ディベートの出身や、海外だとアジア、北東アジアのジャッジはどちらかというとMatter重視なイメージがあります。
後者は、どのように伝えたかをより重要視するスタイルです。海外だと、非アジア圏(オーストラリア、ヨーロッパ等)がこの傾向が強いイメージがあります。
もしかしたら、例えばイラストをした際に「それはrhetoricalだったが印象操作でしかない」ととるか「十分に感情に訴えかけてきており評価する」ととるかでも分かれる気がします。

・「Principle重視」 vs. 「Practical重視」
前者は「Practicalが立ったとしてもそれがなぜ大事か」まで踏み込まないととらない、ないし、Principleのgov、Practicalのoppだとgovに入れる傾向にあります。海外だと、ヨーロッパ圏のジャッジが特に好きなイメージがあります。また、哲学科などの専攻のディベーターが好きな傾向もあります。
後者は「結局はPracticalが大事」だという価値観の下、上記のシチュエーションだとoppに入れる傾向にあります。海外だと、アジア圏のジャッジが特に好きなイメージがあります。

・Utilitarian vs. Non-Utilitarian
上記と少し似ていますが、功利主義的に評価するか(=インパクトの大きさでとるか)、非功利主義的な話まで含めて評価するか(場合によっては功利主義の話もその重要性までないととらない)だと思っています。
一番難しいジレンマは例えばTHW legalize torture.のようなモーションで「多くの人が助かるから拷問しよう」vs.「人を手段として使用してはらない」のような話が対立した結果、結果大きさを優先するのがgov、プロセスの悪さを優先するのがoppに入れる気がします。

・「General Theory」 vs. 「Specific Contents」
前者は抽象的であったり、ややgenericであっても十分にとり、後者は具体論でないと取らないという癖です。 例えばTHW legalize all drugs.のようなモーションの際、generalなfreedom of choiceでも十分にとるか、具体的なdrugのユニークネスまで踏み込まないととらないかという差分があります。

・gov有利 vs. opp有利 / Opening有利 vs. Closing有利
これは無意識のうちに、何かしらのバーデンの重さがあるという場合です。
gov/opp有利に関しては「govがbenefit 0, oppもharm 0」のような仮想状態の際にどちらに入れるか?という質問をした際どちらに入れるか?という質問でもわかります。
Opening/Closingに関しては、OpeningとClosingが仮に同じくらいの貢献をしている際に、「時間が少ない中CaseをつくったOpening」をとるか、「先に話せるにもかかわらず同じくらいCaseをつくれなかったOpeningを十分に抜いたClosing」をとるかの好みだと思います。

・問題解決モーション時のGovの説明責任重視型 vs. Oppの説明責任重視型
上記のgov 有利 vs. opp有利の話の延長線上にありますが、policy motionで特に問題を解決することが求められる場合の説明責任をどれくらい持たせるかです。
govの説明責任重視型の場合は、問題の深刻性、その発生原因、その解決策としての適切性等を説明することが求められています。oppの説明責任重視型であれば、既存の枠組みや他の枠組みによってその問題をどの程度解決できるのかというのを単純に「alternativeとしてこう」というアサーションではなく、どのように問題を解決できるのかある程度詳細に説明することを求めてきます。
個人的にはこの部分は海外とずれがある気がしており、Asian Style、特にAustralsにおいてはgov、opp共に問題解決のバーデンがそこそこ同じくらいある印象がある一方、国内ではややgovに厳しい傾向があるかもしれません。(一方で、こちらのように過去にはgovが説明しなさすぎで苦しんだ事例もあるようなので、結論としては、gov、opp同じくらいの説明責任を求めるというところが落としどころなのだとおもっているのですが、精査は必要だと思っています) 参考:ICUブログ

・ClosingにおけるNew厳格型 vs. New寛容型
Opening有利/Closing有利にかかわるかと思いますが、ClosingのNew Analysisをどれくらい重くとるかで分かれると思います。確かに、”Anything that opening did not say”がExtensionになり、反論もcontributionになることは誰も否定しないのですが、その貢献の大きさとして、オチ/Impactも違うようなCompletely Newを求めるのが前者で、ほぼフレームはでているが間のロジックを追加することもそれと同じくらい重要な貢献ととるのが後者です。同様のことは、具体化・Case Study・Impactの追加等でも生じるかと思います。

・Framing 超重視 vs. Framing重視
「はっきりと明示しているか」どうかをとても重視するかどうかです。
この話は特に反論/立論のとりかたや、Closingのとりかたで顕著になります。
例えば、反論/立論を「相手のこの部分に反論している」とはっきりとFrameしていなくてもとるかどうか(=ハッキリ言っていないのでとらない vs. ハッキリいっていないが、とはいえimplicitに分かる)、Closingでも「これがExtensionだ」「このExtensionはOpeningを抜いている理由はXXXだ」とはっきり言っていなくてもとるかどうかで分かれます。
なお、最近アジアではFraming超重視型が流行っている気がします。

・Stance 超重視 vs. Stance重視
チームや個人としてのStanceを超重視するかどうかです。
前者の傾向として、例えばPMの話とDPMの話が異なる場合/シフトがある場合、大きく評価を下げます。

例えば、以前この記事でも書きましたがこういう現象です。
また、日本では驚くべきポイントだったと思いますが、同じくそのHigh School Pre-Semi Finalで、PMがpoliticsの話に終始、LOがそれもあるがfeminismも大事だよねと言い、DPMがそれに対応する形で両方話したものの、私以外のジャッジ2人は「それじゃ遅すぎで4位」と言っていました。(そもそも分析の深さやエンゲージで下がるなぁと思っていたので順位は一緒だったのですが、そんなに重く見るんだ、とちょっと驚愕しました)もちろん、その2人がstandardなジャッジなのか?という点は注視する必要はあるかもしれませんが、それくらいにSell your ideaがしっかりしていないと評価が下がる、という例かもしれません。
・Hard Stance好き vs. Soft Stance 好き
上記と少し関連しますが、「これもこれもこれもOK」という話を評価するかどうかです。
例えば、THW legalize hate speechの場合、governmentはdefamationもlegalizeするスタンスでないと評価しないのがHard Stanceが好きな人の傾向であり、「いやそこまでやらなくてもdifferentだし、radicalすぎる」と思うのがSoft Stanceが好きな人の傾向です。

・Contradictionへの厳格型 vs. 寛容型
Stanceと関連しますが、Contradictionがあった際にどれくらい重く見るかです。厳格型ですと「矛盾があった時点で著しくチームとしての評価/点数を下げる」ことになりますし、寛容型であればその部分だけとらない、矛盾する点のみとらないなどの対応をします。近年国内外のブリーフィングでもスタンスが割れているようなホットトピックの一つです。

・ディベートのゲーム性超重視 vs. ゲーム性重視
いわゆるディベートを「競技」としてとらえる度合いの違いです。例えば、POIのやり取り/とった、とらなかったをかなり重く見たり、Dynamicsを重くとるかどうかです。

・ロジック(・説明)重視型 vs. 直感重視型
前者であれば、どのような話においてもロジック(理由)を重視します。後者であれば、一般感覚的に分かるのであればロジックが薄くても十分にとります。例えば、「女性をモノとして扱ってはいけない」「人を殺してはいけない」のような話の際、とはいえ抽象論(全ての人は目的をもって生まれてきている)アナロジー/Case Study(人権がuniversalに認められている)等の説明を求めるのが前者で、「そこまで説明しなくても一般感覚としては分かる」とし重いバーデンを置かないのが後者です。

・ディベーターが設定したBurden重視型 vs. ジャッジとしてBurden設定型
前者は、あくまでディベーターが言った内容をBurdenとして捉えるスタイルです。例えば「OppositionはこれにこたえるBurdenがある」とディベーターが言った際に何もOppositionが言わない場合はそれを是として捉えます。また、Self-Burdenでも「これを説明します」というのを説明すれば取るスタイルになります。一方で後者は、モーションのSpiritを勘案し、自分でBurdenを設定し、それを説明としているか否かで判断します。先ほどの例で言うと「OppositionはこれにこたえるBurdenがある」と言われた際も「それは合理的に無い」のような判断を設定したり、Self-Burdenも「それだとモーション肯定・否定に至っていない」と裁量を発揮する傾向にあります。

<3.事例:ak_debateのジャッジの癖は?>

上記だとやや抽象論かもしれませんので、ak_debateのジャッジの癖を具体的に書こうと思います。といっても、実は私も時代によって変わってきている気もしたり、私がここで書いたことがすべてではないと思うので、あくまで主観的であることを断っておきます。また、他にも色々ありますが、いったんこれくらいで。

・「内容(Matter)超重視」→「内容(Matter)/見せ方(Manner)どちらも重視」
以前は本当に1にも2にも、Logic, Relevancy/Uniqueness, Exampleのような基準を優先していました。例えばイラストだけ話されていても「ただの印象操作」だと思っており、あまり評価しませんでした。なのでLogicのgov、イラストのoppとかであれば明確にgovに入れていました。

その背景には、おそらく自分の癖や勝ち方としてMatter重視があった(=自分がMatterを理由に勝ちをもらっていたり、ライバルがMannerもうまかったことの悔しさ(笑)があったのかもしれません)のかもしれません。一方で、NEAO、UADC、Asian BPのようなアジア大会では所謂「愚直なMatter」を評価されないことが多かったのです。(内容が全くないような印象操作だけのチームに負ける、等)したがって、Mannerも十分に大事なんだと思い始めMannerも評価するようになりました。この傾向はAustralsでも思ったのは別途こちらで書いています。

さらに近年は、職業柄「明示的に言うことが良い」とされており、そうでないと話者の責任だというカルチャーもあるため、より見せ方を重視する傾向になっています。

・Principle重視→Practical重視
以前はLeaderを行っていたことや、憲法学/哲学に関係する本等で得た知識も色々あったので、Principleをすごくとっていた傾向にありました。Animal Rightにしろ、Free Choiceにしろカント主義的な話にしろ、好きでした。一方で、ジャッジをするようになって、principle vs practicalになってしまうと、どうしてもpracticalが個人的には分かりやすいためとってしまう傾向が強くなったのだと思います。また、アジアのディベーターはゴリゴリPracticalでごり押してくるスタイルですごく好きというのもあり、今でも結局Practicalは好きなのだと思います。

もしかしたらこの背後には、1つめの話と関係して、また自分が知っているが故の、Matter重視があるのかもしれません。Principleをロジックなしに建てられてもなぁ、というのが自分の感覚であり、例えばFree Choiceであるならbodily autonomyがなぜあるのかだとか、そのanalogy等を含めて話してくれないと、というexpectationがあるのかもしれません。

・Example/Case Study/Analogy重視
で、結局どういう例なの?という話はとても重視する傾向にあります。Example, Case Studyの中で明示的にLogicがなくても比較的とることがあります。(わからなくはない、という点で。もちろん明示的にLogicがあるほうが当然評価は高くなります。)
この背後にあるのは、おそらく2年目のADIで言われたトレイナーに言われたアドバイスです。「話は十分に分かるけど、よりconvincingになるためにはreal-life exampleがないといけない。」(もちろん、そもそも特にCase-Studyが多い海外の教育機関で学んだこととかも影響しているのかもしれません。)なんなら、このセクション自体事例ですしね。

他にも、同期からオーストラリアの傾向も聞いていたからかもしれません。
ICUの同期による記事を、一部引用します。

⑦ 知識量の差
僕たちICU1は最強チームとあたった訳ではなかったので、この点はラウンド内で感じた訳ではなかったですが、大会全体を通して感じました。やっぱりevidenceがあると自然と説得力が増します。
Octoのacademic achievementに応じて学校への助成金の額を変えようmotionで、USU2のPMは「この政策は既にNYで導入され、成功している。それを受けてArizonaなど他の州でも試されてきている」と序盤から捲し立てていました。
R6(米国は台湾への武器輸出をやめようmotion)が終わったあと、Melbourne1のベテランディベーターが「近年、米国は92年、?年、08年、そして今年の1月に台湾に思いっきり武器を輸出したよね。その度に中国は軍事演習やるとかいう反応を示したよね。それぐらい中国にとってはsensitiveなissueなんだよねー」と教えられてしまいました・・・

<4.基準を起点に考える、良いジャッジとは?>

勿論内容を全部見ている(=このラウンドがこういうラウンドだったという理解が網羅的・正確)である前提で、ですが、その際良いジャッジとは何なのでしょうか?

これに正解はないのですが、基準だけに限って言うと、私は複合的に基準を用いることができるか、にかかっていると思います。要は特定の基準だけで物事を見ないのか、かと。
よく陥りがちなのは、「logicで見ました!!!」「Framingで見ました!」等特定の基準に飛びついてしまうパターンです。それ以外もあるじゃん、と言われた瞬間に「あっ」となってしまうことがよくあります。色々な基準があってそれは皆違ってみんないいとおもっているのですが、となった際の落としどころは「多くの基準を使用する」ことかなと今ak_debateは思っています。

なのでアジアのジャッジとかだと「There are 3 reasons that you lost」のようにジャッジする人もいます。これがbestなのかはわからないし、「え、そこまでボコす?」と思う時もありますが、1つの基準だと納得してくれないがゆえに、複数基準で見るようにしているのかな、と思っていました。特にBPであればなおさら、複数基準で議論することが海外勢と話していると多いなという雑感です。

また、他の解としては「ディベーターが明示した基準を用いる」というのもあると思います。これで比較してよと言っているんだからそれで見るのがフェアだという考えです。最近ak_debateもそうかもなと思っている一方で、それはそれでFraming超重視の考えでもあるし、そもそもその基準が正しいんだっけ?というところまで踏み込まないといいジャッジではないのでは?とも思っており、絶対的な解には至っていません。

とはいえ、また、「これで決めるの?」というのが通説的に「おかしい」とされているものもあると思います。例えばMannerでのNon-verbal Languagesを理由に勝ち負けはたぶんつけません。説得力がどれくらいあがったかというのには当然寄与するのでスピーカースコアには跳ねたりすると思いますが。

いかがでしたでしょうか。

なお、最後に改めて強調致しますが、「特定の基準を用いるジャッジがいい、悪い」という議論をしたいわけではありません。ちゃんとディベートを理解した上で根拠のある説明ができれば「イラジャ」ではなく「ダイバーシティ」だからです。あくまで、私の経験上色々な基準を用いるジャッジがいるのでそれを知っていくことがディベーター/ジャッジにとって良いかなと思っている意図でこの記事を書いたことをお断りしておきます。

また、この記事を書くにあたって何人かの方にフィードバックを頂きました。基準、スタイル等他にございましたらお気軽にご連絡ください!

2018年1月1日月曜日

プレパ・シートをつくれ! ~プレパレーションの効率を最大化するために~ その4<振り返り・まとめ>

4回にわたって行ったコーチ・セッションでしたが、結果はどうだったのでしょうか?

客観的なところで言うと、予選のオープンの3ラウンドで8点を取るなど順調に滑りだしました。残念ながらR4は決勝に進出したチームに囲まれ4位になってしまいましたが、見事に予選を突破。ディスカッションの結果敗退してしまいましたが、Semi Finalist(ベスト8)という結果になりました。

なお、実践編では省いていましたが、2人の共通の目標として「できればGrand Final、少なくともそこに届き得るSemi Finalまではいきたい」があったため、目標は達成できたと言えるでしょう。

実際、大会終了後、ヒアリングをした際のお二人のコメントというのは下記の通りでした。
Iさん「この大会では、ポジティブな感情が大きかったです。やりたいスピーチができました。Semi Finalも負けて悔しかったのですが、"出せる限りを出した"と思えました」
Eさん「正直、終わった瞬間、(もっと勝ちたいという)欲は出ましたが、中堅層にはごりっと勝てるようになれたので満足しています。Semi Finalまで行けたのは良かったのですが、一方で、GFまで行きたいというのはパートナーとも話していたので、もうちょいできたかも、という感覚もあります」
色々な解釈があるかと思いますが、満足度は高く、またポジティブな意味での向上心も沸いたのではないでしょうか。

プレパ・シートの効果に関しては下記のようにいただいています。
Iさん「たまに見ながら使っていた。また、オーダーメイド感もありそれによりモチベーションもあがりました(笑)・・・それから、ぜひ色々な人にとって参考になると思うのでプレパ・シートは公開してください」
Eさん「頂いたプレパ・シートによりプレパが"地に足のついた形"になったと思います。今まで正直このような形でプレパを行ってこなかったので、とても勉強になりました。また、実はすでにこっそり後輩に"こんなのもらったよ"と見せちゃいました(笑)」
「プレパ・シート」の効用はあり、ぜひ他の人にも広めたい、というコメントを頂戴している、というところでしょうか。

さらに、今回のコーチングに関しては下記のようなコメントをいただいています。
Iさん「ak_debateさんに見て頂いて一番ありがたかったのは、特に弱みが分かったことでした。勝ち筋・具体化を意識させていただいたことで、特にクロージングはとてもやりやすく、パフォーマンスは高かったです。すごくありがたかったのは、ak_debateさんはすごく細かく僕たちのことを観察してくれたので、例えばIさんはこういう特性があるからこういう風にやってみるとどうか、のようなアドバイスが頂けました」
Eさん「今回一番ありがたかったのは、最初に何回かプレパ見て頂いて、"このチーム特有の課題を洗い出す"ことでした。例えば、"勝ち筋"に関しては正直全然意識していませんでした。結果的に考えることはあったのですが、毎回意識的に考えられるようになりました」
これは正直恐縮しかありませんし、お二人の人間性に助けられている気がしますが、プレパ・シートをつくることを中心においた今回のコーチングでは「チーム特有」のプレパの型ができた、いいかえると、プレパレーションの効率化が最大化されたのではないでしょうか。

いかがでしたでしょうか。
もちろん、すべてがプレパ・シートに落ちるわけではない(=プレパ・シート以外の要素、それは例えばそれ以外のコーチングの部分であったり、お二人の他の練習であったり、色々な因果をもってプレパの効率や今回の満足がいくようなパフォーマンスにつながった)のですが、「プレパ・シート」づくりはプレパの効率化につながるのではないでしょうか。

最後になってしまいましたが、Eさん、Iさんには感謝です。本来これは「競争優位性」でもありますし、正直弱みもあるので「恥ずかしい」感情もある中、今回このような形で文章を公開させていただきました。また、少しでもお二人の満足度・成長に寄与できていたのであれば、これほどうれしいことはありません。

プレパ・シートをつくれ! ~プレパレーションの効率を最大化するために~ その3<実践編②>

【Day 2/Day 3:プレパ・シートの具体化・進化】

2回目、3回目は細かい違いはあるものの、基本的にはブラッシュアップだったので、どちらもまとめて説明しようと思います。

Day 2はまず、Day 1のプレパを受けてその後どうなったか2人に聞くところから始めました。Eさん、Iさん共になんとなくプレパのやり方は定まりつつあるような感じでした。一方で、とはいえなかなかうまく行っていないという感覚があるようでした。

プレパでは実際に二人がプレパをするところをみながら、「例えばこういうことを意識したらどうか」「こういう問いを立てたらどうか」という部分を試してみるということを繰り返しました。具体的には、Day 1で特定された「Issue特定」→「戦略立案(勝ち筋を見つける)」→「具体性を強化する」→「Speech化」というステップで、それぞれどういう問いを立てればいいかというのが追加されていきました。

例①:
たとえば、「具体性を強化」というところは、なかなか2人の課題だったこともあってなかなかイメージがわいていなかったようです。とはいえ、別にそれがスピーチになった際にできないというタイプではなく(特にEさんは何度かスピーチを見ていましたが、別に話が抽象的な印象はなかった)のではなく、あくまでプレパの工夫次第で解決できると仮説的に思いました。

そこで「具体的にどういう人がどう辛い/嬉しいのか?」という問いを意識的に立てるようにとアドバイスしました。それまで見ていると、例えばTHBT Mexican government should adopt measures that enable the Sinaloa Cartel to monopolise the market、THW criminalize "revenge pornography" in the same way as rape、THW pay teenage girls to not get pregnant.のようなインパクトが見えやすいモーションではArgumentで勝手に具体化されていく傾向はありました。一方で、THW introduce basic income. や、THBT parents and educators should actively encourage children to invest in their physical appearance and attractivenessのような経済モーション/教育モーションであると、なかなか具体化されていないなと思ったからです。この問いを意識するようになってから話が深まるようになっていました。

例②:
他には、「戦略立案」の際に、結局押しどころがわからず、かつ特にIさんがPrincipleの話が好きで、EさんがPracticalの話が好きだった際に、好みが大きく分かれ「結局何を立てよう」というところの意思決定ができず、なぁなぁになってしまっていました。その際、どの話を立てるのかなどはもちろん色々な戦略があるとは思うのですが、いったんEさん、Iさん共に納得感があったのは「最もintuitiveな話は何か?」というintuitiveさによる優先順位付けでした。

例えば、THW ban convicted criminals from publishing the narrative about their crime.のモーションであればgovは「被害者のmental pain」は分かりやすい話として勝ちやすい傾向にあるという結論になりました。
THBT Mexican government should adopt measures that enable the Sinaloa Cartel to monopolise the marketのgovであれば、long termの話は勝ちづらいかもしれませんが、short termでは比較的moderateなactorが力を持つことで人が攻撃されたり、殺される危険性が下がる話は立ちやすいという結論になりました。

したがって、いくつか議論が出た際はまずはintuitiveかどうかという観点から優先順位付けし、それをしっかり立てること、また相手の最もintuitiveな話をいかにつぶすか考えるということで合意しました。

例③:
今までの話はどちらかというと「弱みを改善していく」話でしたが、ak_debateが重要視しているのは「強みを強化していく」ことも重要視しています。Eさん、Iさん共に優秀なジャッジであることから特にCloseになった際優劣をつけることには慣れている傾向がありました。したがって、「Clashの解消力」を一つ武器にできないかと思いました。また、ジャッジだったとしたら、という風に考えたほうが思考が走りやすいのではないかと思っていました。

そこで例えば、「戦略立案」の際には、単純に最もintuitiveな話を考えるだけではなく、その際どういうClashが生まれるか、そのClashをどのように解決するのか?というところまで踏み込めれば特にClosingでは勝ちやすいと思いました。そこで、「ジャッジだったとしたら、解消出来たら嬉しいClashは何か?」という問いを立てることを推奨しました。

例④:
また、「強みを強化していく」文脈で言うと、とくにEさんは面白いアイデアを思いつく傾向にありました。それらは必ずしも思いついた時点でwinning argumentではないものの、強いExtensionになり得たり、主要なArgumentのlogicを強化する可能性もありました。一方で、ak_debateが見ていてプレパで勿体ないなと思ったのは、Eさんは「完璧になるまで言わない、遠慮してしまう」という、Eさんの人の良さがにじみ出る結果のクセでした。これは勿体ないなと思い、最初のIssue特定の際に、「まだできていないけど」という前提でアイデアの種も共有してもらい、それが具体性強化などの際に「花が咲く」ことも必要に応じてチャレンジすることにしました。したがって、Issue特定に「迷っているが、使えそうなアイデアの種は何か?」という問いも追加しました。

例⑤:
さらに言うと、単純にOpening/Closingの練習を2人にさせるだけではなく、他にもいろいろなシチュエーションで練習しました。

例えば、プレパ練3種でもご紹介しましたが、Closingプレパ練も行いました。具体的には、ak_debateも10分ほどプレパし、Openingで言う際言う話を全部いい、その後数分のプレパ時間の後、Closingで言う話やその埋め込み方を練習しました。

この背景としては、Ryoso Cupの参加者の性質を鑑みると、北東アジア大会(NEAO)の決勝進出者、アジア大会(Asian BP)のQuarter Finalist進出者等もいたため、強いOpeningの後ClosingでExtensionがないリスクがあったからです。また、チームとして「Openingをどう上回るか?」という問いがないままいくつかのアイデアをばらまいてしまうことがあったので、「Speech化」のときに「Openingをどう上回るのか?」という問いも追加しました。

(さらに、特定の問いの追加にはなりませんでしたが、Eさんがプレパを観察する形で、ak_debateとIさんがプレパしたこともありました。これは、後で聞いたところEさんが「プレパで止まってしまったとき」ですとか「困ったとき」にどのように打開しているのか見たかったらしく、あえて少し止めたりしながらak_debateの反応を見ていたとのことでした 笑)

<Day 2~3のまとめ>
・各プレパのステップにおけるKey Question(プレパ中にたてる問い)を明確化しました。例えば、「戦略立案」の際は、「最もintuitiveな話は何か?」、「具体性強化」の際は「具体的にどういう人がどう辛い/嬉しいのか?」の問いを追加しました
・これらの問いは正直無限に立てられるものの、その際意識したのは2人が特に課題と思っている「弱み」だけではなく、「強み」も活かすことでした。例えば、面白いIdeaの種が出るEさんのポテンシャルを最大化するために「迷っているが、使えそうなアイデアの種は何か?」という問いを追加したり、EさんIさんが共通して高いジャッジとしての能力をディベートでも応用できるように「ジャッジだったとしたら、解消出来たら嬉しいClashは何か?」という問いを追加しました

【Day 4:プレパ・シートの定着・最終化】

いよいよ最終日になりました。この日は、ak_debateから今まであったプレパ・シートは紙を写メって送っていたのですが、当日使いやすいようにpowerpointにしてわたしました。(時間的余裕があれば最初からやったほうがよかったかもしれません)

それを見ながら、最終調整というところでプレパ・シートを見ながら確認することを特に意識しました。Day 4ともなると、だいぶプレパ・シートは定着しており、必要に応じて問いがしっかりと立てられており、プレパがスムーズになっていました。

それはak_debateから見ても、本当にスムーズになっていました。それはフィードバックさせていただいたうえで、いくつかプレパ・シートをマイナーチェンジしました。

例えば、2人ともHorizontal思考が強いというところのデメリットとして「相手がこれを言ってきたらどうしよう」と考えすぎてしまったことがあったようでした。したがって、最後に「ただし、見えない敵と戦いすぎず、場合によっては自分の話に自信をもって集中!」というのを最後に追加しました。

最後に、プレパ・シートの使い方に関してディスカッションしました。ラウンド前/中にお互いに見返し、今まで行ってきたように必要に応じてアップデートしていく、ということを当日は2人で行ってほしい旨を伝えました。(理論編の3.プレパ・シートはどのように使うのか?の内容です)

こちらにも書きましたが、最終日は詰め込むことは得策ではありません。あくまで今できる「最大出力」を出せるようにコンディショニングすることが最も重要だと考えています。

<Day 4のまとめ>
・今までの復習に代えて、プレパ・シートを最終化して、共通認識を持った。
・プレパ・シートの当日の使い方を合意した。