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2020年4月18日土曜日

"SMART"にディベートの目標を立ててみよう!

全国で緊急事態宣言が発令されてしまいましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
皆さんや、皆さんにとって重要な人たちの健康を最優先で行動してくださいね。
多くのディベートの大会がキャンセルになってしまい、私も残念です…。オンライン化等色々な試行錯誤の中で新歓や練習も続いていると聞いています。

今日は、1人でもできることとして目標設定に関して書きたいと思います。
なんとなく、ディベートが上手くなりたい!

突然ですが、"SMART"の原則を御存じでしょうか?目標設定の際に意識したほうが良いポイントの頭文字をとったものとなります。
グロービスのこちらのページによると下記のように定義されています。

◆要素1:Specific(具体的に)
誰が読んでもわかる、明確で具体的な表現や言葉で書き表す

◆要素2:Measurable(測定可能な)
目標の達成度合いが本人にも上司にも判断できるよう、その内容を定量化して表す

◆要素3:Achievable(達成可能な)
希望や願望ではなく、その目標が達成可能な現実的内容かどうかを確認する

◆要素4:Related(経営目標に関連した)
設定した目標が職務記述書に基づくものであるかどうか。と同時に自分が属する部署の目標、さらには会社の目標に関連する内容になっているかどうかを確認する

◆要素5:Time-bound(時間制約がある)
いつまでに目標を達成するか、その期限を設定する

ビジネスで使われることも多いSMARTですが、私はディベートでも当てはまると思います。私になりに解釈すると、こうなります

◆要素1:Specific(具体的に)
ディベートのどの能力を身に着けるのか、「なぜ?」を最低3回は繰り返して明示化する。例えば、インプットとしての知識×プロセスとしての思考力×アウトプットとしての英語プレゼン力だとすると、その中でも何の知識?どういう思考力?どういうプレゼン力?となるかと思います。ここを深堀りする際には、例えば目標としているスピーチ、スピーカーなどがあるとより“解像度が高まる"と思います
◆要素2:Measurable(測定可能な)
頑張って"数字"にする。それは例えば最終的な"アウトカム(結果)"であるブレイク、スピーカースコア等も良いかと思いますが、それだけではなく"プロセス"(行為)も重要だと思います。知識をつけるのであれば何冊本を読みますか?音源ならいくつ、何時間?英語力だといくつの単語を覚えますか?…等。 
◆要素3:Achievable(達成可能な)
"2重の目標"にすることが重要だと思います。1つは本当に理想の"優勝"のようなものかもしれませんが、1つは今から少しストレッチしたらできるもの。例えばバブルラウンドで負けてしまう傾向にある場合は、それを一つ超えたブレイクになるかもしれません。本等のプロセスであれば、1日にどれくらいやらないといけないか?と割り戻してみるのも重要です(1か月で100冊、となると1日に3冊以上読まないといけませんが、授業やバイト等もあるかと思います。実現可能ですか?)
◆要素4:Related(目標に関連した)
これは、まずは一義的には大きな「ブレイク」のような目標に紐づくようなものなのか、と解釈しています。(すでに強い部分を伸ばしていても関係ない、評価されない点を伸ばしても仕方ない、等)また、最終的に自分がディベートで何を得たいのか、と言う目標とフィットしているかも重要になると思います。
◆要素5:Time-bound(時間制約がある)
それぞれの目標は短期・中期・長期等があるかと思います。お勧めは両方持つことですが、一つ良いのは大会、引退等をマイルストンにすることです。「ジェミニまでにXXする」のような。そこから「では、4月はこういう目標になる」のようになりますね。

せっかくのタイミングですので、SMARTで目標を立てているか、一度見直してみませんか?

2020年1月1日水曜日

ディベートの関わり方を悩んでいる人へ

2020年もどうぞよろしくお願いします!

ディベートの関わり方って悩みますよね。akも何度も悩みました。
長くディベートに携わってきた身としては、ありがたいことに色々な関わり方をさせてもらいました。それをまとめるとこんな風になります。



色々な人が色々な関わり方、まさに十人十色の関わり方があります。
ぜひ、色々な人に話を聞いてみてください。

私の場合はこんな感じです。(少しでもご参考になれば…)

・競技者としては、短い時間でチームメンバーと共に勝ち負けを競う知的スポーツであるところ、前よりできるようになる成長実感が日々楽しみでした。目標とする大会でのブレイク、優勝等は今でも覚えていますし、負けた試合は思い出すと今でも悔しさがこみ上げてきます。

・ジャッジとしても、国内外のディベーターを説得できた時の嬉しさがありました。特に最初は不慣れで、明確にイラジャだったと思います。それがうまくなっていくプロセスも好きでしたし、そもそも色々な話を知ることが好きな私は、「こういう話もあるんだ」「こんなアーギュメント思いつかないな」と感動を覚えました。

・上級生になってから、コーチをする機会が増えてきました。特に大学院になってからはその機会は増えました。ゼミと言う形をとったこともあります。ある時期は、1か月くらいつきっきりで後輩の練習を見ていた時期もありました。後輩の活躍は、自分の活躍よりも嬉しいものでした。

・運営/コミは私よりも上手な人、たくさんやられている方々もたくさんいらっしゃいますが、どちらも有意義で面白かったです。特に若いころにかかわった大会が今も続いているのを見ると感動ものですね。部長時代は仲間と共に過去の先輩たちのレガシーを梃に黄金時代を創ろうとしたこと、色々迷惑もかけましたし失敗もしましたし、当時の自分がイケていない部分はたくさんありますが、当時としてはやり切ったつもりでした。チームでなにかをつくっていく、というのはすごくいい経験でした。

・ディベートの研究は答えがないところにチャレンジする意味でとても面白いですし、社会に広める活動が最近は増えてきました。ディベートの良さ、楽しさをより多くの人が知ってくれるようになれば幸いです。

・また、ディベートの経験をもとに、色々なサークル、仕事等でご活躍している人たちがたくさんいます。akもディベートのAREAやHorizontal思考は特に色々なところで役立つなぁと思っています。

・また、何よりディベートで培った先輩・同期・後輩との関係は何事にもかえがたいですね。ある種の"戦友"ですし、"同志"です。今でも仲良くさせて頂いている方々もたくさんいて、ディベートをやってて良かったなと思います。

2019年9月21日土曜日

久しぶりに大会に出るときに 5つのポイント

久しぶりの更新です。

・就職活動や院試、留学等のため、暫くディベートから離れていた…
・しばらく他のサークルやバイト等をやっていたけど、久しぶりにディベートコミュニティに復帰したい…
・社会人になって集中していたので、しばらくラウンド等もできていなかった…
・一回引退宣言してしまったのだけれども、色々あってディベートしたくなった…

最後のケースはあまり無いかもしれませんが、上の3つはよくあるのではないでしょうか。

私も、就活の時はディベートから一時期離れていたり、社会人になって大会に出る頻度がすごく下がっている時期などが何度かありました。(現に、今年は半年くらい一度もスピーチしていない)

akのやり方がベストだとは思わないのですが、ポイントを5つほどご共有します。

1. 最近のディベートのトレンドが何か、を早めにアップデートする
これは特に半年や1年単位で大会に出ていない場合等はおすすめです。

10年間定点観測的にディベートを見ていても、Practical重視時期、Principleが重視になる時期、特定のディベート用語が流行する時期(mutually exclusive、counterfactual)、特定のスピーチスタイルが流行するとき(詰め込み型、ゆっくり見せる型)、特定のArgumentが流行する時期(social discourse、echo chamber)等色々あります。

その際には、例えば少なくとも
・最近の現役生がACを行っているモーションはどういうのが多いのか?
・最近のBriefingやAdjudication Examでの特徴は何か?
・最近特にみんなが見ている国内外の音源/ディベーターはだれか?
の3つを抑えると良いと思います。

私のように古い人間だとどうしても、2010年頃の世界大会の決勝を見たり、
困ったらSQ, AP, Impactだ!のようになりがちで、
スピ練をするにしても、昔見たことあるモーションに依存するような、いわゆる"comfort zone"から抜け出せていない、ということが知らず知らずのうちにあります。ぜひ私の二の轍を踏まないように…。具体的には、一回現役の練習にも(恥ずかしいですが)顔を出すなども有効です。

2. 一方で、自分が大事にしていた"ディベートの型"を取り戻す

上の話と矛盾するようですが、実はそうでもないです。時代が変わってもディベートで本質的に必要なスキルなどが大きく変わるわけではありません。

例えば結局のところ、私としてはAREAの考え方であるサンドウィッチ式が伝わりやすいというのはディベート外でも積み重なれた理論ですし、
SQ, AP, Impactの話も、近年Impactの概念がメタの話まで入り込んできている、等のチューニングは必要であったり、必ずしも比較対象がSQ, APではないかもしれないが使える部分があったり、
思考方法としてのTBHは、例えばモーションによっての向き不向きはあるものの、引き出しとして有益である部分もあります。

どう頑張っても一気に現役のころのような勘が急速にとり戻るわけではないこともありますが、一方で自分が現役のころだった時、調子が良かった時にどういうことをやっていたのか、その時の80点を取りに行くことは行ったほうがいいです。

その方法ですが、もし現役のころからルーティーンにしていたものがあれば、まずはそれを行ってみるのが良いです。akの場合は「ディベートノート」と「マターファイル」(詳細はこちら)が絶好調の時はほぼ全部頭に入っている状態だったので、まずはほこりをかぶっているそれらを読み返します。

最近は仕事柄英語もよく使うのですが、一時期使わなかったときはシンプルに一回話してみて口を慣らすこともやっています。社会人ディベーターの弁論同好会さんも似たようなことをやっていますね。(記事はこちら)。また社会人の話し方だとゆっくりと前提から話しすぎる傾向がでてくるので、それを短い時間で話す練習とかもよくやります。

現役のころ再現性高められるようにいくつか理論化している人のほうがこの復帰は早いのですが、もししたことがあまりない方であれば、

・自分がうまかったころのスピーチを聞いてみて、今の自分と比べてみる
・昔レクチャーなどをしていたらそれを読み直す、見返す
・どんなふうにプレパしていたかなどを思い出す、昔のパートナーに聞いてみる

あたりがおすすめです。

3. ラウンドはやったほうが良い、できればWhip等ラウンドの後半で、課題を一気に明確化しよう

ラウンド偏重はもちろんだめなのですが、
一方で、ラウンドは何度かやったほうがいいです。

結局プレパ練だと相手が何を言ってくるかわからなかったり、
反論や立論の優先順位のつけ方、
特にBPでの「立ち回り」等は試合をやったほうが早いです。

事実、社会人になってBPをほぼ1回もできずに大会に出ると、
全然Extensionも出せないし、反論の仕方も忘れていてあわあわし、全然パフォームしなかったときとかもありました。お恥ずかしい…。

その時の反省は、スピ練とかだけだと限界があるなということでした。

特に、PMやLOは比較的練習しやすいのですが、
Whip等、ラウンドの後半のほうがより勘が取り戻されやすいのでお勧めです。

また、ラウンドはそんなに何回もできない場合もあるので、
この前QDOのワークショップでEntingも言っていましたが、終わった後のチームメイトとのディスカッションにむしろ1-2時間かけるくらいの勢いで
「何を学んだか?」「何が良かったか?」「何を改善するといいか?」のようなディスカッションができるといいですし、
akもそちらをLINE等含めて行うようにしています。

4. 今だからこそ出せる「強み」にも注目する

ここまで、ややネガティブであったりチャレンジングな話も多くあったかと思います。
正直ディベートで復帰するって色々難しいです。それはすごくわかります。

一方で、実は「強み」もあることを忘れないでほしいです。

例えば院試であれば特定の分野の知識がよりあがっているかもしれない
留学であれば英語力があがっているかもしれない
他のサークルの経験で何か得たものもあるかもしれない
社会人になって新たに得たスキルがあるかもしれない

このように、他の経験を通じて実は新しい「強み」がある場合が多いです。
社会人であると、経済モーションが強くなるとか、よくあるパターンかもしれませんね。

また、シンプルに「久しぶりにディベートを見る」という客観性が
実は新たな戦い方のヒントの着想に繋がることもあります。

中にいたときは気づかなかったが、外から見て気づくことは色々あります。

例えば、私の場合は、イントロの重要性。昔はイントロを省いてでも3つ目のArgumentを言おうとかと思っていましたが、改めてラウンドを聞いてみると分かりづらい、ジャッジとして取りづらいというところがあるんだろうなと思い、イントロにより魂を込めて差別化するということもあるでしょう。

久しぶりに来たことで感じた「違和感」「気づき」は、戦略にも昇華できる余地があるのです。

5. 一歩セットバックして、ディベートでの目標を改めて設定する

また、やや次元が高い話になりますが、重要になるのはディベートに戻って何を得たいのか、というのをはっきりすることでもあるかと思います。

就活から戻ってきた場合は、再度リベンジし、ブレイクや優勝などが目標になるかもしれませんし、
社会人の場合は、取り急ぎ現役のころのパフォーマンスは諦めて、久しぶりにラウンドして楽しさを思い出す、とかもあり得るかもしれません。

また、長期的にみる場合は、取り急ぎ足元の大会では勘を取り戻す、この大会ではSF以上を目指す、等と時間軸をずらすことも重要です。

特に社会人としてコミットする際に「プロディベーター」として時間をたくさん割ける例外的な場合はともかく、
普段の仕事やプライベート、人によっては家庭もある中で現役とただ張り合って優勝しよう、という目標は場合によってはあいにく現実的ではないことも多いです。

akの場合、とはいえ負けず嫌いなので優勝なども含めて目標をセットするのですが、前よりも目標を下げることもありますし、
また、それ以上に「ディベートを通じて(仕事にも活かせる)自分の弱みを改善する」ことに目標を置いてきました。

例えば仕事柄経済まわりや教育周りのインプットが多くなっていた時は、
あえて国際関係等普段見ていないことをインプットすることを目標にしていましたし、

コンサルで必要なロジカルシンキング(MECE等)が弱かった時期は、
それをディベートを通じてアウトプットする、というようなことを目標に置いていました。

また、シンプルにラウンドでのアドレナリンやチームワークなど、場合によっては観光なども楽しいですよね…!社会人になるとより染みます。。。


いかがでしたでしょうか、普段と違う切り口でしたが、
参考になれば幸いです!

2019年7月27日土曜日

「え、何このモーション」となった時に行う6つのこと

久しぶりの更新です。ディベートを長くやっていても、「え、何このモーション」となる時ってあるかと思います。初心者の方にもありがちですが、私も、国際大会を中心に見たことないモーションを見たとき、久しぶりに大会に出たときに最近の流行となっているモーションを見たとき、なります。そのようなときのTipsをご紹介します。

1. まずとりあえず落ち着いてモーションを読む、書く
慌てても逆効果になってしまいます。とりあえず、まずはゆっくりとモーションをもう一度読む、場合によって実際に書く、ということを行います。
また、私は「難しいモーションの場合、相手も焦っているはずだ」と思うことにしています。テストで難しい問題ができたときの「他の人もきっと解けないはずだ」精神かもしれません。ディベートは相対的に上回れば勝ちにはなるので、落ち着くことが大事です。

2. 何が、「何このモーション」と思ってしまった理由なのか考える
このような状況に追い込まれる際には幾つかのパターンしかないはずです。
① 単純にモーションに書かれている言葉やコンセプトを知らない
(例えば、アフリカのこの国のこういう部族、最近あった具体的な人名等をみて焦ることがあるかもしれません。)
② モーションのワーディングの関係で、意味がすっと分からない
(特に長文である場合、構文が一瞬理解できない。日本のディベート界であまり見ない表現が急に出てくる、等もあるかもしれないです。よく「あるある」だとlift sanctionsってあれ、どっち、となる方が多いとか。)
等はよくある場合ですね。その原因が分かると落ち着いてその対応策を考えられるので、便利です。

3. 分からない場合は早めに他の人に聞く
プレパ時間はあまり長くなりません。まずはパートナーに素直に「分からない」と言うことを伝えましょう。私がディベートの大会に出るときは最初にそういうルールをつくっておくこともあります。意外とパートナーが冷静でよく知っている場合があったりします。また、AC陣(Chief Adjudicator, Deputy Chief Adjudicator)等モーションの意味を聞きに行くこともできます。

4. 思考方法を意識的に切り替える
TBH思考法は、それぞれに得手不得手があります。(意外と知られていないかもですが。)したがって、チームとして普段行うプレパでない形で考えるのも時には重要です。例えば、ボトムアップ型のディベーターの場合、具体的なキーワードを知らない場合パニックになってしまうことがあります。その場合は「抽象的に考えると、これは結局政府がどの程度介入するのかって話かもしれない」「ある種、経済対環境の対立なのでは?のように、1st Principleから考える、などが有効になるかもしれません。議題によっては、片方のチームはよく分かる場合もあるので、Horizontalに切り替えることも有効です。
(思考法に関しては、概要としてのこの記事や身に着ける方法としてのこの記事などが参考になります)

5. 完璧を捨てる
最後に、1でも少し触れましたが、ディベートは相対的に上回れれば勝ちです。また、毎回自分の最高得点の更新を狙う必要もありません。私もジェミニのときは、分からないモーションが出たとき、Matter 4点 Manner 5点(今でいう、65-85点の間であれば、67点とかに相当)で辛勝したこともあります。2nd Speakerが話す3rd Argumentがないこともあります。(あるMDO EFL Championのチームは、何度か3rd Argumentが無い状態に陥ったようです。笑)普段と違うパフォーマンスではあるものの、Harm Minimizationを行う、のがテクニックです。

6. ラウンド外で、冷静になってPDCAを回す
試合が終わった後、「なんでこうなってしまったのか」という反省を基に、PDCAサイクルを回すことが重要になります。例えば単純な苦手分野の場合はそのリサーチということになるかもしれませんし。即興型ディベートは多くの議題に触れないといけないことから、議題の選び方から工夫したほうがいいかもしれません。(詳しくはこの記事参照。)

2019年5月3日金曜日

"戦場"としたいイシュー、選んでいますか?

令和になりましたね。皆さんいかがお過ごしでしょうか。

今日はディベートの戦略のヒントとなることに関してお話したいと思います。

突然ですが、皆さんは「"戦場"としたいイシュー」を選んでいますか?
それとも、取り急ぎ思いついた幾つかのイシューやアーギュメントを出していますか?
(※ イシューは、取り急ぎ相手から反論もされる"観点"、"Clash point"と同義だと思っていただいて構いません。)

最初のうちは思いついたイシューでの「ごり押し」でも勝てるのですが(何を隠そう私もそのタイプのディベーターです…)上手い相手になると、どのイシューを選ぶのか、所謂「イシュー・セレクション」が重要になります。(TBH思考法でいうHorizontalの話かもしれません。)

1. なぜ"戦場"としたいイシューが重要か?

少し話を抽象化して、「勝てる土俵を選ぶ」という表現はご存知でしょうか?自分に有利となるような分野であったり、テーマであったり、"モノサシ"であったり、色々あるかと思いますが、どこで戦うかが重要だということを表しています。

ディベートの各議題において、Gov/Oppが公平だということは、つまりは「Gov、Oppどちらにとっても有利な土俵が存在している」という意味でもあります。

より卑近な話で言うと、かなり相手から反論"されづらい"、とても強いイシューがあり得ます。説明責任も軽く、直観的(Intuitive)な話が多いかと思います。
例えば、THW mandate organ donations after death.というようなモーションで、Governmentで臓器不足が一定解消され、命が助かることはOppositionとしては戦えはしますがなかなか反論しづらいでしょうし、THW ban cosmetic surgeryのOppositionで、奇麗になれる、嬉しい、というような話も強いかと思います。

もちろん、それぞれそのような強いIssueへの対応策は諸々考えるのですが、「勝てる土俵」(≒戦場としたいイシュー)かというとそうではなく、「不利な土俵」(≒戦場とはしたくないイシュー)であることは間違いありません。

必死にミクロな反論を4-5個うったところで、「弱められてはいたが、残った」(≒mitigatoryだった)と評されることが多いかと思います。結局Closeになっても勝てない、というのはこれが原因だったりします。

2. "戦場"としたいイシューはどのように見つけるか?

では、どのようにして戦場としたいイシューを見つけるのでしょうか?

第1に、自分として"戦場"としたい基準を幾つか持っておくことが重要となります。これは、前述したような、説明責任の軽さや、直観的か否かということが基準になり得ます。Moral High Groundをとれるか(≒聞こえの良い話ができるか)、というようなものも直観的の一要素かもしれませんがあるでしょう。場合によっては、自分が知識的に知っている分野であったり、自分の信条とフィットしており話しやすい、というようなこともあるかもしれません。いずれにしろ、まずは議論単体であったり、あなたの強みと照らし合わせて考える部分が存在します。

第2に、相手に「反論されづらい」かどうかを見る必要があるかと思います。ここでは、自分の話に対して相手がどのように反論してくるか、何度か行ったり来たりすることがオススメです。どのような角度から来ても、そこそこ残りそうな話であればそれを"戦場"として相違ないということかもしれません。

第3に、あくまでこれは「相対論」となるので、他のイシューと簡単にでも良いのでスキミングできると良いです。つまり、複数イシューがあり得る場合はその中でもどれが強くなりそうか、という比較になり得ますし、相手が出してきそうな最も強いイシューと同じなのか、そうでないのか等も勘案できるとベストです。

3. どのように自分の"戦場"に持ち込むか?

ここまでくると、どの戦場で戦うかは分かったので、次は実際にその戦場に持ち込む必要性が出てきます。ここはある程度ケースバイケースではあるものの、例えば下記のような戦術が考えられます。

(a) その"戦場"に時間をかける
分かりやすい話かもしれませんが、1st Speakerの最初のArgumentから含め、スピーチのエアタイムを増やすことは一つできることかと思います。ジャッジとしても無視しづらいので。そして単に同じことを繰り返すのではなく、ロジック、例等可能な限り強めます。これをある種"squeeze the argument", "leverage the argument"というような表現を海外勢はしています。最大限活用するということかと思います。
(なお、ただし、結局のところArgumentは量×質なので、質があまりにも悪いとジャッジとしても判断してくれませんが…。)

(b) その"戦場"がなぜ大事か説明する
"This debate is about..."というようなフレーミングが一時期流行していましたが、このイメージです。なぜ話しているIssueが最も重要なのかを明示的に説明することが一手となります。結局はこのtradeoffが普通だよね、というSpirit of the Motionや、Core Issueに近いことを示すことであったり、相手の話を踏まえて"このイシューが最も重要だよね"ということを明示的/暗黙的なコンセンサスだとしてしまうパターン等諸々あります。

(c) 相手の"戦場"が関係ない/重要ではないと言いに行く
なぜ相手の話が重要ではないか、ということを示しに行くことも一つの戦術となります。明らかに関係ないよね、インパクト小さいよね、Exclusiveじゃないよね、Set-upと関係ない話をしているよね、等色々あるかと思います。

4. どのように"戦場"選びを型化していくか?

これらを一過性の取り組みとしないためには、幾つかの方法論があります。

・プレパの一つの問いにしてしまう(例えば、以前プレパ・シートについて書いたかと思いますが、ポイントとなるのは思考を走らせるための問いなので、そこに入れるのが良いかと。)
・"戦場"の基準を精緻化していく (2.の話ですね。これは、例えばうまいディベーターがどのようなイシューを最初に選んでいるのか、ジャッジがどのようなイシューでVoteを決めたのか、というようなところから考えるのも一手となります)
・大きな対立軸(≒Cookie Cutter)とセットで覚える (こちらの記事でも書きましたが、「大きな対立軸」っていくつかあります。結局はトレードオフがある程度ディベートは不可避なので、例えばRetribution vs Rehabilitation、Economy vs Environment等、幾つかのパターン認識を持つというのも効率的です)
・"戦場"選びに失敗したパターンのストック (akもよくやるのですが、なぜ失敗したのかを深堀りします。自分のバイアスが入りすぎた、相手に細かく対応しすぎた、等幾つかの恥ずかしい失敗事由にたどり着きます…)


いかがでしたでしょうか。ぜひ"戦場"としたいイシューを正しく選んでくださいね!

ーーー
主要記事まとめはこちら

2018年10月7日日曜日

akが見た世界トップジャッジ陣のトレンドと、日本のディベート観との比較

今年はKyushu Debate Open、Macau Tournament of Champions、China BPと3つの国際大会に参加しました。

その中で、ひたすらに海外のトップディベーター(近年/今年の、WUDC CA/DCA、Champion、Best Speaker、Australs CA、Champion等)にジャッジされたり一緒にジャッジしたりした中で、akが重視する傾向にあるなぁと感じたことを書いていきます。

(最近国内の大会に顔を出せていないので、日本でもこのトレンドがあるのかもしれませんし、サンプル数は25位なので十分に優位なのかもわかりませんが、ご参考になれば幸いです。また、これらは「近年」重視されはじめたのか、前からなのか、等のところは分からないというところも断っておきます。ややcontroversialになるかもと思いながらも、議論するきっかけになれば幸いです。何かご質問などあればいつも通り当然どうぞ!)

1. Argumentの強さを測るのはWhy true?とWhy important?の2つのレンズ
こちらのMDGによる有名なビデオにもありますが、基本的にArgumentはこの2軸で評価されます。(この2つの掛け算によりArgumentの強度が決定される)

Why true?というのは、akの解釈では、いわゆるメカニズムと呼ばれるような"how"(なぜ起きるのか)が中心となると思います。これは、モーションに関連性の高い(Relevantな)5W1Hにより「なぜ特定のことが起きるのか」というのを深く説明できるか、だと思っています。(なお、Secondary Mechanismの重要性はこちらの記事で書いています)

Why important?というのは、絶対的Impact/相対的Impact両方になるかと思います。(これも同じくこちらの記事で書いています)なお、所説ありますが、特にPrincipleとしてのWhy important?の説明は特に日本勢は下手な傾向にあるのでは?とある海外ディベーターに指摘されたことがあります(大きな主権とか自由とか、正義とかです。)。

事実、直近のChina BPでも、例えば「OpeningはWhy true?はあったけどWhy important?がなかったよね」だとか、「ClosingってWhy importantが無かったから評価できないよね」というコメントが多々存在しました。

なお、これを日本のSQ, AP, Impactと対比してみると、基本的なフレームとしては悪くないのかもしれません。いわゆるWhy true?はSQ, APの説明にあたるかもしれないので。ただ、昨今盛り上がっているSQ, AP, Impact批判論にあえて乗っかるとすると、Why true?を証明する一手段としてのSQ, APのフレームワークとして位置付けるほうが良いのではないか、と個人的には思っています。

なお、ジャッジをしていると「どんなArgumentであってもこの2軸で判断すればよい」と思えるようになるので、よりシンプルにかつ感覚にあったジャッジができたような気がしており、個人的にもお勧めです。フィードバックでも"Why true?というところは例えばX. Y, Zと証明していたけどWhy important?が抜けていたよね"というほうが、海外ディベーターの納得度も個人的に高くなっているように感じました。

2. Counterfactualとの比較でWhy true?を証明
Counterfactualという言葉が最近流行っています。ジャッジでもよく聞きますし、ディベーターも「OGはCounterfactualがなかった」というようなFailure指摘をするようにも増えてきているように思えます。直近でもMacau Tournament of ChampionsのOW(GF Best Speaker, Champion)は1st ClashをOG's missing counterfactualと明示して笑いもとっていました。

Counterfactualは直訳すると「反事実」となりますが、akの解釈では"what would the world look like in their/our world"的に、「もう一方の世界観」だと思っています。例えば、THS the dominant narrative of Xの場合、「Xがdominant narrativeな世界」のcounterfactualは「そうでない世界」になりますが、それは例えば「Xが1 narrativeとなっている世界」もしくは、「Yがdominant narrativeになっている世界」になり得るかと思います。

これを日本の今までのSQ, AP論に当てはまると、SQのcounterfactualは例えばAPにはなり得ることはあると思います。一方で、毎回そうとは限らない(分かりやすいのはcounterplanがあるとき)ので、万全なフレームワークではないのでしょう。特に、Policy MotionではなくAnalysis Motion (THS, THR,等)のときはさらにそうかもしれません。

なお、China BPのBriefingでもAnalysis Motionでは「We need to describe and justify how an alternative world would look」と言っているので、counterfactualがなぜ起きるのかという説明も必要になる(Why true?の説明は当然必用)ことだけ留意ください。

感覚的ですが、本当に多くのジャッジ陣がRFDでも使うことが増えてきているなぁと思ったりしているので、ディベーターとしてスピーチで使うだけでも「おっ」と思わせられるかと思います。事実、China BPで3日目に大きく点数を伸ばしたThe Kansaiチームは、OFも"counterfactualがない"とスピーチにねじ込んでいたところを見ると、アジャストしたのかもしれません。

さらに日本のコンセプトに近づけて論じると、Oppのcounterfactualでは実際もっと悪くなってしまう、という考えだけを見ると、いわゆるBlack Marketの考え方の構図に近いのかもしれません。

3. Mutual Exclusiveであれば、一気に相手のWhy important?を弱体化
ここ数年流行っている概念の一つはMutual Exclusiveかどうかです。Mutual Exclusivityとは、Gov, Opp 2つのModel/Paradigm/Worldにおいてどちらかだけに排他的に存在するか?と問いかけている概念です。要はGov or Oppだけで起きるのか、Gov, Oppどちらでも同じくらい起きるのかという2パターンあるうちのどっちなのか、もし前者であればArgumentとして重要だし、後者であれば重要性ががくっと下がる、というものです。これは上記のWhy true? important?にのっとると、仮にimportanceもめちゃくちゃ説明していたとしてもnot mutually exclusiveということを証明できれば一気に弱くなる、という位置づけになるかもしれません。

もちろん、どのようにExclusiveになるのか/ならないのかというのはディベーターの説明に依存し、何ならそこが論点になることもある、というような感触を得ました。

日本での示唆ですが、反論の型の一つにIt is not mutually exclusiveという型を入れ込む、というのもアリなんじゃないかなと思っています。

なお、余談ですがあるアジアのトップディベーター曰く、この概念はここ数年のトレンドだとか。でも結構アジアでは前から聞いていたような気もしているし、Tateとかも"non-contentious"という反論も結構打ったりしていたなとも思ったので、もしかしたれあHorizontal思考のトップディベーターの中ではずっと概念としてはあったがそれが定着した、ということなのかもしれません。

2018年6月25日月曜日

ディベートを辞めたくなったあなたに4つの問いかけ

他の部活と同様、ディベートを辞めたくなる時ってあると思います。特に、ディベートは辛い時期があります。
ak_debateもそうです。特に全然伸びずに自分はディベートが向いていないんだなと日々思ったときは何度もありました。他のサークル活動と比較したこともありました。"引退"として、9ヵ月間一切ディベートの大会やイベントに出なかったこともありました。

ディベートを辞めたくなる理由は人によりますが、結論として辞めるのもありですし、距離を置くのもありですし、またはがむしゃらに再スタートするのもありだと思います。私は以下のような4つの問いかけをさせて頂くことが多いです。

1.改めて、今ディベートを辞めたい理由って何なんだろう?
 まず、ここの言語化はかなりつらい部分もあると思います。感情の吐露にもなることが多く、akも過去に紙にがーーーっと書き殴ったりして無理やり思考を言語化したり、多くの先輩を捕まえては愚痴を聞いてもらったりしたこともあります。
 これを考える上では、いつごろから辛くなったのか、もやもやしたのか、そのきっかけは、等を考えることが多いです。そしてそれはなぜか、というのをWhyを繰り返しながら考えていきます。
 その結果として、辞めたい理由を分類します。例えばそれがディベートの競技に起因するものなのか、コミュニティに起因するものなのか、もしくは一時的なのか恒常的なのかなどが分かってくるかと思います。これが例えば結構競技・コミュニティ両方にまたがり、恒常的なのであればもしかしたら辞めるという選択肢が現実的になってくるかもしれません。
 そしてその原因を考えます。例えば競技だとしたら何でうまくならないのか、のようなことを考えるわけです。その結果として原因が自分でどうしようもないものとどうにかしようのあるものにも分かれてくるかと思います。自分でどうにかできそうだったらそれを解消する、とかになるかもしれませんし、逆にどうしても解決できないとかであれば諦めるとかかもしれません。
 
2.ディベートをやりたいと思ったきっかけって何なんだろう?やりたいと思った瞬間は何だろう?
 ディベートを始めたきっかけって人それぞれだと思います。また、やり続けようと思った理由もそれぞれだと思います。どういうところが楽しいと思ったり、感動したり、心が動いたりしたのでしょうか?
 これも、競技やコミュニティの話になるかと思います。akの場合は先輩が色々なアイデアをポンポン出せることに感動していたり、英語力を維持したいなと思ったりしていたのが最初で、それが徐々に人の成長に寄り添える喜びなどに代わっていきました。特にakゼミ等のコーチを通じてそれを感じました。理不尽さ、不条理さをなくしたいという自分のミッションにミートする部分が多いと思ったのもあると思います。最近は色々アカデミックな面やディベート初心者向けへのチャレンジ環境も魅力的ですし、OBOG会をはじめとした組織運営も非常に楽しいです。それら関係なしにかけがないの無い友人が属しているというのも大きいかと。

3.例えば、これから1年、2年とディベートを続けたとするとどういう未来が待っているのだろうか?自分は将来どうありたいのか?
 この問いも重要です。時間は有限のため全部やることはできません。どうしても何かしらの優先順位もつけないといけなくなります。
 個人的な所感ですが、競技ディベーターとしてトップを目指してコミットすることはその分かなりの時間的投資を要することにはなるかと思っています。何ならコスパが悪いと評している人もいます。思考力・知識・プレゼン力を上げていく必要性がありますし、当然これはコミュニティが成熟すればするほど相対的に満たさないといけない水準もあがっていきます(=競争は激化します)。もちろん例えばそれがそういう優勝というような結果ではなく、あくまで自分のディベート力を身に着けたいというような教育的意義であれば、その目標が達成されるまでかもしれません。
 ちなみにakは社会人1年目はディベートを"引退"していました。その最大の理由は、私がそんなに器用な人間ではないということと、自分の将来である理不尽さや不条理さを解決したいというミッションに照らし合わせたときに、明確に職業上得られるスキルをつけることが優先順位として高くなるからです。いくらディベートと社会人スキルの一部が重なるとはいえ、未知のスキルのほうが多い中、新しいスキルを身に着けるというのはかなりチャレンジングでcomfort zoneからも抜けないといけません。うまくバランスをとれる人ならともかく、ある種、やり方もわかっているディベートに行くことをakの場合"逃げ道"としてしまうことがありそうだと私の場合は判断し、あえて"引退"にしたわけです。(もちろんもっと器用な人とかはうまくできるでしょうし、これは決して社会人ディベーターを批判している意図では当然ありません)。今は改めて足りないスキルを訓練したり、またはコミュニティビルディングやディベート普及、教育や研究等別の理由があるため"比較的"適度な距離感をもってディベートに携われるようになりましたが、最初からやっていたらできなかったと思います。
 他にも、学生時代から院の研究が忙しい時期、就職活動の時期などはあまりディベートしませんでした。あとはその意思決定はしませんでしたが、他のサークルに入る、だとかをしていたとしたら(ちなみに2年くらいまで2つくらいサークルはやっていましたし、イベントとかはM1とかでも私は出ていました)さらに競技の優先順位は下がっていたかと思います。ディベート以外のコミュニティや活動も当然魅力的なので。
 ネガティブなことをかなり書きましたが、もちろん一方で、ディベートで継続的に得られる短い時間での思考力や、勝つために必死に得られる知識、人を説得するという汎用的なスキルが身についていく様や、それ以上にコミュニティのあったかさなどはとても魅力のため、そこに居続けるという未来もわくわくするものでもあるとは思っています。

4.これらの結果、ディベートとどう向き合うか?
以上の3つの問いに答えると、おのずと今後どうするかというオプションが見えてきます。それは例えば下記のようなパターンになり得るかと思います。

・ディベートに起因しないような一時的な悩みだったのでとりあえずまた明日からがむしゃらに頑張る
・ディベートに起因する問題であり、それを解決できるようにする(例:XXの観点から伸び悩んでいたのでそれを伸ばすためにYYをする)
・しばらくディベートをやった結果の燃えつき症候群だったのでしばらくディベートから距離を置く
・他のやりたいことがあるのでしばらくはそちらを優先する
・ディベートをきっぱりやめて、別のことにコミットする

私自身、この4つの問いは定期的に考えます。どのような選択肢を選ぶのかも、あなた次第だとは思います。ただ、この4つの問いを考えてみると、思考が一歩前進するかもしれません。

2018年5月6日日曜日

後輩と組む時に ~akが考えていたこと、やってもらえて嬉しかったこと~

皆さんGWはいかがお過ごしでしょうか。
エリザベス杯に残念ながら間に合わなかったのですが、akが後輩と組む時に気を付けていたことを知りたい、というリクエストを頂戴したので書いてみます。
akも色々な先輩と組ませて頂いた中で、やってもらって嬉しかったこと+やろうとしていたことを取りとめもなく書かせてください。

(ここでの前提は、先輩ということで一定程度ディベートの能力・経験は比較的高い、ということにしています。毎回そうとは限りませんが…笑)

1.あくまでパートナーとしてフェアな関係性を目指すために、Welcomingな雰囲気をつくる
これが一番大事だと思います。結局のところ、先輩ー後輩間にはどうしても何もしない場合だと遠慮というか、力関係が発生してしまうことは避けられないと思います。("power imbalance"ってやつですね)

普通のパートナーでも、「あなたなことを大切に思っている」「あなたの意見・スピーチにも価値がある」というようなコミュニケーションはチームビルディング上肝要ですが、いい先輩方はそれを特に意識してくださっていたように思えます。

例えばですが下記のようなBehaviorに落ちるのではないでしょうか。

・プレパの間で出たアイデアをちゃんと聞いてくれて、それがスピーチに組み入れられる
(例えば、akが思いついた話がちゃんとArgumentになっていくことがある)
・ラウンド外でしっかりと褒められる/リスペクトが払われる
(例えば、ある伝説的な先輩は「akくんはとても組みやすいね」とふとおっしゃってくださったことがあり感激しました)
・フィードバックが双方になされる
(だいたい先輩から後輩への一方通行になりがちですが、先輩も後輩からの意見を求める。例えば、akは「もしよければ僕もフィードバック欲しいんだけど・・・」と話して、困惑された場合「あ、じゃあ良かったところ褒めて(笑)」と言って話しやすそうなところを言ってもらい場を温めてから、「しいて言うとしたらスピーチのどの辺が気になった?」と聞くようにしています。その時出なかった場合は「あ、まあ今後また気になったら教えて!」といって閉じて2回目に聞くと教えてくれたりします)

こうすることによって、勝ち負けに関係なしにラウンドが楽しくなりますし、さらには後輩もよりリラックスして発言してくれるより好循環に入りやすくなるため、チームとしてのパフォーマンスもあがります。

正直、後輩の視点ってめちゃめちゃ参考になります。私もああその話全然思いつかないなぁとか、結構ありますね。(後輩のおかげで勝てたラウンドとかも結構あります)なのでこの1.の話を言い換えると、後輩のいい話をどんどん出してもらえるようにする環境づくり、というところだけは先輩の役割かなと思います。あくまで走りたいなら道路ちゃんと整備するだとか、花を咲かせようとするなら土くらいちゃんと耕すか、くらいの心づもりかもしれません。

2.チームとしての"成長エンジン"の設計;その際、普段よりも人一倍パートナーのディベート力を分析し、勝ちに繋げる

では、後輩と組んで勝ちに繋げるためにはどうすれば良いのでしょうか。
結局のところ、チーム全体としての「総力」が勝敗には基本的に直結します。
となると、チームとしての総力をあげにかかることが重要になるわけです。

そのためには、"成長エンジン"の記事でも書きましたが、To-Be、As-Is、Approachをしっかり考えることが重要になります。この場合の3つの問いは、下記の3つになります。

1.どういうチームになりたいのか?
2.今、パートナーと自分はどういう状態か?(今どういうチームか?)
3.なりたいチームになるためには何が必要か?

1.はブレイクのようなディベートの実績的なこともあるかもしれませんし、イラストがうまくなる!のようなものもあるかと思いますが、
特にキーとなるのは2.となります。

自分のことをよく知ることはもちろんですが、パートナーのディベート力を人一倍分析することが重要となります。

どういうことかというと、例えばパートナーがPracticalが強いと。で、あなたもPracticalが強い。そうだとすると同じことを繰り返してしまいがちでチームとしての最大出力があがらないとかありますね。となると、例えば自分はPrincipleをうまくなる、とかしていくことも場合によってはあるわけです。

例えばakが一回あったのは、後輩をみているとすごくマクロな話が強いと。いわゆるフレーミングはいいのだが、具体論があまりないと感じていて、ジャッジからもそういうフィードバックを多くもらっていました。そこでやったのは、当然具体的にするためのコツみたいなことはその後輩に教えつつ(例えば、こちらで書いたような内容です)、特に具体的な話は意識してプレパでakが詰めるようにしました。一部それを言ってもらったり、どうしてもその後輩がカバーできなかった部分のイラストはあえてakがイントロで言う等するようにしたりしました。

そんな風に今の段階で目立つ強みがない、という場合は彼/彼女ができることを起点に「役割」をお願いする、というところかもしれません。特に、自分の強み/弱みと掛け合わせて考えることがポイントです。例えば、akは具体的な話があるほうが議論がしやすいタイプなのです。(チープな言い方ですが、「叩き台」があればそこからブラッシュアップするほうが得意)なので、一人の後輩にお願いしたのは相手が何を言うか考えてくれない?ということもありました。後輩が考えてくれる相手の話は確かによくて、じゃあそれをどうやって上回ろうか、という議論に時間をより効率的に割くことができるようになったこともありました。

また中長期的な教育の意味も込めて、今までやった練習方法などはかなり積極的に教えるといいとも思います。参考になった練習法やディベート資料はどんどんシェアしましょう。個人的に一度あったのは、昔ICU出身の先輩の方と組ませて頂いたときに、リサーチのメソッドを教えてもらったことがあります。具体的にはPost Itに具体的なArgumentと具体例が貼ってあると。スピーチのときにはそれをぱっと貼って話せるようにしている、と聞いてすごく合理的だなと思いました。(なお、この練習法を最初に始めた人は、世界大会で日本人記録を持っている方です)akも一時期やってかなり役立ちましたが、今はより自分にフィットした形にカスタマイズしディベートノートとマターファイルにしました。また、普段読んでいるメディアなども色々教えてもらいました。

3. 定期的にコミュニケーションをとり、より良いチーム作りを目指す

akはかなりこれをどのような人ともやるのですが、定期的にラウンドやディベートに関してコミュニケーションをとることは意識しています。具体的には、下記をよくコミュニケーションしていました。

・今悩んでいること
・より先輩としてサポートできそうなこと
・より先輩として改善できること

例えば、よくあるパターンというのは、後輩に「独裁的に」なりすぎていないかということです。あと、例えばスピーチづくりなどもPrime Ministerだとついついかなり指示してしまうこともあります。これだと組んでいる側からすると「先輩の言いなり」になっている感がぬぐえなくなってしまう場合もあります(一方で、それを欲しがる場合もありますが…)

なのでそういったこともざっくばらんに聞いていったりできるとより良いですね。

あとくだらないかもしれませんが、akは一緒に食事をとることも結構意識しています。美味しい食事を一緒に食べるとチーム力ってあがるだとか、場合によっては手作りの食事を食べたりすると結束力があがるだとかという研究もあるようです。(最近だと色々な会社が取り入れたりしているだとか。もちろん人それぞれだとは思うので、強制とかはしませんが。)たまたまですが、昔ある大会で、関東圏に住んでいない後輩と組んだ時は家に泊まってもらったのですが、ついでに大したことはないですが手料理もふるまわせて頂きました。後で聞いたところ「手作りの食事をふるまってくださったおかげでだいぶ距離が縮まりました、同じ釜の飯を食った、じゃないですけど」と言ってくれたので、効果があったのかもしれません。
(ちなみにもちろんですが食事中にフィードバックなどはしません。楽しく食べることに集中したいので雑談です 笑)

4. マインドとしては「勝ったら後輩のおかげ、負けたら自分のせい」として臨む

これは特定のアクションに落ちないのかもしれませんが、このスタンスでいる人って格好いいなと思います。
やや蛇足ですが、社会人になっていい上司もこの要件を満たしていると思います。ミスがあっても、上司が矢面にたち「そうですね、ごめんなさい」と言い、「しっかりとリードできずにすみません」と謝られたこともありその時はこの人すごいな…と思いました。

ディベートで言うと、昔尊敬する他大学の先輩と組ませて頂いた時があったのですが、その人の実績を鑑みると十分決勝トーナメントで勝ち進めなかったことがありました。結果が出たときは当然のごとく落ち込みましたし、ああ僕のせいだなぁと思っていたところ、先輩が「あの負けは僕のせいだ」とおっしゃった際は改めてこの先輩は恰好いいなと思った次第です。

あと、ジャッジのイケてないフィードバックのパターンとして、言い方が悪く結果的に「足を引っ張ってしまった」人をかなり責めることがあります。「リーダーでは全然立ってなくて~」「Memberが反論で機能していなくて」のようなことは、フィードバックとしてはあんまりイケてないので他の言い方が当然必要ですが、そのような言葉を聞いて落ち込んでしまうことがあります。そういう時に「あのいい方はちょっと無いよね」「まあ確かにXXの観点はそうかもしれないけど、Yの観点とかよかったし」等のフォローができるといいなぁと思いますね。

ここで言えるのは、ついつい人は他責にしがちです。自責って結構辛いですからね。やれモーションのせいだと言ってACを批判し、やれジャッジのせいだと言ってジャッジにイラジャとラベルを貼りがちです。akも何度もおそらくやっていたので反省しかないのですが、その中でチームメイトである後輩のせいにしたい、というのは無意識的に分かりやすいところではある逃げ道だとは思います。ただ、先輩の責務としてそれを言い訳に絶対にさせない気概で組む、というのが一つ個人的には刺さる先輩像だと感じています。

これは勝敗に少し直結しないかもしれませんが、人として先輩として意識したいポイントかなと思っています。

以上となります。ご参考になれば幸いです。

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(主要記事まとめはこちら)

2018年1月2日火曜日

色々なジャッジのやりかたの考察 ~ジャッジが使用する基準リスト、よくあるジャッジスタイル等~

先日、"ある若手の方から「ジャッジのやり方」が世代や大学により大きく違って、そのギャップの理解が追い付かずに理不尽さを感じてしまうことが多い"というご相談を頂戴しました。

もちろん即興型ディベートにおいて色々なジャッジの仕方があり、それは十人十色であるべきです。なのでジャッジブレイク/評価制度を通じて"より納得感のあるジャッジ"を目指すインセンティブが存在したり、決勝トーナメントでは複数人ジャッジを配置するわけです。なので、完全にジャッジの仕方の標準化などはすべきでもないですし、できないと思います。一方で、様々な「ジャッジのやり方」を知ることは、ディベーターとしての成長にも寄与するだけではなく(=より多くの人を説得する)、ジャッジもよりレベルアップにつながる(=より多様なジャッジングができる)ため有益でしょう。

したがって、今回のポストでは特に、ジャッジが使用する「基準」に関して考察したいと思います。(ジャッジはディベートの内容・全体像を理解した上で、「特定の基準(観点・視点・比較軸)」を用いて比較をするというプロセスがあるかと思いますが、その「基準」の話です)

目次は下記のとおりです。
<1.基準リスト>
<2.(ak_debateの偏見による)基準リストを踏まえた上でのよくあるジャッジスタイル>
<3.事例:ak_debateのジャッジの癖は?>
<4.基準を起点に考える、良いジャッジとは?>


<1.基準リスト>
このリストの注意点だけ先に。
1.包括的では無いと思っています。あくまで、ak_debateの知っている範囲で書いています。
2.下記の基準の理解は人によるかと思います。あくまで、ak_debateの解釈です
3.また、繰り返しになりますが「特定の基準がどれかより良い」という話ではないです。

【Matter関連の基準】
・Relevancy/Uniqueness (モーションのWordingや背後にあるSpirit of the Motionとの関連性)
・Exclusivity (肯定側/否定側にのみ起きるかという排他性)
・Logic(ideaを支える論理。MECEも参考になる。参考記事はこちら)
・Example/Case Study/Analogy (ideaの具体例・ケーススタディや類似例)
・Consistency(ArgumentやMatter全体の矛盾の無さ)
・Responsiveness (反論の強さ)
・POI (POIの内容やそれへの対応等)

【Manner関連の基準】
・Framing (絶対的Impactと相対的Impactの明示等。絶対的Impactの中ではminorityを守るのような、いわゆる"聞こえの良さ"も入る。参考ブログ記事はこちら)
・Structure(内容の分かりやすさ。結論から話されているか、ナンバリングがされているか、話の間の有機的なつながりがあるか、等)
・Wording/Rhetoric/Visualization (効果的・効率的なWording、レトリック、"イラスト"=描写等)
・Non-verbal Languages(ボディランゲージ等パブリック・スピーチ上効果的な非言語的なコミュニケーション)

【Role Fulfillment/Technicality関連の基準】
・Dynamics (重要な議論が早い段階で出ているか)
・Team/Speaker Role (例えばBPの場合はClosingがKnifingしていないか、PMであればset-upができているか等)

<2.(ak_debateの偏見による)基準リストを踏まえた上でのよくあるジャッジスタイル>
※繰り返しになりますが、誰かを否定する意図は一切ありません。
過去のジャッジを通じて「いろいろなジャッジがいるなぁ」と思った際、無意志的にこういう分類をしていたのを棚卸しました。

・「内容(Matter)重視」 vs. 「見せ方(Manner)重視」
前者は、内容を細かく見て、logicやその反論等を丁寧に追っていくスタイルです。調査型ディベートの出身や、海外だとアジア、北東アジアのジャッジはどちらかというとMatter重視なイメージがあります。
後者は、どのように伝えたかをより重要視するスタイルです。海外だと、非アジア圏(オーストラリア、ヨーロッパ等)がこの傾向が強いイメージがあります。
もしかしたら、例えばイラストをした際に「それはrhetoricalだったが印象操作でしかない」ととるか「十分に感情に訴えかけてきており評価する」ととるかでも分かれる気がします。

・「Principle重視」 vs. 「Practical重視」
前者は「Practicalが立ったとしてもそれがなぜ大事か」まで踏み込まないととらない、ないし、Principleのgov、Practicalのoppだとgovに入れる傾向にあります。海外だと、ヨーロッパ圏のジャッジが特に好きなイメージがあります。また、哲学科などの専攻のディベーターが好きな傾向もあります。
後者は「結局はPracticalが大事」だという価値観の下、上記のシチュエーションだとoppに入れる傾向にあります。海外だと、アジア圏のジャッジが特に好きなイメージがあります。

・Utilitarian vs. Non-Utilitarian
上記と少し似ていますが、功利主義的に評価するか(=インパクトの大きさでとるか)、非功利主義的な話まで含めて評価するか(場合によっては功利主義の話もその重要性までないととらない)だと思っています。
一番難しいジレンマは例えばTHW legalize torture.のようなモーションで「多くの人が助かるから拷問しよう」vs.「人を手段として使用してはらない」のような話が対立した結果、結果大きさを優先するのがgov、プロセスの悪さを優先するのがoppに入れる気がします。

・「General Theory」 vs. 「Specific Contents」
前者は抽象的であったり、ややgenericであっても十分にとり、後者は具体論でないと取らないという癖です。 例えばTHW legalize all drugs.のようなモーションの際、generalなfreedom of choiceでも十分にとるか、具体的なdrugのユニークネスまで踏み込まないととらないかという差分があります。

・gov有利 vs. opp有利 / Opening有利 vs. Closing有利
これは無意識のうちに、何かしらのバーデンの重さがあるという場合です。
gov/opp有利に関しては「govがbenefit 0, oppもharm 0」のような仮想状態の際にどちらに入れるか?という質問をした際どちらに入れるか?という質問でもわかります。
Opening/Closingに関しては、OpeningとClosingが仮に同じくらいの貢献をしている際に、「時間が少ない中CaseをつくったOpening」をとるか、「先に話せるにもかかわらず同じくらいCaseをつくれなかったOpeningを十分に抜いたClosing」をとるかの好みだと思います。

・問題解決モーション時のGovの説明責任重視型 vs. Oppの説明責任重視型
上記のgov 有利 vs. opp有利の話の延長線上にありますが、policy motionで特に問題を解決することが求められる場合の説明責任をどれくらい持たせるかです。
govの説明責任重視型の場合は、問題の深刻性、その発生原因、その解決策としての適切性等を説明することが求められています。oppの説明責任重視型であれば、既存の枠組みや他の枠組みによってその問題をどの程度解決できるのかというのを単純に「alternativeとしてこう」というアサーションではなく、どのように問題を解決できるのかある程度詳細に説明することを求めてきます。
個人的にはこの部分は海外とずれがある気がしており、Asian Style、特にAustralsにおいてはgov、opp共に問題解決のバーデンがそこそこ同じくらいある印象がある一方、国内ではややgovに厳しい傾向があるかもしれません。(一方で、こちらのように過去にはgovが説明しなさすぎで苦しんだ事例もあるようなので、結論としては、gov、opp同じくらいの説明責任を求めるというところが落としどころなのだとおもっているのですが、精査は必要だと思っています) 参考:ICUブログ

・ClosingにおけるNew厳格型 vs. New寛容型
Opening有利/Closing有利にかかわるかと思いますが、ClosingのNew Analysisをどれくらい重くとるかで分かれると思います。確かに、”Anything that opening did not say”がExtensionになり、反論もcontributionになることは誰も否定しないのですが、その貢献の大きさとして、オチ/Impactも違うようなCompletely Newを求めるのが前者で、ほぼフレームはでているが間のロジックを追加することもそれと同じくらい重要な貢献ととるのが後者です。同様のことは、具体化・Case Study・Impactの追加等でも生じるかと思います。

・Framing 超重視 vs. Framing重視
「はっきりと明示しているか」どうかをとても重視するかどうかです。
この話は特に反論/立論のとりかたや、Closingのとりかたで顕著になります。
例えば、反論/立論を「相手のこの部分に反論している」とはっきりとFrameしていなくてもとるかどうか(=ハッキリ言っていないのでとらない vs. ハッキリいっていないが、とはいえimplicitに分かる)、Closingでも「これがExtensionだ」「このExtensionはOpeningを抜いている理由はXXXだ」とはっきり言っていなくてもとるかどうかで分かれます。
なお、最近アジアではFraming超重視型が流行っている気がします。

・Stance 超重視 vs. Stance重視
チームや個人としてのStanceを超重視するかどうかです。
前者の傾向として、例えばPMの話とDPMの話が異なる場合/シフトがある場合、大きく評価を下げます。

例えば、以前この記事でも書きましたがこういう現象です。
また、日本では驚くべきポイントだったと思いますが、同じくそのHigh School Pre-Semi Finalで、PMがpoliticsの話に終始、LOがそれもあるがfeminismも大事だよねと言い、DPMがそれに対応する形で両方話したものの、私以外のジャッジ2人は「それじゃ遅すぎで4位」と言っていました。(そもそも分析の深さやエンゲージで下がるなぁと思っていたので順位は一緒だったのですが、そんなに重く見るんだ、とちょっと驚愕しました)もちろん、その2人がstandardなジャッジなのか?という点は注視する必要はあるかもしれませんが、それくらいにSell your ideaがしっかりしていないと評価が下がる、という例かもしれません。
・Hard Stance好き vs. Soft Stance 好き
上記と少し関連しますが、「これもこれもこれもOK」という話を評価するかどうかです。
例えば、THW legalize hate speechの場合、governmentはdefamationもlegalizeするスタンスでないと評価しないのがHard Stanceが好きな人の傾向であり、「いやそこまでやらなくてもdifferentだし、radicalすぎる」と思うのがSoft Stanceが好きな人の傾向です。

・Contradictionへの厳格型 vs. 寛容型
Stanceと関連しますが、Contradictionがあった際にどれくらい重く見るかです。厳格型ですと「矛盾があった時点で著しくチームとしての評価/点数を下げる」ことになりますし、寛容型であればその部分だけとらない、矛盾する点のみとらないなどの対応をします。近年国内外のブリーフィングでもスタンスが割れているようなホットトピックの一つです。

・ディベートのゲーム性超重視 vs. ゲーム性重視
いわゆるディベートを「競技」としてとらえる度合いの違いです。例えば、POIのやり取り/とった、とらなかったをかなり重く見たり、Dynamicsを重くとるかどうかです。

・ロジック(・説明)重視型 vs. 直感重視型
前者であれば、どのような話においてもロジック(理由)を重視します。後者であれば、一般感覚的に分かるのであればロジックが薄くても十分にとります。例えば、「女性をモノとして扱ってはいけない」「人を殺してはいけない」のような話の際、とはいえ抽象論(全ての人は目的をもって生まれてきている)アナロジー/Case Study(人権がuniversalに認められている)等の説明を求めるのが前者で、「そこまで説明しなくても一般感覚としては分かる」とし重いバーデンを置かないのが後者です。

・ディベーターが設定したBurden重視型 vs. ジャッジとしてBurden設定型
前者は、あくまでディベーターが言った内容をBurdenとして捉えるスタイルです。例えば「OppositionはこれにこたえるBurdenがある」とディベーターが言った際に何もOppositionが言わない場合はそれを是として捉えます。また、Self-Burdenでも「これを説明します」というのを説明すれば取るスタイルになります。一方で後者は、モーションのSpiritを勘案し、自分でBurdenを設定し、それを説明としているか否かで判断します。先ほどの例で言うと「OppositionはこれにこたえるBurdenがある」と言われた際も「それは合理的に無い」のような判断を設定したり、Self-Burdenも「それだとモーション肯定・否定に至っていない」と裁量を発揮する傾向にあります。

<3.事例:ak_debateのジャッジの癖は?>

上記だとやや抽象論かもしれませんので、ak_debateのジャッジの癖を具体的に書こうと思います。といっても、実は私も時代によって変わってきている気もしたり、私がここで書いたことがすべてではないと思うので、あくまで主観的であることを断っておきます。また、他にも色々ありますが、いったんこれくらいで。

・「内容(Matter)超重視」→「内容(Matter)/見せ方(Manner)どちらも重視」
以前は本当に1にも2にも、Logic, Relevancy/Uniqueness, Exampleのような基準を優先していました。例えばイラストだけ話されていても「ただの印象操作」だと思っており、あまり評価しませんでした。なのでLogicのgov、イラストのoppとかであれば明確にgovに入れていました。

その背景には、おそらく自分の癖や勝ち方としてMatter重視があった(=自分がMatterを理由に勝ちをもらっていたり、ライバルがMannerもうまかったことの悔しさ(笑)があったのかもしれません)のかもしれません。一方で、NEAO、UADC、Asian BPのようなアジア大会では所謂「愚直なMatter」を評価されないことが多かったのです。(内容が全くないような印象操作だけのチームに負ける、等)したがって、Mannerも十分に大事なんだと思い始めMannerも評価するようになりました。この傾向はAustralsでも思ったのは別途こちらで書いています。

さらに近年は、職業柄「明示的に言うことが良い」とされており、そうでないと話者の責任だというカルチャーもあるため、より見せ方を重視する傾向になっています。

・Principle重視→Practical重視
以前はLeaderを行っていたことや、憲法学/哲学に関係する本等で得た知識も色々あったので、Principleをすごくとっていた傾向にありました。Animal Rightにしろ、Free Choiceにしろカント主義的な話にしろ、好きでした。一方で、ジャッジをするようになって、principle vs practicalになってしまうと、どうしてもpracticalが個人的には分かりやすいためとってしまう傾向が強くなったのだと思います。また、アジアのディベーターはゴリゴリPracticalでごり押してくるスタイルですごく好きというのもあり、今でも結局Practicalは好きなのだと思います。

もしかしたらこの背後には、1つめの話と関係して、また自分が知っているが故の、Matter重視があるのかもしれません。Principleをロジックなしに建てられてもなぁ、というのが自分の感覚であり、例えばFree Choiceであるならbodily autonomyがなぜあるのかだとか、そのanalogy等を含めて話してくれないと、というexpectationがあるのかもしれません。

・Example/Case Study/Analogy重視
で、結局どういう例なの?という話はとても重視する傾向にあります。Example, Case Studyの中で明示的にLogicがなくても比較的とることがあります。(わからなくはない、という点で。もちろん明示的にLogicがあるほうが当然評価は高くなります。)
この背後にあるのは、おそらく2年目のADIで言われたトレイナーに言われたアドバイスです。「話は十分に分かるけど、よりconvincingになるためにはreal-life exampleがないといけない。」(もちろん、そもそも特にCase-Studyが多い海外の教育機関で学んだこととかも影響しているのかもしれません。)なんなら、このセクション自体事例ですしね。

他にも、同期からオーストラリアの傾向も聞いていたからかもしれません。
ICUの同期による記事を、一部引用します。

⑦ 知識量の差
僕たちICU1は最強チームとあたった訳ではなかったので、この点はラウンド内で感じた訳ではなかったですが、大会全体を通して感じました。やっぱりevidenceがあると自然と説得力が増します。
Octoのacademic achievementに応じて学校への助成金の額を変えようmotionで、USU2のPMは「この政策は既にNYで導入され、成功している。それを受けてArizonaなど他の州でも試されてきている」と序盤から捲し立てていました。
R6(米国は台湾への武器輸出をやめようmotion)が終わったあと、Melbourne1のベテランディベーターが「近年、米国は92年、?年、08年、そして今年の1月に台湾に思いっきり武器を輸出したよね。その度に中国は軍事演習やるとかいう反応を示したよね。それぐらい中国にとってはsensitiveなissueなんだよねー」と教えられてしまいました・・・

<4.基準を起点に考える、良いジャッジとは?>

勿論内容を全部見ている(=このラウンドがこういうラウンドだったという理解が網羅的・正確)である前提で、ですが、その際良いジャッジとは何なのでしょうか?

これに正解はないのですが、基準だけに限って言うと、私は複合的に基準を用いることができるか、にかかっていると思います。要は特定の基準だけで物事を見ないのか、かと。
よく陥りがちなのは、「logicで見ました!!!」「Framingで見ました!」等特定の基準に飛びついてしまうパターンです。それ以外もあるじゃん、と言われた瞬間に「あっ」となってしまうことがよくあります。色々な基準があってそれは皆違ってみんないいとおもっているのですが、となった際の落としどころは「多くの基準を使用する」ことかなと今ak_debateは思っています。

なのでアジアのジャッジとかだと「There are 3 reasons that you lost」のようにジャッジする人もいます。これがbestなのかはわからないし、「え、そこまでボコす?」と思う時もありますが、1つの基準だと納得してくれないがゆえに、複数基準で見るようにしているのかな、と思っていました。特にBPであればなおさら、複数基準で議論することが海外勢と話していると多いなという雑感です。

また、他の解としては「ディベーターが明示した基準を用いる」というのもあると思います。これで比較してよと言っているんだからそれで見るのがフェアだという考えです。最近ak_debateもそうかもなと思っている一方で、それはそれでFraming超重視の考えでもあるし、そもそもその基準が正しいんだっけ?というところまで踏み込まないといいジャッジではないのでは?とも思っており、絶対的な解には至っていません。

とはいえ、また、「これで決めるの?」というのが通説的に「おかしい」とされているものもあると思います。例えばMannerでのNon-verbal Languagesを理由に勝ち負けはたぶんつけません。説得力がどれくらいあがったかというのには当然寄与するのでスピーカースコアには跳ねたりすると思いますが。

いかがでしたでしょうか。

なお、最後に改めて強調致しますが、「特定の基準を用いるジャッジがいい、悪い」という議論をしたいわけではありません。ちゃんとディベートを理解した上で根拠のある説明ができれば「イラジャ」ではなく「ダイバーシティ」だからです。あくまで、私の経験上色々な基準を用いるジャッジがいるのでそれを知っていくことがディベーター/ジャッジにとって良いかなと思っている意図でこの記事を書いたことをお断りしておきます。

また、この記事を書くにあたって何人かの方にフィードバックを頂きました。基準、スタイル等他にございましたらお気軽にご連絡ください!

2018年1月1日月曜日

プレパ・シートをつくれ! ~プレパレーションの効率を最大化するために~ その4<振り返り・まとめ>

4回にわたって行ったコーチ・セッションでしたが、結果はどうだったのでしょうか?

客観的なところで言うと、予選のオープンの3ラウンドで8点を取るなど順調に滑りだしました。残念ながらR4は決勝に進出したチームに囲まれ4位になってしまいましたが、見事に予選を突破。ディスカッションの結果敗退してしまいましたが、Semi Finalist(ベスト8)という結果になりました。

なお、実践編では省いていましたが、2人の共通の目標として「できればGrand Final、少なくともそこに届き得るSemi Finalまではいきたい」があったため、目標は達成できたと言えるでしょう。

実際、大会終了後、ヒアリングをした際のお二人のコメントというのは下記の通りでした。
Iさん「この大会では、ポジティブな感情が大きかったです。やりたいスピーチができました。Semi Finalも負けて悔しかったのですが、"出せる限りを出した"と思えました」
Eさん「正直、終わった瞬間、(もっと勝ちたいという)欲は出ましたが、中堅層にはごりっと勝てるようになれたので満足しています。Semi Finalまで行けたのは良かったのですが、一方で、GFまで行きたいというのはパートナーとも話していたので、もうちょいできたかも、という感覚もあります」
色々な解釈があるかと思いますが、満足度は高く、またポジティブな意味での向上心も沸いたのではないでしょうか。

プレパ・シートの効果に関しては下記のようにいただいています。
Iさん「たまに見ながら使っていた。また、オーダーメイド感もありそれによりモチベーションもあがりました(笑)・・・それから、ぜひ色々な人にとって参考になると思うのでプレパ・シートは公開してください」
Eさん「頂いたプレパ・シートによりプレパが"地に足のついた形"になったと思います。今まで正直このような形でプレパを行ってこなかったので、とても勉強になりました。また、実はすでにこっそり後輩に"こんなのもらったよ"と見せちゃいました(笑)」
「プレパ・シート」の効用はあり、ぜひ他の人にも広めたい、というコメントを頂戴している、というところでしょうか。

さらに、今回のコーチングに関しては下記のようなコメントをいただいています。
Iさん「ak_debateさんに見て頂いて一番ありがたかったのは、特に弱みが分かったことでした。勝ち筋・具体化を意識させていただいたことで、特にクロージングはとてもやりやすく、パフォーマンスは高かったです。すごくありがたかったのは、ak_debateさんはすごく細かく僕たちのことを観察してくれたので、例えばIさんはこういう特性があるからこういう風にやってみるとどうか、のようなアドバイスが頂けました」
Eさん「今回一番ありがたかったのは、最初に何回かプレパ見て頂いて、"このチーム特有の課題を洗い出す"ことでした。例えば、"勝ち筋"に関しては正直全然意識していませんでした。結果的に考えることはあったのですが、毎回意識的に考えられるようになりました」
これは正直恐縮しかありませんし、お二人の人間性に助けられている気がしますが、プレパ・シートをつくることを中心においた今回のコーチングでは「チーム特有」のプレパの型ができた、いいかえると、プレパレーションの効率化が最大化されたのではないでしょうか。

いかがでしたでしょうか。
もちろん、すべてがプレパ・シートに落ちるわけではない(=プレパ・シート以外の要素、それは例えばそれ以外のコーチングの部分であったり、お二人の他の練習であったり、色々な因果をもってプレパの効率や今回の満足がいくようなパフォーマンスにつながった)のですが、「プレパ・シート」づくりはプレパの効率化につながるのではないでしょうか。

最後になってしまいましたが、Eさん、Iさんには感謝です。本来これは「競争優位性」でもありますし、正直弱みもあるので「恥ずかしい」感情もある中、今回このような形で文章を公開させていただきました。また、少しでもお二人の満足度・成長に寄与できていたのであれば、これほどうれしいことはありません。

プレパ・シートをつくれ! ~プレパレーションの効率を最大化するために~ その3<実践編②>

【Day 2/Day 3:プレパ・シートの具体化・進化】

2回目、3回目は細かい違いはあるものの、基本的にはブラッシュアップだったので、どちらもまとめて説明しようと思います。

Day 2はまず、Day 1のプレパを受けてその後どうなったか2人に聞くところから始めました。Eさん、Iさん共になんとなくプレパのやり方は定まりつつあるような感じでした。一方で、とはいえなかなかうまく行っていないという感覚があるようでした。

プレパでは実際に二人がプレパをするところをみながら、「例えばこういうことを意識したらどうか」「こういう問いを立てたらどうか」という部分を試してみるということを繰り返しました。具体的には、Day 1で特定された「Issue特定」→「戦略立案(勝ち筋を見つける)」→「具体性を強化する」→「Speech化」というステップで、それぞれどういう問いを立てればいいかというのが追加されていきました。

例①:
たとえば、「具体性を強化」というところは、なかなか2人の課題だったこともあってなかなかイメージがわいていなかったようです。とはいえ、別にそれがスピーチになった際にできないというタイプではなく(特にEさんは何度かスピーチを見ていましたが、別に話が抽象的な印象はなかった)のではなく、あくまでプレパの工夫次第で解決できると仮説的に思いました。

そこで「具体的にどういう人がどう辛い/嬉しいのか?」という問いを意識的に立てるようにとアドバイスしました。それまで見ていると、例えばTHBT Mexican government should adopt measures that enable the Sinaloa Cartel to monopolise the market、THW criminalize "revenge pornography" in the same way as rape、THW pay teenage girls to not get pregnant.のようなインパクトが見えやすいモーションではArgumentで勝手に具体化されていく傾向はありました。一方で、THW introduce basic income. や、THBT parents and educators should actively encourage children to invest in their physical appearance and attractivenessのような経済モーション/教育モーションであると、なかなか具体化されていないなと思ったからです。この問いを意識するようになってから話が深まるようになっていました。

例②:
他には、「戦略立案」の際に、結局押しどころがわからず、かつ特にIさんがPrincipleの話が好きで、EさんがPracticalの話が好きだった際に、好みが大きく分かれ「結局何を立てよう」というところの意思決定ができず、なぁなぁになってしまっていました。その際、どの話を立てるのかなどはもちろん色々な戦略があるとは思うのですが、いったんEさん、Iさん共に納得感があったのは「最もintuitiveな話は何か?」というintuitiveさによる優先順位付けでした。

例えば、THW ban convicted criminals from publishing the narrative about their crime.のモーションであればgovは「被害者のmental pain」は分かりやすい話として勝ちやすい傾向にあるという結論になりました。
THBT Mexican government should adopt measures that enable the Sinaloa Cartel to monopolise the marketのgovであれば、long termの話は勝ちづらいかもしれませんが、short termでは比較的moderateなactorが力を持つことで人が攻撃されたり、殺される危険性が下がる話は立ちやすいという結論になりました。

したがって、いくつか議論が出た際はまずはintuitiveかどうかという観点から優先順位付けし、それをしっかり立てること、また相手の最もintuitiveな話をいかにつぶすか考えるということで合意しました。

例③:
今までの話はどちらかというと「弱みを改善していく」話でしたが、ak_debateが重要視しているのは「強みを強化していく」ことも重要視しています。Eさん、Iさん共に優秀なジャッジであることから特にCloseになった際優劣をつけることには慣れている傾向がありました。したがって、「Clashの解消力」を一つ武器にできないかと思いました。また、ジャッジだったとしたら、という風に考えたほうが思考が走りやすいのではないかと思っていました。

そこで例えば、「戦略立案」の際には、単純に最もintuitiveな話を考えるだけではなく、その際どういうClashが生まれるか、そのClashをどのように解決するのか?というところまで踏み込めれば特にClosingでは勝ちやすいと思いました。そこで、「ジャッジだったとしたら、解消出来たら嬉しいClashは何か?」という問いを立てることを推奨しました。

例④:
また、「強みを強化していく」文脈で言うと、とくにEさんは面白いアイデアを思いつく傾向にありました。それらは必ずしも思いついた時点でwinning argumentではないものの、強いExtensionになり得たり、主要なArgumentのlogicを強化する可能性もありました。一方で、ak_debateが見ていてプレパで勿体ないなと思ったのは、Eさんは「完璧になるまで言わない、遠慮してしまう」という、Eさんの人の良さがにじみ出る結果のクセでした。これは勿体ないなと思い、最初のIssue特定の際に、「まだできていないけど」という前提でアイデアの種も共有してもらい、それが具体性強化などの際に「花が咲く」ことも必要に応じてチャレンジすることにしました。したがって、Issue特定に「迷っているが、使えそうなアイデアの種は何か?」という問いも追加しました。

例⑤:
さらに言うと、単純にOpening/Closingの練習を2人にさせるだけではなく、他にもいろいろなシチュエーションで練習しました。

例えば、プレパ練3種でもご紹介しましたが、Closingプレパ練も行いました。具体的には、ak_debateも10分ほどプレパし、Openingで言う際言う話を全部いい、その後数分のプレパ時間の後、Closingで言う話やその埋め込み方を練習しました。

この背景としては、Ryoso Cupの参加者の性質を鑑みると、北東アジア大会(NEAO)の決勝進出者、アジア大会(Asian BP)のQuarter Finalist進出者等もいたため、強いOpeningの後ClosingでExtensionがないリスクがあったからです。また、チームとして「Openingをどう上回るか?」という問いがないままいくつかのアイデアをばらまいてしまうことがあったので、「Speech化」のときに「Openingをどう上回るのか?」という問いも追加しました。

(さらに、特定の問いの追加にはなりませんでしたが、Eさんがプレパを観察する形で、ak_debateとIさんがプレパしたこともありました。これは、後で聞いたところEさんが「プレパで止まってしまったとき」ですとか「困ったとき」にどのように打開しているのか見たかったらしく、あえて少し止めたりしながらak_debateの反応を見ていたとのことでした 笑)

<Day 2~3のまとめ>
・各プレパのステップにおけるKey Question(プレパ中にたてる問い)を明確化しました。例えば、「戦略立案」の際は、「最もintuitiveな話は何か?」、「具体性強化」の際は「具体的にどういう人がどう辛い/嬉しいのか?」の問いを追加しました
・これらの問いは正直無限に立てられるものの、その際意識したのは2人が特に課題と思っている「弱み」だけではなく、「強み」も活かすことでした。例えば、面白いIdeaの種が出るEさんのポテンシャルを最大化するために「迷っているが、使えそうなアイデアの種は何か?」という問いを追加したり、EさんIさんが共通して高いジャッジとしての能力をディベートでも応用できるように「ジャッジだったとしたら、解消出来たら嬉しいClashは何か?」という問いを追加しました

【Day 4:プレパ・シートの定着・最終化】

いよいよ最終日になりました。この日は、ak_debateから今まであったプレパ・シートは紙を写メって送っていたのですが、当日使いやすいようにpowerpointにしてわたしました。(時間的余裕があれば最初からやったほうがよかったかもしれません)

それを見ながら、最終調整というところでプレパ・シートを見ながら確認することを特に意識しました。Day 4ともなると、だいぶプレパ・シートは定着しており、必要に応じて問いがしっかりと立てられており、プレパがスムーズになっていました。

それはak_debateから見ても、本当にスムーズになっていました。それはフィードバックさせていただいたうえで、いくつかプレパ・シートをマイナーチェンジしました。

例えば、2人ともHorizontal思考が強いというところのデメリットとして「相手がこれを言ってきたらどうしよう」と考えすぎてしまったことがあったようでした。したがって、最後に「ただし、見えない敵と戦いすぎず、場合によっては自分の話に自信をもって集中!」というのを最後に追加しました。

最後に、プレパ・シートの使い方に関してディスカッションしました。ラウンド前/中にお互いに見返し、今まで行ってきたように必要に応じてアップデートしていく、ということを当日は2人で行ってほしい旨を伝えました。(理論編の3.プレパ・シートはどのように使うのか?の内容です)

こちらにも書きましたが、最終日は詰め込むことは得策ではありません。あくまで今できる「最大出力」を出せるようにコンディショニングすることが最も重要だと考えています。

<Day 4のまとめ>
・今までの復習に代えて、プレパ・シートを最終化して、共通認識を持った。
・プレパ・シートの当日の使い方を合意した。

2017年12月31日日曜日

プレパ・シートをつくれ! ~プレパレーションの効率を最大化するために~ その2<実践編①>

前回は、プレパ・シートの理論をご紹介しました。今回は実践編で、「どのようにつくるのか」を中心にご紹介します。今回からは実践編となります。

まず、今回のコーチの基本情報です。

【基本情報】
・コーチ対象は、ディベート6年目の院生のEさんと4年目の学部生のIさん
・Eさん・Iさん共に平均以上の成績は納めているが、とびぬけた成績はおさえられておらず、よりパフォーマンスを向上したいためak_debateに相談
・出場する大会は学部生~院生が出場できる日本の大会。今年も北東アジア大会の決勝、アジア大会の決勝トーナメントに進出した選手が出場するなど、ハイレベルな大会
・2時間のセッション×4回ほどで、計8時間ほどコーチ(1週間に1回ペースで実施)
・セッションは全てオンラインで、LINEを使用して実施(face-to-faceはゼロ)
・(無料で実施)

【Day 1:自分たちをよく知って、大まかなプレパのステップを考える】
1回目のセッションでは、まず2人の強み・弱みや、プレパレーションの課題を浮き彫りにすることが主な目的でした。したがって、まず今のプレパ時間の使い方をヒアリングしました。

プレパ時間の使い方としては、はっきりとは決めていないものの、最初に数分自分たちで考えた後、主要なクラッシュを考えて、それをアーギュメントにするという流れがあるようでした。なので、プレパのステップは、「Issue特定」→「Speech化」という2つのようです。

その後、2-3回ほどEさんとIさんに2人でプレパ練をしていただきました。その間ak_debateは黙ってみています。

ここでのコツは、government/opposition、opening/closing等できるだけシチュエーションを分けてみたり、モーションも変えてみたりすることで(抽象的/具体的、テーマ別)できるだけ偏りのない形でプレパレーションを観察することです。

それが終わったらプレパレーションの感想を聞きます。「こういうところができた」「こういうところができなかった」というような話や、「なぜそうなったのか」ということをテーマにディスカッションします。

その結果、色々ありましたが、結果的に主に下記の3点が明らかになりました。

・Iさん、E三共には「相手の話」を考えることが得意;要はHorizontal思考が強い
(おそらく、お二人とも優秀なジャッジであることが影響しているかもしれません)

・一方で、プレパレーションは発散しており、「結局どう勝つのか?」という「勝ち筋」に繋がっていない。その結果、話すArgumentもなかなか定まらない
(「相手はこういうこと言ってくるかもね」という話はIさん、Eさん共にするものの、それがなぁなぁになってしまう)

・その影響もあってか、話が具体化されず抽象的なまま
(Freedom of choiceという枠はあっても、内容を聞いてみるとアナロジーが薄かったり、ロジックも怪しかったりする。そもそもそれらが共有されていない)

上記をまとめると、相手の話を考えているため戦略的な部分がある一方で、「勝ち筋」の明確化や「具体化」が不十分という課題あるため、せっかくあるアイデアの種が生かしきれずに負けてしまうことが多い、というような状況であることが分かりました。非常に勿体ないです。

今回はこの2つが主要な課題なのではないか?という点に合意した上で、まず大まかなステップの流れを「Issue特定」→「戦略立案(勝ち筋を見つける)」→「具体性を強化する」→「Speech化」という流れにしたほうが良いという風にアドバイスしました。細かいモーションのフィードバックも行いこの日の練習は終わりになりました。

<Day 1のまとめ>
・プレパのステップは「Issue特定」→「Speech化」となんとなくあったが、それを、今課題である「勝ち方を見つける」「具体化する」というステップを意識的に追加

2017年12月30日土曜日

プレパ・シートをつくれ! ~プレパレーションの効率を最大化するために~ その1<理論編>

突然ですが、あなたは「プレパ・シート」をつくったことがありますか?
百閒は一見にしかずと言いますので、まず実例をお見せしましょう。(あくまで一例です)


このように、チームとしてプレパレーション・タイムにおいて何をするかの「約束事」や「戦略」を紙に纏めたものをプレパ・シートと言います。ak_debateは各大会ごとにその人にあった「プレパ・シート」をつくることを推奨しています。

今回は理論編ということで、下記の3つの問に答えたいと思います。

1.そもそも、なぜプレパ・シートが必要なのか?
2.プレパ・シートには何が含まれるのか?
3.プレパ・シートはどのように使うのか?

(なお、<実践編>ではak_debateが実際に2017年にコーチした事例を通じて、どのようにプレパ・シートをつくるのかというのを詳しくご紹介します。ディベート自由帳初めての試みです!)

1.そもそも、なぜプレパ・シートが必要なのか?
「即興型ディベートのパフォーマンスの8割くらいはプレパレーションで決まる」というのがak_debateの考えです。(なお、良く調べたら東大ディベート部出身の世界大会のEFL 部門の優勝者も言っていました)

一方で、個人レベルでもなかなか自分の思考を「見える化」することは難しいため、毎回良いプレパができているとは限りません。例えば、調子の良い時は自分のサイド・相手のサイドの両方を考えることができても、場合によっては片方しか考えられないかもしれません。TBH思考法の一部しかできないかもしれません。

それがチームになると猶更です。準備時間の短いBP Style、3人で意思決定をしないといけないAsian Styleはどちらも難しさがあります。特に考え方やコミュニケーションスタイルは多種多様で、文字通り「十人十色」になりがちです。(大学や世代などのクセはありますが。)そこでお互いの思考プロセスを「見える化」しながら、プレパ・シートという「共通言語」ができてはじめてプレパが効率化すると言えます。

2.プレパ・シートには何が含まれるのか?
プレパ・シートはチームごとに大きく異なりますが、どのプレパ・シートにおいても以下の4要素を含むことが重要です

①:プレパのステップ(流れ)
上記の例で言うと「Issue特定」「戦略立案」「具体性強化」「Speech化」のように、何をするかです。

②:各プレパのステップで行うこと
上記の例で言うと「Issue特定」では、「相手が一番言ってくることは何か?」「一言で言うと何と何の対立なのか?」のような質問を自ら問いかけることが挙げられます。

③:各プレパのステップの時間配分
その名のとおりですが、それぞれ15~30分という時間をどのように使用するかです

④:チームとしての分業
誰が何を担当するかです。上記の例の場合は、たまたま2人が同じプロセスを同時に行っていくため反映されていませんが、場合によっては色分け等を行い分業を明確化することもあります。有名な例ですが、過去の秋T(秋季全国大会)・ESUJを連覇したチームは片方が「相手の話」、もう片方が「自分の話」を考えるような分業体制でした。

3.プレパ・シートはどのように使うのか?

プレパ・シートは、「チームで練習・試合をするときはほぼずっと」使用します。具体的には、

a.初めての顔合わせにおいて、プレパ・シートの初期ドラフトを作成
(最初はこんな感じだよね?という風につくります)

b.ラウンド前(プレパ練前)に確認
(実施にプレパを行う前にお互いにどのようにプレパレーションを行うか確認します)

c.ラウンド中に必要に応じて確認
(ラウンド中に、必要に応じてそのプレパ・シートを見ながらプレパを進めます。例えば、「この質問答えていないね」だとか、「そろそろ時間だから次のステップにうつろう」のような使用方法になります)

d.ラウンド後にアップデート
(必要に応じて、ラウンド後に2.の①~④がアップデートされます。具体的には、「Issue特定はもうちょっと時間が必要そうだから長めにとろう」「Issue特定のときに"似たようなモーションの対立軸はないか?"って考えるのはどうだろう?」のような会話が繰り広げられます)

そして、b.~d.が何度も繰り返され、どんどんブラッシュアップされていくことになります。

いかがでしたでしょうか?次回は、具体的な<実践編>となります。

2017年11月28日火曜日

効率的に本を読む4つのポイント

即興型ディベートの性質上、多くのテーマに関してベーシックな知識は抑えておく必要があるかと思います。政治、経済、IR、教育、ジェンダー… かといって、すべてを効率的に読むことは難しいわけです。今回は各論ですが、リサーチを行う際、本を読むこともあるかと思いますが、そこで効率的に読むには?ということをテーマに書いてみます。

(また、蛇足かもしれませんがディベーター以外のとき(例:ak_debateの場合は大学院の研究のとき、仕事のとき等)でもインプットをいかに効率的に行うかはキーとなるかと思います。書き終わってからも思いますが、これは必ずしもディベートだけに当てはまらない内容になっています)

まだまだ全然数が足りないと思うのですが、職業柄、仕事に直接関係ない本だけでも年に100冊程読んでいることを通じてどういうことに気を付けているかまとめてみました。


1. そもそも "Right Book"にあたる
一番無駄なのは、「いやあこの本読んだの意味なかったな・・・」と思う時です。具体的には「内容が一切刺さらない」「読むのが大変なわりに得られることが少ない」等色々なパターンがあるかと思います。時間は有限であるため、そもそも良質な本にあたる工夫が重要になります。

ak_debateがやるのは、まず、Amazonのレビューの高さ、著者のバックグラウンド、その道に詳しい人によるお勧め等をもとに“良書”候補をリストアップすることです。例えばIRのリサーチをする時は大学の授業でも使用されている藤原帰一の『国際政治』、飯田敬輔の『国際政治経済』等からはじめることをお勧めしています。ディベートにカスタマイズすると、その学部の人だとか詳しい人に聞くのが一番です。
(なお、ak_debateのおすすめブックリストはこちらです)

また、自分が今最も必要としている知識や、今の習熟度等を勘案して読む本を優先順位付けることが重要です。IRをやりたいと決まっている場合、自分は今は全く知らないという状態であればまずは入門書から入っていく必要があるかと思います。そこで分厚い専門書を読むよりかは、わかりやすい新書でいいと思います。また、賛否両論あるかと思いますが、ak_debateは「漫画でわかる」系もエッセンスが抽出されているので好きです。

2. 読み方を選択する
重要なポイントは、「そもそもどのような本も同じように、熟読する必要は無し」というところです。まじめな人にありがちなのが、とりあえずどの本も同じように一語一句丁寧に読むということです。

読み方にはいろいろなバリエーションがあります。例えば、状況に応じて全体をざっと理解するための飛ばし読み、内容を正確に理解するための熟読、一部だけ活用するための選び読み、何度も読むことを前提とした初回の“ぼんやり読み”等です。ベストな読み方をそもそも選ばれているでしょうか?

例えば、ak_debateは新しいテーマのことを知りたいときは3冊くらいざーっと読みます。そしていいなと思った1冊は熟読します。それをもとに、専門的な本に移っていき、なんとか理解できそうかどうかわからない際は60%くらいの理解でもいいのでいったん読み、またしばらくしてから読み直す、というようなことをしています。

3. 論旨を想像してから読み始める
これは、社会人になってから特に身に着けた方法です。昔は「バイアスを一切なくして読むのがとても重要だ」と思っていたのですが、本質的には「思い込みで変に理解しない」ことが重要なだけなので、「バイアスを後でフレキシブルに変えられるようにしておく」という対応策で済むことです。

無理やりでも良いので、「この筆者はきっとこう考えているのではないか」と思ってから、それを修正しながら読むほうが圧倒的に効率的に内容を読むことができるのは間違いないです。

では、どのようにして論旨を想像すればいいのでしょうか?もちろんネットに転がっているような要旨を読むのもいいと思いますが、ak_debateは「はじめに」・「目次」・「終わりに」だけを読み著者の主張内容を想像してから読み始めるようにしています。

4. 読んだ内容を復習できるような仕組みをつくる
せっかく読んだにもかかわらず、定着しなかった場合は勿体ないですよね。ここは十人十色だと思いますが、ak_debateは下記のような工夫をしています。

・重要なポイントに付箋を貼る
(そもそも、読みながら重要なポイントは付箋を貼ってあります。なので、読み直すのは付箋がついているところだけでOKです)

・論旨やポイントをA4 1枚でまとめる
(昔はスマホのEvernote等も使用していました。ポイントは「短くする」ことです)

・読書会によってアウトプットする
(人は他の人に伝えないといけないとなると必死になって理解しようとするかと思います。特に読書会のような形で他の人に内容を共有しないといけないとなると、必死に内容を覚え、自分のものにするようにする傾向にあります)

・レビューを書く
(読書記録のサイト/アプリなどでレビューを書くのも一手です)

2017年10月15日日曜日

どうすれば、上手くなれるのか? -"成長エンジンの設計方法"-

【はじめに】
「上手くなりたい!」
これは、目標の違いはあるにしろ、すべてのディベーターが思うことだと思います。
akも負けず嫌いであったことから、常にうまくなりたいと思っていました。

一方で、「上手くなる方法」があまり体系化されていないのではないか?という問題意識を持っていました。なんとなく、例えば1st SpeakerだったりClosingだったりでの「各論」はあるものの、「総論」としてどのように上手くなるのか?ということを整理することで、より多くのディベーターの成長に寄与できるのではないかと思いました。

そのような意図があり、学会発表も今年の3月にしているのですが、そこでのフィードバックやまた最近考えたことを受け、先日、Tokyoの全体練習会でまさにタイトルのような意識の高い内容のレクチャーをさせて頂きました。ポジティブな反響もあったので、少し内容をアップデートしてこちらも共有させて頂きます。(なお、普段文字が多いことも受け、パワポの練習をしたいので今回はテイストを変えてパワポも一部いれてみました)

【"成長エンジン"の設計において必要な3つの問い】
突然ですが中長期的に成長するため、あなたは下記の3つの問いに対する答えはありますか?また、3つ全ての問いを、常に問い続けていますか?ちょっと紙を出して書いてみるなり、自分で考えてみるなりしてみてください。

もしすでに問い続けている場合は、さすがだと思います。akの場合は、これをしっかり考え始めるのがいつだったのか・・・と思うと恥ずかしくて言えないかもしれません。ただ、周りで上手い人は常にこの3つの問いを何かしら持っていたのではないかと思います。

(なお、蛇足ですがこれは種明かしをすると、教育の現場でも取り入れられているシンプルな問題解決 のフレームワークに沿っています。①がTo-Be(目指す姿)、②がAs-Is(現状)、③がApproach(アプローチ)ですね。)

ただ、多くの場合この3つの問いを意識的に答え続けている人は少ないと思います。その場合、陥りがちな罠というのは下記のスライドです。

【ディベーターが陥りがちな罠】

どれも、ぎくっとしたことがあるのではないでしょうか?
何を隠そう、どれもakが見事にはまった罠です。
特に1-2年生のとき、とりあえずSQ/AP/Impact等の型に終始した後、①目指す方向もわからないまま、②格好いいスピーチもできないな、つらいなと思いながら、③ひたすらにラウンドを繰り返しました。ある種、合併症を引き起こしていたことになります。

少しだけ自分語りをすると、akは上級生のエジュケにも恵まれ、かつパートナーにもかなり恵まれ、客観的には最初結果が出たと言われています。(ありがたいことに、実際1年生の全国大会である紅葉・梅子を連覇し、JBP(当日の冬T)では1年生で全体のベストスピーカーをとることができました。今よりも圧倒的に調子にのっていましたが、WUDC(世界大会)では4試合連続4位をとり撃沈。6ラウンド終わっても3点というぼろぼろの結果でした。年明けをしても、Titech Cup、Debate no Susumeといった大会ではことごとく負け、優秀な伝説級の先輩と組んだ大会でも思うような結果を残すことができませんでした。

そんな中、ディベート戦国時代と呼ばれていた時代であることも相まって、同期はどんどんうまくなっていきます。主要な大会で結果を残す同期を見て、うらやましく、かつ悔しい思いをし続けました。そんな中、やみくもにくそーと思い、なんとなくひたすらにラウンドを馬鹿みたいに繰り返しましたが当然うまくなりません。Geminiのトライアウトにおいても、部長であるにもかかわらず上位チームであるAをとれなかったということは、akとして悔しさしか残りませんでした。

「英語がうまいだけで上手くならなっていない」「結局1年目がうまかっただけ」と、はっきりとは言われなかったものの、それをひしひしと感じ続けていたのがakでした。

そんな中、徐々に上昇傾向に戻ってきたのが下記の3つを意識し始めてからです。

【ak_debateが取り組んだこと】

一番のきっかけは、2年生になってエジュケ(トレーニング)をする立場になったことだと思います。たくさんの後輩が入ってきて、どうやれば教えられるのか必死に考えるわけです。特に当時は、高校生の経験者も入部してきたり、全国模試でトップ10に入るような"化け物級"がたくさん入部したわけです。いわゆる「突き上げ」状態。akの場合はそれまでの部長陣が圧倒的な成績を残していたことから、上からのプレッシャーも勝手に感じていました。(何か言われたわけではないです、決して。)そのあたりから、「ディベートはそもそも何か?」「Argumentとは何か?」「PrincipleとPracticalの違いは?」「強いRefutationとは何か?」のようなことを考え、かつ質問されるようになりました。(=①)このような中、①必死にディベートとは何か、強いディベーターとは何か考えることで、あれ、今自分はこれできていないよな、これはできているな、という現状把握にもつながりました。そんな中、あ、akは別に格好いいスピーチはできないのであると。とはいえWUDCでも唯一評価された反論力をヒントに、Matterで勝負していこうと決意したわけです(=②)。そこでいかにMatterがつまったスピーチを作るかの営みが始まりました。ラウンドを行ってフィードバックをもらってその再スピーチを先輩に見てもらうことを頼むという自己中心的なことをやることを行ったのもこのころからです。いわゆる「スピ練」(スピーチ練習)だけをやり始めたのもこのころです(=③)

別にその後、自分の実績をつらつらと書いたところでも誰も楽しくないので書きませんが、成長軌道に乗り始めたのはこのころだったと思いました。今思うと、本当に3つの問いに、苦しい時でも向き合い続けることだなと思いました。

とはいえ、今までの話はあくまでakの場合だったと思います。それをもう少し再現性の堅い形で、別の角度であるステップ別に考えたものが下記になります。

【ステップ別に、中長期的にうまくなるための取り組み】

結局、当たり前のことでしかないかもしれませんが、インプット・プロセス・アウトプットの繰り返しでしかありません。それぞれのステップにおいていかに効率化をはかるかが、しいて言えばkeyなのかもしれません

これでいうと、akがブログをやる理由は色々ありますが、(主には多くの人にディベート・リソースを公開して、他の人の参考になればというところですが)一つ自分のメリットとして感じていることは、実はiiiのアウトプットを強制的に行うことで、他の人を巻き込むことができるところです。幸いなことに最近はこのブログは英語即興型以外の人からのフィードバックも頂戴しており、それを契機に「ここはいいんだな、ふむふむ」と思ったり「なるほど、そういう視点もあるならこうしたほうがいいかも」のようにブラッシュアップしていくことができているため、akの理解が深まっています。そういう意味で、ぜひ早い段階からブログを書いてほしい(akが読みたいだけ)というのもあります、という蛇足でした。

いかがでしたでしょうか?今回はあえてpowerpointも使いながらの文章にしてみました。
ぜひ、feedback頂けると幸いです。
あえてやや抽象論もあるかと思いますので、「特にこの部分」のようなリクエストがありましたら、ぜひご連絡ください。

2015年3月21日土曜日

おすすめブックリスト50

僕が今までに読んで、おすすめな本を50ピックアップしました。
僕のバイアスはかなりあると思うのですが、特に役立った本を選んだつもりです。
なお、★がついているのは特におすすめな10冊です。

【思考法】
★苅谷剛彦(2002)『知的複眼的思考法』講談社
木村尚義(2013)『ひらめく人の思考術: 物語で身につくラテラル・シンキング』早川書房
東大ケーススタディ研究会(2010)『東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート』東洋経済新報社
永田豊志(2014)『頭がよくなる「図解思考」の技術』中経出版
★細谷功(2007)『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』東洋経済新報社

【各論】
・入門
★飯田敬輔(2007)『国際政治経済』東京大学出版会
★伊藤真(2007)『憲法の力』集英社
宇都宮芳明(1994)『倫理学を学ぶ人のために』世界思想社
★奥田暁子・支倉寿子・秋山洋子(2003)『概説フェミニズム思想史』ミネルヴァ書房
川出良枝・谷口将紀(2012)『政治学』東京大学出版会
★加藤尚武(1995)『応用倫理学のすすめ』丸善
★佐伯啓思(2004)『20世紀とは何だったのか』PHP新書
佐伯啓思(2004)『自由とは何か』講談社
佐々木毅(2007)『民主主義という不思議な仕組み』ちくまプリマー新書
★ジェレミー・スタンルーム(2014)『世界を変えた50の哲学』原書房
鈴木孝夫(1973)『ことばと文化』岩波新書
堤未果 (2008)『ルポ 貧困大国アメリカ』岩波新書
中島隆信(2006)『これも経済学だ!』筑摩書房
中谷和弘・他(2011)『国際法』有斐閣アルマ
松井彰彦(2010)『高校生からのゲーム理論』ちくまプリマー新書
藤垣裕子(2005)『科学技術社会論の技法』東京大学出版会
藤井良広(2013)『EUの知識』日本経済新聞出版社
★藤原帰一(2007)『国際政治』放送大学教育振興会
★山口厚(2008)『刑法入門』岩波新書
渡辺洋三(1998)『法とは何か』岩波新書

・応用
アマルティア・セン(2006)『人間の安全保障』集英社
石井陽一(2007)『民営化で誰が得をするのか』平凡社
大芝亮・山田哲也・藤原帰一『平和政策』有斐閣
苅谷剛彦、志水宏吉編(2004)『学力の社会学』岩波書店
佐々木宏幹(1994)『宗教人類学』新曜社
高橋哲哉(2004)『教育と国家』講談社
国広陽子(2012)『メディアとジェンダー』勁草書房
ジョセフ・E・スティグリッツ(2006)『世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す』徳間書店
ジョセフ・ナイ(2013)『国際紛争』有斐閣
田中明彦(2009)『ポスト・クライシスの世界―新多極時代を動かすパワー原理』 日本経済新聞出版社
内藤正典(2004)『ヨーロッパとイスラーム―共生は可能か』岩波新書
長尾龍一(2007)『法哲学入門』講談社
野矢茂樹(1996)『哲学の謎』講談社
ノーム・チョムスキー(2003)『メディア・コントロール─正義なき民主主義と国際社会』集英社
ヴィンセント・A・ギャラガー(2010)『豊かさの向こうに』連合出版
堀内都喜子(2008)『フィンランド豊かさのメソッド』集英社
丸山真男(1961)『日本の思想』岩波新書
森岡正博(2001)『生命学に何ができるか─脳死・フェミニズム・優生思想』勁草書房
森村進(2001)『自由はどこまで可能か』講談社
最上敏樹(2001)『人道的介入―正義の武力行使はあるか』岩波新書
山脇直司(2004)『公共哲学とは何か』ちくま文庫

【その他ディベートスキル】
神部孝(2006)『TOEFLテスト英単語3800』旺文社
池上彰(2009)『わかりやすく〈伝える〉技術』講談社
藤沢晃治(1999)『「分かりやすい表現」の技術―意図を正しく伝えるための16のルール』講談社

【組織運営】
P・F・ドラッカー(2000)『非営利組織の成果重視マネジメント』ダイヤモンド社

2015年3月16日月曜日

80点超えのスピーチをするには

高得点をとるスピーチはどのようにすればいいのでしょうか。これを知るためには、ジャッジがどのように点数をつけているのか、また一般的に各ロールにおいて求められていることを知る必要があります。

総論:いつ高い点数がつくのでしょうか?
それは実はある程度シンプルで、

①目だった弱点が無く
②複数の長所が目立つ

という2条件をクリアするだけです。

①から話します。特に、ジャッジは「減点方式」で点数をつける傾向があります。(これが良いかどうかは置いておいて。)どういうことかというと、首をかしげたり、「ん?」って思ってしまえばしまうほど点数が下がっていく傾向があります。例えば「アサーションだった」「反論をドロップした」「モーションと関係ない」「あまりにもストラクチャーが汚い」のように、明らかに目立つ弱点はすぐに点数が伸びない理由になります。
特に「Average付近で点数が伸びない」というディベーターは目立つ弱点が1・2個ある傾向があります。この段階での対策というのは、シンプルですが目立つ弱点を克服することです。それはAdjudication Briefingにも書いてあるようにある程度シンプルな基準です。例えば、

・Exclusivity(相手と自分のモデルの違い)のメカニズム
・Practical Impact(重要性)
・Principle / Value Judgement
・Relevancy
・Engagement
・Structure

あたりが特にAverage付近で点数が伸びないときの原因です。

②に関しては、「無難にやっている」ではなくて、ジャッジをおお、と思わせることが必要です。例えば

・Logic分析が多角的(複数のアクターがどう変わるか話したり、タイムフレームごとにメカニズムが証明されている)
・話のReality(Believableかどうか。具体的なCase StudyがあったりIntuitiveな話をしているか)
・具体的な描写(特に、social normやmovement、moral obligationのようにふわふわしがちな話がImpactまで落ちていたり、step by stepで説明されていたりする)
・パブリックスピーチとしての長所(イントロとアウトロがこっている、重要なところはゆっくり落ち着いて話す、スピードやトーンにメリハリがある)
・英語力・レトリック(格好いいword choice、比ゆ表現等がある)

等になります。①をクリアした後に②もいくつかあると、70点台後半はコンスタントにつき、場合によっては80を超えるようになります。

特に②に補足すると、さらに言うと

・普通は思いつかない話をする(実はこういうアクターにハーム、向こうの前提は違う)
・counter-intuitiveな話をintuitiveにたてる(労働者の権利に比較した企業の権利の重要性など、一部のジャッジに敬遠される話を説得的にイラストする)
・普通は知らない詳しい知識で話す(めちゃくちゃ具体的なアフリカのCase Study等)
・Flipをする(相手の話をひっくり返す)

のようなことをすると、確実に80を超える傾向があります。

各論:各ロールで特に求められているのは何か?

3 on 3
Prime Minister
・Necessityのmomentum。もう何かしないといけないとは思わせる。具体的なイラスト。
・相手がすぐ言ってくるであろう話への対応(Free choiceは今回制限される、などのスパイク)
・Reality, workabilityのあるモデル、AP
・聞こえの良いFraming(例えば、legalize SMの場合"sexual desire"ではなく、"minorityの権利"のようなパッケージ)

Leader of the Opposition
・GovへのProblemへの対応、Opp Model
・Oppositionとしてのinitial harmのイラスト
・聞こえの良いFraming

Deputy (Deputy Prime Minister / Deputy Opposition Leader)
・相手のinitial harmへの対応(Flip, Comparison含む)
・新しい視点による貢献(多角的視点・具体性等)
・強い3rd argument(相手への対応、新しいフレーミング等)

Whip
・ボトルネックを整理し、ストーリーラインを改めて分かりやすく提示(例えば、1つめのClashでcharacterizationを確認する)
・前のスピーカーがしていない新しい反論
・Most Likelihood Scenarioの提示(例えばAPどうなるのかを、gov/oppが対立したらどちらの方が多いのか、より起きるのかを証明)
・Even ifによるBest Caseへの対応

Reply
・Whipとは異なるまとめ方
・ディベートから一歩ひいて、Adjudicationの基準に近いものを提示

BP
・(Openingはほぼ一緒)
・しかし、Closingが抜きづらいFramingをOpeningの地点ですることが重要

Member (Government Member / Opposition Member)
・OpeningとClosingの差異化のFraming
・相手のOpeningを消す反論
・ディベートの見方・攻防が大きく変わったと思わせる分析

Ship
・ClosingのContributionの確認
・Extensionの埋め込み
・反論を含むNew Matter (not New Argument, butイラスト等)


当たり前じゃないか、と思うかもしれませんが、本当に目立った弱点をなくして長所をいくつか見に付けるとコンスタントに80以上がつきます。大事なのは、自分が「どの能力」が必要なのかを見極め、その能力をつけることにはなりますが。

2015年1月12日月曜日

ディベートが上手くなるには ②できるだけ多くのディベートの考え方に触れること

誤解が生じるかもしれないことを言いたいと思います。

「6年間を振り返って、一番成長したなと常に感じたのは、今まで異なる環境に身をおいたときだと思います。」

これは決して部内の環境が劣悪だっただとか、先輩が指導してくれなかったとかそういう内容ではありません。僕は部のおかげでここまでこれたと思っているので。

ただ、新しい発見があったり、ブレイクスルーがあったりしたときは、常に今までとは異なる環境に身をおいたときだと思いました。それは、普段行かない大学にしばらく行ってみた時だとか、ADIで海外レクチャラーの講義を受けたときだとか、国際大会に行ったときだとか、です。

そこまでいかなくても、例えばジャッジをしばらくやってみた時だとか、モーションを考えてみた時だとか、ディベートのレジュメを読んでみた時だとか、そういう時かもしれません。

つまり、どういうことを言いたいのでしょうか。
「できるだけ多くのディベートの考え方に触れるのが大事」ということです。

これはどういうことでしょうか。

【理論的背景】
当たり前ですが、ディベートは人を説得する競技です。
そうなると、まず人って何なんだろう?という哲学のような問いにぶち当たる訳です。人は何を考えているのか?いつ説得されるのか?

ここで人の感じ方というのは多種多様で、自分が思っている風に感じない場合もあります。それを感じたときは、「なんで分からないんだ!」と子どものように地団太を踏むべきではありません。「なるほど!そういう考え方もあるのか!」と新たな発見があったことに喜びを覚えるべきです。「こういうことをすれば他の人を説得できる」ということが分かってきます。

そして、ディベートをやっていれば何かしらの「ディベート観」や「ディベート哲学」というようなものを各人は持っています。僕は自己満で「ディベート・フィロソフィー」と呼んでいます。これは自分の文化的背景だとか、過去の経験だとか、得意な思考様式だとか、大学のエジュケだとか様々な要因によって規定されています。どのディベート観の方が「万人受けしやすい」かどうかという違いはあるかもしれませんが、概ねどのディベート観も一理あります。「なるほど、そういう考え方があるのか」という経験は何度もあります。そこはぜひとも取り入れていくべきですし、自分のディベート観を見直す絶好の機会でもあります。

例えば、2年の夏のADIで僕が衝撃だったのはBPのゲーム性でした。ローガンは特にディベートをゲームととらえる部分もあり、それをベースとした戦略を色々教えてくれました。その中でもPOIの戦略性に関してはかなり勉強になるところがありました。ClosingならOpeningにどのようなPOIをすべきか、ClosingのPOIをみてOpeningはどう考えるべきか、DPMなら誰からPOIをとるべきか。ディベートを「ゲーム」という観点から見るのはかなり新鮮でした。(もちろんディベートはゲームだけではないと思いますが、そういう側面があるのは事実ですので、面白かったです)

今年のAustralsで僕が衝撃を受けたのは他の記事でも書いた通りですので省略します。

国際大会でなくても、国内でも何度も刺激を受けました。例えば昔ICUのあるOBに教えてもらったテクニックとして「PrincipleとPracticalの使い分けの方法」はかなり参考になりました。PracticalだけでダメなときはそれがPrinciple的にいいよね・悪いよねという視点を持つというのは、「Principle、Practical両者を武器として使い分ける」というものでかなり新鮮でした。他にもあるKDSの方に教えてもらったのは「Argumentのマトリクス」という考え方で、どのようなArgumentへの反論を優先すべきか、どのArgumentを守るべきかというものでした。

影響を受けたのは先輩だけではありません。同期や後輩もです。例えば後輩のブログ投稿を読んでいてああ、これはすごいと思ったのは一度や二度ではありません。うちの後輩でもSさんのMDIのWhipに関する記事は今でも必読でしょう。

このように、色々なディベートの考え方があるわけで、それは触れたほうがいいです。ぜひともに。

特に、同じ環境でやっているとディベートのマンネリ化がおきます。少し厳しいことを言うとどの大学もカラーはあります。ここを重視する、みたいな。それが画一化されて、それベースの指摘しかなければどんどん偏ったディベーターになっていきます。いわゆるガラパゴス化です。僕自身も経験したことがあります。さらに言えば、日本全体でもガラパゴス化しているところもあるかもしれません。(ABPやUADCにいくと、アジアとしてガラパゴス化しているなあとかと感じますし。)

また、場合によっては最近流行の「オーソリ」とかも邪魔してきます。特定の「オーソリ」の考え方が浸透していたり、「オーソリ」になったからフィードバックがあまり良いのがこなかったりするという現象もあるでしょう。

なので脱するのが必要なのです。


【実践】
「よーしじゃあ色々なディベートの考え方に触れよう」と思ったときにどうすればいいのでしょうか。国際大会にいきまくるわけにもいきませんし。

○ 質問しまくる
大会でも、練習でも、SNSでもなんでもいいです。とにかく質問しまくってください。昔うちの後輩のK君がHKDOで有名なジャッジに質問しまくってそのQAをうちの部にシェアしてくれました。僕も質問しまくりました。チャンスがあれば恥を忍んで聞きましょう。書くのも恥ずかしいのですが、ついこの前あったWUDCで、僕は有名ジャッジにあたったので、「ごめんなさい今更なんですけどFramingってどうすればいいんですか」って聞きました。

○ 読み物は読む
JPDUにアップされているレジュメ等、The Marketplace of Debating Ideas、Trolley Problem、あたりは絶対に読むべきです。他にもMonashのHandbook等もよいでしょう。色々な読み物は是非読みましょう。色々な考え方に触れられます。

○ 普段とは違う練習環境
他大学にお邪魔するのも良いですが、大学に呼びましょう。レクチャーとかしてもらうとなお更良いです。インプットの効率の良さが違います。

○ ディベート談義
他の人とディベートってどう見ているのか、どうすれば上手くなるのか等をお茶でも飲みながら話すと意外と発見が多いです。

ひとまずこのあたりでしょうか。

また、自分で理論化することは何度もこのブログで取り上げていますが大事です。

繰り返しますが色々な考え方に触れてください。自分にとっていいなと思ったものは取り入れましょう。自分にはむいていないところはひとまず考えて、その結果取り入れなくても大丈夫です。取捨選択は大事です。自分なりに納得できる考えかたの構築ができるとブレイクスルーが見えてきます。

逆に、「俺の説得方法が正しい!」「ディベート理論は完成した!」と暗にでも思っているとせっかくの成長機会をみすみす手放している気がします。


追記:
最後に、ちょっと話の本筋からずれますが。
ぜひ皆さんもディベートに関して発信して欲しいです。ブレイクしていないからとか、優勝していないから書けないとかそういうのは本当にやめてください。ディベートは人を説得する競技なので、ディベーターであれば誰でも発信する権利があります。発信してそれが新しい理論のヒントになったりすることもたくさんあります。他の人の参考になることもあります。

僕がブログやツイッターでたくさん書こうとしているのは僕の自己満もありますが少しでもオープンソースというか、公共財というか、それに近いような何かに貢献できればというのがあります。誰かが参考にしてくれるかもしれないし、誰かがブラシアップしてくれるかもしれないし。僕なりのコミュニティへの還元なので。僕の理想は、たくさんの人がなんとかdebateのアカウントをもってて発信してて、ブログとかも書いてくれる感じですねー。はい。

2014年7月9日水曜日

Australs体験記

Australsで感じたこと

6年目にして初めてAustralsに参加してきました。
結果は3勝5敗、スピーカーとしては辛うじてアバレージを越えて真ん中くらいの順位とかでした。
悔しい結果になったのは間違いないですが、同時に学ぶことも多くこれは形にしてディベート界にシェアしたいなと思うので書きます。

なお、個人的にはAustralsに関する考察はけーたのが秀逸だと思います。国際大会で結果を残したい人は確実に読むべきです。
(http://icuds.blogspot.jp/2010/07/auckland-australs-2010by.html)
多くの話はここで既に書かれているのですが、それでも新しいことを頑張って書きます。笑

けーたの書き方をぱくるので申し訳ないのですが箇条書きで行きます。
また、少し紋切り型な日本批判のような口調になるようなところもあるかもしれませんがご容赦下さい。
ちなみにモーションはこちらからどうぞ http://tab.australs2014.com/t/australs2014/motions/


1. ModelのWorkability
一番感じたのはここでした。
よく日本でも「Opp Modelって大事だよねー」とかくらいなことは言われたりすると思うのですが、本当に重視します。
Affirmative, Negativeどちらも「Modelがどのように作用するのか」という説明が強く求められました。

例えば、R2で That we should eject sporting teams from international competitions if their fans are found to have committed racist/sexist/queerphobic etc acts during matches
というモーションをやったのですが、個人的には「いやーこれさすがにかわいそうでしょwwwNeg楽勝!」とかと思っていたのですが普通に負けました。

その最大の理由がNegのModelがどのように作用するのかが説明不足だったとのこと。最初呆気に取られましたがよくよく聞くと確かにと納得しました。
Domestic lawや、Playerをpunishするモデルがどのように作用するのかというのをかなり細かく説明することが求められました。
日本だとよく省略されるようなイメージですが、かなり本当に「それでも罰されて自分が捕まりたくなくて……」というような丁寧な説明が求められるようです。

その反省を生かしたR3ではThat we should promote the notion that the decision to have a child is a selfish one
で、childrenを持つことも持たないことも両方promoteするモデルにより良いところにしっかりと気づくという話を丁寧に説明したところ評価されました。

なお、Modelは当然Affでもしっかりかかってくるため、Aff, Neg共にWorkabilityをかなり丁寧に説明する意識が必要だと思いました。

2. ModelのComparison
上記に関連しますが、「なぜAff/Negのモデルの方が良いのか」というのをExplicitに説明することが求められました。
例えばThat corporations should be allowed to voteのNegにおいては「SQのlobbying, CEOのvote等によって声は反映できているが、voteだとdisproportionateに企業の声を反映してしまうためだめ」というのを明確に言ったところcloseながら勝つことができました。

よくジャッジにComparisonしろ!と言われると思うのですがそれは必ずしも相手が一番守りたいものと自分が一番守りたいものの比較軸というわけではなく、Model全体としての比較を強く求められました。

3. Non-initial arguments(3rd, 4th...)
個人的にAustralsで一番手ごたえを感じたのは2nd Speakerの3rd, 4thが圧倒的に評価されるというところでした。
全てのラウンドで自分のArgumentがReasonに反映され嬉しかったです、という単純な感想文ではなく、けーたも書いているように2nd speakerのコンストは強く求められていました。

確かに1st argumentと比べるとintuitiveではないものの、重要なファクターになってくるのはおそらく1st Affirmative/NegativeのClashである程度重要な話が完結するためさらに議論を深めることが求められるからかと思います。
個人的な感覚として「少しユニークじゃない」「少し遠い」「少し解決しづらい」みたいなものでも、関連性がありPrinciple/Practicalどちらか的に必要だと証明すれば自分のModelの優越性を証明していることにつながっているという判断基準を持っているようでした。

少し批判的になってしまって非常に恐縮なのですが、日本だと相手の1st pointにClashするような形や、自分の1st Argumentの延長線上にあるような説明のしかたが強く求められる気がしました。
Australsにおいては(UADCでも感じていたことですが)、モーションをとって生じるArgumentであれば十二分にとられる感じでした。

例えば、That the West should not import food from nations with chronic food shortagesのAffにおいて、monocultureを止めるという話と、先進国における大量生産大量消費のカルチャーが無くなるという話はどちらも評価されました。
また、That corporations should be allowed to voteのNegにおいて、企業で働いていない人たち(Public servants, Househusbands/wives)へのstigmaの話も評価されました。

とはいえ、この話には当然留保が必要で、かなり丁寧に説明しつつ、イラストをしたりインパクトを盛ることは当然必要だというのは強調しておきます。

4. Uniqueness
「Uniqueness」という言い方はされませんでしたが、日本と同じくモーションの肯定否定に必要なユニークネスはかなり求められると思いました。
日本との違いだけ述べておくと、Uniquenessを多角的に分析することが求められました。
例えば、That developed nations should pay developing nations to not extract their fossil fuel resources (coal, gas, oil) という話において、fossil fuel resourceのUniquenessは環境を破壊するかもとかという話だけでは足りず負けました。
「特にexploitativeになりやすい」という分析などが特に必要になってくるらしいです。(詳しくはリサーチして下さい)
なので大事なのはユニークネス1個思いついて満足しないことなんだなぁと思いました。

5. Manner
これは大きいでしょう。語っても語りきれません。
正直「白人うめええええええええええ」って思いました。いやあ上手いです本当に。Replyとかそれだけでひっくり返して来ます。尋常じゃないです。
それで大事なのは可愛そうなイラストは人一倍訴えかけてきますし、くだらない話にはジョークで返してきたり、インパクトを盛るためにword choiceがかっこよかったり。
日本でも確かに「Mannerもみましょう!」って言うと思うんですが多分AustralsはもろにMannerの分が点数に上乗せされます。

例えばThat ransoms should not be paid to Boko Haram(またボコハラムwwwwUADCに続いて僕は縁がありますね)のNegでBoko Haramにkidnapされた人を助けるnecessityを「まじかわいそう」イラストを自分としてもかなりよくできたなと思ったら、この大会で唯一77を越えました。(やった!)
That we should eject sporting teams from international competitions if their fans are found to have committed racist/sexist/queerphobic etc acts during matches でのAffのメルボルンはgayかわいそうイラストがやばくて「いやいやnon-contentiousだろ」という自分たちのクレームを跳ね除けてきました。

今回NUSがブレイク落ち(まさかの4勝しかできず。。。)という悲劇があったわけですが、もしかしたらアジアとオーストラリアの一つの大きな壁はこれなんじゃないかと。
発音はまだしも、word choice、印象操作等は日本としても積極的に評価していくことが必要な気がします。

6. Reply DOES matter
Replyは本当に重きを置かれています。Best Reply Speakerというカテゴリーがあるくらいですしね。
日本だと一部のジャッジは自分のノートを整理したりしているわけですが(実は僕も昔やっていたのであんまり人のことを言えないのですが……)これはまずいなと。
真剣にReplyでひっくり返しにきます。
ブレイクラウンドの音源は絶対に聞くべきです。

ただ同時にNewは厳しく言われました。あくまで、起こった内容をベースに最大限に魅せるのは非常に大事で、ジャッジもReplyもRFDに必ず入れてきました。


個人的にはこんな感じのAustralsでした。いやーー本当に行って良かった!
オセアニアディベートまじ強いじゃないですか。Berlin WUDCとかGF全部オセアニアでしたし。
強い理由が分かりました。基礎に本当に忠実で、それを一次元上のレベルでやってくるんですね。
・自分のModelがどのように作用するのか、相手と比較してどのように良いのか?
・モーションの肯定否定をする(ユニークネスを説明する)
・強い3rd/4thを出す
・Mannerで持っていく。Replyでも勝負を決めに行く
こういう話って日本でも多少なりともしているわけじゃないですか。これを本当に徹底している印象でした。

そう考えると日本ディベート界も発展してきているんだなぁと本当に思います。でも、さらに発展するにはさらに意識をしていかないといけないんじゃないかなと。
世界のnormをつくっているのは今間違いなくオセアニアだと思います。そこを知るのは本当に大事かと。
これはアジアにおいても当てはまります。特にアジアのnormって強いディベーターがつくるわけで、それはAustralsとかにも理解がある人がジャッジしたりGFでスピーチするわけです。

なので本当に行ってよかったです。

余談ですが、こうやって日本と他のディベート界の考えの相対化とかしていけたらいいんじゃないかなと思います。
日本勢って多分音源とか、あとアジアの一部のディベーターをベースにここ数年発展してきたような気がします。
最近は、日本人以外のディベーターがいたりとか、留学してディベートの考えを持って帰ってきてくれたり、海外のジャッジ・AC・ディベーターの経験を持ち帰ってきてくれていてそれに比例するかのようにディベートのレベルがあがってきていると思います。
(もちろんそれ以外のファクター、例えば各人の努力とかも色々あると思いますが)一つのコミュニティ・ビルディングの一環としてこういう考察を個人的に知りたいなぁと。

学ぶことがたくさんあって本当に有意義な大会でした。組んでくれたパートナーや応援してくださった方に感謝の意を込め、また将来の日本人ディベーターの更なる活躍を祈って終わります。

2012年5月1日火曜日

未来を語ること

未来を語る人になろう!
伸びる可能性があれば、年老いても未来を語る。
過ぎ去った栄光を語る人は、そこで成長はとまる。

-ロバート・コンクリン


すごくいい言葉ですね。過去の栄光にすがりつくのは容易いけれども、そこから将来に目をむけるのは難しいからなおさら。