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2020年4月18日土曜日

"SMART"にディベートの目標を立ててみよう!

全国で緊急事態宣言が発令されてしまいましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
皆さんや、皆さんにとって重要な人たちの健康を最優先で行動してくださいね。
多くのディベートの大会がキャンセルになってしまい、私も残念です…。オンライン化等色々な試行錯誤の中で新歓や練習も続いていると聞いています。

今日は、1人でもできることとして目標設定に関して書きたいと思います。
なんとなく、ディベートが上手くなりたい!

突然ですが、"SMART"の原則を御存じでしょうか?目標設定の際に意識したほうが良いポイントの頭文字をとったものとなります。
グロービスのこちらのページによると下記のように定義されています。

◆要素1:Specific(具体的に)
誰が読んでもわかる、明確で具体的な表現や言葉で書き表す

◆要素2:Measurable(測定可能な)
目標の達成度合いが本人にも上司にも判断できるよう、その内容を定量化して表す

◆要素3:Achievable(達成可能な)
希望や願望ではなく、その目標が達成可能な現実的内容かどうかを確認する

◆要素4:Related(経営目標に関連した)
設定した目標が職務記述書に基づくものであるかどうか。と同時に自分が属する部署の目標、さらには会社の目標に関連する内容になっているかどうかを確認する

◆要素5:Time-bound(時間制約がある)
いつまでに目標を達成するか、その期限を設定する

ビジネスで使われることも多いSMARTですが、私はディベートでも当てはまると思います。私になりに解釈すると、こうなります

◆要素1:Specific(具体的に)
ディベートのどの能力を身に着けるのか、「なぜ?」を最低3回は繰り返して明示化する。例えば、インプットとしての知識×プロセスとしての思考力×アウトプットとしての英語プレゼン力だとすると、その中でも何の知識?どういう思考力?どういうプレゼン力?となるかと思います。ここを深堀りする際には、例えば目標としているスピーチ、スピーカーなどがあるとより“解像度が高まる"と思います
◆要素2:Measurable(測定可能な)
頑張って"数字"にする。それは例えば最終的な"アウトカム(結果)"であるブレイク、スピーカースコア等も良いかと思いますが、それだけではなく"プロセス"(行為)も重要だと思います。知識をつけるのであれば何冊本を読みますか?音源ならいくつ、何時間?英語力だといくつの単語を覚えますか?…等。 
◆要素3:Achievable(達成可能な)
"2重の目標"にすることが重要だと思います。1つは本当に理想の"優勝"のようなものかもしれませんが、1つは今から少しストレッチしたらできるもの。例えばバブルラウンドで負けてしまう傾向にある場合は、それを一つ超えたブレイクになるかもしれません。本等のプロセスであれば、1日にどれくらいやらないといけないか?と割り戻してみるのも重要です(1か月で100冊、となると1日に3冊以上読まないといけませんが、授業やバイト等もあるかと思います。実現可能ですか?)
◆要素4:Related(目標に関連した)
これは、まずは一義的には大きな「ブレイク」のような目標に紐づくようなものなのか、と解釈しています。(すでに強い部分を伸ばしていても関係ない、評価されない点を伸ばしても仕方ない、等)また、最終的に自分がディベートで何を得たいのか、と言う目標とフィットしているかも重要になると思います。
◆要素5:Time-bound(時間制約がある)
それぞれの目標は短期・中期・長期等があるかと思います。お勧めは両方持つことですが、一つ良いのは大会、引退等をマイルストンにすることです。「ジェミニまでにXXする」のような。そこから「では、4月はこういう目標になる」のようになりますね。

せっかくのタイミングですので、SMARTで目標を立てているか、一度見直してみませんか?

2020年3月20日金曜日

家で1人でもできるAsian Style(3 on 3)の練習方法 "2分 Veto練"

コロナウイルスということで、以前よりも練習がしづらくなってきている状態だと思います。

まず、ラウンド以外での練習方法に関してはIndexとして「上達方法(ラウンド外)」とまとめています。色々な記事が纏まっているので、ぜひ読んでください。(ダイレクトな戦線)

今回紹介するのは、Vetoを2分で決める練習です。
(3 on 3でも、HPDUやWSDCのように、3 motionsではなく、1 motion制の大会もありますが、それでも役にたつ練習方法だと思いますのでぜひ)
昔、akが粛々とやっていたりもしました。

【どういう人がやると良いか?】
・Vetoを決めるのに5分くらいかかってしまっている人
・特にHorizontal思考が弱いと思う人
・ぱっとArgumentが出てこないという人
・特に若手(あまり多くのディベートの"パターン認識"をしていない人)

【練習方法】
(チームでやることを想定。個人の場合は、全部下記を1人でやるイメージ)
3 motionsはだいたい5分くらいでVetoを決める、ということが大会では一般的かもしれませんが、これはぜひ、普段は「2分」を目指してやってみましょう。
(海外のディベーターはなんなら2分以前にやってくることもありますね。)
具体的な流れは下記のとおりです。

(1)ストップウォッチを準備し、サイド、モーションセットを選び
UTDS等でAsian Styleのモーションを選ぶと良いと思います。もし、ある程度やりつくしている場合は、適当に2 on 2, 2 on 2 on 2 on 2, (NA/BP等)で3つ選ぶ形でも良いと思います。

(2) 2分で絶対に終わらせる
2分以上伸ばすのはだめです。絶対に2分で終わらせましょう

(3) その後、5分で選ばなかった方のサイド(GovならOpp、OppならGov)でVetoを考える

(4) その後、5分で、最初のVetoの反省に関して議論
具体的には、(a) Vetoはあっていたか?(相手サイドの話も踏まえて良かったか?) (b) (あっていた、あっていない場合どちらでも)これ以上早くするにはどうすれば良かったか? (c)Vetoをうまく決められなかった原因は何か?(各人の考え方?ディスカッション?そもそもVetoの基準がチームとしてなかった?)(d)次はどうすれば良いか?の4点をディスカッション

(5) 時間があれば、先輩や他の人にもVeto及びその理由を聞いてみて、Vetoの仕方に関してアップデートしてみる

(6) 全てのリストアップを見て、傾向が無いか考え、打ち手を考える
例えば、特定のテーマ(宗教等?)のモーションだと遅くなってしまう、というのが無いでしょうか?もしくは、モーションのHardさ/Softさではないでしょうか?

(7) その一つとして、"対立軸"を意識することは有効かも?
その結果としての打ち手は、例えば"対立軸"をしっかりと抑えきれていないHorizontal思考に起因しているかもしれません。
その場合、即興型ディベート初心者へのおすすめの「最初の詰め込み」 ~もし初大会まで5日間しかないとしたら何をするか~の記事にも書いてありますが、大きな対立軸をMonashやJPDU資料等で抑えるのも良いかと思います。

例えば、ある世界大会のGrand Finalist、EUDCのChampionはディベートを結局何種類かにパターン分けしているようです。オーストラリアのディベーターもこういう風に対立軸を意識している傾向があるように気がしています。

以上となります。ぜひ、たくさんVeto練をしてみてください。

2020年1月1日水曜日

ディベートの関わり方を悩んでいる人へ

2020年もどうぞよろしくお願いします!

ディベートの関わり方って悩みますよね。akも何度も悩みました。
長くディベートに携わってきた身としては、ありがたいことに色々な関わり方をさせてもらいました。それをまとめるとこんな風になります。



色々な人が色々な関わり方、まさに十人十色の関わり方があります。
ぜひ、色々な人に話を聞いてみてください。

私の場合はこんな感じです。(少しでもご参考になれば…)

・競技者としては、短い時間でチームメンバーと共に勝ち負けを競う知的スポーツであるところ、前よりできるようになる成長実感が日々楽しみでした。目標とする大会でのブレイク、優勝等は今でも覚えていますし、負けた試合は思い出すと今でも悔しさがこみ上げてきます。

・ジャッジとしても、国内外のディベーターを説得できた時の嬉しさがありました。特に最初は不慣れで、明確にイラジャだったと思います。それがうまくなっていくプロセスも好きでしたし、そもそも色々な話を知ることが好きな私は、「こういう話もあるんだ」「こんなアーギュメント思いつかないな」と感動を覚えました。

・上級生になってから、コーチをする機会が増えてきました。特に大学院になってからはその機会は増えました。ゼミと言う形をとったこともあります。ある時期は、1か月くらいつきっきりで後輩の練習を見ていた時期もありました。後輩の活躍は、自分の活躍よりも嬉しいものでした。

・運営/コミは私よりも上手な人、たくさんやられている方々もたくさんいらっしゃいますが、どちらも有意義で面白かったです。特に若いころにかかわった大会が今も続いているのを見ると感動ものですね。部長時代は仲間と共に過去の先輩たちのレガシーを梃に黄金時代を創ろうとしたこと、色々迷惑もかけましたし失敗もしましたし、当時の自分がイケていない部分はたくさんありますが、当時としてはやり切ったつもりでした。チームでなにかをつくっていく、というのはすごくいい経験でした。

・ディベートの研究は答えがないところにチャレンジする意味でとても面白いですし、社会に広める活動が最近は増えてきました。ディベートの良さ、楽しさをより多くの人が知ってくれるようになれば幸いです。

・また、ディベートの経験をもとに、色々なサークル、仕事等でご活躍している人たちがたくさんいます。akもディベートのAREAやHorizontal思考は特に色々なところで役立つなぁと思っています。

・また、何よりディベートで培った先輩・同期・後輩との関係は何事にもかえがたいですね。ある種の"戦友"ですし、"同志"です。今でも仲良くさせて頂いている方々もたくさんいて、ディベートをやってて良かったなと思います。

2018年9月28日金曜日

海外の高校生/初心者向けトレーニング方法に学ぶ

最近、海外で高校生/初心者向けのディベートのトレーニング方法についてよくヒアリングしているのですが、日本と異なる(かもしれない)特徴がいくつかありました。示唆深いのでシェアします。

・まずは"スピーチ"することに慣れるところから
まずは身近なトピックで行う、母語で行う、準備時間を伸ばす、等としてスピーチをするところから始めることが多いようです。
いきなり7分に向けて話させる、という練習方法も私のときはあったりしましたが、おそらく人によるんでしょうね・・・

・"分析"とは何かを最初に抑える
海外ではArgument(立論)をWhy true?  Why important?の2つで構成していると教えていることが多いようです。(特にヨーロッパでは)。
日本で言うと前者がメカニズム、後者がインポータンス、インパクトとかと教わることが多い気がしています。AREAという型もここで
そしてそれらは、何度もWhy? How?を繰り返していく訓練になるらしく、「こうだと思う、理由はこうだ」「じゃあそれはなんで?」「こうだ」「それはなんで?」という風に対話を繰り返していくようです。
また、面白かったのはある国ではあえて「Example」はなし、という縛りをすることもあるようです。曰く、「Exampleだと逃げてしまう」とのことです。

日本のチームはよく「アイデアは良いが分析が浅い」と言われますが、
これはもしかしたらAREAの型は教える一方で、Rをひたすら深めていく、というところが足りないからかもしれません。例えば、Secondary Mechanismが弱い傾向にあるのは、私も以前この記事で指摘している通りです。

・早い段階で多くのMotionの種類に触れさせる
これは2つ意味があり、①Policy Motionに限らず、Analysis Motion (THBT, THR THS等)と、Actor Motion (TH, as X,...)にも早い段階から触れること、②テーマとしても色々多岐にわたらせること、がポイントのようです。
特に前段の"分析"とは何か、というところが分かっているので、それは普遍的にPolicyだろうが、Analysisだろうが、Actorだろうができるんだろうな~と思いました。
(日本だと、Policy Motion-heavyになっている大学もあると聞いたので、示唆かもしれません)

・反論でも最初から幅広に型を教える
日本だと昔ICUがメソッドにしていた5つの反論の型等もあったかと思いますが、
基本的にはArgumentの構成要素(Mechanism, Importance等)に対応する形で教えることに加え、
高校生の早い段階からEven ifの話をするようです。Argumentに対する反論をDirect Refutationだとすると、Even ifというのはIndirect Refutationだと呼んでいる国もありました。
(日本だと、Rに対するMechanisticな反論は教わる一方、
counterproductive, not mutually exclusive, even ifのようなバラエティを教えるのが少し遅い傾向にある、とヒアリングで聞きました)

ご参考になれば幸いです!

2018年4月28日土曜日

【即興型ディベート初心者向けポスト】 プレゼンテーションの型・"AREA"

スピーチって結局どうすればいいの?というなった際に、ディベートを始めたばかりの皆さんが最初に触れるのがAREAというプレゼンの型だと思います。

Assertion、Reasoning、Example、Assertion の頭文字で、主張(結論)、理由、例、主張という、結論のサンドウィッチ形式で話すのが良いとされています。
(ちなみに余談ですが、人によってはOREOと呼ぶこともあるようです。この場合はOはOpinionということです。)

念のため図示化するとこうなります。

Assertion
Reasoning
Example
Assertion

例えば、タバコ禁止(THW ban tobacco.)という議題であれば、下記のようなパターンがあり得ます。

Assertion タバコは健康に悪いので禁止すべき
Reasoning タバコには有害物質が含まれているし、中毒性もあるため継続的に健康リスクが高まる
Example 肺がん、脳卒中や心筋梗塞を引き起こすこともある
Assertion なので健康に悪いタバコは禁止すべき

ここまではよく教わります。ですが、意外とコツとセットでは教わらないこともありまるので、ak_debateが教える際に伝えている点を3つシェア致します。

1.R(理由付け)は直観的 and/or複数で
第1に、Rである理由に関してですが、理由はできれば直観的なものや、複数(できれば3つがよく説得的とされます)挙げられると良いです。
ややハイレベルなことを申し上げますと、理由が出ない場合はTBH思考法を試してみるといいでしょう。初心者の方には、中でもBottom-Upで考えること(具体的にどういう人が影響されるのか?等)をオススメしています。
逆に理由が出すぎる場合は、似たような話をグルーピングするといいです。
ここは余談ですが、プレゼンのとき3は覚えやすい数字だとされています。2つだと少ないな、4つ以上だと多すぎて覚えられないな、となるようです。

2.E(例)は解像度をあげて感情に訴えかけろ
第2に、例はほかの人と共通の理解が得られるほどに解像度を上げる(想像できるほど具体的にする)ところまで深掘りできると良いです。どのような人が、どのように影響されるのかをストーリー的に話せるとよく、特に不満、不安のような負の感情に訴えかけられると良いです。
ak_debateがよくやるのは、具体的な映像を頭に思い浮かべることです。漫画、小説、映画のようなフィクションに頼ることもありますし、家族や友人などの顔を思い浮かべることもあります。またニュースで見たことのあるドキュメンタリーで特集されている人のことを思い出すこともあります。

3.あらゆるレベルでAREAを徹底しろ
第3に、AREAは、スピーチの中のあらゆるレベルで使うと良いということです。サイド全体として言いたい大きなAREAもあれば、具体例としてのアーギュメントとしての小さなAREAもありえます。また、反論もAREAで話すとよいです。相手はこういったがそれは成り立たない、なぜなら・・・例えば・・・のようになります。
要は大きなAREA、小さなAREAを積み重ねる、というイメージでしょうか。いつどこでもAREAを徹底するということですね。

(多くの教育現場で教えられている、いわゆるSQ AP IMPACT(Status Quo, After Plan, Impactの略で、現状(政策導入前)の現象-政策導入後の現象-その重要性)などのフレームの中でもそれぞれでAREAで話すことをおすすめしています)

終わりに
いかがでしたでしょうか。ぜひデビュー戦に向けてAREAを自分のものにして下さい。なお、この話し方はディベートに留まらず、プレゼン全般、就活、社会人生活でも役立つシーンがあるので是非!

補足 AREAのスピーチの型
高校や大学の教育現場では、AREAをもとにしたスピーチのワークシートを準備していることもあるようです。例えば、立論では下記のようなパターンを準備しているようです。型にはめることはよくないですが、守破離でいう守のときには使いやすいのでぜひ。その後、AREAを崩したり、よりいい言葉に言い換えたりするような柔軟性が持てるとよいですね。

[英語]
<Argument>
(A) Our first argument is _______.
(R) We have __ reasons.  / This is because ____
(E) For example, .... / Let me give you an example.
(A) Therefore, ....

[日本語]
<立論>
(A) 第一に・・・
(R) 理由は_つあります・・・/なぜなら・・・
(E) 例えば・・・/具体例を挙げると・・・
(A) したがって・・・

ーーーー
(主要記事まとめはこちら)

2018年1月19日金曜日

【即興型英語ディベートの練習法】ak_debate式英語の上達方法 5つのポイント

【背景】
「これをakさんに頼むのも変な話ですが、純ジャパとしての成長戦略についての寄稿文を読んでみたいです。(最近、レトリック、fluency、海外音源の聴き取り等、様々な面で帰国子女と比べてハンディキャップを感じることが多いので)」

という質問を頂戴しました。色々な回答方法がありますが、「同じ土俵に立つため」の英語力は重要かと思います。(競争戦略で言うところの「等位」にする部分)また、場合によっては「ノックアウトファクター」、すなわちそもそも「土俵にも立てない」状況になってしまうことがあり得ます。したがって、英語力の向上は至極命題になっているかと思います。

私は質問者の方が示唆してくださっているようにいわゆる海外経験のある人間です。とはいえ、全く英語の努力をしてこなかったというわけではないのと、英語の指導も英語ディベート部の部長やコーチを通じて行ってきました。また、実は英語の家庭教師/レッスン講師も行っていたりしたので、お話できる範囲でポイントを5つあげてみました。


1."伝えたもん勝ち"精神を持つ
 私が思うのは、今までお会いした多くの方(非ディベーター含む)は真面目に英語に取り組まれていることもあり、完璧主義に陥りがちです。きれいな文法で、きれいな発音で相手に伝えることを優先しているように思えます。もちろん、奇麗さを求めるのは中長期的には必要ですが、足元の取り組みとして「伝えること」が競技上も至極命題になるかと思います。
 勿論英語ができない状態が他人に見えることはとても恥ずかしい部分もあるかと思います。特に、英語力が高い人の直後にしゃべるとその差は歴然で、スピーチ中に帰りたい衝動に駆られることもあるかと思います。また、伝わらなかった時の辛さというのも引きずりがちです。私も、日本で何年か過ごした後、再び海外に戻った際、小学校の先生に全く英語が通じず、何度か試み、先生も何度か説明をしたり耳を傾けたりしてくれたのですが、最終的に匙を投げられたことは、未だに脳裏に焼き付いています。
 しかし、まずは英語をコミュニケーションツールとして捉えた際に、大目的は「伝える」ことになるわけで、その合目的性に照らし合わせればどんなに拙くても良いのです。
 私はそういう意味で、出川哲郎さんの「はじめてのおつかい」はとても好きです。この番組は、英語ができない出川さんがニューヨークなどの地で、知っている単語、ボディーランゲージ等を駆使して必死に伝え、それが花開きます。もちろんたまに奇想天外な発言もあり、それは笑いを誘う部分もあるのですが、それ以前に、私は実際にそれで伝わっていく様子を見ていて、伝えようという想いの下、どんなに拙くても、「伝わったら勝ちだ」と思うことが、重要なファースト・ステップであり、出川さんに対して笑って終わってしまうのは勿体ないなと思っています。
 これを繰り返していくと、必ずうまくなります。アウトプットを繰り返すので取りアンドエラーがなされていくかもしれません。

2.  Keep it Simpleの原則を徹底する
 完璧主義者になりがち、というところにつながっているのかもしれませんが、シンプルにすることはとても重要になります。これは特に「話す」という局面で大事になってきます。
 具体的には、whenがあったから…ifがあったから…のように文法をとても気にしがちだったりするかと思います。また、ついつい一つの文章が長くなってしまうことも傾向としてあります。また、単語という意味でも、「あ、あの言葉なんだっけな」とベストフィットな言葉が出てこず、悪戦苦闘することも多々あるかと思います。
 もちろん、それらは中長期的に改善していけばよいと思うのですが、特にスピーキングの文脈では、「シンプルに話すこと」はとても重要になります。私も海外でプレゼンテーションやディベートを中高時代に行った際に「akは言いたいことはとても良いが難しすぎて伝わらない、もっとシンプルに話せ!」と先生にアドバイスを受けました。その時、この原則を教えてもらいました。ーその際は、なんなら、ジョークを交え、「Keep it Simple Stupid!の頭文字で"KISS"の原則だ」と教えてもらいました(笑)
 具体的に英語ディベートの文脈で捉えなおすと、まずシンプルな文法で短く話すことをお勧めしています。文章は極力短くする。接続詞を使用して長くなるようだったら一回文章を切るくらいの勢いで大丈夫です。過去完了形等は難しくなってしまうので、できるだけ過去形のようなシンプルな構造に努める、等になるかと思います。また、単語も一番シンプルな言葉のレベルでいいです。"improve"という言葉が出てこなかったら、"make the situation better"のような言い換えで大丈夫です。Keep it Simpleですね。(もちろん、あとで言葉の反省とかはすればいいかもしれませんが、ラウンド後にとっておきましょう)

3. 最もベースとなる単語力を鍛えるため、文章で、書いて、聞いて、話して、覚える
 「元気 あなた ですか?」という文章を見ても、「あなたは元気ですか?」のように、言いたいことは想像がつきます。一方「xyz abc ですか?」だと、「何か聞いているようだが何を言っているかわからない」という状態になってしまうかと思います。そういう意味で、単語は最も重要だと思っています。いわゆる英語の4技能(リスニング、スピーキング、リーディング、ライティング)を横断するからだと思います。
 とはいえ、さあ、単語力を鍛えようと思ってもなかなか難しいところはあるかと思います。そこでak_debateは「文章で、見て、聞いて、話して」覚えることをお勧めしています。具体的には、私は日本の受験生のような、暗記カードをつくりました。どういうことかというと、表面に文章を書き、覚えたい単語に下線を引きます。右下には同じ単語を書きます。裏にはその意味を英語で書いていました。
 ここでのコツは、まず「想像できるシチュエーションの文章」にすることです。実際に自分が想像できる状態にするのです。稚拙な例で言うと、happyという言葉を覚えたければ自分が実際に嬉しかったシチュエーションの文章で覚えるとかですね。場合によっては例文の主語をリアルの人に代えて想像しやすくする、というようなこともやっていました 笑 仮にすぐ想像できない場合は、頑張って想像できる例文を電子辞書等で探しました。(なお、おすすめの単語帳はこちらにも書きましたが『神部孝(2006)『TOEFLテスト英単語3800』旺文社』です。)
 そして、暗記カードを使う時に「話す」ことも大事です。文章として実際音読(周りに人がいるときは黙読)して口を動かします。見るだけじゃなく、書いて話す、というようなところまで行うため五感をできるだけ使っているというのがミソです。
 これをディベートに置き換えても通じるところはそのまま多くあるかと思いますが、「想像できるシチュエーション」を一ひねりするのが良いと思います。「この単語はディベートだとどういう時に使うかな~」と思い、それを文章にする、場合によっては上手いディベーターのフレーズをそのまま書くとかも考えられます。例えば"pave the way for"という表現があります。weblioによると、道を開くとかの意味があるようです。実際例文は、「The function of the UN is to pave the way for world peace.」 国連の任務は世界平和への道を開くことだ.と書かれています。ak_debateの場合は「国連系のモーション、例えば安保理の拒否権廃止のモーションのときに使えるなぁ」とか思ったり、「また、principle一般で使えるなぁ」と思うわけです。というのも、principleは原則論を話すので、そのアクターが政府であれ国連であれ、NGOであれフェミニストであれ、何かしらの道を開くべきだという「べき論」があるからです。

4. 毎日英語は何かしらの形で触れる。「1日にまとめて」ではなく「毎日15分」
 帰国生であっても、英語をしばらく話さないと口がまわらない、だとかあります。何なら、英語以外でも例えばak_debateはピアノを3才からやっていたのですが、どんなにやる気がでんかうても、高校までは必ず15分はピアノを触っていました。万が一手をあんまり動かせないなという時は、机を鍵盤に見立てて、曲を弾き切るくらいはしていました。「1日ひかないと、取り返すのに何日かかかる」というのは音楽の世界では鉄則とされていたからです。私はこの考え方は英語でも当てはまると思っています。
 帰国生である私ですら、学生時代は毎日オックスフォードなどの有名スピーカーの音源は毎日最低1スピーチ、たいていは30分~1時間聞いて「耳をならす」ことをしていました。それに加え、その日のスピーチの復習としてのスピ練を、イントロだけ、1st Argumentという形だけでもよく行ったものです。「英語に触れないことのこわさ」を肌で感じていたからかもしれません。
 ここでのコツは、「とりあえず始める」ことと、「習慣化すること」の2つに尽きると思います。どんなにやりたくなくても、とりあえずYouTubeで流したら「まあ聞くか」くらいにはなって、だんだんはまっていきます。それから、嫌なことは習慣化するのが勝ちです。そのうち当たり前になります。例えば、ak_debateの場合は寝る前に必ずスピーチの音源を流しながら寝ました。この癖は実は受験時代からあり、英語の例文のCDを流しながら寝ていたのとまったく一緒です。「とりあえず流して寝よう」くらいの勢いでいいので、やっておく、という、その小さな積み重ねが、イチローも言っているような「とんでもないところに行くただ一つの道」だと思っているからです。

5. 英語の成果を"見える化"し、できた自分を褒める
 最後に大事なのは、英語の成果を"見える化"することです。英語はとはいえすぐはうまくならないところは当然あります。また、単語を覚える、文法を学ぶ、のような地道な作業が多いです。すぐに花が開かないし、他の人からも何なら見えづらい。なので、英語がうまくなったね、となかなかすぐには言われないわけです。
 この構造は即興型英語ディベートだとさらにあると思っており、勝ち負けの理由が必ずしも英語だけに依存しない、あくまで論理的・感情的に人を説得することに尽きるからであり、そのための要素として少なくとも、以前取り上げたような思考力・プレゼン力がかかわってくるからです。さらに、だいたいディベートの中身(Matter)に対してフィードバックが中心になりがちという構造もあるかと思います。したがって、なかなか英語の成果が目に見えず、やめてしまうこともあるかと思います。(なので、もちろん、英語に関するフィードバックを自分から求めるのも大事です)
 そこで、何かしらの「指標」、つまりは「ものさし」を準備することが大事になります。目標とかKPIとかのイメージにも近いです。もちろん、この「指標」の置き方は難しいのですが、(合目的性などの要件が必要)例えば、ak_debateでは、下記のような指標を持ったり、お勧めしたりしていました。

・覚えた英単語の数 (自分で知らない単語だけをベースに(=暗記カードをつくった単語だけで構成した)テストを週1回等のペースで定期的に行って、何点とれたかを見える化していく。)
・聞けるようになったスピーカーのタイプ (帰国生で英語が早い人>英語が早い人>英語がゆっくりな人という優先順位付けで、まずは英語がゆっくりな人が聞けるのであれば、早い人を聞けるようにしよう、等)
・聞いた音源の時間 (毎日15分なのであれば、それが30日あれば450分という風に積み重ねが見えてきます)
・読んだ英語の文章の数 (毎日1記事読むだけでも、30日で30記事読んだなとなります。例えば印刷しておくと「ああこんなにやったんだな」という達成感にもつながります)
・英単語/表現をどれくらい使えたか (上記のpave the way等、「覚えた単語を使えた」ときは覚えておきました。赤ペン先生状態じゃないですが、「あ、これやったところだ!」となる瞬間は嬉しいものです)

もちろん指標は多岐にわたりますが、ポイントは成果を目に見えるようにするというこころです。(実は、指標も主に4種類あるのですが、これはまた別途どこかの機会で!)

いかがでしたでしょうか。少しでも5つのポイントが参考になれば幸いです!

2018年1月13日土曜日

【初心者向け】即興型ディベートって何?

このブログにおいて、実は最も基本的な問いである、「即興型ディベートとはそもそも何か?」ということを取り上げていないことに気づきました。

したがって、簡単な資料をつくりました。リンクはこちら
(なお、基本的には公開情報をベースに作成しており、必要に応じてupdate致しますのでなにか齟齬等ございましたらご連絡ください)



【コンセプト】
・「政治家が一般大衆を説得する」議会を模していることが即興型ディベートの最大の特徴(英語では“Parliamentary Debate”と呼ばれるのが一般的)

【基本ルール】
・肯定側(与党)と否定側(野党)に分かれ、第三者である審査員を論理的・感情的に説得することを競う(肯定側・否定側はランダムで決定される)
・審査員は一般的な市民(投票者)を模して、説得度を包括的に評価(一般的に“Matter”と呼ばれる「話す内容」及び”Manner”と呼ばれる「話し方」の観点で評価)
・議題が発表されてから15~30分の準備時間を経て試合開始(発表後の調査は不可)
・1チーム2~3名により構成されることが一般的

【議題】
・議題は政治・法・経済・倫理・ジェンダー・宗教・環境・国際関係など多様
・具体的には、死刑廃止、タバコ廃止、ベーシックインカム導入、AI開発禁止、遠距離/近距離恋愛の優劣、不老不死になれる技術の是非、安保理拒否権廃止等、幅広く議論

【競技人口】
・国内で主流の英語即興型は、ESS/ディベート部を中心に学生団体46団体*がJPDU(日本パーラメンタリーディベート連盟)に加盟。1大会に200名以上集まることも
・高校生、社会人ディベートも盛ん(HPDU、PDA等の高校生大会も200名規模)
・毎年行われる大学生の世界大会では約1000人が参加(2017-2018年にメキシコで行われた世界大会は選手約600人、審査員約250人が参加)
・(参考)海外ではメディアも注目・報道(例:2017年に韓国が高校生を対象としたディベートのテレビ番組を放映)


そして下記のように、国内では多くの団体/メディアが即興型ディベートを推進しています。

また、よくある質問は下記のとおりです。



【よくある質問】
Q1. 勝敗はどのようにして決められるのでしょうか?
A1. 第三者への説得度を、“Matter”と呼ばれる「話す内容」及び“Manner”と呼ばれる「話し方」の両方から評価します。論理的に分かりやすいだけではなく、パブリック・スピーチとして感情にも訴え かけることが重要になります。どうしても人による主観は入ってしまう部分もありますが、「より多くの人を説得できること」を目指してディベーターは練習を重ねます

Q2. その場での“でっちあげ”や“でまかせ”が横行しないのでしょうか?
A2. 競技の性質上可能ではありますが、①明らかな嘘などは審査員が考慮しない裁量があり、②特定の事例だけで勝敗が決まることは少なく、③競技ディベーターは多くのテーマに対応するために日常 的に国内外のメディアをチェックする傾向にある等するため、多くの場合行われません

Q3. 調査型ディベートとの違いは何でしょうか?
A3. 調査型ディベート(通称アカデミック・ディベート)は、「一般市民」ではなく「専門家を説得する」ことをコンセプトとして、数か月にわたる準備時間を経て証拠資料を用いて議論します。(ディベートの種類が異なるため、異なる能力が身につく傾向にあります)

Q4. ディベート経験者はどのような就職先に進むのでしょうか?
A4. 人それぞれですが、国内のディベート経験者に限って言うと、法曹・官僚・経営コンサルタント・学者・メディア・商社・投資銀行・エンターテイメント業・サービス業等多岐にわたります

2018年1月6日土曜日

即興型ディベートに必要な能力を身に着けるための練習法シリーズ② プレゼンテーション力

前回の「思考法」に引き続き、「プレゼンテーション力」(プレゼン力、パブリックスピーキング力)に関して書きたいと思っています。

そもそも即興型ディベートは議会を模していることから、政治家が「一般人」を説得することが求められていることから、ディベートの中でも特にプレゼン力が重要視される傾向にあります。(毎年行われる世界大会だと余興的にではありますがPublic Speakingの大会も並行して行われていることからも、親和性が高いなと思っています)

まず、下記の2枚がサマリとなります。


【1. そもそも即興型ディベートで目指す「効果的なプレゼンテーション」とは?】
色々な整理があると思うのですが、私は即興型ディベートにおいては「論理的な分かりやすさ」と「感情的な分かりやすさ」の両輪が大事だと思っています。
(巷ですと、前者を左脳的、後者を右脳的と表現していたりですとか、古代ギリシャの哲学者・アリストテレスが人を動かす上で必要だと言っているエトス(ethos)・ロゴス(logos)・パトス(pathos)でいうロゴスとパトスにあたるものだとご理解ください。)

即興型ディベートで言うと、「論理的な分かりやすさ」とは、下記のような特徴があります。

  • アイデアの結論が最初に述べられ、根拠によって支えられている
    • 単純に“言いっぱなし”ではなく、その理由や例が説明されている
  • 複雑な事象であっても、シンプルに本質を抽出している
  • 特定のメッセージを伝えるために効果的なストーリー/構成になっている
    • 理解する上で必要な前提条件から説明したり対戦相手やチームメイトの発言内容の文脈と関連づけたりする
一つ目がKeyとなる原則であり、それが難しい内容であっても、個別最適だけではなく全体最適の観点からも「論理的に分かりやすい状態」であるか、という整理をしております。

「感情的な分かりやすさ」とは、下記のような特徴があります。
  • まるで目の前で起きているかのような、具体的な描写を通じて五感に訴えかける
    • 例えば、政策をとらない場合最も被害を被る人のドラマを描写
  • 声のトーン、表情、身振り、視線、相手との距離等、“非言語的”なコミュニケーションを活用している
  • 最低条件として、誰に見られても好感を持たれるような言い回しになっている
    • 差別的・侮辱的な発言ととられないよう、一言一言配慮している
言語的・非言語的なコミュニケーションを駆使して感情に訴えることが「0からプラスへ」の話だとすると、そもそも「マイナスを0にする」という前提条件が最後の話です。

(なお余談ですが、一部の方は「論理的なわかりやすさ」のみをディベートでは重視する、言い方を悪くするとロジック・マシーン、ロジック・モンスター、場合によっては口喧嘩のようなイメージを持たれています。ですが、実はそもそも「感情的な分かりやすさ」も同じくらい重要であるという話をすると、よく驚かれます)

【2.プレゼンテーション力を強化するための練習方法】
色々な練習方法が様々な本などでもご紹介されているかと思いますが、即興型ディベート関連ですと、下記のような練習方法があるかと思います。

まず、「論理的な分かりやすさ」の強化に関しては「通常よりも短い時間でのスピーチ練習」をお勧めしています。これは短い時間であればより何を言いたいか強制的に考えさせられ、結論・根拠の明示化につながりやすいというのがあります。

「イントロ」の1分だけに集中するのも非常に効果的です。昔は西日本地域の大会で「イントロ合戦」というような余興イベントも大会中にありました。これはどちらかというとエンターテイメント要素も大きかったとは思うのですが、強豪校では練習の一環として取り入れられていた時期もありました。自分でもできるのでおすすめですし、「ちょっとフィードバック頂戴!」というのも気軽ですね。
ak_debateがコーチする際も、イントロだけ書いていただきそれをwordで送っていただき、その添削をすることもあります。

「常に結論を先出しした完璧なスピーチづくり」というのもとても重要です。
AREAの型(Assertion、Reasoning、Example、Assertion;結論→理由→例→結論)を徹底することは、プレゼンテーションにおけるノウハウの一つです。巷では、別名OREOの型とも呼ばれているようです。(O=Opinion、意見)
ミソは、結論が最初と最後でサンドウィッチされているため分かる、またそれが根拠によって必ず支えられているというところです。
ak_debateはラウンド終了後、反論から立論まですべてAREAを徹底しなおした内容を納得するまでスピーチしなおしていましたし、結論の端的な言い方の言い回しをストックしていました。(英語即興型で言うと、具体的には、2010年の世界大会で優勝しているシドニー大学のクリス・クロークがword efficiencyも高く何度も聞きなおしていました)

また、「結局何を言いたいの?」を3回繰り返すディスカッションも重要です。特に思考がボトムアップ型の人、(積み上げ型の人)というのは、「で、何なの?」を他の人よりも意識的に繰り返す必要があります。(何を隠そう、ak_debateがそうでした)他の人と議論しながらso what?を繰り返していくと言いたいことが洗練されていく傾向にあります。コーチのセッション等でよくやらせていただいています。


次に、「感情的な分かりやすさ」で言いますと、まずドキュメンタリー、映画、小説等のストーリーテリングの技法を応用することはお勧めです。すぐできるのは、言い回しのストックですね。例えば、「痩せすぎているモデルの活動を禁止する」という議題があります。(最近フランスで話題になっていますね)こちらの肯定側の議論を行う際ですが、例えば下記のような記述の迫力があります。

In addition to extreme weight loss, symptoms of anorexia can include fatigue, dizziness and fainting, thinning hair, the absence of menstruation, dry skin and irregular heart rhythms. It can be life-threatening, warns the National Institute of Mental Health.

こちらは、モデルの目の前の健康状態の被害が目の前に浮かんできて、とても説得的だと思います。自分でやる方法としてはこのようにリサーチと組み合わせて表現をストックしていくことですね。

他にも「特定の感情(喜怒哀楽)のみを表現するスピーチ練習」も効果的です。これは昔ウィル・ジョーンズ(過去の世界大会チャンピオン)とリディアン・モーガン(現パブリック・スピーキング講師)が日本に来てレクチャーを行ってくれた時に聞いた話ですが、実際にやってみても効果的でした。「はい、じゃあ悲しくスピーチしよう!」「じゃあ次は楽しく」のように、喜怒哀楽の特定表現だけに特化して、すぐ内容にあわせて感情をこめられるようにする「ストック」づくりが重要です。なお、この際、感情を表現する際は表情であったり、場合によっては入場(ないしスピーチ台への向かい方)まで含めてすべてコントロールする必要があり、まさに「雰囲気を作り出すこと」「場を支配すること」が重要だとされています。
これは、鏡の前で自分でもできることなので、私もあえてやったりしています。特に、ディベートの国際大会になると海外は個々の表現が豊かで所謂「印象操作」で負けてしまうのでアジア大会で負けて悔しかった後はかなり練習していました。

最後に、悪い癖の矯正も大事です。不要な「まあ」「皆さん」などの表現を使用してしまった場合、スピーチをやり直すのが一例です。これもリディアンに教えてもらったのですが例えば海外では「特定の悪い口癖」がある場合それをスピーカーが言った瞬間先生や他の生徒がそれを即座に真似するらしいです。すると「あっ、やってしまった」となり恥ずかしさもあり必死に悪い癖を直しにいく傾向があるとのことで、荒治療ではあるものの一定の効果はあるんだろうなと思っています。

自分で行う場合ですが、私は自分のスピーチの音源を必ずその日のうちに聞き直しているのですが「よく使いすぎている表現」などは聞いて、次のラウンドでは「言わない!」という目標を立てたりしています。例えばLadies and Gentlemen!という表現ですが、これは最初や、本当に聴衆に訴えかけたい時は重要ですがそうでない際の「つなぎ」としてよく使ってしまっていました。なので、途中から一切使わないようにしています。

なお、これら一連のプロセスの際のコツですが「いろいろなバックグラウンドの人からフィードバックをもらう」ことが重要です。是非自大学だけではなく他大学の人も、ということもさることながら、社会人の方の視点や何ならディベートをあまり行っていない人の視点も重要で、場合によってはよりクリティカルだったりします。UTDS(東京大学英語ディベート部)で世界大会の日本人記録をたたき出したチームはよく「社会人練習会」で社会人の方にフィードバックをもらっていたのは有名な話ですね。

いかがでしたでしょうか。ぜひ「論理的な分かりやすさ」「感情的な分かりやすさ」の両方を身に着けてください!

2018年1月3日水曜日

即興型ディベートに必要な能力を身に着けるための練習法シリーズ① 思考法

最近テスト期間ということもあってか、一人でもできる練習方法を質問されることが多いです。また、例えばプレパ練をより効率的にするにはですとか、英語力をどのように向上させるのか、ですとか色々個別具体的な練習方法に関する問い合わせもSarahah・メッセンジャー等で頂戴しています。

したがって今回、一回ステップバックして、「即興型ディベートに必要な能力を身に着けるための練習法シリーズ」と題して連載をしてみようと思います。背後にある考え方というのは、「即興型ディベートが"上手い人"が身に着けている能力というのを効果的に身に着けて上手くなろう」というアプローチです。
(なお、即興型ディベートを通じて身につく能力に関してはak_debateが別途学会発表済で、現在私の研究者としての研究テーマとして検証・論文化を進めている最中にあります。また結果などをご共有できればと思います)

以前か即興型ディベートで必要な能力(≒身につく能力)としてTBH思考法をご紹介させて頂きました。具体的なコーチの際(実践編①、②)でも使用させて頂いておりますが、ここではもう一段深堀りして練習法にまで落としてみようと思います。

かなりボリューミーになったので、サマリを最初に載せます。


<1. Top-Down思考法とその練習法>
即興型ディベートにおいてはマクロ的な思考(根本的な問いを起点に発想していく思考)と定義しております。

私はこれは言い換えると「因数分解」する力、「構成要素を明らかにする力」でもあると思っています。いくつかのパターンがあると思っています。

例えば、古典的ですがTHW ban tobacco.(タバコ廃止)、THW allow active euthanasia.(積極的安楽死)のような「選択」に関するディベートであれば、個人の次元で言うと「選択」とその「結果」に関して因数分解することができます。具体的なディベートの議論としてタバコを吸う/安楽死を選ぶという選択の妥当性(例:自由意志に基づいているのか)、結果の良し悪し(例:健康への害、苦痛からの解放、死)の論点が出てくることが分かってきます。

時間軸として「因数分解」する場合、例えばTH prefers a world without marriage.(結婚制度が存在しない世界のほうが今の世界よりも望ましい)の場合、結婚前、結婚という選択をする際、結婚後、場合によっては離婚の際等のシナリオに分かれることがモーションを見た瞬間に分かると思います。

説明責任を起点に「因数分解」するパターンもあります。例えば、THBT feminist movement should actively seek to include men’s right activist in their movement.(フェミニスト運動は、男性の権利活動家を積極的に運動に含めるべきである)のような場合は「そもそもフェミニスト運動とは何を求めるべきか」「男性の権利活動家を運動に含めることはそれになぜ理想像に合致するのか」「男性の権利活動家を運動に含めないことはなぜ理想像に合致しないのか」という3点の説明責任が導出されます。(2つめと3つめは表裏一体ですが。)これはある種「理想像」を起点に2つの世界観(男性を含めている状態/含んでいない状態)を比較していることになります。

これに似ているのは、例えば多くのディベーターが最初に学ぶ説明責任のクッキー・カッターです。特定の政策をとる場合、多くの場合汎用的な争点としてnecessity(必要性)、solvency(解決性)、justification(正当性)、があがるとトレーニングされることがあります。肯定側であれば「必用であり、解決でき、それは正当化できる」ことを説明し、否定側であればそれらのどれかを否定することをチャレンジします。

この練習法はいくつかあると思いますが、個人的には2つあります。

1つ目は、まず足元で過去のモーションから「こういう因数分解が必要なのでは?」というのをストックし、自分の型をつくることです。以前ご紹介した1st Principleに近いですね。Criminal Justice Systemであれば有名な、Retribution, Protection, Deterrence, Rehabilitationのようなイメージです。ここで1こコツなのは、「モーション」レベルではなく「テーマ」レベルで考えること、ある種一段「抽象化」することです。なので、「よし今日はCriminal Justiceだ」と例えばし、今まで行ったモーションを復習したり、音源を聞いたり、場合によっては他の人に聞きながら自分としての因数分解のパターンをつくることになります。いわゆる「パターン認識」的な積み上げアプローチになります。ただ、ここで気を付けてほしいのは「フレームワーク病」「議論自動製造機病」です。いわゆる思考停止状態で「あ、CJSのモーションだからこれ言おう」という視野狭窄状態になると、第三者を説得することが難しくなってしまいます。
なお、この練習方法は一人でもできますし、また実際にこういう風に考えたんだけどどう?と他の人にフィードバックを求めることで他人を巻き込んでみることもブラッシュアップにつながります。

2つ目は、中長期的になるかもしれませんが、単純にロジカルシンキング、いわゆるMECEに「切る」能力を高めるというスタイルです。(ディベートにおけるMECEの過去記事はこちら)いわゆる「コンサル本」が巷には山ほどありますのでそちらをご参照ください。(例えば『問題解決プロフェッショナル「思考と技術」』、『考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則』などです。なお、後者はコンサル業界では名著だと言われていますがかなり難解ではあるので、何度か読むことが必要です。なので前者のほうが個人的にはまずお勧めです。これの第2章の<MECE>の部分がミートしていると思います。もう少しより実践的であれば「フェルミ推定」「ケース問題」などが親和性が高く、やりながら覚えられるので、『東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート』、『現役東大生が書いた 地頭を鍛えるフェルミ推定ノート』、『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』がおすすめです)これは、習得には時間がかかりますがk、比較的ゼロベースで見たことがないモーションでもある程度トップダウン思考ができるようになるメリットがあります。
これは自分でも例えば実践的な本を解きながら練習することもありですし、即興型ディベーターはコンサル業界に行くこともあるので、OBOGを巻き込むのも面白いと思います。

<2. Bottom-Up思考法とその練習法>
即興型ディベートにおいてはミクロ的な思考(具体的な事象・現象から発想していく思考)と定義しております。

これもいくつかのパターンがあると思いますが、まずは「具体的な人」が「どうかわいそうか、幸せか」という問いを立てることが重要だと思っています。(もちろん議題によっては動物実験廃止のように動物等、人が主人公に必ずもならない場合もありますが…)その状況を、映画のワンシーンのように正確に切り取ろうとするとどういうことがあるのか、時間軸に沿って発想していくのです。

例えば、THW not allow religious freedom in public.(宗教的自由を公的空間において認めない)という議題の肯定側では具体的な人を想像します。詳しい人であれば、フランスの「スカーフ事件」が想起されるでしょう。詳しい説明は他に譲りますが、「イスラム子女の公立学校でのスカーフ着用の是非」が議論されました。肯定側であれば、神を信じる一環としてスカーフを身に着けて居たいと考える学生の様子が頭に浮かんでくると思います。(例:「なぜムスリム女性はヴェールをまとうのか」)ちなみに、私はこの関心があったので、『神の法vs.人の法 スカーフ論争からみる西欧とイスラームの断層』という本を読みました。少しボリューミーですが、面白いです)

また、特に話が抽象的になりがちな議題は意識的に具体化することが重要になります。例えば経済関係の議題では顕著です。THW not bail out companies which are TBTF (Too-Big-To-Fail). ("大きくてつぶせない"企業の救済を行わない)というようなモーションの際、例えば肯定側で救済を行わない、その結果として「雇用が失われる」ということは単純に解雇通知の書面だけの話ではなく、その背後に一人一人のストーリーがあるはずなので、そこまで想いを寄せられるとよいかと思います。

ボトムアップの思考法の練習法ですが、幾つかあると思います。

1つ目に、マインドセットとして「その人だったとしたら」と強制的に「自分事化」する練習だと思います。自分がもしスカーフを身に着けたいと思う学生だったとしたらどう考えるか?自分がもし家族を持っていて急に解雇されたらどう思うか?のように「もし自分だったら」と考えることです。人はなかなか、程度の差もありますが、一般的に自分のことにならないと想像力が働きづらい側面はどうしてもあると思います。したがって必死に想像していくことは重要です。

2つ目に、単純に前提となる基礎知識はつけるということは必須になります。ボトムアップ思考が具体的な現象・Factからスタートする以上、その前提となる知識がないとなると手も足もでないことになってしまいます。国内のトップディベーターや海外ディベーターの多くは、The Economist、BBC、The Guardian等のニュースを見ているとのことで、そこのドキュメンタリーは時に目を覆いたくなるようなこともあります。このブログの一番の人気記事である(ここまで反響があるとは思っていませんした)おすすめブックリスト50も併せてご覧ください。

3つ目に、とはいえ2.は毎回すべての事象を知っているとは限りません。そこでak_debateがボトムアップ思考の一類型だと理解している「アナロジー思考」の習得・応用もおすすめです。(こちらは、Triple Aの一つでもありますね)どんぴしゃの例ではないが、構図が似ている例をいかに「引っ張ってこれるか」というのが鍵になります。分かりやすい話で言うと、THW decriminalize marijuana for pleasure.(嗜好用のマリファナを非犯罪化する)という際の肯定派は、タバコと似ているな、という着想で、「じゃあどういうシーンで吸うのだろう」「その個人への便益はどういう感じなのだろう」と発想していきます。また、一段さらに「飛ばした」形で言うと「一見悪そうなものを非犯罪化する例ってないかな・・・?例えばオランダにおける売春とかはどうなのだろうか」と考える、「harm-minimization」(被害の最小化)のために非犯罪化する場合もあるのでは?と考えることもあります。(近年、アムネスティ・インターナショナルも売春を非犯罪化するほうがよいのではという提言を出して議論を呼んでいますね。参考リンクはこちら)
ここでの細かいコツは、まさにどんぴしゃの本である『アナロジー思考』に譲りますが、具体例を見た際に「これって何と似ているのだろう?」、複数の具体例を見た際に「これは何が共通しているのだろう?」と考える癖をつけることをお勧めしています。ストックをする際も「関連付ける」「グループ化」することがコツです。
また、リサーチに落とす場合はその「共通点」を軸に整理します。例えば私は主要な軍事介入の成功例・失敗例をマターファイルにストックしてあるのですが、その際「成功例」「失敗例」という共通点だけではなく、「成功要因」のレベルまで深堀りして「アナロジー化」するようにしています。もちろんアカデミアの方ほど専門的にはできていませんが、発想方法はこういうところかと思います。

<3. Horizontal思考法とその練習法>
Horizontal思考法とは、「相手が話してくること」を起点とした思考だと定義しています。(Horizontal思考法が得意なチームのコーチ事例はこちら(①、②))

したがって、「相手がそもそも何を言ってくるか?」「それに対してどう対応するか?」の2つの要素が必要になります。前者は、Top-DownとBottom-Up思考のどちらか、もしくはその組み合わせで出てくるかと思いますのでそちらのスピードアップになるかと思いますので上記の練習法ということになりますが、後者に関してはどうでしょうか。

2つのパターンがあると思います。

パターン①としては、「相手の一番強い話をどうするか」ということを考えることです。これは「相手の言っている話が起こらない」というmechanism(現象が起きる理由)に対するアプローチ、「起きるがそんなに深刻ではない」というimpact(現象の深刻性)に対するアプローチという細かい反論レベルでもできるとは思いますが、強いチームになるとその2つは確実に立ててきます。そこで例えば「むしろ向こうが守りたいものにとってもこちらのほうが良い」という、いわゆる"flip"と呼ばれる話がないか、というのは一つの考え方です。("rather better", "counterproductive"というような表現が英語ディベートではされます)(なお、余談ですがこれはよく実世界の会議などのディスカッションで用いるようなパターンでもあり、相手の納得感も醸成しやすいです)また、特定の比較軸を出してそのデッドロックを解消していくパターンもあります。(例:インパクトの大きさ等)。(こちらも実社会だとよくつかわれます)

その意味では、中長期的には、いわゆる「ディスカッション能力」を身に着けることもおすすめです。
参考書籍は『ファシリテーションの教科書: 組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ 』、『東大生が書いた 議論する力を鍛えるディスカッションノート』等かと思います。

もう少し足元の話をすると、これらは、具体的なモーションを行いながら「ここまで言ったら勝てそう」という風に考え抜く、もしくはClosingやWhip・Replyのスピーチを見ることもお勧めです。うまいClosing、Whip、Replyのスピーカーは相手の話を考慮した上で「なぜ上回るのか」ということを明示的に話すことができており評価が上がっている傾向にあります。また、そもそも自分で強い話を思いつかない場合は、強い音源を見てそれに対してどう反論するかというのを自分で考えることもあります。ここでのコツは2つの音源を組み合わせることで、1つは「ちょっと頑張れば勝てそう」な相手の音源の反論を考えることと、「すごく強い」相手の音源の反論を考えることです。前者だけだとモチベーションはあがるが大きな伸びが少ない、後者だけだと最大出力が上がる可能性はあるが、圧倒的すぎてそもそもキャパオーバーになってしまうリスクがあるからです。

パターン②としては、Gov/Opp(肯定側・否定側)を何度も行ったり来たりすることで議論をどんどん深めるパターンです。これは、何人かでやる場合と一人でやる場合があります。何人かでやる場合はプレパの後ディスカッション形式で、こう言ってきたらどう返すか、のように議論を深めていきます。この際あまり大きく発散させずに、特定のClashだけでやることも有益だと思います。また、ラウンドの後に「この後さらにスピーカーがいるとしたらどうやって勝つか?」という風にラウンドを活用するパターンもあると思います。また、最近やっているところをあまり見なくなりましたが "Summary and Refute"と呼ばれる練習法も効率的だと思っています。

一人で行う場合でも、あるディベーターはgov、oppをひたすらに交互に一人で考えていくことを地道にやっていたようです。こう言ったら相手がこういってくるから、このように反論して、さらにこのように再反論がくるからこうやって・・・という風に考えると、Horizontalの思考スピードがぐんとあがる傾向にあります。この際書きだすのは一つのコツです。

いかがでしたでしょうか。かなりボリューミーだったので最後まで読んでいただいて恐れ入りますが、思考法に限って言うとこのような練習法が例えばあるかなと思いました。何かご質問などございましたらいつでもご連絡ください。

2017年12月23日土曜日

ジャッジ入門 ~ジャッジとしての心構え~

【サマリ】
ジャッジには、審判およびコーチとしての役割があります。もちろんこれは理想的で、最初からできるわけではありません。ですが、やりがいも大きいですし、全力でディベーターに向き合うことで、ちょっとずつでもよいのでチャレンジしていただければと思います。

【はじめに】
練習会や大会においてジャッジをすることがあるかと思います。
特に初めてのときのジャッジは緊張しますよね。ak_debateも初めてのジャッジのときはよく覚えており、先輩2人としたのですが、逆サイドに入れ、かつ理由もしっかりしていなかったのでボロボロだったのを覚えています。

スキル面では色々このブログでも取り上げていますが、(主要記事のジャッジに関する記事です。)まずそもそものマインドに関して語られることが少ないのではないかと思っているので、最初の心構えとしてどうあるべきか、という問いにチャレンジしたいと思います。

【ジャッジとしての2つの役割:"審判"と"コーチ"の理想像】
僕は、ジャッジはそもそも、①その試合における審判としての役割、②その試合を通じてスキルの上達やマインド面でのモチベーション向上に繋げるコーチ(/教育者)としての役割の2つがあると思っています。

①は、ディベーターが15-30分真剣に考えた上で、7-8分のスピーチを全力で行っているわけです。試合の最後の瞬間までPOIまで含めると考え、戦ったというのは全員に公平にあります。特定の大会であれば、初めての大会であったり、思い入れのあるパートナーとの大事な試合だったり、切磋琢磨したライバルとの試合だったり、最後になるかもという覚悟の元の試合だったりするわけです。また、その背後には何時間もの練習や試行錯誤の時間があるわけです。したがって、ジャッジとしても、真剣に、全力で向き合って、メモをとり、頭を悩ませ、場合によってはディスカッションを通じて審判を下すことがリスペクトを示すことだと思っていますし、固くいうと責任なのだと思っています。
まさに責任という言葉は僕の場合はしっくりきていて、責任は英語ではresponsibility、要はresponse(応答)するabilityなので、ディベーターに対する応答、というところが腹落ちしています。
ディベーターに期待されているのは、全力で向き合う基本姿勢というプロセス、そして公平な第三者としての審査という結果というところになるでしょう。

②は、直接的にラウンドを一番見ているわけですし、ディベーターが一番分かりやすい形でフィードバックを受けるのは現時点ではジャッジです。そうなった際に、「どういうところがよかったのか」「どういうところが改善点だったのか」という「現状」や、「このようにすればさらに良くなるのではないか」というアドバイス・フィードバックを提供することがあるとディベーターからすると嬉しいことだと思います。特に「勝ち負け」がはっきりとする競技である以上「どう勝つのか?」という客観的なゴール、「英語がうまくなりたい」「論理的思考方法を身に着けたい」「より視野を広げたい」のような主観的なゴールの両輪に対してフィードバックできるとなおよいと思っています。


【初心者ジャッジに向けたアドバイス】
上を見て思ってしまうかもしれないことは「うわ、自分にできるのかな・・・」という不安だと思います。安心してください。

いくつかの観点があります。まず、最初に書かせていただいた通り、私も最初は全然だめでした。皆最初は初心者です。どうしても人はバイアスがあるし(この人はうまい、とか、このアイデアが好き、とか、この人をずっと応援していたから頑張り賞的に評価をあげてしまう、とか)、場合によっては見落としてしまうこともあるわけです。英語の場合は語学の壁もあると思います。一方、ジャッジも筋トレのようなもので、必ず正しい努力をすればうまくなります。私自身、最初はジャッジもボロボロだった人がうまくなっていき、表彰されるようになった様子を何度も見てきています。また、ディベーターとしては結果がでなかったものの、ジャッジとして花を咲かせた人も何人もいます。なので、安心してください。時間はかかるのは当たり前です。

2つめは、それと関係しますが、最初から完璧を目指さず、少しずつ「理想」に近づけ場大丈夫です。例えば上の「審判」と「コーチ」と書きましたが、「コーチ」としての役割は明確には大会では求められていません。多くの大会ではそれは評価基準にも入っていません。(将来は変わるかもしれませんが)。フィードバックを行う技術はまた別のスキルセットであり、当然嬉しいですが徐々に身に着けるステップ論だと思っています。また、審判としても、例えばインプットとしてディベーターが言っていることをまず正確に理解できるようになる、時間はとてもかかるが公平でリーズナブルな説明ができるようになる、それが短い時間でもできるようになる、それがレベルの高いラウンドでもできるようになる、のようなステップ論です。1ステップ1ステップクリアしていけばいいのです。

3つ目に、全力で頑張っていただいたのであれば、文句は言われづらいです。その時に全力で真摯にノートをとり、頭を悩ませ、根拠をもって説明してくれることが、多くのディベーターが望んでいることです。一方で、のけ反り返りながら、ちゃんとメモもとらず、上から目線でものを言ってくる人であればディベーターもイラっとします。そうでなければ、ジャッジとしては納得できなかったとしても「仕方ないな」と思ってくれたり、建設的なディスカッションができたりするわけです。仮に、全力で頑張ったのにリスペクトを払わない形で攻撃的に「噛みついて」来た人がいたら、それはak的には明確にいけていないディベーターだと思っています。(僕も過去によくジャッジに詰め寄り納得できない、と1年生の時は特に言ってしまいましたが、明確にいけていないと思っています。いくら勝ち負けがかかっていたからとはいえ、本当によくなかったなと。)ディベート界で考えても、世界大会の審査員団を務めるような海外のトップスピーカーも「ジャッジとディベーターが戦うようなことはもうやめよう、僕も過去にやってしまったけど、終わりにしよう」と何度も言っていました。実社会に出てからも思いましたが、明確にリスペクトを払われ、信頼されるのは「全力で頑張ること」です。最大出力が出せるにもかかわらず手を抜いたならともかく、最大出力がその時無かったのは明確に仕方がないことです。仮に今このカルチャーが主流じゃないとしたら、それはあるべきカルチャーやノームではないと私は断言します。仮にそういうディベーターの「被害」にあってしまった場合は「いけていないんだな」と気にしないでください。
(もちろん、ディベーター、ジャッジ間のリスペクトがある上でのconstructiveなディスカッションはすればいいと思います。)

【ジャッジのやりがい】
ジャッジがうまくなると、どうなるのでしょうか?どういうシーンでうれしさ・やりがいを覚えるのでしょうか?akの具体的なエピソードをいくつか紹介します。

・とてもハイレベルなラウンド、かつ負けたら敗退というプレッシャーのかかるタイミングで、1人で審査をしていたときのこと。どちらに入れるのもあり得るなと思ったものの、必死にクロースながらも特定のサイドが勝ったと説明しきった際、ディベーターが深く頷いてくれた

・必死に「こうやればうまくなるのじゃないかな」「ここが強みなのじゃないかな」と想像して、考えて、説明したときのこと。しばらくたってから「あの言葉に救われました」「あのおかげでうまくなりました」と言ってもらえた

・「ずっとうまくならなくて悩んでいるんですけど・・・」とラウンドが終わった後のフィードバックできてくれた。一個一個丁寧にこういう話ができるかも、だとか「こういう風なことに気を付けたらいいかもね」といったところ、ぱっと顔が明るくなって「感動しました、ありがとうございます!」と言ってくれた

上記のように、審査員は大変ではありますが、大きくその人の納得感の情勢や、その後のスキルやマインド向上に結び付くわけです。とてもやりがいのある役割だし、とても大事な役割だと思っています。

また、ジャッジも成長実感を感じることができます。最初は噛みつかれた(笑)としてもディベーターが納得してくれる。難しいラウンドであっても徐々に自信をもって説明できるようになる。アドバイスも最初は抽象的なことしか言えなかったけれども、徐々に盗んでいったりストックすることで具体的な話まで踏み込めるようになる。その結果として客観的な数字もついてきてブレイクや表彰されることもある。。。。より多くの情報を処理する能力、ディベーターの観察能力等、ディベーターとは別のスキルが伸びると思います。これは単純に楽しいですし、また、実社会でもリーズナブルに説得するというスキルにも結び付きます。(特に勝ち負けで争っている人たちに対して説得するって並大抵のことじゃないと思います。別の価値観を持っているかもしれない、という相手を説得するのは社会人になってから重要になりますよね)

【終わりに】
いかがでしたでしょうか。ぜひ、ジャッジにチャレンジしてみてくださいね :)

2017年12月17日日曜日

即興型ディベート初心者へのおすすめの「最初の詰め込み」 ~もし初大会まで5日間しかないとしたら何をするか~

今日は、即興型ディベート初心者が仮に5日後に大会に出るとしたら・・・!
と仮定して効率的であろう練習方法について書いてみました。

(メインは日本語の即興型ディベートを始めようとしている人を想定していましたが、英語の即興型ディベートにしても似たようなテクニックが使える気がします。前に部で行っていた初心者である大学1年生向けにどうやって教えていたか+ak_debateゼミ等を通じてコーチしているときにどのように教えていたかを思い出して、それを5日間のメニューに凝縮してみました。)



【背景①:日本語ディベートの盛り上がり】
背景としては、最近日本語の即興型ディベートが盛り上がってきているのですが、(ak_debateも運営・審査員などでお手伝いさせていただいています)、見ていると「ルールは一定程度わかり、なんとなくスピーチもわかってきた」じゃあどうするか?というところで躓く可能性があるなと思っています。

特に、調査型(アカデミック)のスタイルを行っていた人は、せっかくHorizontal思考のレベルが高いにもかかわらず勝ちきれずに悔しい想いをしているのではないかと思っている次第です。(なお、ディベートのプレパレーションタイムに必要な3つの思考方法、通称TBH思考法に関してはこちらをご覧ください)

【背景②:英語ディベートでの「より効率的な練習方法」のニーズ】
よくどのように練習すればいいですかね、という相談が最近増えてきたのですが、
確かに体系的に学ぶことは難しく、属人化してきたことは否めませんでした。
なので、ここで仮にカリキュラムをつくるとしたらこうなのでは、というのを提示することで各大学がトレーニング方法を体系的に考えるスタートになるのでは、と思いました。

なお、下記の前提としてはあまりラウンドができない状況を想定しています。ペアでは集まれるが・・・くらいのイメージです。ラウンドができる場合はラウンドも適宜織り交ぜてください。

大まかな5日間の流れの推奨案は下記のとおりです。なお、色々な考え方もあるでしょうし、あくまで現時点の初期仮説となります。ぜひフィードバックください。



Day 1: 「大きな対立軸」を一回なぞってみる

英語の即興型ディベートの経験者がなんとか15-30分の準備時間でスピーチを組み立てられるのは、所謂「大きな対立軸」のパターン認識があるところは大きいと思っています。

色々な説明の方法はありますが、私はこれを「実社会のアドボカシー」(特定の考えを持つ人を代弁する)ととらえています。

例えば、いわゆる炭素税を導入する、というような議題になると簡略化すると環境の権利 VS 企業の権利の大きな対立となります。これは例えば、肯定側は特定の環境保護団体のNGOの代弁をすることになるかもしれませんし、否定側は企業や経済団体のトップの代弁をすることになるかもしれません。

もう一つ例を挙げると、煙草を禁止する、のような議題では簡略化すると、健康(体に悪いのだから禁止しよう) VS 自由 (個人が健康を害するのも幸せを追求する一つの方法だ) のような大きな対立になります。これはいいかえると、パターナリズム VS リベラリズム、大きな政府 VS 小さな政府を信条としている人の代弁かもしれません。

このような「大きな対立軸」を理解しておくことの良さは、「あ、この議題、似たようなことやったことある!(構図がこれと一緒だ)」という思考のショートカットができるところにあります。例えば、上記の2つを知っていると、下記のようなモーションも一見難しいものの、「あ、似たような対立軸になる」という風になります。

・先進国のエネルギー企業は、新興国においても先進国の環境基準を守るべきだ(THBT energy companies of developed countries operating in developing countries should adhere to the environmental standards of their countries of origin.)
・環境マーケットの創出を、援助の条件とする(ただし、緊急時の援助は除く)(THW make the development of eco-friendly industry a condition for receiving non-emergency aid.)
・飲み放題を禁止する(THW ban all-you-can-drink option)
・嗜好用のマリファナを合法化する(THW legalize marijuana for pleasure)

具体的にはどのように学んでいけばよいでしょうか?
日本語の資料ですと、ちょっと長いのですが、やはり今読み直しても秀逸だなというのは、この「Principle-奥田さん (ICU/早稲田大学 OB)」の資料です。(なお、奥田さんはICUの黄金時代の4枚エースの1人で、伝説ディベーターのひとりです)
http://www.jpdu.org/?page_id=23
なお、ak_debateは1年目の夏に3回くらい読みました。

英語の資料ですと、Monash大学(オーストラリアの強豪校。世界大会も何度も優勝している世界トップクラスの大学)が出している"1st Principle"に関するレジュメがおすすめです。こちら、18ページなので英語が苦手な方でもぜひチャレンジしてみてください。
http://www.monashdebaters.com/downloads/GuideToFirstPrinciples.pdf

なお、ここで出てくるDemocracyのAccountability, Representation, Participation、Criminal Justice SystemのRetribution, Protection, Deterrence, Rehabilitationは特に強豪ディベーターですらArgumentの出発点にに用いています。まずは、これらで主要な議題のなんとなくのイメージ感を持ってほしいと思っています。

Day 2: 何度かPrime Minister Speechを行ってみる

ak_debateはPrime Ministerこそ、ディベートの神髄だと思っています。一番短いプレパレーションタイムで、相手の話も考慮した強い話を立てるってすごく技術がいることだなと思っています。(実はこのような背景もあって、部の代表時にトライアウト(選抜)においてはじめてPrime Minister Speechによる選抜を導入したのは余談です)

まずは恐れずに、15-20分のプレパレーション時間を用いて、実際に大会のスピーチ時間(多くの場合は7分)のスピーチをしてみてください。議題は色々なところがまとめていますが、英語即興型ですと、UTDS(http://resources.tokyodebate.org/debate-motion/motions/)がよくまとまっています。(日本語即興型となるとCDSの過去ページになるかと思いますが、そちらもプール(絶対数)としてはまだ少ないため、英語即興型の論題を使用することをおすすめしています)

具体的には、アジア大会のような国際大会ですと難易度が高すぎるかと思いますので、まず総じてモーションの難易度が低めの傾向にあるNA Styleのモーションがいいと思います。(こちらは、多くの大学で導入編として使用されているため、大会も1-2年生向けのが多いからです。なお、UTDSのモーションですとESUJモーションのみ1年生大会ではありません)。

このプロセスの目的は3つあります。

1つ目に、Day 1で行った「大きな対立軸」のストック/アップデートを行うことです。色々なモーションをやりながら、「あ、これはこの対立軸だな」「あ、これはちょっと違って、動物の権利対人間の権利だな」なるほど、という風にストックしていきます。頭がいい人は覚えられると思うのですが、ak_debateのように要領が悪い場合はディベートノートに書きます(関連する記事はこちらです)要は、ノートにテーマ(ないし対立軸)ごとにストックしていくイメージです。

次に、「スピーチ(アウトプット)」に慣れることです。残念ながらディベートは現段階ではアウトプットのみで評価されます。「いいアイデアがあったのに・・・」という人は良くいますが(事実、私もパートナー運がよく、だいたいパートナーに助けられています)とはいえジャッジはそこまでわからずスピーチを評価します。口を回す慣れもそうですし、最終的に目指す「ゴール」を明確化する意図もあります。

3つ目に、「スピーチでできていること、足りないところ」を明確化することにあります。できればフィードバックがあるほうがベターなのですが、ない場合は自分で録音して聞き直すことになるかと思います。例えば、「関係のある話はできる」「可愛そうな描写ができる」「具体性がない」「そもそも早くてわからない」のような現状分析(アセスメント)になるかもしれません。

なお、スピーチの型ですが、教科書などに書いていない場合、Triple A、AREA等を用いるのが良いと思います。(Triple Aに関する記事はこちら。)時間がない場合はAREAにフォーカスしましょう。Assertion, Reasoning, Example, Assertionの略で、主張・理由・例・主張です。これをStatus Quo(現状)、After Plan(政策後)であったり、our model(私たちのパラダイム・世界観)・their model(相手側のパラダイム・世界観)で並列に話します。つまり、

「私たちのパラダイムでは、XXXが起こります(A)。理由はYつあって。なぜなら、XXXだから・・・そしてXXXだから・・・です(R)。例えば、XXXです(E)。その結果、XXXが起こります(A)。一方、相手のパラダイムでは・・・」という風に話します。これは、本当にベーシックな型で、当然色々な批判はあるのですが、守破離でいう「守」では最適だと思っています。なぜかというと、①スピーチをひとまず結論からわかりやすく言えるので一定程度ジャッジに伝わりやすくなるし、②理由をかならずつけ、かつ相手のパラダイムとも絶対に比較する、③具体例によって議論を地に足をつける、癖をつけてくれるからです。

Day 3: プレパレーションの初期戦略を立案する

私は即興型ディベートのパフォーマンスの8割くらいはプレパレーション(準備時間)で決まると思っています。したがって、プレパレーションのコーチングは現役時代からよく行っており、選手のパフォーマンスが面白いほど伸びる様子を何度も目にしてきました。なのでここの戦略は肝となります。

色々な型があると思いますし、本格的な戦略立案には私は3-4回のセッションを頂戴することが多いのですが、いったん個人レベルで行うこととしてお勧めしているのは、まずあなたにとって最適の「時間の使い方」のルールを決めることです。例えば、

・最初の5分は個人でブレインストーミング(広く考える)
・次の5分はアイデアの共有(アイデアの発散)
・次の2-3分は勝ちどころの確認・アイデアの収束/取捨選択
・残りの時間は具体的なスピーチづくり

のようになるかと思います。
その際活きてくるのはak_debateが提唱している「TBH思考法」となります。(詳しい解説はこちら)要は、Top-Down、Bottom-Up、Horizontalで考えるというところになります。なお、経験則的に、コンスタントにブレイク(決勝トーナメントに進出)したり個人賞を受賞したりする人は最低2つの思考法を持っていることが多く、優勝するチームや圧倒的な個人は3つの思考法を使いこなしている傾向にあります。初心者の場合はまず、足元の戦略として当然全部を頑張るのは中長期的に行ってほしいのですが、まずは1つ武器となりそうな思考法を軸にすることを意識しましょう。例えば、私の部ではまずは日本人の多くが得意な傾向にあるBottom-Upからお勧めしています。これは実は戦略的な意味もあって、Bottom-Upで考えることは具体的になりやすいというところがあるので、最初の1st PrincipleがややTop-Down/Horizontalの初期インプットになると想定すると、Bottom-Upによって補完するという一定程度「完成させる」意味があります。さらには、ジャッジとしても具体的な話はやはり取りやすく、勝ちに直結する傾向にあります。

3日目の目的としては、2日目で行った最後のアウトプットを意識しながら、さらに「大きな対立軸」をストックしながら、実際そのアウトプットに向けた「プロセス」を精緻化していくという流れです。ある種、1日目でインプット、3日目でアウトプットを、2日目でプロセスを強化しているというデザインになっています。

なお、このプロセスをやる際に、ぜひディベートノートはアップデートしてください。

Day 4:試合的な環境に身を置く

3日間ストイックにやっていると、なんとなくの感覚はつかめてきます。ここで重要になるのはとはいえ、やや「机上」で行っているため、「実践」が薄い可能性が高いというところです。具体的な試合になると、様々なことが起こります。分かりやすいのは反論ですね。相手の話への対応を考えないといけなくなるのですが、これはなかなか予想がつかなかったりもします。特に、2nd Speaker以降となればなおさらです。

(万が一BP Style等に出るというのであれば、できるだけClosing、特に一番難しいと言われているClosing Governmentをやることをおすすめしています)

もちろん試合ができればベストになります。具体的には、どこかの大学にお邪魔することになるでしょう。意外とFacebookで頼むとOKしてくれるパターンがあります。または練習会も場合によっては開催されています。また、一部の大学ですとSkypeでラウンドをすることもあります。ak_debateも例えば九州のディベートを東京でジャッジしたことがあります。海外だと、マカオ VS シンガポールの試合がフィリピンのジャッジによってSkypeでラウンドとして成立していることもあったと思います。なのでふんだんにテクノロジーも使ってみてください。

試合ができない場合は、どのようにするかというといくつかのパターンがあります。まず2人以上いる場合であれば、途中までででもいいのでラウンドをしてみてください。いわゆる「アイアンマン」と言われる1vs1のディベートもak_debateもたくさんやりました。特に、私の代は部員の数が私を含めて6人だったので、毎回6人くれば良いのですが、最悪2人しかおらず1vs1で練習したこともあります。また、ストイックに負けず嫌いなak_debateは、先代部長に頼み込んで1vs1でAsian Style(3回スピーチを行う)もやっていただきました。今思うと本当先輩には頭があがりません。

それも難しい場合は、英語即興型の場合は、ぜひ音源を聞いてみてそれに反論・立論することを考えてみてください。JPDUのYouTube等、多くの音源がレベル別にあると思いますので、それを聞いてLOだったとしたら、という練習は最低限出来ると思います。また、MGをやるというということもできなくはないです。(ak_debateも一時期やっていました) 日本語即興型の場合はリソースが今の段階では少ないですが中長期的にはできるようになるかもしれません。

ここでのポイントは、実際の試合になって改めて必要になったこと、工夫できることを洗い出すことになります。もしかしたらプレパ戦略がアップデートされるかもしれまんせんし、それ以外にも気を付けるポイントというのが出てくるかもしれません。

なお、このプロセスをやる際に、ぜひディベートノートはアップデートしてください。色々見えてくると思います。

Day 5:復習して、個別的な練習を行い、最後はコンディションを最適化する

いよいよ最終日となります。ここで行う必要があるのは、「復習」です。ここから詰め込もうとしてもなかなか自分のものにならないので、諦めましょう。割り切ったほうが効率的です。

行うことはまずディベートノートを読み返しましょう。どういうことができて、どういう工夫をすればよいのかというのを改めて見返します。ここでお勧めなのは、ディベートノートの1ページを使って、「To-Doリスト」をつくることです。

例えば、ak_debateでは、
【プレパ】
・Bottom-Upだけではなく、Horizontalにも考える(=相手が言ってくることは何か?)
・必ず具体的に話す(どうかわいそうなの?どう嬉しいの?)
【スピーチ】
・Status Quo, After Plan, ImpactのAREAを徹底する
・反論は短くする

のようなチェックリストをもって大会に臨んだことがあります。あまり多くても大変なので、シンプルに減らすことがポイントです。

また、Day3につくったプレパレーションの型ももう一回確認します。改めてこの時間配分で明日もがんばろう、と思うわけです。

そして最終日なので、何かに特化した練習だけ少しだけ行います。例えばやっぱりスピーチが不安なのであればスピ練でしょうし、プレパに不安があるならプレパ、その中でも例えば特定の議題が不安なら特定の議題をやることもあるかもしれません。あくまで、4日間の結果を受けて集中的に練習するわけです。

そして最後は・・・大事ですが寝ることです。コンディションを最大化しましょう。さっさと携帯を閉じて布団でぐっすり寝るのが結局はいいことです。あとは「楽しもう」とかポジティブなイメージをもったりすることも、ak_debateは個人的にはやっています。

いかがでしたでしょうか。
もし、5日間しかないとしたら、と考えてみました。もしそのような相談がきたとしたら、ak_debateは過去の経験上、上記のような時間の使い方をお勧めします。
質問などございましたら、いつでもお気軽にご連絡ください!


2017年11月28日火曜日

効率的に本を読む4つのポイント

即興型ディベートの性質上、多くのテーマに関してベーシックな知識は抑えておく必要があるかと思います。政治、経済、IR、教育、ジェンダー… かといって、すべてを効率的に読むことは難しいわけです。今回は各論ですが、リサーチを行う際、本を読むこともあるかと思いますが、そこで効率的に読むには?ということをテーマに書いてみます。

(また、蛇足かもしれませんがディベーター以外のとき(例:ak_debateの場合は大学院の研究のとき、仕事のとき等)でもインプットをいかに効率的に行うかはキーとなるかと思います。書き終わってからも思いますが、これは必ずしもディベートだけに当てはまらない内容になっています)

まだまだ全然数が足りないと思うのですが、職業柄、仕事に直接関係ない本だけでも年に100冊程読んでいることを通じてどういうことに気を付けているかまとめてみました。


1. そもそも "Right Book"にあたる
一番無駄なのは、「いやあこの本読んだの意味なかったな・・・」と思う時です。具体的には「内容が一切刺さらない」「読むのが大変なわりに得られることが少ない」等色々なパターンがあるかと思います。時間は有限であるため、そもそも良質な本にあたる工夫が重要になります。

ak_debateがやるのは、まず、Amazonのレビューの高さ、著者のバックグラウンド、その道に詳しい人によるお勧め等をもとに“良書”候補をリストアップすることです。例えばIRのリサーチをする時は大学の授業でも使用されている藤原帰一の『国際政治』、飯田敬輔の『国際政治経済』等からはじめることをお勧めしています。ディベートにカスタマイズすると、その学部の人だとか詳しい人に聞くのが一番です。
(なお、ak_debateのおすすめブックリストはこちらです)

また、自分が今最も必要としている知識や、今の習熟度等を勘案して読む本を優先順位付けることが重要です。IRをやりたいと決まっている場合、自分は今は全く知らないという状態であればまずは入門書から入っていく必要があるかと思います。そこで分厚い専門書を読むよりかは、わかりやすい新書でいいと思います。また、賛否両論あるかと思いますが、ak_debateは「漫画でわかる」系もエッセンスが抽出されているので好きです。

2. 読み方を選択する
重要なポイントは、「そもそもどのような本も同じように、熟読する必要は無し」というところです。まじめな人にありがちなのが、とりあえずどの本も同じように一語一句丁寧に読むということです。

読み方にはいろいろなバリエーションがあります。例えば、状況に応じて全体をざっと理解するための飛ばし読み、内容を正確に理解するための熟読、一部だけ活用するための選び読み、何度も読むことを前提とした初回の“ぼんやり読み”等です。ベストな読み方をそもそも選ばれているでしょうか?

例えば、ak_debateは新しいテーマのことを知りたいときは3冊くらいざーっと読みます。そしていいなと思った1冊は熟読します。それをもとに、専門的な本に移っていき、なんとか理解できそうかどうかわからない際は60%くらいの理解でもいいのでいったん読み、またしばらくしてから読み直す、というようなことをしています。

3. 論旨を想像してから読み始める
これは、社会人になってから特に身に着けた方法です。昔は「バイアスを一切なくして読むのがとても重要だ」と思っていたのですが、本質的には「思い込みで変に理解しない」ことが重要なだけなので、「バイアスを後でフレキシブルに変えられるようにしておく」という対応策で済むことです。

無理やりでも良いので、「この筆者はきっとこう考えているのではないか」と思ってから、それを修正しながら読むほうが圧倒的に効率的に内容を読むことができるのは間違いないです。

では、どのようにして論旨を想像すればいいのでしょうか?もちろんネットに転がっているような要旨を読むのもいいと思いますが、ak_debateは「はじめに」・「目次」・「終わりに」だけを読み著者の主張内容を想像してから読み始めるようにしています。

4. 読んだ内容を復習できるような仕組みをつくる
せっかく読んだにもかかわらず、定着しなかった場合は勿体ないですよね。ここは十人十色だと思いますが、ak_debateは下記のような工夫をしています。

・重要なポイントに付箋を貼る
(そもそも、読みながら重要なポイントは付箋を貼ってあります。なので、読み直すのは付箋がついているところだけでOKです)

・論旨やポイントをA4 1枚でまとめる
(昔はスマホのEvernote等も使用していました。ポイントは「短くする」ことです)

・読書会によってアウトプットする
(人は他の人に伝えないといけないとなると必死になって理解しようとするかと思います。特に読書会のような形で他の人に内容を共有しないといけないとなると、必死に内容を覚え、自分のものにするようにする傾向にあります)

・レビューを書く
(読書記録のサイト/アプリなどでレビューを書くのも一手です)

2017年8月22日火曜日

良いPOIとは?

「良いPOI(Point of Information)とは?」

この問いはなかなか難しいです。
巷で言われていることとしては、

・短くてわかりやすい内容
・1つの内容だけに専念する

等と言われていますが、いまいち体系化されていない気がします。
なぜかというと、POIだけを切り取って説明することがとても難しいからだと思っています。

私は、POIは、現時点では「チームとしての合戦略性」×「端的さ」の2点により規定されていると思っています。上で書かれている内容はまさに後者にあたるものです。(15秒という制約条件の中で、どれくらいうまく言えるのか、が重要になるからです)
一方、前者である「戦略」の部分は今までなかなか即興型ディベートであまり語られていなかった気がします。

戦略に関する詳細は今度また別途話すとして、現時点では、「①チームとしてどのように勝とうとしているのか?」「②そのうえで、POIは効果的だったのか?」という2つを確認することでPOIの良し悪しを判断するのが良いと思っています。

例えば、下記のような事例を見てみましょう。

①戦略:チームの一貫性の観点から優位に立とうとする(相手はinconsistentだ!というところを一つの勝ちどころにしようとしている)/ チームのスタンスの証明責任を重くしようとする(相手が守りたい世界観をより丁寧に説明させる)

②良いPOI:相手のStanceに関する質問をする
例えば、THW legalize marijuanaの場合、Oppから"If you believe in free choice, how about hard drugs such as cocaine?" のようにして、govにスタンスをとらせる
→noと言ってきた場合は、自由を守ろうとしているのに、スタンスの一貫性がないよね、と指摘。cocaineとmarijuanaの違いは何か、という説明責任も押し付けに行く
→yesと言ってきた場合は、何でも自由を守りに行くリバタリアンだと指摘

例えば、THW ban political party based on ethnicityの場合、Oppから"How is this different from political party based on religion and ideology?"のように質問
→相手側は違いを説明せざるを得なくなる。説明ができなかった場合、ethnicityのuniquenessを証明する必要があったと指摘できる
→相手側がそれらも廃止する場合、「それでいうと、そもそもpolitical partyは特定の利益を代弁するはずに、それがそもそもできなくなる」のように批判することができる

(参考:悪いPOI:上記の戦略と関係ない内容)

これは一例ですが、あくまで「どのように勝とうとしているのか」というところと紐づいているのが一つ良いPOIの条件ではないでしょうか。

2017年7月18日火曜日

Definitionの戦略

日本語即興型の大会にいらして下さっていた方からご質問をいただきました。これは英語でも通じる話だと考えさせられましたので、どちらのオーディエンスにも向けて書いてみます。

まず、いただいた質問は下記のとおりです。

大会を拝見して「即興はdefinitionより内容重視」とはこういうことかと思いました。ただそこで、でもdefinitionしないと選手はジャッジのvoteのブレを制御しにくいのでは?と疑問も浮かびました。
例えば、予選最終試合の宇宙船が10人乗りなのか1万人乗りなのか。ここは即興なら定義しなくともよい、と講評で聞きました。でも、くじで10人決めるのと1万人決めるのって野党側が出す生命維持の価値観でみたときの印象がかなり違うように思います。
ジャッジングの物の考え方が根本的に異なるのか、それとも定義するしないの度合いはケースバイケースであり、定義によって勝敗が変わるケースもあるのか。ご教示いただけないでしょうか。  

注:予選最終試合の議題(地球に巨大隕石が衝突することが発覚した。国際社会が最善を尽くした結果、人類の唯一の生存方法としてシェルターを開発したが、生存可能な人数は限定的である。 国際社会は生存する人類を、個人の能力や専門性を考慮せず、くじ引きにより決定する)


まず、非常にハイレベルな質問ですね。私個人の見解として、2点挙げたいと思っています。

①まずおっしゃる通り、ジャッジの考え方が大きく異なる部分はあるかと思います。
即興型で特徴的なのは、あくまで内容だとされているからです。また、細かい実現可能性はさておき、どちらにしろ起きる現象の是非について議論してほしい、というところもあるかと思います。
事実、特に近年、Definitionによって生じるメリット/デメリット(Argument)の扱いは「とられない」傾向にあるかと思います。(この傾向は、加速化していると個人的に感じています)

背後にある考え方としては、上記のような範囲を問題とする定義(生存人数など)であれば、単純にHard Case(ラディカルなもので、メリットも立ちやすい一方、デメリットも大きくなる)、Soft Case(差分が小さいもので、メリットも少ない一方、デメリットも小さくなる)なのかの違いになるのみで、その他の議論に大きく影響しないため、そのジャッジの方も「定義不要」とおっしゃったのだと思います。

②一方で、近年そのような傾向が国内で強まっているようにも感じますが、それはDefinitionを戦略的に活用するチームが少なくなった、ということも原因かと思います。
(①と鶏と卵の関係でもあるかもしれませんが)

国内でも、昔はDefinitionを細かく練り上げるチームが多かったイメージがあります。(特に、調査型出身者や、細かい議論が好きな人に多かったと思います)
海外でも比較的そうだったと思っていて、例えば2011年頃まで特にアクティブだった、TateというマレーシアのディベーターはDefinitionを戦略的に活用することで有名でした。
例えば、下記の動画では2:40程Definitionに使っています。(スピーチの1/3に相当!)



Definitionを「戦略的に行う」というのはどういう意味でしょうか。2つの意味合いがあると思います。

(1)自らのサイドのArgumentをより際立たせる
例えば、THW make parental leave mandatory.
において、(1か月とかよりも)1年ほどの育児休暇を導入する、という話にしておくほうが、自分が話すであろう子育ての話などがより際立つかと思います。

THW not cover unhealthy lifestyles under the national healthcare system.
においては、unhealthy lifestylesを喫煙、飲酒などに設定しておくほうが、より具体的にジャッジがイメージできるでしょう。

(2)相手のサイドのArgument、反論を弱める
THW introduce affirmative action for LGBT in the parliament.
において、「既存の議席の中で行うのではなく、新たに議席を追加し、その議席をLGBTが争うようにする」という定義をTateは行っていますが、
これは、一見、相手のデメリットである「議席が奪われたことによる反発」等を消しに行っている戦略と見せることができます。
THW allow euthanasia for children.
において、親の同意を必須とすることも、子供の"immaturity"を消しに行く戦略かと思います。

実はかくいう私も、Definitionには比較的凝るほうです。
特に実は、アジア大会では相当に気を付けます。なぜなら、感覚的ではありますが、Definitionにより厳しいジャッジ/ディベーターが多いと個人的には感じていたからです。特にDefinitionをしっかり行わないことで評価を下げられるケースや、否定側がその重箱の隅のような内容をつついてくるケースもあったからです。

例えば、アジア大会で下記のような議題が出ました。
THW reduce a prisoner's sentence for every state-approved book that they read
変にジャッジのVoteをぶらしたくないと思った私は、下記のようなDefinitionにしました。

a. state-approved bookは、政府が設置し、民主的正当性が担保できるような第三者委員会によって決める。決め方は文科省が教科書を決めるような方式を参考にする。
b. 選ばれる本から、反社会的な内容は除く(リハビリにつながる内容)
c. 1冊によってどの程度刑期を削減できるかは本の難しさなどにも依存するが、1冊読んで1年減らすような形ではなく、おそらく1月単位。
d. 1冊きちんと読んでいるかを確認するために、レポートの提出も義務付ける。内容をしっかりと理解しているかなどは国語の教師に値する人材が判定

a,bを支えに、自分のサイドのリハビリ(改心)の話を伸ばし、c,dのような話から否定側がいうであろう、「さぼるのではないか」「不公平なのでは」というような話を削りに行っています。また、d.を活用して「本を読むという行動がpatienceやdiligenceを生み、社会復帰がしやすくなる」のような話も立論しました。

ジャッジ(オーストラリア大会準優勝経験等)からは「細かいね!(笑)」と言われたものの、対象がわかりやすく、それが不公平ではない形できちんと立論にも効いていたため高評価をもらい、(それもあってか)勝利しました。

長くなりましたが、私も質問者と一緒で、Definitionをしっかり行うことは、確かにジャッジの"ブレ"を減らすことにつながりやすいと私は考えています。
ただ、ジャッジが近年あまり評価せず、Definitionをもとにメリット/デメリットを大きく建てるチームがいなくなってきていることから、最近は下火になっているというところかと思います。

一方で、ジャッジ/相手にもよるという月並みな答えにはなってしまいますが、今後Definitionを戦略的に使うチームなどが出てきたら、また考え方が変わるのかもしれません。

2017年3月20日月曜日

HPDUの感想とSuggestion

今日HPDUの決勝トーナメントを見てきました。
どのラウンドも相当にレベルが高く、特にQFは感動しました。
え、これ高校生?と心の底から思いました。いくつかのスピーカーは既に梅子はもちろんですが、JPDU-Tのブレイクも狙えるレベルにあると思いました。

理由としてはいくつかありますが、
・普通にmotionにinherent/uniqueな話が多い
・5分という短い時間にもかかわらず、抽象と具体のスピーチのバランスがよく、具体の話がとても説得的にされている
・イラストが上手で、「いかにかわいそうなのか」のイモーショナルな説得もされている
・バーデン指摘や反論の視点がよく、例えば「それはモーションをとる理由になるのか?」というところまで踏み込んでいる

等があったと思います。
本当に今後が楽しみだと思いました。来年も予定があえばコミットしたいですし、ほかの機会もぜひ呼ばれればいきたいなと。(学会へのフィードバックもしたいですし)

うれしいことに、このブログを読んでくれている人もいるようなので、ちょっとアドバイス的なものも書いてみようかと思います。(今日言ったFBと被るかもしれませんが)

① 特に後半(2nd~Reply)のスピーチにおいては、アクターや時間軸の場合分けにより、より精緻な議論を行えると良いのでは?

かなりレベルが高いことを要求しているのは覚悟しているのですが、(かつ、大学生でも、なんなら僕でもできないことも多々あるのですが)議論がパラレルになりがちな時というのは、具体的な場合分け、具体的な状況をしっかりと意識することかなと思いました。違うアクターの話をしていたり、違う時間軸の話をしている場合があるわけです。

時間軸の話でいうと、例えばGF(THW prefer a world without marriage)は秀逸で、govが、PMの段階から結婚する前/結婚しているとき/離婚した後の話を時間軸で切ることに成功していたと思っています。(いわゆる「MECE」っぽくてすごいと思いました。)

これはクリアにPMからでたケースですが、実際のディベートでは「実はそれってこの時間軸の話だよね」とかってあるケースが多く、2nd以降で「相手の話はどの時間軸の話をしているのか、どのアクターの話をしているのか?」と整理し立論できればいいかなと思います。

つまり、それらがクリアでない場合は「それは結婚前の話だけであって、結婚後の話をしているからirrelevant」だとか、「結婚後における立論はしているものの、結婚前の話をそもそもしている」のような話で優位性を示しに行くような戦略ができるのではないか、と思いました。

アクターのほうの話でいうと、例えば、SFのTHW abolish all hate speech-related laws(wording may be incorrect)ですと、govは社会的な変革のような話をすることが多いと思うのですが、oppはinitialには(主にracistによる)mental harmの話がされることがあるかと思います。
この場合、実はspeak upする人が違うわけで、govは結構good intentionの場合だったり、discriminateされているところを変えたいと思っている人たちだったりし、oppであればマイノリティに無関心、もしくは差別的な人が暗黙の前提になっているかと思います。

そのような人がどのように動くのはそれぞれ違うことになるかと思うので、わけて話す必要がでてくるわけですね。

アクターのほうの例でもう一ついうと、例えばですが、THW allow organ transplant for profit.とかになると、poor/middle class/richというアクターが出てきたり、現状でcharityとしてorganをdonateしている人、等色々な形でアクターが分かれると思うのですが、「あなたはどの人の話をしているのか?」という前提は暗黙のまま話せれることもあり、これを特定できれば、「そのような人は変わらない」「そのような人は少数派である」のような戦略的な取捨選択にも至るのではないかと思っています。

じゃあこれってどうやるの?って話になるかもしれませんが、「そもそもこれらってどういう人たちなの?」「どの時間軸なの?」という問いを持つだけでも変わる気がします。中長期的には、実はこれらもクッキー・カッター的なものもあるので、(経済系モーションであれば、poor, middle class, richなど経済的な収入できる、sexやgender系であれば男女で切るなど)それらをストックしていくことが必要になるでしょう。

②「一番強い反論は何か?」という意識をする

僕は比較的細かい反論をたくさんしていくタイプではあるのですが、5分という限られた時間を鑑みると、「一番強い反論」を考える必要性があるかと思います。

これは色々な考え方がありますが、例えば
Not true, Not uniqueな反論よりも、Irrelevant, Rather counterproductive, "that is not a reason to propose/oppose the motion"のような反論のほうが強いことはあるかと思います。
また細かいNot analogous, factually falseのようなExampleというArgumentの構成要素の一つである部分に対する反論よりも、Argument全体に対する反論のほうが強いことはあるかと思います。

いわゆる「鋭い」反論というのは(教育学的にも)なかなか言語化が難しい部分ではあるらしいのですが、私は今仮説的には「より前提を切っている」「よりArgument全体にかかわる反論」のほうが強いと思っています。

もちろん、色々別の考え方もあると思うのですが、「1個しか反論できないとしたら?」という風に考えて取捨選択していくことは大事かもしれません。

テクニックとしては、ジャッジに「一番良かった反論はどれか?」のように聞いて行ってそれの共通項を探していくだとかできるといいのかもしれません。

なお、特に英語は堪能なんだけど、というような方や「細かい反論しがち」な人(=僕みたいな人)にとっては意識しておくと、一つレベルアップするチャンスかなと思いました。

いずれにしろ、僕もできていない、学生ディベーターでもできていないことが多いかもしれませんが、期待を込めて、ややハイボールを投げてみました。

2015年3月21日土曜日

おすすめブックリスト50

僕が今までに読んで、おすすめな本を50ピックアップしました。
僕のバイアスはかなりあると思うのですが、特に役立った本を選んだつもりです。
なお、★がついているのは特におすすめな10冊です。

【思考法】
★苅谷剛彦(2002)『知的複眼的思考法』講談社
木村尚義(2013)『ひらめく人の思考術: 物語で身につくラテラル・シンキング』早川書房
東大ケーススタディ研究会(2010)『東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート』東洋経済新報社
永田豊志(2014)『頭がよくなる「図解思考」の技術』中経出版
★細谷功(2007)『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』東洋経済新報社

【各論】
・入門
★飯田敬輔(2007)『国際政治経済』東京大学出版会
★伊藤真(2007)『憲法の力』集英社
宇都宮芳明(1994)『倫理学を学ぶ人のために』世界思想社
★奥田暁子・支倉寿子・秋山洋子(2003)『概説フェミニズム思想史』ミネルヴァ書房
川出良枝・谷口将紀(2012)『政治学』東京大学出版会
★加藤尚武(1995)『応用倫理学のすすめ』丸善
★佐伯啓思(2004)『20世紀とは何だったのか』PHP新書
佐伯啓思(2004)『自由とは何か』講談社
佐々木毅(2007)『民主主義という不思議な仕組み』ちくまプリマー新書
★ジェレミー・スタンルーム(2014)『世界を変えた50の哲学』原書房
鈴木孝夫(1973)『ことばと文化』岩波新書
堤未果 (2008)『ルポ 貧困大国アメリカ』岩波新書
中島隆信(2006)『これも経済学だ!』筑摩書房
中谷和弘・他(2011)『国際法』有斐閣アルマ
松井彰彦(2010)『高校生からのゲーム理論』ちくまプリマー新書
藤垣裕子(2005)『科学技術社会論の技法』東京大学出版会
藤井良広(2013)『EUの知識』日本経済新聞出版社
★藤原帰一(2007)『国際政治』放送大学教育振興会
★山口厚(2008)『刑法入門』岩波新書
渡辺洋三(1998)『法とは何か』岩波新書

・応用
アマルティア・セン(2006)『人間の安全保障』集英社
石井陽一(2007)『民営化で誰が得をするのか』平凡社
大芝亮・山田哲也・藤原帰一『平和政策』有斐閣
苅谷剛彦、志水宏吉編(2004)『学力の社会学』岩波書店
佐々木宏幹(1994)『宗教人類学』新曜社
高橋哲哉(2004)『教育と国家』講談社
国広陽子(2012)『メディアとジェンダー』勁草書房
ジョセフ・E・スティグリッツ(2006)『世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す』徳間書店
ジョセフ・ナイ(2013)『国際紛争』有斐閣
田中明彦(2009)『ポスト・クライシスの世界―新多極時代を動かすパワー原理』 日本経済新聞出版社
内藤正典(2004)『ヨーロッパとイスラーム―共生は可能か』岩波新書
長尾龍一(2007)『法哲学入門』講談社
野矢茂樹(1996)『哲学の謎』講談社
ノーム・チョムスキー(2003)『メディア・コントロール─正義なき民主主義と国際社会』集英社
ヴィンセント・A・ギャラガー(2010)『豊かさの向こうに』連合出版
堀内都喜子(2008)『フィンランド豊かさのメソッド』集英社
丸山真男(1961)『日本の思想』岩波新書
森岡正博(2001)『生命学に何ができるか─脳死・フェミニズム・優生思想』勁草書房
森村進(2001)『自由はどこまで可能か』講談社
最上敏樹(2001)『人道的介入―正義の武力行使はあるか』岩波新書
山脇直司(2004)『公共哲学とは何か』ちくま文庫

【その他ディベートスキル】
神部孝(2006)『TOEFLテスト英単語3800』旺文社
池上彰(2009)『わかりやすく〈伝える〉技術』講談社
藤沢晃治(1999)『「分かりやすい表現」の技術―意図を正しく伝えるための16のルール』講談社

【組織運営】
P・F・ドラッカー(2000)『非営利組織の成果重視マネジメント』ダイヤモンド社

2015年3月14日土曜日

即興型ディベートに必要な3つの思考法 ~ak_debate提唱「TBH思考法」~

ディベートにおいて、必要な思考法は主に3つあります。
Top-Down思考・Bottom-Up思考・Horizontal思考です。

コンスタントに結果を残すディベーターは主にどれか2つの思考法が強く、かなり強いディベーターは3つとも強い傾向があります。

自分がどのタイプの思考法をしているかを考え、他の思考法を習得できるようにすると良いかもしれません。

なお、この3つの分け方は便宜的であり、かつ絡まっていきます。3つの円が重なっているベン図のようなものです。例えば、バーデンを考えるのはTop-Downでもあり、Horizontalでもある部分でしょう。

① Top-Down思考
いわゆるマクロ的思考です。「Xとは何か」「Xの成立条件とは何か?」という風に根本的な問いを立て、答えるのがうまいタイプのディベーターです。いわゆる「Principle」や、またValue Judgement系のモーションが得意です。

② Bottom-Up思考
いわゆるミクロ的思考です。具体的なステークホルダーやインセンティブ分析、メカニズム等から発想するディベーターです。いわゆる「Practical」を得意にしています。

③ Horizontal思考
相手をベースにした思考です。Mutual Exclusivityをおさえ、相手が言ってくることを予想して、カウンターしたりフリップしたりしようと発想するディベーターです。戦略を立て、Stanceを立てることを得意としています。

では、それぞれの思考においてよく行う問いは何でしょうか?

① Top-Down思考
・Xとは何か?
・Xの成立条件は?
・Burdenはおさえているか?(Problem?Solution?Justification?)
・目指したい世界観は?

② Bottom-Up思考
・誰が影響されるのか?
・どのように影響されるのか?
・どこで起きるのか?
・他の対象と比較してどのようなユニークネスがあるのか?

③ Horizontal思考
・Exclusivityは何か?
・相手が何を守りたいのか?
・相手が守りたいものに対してどのようにアプローチするのか?
・向こうのBest/Worst CaseとこっちのBest/Worst Caseがあたったときにどうするのか?

のようなものになると思います。

ぜひ、3つの思考法の習得を目指してください!

2014年1月29日水曜日

Triple A (2) 発展

この記事は、Triple A (1) 基本 の続編にあたります。

Triple Aという型を前回説明しました。これに関していくつか論点を話しておきたいと思います。

Abstractionについて
前回話したとおり、Abstractionは「抽象論」とはいえ、具体性がかなり必要です。
そして、「論」である必要があるため、単純に「こうだよねー」だけではなくて、その基準を正当化することが必要でしょう。
よく、fairness is important!とかで終わるのですが、「どういうfairnessを守っていて」「そのfairnessがなぜ大事なのか」という話が合理的には説明される必要性があるでしょう。
(どこまで説明するかは、一般的にジャッジが分かる程度、というあいまいな表現になってしまうのですが。)

そして、ここは当たり前ですが、Abstractionは相手との関係性で規定されます。
non-contentiousなprincipleってまじ意味ないと思うんですよね、個人的に。一瞬でoppにI agreeと言われてしまうので。このあたりは、Principleというより、Stance/Caseの話になってしまうので省略しますが、要はStanceがAbstractionと整合性がないとだめだよねという話です。

Analogyについて
Analogyに関しては、近いAnalogyであればあるほど良いと思います。
例えば、tobaccoのbodily autonomyの時に、alcoholという例のほうが、junk foodより近くて感覚的に受け入れやすいでしょう。
一時期はやったcoal minerは、やっぱり遠いような気もしますしね。

また、ここではAbstractionとの関連性において「線引き」の議論になることもあるでしょう。例えばcocaineとかと何が違うの、とか。上の「相手との関係性で規定される」ってところを踏まえると、Govは、alcoholとの違いに言及するなど、柔軟な対応が求められるでしょう。

Applicabilityについて
Applicabilityは、「なぜ今回あてはまるのか」という話なので、特にこれ以上はありません。
Practicalの話とほぼつながると思うので、変にPrinciple/Practicalと分けずに考えるほうが合理的であることもあるということにとどめておきます。


最後に、2点ほど補足してTriple Aの記事を終わりにしたいと思います。

(1) なぜこの型に至ったのか?
これは、僕がKoc WUDCに行った時の感想でした。WUDCでブレイクラウンドをみていると、どんな人もExampleをPrincipleにつけていて、すごく説得的だなと思ったからです。
抽象的なPrincipleを具体化していく工程こそが、Analogy/Applicabilityだったと思い、今後日本のディベーターが海外で活躍するにはこれなんじゃないかなあと思いました。

あと、もう一つ付け加えておくと海外だとExampleを「分かって」くれる人が多いというのもありました。つまり丁寧な説明をしなくても「あそこのあれ」というだけで「あーあれね」という共通言語があるというところです。これはWUDCでAverage Intelligent Voter, Informed Global Citizenというような言い方をされるようなところからも、ジャッジの知的水準は比較的高めに設定されているのでしょう。

(2) この型の問題点とは?
これは別にこの型だけに関わる話ではないのですが、型があると「その型に当てはまってないから・・・」というジャッジング/スピーチ構成につながっていく悪循環があると思っています。
分かりやすいのはSQ/AP/Impactの型で、「SQがなくて・・・」とか「Impactが分からなくて・・・」というのは確かに説得力を欠く要因になることもあるとは思いますが、必ずしもマストではありません。

あくまで目的はジャッジを説得することで、そのプロセスにTriple Aなり、SQAPImpactがなくても、分かればいいですし、分からなければ問題というところに落ちるしょう。


2014年1月26日日曜日

Triple A (1) 基本

Triple Aについて、今更ながら解説しておこうと思います。
基本的に、1年生に最初に教える時としてのTriple Aの話です。
今度、Triple Aの「発展」という続編も書こうと思います。

Triple Aとは
Abstraction 抽象論 (どういう価値を守ろうとしていて、それがなぜ大事か)
Analogy 類似例 (似たような例は何か?)
Applicability 適応性 (なぜ今回にも当てはまるのか?)

の3つのAではじまるものの頭文字をとった、プリンシプルの型です。

例えばですが、ban tobaccoのoppで"free choice"のプリンシプルを立てる時はどのように考えるのか説明しようと思います。

Abstraction
まず、抽象論でそもそもなぜ「そもそも自由が認められるのか」という話をすると思います。
ここで大事なのは"Abstraction"とは言え、抽象的すぎたらだめということです。
この場合、具体的に守るのは「身体の自由権」(bodily autonomy)であるはずです。
特に、「自分の体を傷つけてまでも幸せを追求する権利」と言えると思います。

なぜ、そのような権利があるのでしょうか?
それは、「自分の体は自分がownしているから」という話であったり、「自分の幸せは自分のことが一番分かっているから」という話になるでしょう。

Analogy
そして、その抽象論を支える上で類似例が大事になってきます。
特にPrincipleって自由権ならまだしも、"importance of preservation of culture"だとか"representation as a part of democracy"等抽象的な話になりやすいため、それをぐっと分かりやすくするための機能を果たします。

例えば今回の場合は、他に自分の体を傷つけている自由っていうのはどういうのが認められているのでしょうか?
consumption of junk food, drinking alcohol等が例として思いつくのではないでしょうか。
このような例も、「自分の体を傷つけていても幸せを追求している例である」と説明することになります。

Applicability
そして、最後になぜ今回のモーションにも当てはまるのか、という話になります。
つまり、
・飲酒と喫煙はなぜ同じようなものなのでしょうか?
・そして今回はどういった幸せを守ろうとしているのでしょうか?

前者に関しては、Analogyのところでも多少説明しているでしょう。成年になれば、ストレスの発散などにおける幸福追求という形になるかと。
後者に関しては、タバコのユニークネスのイラストになるかと思います。
例えば、さっと吸えるという話だとか、タバコの煙が体の中を通っていくだとか、そういった話になるかもしれません。

これが、Triple Aの基本になるかと思います。
いくつか、留意点だけ述べていくと

・必ずしもAnalogyはなくても大丈夫です。場合によってはない場合もあるので。新しいPrincipleをつくるのであればなおさらです。

・繰り返しになりますが、具体的に話しましょう。"free choice"とかって何でもあてはまりますし。

・Abstraction, Analogy, Applicabilityは必ずしもこの順番で説明する必要はありません。AREAと異なり、しっかりと3つの間の峻別はつけにくいと思いますし。この要素があると説得的になるのでは?という考えに基づいてつくられています。

いかがでしたでしょうか?今ではきっと他の色々な解釈もあると思いますが、Triple Aの基本はこのようなところになるかと思います。


追記:1/29に続編をUPしました。 Triple A (2) 発展 

2013年8月3日土曜日

Read, read, read!


夏休みは、ぜひ時間があるので読書をしてほしいなと思っています。ディベートというのは僕は(1)特定の思考の枠組みと(2)特定の知識が特に重要になってくると思います。この両方を手っ取り早く手に入れるのがこの方法です。

(1)どのような本を読むと良いか
 ここで重要になってくるのは、まず「認知的不協和」というのを避けるということです。人は自分が好きなことや好きな考えに関することのみに関心を持つ傾向にあり、自分とマッチしない内容・考えになかなか触れづらい傾向があります。最初は自分の興味と関わるような内容から派生してもいいと思いますが、したがって、色々な本を是非読んでほしいと思います。
 全然新書でいいと思います。分厚い本とかは大変ですし。ここではいくつかお勧めの本をあげます。

苅谷剛彦 『知的複眼思考法』 講談社
山口厚 『刑法入門』 岩波新書
佐伯啓思『自由とは何か』 講談社
アマルティア・セン『貧困の克服』 集英社
中島隆信『これも経済学だ!』ちくま新書

(2)本をどのように読むと良いか
 最初に本を読むときに留意すべきなのは、自分が知らない分野というのはやっぱりハードルが高いというところです。しかし、簡単な内容から入ると結構楽しいですし、その後がすごくありがたくなります。どちらかというと、ざっと全体像を読むような読み方にすれば良いと思っており、詳細をたくさん覚える必要はありません。
 そして、重要になるのは、【英語ディベートにどう使えるか?】という視点を持つことです。つまり、英語では何ていうんだろう?ディベートではどういうアーギュメントで使えるんだろう?のように考えましょう。おそらく、ここでマターファイルをつくる時がやってきますね!