2018年5月31日木曜日

【御礼】10万アクセス&1000フォロワー超え! + ブログを書いている理由

ついにブログの10万アクセス、Twitterの1000フォロワー超えを達成いたしました!

ブログを始めたことろはこんなにアクセス数が伸びるとは思っていませんでした。読んでくださっている皆様のおかげです。

ふと過去ログを振り返ると、2012年にスタートしているようです。もう6年たつということで早いものです。最初はひっそりと行っていたのですが、今ですとこのブログを読んでくださっている、ないしはak_debateのアカウントを普段フォローしてくださっている、という声を掛けてくださる方も増えました。大変嬉しい限りで、それが励みになっています。

なぜブログを書いているのでしょうか?それは私が理不尽さ・不条理さが嫌いだというところに根差していると思います。例えば、それがいわゆる強豪校じゃない場合、先輩が就職活動等でいなくなってしまった場合、地理的に簡単に試合ができる状況にない、部を立ち上げようとしているけれども仲間がいない、練習機会が限られている…等、大学生であれ、社会人であれ、中高生であれ、色々な理不尽さ、不条理さってあると思います。要は自分でコントロールできない要因でディベートの楽しみを知れないだとか、うまくなれるはずなのになれない、のようなことって辛いと思います

それから、教えることによって、他の方が「できるようになった」という場面に立ち会うのが好きなんだと思います。人に教えるというのは責任が重く頭を悩ませますが、その分やりがいも大きいことです。ふと途中から自分の結果も当然さることながら、必死にコーチした後輩が活躍していたことに嬉しさを覚えることも増えました。(それでも負けず嫌いなので負けると悔しいですが 笑)

それから、日本ディベートコミュニティ全体が強くなってほしい、という想いもあります。私がディベートを始めたきっかけのひとつは「世界で戦える」ところに魅力を覚えたからです。昔テートという超絶強いマレーシアのディベーターが言っていたことですが、「君たち(日本人)が言ったからといって、説得力を持たないわけではない」というようなことは印象に残っています。考えてみれば、日本人だからという理由で頭が悪いわけでもないはずですし、説得力を持たないわけでもないはずです。もちろん英語などのハンデはあっても、勝つポテンシャルはあるはずです。ここ数年で東南アジアも強くなりました。北東アジアも活躍するようになりました。次は日本がより世界に羽ばたいてほしいと思っています。僕は1年生で世界大会に行って4回連続最下位を取るなど、散々な結果でした。最後の年で意気込んでもメインブレイクには到底届きませんでした。そういう意味ですと、その夢をコミュニティに託しているのかもしれません。それが、ある種"公共財"の提供なのかなと思っています。ここには、私が運よく先輩・同期・後輩から教わったこと、自分で考えていることをできる限り言語化・理論化したいという意図があります。

このような想いから、ブログを書いているんだと思います。勿論私の理論も完ぺきではないところも多々あるかとおっもいます。それでも、少しでも理不尽さ・不条理さが解消されれば、少しでも成長に寄り添えれば、少しでも日本が強くなれば、という思いで書いていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

2018年5月20日日曜日

【80点超えのスピーチシリーズ各論⑤】Reply編

総論としての「80点超えのスピーチをするには」を受けた、各論シリーズです。
今までのPrime Minister編Leader of the Opposition編Deputy Speakers編Whip編の続編となります。

厳密に言うと、Replyは1/2の点数なので40点超え、ということになりますが、そちらはご容赦頂ければ幸いです。

Replyに関しては、下記がポイントだと思っています。

1.ラウンドの固有のまとめを、Whipと異なる形で出す
Whip編でも書きましたが、「汎用的なフレームを活用しながら、ラウンドに固有な纏め方を探す」ことが重要になるのはReply Speakerも同様です。ただ一つポイントとなるのは、Whipとは異なる纏めの方法が推奨されていることです。
この理由は定かではないのですが、「同じ纏め方だと飽きちゃうから(Newがないから)」という点に尽きる気がします。Whip、Replyでチームとしての優位性を示すチャンスが2回ある中で、同じフレームで戦うことは一本足打法にならざるを得ないのでお勧めはしないです。

2. "Biased Adjudication"として勝ちの理由を示す
特にオーストラリアでは、Whipとは異なりReplyは"Biased Adjudication"になる必要があると教えています。これを解釈すると、どのようなことが考えられるでしょうか。ジャッジのReason for Decisionに近い言葉を使うということになるかもしれません。
例えば、Failureの指摘が考えられます。これは改めてDrop等が発生しているというようなClash basedの議論もあるかもしれませんし、相手の議論の強度に関してRelevancy、Logic、Uniquenessの薄さ等を指摘することもあるかと思います。特にかなり競っている場合はこれがVoting Issueになり得る可能性もあります。
あとはNewになるのかは見せ方次第な部分もありますが、優位性の軸(インパクトの大きさなど)を示すことも可能かもしれません。

3. 伸ばせる部分は伸ばし続けること
NA StyleだとそもそもNew examplesがReplyでOKであることからそれを出すことでぐっと具体性を引き寄せることもあるかもしれません。ただ、NAではなくReplyであったとしても、ギリギリ、イラストでは伸ばしきれる余地があることもあります。すでに出た話を最大限伸ばしにかかることは非常に重要です。
私自身、あるクロースな試合の決勝で、リーダーが話した話を改めてごり押して勝利をもぎとったことがあります。意外と主要なポイントを伸ばすことがキーになることもあるという好例かもしれません。
どの部分を伸ばすかというのは、あくまで強い部分、すなわちExclusiveであったり、Intuitiveであるような部分が優先になるのではないでしょうか。

4. 反論ができないにしても、前のスピーチを踏まえること
これは意外と教わらないポイントですが、例えばGov Replyの場合Opp Replyを踏まえることも重要です。例えば、Emotionalに訴えかけられた際は、Emotionalに返しつつもLogicalな部分で優位性を保つということもあり得ます。また、例えばOpp ReplyでFailureを指摘されていた場合は、そのFailureが存在しないことor相手にも同じ軸でFailureがある、というような暗黙の反論もあり得るかと思います。反論以外でも対応方法はあるという示唆ですね。

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2018年5月6日日曜日

後輩と組む時に ~akが考えていたこと、やってもらえて嬉しかったこと~

皆さんGWはいかがお過ごしでしょうか。
エリザベス杯に残念ながら間に合わなかったのですが、akが後輩と組む時に気を付けていたことを知りたい、というリクエストを頂戴したので書いてみます。
akも色々な先輩と組ませて頂いた中で、やってもらって嬉しかったこと+やろうとしていたことを取りとめもなく書かせてください。

(ここでの前提は、先輩ということで一定程度ディベートの能力・経験は比較的高い、ということにしています。毎回そうとは限りませんが…笑)

1.あくまでパートナーとしてフェアな関係性を目指すために、Welcomingな雰囲気をつくる
これが一番大事だと思います。結局のところ、先輩ー後輩間にはどうしても何もしない場合だと遠慮というか、力関係が発生してしまうことは避けられないと思います。("power imbalance"ってやつですね)

普通のパートナーでも、「あなたなことを大切に思っている」「あなたの意見・スピーチにも価値がある」というようなコミュニケーションはチームビルディング上肝要ですが、いい先輩方はそれを特に意識してくださっていたように思えます。

例えばですが下記のようなBehaviorに落ちるのではないでしょうか。

・プレパの間で出たアイデアをちゃんと聞いてくれて、それがスピーチに組み入れられる
(例えば、akが思いついた話がちゃんとArgumentになっていくことがある)
・ラウンド外でしっかりと褒められる/リスペクトが払われる
(例えば、ある伝説的な先輩は「akくんはとても組みやすいね」とふとおっしゃってくださったことがあり感激しました)
・フィードバックが双方になされる
(だいたい先輩から後輩への一方通行になりがちですが、先輩も後輩からの意見を求める。例えば、akは「もしよければ僕もフィードバック欲しいんだけど・・・」と話して、困惑された場合「あ、じゃあ良かったところ褒めて(笑)」と言って話しやすそうなところを言ってもらい場を温めてから、「しいて言うとしたらスピーチのどの辺が気になった?」と聞くようにしています。その時出なかった場合は「あ、まあ今後また気になったら教えて!」といって閉じて2回目に聞くと教えてくれたりします)

こうすることによって、勝ち負けに関係なしにラウンドが楽しくなりますし、さらには後輩もよりリラックスして発言してくれるより好循環に入りやすくなるため、チームとしてのパフォーマンスもあがります。

正直、後輩の視点ってめちゃめちゃ参考になります。私もああその話全然思いつかないなぁとか、結構ありますね。(後輩のおかげで勝てたラウンドとかも結構あります)なのでこの1.の話を言い換えると、後輩のいい話をどんどん出してもらえるようにする環境づくり、というところだけは先輩の役割かなと思います。あくまで走りたいなら道路ちゃんと整備するだとか、花を咲かせようとするなら土くらいちゃんと耕すか、くらいの心づもりかもしれません。

2.チームとしての"成長エンジン"の設計;その際、普段よりも人一倍パートナーのディベート力を分析し、勝ちに繋げる

では、後輩と組んで勝ちに繋げるためにはどうすれば良いのでしょうか。
結局のところ、チーム全体としての「総力」が勝敗には基本的に直結します。
となると、チームとしての総力をあげにかかることが重要になるわけです。

そのためには、"成長エンジン"の記事でも書きましたが、To-Be、As-Is、Approachをしっかり考えることが重要になります。この場合の3つの問いは、下記の3つになります。

1.どういうチームになりたいのか?
2.今、パートナーと自分はどういう状態か?(今どういうチームか?)
3.なりたいチームになるためには何が必要か?

1.はブレイクのようなディベートの実績的なこともあるかもしれませんし、イラストがうまくなる!のようなものもあるかと思いますが、
特にキーとなるのは2.となります。

自分のことをよく知ることはもちろんですが、パートナーのディベート力を人一倍分析することが重要となります。

どういうことかというと、例えばパートナーがPracticalが強いと。で、あなたもPracticalが強い。そうだとすると同じことを繰り返してしまいがちでチームとしての最大出力があがらないとかありますね。となると、例えば自分はPrincipleをうまくなる、とかしていくことも場合によってはあるわけです。

例えばakが一回あったのは、後輩をみているとすごくマクロな話が強いと。いわゆるフレーミングはいいのだが、具体論があまりないと感じていて、ジャッジからもそういうフィードバックを多くもらっていました。そこでやったのは、当然具体的にするためのコツみたいなことはその後輩に教えつつ(例えば、こちらで書いたような内容です)、特に具体的な話は意識してプレパでakが詰めるようにしました。一部それを言ってもらったり、どうしてもその後輩がカバーできなかった部分のイラストはあえてakがイントロで言う等するようにしたりしました。

そんな風に今の段階で目立つ強みがない、という場合は彼/彼女ができることを起点に「役割」をお願いする、というところかもしれません。特に、自分の強み/弱みと掛け合わせて考えることがポイントです。例えば、akは具体的な話があるほうが議論がしやすいタイプなのです。(チープな言い方ですが、「叩き台」があればそこからブラッシュアップするほうが得意)なので、一人の後輩にお願いしたのは相手が何を言うか考えてくれない?ということもありました。後輩が考えてくれる相手の話は確かによくて、じゃあそれをどうやって上回ろうか、という議論に時間をより効率的に割くことができるようになったこともありました。

また中長期的な教育の意味も込めて、今までやった練習方法などはかなり積極的に教えるといいとも思います。参考になった練習法やディベート資料はどんどんシェアしましょう。個人的に一度あったのは、昔ICU出身の先輩の方と組ませて頂いたときに、リサーチのメソッドを教えてもらったことがあります。具体的にはPost Itに具体的なArgumentと具体例が貼ってあると。スピーチのときにはそれをぱっと貼って話せるようにしている、と聞いてすごく合理的だなと思いました。(なお、この練習法を最初に始めた人は、世界大会で日本人記録を持っている方です)akも一時期やってかなり役立ちましたが、今はより自分にフィットした形にカスタマイズしディベートノートとマターファイルにしました。また、普段読んでいるメディアなども色々教えてもらいました。

3. 定期的にコミュニケーションをとり、より良いチーム作りを目指す

akはかなりこれをどのような人ともやるのですが、定期的にラウンドやディベートに関してコミュニケーションをとることは意識しています。具体的には、下記をよくコミュニケーションしていました。

・今悩んでいること
・より先輩としてサポートできそうなこと
・より先輩として改善できること

例えば、よくあるパターンというのは、後輩に「独裁的に」なりすぎていないかということです。あと、例えばスピーチづくりなどもPrime Ministerだとついついかなり指示してしまうこともあります。これだと組んでいる側からすると「先輩の言いなり」になっている感がぬぐえなくなってしまう場合もあります(一方で、それを欲しがる場合もありますが…)

なのでそういったこともざっくばらんに聞いていったりできるとより良いですね。

あとくだらないかもしれませんが、akは一緒に食事をとることも結構意識しています。美味しい食事を一緒に食べるとチーム力ってあがるだとか、場合によっては手作りの食事を食べたりすると結束力があがるだとかという研究もあるようです。(最近だと色々な会社が取り入れたりしているだとか。もちろん人それぞれだとは思うので、強制とかはしませんが。)たまたまですが、昔ある大会で、関東圏に住んでいない後輩と組んだ時は家に泊まってもらったのですが、ついでに大したことはないですが手料理もふるまわせて頂きました。後で聞いたところ「手作りの食事をふるまってくださったおかげでだいぶ距離が縮まりました、同じ釜の飯を食った、じゃないですけど」と言ってくれたので、効果があったのかもしれません。
(ちなみにもちろんですが食事中にフィードバックなどはしません。楽しく食べることに集中したいので雑談です 笑)

4. マインドとしては「勝ったら後輩のおかげ、負けたら自分のせい」として臨む

これは特定のアクションに落ちないのかもしれませんが、このスタンスでいる人って格好いいなと思います。
やや蛇足ですが、社会人になっていい上司もこの要件を満たしていると思います。ミスがあっても、上司が矢面にたち「そうですね、ごめんなさい」と言い、「しっかりとリードできずにすみません」と謝られたこともありその時はこの人すごいな…と思いました。

ディベートで言うと、昔尊敬する他大学の先輩と組ませて頂いた時があったのですが、その人の実績を鑑みると十分決勝トーナメントで勝ち進めなかったことがありました。結果が出たときは当然のごとく落ち込みましたし、ああ僕のせいだなぁと思っていたところ、先輩が「あの負けは僕のせいだ」とおっしゃった際は改めてこの先輩は恰好いいなと思った次第です。

あと、ジャッジのイケてないフィードバックのパターンとして、言い方が悪く結果的に「足を引っ張ってしまった」人をかなり責めることがあります。「リーダーでは全然立ってなくて~」「Memberが反論で機能していなくて」のようなことは、フィードバックとしてはあんまりイケてないので他の言い方が当然必要ですが、そのような言葉を聞いて落ち込んでしまうことがあります。そういう時に「あのいい方はちょっと無いよね」「まあ確かにXXの観点はそうかもしれないけど、Yの観点とかよかったし」等のフォローができるといいなぁと思いますね。

ここで言えるのは、ついつい人は他責にしがちです。自責って結構辛いですからね。やれモーションのせいだと言ってACを批判し、やれジャッジのせいだと言ってジャッジにイラジャとラベルを貼りがちです。akも何度もおそらくやっていたので反省しかないのですが、その中でチームメイトである後輩のせいにしたい、というのは無意識的に分かりやすいところではある逃げ道だとは思います。ただ、先輩の責務としてそれを言い訳に絶対にさせない気概で組む、というのが一つ個人的には刺さる先輩像だと感じています。

これは勝敗に少し直結しないかもしれませんが、人として先輩として意識したいポイントかなと思っています。

以上となります。ご参考になれば幸いです。

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