2014年10月26日日曜日

Personal Conflictに関する提言

そういえばなんですが、Personal Conflict制が日本も定着してきたと思います。
Personal Conflictのみで運営する大会も増えました。

ただ、現行の制度にはいくつか問題がある気もします。
(特定の大会を批判しているのではなく、僕自身過去にやれなくて反省していてしっかりと最近思いついたりしたので書いてみました。)

① ディベーターがConflictを申請できない
確かに、Conflictが多すぎるようになってしまうようになってしまうかもしれませんが、とはいえディベーターが申請できない状況は不条理な気がします。

② Hard Conflict/Soft Conflictの概念があまり使われていない
この概念は大会によっても使われ方が違うのですが、「絶対だめ」という場合と「極力避ける」というグラデーションをつくるのも重要な気がします。
例えば「このチームは見れるとは思うけど、できれば外してほしい」というニュアンスを考慮できないかんじです。これがあれば、ACのアロケーションの柔軟性も向上しやすくなりますし、Conflictを申請しやすくもなります。チェックは大変ですが。。。

③ 恋愛関係・雇用関係・過去の敵対関係は考慮しているものの、それと同じくらい仲良くね?やばくね?という状況を包括できていない。

海外だとコーチ関係や"substantially involved in that institution/individual"というのがあるのですがそれがないし、一定の基準もない→つくってみるのもありかもしれない。

例えばこういうのになるかもしれません。もれがあるかもしれないのと、時間間隔は適当なのでもう少し調整は必要ですがたたき台ということでお許し下さい。

Guideline of Personal Conflict 案

1. 過去の恋愛もしくはそれに準ずる関係
2. 雇用関係、もしくは同僚関係
3, 過去の個人的な問題が生じた関係
4. その大学/個人に相当程度かかわっている関係
(a) 現状のコーチ
(b) その大学の正式な練習の1/2以上に参加している関係
5. ディベーターのパートナー
(a) 過去3ヶ月以内に一緒に大会に出た
(b) 過去24ヶ月以内に3回以上一緒に大会に出た
(c) 次1ヶ月以内に一緒に大会に出る予定がある
6. ACを一緒に行った
(a) 過去3ヶ月以内に一緒にACを経験した
(b) 過去24ヶ月以内に3回以上一緒にACを経験した
(c) 次1ヶ月以内に一緒にACを経験する予定がある
7. その他、ACが全会一致で、「このジャッジがいることによって他のディベーターが著しく不合理に感じる」と判断したとき


1. Past/current romantic/physical relationship  
2. Employment/Co-working relationship
3. Past personal problems
4. Substantial involvement of that institution/individual
(a) coaching that institution
(b) attending more than 1/2 of official practice session of that institution for past 3 months
5. Debating partner in recent tournament
(a) attended a tournament with him/her in past 3 months
(b) attended a tournament with him/her for more than 3 times in past 24 months
(c) planning to attend a tournament with him/her in next 1 month
6. Adjudication core member in recent tournament
(a) worked as a part of adjudication core with him/her in past 3 months
(b) worked as a part of adjudication core with him/her for more than 3 times in past 24 months
(c) planning to work as a part of adjudication corew with him/her in next 1 month
7. Any other circumstances where adjudication core unanimously believe that other debaters feel disproportionately unfair

2014年10月21日火曜日

定性的な評価を入れる場合のACのやり方

twitterのこぴぺです。読みづらかったらご了承下さい。

定量的な評価だけで決めるべきというスタンスではなく、定量的・定性的にジャッジブレイクを決めよう!と考える場合のACの場合どのような風にジャッジブレイクを決めればいいのでしょうか。リクエストがあったので書きたいと思います。

まずジャッジテストを採点します。当然ですが、コンフリクトがないAC2人等複数人で採点しつつ、(もし可能ならブラインドにし誰が書いたのかわからない状況にして採点)、大きな触れ幅があれば3人目のACが見ます。それをもとに点数ランキングをつくります。

(1)部屋数を計算し、何人チェアーが必要か計算します。(2)ブレイクラウンドが何部屋あるかを元に、ジャッジブレイクのだいたいの人数の目安を議論します。(3)必要に応じて、Shadow ACのように、信頼できるジャッジをACでコンセンサスをとります。

(1), (2)を元に、おそらくブレイクかブレイク落ちのボーダーになるのではないだろうかという人を最初に大体目安をつけます。大きめにとることが重要です。このあたりを「要チェックリスト」人員とします。

「要チェックリスト」人員をACが見ていきます。(R1から見たほうがいい場合は見ます)。そして、この「要チェックリスト」は適宜ディベーターからのフィードバックや点数を確認しながらアップデートしていきます。

必要に応じて「要チェックリスト」を絶対みたい、できれば見たいに分けたり、再チェックリストをつくったりする工夫もできます。経験則上、それを4ラウンド繰り返すと、少なくともBPでは大体の場合ボーダーになる人には定性的評価が存在することが多いです。

また、定量的な評価ともトレードオフにならず、あえてAC等がパネルにまわってディベーターの点数をみることもできます。また、トップルーム等難しい部屋も見れるかの確認もできます。

他にも色々な工夫の仕方などはあると思いますが、定性的な評価も含めたACを行いたいというのはこういった工夫を施すことがあります。他もあると思いますが。海外だと、HKDO 2012だとか、Australs 2014とかがやっているみたいです。


<補足>すみません、かなり大事なことを失念していました。定性的な評価を入れても、個人的には定量的に点数が高い人は絶対ブレイクさせます。トップ10人とか、20人とか、事前に決めてありますが。定性的評価が入りうるのはボーダーだというニュアンスです。

2014年10月20日月曜日

最近の議論のまとめ①日本ディベート界の英語化に関して

最近、個人的にはコミュニティに関する議論がたくさんされて非常にいいことだなと思っています。
とはいえ、SNSだと一時的にログが流れていってしまったりするので議論に連続性がないので、今の議論を簡単に僕が聞いたり見たりしたことベースでまとめていって、将来的な議論に役立たせればなぁと思っています。

僕はこういった議論に関しては、終わりにも書きますがケースバイケースではありますが大会の趣旨目的や、コミュニティの民主的正統性をベースに決めていくというところに落ち着く気がします。

結局どれかの制度をとらないといけないのは明らかなわけです。ゼロサムなので。うまくその制度の問題点や弱点、反論の点をしっかりと理解して、制度を工夫していくことが求められると思うので、それをベースに書きたいと思います。

また、前置きがもう一つあるのですがここでまとめた内容は必ずしもそれらを主張している人の意見を完全に代弁できているとは限りません。(最大限努力していますが。)また、最終的に似たような結論に至ったとしてもその中でもスペクトラムがあることは(ディベートと同様)当然あります。環境vs経済でも、色々なスタンスがあるのと同じですね。(ちょっと雑いですが。)なのでこういうのもあるよ!という場合はご連絡下さい。

さて、前置きが長くなりましたが第一回は、英語化について書きます。

SNS上で話題になっていたので議論を簡単にまとめつつ整理したいと思います。
ちなみに僕のスタンスとしては、アナウンス系は日英どっちでもやること、オーラルフィードバックとかは正直わからないって感じです。

まず、「英語化」って言ったときに対象になるのは
①大会の案内系
②ジャッジ
の2つになります。①に関してはあまり議論がないのでいったん切りたいと思います。
問題になるのは、②のジャッジの英語化になるかと思います。

1.いつ言語が問題になるのでしょうか。
日本語が得意・もしくは日本語を好む人同士であれば、日本語でフィードバックするのが望ましくなり、問題になりません。
英語が得意な人・もしくは英語を好む人同士であれば、英語でフィードバックするのが望ましくなり、問題になりません。

問題になるのは日本語が得意・もしくは日本語を好む人と、そうでない人がディベーター・ジャッジ間でクロスするときになります。

実際、今回の議論を追ってみると、こういうときを問題にしている人が多いようです。

2. なぜこの問題は複雑なのでしょうか。また議論が熱しやすいのでしょうか。

①プラグマティックなレベルとしてどうすればいいか

②「英語ディベート」はどうあるべきか

③日本人の英語力向上にはどうすればいいか

この3つのレベルが絡み合っているため、議論として白熱しているのだと思います。

①の話は実はほとんどされていません。結局言語の壁が存在している以上、どちらかが妥協しないといけないので、難しいところです。通訳を雇うわけにもいきませんし。

唯一されていたのは某K氏でした。
「相手に合わせる型」がひとつのsolutionとして提示されていました。
すなわち、どちらか両方の言語で意思疎通がしやすい場合にがんばるというもので、日本語が得意・もしくは日本語が好む人が、そうでない人を相手に英語でがんばって説明し、そうでない場合は日本語で説明する、という形になるでしょう。

これは個人的にもとっているスタンスであり、合理的だと思うのですが結局のところ「両方できる人」であり、1.で問題になっているように片方の言語に特化している場合のケースを含めないのが残念なところでしょう。

②はイデオロギーの対立です。

【英語積極派】
英語を押す理由は主に2つに分類されます。

① まず、英語の一貫性を主張する方法です。
「英語ディベートとは、英語で行う競技なのであり、すべて英語で行うべきだ」
「ジャッジも英語ディベートの競技の一環である」
「英語にコンセントしているんだから一貫して英語を使うべきだ」

この議論として問題なのは、なぜその一貫性が重要になるかが少しわかりづらいところにあるでしょう。

② 次に、国際化を押す理由です。
「海外ではそういうものだ」
「また、日本としても海外で活躍できるように練習するべきだ」
というような理由です。

この議論の問題点として、海外に行きたくない人はどうするのだろう、というところの考慮不足があるでしょう。

【英語消極派】
逆に、英語を押さない理由も主に2つに分類されます。

①まず、英語がプラクティカルに必要なく、ジャッジの趣旨目的に合致するという理由です。
「そもそもジャッジの役割は相手を説得するものだ。言語は関係ない」
「むしろ日本語のほうがうまく説得できる場合もある」

この議論の問題点として、結局プラグマティックに英語が必要な相手の場合はどうするのかという現実問題から逃げているところがあるでしょう。

②次に、(日本の特殊性を考えつつ)インクルージョンという理由です。
「英語ジャッジに関してかなり恐怖感がありむしろ人口を減らしてしまう」
「日本語でのいいジャッジを排除してしまう可能性がある。」

この議論の問題点として、「日本語だけで説明できる人はそもそもいいジャッジなのか」という反論がされることもあります。

3. 日本人の英語力向上にはどうすればいいか

結局少し2.でも触れたのですが、日本人の英語力をどのようにみてくかというところでも対立があります。

英語積極派は、英語で全部やることによって英語力が向上していく。特に、英語だけで考えるくせがつく。なれもつく。Educational Effectとかもある。のような説明をしていきます。

英語消極派は、バーが高すぎてむしろ英語力を向上させる人が減っていってしまう。ゆっくりと慣れさせていくほうが良い。のような説明をしていきます。


4. おわりに

結局のところ、この議論に関して終止符はなかなか打たれない気がします。
個人的には正直どっちの議論もかなり分かるので。僕としても分からないです。
そう考えると、ケースバイケースではありますが大会の趣旨目的や、コミュニティの民主的正統性をベースに決めていくというところに落ち着く気がします。

例えばですが、JBPは今年かなり趣旨目的や参加者層に合致させつつ、バランスをとりにいった非常に秀逸なおとしどころにしていると思います。以下、引用します。

本大会では、年末に開催されるWorldsの準備という開催趣旨を踏まえ、英語でのジャッジング(ジャッジテスト、ディスカッション、オーラルフィードバック)を強く推奨いたします。ただし、参加者の誰もが不利益を被らぬよう、特に以下の3に留意してくださるようお願いいたします。
英語のみでジャッジングを行うことが不適切だと判断された場合は、英語と日本語を併用するなど適切な対応をとってください。(英語でディスカッションを続けることによりタイムテーブルを圧迫してしまう場合、ラウンドに1年生や英語が不得意な方がいらっしゃる場合など)ディベーターの皆さまは、英語でオーラルフィードバックが行われた場合、決してその英語が流暢でないことのみを理由に当該ジャッジの評価を下げるようなことはせず、あくまでオーラルフィードバックの内容を基準に評価をしてください。ラウンド後の個人的なフィードバックは、ディベーターとジャッジの両者にとって最適な言語で行ってください。

このように、「WUDCの開催趣旨」をベースに英語にすることを決定しています。
また、日本コミュニティのニーズにもこたえている形で妥協をしている感じとも言えるでしょう。

今回一つのモデルケースとなると思うので、JBPでどのようになったのか、さらに工夫できるところはあるのかのように考えていくとよりよいものになる気がします。