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2020年4月18日土曜日

"SMART"にディベートの目標を立ててみよう!

全国で緊急事態宣言が発令されてしまいましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
皆さんや、皆さんにとって重要な人たちの健康を最優先で行動してくださいね。
多くのディベートの大会がキャンセルになってしまい、私も残念です…。オンライン化等色々な試行錯誤の中で新歓や練習も続いていると聞いています。

今日は、1人でもできることとして目標設定に関して書きたいと思います。
なんとなく、ディベートが上手くなりたい!

突然ですが、"SMART"の原則を御存じでしょうか?目標設定の際に意識したほうが良いポイントの頭文字をとったものとなります。
グロービスのこちらのページによると下記のように定義されています。

◆要素1:Specific(具体的に)
誰が読んでもわかる、明確で具体的な表現や言葉で書き表す

◆要素2:Measurable(測定可能な)
目標の達成度合いが本人にも上司にも判断できるよう、その内容を定量化して表す

◆要素3:Achievable(達成可能な)
希望や願望ではなく、その目標が達成可能な現実的内容かどうかを確認する

◆要素4:Related(経営目標に関連した)
設定した目標が職務記述書に基づくものであるかどうか。と同時に自分が属する部署の目標、さらには会社の目標に関連する内容になっているかどうかを確認する

◆要素5:Time-bound(時間制約がある)
いつまでに目標を達成するか、その期限を設定する

ビジネスで使われることも多いSMARTですが、私はディベートでも当てはまると思います。私になりに解釈すると、こうなります

◆要素1:Specific(具体的に)
ディベートのどの能力を身に着けるのか、「なぜ?」を最低3回は繰り返して明示化する。例えば、インプットとしての知識×プロセスとしての思考力×アウトプットとしての英語プレゼン力だとすると、その中でも何の知識?どういう思考力?どういうプレゼン力?となるかと思います。ここを深堀りする際には、例えば目標としているスピーチ、スピーカーなどがあるとより“解像度が高まる"と思います
◆要素2:Measurable(測定可能な)
頑張って"数字"にする。それは例えば最終的な"アウトカム(結果)"であるブレイク、スピーカースコア等も良いかと思いますが、それだけではなく"プロセス"(行為)も重要だと思います。知識をつけるのであれば何冊本を読みますか?音源ならいくつ、何時間?英語力だといくつの単語を覚えますか?…等。 
◆要素3:Achievable(達成可能な)
"2重の目標"にすることが重要だと思います。1つは本当に理想の"優勝"のようなものかもしれませんが、1つは今から少しストレッチしたらできるもの。例えばバブルラウンドで負けてしまう傾向にある場合は、それを一つ超えたブレイクになるかもしれません。本等のプロセスであれば、1日にどれくらいやらないといけないか?と割り戻してみるのも重要です(1か月で100冊、となると1日に3冊以上読まないといけませんが、授業やバイト等もあるかと思います。実現可能ですか?)
◆要素4:Related(目標に関連した)
これは、まずは一義的には大きな「ブレイク」のような目標に紐づくようなものなのか、と解釈しています。(すでに強い部分を伸ばしていても関係ない、評価されない点を伸ばしても仕方ない、等)また、最終的に自分がディベートで何を得たいのか、と言う目標とフィットしているかも重要になると思います。
◆要素5:Time-bound(時間制約がある)
それぞれの目標は短期・中期・長期等があるかと思います。お勧めは両方持つことですが、一つ良いのは大会、引退等をマイルストンにすることです。「ジェミニまでにXXする」のような。そこから「では、4月はこういう目標になる」のようになりますね。

せっかくのタイミングですので、SMARTで目標を立てているか、一度見直してみませんか?

2020年3月20日金曜日

家で1人でもできるAsian Style(3 on 3)の練習方法 "2分 Veto練"

コロナウイルスということで、以前よりも練習がしづらくなってきている状態だと思います。

まず、ラウンド以外での練習方法に関してはIndexとして「上達方法(ラウンド外)」とまとめています。色々な記事が纏まっているので、ぜひ読んでください。(ダイレクトな戦線)

今回紹介するのは、Vetoを2分で決める練習です。
(3 on 3でも、HPDUやWSDCのように、3 motionsではなく、1 motion制の大会もありますが、それでも役にたつ練習方法だと思いますのでぜひ)
昔、akが粛々とやっていたりもしました。

【どういう人がやると良いか?】
・Vetoを決めるのに5分くらいかかってしまっている人
・特にHorizontal思考が弱いと思う人
・ぱっとArgumentが出てこないという人
・特に若手(あまり多くのディベートの"パターン認識"をしていない人)

【練習方法】
(チームでやることを想定。個人の場合は、全部下記を1人でやるイメージ)
3 motionsはだいたい5分くらいでVetoを決める、ということが大会では一般的かもしれませんが、これはぜひ、普段は「2分」を目指してやってみましょう。
(海外のディベーターはなんなら2分以前にやってくることもありますね。)
具体的な流れは下記のとおりです。

(1)ストップウォッチを準備し、サイド、モーションセットを選び
UTDS等でAsian Styleのモーションを選ぶと良いと思います。もし、ある程度やりつくしている場合は、適当に2 on 2, 2 on 2 on 2 on 2, (NA/BP等)で3つ選ぶ形でも良いと思います。

(2) 2分で絶対に終わらせる
2分以上伸ばすのはだめです。絶対に2分で終わらせましょう

(3) その後、5分で選ばなかった方のサイド(GovならOpp、OppならGov)でVetoを考える

(4) その後、5分で、最初のVetoの反省に関して議論
具体的には、(a) Vetoはあっていたか?(相手サイドの話も踏まえて良かったか?) (b) (あっていた、あっていない場合どちらでも)これ以上早くするにはどうすれば良かったか? (c)Vetoをうまく決められなかった原因は何か?(各人の考え方?ディスカッション?そもそもVetoの基準がチームとしてなかった?)(d)次はどうすれば良いか?の4点をディスカッション

(5) 時間があれば、先輩や他の人にもVeto及びその理由を聞いてみて、Vetoの仕方に関してアップデートしてみる

(6) 全てのリストアップを見て、傾向が無いか考え、打ち手を考える
例えば、特定のテーマ(宗教等?)のモーションだと遅くなってしまう、というのが無いでしょうか?もしくは、モーションのHardさ/Softさではないでしょうか?

(7) その一つとして、"対立軸"を意識することは有効かも?
その結果としての打ち手は、例えば"対立軸"をしっかりと抑えきれていないHorizontal思考に起因しているかもしれません。
その場合、即興型ディベート初心者へのおすすめの「最初の詰め込み」 ~もし初大会まで5日間しかないとしたら何をするか~の記事にも書いてありますが、大きな対立軸をMonashやJPDU資料等で抑えるのも良いかと思います。

例えば、ある世界大会のGrand Finalist、EUDCのChampionはディベートを結局何種類かにパターン分けしているようです。オーストラリアのディベーターもこういう風に対立軸を意識している傾向があるように気がしています。

以上となります。ぜひ、たくさんVeto練をしてみてください。

2020年2月2日日曜日

レベルの高いラウンドをジャッジしないといけなくなった時は 7つのアドバイス

ジャッジをするのであれば、せっかくなのでジャッジブレイクも目指したいですし、何よりもそのラウンドでいいRFD(Reason for Decision)、フィードバックをして「ジャッジされてよかった」と思われたいですよね。

私も自分のスピーチよりもレベルの高いラウンドにジャッジとして入る際は緊張しながら入ります。ディベーターだけではなく、ジャッジにも見られている感覚も含めてあんまり好きではないです…。

では、そういう時はどうすればいいのでしょうか?7つのアドバイスを送りますので参考にしてみてください!

【短期的(大会でジャッジすることになっちゃった、という時)】
①意外となんとかなるはず、という気持ちで臨む
これって意外とあります。「オーソリ」とかって呼ばれる人も別に突拍子もないようなアーギュメントばかり言うわけではないです。それに、意外と失敗もします。極端な話「同じ人間だし」くらいの気持ちで向かっていくのは大事です。

②試合で出そうなアーギュメント、クラッシュを予想する(+人に聞く)
これは賛否両論あるのですが(変なバイアスがかかる、という場合もあるので)、個人的には推奨派です。どういう主張が来るのかなぁというのは、自分の周りの人に聞く、場合によってはACに雑談を仕掛けに行く、必要に応じてグーグルで検索する、等もいけると思います。また、「似たようなモーションがないかなぁ」と考えるのは大事です。(オーストラリアのディベーターは特にこういったパターン認識が上手なイメージです。)

③ラウンド中は、普段よりも「今ならどこにVoteするか?」と頻繁に問いかける
よく色々な人が、スピーカーごとにどっちが勝っているのか考える、のように言うと思います。これの背後にあるのは「正しく聞く(インプット)」と、「その結果どっちが勝っているのか考える(プロセス)」、「なんで勝っているのかと説明する(アウトプット)」の3つがぐるぐる行ったり来たりするほうが効率的!というところです。「ラウンドが終わってから考えよう」だと慌てふためくことになるので、普段よりも、PM、LOというスピーカー単位であったり、できればClash単位(例Free choice vs Paternalismの観点で今どっちが勝っている?」で、考えるのが大事です

④難しすぎて答えが出ないときは、いったん仮の答えを出して、後に進む
勿論本当は全部を正確に理解したいところですが、よく分からないArgument、Refutation等あると思います。ここでのポイントは、「とりあえず先に進む」ことです。意外とそれが重要ではない話かもしれないので、「今の私にはこれが限界!とりあえず分からなかったのは分からなかったとして置いておく!」って大事です

【中長期的(今後レベルの高いラウンドをみるために)】
⑤ラウンドが終わったら、ジャッジやディベーターからフィードバックをもらう
意外と色々教えてくれます。勉強中何で教えてください…とぜひ話しかけに行きましょう!

⑥ゆっくりでもいいのでトップラウンドを聞いてみる
例えばPMをメモを取りながらきく。そこで止めて、間に時間を置いて考える。そしてLOを聞く、止める、考える、等でもいいです。昔JPDUでこういう練習会もありました。先輩とかとやってみてもいいかもです。PM終わったけどもその実況と解説!みたいな感じで、このArgumentはこれくらい良かったねー、こういうところは弱そう、とかとある種「頭の中の思考」を共有する感じです

⑦結局、どこで躓いているのか明確にする
さっきの、「正しく聞く(インプット)」と、「その結果どっちが勝っているのか考える(プロセス)」、「なんで勝っているのかと説明する(アウトプット)」でいうとどこで躓いているのか明確にするのがいいです。その結果、色々な対策が出てきます。
例えば、
・インプットの課題:ノートの取り方で全部メモしてしまっている→略語を多く使う、一言では何か、を聞きながら考える
・プロセスの課題:クラッシュが見えなくなってしまっている→クラッシュ専用の紙を準備する(akの場合はスピーカーごとの紙とクラッシュ専用の紙を分けています)
・アウトプットの課題:勝ち負けの基準が足りない→基準のストックを増やす(例:こちらの記事等)

ちなみに、その他ジャッジに関連する記事はこちらにまとまっていますので適宜ご覧ください!(全般的な、主要記事まとめはこちらです)

ではまた!

2019年10月6日日曜日

【1~2年生向け】大会が終わった後に学びを最大化する方法

今日は梅子杯があるみたいですね。自分が出たのが10年以上前だと思うと驚きですね…。
Twitterなどを見る限り、今年も盛り上がっているようで、行きたかったなぁと思っているakです。

結果が出た人も出なかった人もいるかと思います。梅子に出れなかった人もいると思います。(僕の同期にも何人もいます。)特にESSの方々は、セクションが決まったのが最近ということもあるかと思います。まだディベート人生は長いのもあるので、引き続き応援しています。

さて、大会というのは大体の方々が少なくとも4ラウンドは予選の試合を行い、オープンラウンドが3つはあるので3つのフィードバックは聞いており、4ラウンド目もジャッジに質問しに行っているかと思います。実は、4回もフィードバックを短期間で、かつ別大学の人たちから得られるのはとても貴重なので、学びにつなげてほしいなと思っています。

1. フィードバックをお願いすることは遠慮しなくて大丈夫です!
上の文章を読みながら「あ、4ラウンド目聞けてないや」「予選も実は時間がなくて個人フィードバックを聞けなかった…」等のようなパターンがあるかと思います。
不安がらないでください。そして安心してください、フィードバックはぜひ聞きに行って大丈夫です。
大会会場にいる場合は、その人のところに紙などをもって行くと周りも察してくれます。(談笑で盛り上がっているところでいっても、だいたい気づいてくれる…はずです。)怖かったら相手のチームや先輩等と一緒に行きましょう。また、それでもチャンスを逃してしまったら思い切ってFacebook等のメッセージを送ってみましょう。
私もFacebookでメッセージをもらうことが多かったです。大会後でも数日は覚えていることが多いので、それであればどんどん聞いてしまって大丈夫のはずです。
(なお、更にはakは図々しいので試合を見ていたオーディエンスの他大学の先輩やOBOGの方にも梅子の時に質問しに行っていました。。。今思い返すと丁寧に対応してくださった皆さんに感謝です。また、最近ですとモーションを出すACの人たちに質問するケースも増えているようです。(私も、数か月前、数年前の大会のモーションに関して今でも聞かれます)

2. よく言われたフィードバックを「グルーピング」しよう
少なくとも3-4人に言われたフィードバックですが、その場だとよくメモを取るかと思うんですが、意外と「グルーピング」することって多くの方がやっていないことだったりします。(やっている人はKeep Goingです)

多くの人に言われること、言われたことというのはおそらく外観的には正しいのだと思います。(もちろん、彼らが見ているラウンドの数のn数が少ない等はあるので留意は必要ですが。)なので、そこは聞いてみるといいと思います。

ここでのポイントなのですが、「全体フィードバック」「相手のフィードバック」「チームメイトのフィードバック」も含めてメモをとりながら、最終的に自分の強み・弱みをあぶりだす、というところにあります。というのは、必ずしもあなただけに向けたフィードバックで全部を構成していなかったり、ジャッジとしても多少言いづらい部分が他のところに入ってきているからです。

akの場合は1年生の時はよくロジックがある、抽象論は分かる、反論が良い、のようなコメントが多く直接的には言われました。一方で、チームメイトは「イラストが上手、感情的にすごくわかった」のようなフィードバックを良くもらいました。ここから導出できるのは、「ロジックや観点はいいのだけれども、感情的に訴えるような表現が足りない」というところになるかと思います。「即興型ディベートに必要な能力を身に着けるための練習法シリーズ② プレゼンテーション力」でいうと、"感情的な分かりやすさ"が改善の余地があるということでした。

ぜひこのようなことは「チーム」や「コーチ」と一緒にやってください。例えば、WUDCのDCAは、2時間くらい1ラウンドが終わった後チームメイトとディスカッションするみたいです。

3. フィードバックの際に、こちらからも質問しよう
ジャッジからすると、限られた時間であなたの今までの悩みをトレースすることは難しく、どのようなレベルで何を話せばよいのか迷ってしまう、ということがあります。

もちろん、オープンクエスチョンで聞くのも全然良いのですが、より個別具体のクローズドクエスチョンを聞けると、お互いにとってハッピーになりがちです。

質問の種類は例えばざっくりと思いつくものでも3種類あります。

A. 確認系
ーシンプルに分からなかった部分の定義は何か教えてもらう (それってどういう意味ですか?)
ー何かをより具体化してもらう (それって具体的にどういうことですか?今回のラウンドでいうとどのあたりの話になりますか?)

B. 自分の強み・弱みのアセスメント系
ー自分やチームのよかったところ、改善できるところを教えてもらう (よかったところ、チャレンジってどのあたりだと思いますか?)
ー上記の具体版 (ジャッジにはよくXだと言われることが多いんですが、今回ってどうでしたか?今、Yがうまくなれるように頑張っているんですが、どうでしたか?)

C. 改善のための方法系
ーどのように練習した方がよいか、教えてもらう(Xさんってどうやってうまくなりましたか?参考にしている人やスピーチはありますか?)

このような具体論があるとジャッジからもより聞きたいことを引き出せたりするのでおすすめです。

4. "Reason for Decision"から学び取ってほしいのは、勝ちのための「引き出し」
Reason for Decisionは、特にVoteで負けです、と言われた後に聞くのはなかなか辛いものです。絶対に勝っただろ、と思った際に出てくる怒りのような感情。負けたなぁと思った時の再度押し寄せる絶望の感情。気持ちはすごくわかります。
可能な限り、そこで思ってほしいのは「次のために、自分の成長のために聞こう」というマインドになるかと思います。難しいですが…。
大会の際は、色々なジャッジがそれぞれのReason for Decisionを説明してきます。普段聞きなれていない表現であったり、見方、重みづけだと思います。
(いわゆる「え、そこで見たの?」というような感覚もここかと思います。)

例えば、以前も「色々なジャッジのやりかたの考察 ~ジャッジが使用する基準リスト、よくあるジャッジスタイル等~」という記事でこちらを取り上げました。Principleを重視する人とPracticalを重視する人、ロジック重視・感情重視等、Diversityとしていろいろあり得るわけです。

「その見方は違う」と言って怒ったりTwitterに何か書き込むよりも、「色々な人を説得できる」(=別の土俵でも戦える)という方がかっこいいし、イケてると思うんですよね。(akは結構かみついたのでイケていなかったのですが…)ぜひ、大会を期に自分は「どういう癖を持っているのか、どういう強みがあるのか」、「ほかのこういう人まで説得するには?」と考えてほしいです。

また、より足元で分かりやすい話としては、"exclusivity"のような、普段仮に聞きなれない表現があればぜひメモってください。そしてそれがどういう意味かも聞いて、自分のものにしていきましょう。

なお、長期的には「どうすれば、上手くなれるのか? -"成長エンジンの設計方法"-」のような内容も実践いただければと思います。



この記事に関する質問も大歓迎です。https://twitter.com/ak_debate こちらへのDM等もいつでもお待ちしています。

2019年9月21日土曜日

久しぶりに大会に出るときに 5つのポイント

久しぶりの更新です。

・就職活動や院試、留学等のため、暫くディベートから離れていた…
・しばらく他のサークルやバイト等をやっていたけど、久しぶりにディベートコミュニティに復帰したい…
・社会人になって集中していたので、しばらくラウンド等もできていなかった…
・一回引退宣言してしまったのだけれども、色々あってディベートしたくなった…

最後のケースはあまり無いかもしれませんが、上の3つはよくあるのではないでしょうか。

私も、就活の時はディベートから一時期離れていたり、社会人になって大会に出る頻度がすごく下がっている時期などが何度かありました。(現に、今年は半年くらい一度もスピーチしていない)

akのやり方がベストだとは思わないのですが、ポイントを5つほどご共有します。

1. 最近のディベートのトレンドが何か、を早めにアップデートする
これは特に半年や1年単位で大会に出ていない場合等はおすすめです。

10年間定点観測的にディベートを見ていても、Practical重視時期、Principleが重視になる時期、特定のディベート用語が流行する時期(mutually exclusive、counterfactual)、特定のスピーチスタイルが流行するとき(詰め込み型、ゆっくり見せる型)、特定のArgumentが流行する時期(social discourse、echo chamber)等色々あります。

その際には、例えば少なくとも
・最近の現役生がACを行っているモーションはどういうのが多いのか?
・最近のBriefingやAdjudication Examでの特徴は何か?
・最近特にみんなが見ている国内外の音源/ディベーターはだれか?
の3つを抑えると良いと思います。

私のように古い人間だとどうしても、2010年頃の世界大会の決勝を見たり、
困ったらSQ, AP, Impactだ!のようになりがちで、
スピ練をするにしても、昔見たことあるモーションに依存するような、いわゆる"comfort zone"から抜け出せていない、ということが知らず知らずのうちにあります。ぜひ私の二の轍を踏まないように…。具体的には、一回現役の練習にも(恥ずかしいですが)顔を出すなども有効です。

2. 一方で、自分が大事にしていた"ディベートの型"を取り戻す

上の話と矛盾するようですが、実はそうでもないです。時代が変わってもディベートで本質的に必要なスキルなどが大きく変わるわけではありません。

例えば結局のところ、私としてはAREAの考え方であるサンドウィッチ式が伝わりやすいというのはディベート外でも積み重なれた理論ですし、
SQ, AP, Impactの話も、近年Impactの概念がメタの話まで入り込んできている、等のチューニングは必要であったり、必ずしも比較対象がSQ, APではないかもしれないが使える部分があったり、
思考方法としてのTBHは、例えばモーションによっての向き不向きはあるものの、引き出しとして有益である部分もあります。

どう頑張っても一気に現役のころのような勘が急速にとり戻るわけではないこともありますが、一方で自分が現役のころだった時、調子が良かった時にどういうことをやっていたのか、その時の80点を取りに行くことは行ったほうがいいです。

その方法ですが、もし現役のころからルーティーンにしていたものがあれば、まずはそれを行ってみるのが良いです。akの場合は「ディベートノート」と「マターファイル」(詳細はこちら)が絶好調の時はほぼ全部頭に入っている状態だったので、まずはほこりをかぶっているそれらを読み返します。

最近は仕事柄英語もよく使うのですが、一時期使わなかったときはシンプルに一回話してみて口を慣らすこともやっています。社会人ディベーターの弁論同好会さんも似たようなことをやっていますね。(記事はこちら)。また社会人の話し方だとゆっくりと前提から話しすぎる傾向がでてくるので、それを短い時間で話す練習とかもよくやります。

現役のころ再現性高められるようにいくつか理論化している人のほうがこの復帰は早いのですが、もししたことがあまりない方であれば、

・自分がうまかったころのスピーチを聞いてみて、今の自分と比べてみる
・昔レクチャーなどをしていたらそれを読み直す、見返す
・どんなふうにプレパしていたかなどを思い出す、昔のパートナーに聞いてみる

あたりがおすすめです。

3. ラウンドはやったほうが良い、できればWhip等ラウンドの後半で、課題を一気に明確化しよう

ラウンド偏重はもちろんだめなのですが、
一方で、ラウンドは何度かやったほうがいいです。

結局プレパ練だと相手が何を言ってくるかわからなかったり、
反論や立論の優先順位のつけ方、
特にBPでの「立ち回り」等は試合をやったほうが早いです。

事実、社会人になってBPをほぼ1回もできずに大会に出ると、
全然Extensionも出せないし、反論の仕方も忘れていてあわあわし、全然パフォームしなかったときとかもありました。お恥ずかしい…。

その時の反省は、スピ練とかだけだと限界があるなということでした。

特に、PMやLOは比較的練習しやすいのですが、
Whip等、ラウンドの後半のほうがより勘が取り戻されやすいのでお勧めです。

また、ラウンドはそんなに何回もできない場合もあるので、
この前QDOのワークショップでEntingも言っていましたが、終わった後のチームメイトとのディスカッションにむしろ1-2時間かけるくらいの勢いで
「何を学んだか?」「何が良かったか?」「何を改善するといいか?」のようなディスカッションができるといいですし、
akもそちらをLINE等含めて行うようにしています。

4. 今だからこそ出せる「強み」にも注目する

ここまで、ややネガティブであったりチャレンジングな話も多くあったかと思います。
正直ディベートで復帰するって色々難しいです。それはすごくわかります。

一方で、実は「強み」もあることを忘れないでほしいです。

例えば院試であれば特定の分野の知識がよりあがっているかもしれない
留学であれば英語力があがっているかもしれない
他のサークルの経験で何か得たものもあるかもしれない
社会人になって新たに得たスキルがあるかもしれない

このように、他の経験を通じて実は新しい「強み」がある場合が多いです。
社会人であると、経済モーションが強くなるとか、よくあるパターンかもしれませんね。

また、シンプルに「久しぶりにディベートを見る」という客観性が
実は新たな戦い方のヒントの着想に繋がることもあります。

中にいたときは気づかなかったが、外から見て気づくことは色々あります。

例えば、私の場合は、イントロの重要性。昔はイントロを省いてでも3つ目のArgumentを言おうとかと思っていましたが、改めてラウンドを聞いてみると分かりづらい、ジャッジとして取りづらいというところがあるんだろうなと思い、イントロにより魂を込めて差別化するということもあるでしょう。

久しぶりに来たことで感じた「違和感」「気づき」は、戦略にも昇華できる余地があるのです。

5. 一歩セットバックして、ディベートでの目標を改めて設定する

また、やや次元が高い話になりますが、重要になるのはディベートに戻って何を得たいのか、というのをはっきりすることでもあるかと思います。

就活から戻ってきた場合は、再度リベンジし、ブレイクや優勝などが目標になるかもしれませんし、
社会人の場合は、取り急ぎ現役のころのパフォーマンスは諦めて、久しぶりにラウンドして楽しさを思い出す、とかもあり得るかもしれません。

また、長期的にみる場合は、取り急ぎ足元の大会では勘を取り戻す、この大会ではSF以上を目指す、等と時間軸をずらすことも重要です。

特に社会人としてコミットする際に「プロディベーター」として時間をたくさん割ける例外的な場合はともかく、
普段の仕事やプライベート、人によっては家庭もある中で現役とただ張り合って優勝しよう、という目標は場合によってはあいにく現実的ではないことも多いです。

akの場合、とはいえ負けず嫌いなので優勝なども含めて目標をセットするのですが、前よりも目標を下げることもありますし、
また、それ以上に「ディベートを通じて(仕事にも活かせる)自分の弱みを改善する」ことに目標を置いてきました。

例えば仕事柄経済まわりや教育周りのインプットが多くなっていた時は、
あえて国際関係等普段見ていないことをインプットすることを目標にしていましたし、

コンサルで必要なロジカルシンキング(MECE等)が弱かった時期は、
それをディベートを通じてアウトプットする、というようなことを目標に置いていました。

また、シンプルにラウンドでのアドレナリンやチームワークなど、場合によっては観光なども楽しいですよね…!社会人になるとより染みます。。。


いかがでしたでしょうか、普段と違う切り口でしたが、
参考になれば幸いです!

2019年1月7日月曜日

ディベート関連のお勧め資料一覧(暫定版)

2019年もどうぞよろしくお願いします!
以前Do not reinvent the wheel!という話をしましたが、では具体的にどういう資料をお勧めしているのかという話をさせてください。

(皆様の情報提供に応じて適宜アップデートしますので、お勧めの資料があればご教示ください!)

【日本語】

JPDU Resources
有名ディベーターの資料がたくさんあります。1年生の時にその時ネットにあがっていたものは全部読みました。もちろん、今の文脈では少し古くなってしまっているものもありますが、示唆に富みます。例えば、以前も、もし初心者が5日後に大会に出ないといけないとしたら、という記事でご紹介しましたがこちらのページにある奥田さんのPrinciple等は素晴らしいです。インテリジェンスに裏付けられておりかつ実践的です。
また、こちらのBPの資料は実は世界トップクラスのコーチであるローガン、シャーミラ等がレクチャーしていたADIの資料なので初心者向けではありつつも本質的な内容になっています。

Asian Bridge関連の資料
1年生のAsian入門の大会では、毎年教えることもお上手な方がお話されています。例えば2013年の分はこちらにありますが、例えば2018年はUTの栗田さんの戦略や、WADの藤田さんのArgumentに関するレクチャー資料はとても示唆に富みます。どちらも理論と具体例のバランスが素晴らしく、さすが1時代を築いたディベーター達ですね。(他の資料はFacebook Page等に上がっているかと思います)

去年の西日本のBP Noviceでは、色々な方々がディベートの練習方法などに関して書かれています。例えば、田中さん(仮)の「復習」という内容は骨太ですし、お勧めです。いかにしてPDCAサイクルを回すかということが具体論で書かれています。また、歴史的に見ても関西で殿堂入りするであろうディベーターである鍋島さんの練習方法に関する記事は、ぜひ地方大学/EFL/伸び悩んだディベーターには読んで欲しいです。

各種団体/大学ブログの記事
様々なブログで名記事があります。例えば、JPDUブログでは、圧倒的な分かりやすさを武器に独自のスタイルを築き現在はHPDUでもチーフコーチを務めている小野さんはAsianの在り方を一つ提示しています。他にも各大学のブログでは、色々な記事があります。

少し古いですが、有志によるブログです。色々な人が書いているのでオススメです。お好きな記事を検索していただければと思いますが、「純ジャパ」としての戦い方、各種大会のモーション解説、経済入門、Whipのやり方等色々あります。全般的に示唆に富みます。

後白 翼(WAD)さんの「debate音源入門」
多くの人が聞いている有名音源をビジュアルにもきれいなパワーポイントでまとめつつ、音源の使い方までしっかりと踏み込んでいる良い資料です。特に1-2年生にはまず勧めたいですね。

田村 光さん(KDS)さんの「How to judge BP rounds」
実力は既にご説明する必要はないですが、理論化に関して個人的に歴史的に見てもピカ一だと思う田村さんのジャッジのAll-In-Oneの記事です。ステップバイステップで相当に丁寧に書かれているので、少しBPをやりはじめたら読んで欲しいです。

yowainuさんの「弱者の遠吠え」
「ディベート留学」「EFL」「地方大学」がキーワードのブログ。動画の解説では有名音源を取り上げていたり、ヨーロッパの名門校・Leidenでのディベート留学での軌跡等も読みごたえがあります。

その他各種個人ブログ
一つ一つご紹介しようと思いましたが、弁論ブログでディベートブログで良記事がありましたのでそちらをご参照ください。(なお、弁論同好会さんは視点が素晴らしく、毎回更新を楽しみにしています)

その他国内のディベートレクチャー
弁論同好会さんがまとめられているこちらのプレイリストがとても良いです。上記でもご紹介しているAsian Bridge以外にも、Asian Okahashi、Gemini等多くの練習会の動画があり、必見です。

【英語】

MonashのDebate Handbook
言わずと知れたオーストラリアの強豪校のMonash大学が出している資料です。First Principleがコンパクトに美しくまとまっています。少し長いですが、ぜひ何度も読み返してほしい内容です。また、MonashのTraining Videoもいいですね。(過去に全部分担してノートをつくる、とかやりました)

EUDC Training Center
最近特に動画を見ているのはこれですね。ディベートのスキル×知識両面で、世界のトップディベーターの分かりやすい動画が多いです。
例えば、最近観てよかったのと思うのはSeven argumentation mistakes to avoid, with Olivia Sundbergですとか、Case strategy and construction, with Ashish Kumarとか。結構全部タメになります。最近のトレンドもわかりますし。

WUDC Mexico Training
2つ前の世界大会のトレーニング資料です。特に一つ目の動画のMDGのFramingの話はシンプルかつ具体的に今のArgumentの在り方を示しているかと思います。また、余裕があればジャッジのマニュアルも読んでみるといいと思います

Alfred SniderのVideo
ディベートの巨匠のディベート動画です。(ホームページの方は動画が残念ながら消えてしまっています…)オックスフォードのリディアン・モーガンのレクチャー等含め、今見返しても面白い動画が多いです。

LoganのVideo
二回も世界大会でCAを行っているアジアのスーパーディベーター・ローガンの動画です。このWhipとReplyに関する動画だとか、具体のモーションのブレストの内容(例はこちら)などもとてもタメになります。

その他個人の動画
・世界チャンピオンであるWill Jonesのディベートレクチャーはこちら
・世界最強豪のSydney大学で、世界チャンピオンであるChris Croke、Steve Hindのレクチャーはこちら

2018年11月11日日曜日

その練習、ボトルネックを解消していますか?

1. ボトルネックとは何か?
突然ですが「ボトルネック」という言葉を御存じでしょうか?
ググるとこの定義が分かりやすかったので引用します。
「ボトルネック」とは作業やシステムなどにおいて能力や容量などが低い、または小さく、全体の能力や速度を規定してしまう部分のことを指します。つまり、「ボトルネック」は全体の能力や成果に影響する問題となる要因です。 
大きなボトル(瓶)でも通り道が狭いネック(首)になっていると、一定時間当たりの出る液体の量は少なくなってしまいますよね。「ボトルネック」は、この現象に由来してさまざまなビジネスシーンに利用されているのです。
(参照:https://gakumado.mynavi.jp/freshers/articles/43640)

上の定義にもありますが、ボトルって通り道が広いところと狭いところがあります。全部広ければ一気に水はだーっと出るのでいいのですが、狭いところがあると少なくなってしまいます。その狭いところを広げることを「ボトルネックを解消する」ということとイコールになります。

コンサルティングでも「今の問題のボトルネックは何だろう?」という問いがよくされます。最も効率的に問題を解決しようとすると、「一番影響する原因」に対する処方箋を考えるのが良いからです。これは、特にヒト・モノ・カネや時間が有限である際にとても重要な考え方となります。資源があれば全部できるのですが、そうもいかないからですね。

2. ディベートでも重要なボトルネックの概念
そしてこれはディベートにも応用することができる考え方です。特にディベートは多くの人が長くて4年程費やすことがありますが、365日フルであるわけではありません。大学の授業はもちろんとのこと、他のサークルやバイト等も考えると時間はどんどん限られてくるからです。

今あなたがやっている練習法が「ボトルネックを解消しているか?」という点で見直してほしいというのが私のメッセージです。

凄く言い方を悪くすると「非効率的な努力」に時間を費やし、その結果としてなかなかディベートがうまくいかない、という現象に陥ります。「たくさん練習はしているつもりなのに勝てない」「あんなに練習したのにスピーカースコアが伸びない…」という悩みはないでしょうか?実は私もありました。

3. ボトルネックを解消できていない練習例

練習例1:ラウンド依存症
分かりやすいのはラウンド練にのみ傾注しているパターンです。何度もこのブログでも取り上げているように、ラウンドはある種総合練習であり、特定の能力を集中的に高める上では向いていません。これが「(想定外なことが起きそうな)具体的なラウンドでの立ち回りができない」「最近のディベートやジャッジのトレンドが分からない」というのがボトルネックなのであれば最適な練習なのでしょうが、そうでない場合はラウンドばかりやることは向いていないでしょう。

(Debating Cycle Theoryを見ても「ラウンド外」に注目する必要がありますし、どうすれば、上手くなれるのか? -"成長エンジンの設計方法"-でもラウンド依存症が陥りがちな罠としてご指摘させて頂いております。)

練習例2:「とりあえずIR」のリサーチ
他にもよくあるパターンは、とりあえずリサーチ=IRという等式に基づくことです。確かに、IRはできなかった時のインパクトが大きいためIRのリサーチは行いがちです。ですが、これはボトルネックなのか?というのは2つの問いが必要となります。

I. 知識不足と考えた際に、それはIRが最もボトルネックになっているのでしょうか?
例えば、IRは「大会でよく出るのか?」×「あなたが知らないのか?」の2軸で考えた際に最も優先順位が高いものでしょうか?
例えば、akの調査によると、最近の1年生の全国大会でIRの頻出度は11位です。もちろんこれだけで判断するのは浅はかですが(ACの傾向や近年のトレンド等、勘案すべき点は多数あるので)もし、政治、社会的弱者に関する知識が不足しているのであればそちらのほうがより「ボトルネック」ではないでしょうか?


(参考:【即興型ディベート部のマネジメント】練習における議題の選び方)

II. そもそも、私はディベート力は大きくは「インプット(知識)」×「プロセス(思考法)」×「アウトプット(英語プレゼン力)」で構成されていると思っています。(厳密には色々他もありますが)
これは一種ボトルネックを特定するフレームワークとして活用できます。

換言すると、何がボトルネックになっているのか、ということをアセスメントできるのはこういう問いができます。
・議題に関する知識が足りない?
・思考力が弱い?
・英語プレゼン力が弱い?

すなわち、ここで実はあなたはそこそこ知識はあるものの、実はそれを短時間でArgumentにする「プロセス」が弱いかもしれません。またはArgumentやRefutationも考えられているのかもしれませんが、英語力が追いついておらずスピーチに反映されていないかもしれません。正しくボトルネックを解消できていない典型例になり得ます。

4. どうすれば、ボトルネックを解消できる練習方法を立案できるのか?

すこし答えを頭出ししていますが、下記の3ステップをおすすめしています。

Step 1: ディベート力の「全体像」を考える
私は「インプット(知識)」×「プロセス(思考法)」×「アウトプット(英語プレゼン力)」が全体像の一つの切り方だと思いますが、他にも「プレパ(個人)」「プレパ(チーム)」「相手のスピーチを聞く」「自分のスピーチをつくる」のように時間軸で全体像を捉えることもできるでしょう。
さらに一段解像度をあげれば、「知識」も、CJS、経済、IR等たくさんあり得ますし、「思考力」もTBH思考法に分けることもできます。
(なお、思考法に関してはこちら、プレゼンに関してはこちらも参考になるかと思います)

Step 2:その中でも特に自分に欠けているものは何か原因を考える
これは、チームメイトやジャッジなどからのフィードバックをたくさん得ることも大事ですが、それらをもとに「なんで勝てないのか?」「なんでうまくならないのか?」という問いを繰り返すことが重要です。
なお、この際コーチを依頼することも効率的です。僭越ながら私の例では、チームとしての思考法の部分をボトルネックと特定し、過去にプレパ・シートを提案したことがございます。

Step 3:実際にそのボトルネック仮説に基づいて練習を行い、成果が出ているか確認する
その後はいったんJust Do Itという世界にもなります。
実際うまくなっているのか、というところを何かしらの方法で「見える化」していくことが重要になります。
分かりやすい指標は勝率やスピーカースコアになるかと思いますが、色々あり得るかと思います。
成果が出ていないのであればボトルネックが違う、もしくはボトルネックは正しく特定しているがアプローチが異なるのどちらかになりますので、それを修正していくことになります。

いかがでしたでしょうか?
ぜひ「ボトルネックを解消している練習」を毎回行ってくださいね。

2018年11月7日水曜日

紙なしスピーチにチャレンジ!

最近お勧めしている練習の一つに「紙なしスピーチ」があります。
文字通り、プレパ用紙を使わずにスピーチをすることです。(プレパ中はOKだが、慣れたら無しも良いかも)

海外のディベートサーキットでは(それこそオックスフォードとかでも)たまにやられる練習スタイルらしいです。

私もやってみたことがあるのですが、下記のようなメリットがありました

・スピーチを通じて「イイタイコト」が結晶化(クリスタライズ)される
(結局チームとしてのスタンスは?だとか一番伝えたいことは何か?だとかが必死に分かりやすくなる。特にボトムアップディベーターであるとすごく良いトレーニングかと。)

・上記と関連して、スピーチのストラクチャーが奇麗になる
(1st Argumentで言わないといけない点はこういう風に3点に整理する、のようなことができる、単純化しないと覚えられないので)

・「その場で考えながらスピーチする」ことで、プレパ時間の無駄を省ける
(これはakにとって実は1番のブレイクスルーでした。例えば1年生の時とかって最後の5分は自分で考える時間ね、のようなプレパスタイルが当たり前化していて、「5分は無いとスピーチができない」と思い込んでいました。実はそこまではいらないんだ、ということとかが分かったりします。)

・「その場で考えながらスピーチする」ことで、実はその場でロジックとかを深めたり話を取捨選択することができる
(その場では何を言うかとかを丁寧に考えるようになるので、あ、その場で実はもう一つロジック思いついた、というような現象も。)

・(プレパのメモも禁止の場合は)話の流れを必死に頭の中で整理し(Issueの見える化)、重要なポイントとその対応へと取捨選択できる(ボトルネックへの取捨選択)
(これも意外と重要でした。特にBPだとか、AsianのWhipとかになると、紙を書きすぎるクセがあったんだなと思いました。意外とその場で「結局論点は2つでここを倒せばいいのか」と考えられるようになりました。)

もちろん、全員に全員この練習がベストだとは思っていません、が、
・イイタイコトが実はなかなかはっきりしないボトムアップ系ディベーター
・ストラクチャーが汚いと言われるディベーター
・長い間とりあえず最後の5分はスピーチをつくっているディベーター
・議論が整理できないディベーター
・「重要じゃない反論を打っている」と言われるディベーター

にはフィットするかもしれません。仮説的には、1年生とかよりも少し後のディベーターのほうがいいのかもしれません。
ぜひ一度やってみてください。

(追伸:なお、実際にやる際に人によっては「こいつ舐めてるのか?(失礼なんじゃないか?)」みたいな目で見られることもあるようなので、事前に伝えておくといいかもしれません)

2018年9月30日日曜日

BP クロージングのプレパ方法

最近よく質問されることの一つが、BPのクロージングでのプレパの方法です。
もちろん絶対的な答えはないと思いますが、ak流のやり方をご紹介します


1. まずはオープニングと同じようにプレパ
まずは普通に考えます。Spiritってなんだろう、1st Principleのクラッシュってなんだろ、一番強い話はなんだろう、具体的なExampleやAnalogyはないかな、変なスタンスとかってあり得るかな、Necessity/Solvency/Justificationは?などです。いわゆるTop-Down, Bottom-Up, Horizontal は全部バランスよく考えます。
意外とOpeningが普通の強い話を埋めない場合もあります。その場合は普通の話を普通にして勝つスタイルになるかと思います。

2. アイデアの種を幅広に出しておく
これは、deputy以降だと必ずやります。普通の話じゃなさそうな話をあえて意識的に探すのが特徴かもしれません。それは例えば、
-中長期的にどうなるのか?(Secondary Mechanismに近いかもしれません) というのも、だいたい最初のメカニズムは強いチームは言うので。
-他のステークホルダーはいないか?(ある程度MECEに考えることも意識します。男性、女性、子供、貧困層、中間層、富裕層、マイノリティ、企業、政府、、、など、イメージとしてスキャニングしていきます。)
-モーションのワーディングの抜け落ちはないか?例えばなんでsubsidy? なんでaggressiveなど、ワーディングのチェックリストじゃないですが、ユニークネスを考えます。

3. オープニングで話されそうなことの仮説を立てる
これが結構大事かもです。強いラウンドになると、オープニングが普通に話すことは話してきます。つまり、1.は既にカバーされていることが多いです。
そうなると、じゃあどうやって抜くか、を考え始めます。それは例えばオープニングだと特定のクラッシュが水かけになりそうだからそれを超えよう。だとか、オープニングなと確実にこの話はされなさそうだからこの話を準備しよう、だとかになります。2.と組み合わせて確実に抜けられそうなNew ideaが1個でも見つかっていればしめたものだと思っています。

4. ラウンド中は、まずどのチームを倒しにいくかを考える
ラウンドに入ると、オープニングのファーストコンタクトの段階で、まずどこにどう勝とうか考え始めます。例えば自分のオープニングが圧倒的に強い場合は、斜めのオープニングにエンゲージしてもゾンビを倒してるだけで無意味です。逆に斜めが強くそこを対処する、またはオープニングがデッドロックになっていそうでそれを超える、とかもあるかと思います。または、クロージングになるとオープニングをごっそり抜きにかかり、クロージングの横のチームを上回る、というパターンもあります。いわゆるオープニングをBox Outしにかかる魅せ方になるかと思います。
また、試合によっては必死に2位をとりにいく、というのも戦略です。BPは、GF以外は1位になる必要はないのですから。

5. 3チームより上になる理由を考える
最後に、3チームを上回る理由を明示できるとなおよしです。なんであなたのチームはオープニングを超えているのか?横のクロージングを超えているのか、が大事です。もちろんIssue-basedが基本となり、一番クリティカルな論点に答えた、とかもあり得ます。
また、Macau Tournament of Champions 2018 GFでは、COがあえてほかの3チームのFailureをClashにするという面白い戦術を使っていました。1. OG’s missing counterfactual 2. OO’s missing mechanism、などのようなやつです。別にこれが良いというわけではないですが、結局相対的Impactを明示する、というところに尽きるかと思います。

2018年6月22日金曜日

大会直前の準備方法

大会直前って不安ですよね。最後の2-3日にak_debateが何をやっているのか、4点ご紹介します。

その1:
「大会中に意識すること」を書きだすリストを最終化します。これは「イントロを短くする」「Intuitiveなイラストをする」とかが5個くらい並んでます。大会中には必ずプレパ用バインダーの一番下のページにおいて、何度も見返しています。

その2:
今までのラウンドの復習をします。やった練習を思い出して、こういうこと言えたなぁというディベート各論的なことであったり(ディベートノートを更新する)、スキル的にこういうことがうまくなったなーとか学びを棚下すイメージです。新しいことよりも定着重視です。新しいことをやり始めちゃうとなかなか一気に習得できないんで。

その3:
自分のディベートの調子を最大限に高める工夫をします。ディベート10年目でもいまだにやっているのは、自分がお手本にしている、こういうスピーチをしたいなという有名音源を聞いてイメトレしたり、調子が良かった時の自分を聞いてモチベートしています。仮に直前で調子が悪かったとしても、寝て切り替えるくらいの勢いです。

その4:
そして最後に、身体的なコンディションを整えることを最優先します。結局持っているスキル・やる気がいくら高くても体調が悪いと元も子もないので、ゆーっくりお風呂に入って、好きな音楽(僕の場合いきものがかりとか)聞いてリラックスします。

少しでも参考になれば幸いです。Good luck!









主要記事まとめはこちら

2018年5月6日日曜日

後輩と組む時に ~akが考えていたこと、やってもらえて嬉しかったこと~

皆さんGWはいかがお過ごしでしょうか。
エリザベス杯に残念ながら間に合わなかったのですが、akが後輩と組む時に気を付けていたことを知りたい、というリクエストを頂戴したので書いてみます。
akも色々な先輩と組ませて頂いた中で、やってもらって嬉しかったこと+やろうとしていたことを取りとめもなく書かせてください。

(ここでの前提は、先輩ということで一定程度ディベートの能力・経験は比較的高い、ということにしています。毎回そうとは限りませんが…笑)

1.あくまでパートナーとしてフェアな関係性を目指すために、Welcomingな雰囲気をつくる
これが一番大事だと思います。結局のところ、先輩ー後輩間にはどうしても何もしない場合だと遠慮というか、力関係が発生してしまうことは避けられないと思います。("power imbalance"ってやつですね)

普通のパートナーでも、「あなたなことを大切に思っている」「あなたの意見・スピーチにも価値がある」というようなコミュニケーションはチームビルディング上肝要ですが、いい先輩方はそれを特に意識してくださっていたように思えます。

例えばですが下記のようなBehaviorに落ちるのではないでしょうか。

・プレパの間で出たアイデアをちゃんと聞いてくれて、それがスピーチに組み入れられる
(例えば、akが思いついた話がちゃんとArgumentになっていくことがある)
・ラウンド外でしっかりと褒められる/リスペクトが払われる
(例えば、ある伝説的な先輩は「akくんはとても組みやすいね」とふとおっしゃってくださったことがあり感激しました)
・フィードバックが双方になされる
(だいたい先輩から後輩への一方通行になりがちですが、先輩も後輩からの意見を求める。例えば、akは「もしよければ僕もフィードバック欲しいんだけど・・・」と話して、困惑された場合「あ、じゃあ良かったところ褒めて(笑)」と言って話しやすそうなところを言ってもらい場を温めてから、「しいて言うとしたらスピーチのどの辺が気になった?」と聞くようにしています。その時出なかった場合は「あ、まあ今後また気になったら教えて!」といって閉じて2回目に聞くと教えてくれたりします)

こうすることによって、勝ち負けに関係なしにラウンドが楽しくなりますし、さらには後輩もよりリラックスして発言してくれるより好循環に入りやすくなるため、チームとしてのパフォーマンスもあがります。

正直、後輩の視点ってめちゃめちゃ参考になります。私もああその話全然思いつかないなぁとか、結構ありますね。(後輩のおかげで勝てたラウンドとかも結構あります)なのでこの1.の話を言い換えると、後輩のいい話をどんどん出してもらえるようにする環境づくり、というところだけは先輩の役割かなと思います。あくまで走りたいなら道路ちゃんと整備するだとか、花を咲かせようとするなら土くらいちゃんと耕すか、くらいの心づもりかもしれません。

2.チームとしての"成長エンジン"の設計;その際、普段よりも人一倍パートナーのディベート力を分析し、勝ちに繋げる

では、後輩と組んで勝ちに繋げるためにはどうすれば良いのでしょうか。
結局のところ、チーム全体としての「総力」が勝敗には基本的に直結します。
となると、チームとしての総力をあげにかかることが重要になるわけです。

そのためには、"成長エンジン"の記事でも書きましたが、To-Be、As-Is、Approachをしっかり考えることが重要になります。この場合の3つの問いは、下記の3つになります。

1.どういうチームになりたいのか?
2.今、パートナーと自分はどういう状態か?(今どういうチームか?)
3.なりたいチームになるためには何が必要か?

1.はブレイクのようなディベートの実績的なこともあるかもしれませんし、イラストがうまくなる!のようなものもあるかと思いますが、
特にキーとなるのは2.となります。

自分のことをよく知ることはもちろんですが、パートナーのディベート力を人一倍分析することが重要となります。

どういうことかというと、例えばパートナーがPracticalが強いと。で、あなたもPracticalが強い。そうだとすると同じことを繰り返してしまいがちでチームとしての最大出力があがらないとかありますね。となると、例えば自分はPrincipleをうまくなる、とかしていくことも場合によってはあるわけです。

例えばakが一回あったのは、後輩をみているとすごくマクロな話が強いと。いわゆるフレーミングはいいのだが、具体論があまりないと感じていて、ジャッジからもそういうフィードバックを多くもらっていました。そこでやったのは、当然具体的にするためのコツみたいなことはその後輩に教えつつ(例えば、こちらで書いたような内容です)、特に具体的な話は意識してプレパでakが詰めるようにしました。一部それを言ってもらったり、どうしてもその後輩がカバーできなかった部分のイラストはあえてakがイントロで言う等するようにしたりしました。

そんな風に今の段階で目立つ強みがない、という場合は彼/彼女ができることを起点に「役割」をお願いする、というところかもしれません。特に、自分の強み/弱みと掛け合わせて考えることがポイントです。例えば、akは具体的な話があるほうが議論がしやすいタイプなのです。(チープな言い方ですが、「叩き台」があればそこからブラッシュアップするほうが得意)なので、一人の後輩にお願いしたのは相手が何を言うか考えてくれない?ということもありました。後輩が考えてくれる相手の話は確かによくて、じゃあそれをどうやって上回ろうか、という議論に時間をより効率的に割くことができるようになったこともありました。

また中長期的な教育の意味も込めて、今までやった練習方法などはかなり積極的に教えるといいとも思います。参考になった練習法やディベート資料はどんどんシェアしましょう。個人的に一度あったのは、昔ICU出身の先輩の方と組ませて頂いたときに、リサーチのメソッドを教えてもらったことがあります。具体的にはPost Itに具体的なArgumentと具体例が貼ってあると。スピーチのときにはそれをぱっと貼って話せるようにしている、と聞いてすごく合理的だなと思いました。(なお、この練習法を最初に始めた人は、世界大会で日本人記録を持っている方です)akも一時期やってかなり役立ちましたが、今はより自分にフィットした形にカスタマイズしディベートノートとマターファイルにしました。また、普段読んでいるメディアなども色々教えてもらいました。

3. 定期的にコミュニケーションをとり、より良いチーム作りを目指す

akはかなりこれをどのような人ともやるのですが、定期的にラウンドやディベートに関してコミュニケーションをとることは意識しています。具体的には、下記をよくコミュニケーションしていました。

・今悩んでいること
・より先輩としてサポートできそうなこと
・より先輩として改善できること

例えば、よくあるパターンというのは、後輩に「独裁的に」なりすぎていないかということです。あと、例えばスピーチづくりなどもPrime Ministerだとついついかなり指示してしまうこともあります。これだと組んでいる側からすると「先輩の言いなり」になっている感がぬぐえなくなってしまう場合もあります(一方で、それを欲しがる場合もありますが…)

なのでそういったこともざっくばらんに聞いていったりできるとより良いですね。

あとくだらないかもしれませんが、akは一緒に食事をとることも結構意識しています。美味しい食事を一緒に食べるとチーム力ってあがるだとか、場合によっては手作りの食事を食べたりすると結束力があがるだとかという研究もあるようです。(最近だと色々な会社が取り入れたりしているだとか。もちろん人それぞれだとは思うので、強制とかはしませんが。)たまたまですが、昔ある大会で、関東圏に住んでいない後輩と組んだ時は家に泊まってもらったのですが、ついでに大したことはないですが手料理もふるまわせて頂きました。後で聞いたところ「手作りの食事をふるまってくださったおかげでだいぶ距離が縮まりました、同じ釜の飯を食った、じゃないですけど」と言ってくれたので、効果があったのかもしれません。
(ちなみにもちろんですが食事中にフィードバックなどはしません。楽しく食べることに集中したいので雑談です 笑)

4. マインドとしては「勝ったら後輩のおかげ、負けたら自分のせい」として臨む

これは特定のアクションに落ちないのかもしれませんが、このスタンスでいる人って格好いいなと思います。
やや蛇足ですが、社会人になっていい上司もこの要件を満たしていると思います。ミスがあっても、上司が矢面にたち「そうですね、ごめんなさい」と言い、「しっかりとリードできずにすみません」と謝られたこともありその時はこの人すごいな…と思いました。

ディベートで言うと、昔尊敬する他大学の先輩と組ませて頂いた時があったのですが、その人の実績を鑑みると十分決勝トーナメントで勝ち進めなかったことがありました。結果が出たときは当然のごとく落ち込みましたし、ああ僕のせいだなぁと思っていたところ、先輩が「あの負けは僕のせいだ」とおっしゃった際は改めてこの先輩は恰好いいなと思った次第です。

あと、ジャッジのイケてないフィードバックのパターンとして、言い方が悪く結果的に「足を引っ張ってしまった」人をかなり責めることがあります。「リーダーでは全然立ってなくて~」「Memberが反論で機能していなくて」のようなことは、フィードバックとしてはあんまりイケてないので他の言い方が当然必要ですが、そのような言葉を聞いて落ち込んでしまうことがあります。そういう時に「あのいい方はちょっと無いよね」「まあ確かにXXの観点はそうかもしれないけど、Yの観点とかよかったし」等のフォローができるといいなぁと思いますね。

ここで言えるのは、ついつい人は他責にしがちです。自責って結構辛いですからね。やれモーションのせいだと言ってACを批判し、やれジャッジのせいだと言ってジャッジにイラジャとラベルを貼りがちです。akも何度もおそらくやっていたので反省しかないのですが、その中でチームメイトである後輩のせいにしたい、というのは無意識的に分かりやすいところではある逃げ道だとは思います。ただ、先輩の責務としてそれを言い訳に絶対にさせない気概で組む、というのが一つ個人的には刺さる先輩像だと感じています。

これは勝敗に少し直結しないかもしれませんが、人として先輩として意識したいポイントかなと思っています。

以上となります。ご参考になれば幸いです。

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(主要記事まとめはこちら)

2018年2月13日火曜日

【即興型ディベートの練習方法】音源を活用した1人でもできる練習のデザイン方法/具体例4選

相変わらず寒いですね、ak_debateです。
最近「1人で練習するには?」というご質問をたくさん頂戴するようになりました。

(なお、身に着けたい能力ベースでは、(思考法、プレゼンテーション力、英語力)をすでにご紹介差し上げていたり、プレパ練、お勧めの本、マターファイル・ディベートノートなど、色々すでに書かせて頂いているのでそちらもご覧ください。)

今回は、「音源」にフォーカスして書いてみたいと思います。音源を活用すべきというのは海外のディベーターも言っていますが、とはいえどのように使うのかという話に踏み込んでいるのはあんまり無いなと思って書きました。

【1. 練習のデザインにおいて重要な問い】
ak_debateは前提として、音源だけでは当然練習は不十分であり、弊害を生む時もあるとは思っていますが、一方で有益な部分も多々あり、うまくデザインさえすればよいと思っている派です。どういうことかというと、下記の3つの問いにこたえてみてください。

1.今あなたはどういう能力を身に着けたいのでしょうか?
2.その能力を身に着ける上で、他の方法と比して、音源はどのように役立ちますか?
3.どのように成果を測りますか?

1.は最上流で見失いがちです。何の目的もなく音源を聞いても意味ないです。あくまで練習方法はHowであり、身に着けたい能力であるWhatから逆算しましょう。

2.は、日本では特に一部大学生の間で「音源病」があるからです。とりあえず音源を聞こうという状態です。音源を聞くのは数ある練習法の1つなので、固執する必要はなく、"Why 音源"という問いに答えられないのであれば別の練習方法のほうが適切です。

3.も重要です。とりあえず聞いて「うーん勉強になったな」となるのではなく、実際に能力向上につながらないと練習としては意味がないです(趣味なら別です)もちろん、勝ち負けないしディベートのスピーカースコア等個人によって最終的な成果は違うでしょうが、それにつながるような目標を設定しましょう。

【2. 具体的なデザイン例】

例えばak_debateは下記のようなシーンで音源を使っていました。

パターン① 英語力を維持・向上する("耳を慣らす")ための音源活用
こちらは、問いに対応すると、
1.今あなたはどういう能力を身に着けたいのでしょうか?
→英語力、特にリスニング力(相手が何を言っているのか英語で理解する力)

2.その能力を身に着ける上で、他の方法と比して、音源はどのように役立ちますか?
→国内ではネイティブ・スピーカーにあたる機会が少なく、集中して聞くことによって、次に出る大会でネイティブ・スピーカーやスピードが速いスピーカーにあたっても聞けるようになる。これはラウンドを行うよりも効果的

3.どのように成果を測りますか?
→①音源をどれくらい聞いたかという時間、②レベルの高い音源/普段のラウンドの英語の理解度

特に、英語力というのは「毎日積み重ねる」ことが重要であることから、ak_debateは、世界大会の決勝の音源は現役時代は毎晩寝る前に聞いていました。最初はぽかんとよく分からない内容だったりもするのですが、何度も聞くうちになれてくるため成長も実感しやすいものとなっております。
ちょっと古いですが、WUDC 2010 GF、WUDC 2010 QF、あたりはお気に入りのスピーカーも多いので今でもたまに聞きます

なお、英語力に限って言うと、「少しストレッチ」して聞くのが重要です。最初から世界大会の決勝を聞くというハードランディングも人によってはありだと思うのですが、それは個人的には最終goalにしつつ、たまに聞くようにし、普段は「4-6割くらいしか分からないもの」を「8割くらいわかる」ようにもっていくとよいと思います。そういう意味で、国内のブレイクラウンドなどから始めるのもいいかもしれません。その次は北東アジアとか。(東南アジア、イギリスの発音などは難しい人が多いようです)

パターン② よく分からないテーマにおいてKey Issuesを特定するための音源活用
こちらは、問いに対応すると、
1.今あなたはどういう能力を身に着けたいのでしょうか?
→特定のテーマにおける「入門」的な内容(何が"重要"とされる議論なのかなんとなくヒントを知りたい)

2.その能力を身に着ける上で、他の方法と比して、音源はどのように役立ちますか?
→本来であれば基本書・学術書だとか、ニュースだとかを見るほうが良いし、ネットでググるほうが良い(特定のテーマであればなおさら)。特に、ディベーターがそのテーマに明るいとは必ずしも限らないので、Intelligenceはそういった1st Hand Informationから「センシング」するほうが圧倒的に良いです。一方で、14分で肯定・否定側のなんとなくの話が分かるのであれば1インプットとしては効率的

3.どのように成果を測りますか?
→特定のディベートノートにおける内容の多さ、特定のテーマにおけるアイデア数/勝ち数

例えば、Israel-PalestineであればAustrals 2012 Semi、UADC 2014 Semi、ReligionであればAustrals 2014 GFを聞きました。また、日本人ディベーターが苦手なArgumentを立てるという意味では、例えばstate abuseのようなargumentであれば、This house prefers a world with memory writing technology.(HWS Robin 2016 R4)のOOを聞くのもいいと思います

そしてこれらは、聞いたら必ずマターファイル・ディベートノートにも反映すると効率的です。

パターン③ 特定のマナーを身に着けるための音源活用
こちらは、問いに対応すると、
1.今あなたはどういう能力を身に着けたいのでしょうか?
→特定のマナー(全体的なスタイル、具体的なword economy、レトリック、クロージングでのFraming等)

2.その能力を身に着ける上で、他の方法と比して、音源はどのように役立ちますか?
→もちろんこれはディベートに限らない有名なスピーチを聞くのもいいのですが、短い時間で何かを示すという意味で、特にClosingでのFramingはディベートで見るほうが効率的

3.どのように成果を測りますか?
→ディベートノートにおけるマナーの理論の数、ジャッジからマナーに関して褒められた数

特に日本だとなかなかMannerに関するフィードバックがもらえないことも多いと思います。(本来的にはもっと行うべきだと思っていますが。)

例えば、word economyをあげる意味では僕はクリス・クロークを追いかけました。あの短い時間であんなに反論できるのはすごいなと。(WUDC 2010 GFのMOです。それ以外でもWUPIDの予選のLO、Student Economic Review DebateのDPM)彼から「いかに効率的に反論するか」というマナーは学びました。フレーミングに関しては、秀逸なのはMDO 2011 SemiのGWのローガンはジョークや、ゲーム性に訴求しながらこのディベートにおいてはzero-sumであることをかなり時間をかけて説明しています。Wikileaksのモーションにおけるシャーミラはwordingによるrelevancyを説明するイントロが上手いです。このExtensionの仕方は線引きスタイルとしてとても参考になります。Closingのフレーミングが上手いなと思うのは、例えば国内だとJapan BP 2013 SemiのCOですし、Japan BP 2015 SemiのCOあたりです。どちらもmotionのwordingに忠実にうまくsolidなopeningを抜いているパターンだと思います。海外ですと、UT MARAは上手いなと持っており、WUDC 2015の予選の抜き方としてOpeningを簡略化した上で、一気に新興国の話を具体名を羅列することで雰囲気も含めて持っていくところはいいなと思っています。

なお、「なぜ、このMannerがよかったのか?」「どうすれば自分もできるのか?」という問いまであわせて、ディベートノートで考察するところまでを目指してください。

パターン④ アセスメント/実践の模擬フィードバックとしての音源活用

これは、今までのパターンとは少し異なります。というのも例外的に問いが当てはまらないからです。総じてGeneral Commentsや自分のスピーチに関するフィードバックが欲しい際に、音源を活用するというパターンです。(ただし、3つめの問いに関しては、問題を発見できた数、というところになるかもしれませんね)

どういうことでしょうか。具体的には、実際に行ったラウンド/スピーチ/プレパ練の後に、似たような、もしくは同じモーションの音源を聞くことで「模擬フィードバック」を得に行く練習方法です。

ak_debateはよく、プレパ練と組み合わせて行っていました。実際にプレパ練をしてそのsideの音源を聞いてみる。そこでひたすら自分と音源との差分を分析するのです。例えば、Matterの観点では「ああこういうアイデア出なかったな」だとか、Mannerでは「同じことを言っているけどこういう言い方のほうが効果的だな」というようなことを学ぶのです。もちろん自分のほうがうまくいっているパターンもあるので、音源を盲目的に信じるのは良くないのですが、gapが何か、そしてそのgapを埋めるためには何を必要か、と考えることが有効になります。

これは特に、具体的な問題意識がまだ芽生えていない場合に「どこに問題があるか」という「アセスメント」を行う上で有効です。というのも、ぼんやりとgeneralにフィードバックをもらうのは当然大事なのですが、それがactionableな、具体的な目的ドリブンで練習できるほうが、一気に能力をあげることができるからです。

いかがでしたでしょうか。
もちろん、これ以外の練習方法もあるのですが、3つの問いをベースに音源の活用方法をデザインするということの重要性はお分かりいただけたかと思います。これらは1人でもできる内容なので、ぜひあなたの練習方法をデザインしてみてください!
(なお、ご紹介した例は海外音源が中心だったのですが、より初心者の方はぜひJPDUの音源等を活用してみてください)

(なお、主要記事まとめはこちらです)

2018年1月8日月曜日

【即興型ディベート部のマネジメント】練習における議題の選び方

Q.「普段どのようにモーションを選んだら良いと思いますか?」
このようなご質問を、部を運営している人から頂きました。

(競技ディベート目的なのか、教育ディベート目的なのかによるところはありますが、
いったん競技ディベートだと想定してみます)

その場合、色々な考えはあると思いますが、一つ大会で結果を残せるようにする(それは以前と比べてもありますし、その"結果"の定義も色々あるかと思いますが)が、部員にとって良い(勝てて嬉しい、勝てなかったとしてもそれに向けて的確な努力ができたため成長実感も大きい、等)とすると、下記のような考え方をお勧めしています。

A. 大会での出題確率×部の成熟度で考えること
私がおすすめしているのは、縦軸に「大会でどれくらい出るか?」、横軸に「部としてどれくらい対策できているか?」をとり、優先順位付けすることです。
(もちろん、他の考え方もあるかと思いますが。)

具体的には下記のようになります。


資料にも書いてありますが、出題確率はその時の時事問題、大会レベル/特性、モーション作成者等を勘案することがポイントです。
海外大会だと最近「過去のACの出題モーション」を公開していることもありますが、これはこの対策ニーズが大きくなっていることが背景にあるのではないでしょうか。

部の成熟度は測るのが難しいのですが、こればかりは色々なモーションを見ながら日々観察しておくことがキーになるかと思います。私がUTで昔部長をしていた時は、よく同期や先輩、場合によっては他大学の方に「どれくらいできているか」をうかがっていました。その結果、特に法学部のディベーターが多かったというのも相まってか、なんとなく法律系のディベートは強いということは分かったりしていた気がします。

なお、縦軸を考える際に、過去の議題の傾向から選ぶのは多くのディベーターの中でも暗黙の了解になっている気がします。(もちろん、時事、ACの傾向等もあるかと思いますが)それをもう少し精緻にアプローチすると、例えば下記のような分析をak_debateが試してみました。
1年生大会であると、政治・社会的弱者の議題が最もよく出ており、企業・労働、教育、紛争・戦争、法律なども続いてくる、という結果が見えてきました。
(なお、社会的弱者とはいわゆる"minority"関係のsocial movement関連などです)


このやり方は色々難しいところがあります。(例えば、大会といってもどこまでを対象とするか、テーマもどのように選ぶか、等。実際今回、モーションの分類をしようとしたときにとても困ったときがありました。またテーマは違っても出る議論や背後の対立軸が似ている場合とかもあるので、「テーマ」だけだと限界もあるのかもしれません。また、結局その年のACによっても大きく変わる部分もあるので、今まではこうだったけど急に変わるということも考えられます)ですが、個人的にやっている/やっていた感覚としては一定程度の成果はあるように思えました。)


したがって、部の運営者/コーチ、ないし教育を担当している人というのは上記のようなイメージをもってモーションを選ぶのが一つ良いのかもしれないなというのが示唆です。(もちろん一言で「部」と言っても、人によって横軸は大きく変わってくるので、個別化した対策も必要になるかとは思いますが…)

なお、ここまでデジタルには行っていませんでしたが、このアプローチは、私が部長を行っていた時にやっていたものです。具体的には、梅子杯を一つ大きな目標として、どういうテーマがでるか過去の議題から分析していました。(そのcontributing factorの大きさはもちろんわかりませんが…本人たちの努力も大きいですし、自主練とかは分からないですし…)

なお、これまで「部」という単位で話していましたが、これは個人という単位でも使えたりもするので、そちらでも応用できます。自分で横軸を分析するイメージですね。

いかがでしたでしょうか。モーションの選び方の参考になれば幸いです。

2018年1月2日火曜日

色々なジャッジのやりかたの考察 ~ジャッジが使用する基準リスト、よくあるジャッジスタイル等~

先日、"ある若手の方から「ジャッジのやり方」が世代や大学により大きく違って、そのギャップの理解が追い付かずに理不尽さを感じてしまうことが多い"というご相談を頂戴しました。

もちろん即興型ディベートにおいて色々なジャッジの仕方があり、それは十人十色であるべきです。なのでジャッジブレイク/評価制度を通じて"より納得感のあるジャッジ"を目指すインセンティブが存在したり、決勝トーナメントでは複数人ジャッジを配置するわけです。なので、完全にジャッジの仕方の標準化などはすべきでもないですし、できないと思います。一方で、様々な「ジャッジのやり方」を知ることは、ディベーターとしての成長にも寄与するだけではなく(=より多くの人を説得する)、ジャッジもよりレベルアップにつながる(=より多様なジャッジングができる)ため有益でしょう。

したがって、今回のポストでは特に、ジャッジが使用する「基準」に関して考察したいと思います。(ジャッジはディベートの内容・全体像を理解した上で、「特定の基準(観点・視点・比較軸)」を用いて比較をするというプロセスがあるかと思いますが、その「基準」の話です)

目次は下記のとおりです。
<1.基準リスト>
<2.(ak_debateの偏見による)基準リストを踏まえた上でのよくあるジャッジスタイル>
<3.事例:ak_debateのジャッジの癖は?>
<4.基準を起点に考える、良いジャッジとは?>


<1.基準リスト>
このリストの注意点だけ先に。
1.包括的では無いと思っています。あくまで、ak_debateの知っている範囲で書いています。
2.下記の基準の理解は人によるかと思います。あくまで、ak_debateの解釈です
3.また、繰り返しになりますが「特定の基準がどれかより良い」という話ではないです。

【Matter関連の基準】
・Relevancy/Uniqueness (モーションのWordingや背後にあるSpirit of the Motionとの関連性)
・Exclusivity (肯定側/否定側にのみ起きるかという排他性)
・Logic(ideaを支える論理。MECEも参考になる。参考記事はこちら)
・Example/Case Study/Analogy (ideaの具体例・ケーススタディや類似例)
・Consistency(ArgumentやMatter全体の矛盾の無さ)
・Responsiveness (反論の強さ)
・POI (POIの内容やそれへの対応等)

【Manner関連の基準】
・Framing (絶対的Impactと相対的Impactの明示等。絶対的Impactの中ではminorityを守るのような、いわゆる"聞こえの良さ"も入る。参考ブログ記事はこちら)
・Structure(内容の分かりやすさ。結論から話されているか、ナンバリングがされているか、話の間の有機的なつながりがあるか、等)
・Wording/Rhetoric/Visualization (効果的・効率的なWording、レトリック、"イラスト"=描写等)
・Non-verbal Languages(ボディランゲージ等パブリック・スピーチ上効果的な非言語的なコミュニケーション)

【Role Fulfillment/Technicality関連の基準】
・Dynamics (重要な議論が早い段階で出ているか)
・Team/Speaker Role (例えばBPの場合はClosingがKnifingしていないか、PMであればset-upができているか等)

<2.(ak_debateの偏見による)基準リストを踏まえた上でのよくあるジャッジスタイル>
※繰り返しになりますが、誰かを否定する意図は一切ありません。
過去のジャッジを通じて「いろいろなジャッジがいるなぁ」と思った際、無意志的にこういう分類をしていたのを棚卸しました。

・「内容(Matter)重視」 vs. 「見せ方(Manner)重視」
前者は、内容を細かく見て、logicやその反論等を丁寧に追っていくスタイルです。調査型ディベートの出身や、海外だとアジア、北東アジアのジャッジはどちらかというとMatter重視なイメージがあります。
後者は、どのように伝えたかをより重要視するスタイルです。海外だと、非アジア圏(オーストラリア、ヨーロッパ等)がこの傾向が強いイメージがあります。
もしかしたら、例えばイラストをした際に「それはrhetoricalだったが印象操作でしかない」ととるか「十分に感情に訴えかけてきており評価する」ととるかでも分かれる気がします。

・「Principle重視」 vs. 「Practical重視」
前者は「Practicalが立ったとしてもそれがなぜ大事か」まで踏み込まないととらない、ないし、Principleのgov、Practicalのoppだとgovに入れる傾向にあります。海外だと、ヨーロッパ圏のジャッジが特に好きなイメージがあります。また、哲学科などの専攻のディベーターが好きな傾向もあります。
後者は「結局はPracticalが大事」だという価値観の下、上記のシチュエーションだとoppに入れる傾向にあります。海外だと、アジア圏のジャッジが特に好きなイメージがあります。

・Utilitarian vs. Non-Utilitarian
上記と少し似ていますが、功利主義的に評価するか(=インパクトの大きさでとるか)、非功利主義的な話まで含めて評価するか(場合によっては功利主義の話もその重要性までないととらない)だと思っています。
一番難しいジレンマは例えばTHW legalize torture.のようなモーションで「多くの人が助かるから拷問しよう」vs.「人を手段として使用してはらない」のような話が対立した結果、結果大きさを優先するのがgov、プロセスの悪さを優先するのがoppに入れる気がします。

・「General Theory」 vs. 「Specific Contents」
前者は抽象的であったり、ややgenericであっても十分にとり、後者は具体論でないと取らないという癖です。 例えばTHW legalize all drugs.のようなモーションの際、generalなfreedom of choiceでも十分にとるか、具体的なdrugのユニークネスまで踏み込まないととらないかという差分があります。

・gov有利 vs. opp有利 / Opening有利 vs. Closing有利
これは無意識のうちに、何かしらのバーデンの重さがあるという場合です。
gov/opp有利に関しては「govがbenefit 0, oppもharm 0」のような仮想状態の際にどちらに入れるか?という質問をした際どちらに入れるか?という質問でもわかります。
Opening/Closingに関しては、OpeningとClosingが仮に同じくらいの貢献をしている際に、「時間が少ない中CaseをつくったOpening」をとるか、「先に話せるにもかかわらず同じくらいCaseをつくれなかったOpeningを十分に抜いたClosing」をとるかの好みだと思います。

・問題解決モーション時のGovの説明責任重視型 vs. Oppの説明責任重視型
上記のgov 有利 vs. opp有利の話の延長線上にありますが、policy motionで特に問題を解決することが求められる場合の説明責任をどれくらい持たせるかです。
govの説明責任重視型の場合は、問題の深刻性、その発生原因、その解決策としての適切性等を説明することが求められています。oppの説明責任重視型であれば、既存の枠組みや他の枠組みによってその問題をどの程度解決できるのかというのを単純に「alternativeとしてこう」というアサーションではなく、どのように問題を解決できるのかある程度詳細に説明することを求めてきます。
個人的にはこの部分は海外とずれがある気がしており、Asian Style、特にAustralsにおいてはgov、opp共に問題解決のバーデンがそこそこ同じくらいある印象がある一方、国内ではややgovに厳しい傾向があるかもしれません。(一方で、こちらのように過去にはgovが説明しなさすぎで苦しんだ事例もあるようなので、結論としては、gov、opp同じくらいの説明責任を求めるというところが落としどころなのだとおもっているのですが、精査は必要だと思っています) 参考:ICUブログ

・ClosingにおけるNew厳格型 vs. New寛容型
Opening有利/Closing有利にかかわるかと思いますが、ClosingのNew Analysisをどれくらい重くとるかで分かれると思います。確かに、”Anything that opening did not say”がExtensionになり、反論もcontributionになることは誰も否定しないのですが、その貢献の大きさとして、オチ/Impactも違うようなCompletely Newを求めるのが前者で、ほぼフレームはでているが間のロジックを追加することもそれと同じくらい重要な貢献ととるのが後者です。同様のことは、具体化・Case Study・Impactの追加等でも生じるかと思います。

・Framing 超重視 vs. Framing重視
「はっきりと明示しているか」どうかをとても重視するかどうかです。
この話は特に反論/立論のとりかたや、Closingのとりかたで顕著になります。
例えば、反論/立論を「相手のこの部分に反論している」とはっきりとFrameしていなくてもとるかどうか(=ハッキリ言っていないのでとらない vs. ハッキリいっていないが、とはいえimplicitに分かる)、Closingでも「これがExtensionだ」「このExtensionはOpeningを抜いている理由はXXXだ」とはっきり言っていなくてもとるかどうかで分かれます。
なお、最近アジアではFraming超重視型が流行っている気がします。

・Stance 超重視 vs. Stance重視
チームや個人としてのStanceを超重視するかどうかです。
前者の傾向として、例えばPMの話とDPMの話が異なる場合/シフトがある場合、大きく評価を下げます。

例えば、以前この記事でも書きましたがこういう現象です。
また、日本では驚くべきポイントだったと思いますが、同じくそのHigh School Pre-Semi Finalで、PMがpoliticsの話に終始、LOがそれもあるがfeminismも大事だよねと言い、DPMがそれに対応する形で両方話したものの、私以外のジャッジ2人は「それじゃ遅すぎで4位」と言っていました。(そもそも分析の深さやエンゲージで下がるなぁと思っていたので順位は一緒だったのですが、そんなに重く見るんだ、とちょっと驚愕しました)もちろん、その2人がstandardなジャッジなのか?という点は注視する必要はあるかもしれませんが、それくらいにSell your ideaがしっかりしていないと評価が下がる、という例かもしれません。
・Hard Stance好き vs. Soft Stance 好き
上記と少し関連しますが、「これもこれもこれもOK」という話を評価するかどうかです。
例えば、THW legalize hate speechの場合、governmentはdefamationもlegalizeするスタンスでないと評価しないのがHard Stanceが好きな人の傾向であり、「いやそこまでやらなくてもdifferentだし、radicalすぎる」と思うのがSoft Stanceが好きな人の傾向です。

・Contradictionへの厳格型 vs. 寛容型
Stanceと関連しますが、Contradictionがあった際にどれくらい重く見るかです。厳格型ですと「矛盾があった時点で著しくチームとしての評価/点数を下げる」ことになりますし、寛容型であればその部分だけとらない、矛盾する点のみとらないなどの対応をします。近年国内外のブリーフィングでもスタンスが割れているようなホットトピックの一つです。

・ディベートのゲーム性超重視 vs. ゲーム性重視
いわゆるディベートを「競技」としてとらえる度合いの違いです。例えば、POIのやり取り/とった、とらなかったをかなり重く見たり、Dynamicsを重くとるかどうかです。

・ロジック(・説明)重視型 vs. 直感重視型
前者であれば、どのような話においてもロジック(理由)を重視します。後者であれば、一般感覚的に分かるのであればロジックが薄くても十分にとります。例えば、「女性をモノとして扱ってはいけない」「人を殺してはいけない」のような話の際、とはいえ抽象論(全ての人は目的をもって生まれてきている)アナロジー/Case Study(人権がuniversalに認められている)等の説明を求めるのが前者で、「そこまで説明しなくても一般感覚としては分かる」とし重いバーデンを置かないのが後者です。

・ディベーターが設定したBurden重視型 vs. ジャッジとしてBurden設定型
前者は、あくまでディベーターが言った内容をBurdenとして捉えるスタイルです。例えば「OppositionはこれにこたえるBurdenがある」とディベーターが言った際に何もOppositionが言わない場合はそれを是として捉えます。また、Self-Burdenでも「これを説明します」というのを説明すれば取るスタイルになります。一方で後者は、モーションのSpiritを勘案し、自分でBurdenを設定し、それを説明としているか否かで判断します。先ほどの例で言うと「OppositionはこれにこたえるBurdenがある」と言われた際も「それは合理的に無い」のような判断を設定したり、Self-Burdenも「それだとモーション肯定・否定に至っていない」と裁量を発揮する傾向にあります。

<3.事例:ak_debateのジャッジの癖は?>

上記だとやや抽象論かもしれませんので、ak_debateのジャッジの癖を具体的に書こうと思います。といっても、実は私も時代によって変わってきている気もしたり、私がここで書いたことがすべてではないと思うので、あくまで主観的であることを断っておきます。また、他にも色々ありますが、いったんこれくらいで。

・「内容(Matter)超重視」→「内容(Matter)/見せ方(Manner)どちらも重視」
以前は本当に1にも2にも、Logic, Relevancy/Uniqueness, Exampleのような基準を優先していました。例えばイラストだけ話されていても「ただの印象操作」だと思っており、あまり評価しませんでした。なのでLogicのgov、イラストのoppとかであれば明確にgovに入れていました。

その背景には、おそらく自分の癖や勝ち方としてMatter重視があった(=自分がMatterを理由に勝ちをもらっていたり、ライバルがMannerもうまかったことの悔しさ(笑)があったのかもしれません)のかもしれません。一方で、NEAO、UADC、Asian BPのようなアジア大会では所謂「愚直なMatter」を評価されないことが多かったのです。(内容が全くないような印象操作だけのチームに負ける、等)したがって、Mannerも十分に大事なんだと思い始めMannerも評価するようになりました。この傾向はAustralsでも思ったのは別途こちらで書いています。

さらに近年は、職業柄「明示的に言うことが良い」とされており、そうでないと話者の責任だというカルチャーもあるため、より見せ方を重視する傾向になっています。

・Principle重視→Practical重視
以前はLeaderを行っていたことや、憲法学/哲学に関係する本等で得た知識も色々あったので、Principleをすごくとっていた傾向にありました。Animal Rightにしろ、Free Choiceにしろカント主義的な話にしろ、好きでした。一方で、ジャッジをするようになって、principle vs practicalになってしまうと、どうしてもpracticalが個人的には分かりやすいためとってしまう傾向が強くなったのだと思います。また、アジアのディベーターはゴリゴリPracticalでごり押してくるスタイルですごく好きというのもあり、今でも結局Practicalは好きなのだと思います。

もしかしたらこの背後には、1つめの話と関係して、また自分が知っているが故の、Matter重視があるのかもしれません。Principleをロジックなしに建てられてもなぁ、というのが自分の感覚であり、例えばFree Choiceであるならbodily autonomyがなぜあるのかだとか、そのanalogy等を含めて話してくれないと、というexpectationがあるのかもしれません。

・Example/Case Study/Analogy重視
で、結局どういう例なの?という話はとても重視する傾向にあります。Example, Case Studyの中で明示的にLogicがなくても比較的とることがあります。(わからなくはない、という点で。もちろん明示的にLogicがあるほうが当然評価は高くなります。)
この背後にあるのは、おそらく2年目のADIで言われたトレイナーに言われたアドバイスです。「話は十分に分かるけど、よりconvincingになるためにはreal-life exampleがないといけない。」(もちろん、そもそも特にCase-Studyが多い海外の教育機関で学んだこととかも影響しているのかもしれません。)なんなら、このセクション自体事例ですしね。

他にも、同期からオーストラリアの傾向も聞いていたからかもしれません。
ICUの同期による記事を、一部引用します。

⑦ 知識量の差
僕たちICU1は最強チームとあたった訳ではなかったので、この点はラウンド内で感じた訳ではなかったですが、大会全体を通して感じました。やっぱりevidenceがあると自然と説得力が増します。
Octoのacademic achievementに応じて学校への助成金の額を変えようmotionで、USU2のPMは「この政策は既にNYで導入され、成功している。それを受けてArizonaなど他の州でも試されてきている」と序盤から捲し立てていました。
R6(米国は台湾への武器輸出をやめようmotion)が終わったあと、Melbourne1のベテランディベーターが「近年、米国は92年、?年、08年、そして今年の1月に台湾に思いっきり武器を輸出したよね。その度に中国は軍事演習やるとかいう反応を示したよね。それぐらい中国にとってはsensitiveなissueなんだよねー」と教えられてしまいました・・・

<4.基準を起点に考える、良いジャッジとは?>

勿論内容を全部見ている(=このラウンドがこういうラウンドだったという理解が網羅的・正確)である前提で、ですが、その際良いジャッジとは何なのでしょうか?

これに正解はないのですが、基準だけに限って言うと、私は複合的に基準を用いることができるか、にかかっていると思います。要は特定の基準だけで物事を見ないのか、かと。
よく陥りがちなのは、「logicで見ました!!!」「Framingで見ました!」等特定の基準に飛びついてしまうパターンです。それ以外もあるじゃん、と言われた瞬間に「あっ」となってしまうことがよくあります。色々な基準があってそれは皆違ってみんないいとおもっているのですが、となった際の落としどころは「多くの基準を使用する」ことかなと今ak_debateは思っています。

なのでアジアのジャッジとかだと「There are 3 reasons that you lost」のようにジャッジする人もいます。これがbestなのかはわからないし、「え、そこまでボコす?」と思う時もありますが、1つの基準だと納得してくれないがゆえに、複数基準で見るようにしているのかな、と思っていました。特にBPであればなおさら、複数基準で議論することが海外勢と話していると多いなという雑感です。

また、他の解としては「ディベーターが明示した基準を用いる」というのもあると思います。これで比較してよと言っているんだからそれで見るのがフェアだという考えです。最近ak_debateもそうかもなと思っている一方で、それはそれでFraming超重視の考えでもあるし、そもそもその基準が正しいんだっけ?というところまで踏み込まないといいジャッジではないのでは?とも思っており、絶対的な解には至っていません。

とはいえ、また、「これで決めるの?」というのが通説的に「おかしい」とされているものもあると思います。例えばMannerでのNon-verbal Languagesを理由に勝ち負けはたぶんつけません。説得力がどれくらいあがったかというのには当然寄与するのでスピーカースコアには跳ねたりすると思いますが。

いかがでしたでしょうか。

なお、最後に改めて強調致しますが、「特定の基準を用いるジャッジがいい、悪い」という議論をしたいわけではありません。ちゃんとディベートを理解した上で根拠のある説明ができれば「イラジャ」ではなく「ダイバーシティ」だからです。あくまで、私の経験上色々な基準を用いるジャッジがいるのでそれを知っていくことがディベーター/ジャッジにとって良いかなと思っている意図でこの記事を書いたことをお断りしておきます。

また、この記事を書くにあたって何人かの方にフィードバックを頂きました。基準、スタイル等他にございましたらお気軽にご連絡ください!

2018年1月1日月曜日

プレパ・シートをつくれ! ~プレパレーションの効率を最大化するために~ その4<振り返り・まとめ>

4回にわたって行ったコーチ・セッションでしたが、結果はどうだったのでしょうか?

客観的なところで言うと、予選のオープンの3ラウンドで8点を取るなど順調に滑りだしました。残念ながらR4は決勝に進出したチームに囲まれ4位になってしまいましたが、見事に予選を突破。ディスカッションの結果敗退してしまいましたが、Semi Finalist(ベスト8)という結果になりました。

なお、実践編では省いていましたが、2人の共通の目標として「できればGrand Final、少なくともそこに届き得るSemi Finalまではいきたい」があったため、目標は達成できたと言えるでしょう。

実際、大会終了後、ヒアリングをした際のお二人のコメントというのは下記の通りでした。
Iさん「この大会では、ポジティブな感情が大きかったです。やりたいスピーチができました。Semi Finalも負けて悔しかったのですが、"出せる限りを出した"と思えました」
Eさん「正直、終わった瞬間、(もっと勝ちたいという)欲は出ましたが、中堅層にはごりっと勝てるようになれたので満足しています。Semi Finalまで行けたのは良かったのですが、一方で、GFまで行きたいというのはパートナーとも話していたので、もうちょいできたかも、という感覚もあります」
色々な解釈があるかと思いますが、満足度は高く、またポジティブな意味での向上心も沸いたのではないでしょうか。

プレパ・シートの効果に関しては下記のようにいただいています。
Iさん「たまに見ながら使っていた。また、オーダーメイド感もありそれによりモチベーションもあがりました(笑)・・・それから、ぜひ色々な人にとって参考になると思うのでプレパ・シートは公開してください」
Eさん「頂いたプレパ・シートによりプレパが"地に足のついた形"になったと思います。今まで正直このような形でプレパを行ってこなかったので、とても勉強になりました。また、実はすでにこっそり後輩に"こんなのもらったよ"と見せちゃいました(笑)」
「プレパ・シート」の効用はあり、ぜひ他の人にも広めたい、というコメントを頂戴している、というところでしょうか。

さらに、今回のコーチングに関しては下記のようなコメントをいただいています。
Iさん「ak_debateさんに見て頂いて一番ありがたかったのは、特に弱みが分かったことでした。勝ち筋・具体化を意識させていただいたことで、特にクロージングはとてもやりやすく、パフォーマンスは高かったです。すごくありがたかったのは、ak_debateさんはすごく細かく僕たちのことを観察してくれたので、例えばIさんはこういう特性があるからこういう風にやってみるとどうか、のようなアドバイスが頂けました」
Eさん「今回一番ありがたかったのは、最初に何回かプレパ見て頂いて、"このチーム特有の課題を洗い出す"ことでした。例えば、"勝ち筋"に関しては正直全然意識していませんでした。結果的に考えることはあったのですが、毎回意識的に考えられるようになりました」
これは正直恐縮しかありませんし、お二人の人間性に助けられている気がしますが、プレパ・シートをつくることを中心においた今回のコーチングでは「チーム特有」のプレパの型ができた、いいかえると、プレパレーションの効率化が最大化されたのではないでしょうか。

いかがでしたでしょうか。
もちろん、すべてがプレパ・シートに落ちるわけではない(=プレパ・シート以外の要素、それは例えばそれ以外のコーチングの部分であったり、お二人の他の練習であったり、色々な因果をもってプレパの効率や今回の満足がいくようなパフォーマンスにつながった)のですが、「プレパ・シート」づくりはプレパの効率化につながるのではないでしょうか。

最後になってしまいましたが、Eさん、Iさんには感謝です。本来これは「競争優位性」でもありますし、正直弱みもあるので「恥ずかしい」感情もある中、今回このような形で文章を公開させていただきました。また、少しでもお二人の満足度・成長に寄与できていたのであれば、これほどうれしいことはありません。

プレパ・シートをつくれ! ~プレパレーションの効率を最大化するために~ その3<実践編②>

【Day 2/Day 3:プレパ・シートの具体化・進化】

2回目、3回目は細かい違いはあるものの、基本的にはブラッシュアップだったので、どちらもまとめて説明しようと思います。

Day 2はまず、Day 1のプレパを受けてその後どうなったか2人に聞くところから始めました。Eさん、Iさん共になんとなくプレパのやり方は定まりつつあるような感じでした。一方で、とはいえなかなかうまく行っていないという感覚があるようでした。

プレパでは実際に二人がプレパをするところをみながら、「例えばこういうことを意識したらどうか」「こういう問いを立てたらどうか」という部分を試してみるということを繰り返しました。具体的には、Day 1で特定された「Issue特定」→「戦略立案(勝ち筋を見つける)」→「具体性を強化する」→「Speech化」というステップで、それぞれどういう問いを立てればいいかというのが追加されていきました。

例①:
たとえば、「具体性を強化」というところは、なかなか2人の課題だったこともあってなかなかイメージがわいていなかったようです。とはいえ、別にそれがスピーチになった際にできないというタイプではなく(特にEさんは何度かスピーチを見ていましたが、別に話が抽象的な印象はなかった)のではなく、あくまでプレパの工夫次第で解決できると仮説的に思いました。

そこで「具体的にどういう人がどう辛い/嬉しいのか?」という問いを意識的に立てるようにとアドバイスしました。それまで見ていると、例えばTHBT Mexican government should adopt measures that enable the Sinaloa Cartel to monopolise the market、THW criminalize "revenge pornography" in the same way as rape、THW pay teenage girls to not get pregnant.のようなインパクトが見えやすいモーションではArgumentで勝手に具体化されていく傾向はありました。一方で、THW introduce basic income. や、THBT parents and educators should actively encourage children to invest in their physical appearance and attractivenessのような経済モーション/教育モーションであると、なかなか具体化されていないなと思ったからです。この問いを意識するようになってから話が深まるようになっていました。

例②:
他には、「戦略立案」の際に、結局押しどころがわからず、かつ特にIさんがPrincipleの話が好きで、EさんがPracticalの話が好きだった際に、好みが大きく分かれ「結局何を立てよう」というところの意思決定ができず、なぁなぁになってしまっていました。その際、どの話を立てるのかなどはもちろん色々な戦略があるとは思うのですが、いったんEさん、Iさん共に納得感があったのは「最もintuitiveな話は何か?」というintuitiveさによる優先順位付けでした。

例えば、THW ban convicted criminals from publishing the narrative about their crime.のモーションであればgovは「被害者のmental pain」は分かりやすい話として勝ちやすい傾向にあるという結論になりました。
THBT Mexican government should adopt measures that enable the Sinaloa Cartel to monopolise the marketのgovであれば、long termの話は勝ちづらいかもしれませんが、short termでは比較的moderateなactorが力を持つことで人が攻撃されたり、殺される危険性が下がる話は立ちやすいという結論になりました。

したがって、いくつか議論が出た際はまずはintuitiveかどうかという観点から優先順位付けし、それをしっかり立てること、また相手の最もintuitiveな話をいかにつぶすか考えるということで合意しました。

例③:
今までの話はどちらかというと「弱みを改善していく」話でしたが、ak_debateが重要視しているのは「強みを強化していく」ことも重要視しています。Eさん、Iさん共に優秀なジャッジであることから特にCloseになった際優劣をつけることには慣れている傾向がありました。したがって、「Clashの解消力」を一つ武器にできないかと思いました。また、ジャッジだったとしたら、という風に考えたほうが思考が走りやすいのではないかと思っていました。

そこで例えば、「戦略立案」の際には、単純に最もintuitiveな話を考えるだけではなく、その際どういうClashが生まれるか、そのClashをどのように解決するのか?というところまで踏み込めれば特にClosingでは勝ちやすいと思いました。そこで、「ジャッジだったとしたら、解消出来たら嬉しいClashは何か?」という問いを立てることを推奨しました。

例④:
また、「強みを強化していく」文脈で言うと、とくにEさんは面白いアイデアを思いつく傾向にありました。それらは必ずしも思いついた時点でwinning argumentではないものの、強いExtensionになり得たり、主要なArgumentのlogicを強化する可能性もありました。一方で、ak_debateが見ていてプレパで勿体ないなと思ったのは、Eさんは「完璧になるまで言わない、遠慮してしまう」という、Eさんの人の良さがにじみ出る結果のクセでした。これは勿体ないなと思い、最初のIssue特定の際に、「まだできていないけど」という前提でアイデアの種も共有してもらい、それが具体性強化などの際に「花が咲く」ことも必要に応じてチャレンジすることにしました。したがって、Issue特定に「迷っているが、使えそうなアイデアの種は何か?」という問いも追加しました。

例⑤:
さらに言うと、単純にOpening/Closingの練習を2人にさせるだけではなく、他にもいろいろなシチュエーションで練習しました。

例えば、プレパ練3種でもご紹介しましたが、Closingプレパ練も行いました。具体的には、ak_debateも10分ほどプレパし、Openingで言う際言う話を全部いい、その後数分のプレパ時間の後、Closingで言う話やその埋め込み方を練習しました。

この背景としては、Ryoso Cupの参加者の性質を鑑みると、北東アジア大会(NEAO)の決勝進出者、アジア大会(Asian BP)のQuarter Finalist進出者等もいたため、強いOpeningの後ClosingでExtensionがないリスクがあったからです。また、チームとして「Openingをどう上回るか?」という問いがないままいくつかのアイデアをばらまいてしまうことがあったので、「Speech化」のときに「Openingをどう上回るのか?」という問いも追加しました。

(さらに、特定の問いの追加にはなりませんでしたが、Eさんがプレパを観察する形で、ak_debateとIさんがプレパしたこともありました。これは、後で聞いたところEさんが「プレパで止まってしまったとき」ですとか「困ったとき」にどのように打開しているのか見たかったらしく、あえて少し止めたりしながらak_debateの反応を見ていたとのことでした 笑)

<Day 2~3のまとめ>
・各プレパのステップにおけるKey Question(プレパ中にたてる問い)を明確化しました。例えば、「戦略立案」の際は、「最もintuitiveな話は何か?」、「具体性強化」の際は「具体的にどういう人がどう辛い/嬉しいのか?」の問いを追加しました
・これらの問いは正直無限に立てられるものの、その際意識したのは2人が特に課題と思っている「弱み」だけではなく、「強み」も活かすことでした。例えば、面白いIdeaの種が出るEさんのポテンシャルを最大化するために「迷っているが、使えそうなアイデアの種は何か?」という問いを追加したり、EさんIさんが共通して高いジャッジとしての能力をディベートでも応用できるように「ジャッジだったとしたら、解消出来たら嬉しいClashは何か?」という問いを追加しました

【Day 4:プレパ・シートの定着・最終化】

いよいよ最終日になりました。この日は、ak_debateから今まであったプレパ・シートは紙を写メって送っていたのですが、当日使いやすいようにpowerpointにしてわたしました。(時間的余裕があれば最初からやったほうがよかったかもしれません)

それを見ながら、最終調整というところでプレパ・シートを見ながら確認することを特に意識しました。Day 4ともなると、だいぶプレパ・シートは定着しており、必要に応じて問いがしっかりと立てられており、プレパがスムーズになっていました。

それはak_debateから見ても、本当にスムーズになっていました。それはフィードバックさせていただいたうえで、いくつかプレパ・シートをマイナーチェンジしました。

例えば、2人ともHorizontal思考が強いというところのデメリットとして「相手がこれを言ってきたらどうしよう」と考えすぎてしまったことがあったようでした。したがって、最後に「ただし、見えない敵と戦いすぎず、場合によっては自分の話に自信をもって集中!」というのを最後に追加しました。

最後に、プレパ・シートの使い方に関してディスカッションしました。ラウンド前/中にお互いに見返し、今まで行ってきたように必要に応じてアップデートしていく、ということを当日は2人で行ってほしい旨を伝えました。(理論編の3.プレパ・シートはどのように使うのか?の内容です)

こちらにも書きましたが、最終日は詰め込むことは得策ではありません。あくまで今できる「最大出力」を出せるようにコンディショニングすることが最も重要だと考えています。

<Day 4のまとめ>
・今までの復習に代えて、プレパ・シートを最終化して、共通認識を持った。
・プレパ・シートの当日の使い方を合意した。

2017年12月31日日曜日

プレパ・シートをつくれ! ~プレパレーションの効率を最大化するために~ その2<実践編①>

前回は、プレパ・シートの理論をご紹介しました。今回は実践編で、「どのようにつくるのか」を中心にご紹介します。今回からは実践編となります。

まず、今回のコーチの基本情報です。

【基本情報】
・コーチ対象は、ディベート6年目の院生のEさんと4年目の学部生のIさん
・Eさん・Iさん共に平均以上の成績は納めているが、とびぬけた成績はおさえられておらず、よりパフォーマンスを向上したいためak_debateに相談
・出場する大会は学部生~院生が出場できる日本の大会。今年も北東アジア大会の決勝、アジア大会の決勝トーナメントに進出した選手が出場するなど、ハイレベルな大会
・2時間のセッション×4回ほどで、計8時間ほどコーチ(1週間に1回ペースで実施)
・セッションは全てオンラインで、LINEを使用して実施(face-to-faceはゼロ)
・(無料で実施)

【Day 1:自分たちをよく知って、大まかなプレパのステップを考える】
1回目のセッションでは、まず2人の強み・弱みや、プレパレーションの課題を浮き彫りにすることが主な目的でした。したがって、まず今のプレパ時間の使い方をヒアリングしました。

プレパ時間の使い方としては、はっきりとは決めていないものの、最初に数分自分たちで考えた後、主要なクラッシュを考えて、それをアーギュメントにするという流れがあるようでした。なので、プレパのステップは、「Issue特定」→「Speech化」という2つのようです。

その後、2-3回ほどEさんとIさんに2人でプレパ練をしていただきました。その間ak_debateは黙ってみています。

ここでのコツは、government/opposition、opening/closing等できるだけシチュエーションを分けてみたり、モーションも変えてみたりすることで(抽象的/具体的、テーマ別)できるだけ偏りのない形でプレパレーションを観察することです。

それが終わったらプレパレーションの感想を聞きます。「こういうところができた」「こういうところができなかった」というような話や、「なぜそうなったのか」ということをテーマにディスカッションします。

その結果、色々ありましたが、結果的に主に下記の3点が明らかになりました。

・Iさん、E三共には「相手の話」を考えることが得意;要はHorizontal思考が強い
(おそらく、お二人とも優秀なジャッジであることが影響しているかもしれません)

・一方で、プレパレーションは発散しており、「結局どう勝つのか?」という「勝ち筋」に繋がっていない。その結果、話すArgumentもなかなか定まらない
(「相手はこういうこと言ってくるかもね」という話はIさん、Eさん共にするものの、それがなぁなぁになってしまう)

・その影響もあってか、話が具体化されず抽象的なまま
(Freedom of choiceという枠はあっても、内容を聞いてみるとアナロジーが薄かったり、ロジックも怪しかったりする。そもそもそれらが共有されていない)

上記をまとめると、相手の話を考えているため戦略的な部分がある一方で、「勝ち筋」の明確化や「具体化」が不十分という課題あるため、せっかくあるアイデアの種が生かしきれずに負けてしまうことが多い、というような状況であることが分かりました。非常に勿体ないです。

今回はこの2つが主要な課題なのではないか?という点に合意した上で、まず大まかなステップの流れを「Issue特定」→「戦略立案(勝ち筋を見つける)」→「具体性を強化する」→「Speech化」という流れにしたほうが良いという風にアドバイスしました。細かいモーションのフィードバックも行いこの日の練習は終わりになりました。

<Day 1のまとめ>
・プレパのステップは「Issue特定」→「Speech化」となんとなくあったが、それを、今課題である「勝ち方を見つける」「具体化する」というステップを意識的に追加

2017年12月30日土曜日

プレパ・シートをつくれ! ~プレパレーションの効率を最大化するために~ その1<理論編>

突然ですが、あなたは「プレパ・シート」をつくったことがありますか?
百閒は一見にしかずと言いますので、まず実例をお見せしましょう。(あくまで一例です)


このように、チームとしてプレパレーション・タイムにおいて何をするかの「約束事」や「戦略」を紙に纏めたものをプレパ・シートと言います。ak_debateは各大会ごとにその人にあった「プレパ・シート」をつくることを推奨しています。

今回は理論編ということで、下記の3つの問に答えたいと思います。

1.そもそも、なぜプレパ・シートが必要なのか?
2.プレパ・シートには何が含まれるのか?
3.プレパ・シートはどのように使うのか?

(なお、<実践編>ではak_debateが実際に2017年にコーチした事例を通じて、どのようにプレパ・シートをつくるのかというのを詳しくご紹介します。ディベート自由帳初めての試みです!)

1.そもそも、なぜプレパ・シートが必要なのか?
「即興型ディベートのパフォーマンスの8割くらいはプレパレーションで決まる」というのがak_debateの考えです。(なお、良く調べたら東大ディベート部出身の世界大会のEFL 部門の優勝者も言っていました)

一方で、個人レベルでもなかなか自分の思考を「見える化」することは難しいため、毎回良いプレパができているとは限りません。例えば、調子の良い時は自分のサイド・相手のサイドの両方を考えることができても、場合によっては片方しか考えられないかもしれません。TBH思考法の一部しかできないかもしれません。

それがチームになると猶更です。準備時間の短いBP Style、3人で意思決定をしないといけないAsian Styleはどちらも難しさがあります。特に考え方やコミュニケーションスタイルは多種多様で、文字通り「十人十色」になりがちです。(大学や世代などのクセはありますが。)そこでお互いの思考プロセスを「見える化」しながら、プレパ・シートという「共通言語」ができてはじめてプレパが効率化すると言えます。

2.プレパ・シートには何が含まれるのか?
プレパ・シートはチームごとに大きく異なりますが、どのプレパ・シートにおいても以下の4要素を含むことが重要です

①:プレパのステップ(流れ)
上記の例で言うと「Issue特定」「戦略立案」「具体性強化」「Speech化」のように、何をするかです。

②:各プレパのステップで行うこと
上記の例で言うと「Issue特定」では、「相手が一番言ってくることは何か?」「一言で言うと何と何の対立なのか?」のような質問を自ら問いかけることが挙げられます。

③:各プレパのステップの時間配分
その名のとおりですが、それぞれ15~30分という時間をどのように使用するかです

④:チームとしての分業
誰が何を担当するかです。上記の例の場合は、たまたま2人が同じプロセスを同時に行っていくため反映されていませんが、場合によっては色分け等を行い分業を明確化することもあります。有名な例ですが、過去の秋T(秋季全国大会)・ESUJを連覇したチームは片方が「相手の話」、もう片方が「自分の話」を考えるような分業体制でした。

3.プレパ・シートはどのように使うのか?

プレパ・シートは、「チームで練習・試合をするときはほぼずっと」使用します。具体的には、

a.初めての顔合わせにおいて、プレパ・シートの初期ドラフトを作成
(最初はこんな感じだよね?という風につくります)

b.ラウンド前(プレパ練前)に確認
(実施にプレパを行う前にお互いにどのようにプレパレーションを行うか確認します)

c.ラウンド中に必要に応じて確認
(ラウンド中に、必要に応じてそのプレパ・シートを見ながらプレパを進めます。例えば、「この質問答えていないね」だとか、「そろそろ時間だから次のステップにうつろう」のような使用方法になります)

d.ラウンド後にアップデート
(必要に応じて、ラウンド後に2.の①~④がアップデートされます。具体的には、「Issue特定はもうちょっと時間が必要そうだから長めにとろう」「Issue特定のときに"似たようなモーションの対立軸はないか?"って考えるのはどうだろう?」のような会話が繰り広げられます)

そして、b.~d.が何度も繰り返され、どんどんブラッシュアップされていくことになります。

いかがでしたでしょうか?次回は、具体的な<実践編>となります。

2017年12月17日日曜日

即興型ディベート初心者へのおすすめの「最初の詰め込み」 ~もし初大会まで5日間しかないとしたら何をするか~

今日は、即興型ディベート初心者が仮に5日後に大会に出るとしたら・・・!
と仮定して効率的であろう練習方法について書いてみました。

(メインは日本語の即興型ディベートを始めようとしている人を想定していましたが、英語の即興型ディベートにしても似たようなテクニックが使える気がします。前に部で行っていた初心者である大学1年生向けにどうやって教えていたか+ak_debateゼミ等を通じてコーチしているときにどのように教えていたかを思い出して、それを5日間のメニューに凝縮してみました。)



【背景①:日本語ディベートの盛り上がり】
背景としては、最近日本語の即興型ディベートが盛り上がってきているのですが、(ak_debateも運営・審査員などでお手伝いさせていただいています)、見ていると「ルールは一定程度わかり、なんとなくスピーチもわかってきた」じゃあどうするか?というところで躓く可能性があるなと思っています。

特に、調査型(アカデミック)のスタイルを行っていた人は、せっかくHorizontal思考のレベルが高いにもかかわらず勝ちきれずに悔しい想いをしているのではないかと思っている次第です。(なお、ディベートのプレパレーションタイムに必要な3つの思考方法、通称TBH思考法に関してはこちらをご覧ください)

【背景②:英語ディベートでの「より効率的な練習方法」のニーズ】
よくどのように練習すればいいですかね、という相談が最近増えてきたのですが、
確かに体系的に学ぶことは難しく、属人化してきたことは否めませんでした。
なので、ここで仮にカリキュラムをつくるとしたらこうなのでは、というのを提示することで各大学がトレーニング方法を体系的に考えるスタートになるのでは、と思いました。

なお、下記の前提としてはあまりラウンドができない状況を想定しています。ペアでは集まれるが・・・くらいのイメージです。ラウンドができる場合はラウンドも適宜織り交ぜてください。

大まかな5日間の流れの推奨案は下記のとおりです。なお、色々な考え方もあるでしょうし、あくまで現時点の初期仮説となります。ぜひフィードバックください。



Day 1: 「大きな対立軸」を一回なぞってみる

英語の即興型ディベートの経験者がなんとか15-30分の準備時間でスピーチを組み立てられるのは、所謂「大きな対立軸」のパターン認識があるところは大きいと思っています。

色々な説明の方法はありますが、私はこれを「実社会のアドボカシー」(特定の考えを持つ人を代弁する)ととらえています。

例えば、いわゆる炭素税を導入する、というような議題になると簡略化すると環境の権利 VS 企業の権利の大きな対立となります。これは例えば、肯定側は特定の環境保護団体のNGOの代弁をすることになるかもしれませんし、否定側は企業や経済団体のトップの代弁をすることになるかもしれません。

もう一つ例を挙げると、煙草を禁止する、のような議題では簡略化すると、健康(体に悪いのだから禁止しよう) VS 自由 (個人が健康を害するのも幸せを追求する一つの方法だ) のような大きな対立になります。これはいいかえると、パターナリズム VS リベラリズム、大きな政府 VS 小さな政府を信条としている人の代弁かもしれません。

このような「大きな対立軸」を理解しておくことの良さは、「あ、この議題、似たようなことやったことある!(構図がこれと一緒だ)」という思考のショートカットができるところにあります。例えば、上記の2つを知っていると、下記のようなモーションも一見難しいものの、「あ、似たような対立軸になる」という風になります。

・先進国のエネルギー企業は、新興国においても先進国の環境基準を守るべきだ(THBT energy companies of developed countries operating in developing countries should adhere to the environmental standards of their countries of origin.)
・環境マーケットの創出を、援助の条件とする(ただし、緊急時の援助は除く)(THW make the development of eco-friendly industry a condition for receiving non-emergency aid.)
・飲み放題を禁止する(THW ban all-you-can-drink option)
・嗜好用のマリファナを合法化する(THW legalize marijuana for pleasure)

具体的にはどのように学んでいけばよいでしょうか?
日本語の資料ですと、ちょっと長いのですが、やはり今読み直しても秀逸だなというのは、この「Principle-奥田さん (ICU/早稲田大学 OB)」の資料です。(なお、奥田さんはICUの黄金時代の4枚エースの1人で、伝説ディベーターのひとりです)
http://www.jpdu.org/?page_id=23
なお、ak_debateは1年目の夏に3回くらい読みました。

英語の資料ですと、Monash大学(オーストラリアの強豪校。世界大会も何度も優勝している世界トップクラスの大学)が出している"1st Principle"に関するレジュメがおすすめです。こちら、18ページなので英語が苦手な方でもぜひチャレンジしてみてください。
http://www.monashdebaters.com/downloads/GuideToFirstPrinciples.pdf

なお、ここで出てくるDemocracyのAccountability, Representation, Participation、Criminal Justice SystemのRetribution, Protection, Deterrence, Rehabilitationは特に強豪ディベーターですらArgumentの出発点にに用いています。まずは、これらで主要な議題のなんとなくのイメージ感を持ってほしいと思っています。

Day 2: 何度かPrime Minister Speechを行ってみる

ak_debateはPrime Ministerこそ、ディベートの神髄だと思っています。一番短いプレパレーションタイムで、相手の話も考慮した強い話を立てるってすごく技術がいることだなと思っています。(実はこのような背景もあって、部の代表時にトライアウト(選抜)においてはじめてPrime Minister Speechによる選抜を導入したのは余談です)

まずは恐れずに、15-20分のプレパレーション時間を用いて、実際に大会のスピーチ時間(多くの場合は7分)のスピーチをしてみてください。議題は色々なところがまとめていますが、英語即興型ですと、UTDS(http://resources.tokyodebate.org/debate-motion/motions/)がよくまとまっています。(日本語即興型となるとCDSの過去ページになるかと思いますが、そちらもプール(絶対数)としてはまだ少ないため、英語即興型の論題を使用することをおすすめしています)

具体的には、アジア大会のような国際大会ですと難易度が高すぎるかと思いますので、まず総じてモーションの難易度が低めの傾向にあるNA Styleのモーションがいいと思います。(こちらは、多くの大学で導入編として使用されているため、大会も1-2年生向けのが多いからです。なお、UTDSのモーションですとESUJモーションのみ1年生大会ではありません)。

このプロセスの目的は3つあります。

1つ目に、Day 1で行った「大きな対立軸」のストック/アップデートを行うことです。色々なモーションをやりながら、「あ、これはこの対立軸だな」「あ、これはちょっと違って、動物の権利対人間の権利だな」なるほど、という風にストックしていきます。頭がいい人は覚えられると思うのですが、ak_debateのように要領が悪い場合はディベートノートに書きます(関連する記事はこちらです)要は、ノートにテーマ(ないし対立軸)ごとにストックしていくイメージです。

次に、「スピーチ(アウトプット)」に慣れることです。残念ながらディベートは現段階ではアウトプットのみで評価されます。「いいアイデアがあったのに・・・」という人は良くいますが(事実、私もパートナー運がよく、だいたいパートナーに助けられています)とはいえジャッジはそこまでわからずスピーチを評価します。口を回す慣れもそうですし、最終的に目指す「ゴール」を明確化する意図もあります。

3つ目に、「スピーチでできていること、足りないところ」を明確化することにあります。できればフィードバックがあるほうがベターなのですが、ない場合は自分で録音して聞き直すことになるかと思います。例えば、「関係のある話はできる」「可愛そうな描写ができる」「具体性がない」「そもそも早くてわからない」のような現状分析(アセスメント)になるかもしれません。

なお、スピーチの型ですが、教科書などに書いていない場合、Triple A、AREA等を用いるのが良いと思います。(Triple Aに関する記事はこちら。)時間がない場合はAREAにフォーカスしましょう。Assertion, Reasoning, Example, Assertionの略で、主張・理由・例・主張です。これをStatus Quo(現状)、After Plan(政策後)であったり、our model(私たちのパラダイム・世界観)・their model(相手側のパラダイム・世界観)で並列に話します。つまり、

「私たちのパラダイムでは、XXXが起こります(A)。理由はYつあって。なぜなら、XXXだから・・・そしてXXXだから・・・です(R)。例えば、XXXです(E)。その結果、XXXが起こります(A)。一方、相手のパラダイムでは・・・」という風に話します。これは、本当にベーシックな型で、当然色々な批判はあるのですが、守破離でいう「守」では最適だと思っています。なぜかというと、①スピーチをひとまず結論からわかりやすく言えるので一定程度ジャッジに伝わりやすくなるし、②理由をかならずつけ、かつ相手のパラダイムとも絶対に比較する、③具体例によって議論を地に足をつける、癖をつけてくれるからです。

Day 3: プレパレーションの初期戦略を立案する

私は即興型ディベートのパフォーマンスの8割くらいはプレパレーション(準備時間)で決まると思っています。したがって、プレパレーションのコーチングは現役時代からよく行っており、選手のパフォーマンスが面白いほど伸びる様子を何度も目にしてきました。なのでここの戦略は肝となります。

色々な型があると思いますし、本格的な戦略立案には私は3-4回のセッションを頂戴することが多いのですが、いったん個人レベルで行うこととしてお勧めしているのは、まずあなたにとって最適の「時間の使い方」のルールを決めることです。例えば、

・最初の5分は個人でブレインストーミング(広く考える)
・次の5分はアイデアの共有(アイデアの発散)
・次の2-3分は勝ちどころの確認・アイデアの収束/取捨選択
・残りの時間は具体的なスピーチづくり

のようになるかと思います。
その際活きてくるのはak_debateが提唱している「TBH思考法」となります。(詳しい解説はこちら)要は、Top-Down、Bottom-Up、Horizontalで考えるというところになります。なお、経験則的に、コンスタントにブレイク(決勝トーナメントに進出)したり個人賞を受賞したりする人は最低2つの思考法を持っていることが多く、優勝するチームや圧倒的な個人は3つの思考法を使いこなしている傾向にあります。初心者の場合はまず、足元の戦略として当然全部を頑張るのは中長期的に行ってほしいのですが、まずは1つ武器となりそうな思考法を軸にすることを意識しましょう。例えば、私の部ではまずは日本人の多くが得意な傾向にあるBottom-Upからお勧めしています。これは実は戦略的な意味もあって、Bottom-Upで考えることは具体的になりやすいというところがあるので、最初の1st PrincipleがややTop-Down/Horizontalの初期インプットになると想定すると、Bottom-Upによって補完するという一定程度「完成させる」意味があります。さらには、ジャッジとしても具体的な話はやはり取りやすく、勝ちに直結する傾向にあります。

3日目の目的としては、2日目で行った最後のアウトプットを意識しながら、さらに「大きな対立軸」をストックしながら、実際そのアウトプットに向けた「プロセス」を精緻化していくという流れです。ある種、1日目でインプット、3日目でアウトプットを、2日目でプロセスを強化しているというデザインになっています。

なお、このプロセスをやる際に、ぜひディベートノートはアップデートしてください。

Day 4:試合的な環境に身を置く

3日間ストイックにやっていると、なんとなくの感覚はつかめてきます。ここで重要になるのはとはいえ、やや「机上」で行っているため、「実践」が薄い可能性が高いというところです。具体的な試合になると、様々なことが起こります。分かりやすいのは反論ですね。相手の話への対応を考えないといけなくなるのですが、これはなかなか予想がつかなかったりもします。特に、2nd Speaker以降となればなおさらです。

(万が一BP Style等に出るというのであれば、できるだけClosing、特に一番難しいと言われているClosing Governmentをやることをおすすめしています)

もちろん試合ができればベストになります。具体的には、どこかの大学にお邪魔することになるでしょう。意外とFacebookで頼むとOKしてくれるパターンがあります。または練習会も場合によっては開催されています。また、一部の大学ですとSkypeでラウンドをすることもあります。ak_debateも例えば九州のディベートを東京でジャッジしたことがあります。海外だと、マカオ VS シンガポールの試合がフィリピンのジャッジによってSkypeでラウンドとして成立していることもあったと思います。なのでふんだんにテクノロジーも使ってみてください。

試合ができない場合は、どのようにするかというといくつかのパターンがあります。まず2人以上いる場合であれば、途中までででもいいのでラウンドをしてみてください。いわゆる「アイアンマン」と言われる1vs1のディベートもak_debateもたくさんやりました。特に、私の代は部員の数が私を含めて6人だったので、毎回6人くれば良いのですが、最悪2人しかおらず1vs1で練習したこともあります。また、ストイックに負けず嫌いなak_debateは、先代部長に頼み込んで1vs1でAsian Style(3回スピーチを行う)もやっていただきました。今思うと本当先輩には頭があがりません。

それも難しい場合は、英語即興型の場合は、ぜひ音源を聞いてみてそれに反論・立論することを考えてみてください。JPDUのYouTube等、多くの音源がレベル別にあると思いますので、それを聞いてLOだったとしたら、という練習は最低限出来ると思います。また、MGをやるというということもできなくはないです。(ak_debateも一時期やっていました) 日本語即興型の場合はリソースが今の段階では少ないですが中長期的にはできるようになるかもしれません。

ここでのポイントは、実際の試合になって改めて必要になったこと、工夫できることを洗い出すことになります。もしかしたらプレパ戦略がアップデートされるかもしれまんせんし、それ以外にも気を付けるポイントというのが出てくるかもしれません。

なお、このプロセスをやる際に、ぜひディベートノートはアップデートしてください。色々見えてくると思います。

Day 5:復習して、個別的な練習を行い、最後はコンディションを最適化する

いよいよ最終日となります。ここで行う必要があるのは、「復習」です。ここから詰め込もうとしてもなかなか自分のものにならないので、諦めましょう。割り切ったほうが効率的です。

行うことはまずディベートノートを読み返しましょう。どういうことができて、どういう工夫をすればよいのかというのを改めて見返します。ここでお勧めなのは、ディベートノートの1ページを使って、「To-Doリスト」をつくることです。

例えば、ak_debateでは、
【プレパ】
・Bottom-Upだけではなく、Horizontalにも考える(=相手が言ってくることは何か?)
・必ず具体的に話す(どうかわいそうなの?どう嬉しいの?)
【スピーチ】
・Status Quo, After Plan, ImpactのAREAを徹底する
・反論は短くする

のようなチェックリストをもって大会に臨んだことがあります。あまり多くても大変なので、シンプルに減らすことがポイントです。

また、Day3につくったプレパレーションの型ももう一回確認します。改めてこの時間配分で明日もがんばろう、と思うわけです。

そして最終日なので、何かに特化した練習だけ少しだけ行います。例えばやっぱりスピーチが不安なのであればスピ練でしょうし、プレパに不安があるならプレパ、その中でも例えば特定の議題が不安なら特定の議題をやることもあるかもしれません。あくまで、4日間の結果を受けて集中的に練習するわけです。

そして最後は・・・大事ですが寝ることです。コンディションを最大化しましょう。さっさと携帯を閉じて布団でぐっすり寝るのが結局はいいことです。あとは「楽しもう」とかポジティブなイメージをもったりすることも、ak_debateは個人的にはやっています。

いかがでしたでしょうか。
もし、5日間しかないとしたら、と考えてみました。もしそのような相談がきたとしたら、ak_debateは過去の経験上、上記のような時間の使い方をお勧めします。
質問などございましたら、いつでもお気軽にご連絡ください!


2017年12月16日土曜日

【寄稿文】続・効率的に本を読む4つのポイント

効率的に本を読む4つのポイント を前回書かせていただいたところ、
下記のような寄稿文を頂戴しました。ありがとうございます!!
やり方の工夫はチャレンジなんでしょうね。。。!

***
某大学のディベーターです、以前読書会のようなものを実施していたのでその時の事について書いてみようと思います。

〇どのようにしていたか?
・各自が違う本を読む。1人1冊(一応フリーライダー:自分は読まないけど参加したい、は認めてなかった)
・授業の空きコマなどを調整し毎週特定の時間に3~5人くらいで集まり、各自が読んだ本の内容についてまとめて解説する(パワポなどは用意せず。やるとしてもホワイトボードに書くくらい)
・本のジャンルが被らないようにしていた
・居合わせなかった人のためにLINEのノートにも掲載する
・1か月で1冊読み終わるペースを目標としていた、本の内容や厚さにももちろんよるが

〇効用
・私的に「マターが増える」という効果はそこまでなかったように感じた。というのも結局他人から見聞したものであるためそれだけで十分使えるレベルの知識化と言われると疑問は残る。しかし、以下のような利益はあったように見える。

1:マターやアイディア・リサーチのとっかかりになる
→読書会で聞いた話について自身で深くリサーチすると漸く身に付く印象。また自身が避けがちな分野の入門書とかに触れることができるのでどのヨナ本を読むといいのかという見当もつけれるようになる

2:他人に分かりやすく伝える力
→LINEのノートなどを見ると人によってまとめ方が様々。本の内容をただ復唱転写するのではなく要点を押さえ分かりやすく再構成してまとめる力が(意識して実践すれば)伸びる。簡略化しすぎても伝わらないし内容を濃くしすぎても具体例とかばかりで説明も煩雑に

3:Motionや実際のディベートへの応用を前提として知識の吸収ができる
→自身が読んでいる・他人が読んだ本はどのようなMotionにおいて使えるのかという点を意識することで単なる知識で終わらずディベートに使える理論やケーススタディに化ける

対して以下のような問題点はあった。
1:自身が参加できていない読書会での情報がLINEノートに限られる。その際LINEノートのまとめ方がよろしくない(=結局口で聞かないと分かりにくいレベル)だと吸収できない
⇒何か統一したフォーマットなどがあると良いかも。しかし本の内容やジャンルにより異なるので難しいか。

2:人によって忙しさがまちまち・波もあるため定期的に続けていくのが困難。参加者みんな忙しかったので誰も発表の準備ができていないということも
⇒何か対策が欲しい。正直ここが一番深刻化も

3:そもそも何の本を読んだらいいのかわからない、ということもあった
⇒当時は先輩のアドバイスなどで何とかなっていたが、今思えばUTDS resourceのbookの部分なども活用すればよかったかもしれない。しかしお勧めの本についてまとめるサイトとか今後より拡大していくべきだなあと感じる。1大学に頼るのではそれこそフリーライダーな印象なのでコミュニティ全体でどうにかしたい

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