2014年5月1日木曜日

モーションの作り方① 最初のアイディアの出し方


巷では、最終的に公平性やダイバーシティを重視しながらモーションをつくろうというような事が書いてあります。かなり僕自身も参考にしていて、モーションがある程度出た後どうやって吟味していくかはすごくよく分かりました。
(ex. Shengwuのブログ等)

でもここでは、「そもそも最初のアイディアの出し方」に関して書こうと思います。そういう記事を書いている人って今のところみたことがないので。

あくまで我流ですので参考程度にお願いします。
また、アイディアを出した=そこから必ずしも良いモーションになるとは限らないので、僕の没モーションは悲惨なことになっています……。
大事なのはとりあえずアイディアベースに最初出してみてみるところってところだと思うので、(ブレストはたくさんしましょう)ちょっと書いてみますね。

(1) 新聞記事、雑誌の記事、本等を少し読んで、「problem」を考える
これは完全にTateの受け売りなのですが、HKDOでTateがどんな風にモーションを考えているか聞いたところ「どうすればこの世界がもっと良くなるのか?」という視点を持つことが大事らしいです。
となると、何かしらの「problem」を考えるのが大事なんだと思います。

例えばですが、先日三鷹のストーカー事件ってありましたよね。それから気になってストーカーのドキュメンタリーを見てみまり、ちょっとネットで調べてみました。
そこで知ったのは現行の法律だと、ストーカーに関しては例え警察に相談しにいってたとしても、最終的には被害者の同意がないと動けないとのことでした。
だいたいストーカーというのは第三者ではなく、もともと自分の元恋人だったりするわけで非常にジレンマに陥るとのことです。その間にストーカーの被害がエスカレートしてしまうこともあるとのこと。
「これって問題なんじゃないかな?」と思って生まれたのが以下のモーションです。

THW allow the police to act (ex. warning, prevention measures) regarding the stalker without victim's consent.(JPDU Spring Tournament 2014 R4)


(2) problemの解決方法を考える(動詞・制度に着目)

problemが分かったらrectifyしないといけません。その方法として着目するのが、「動詞」や「制度」だと思います。
例えばよくありがちなのが、何かあったらbanしておこうという考えです。

一つ例をあげます。EUって人権守っている主体のはずなのに、ネオナチとか極右の政党が台頭しているけどいいのかなと。
そこで、廃止しようと思ってつくったのがこのモーションです。(Sharmilaも気に入っていて本当はHKDOで出す予定だったのですが、opinion pollの方がホットだったので見送られました。)
THBT EU states should ban ultra-nationalist/far-right political parties.(Ryoso Cup 2012 GF)

でもban/legalizeって結構extremeなんですよね。なので、他の「動詞」や「制度」を考えてみます。
「あ、この制度使えるじゃん!」シンプルな例を挙げます。なんとなく日本って医療モーション少ないなぁと思いながら医療訴訟とか調べていました。
そういえば産婦人科とか今少ないらしいなぁ、でもありきたりなモーションばかりだなぁと思っていました。
(ex. THW make juries of malpractice litigation comprised by doctors. 等)

なんか無いのかなぁと思って調べていたら、ニュージーランドのACCという試みがあるというのを知りました。
「あ、これいいんじゃないかな?」と思ってかつ、基本的な対立軸は過失責任と無過失責任になるなと思いつつ、そのまんま安直ですがモーションにしてみました。
THW introduce ACC (Accident Compensation Corporation) scheme in doctor-patient relationship.(JPDU Spring Tournament 2014 OF)


でもやっぱりまだレベルってあがりそうですね。オリジナル感が欲しいですし。
例えば、インド等がコンテキストで女性が性犯罪に苦しんでいます。そういう時にそうすればいいかというと、男性側にもっと責任を負わせるパターンも良いですが女性側をどうやってさらにempowerするかという議論になるかもしれません。
それだと、自分で自分の体を守れたほうが良いなと思って生まれたのがこのモーションです。
THBT the government should distribute free lethal weapons to women living in misogynistic community with excessively high rate of sexual violence.(Titech Cup 2013 QF)

ちょっとイメージとしては、THBT US government should subsidize twitter to liberalize oppressed societies.のように、empowerしていこうよみたいな感じです。


他の例をあげます。警察って色々問題起こしたりしているなぁと。あ、あとそういえば民営化ってよくされてるよなぁ、prisonとかもされてるし。
と「民営化」という手法が思いついてつくって、ACから評価が高かったのがこのモーションです。
THW privatize the police.  (HKDO 2012 R1)

とりあえず、アイディアとしては「動詞」「制度」に注目するというニュアンスが伝わると幸いです。
コツとしては、自分が知っている動詞や制度、もしくは他のモーションである動詞や制度を連想することです。

個人的な感想としては、SharmilaとかTateはこういうモーションが好きな印象があります。
例えば、Berlin WUDCではTHBT countries with booming populations should allocate every adult a single tradable permit to have a child.というモーションが出ましたが、これは「carbon emission trading」という市場原理を導入していることに他なりませんし。


(3) 主体を考えてみる
他の発想方法として、主体を発想してみるというのがあります。

最近流行っているTHBT the feminist movement should...というようないわゆる「アクターディベート」モーションですね。
海外の大会を見てみると、TH, as North Korea,...等主体をかえていることが多いです。

例えば、ICCってcrime against humanityとかをprosecuteしているのはもはや最近では有名になりましたね。
ICC should prosecute crimes against democracyとか、色々ICCモーションってありますよね。そこからアイディアをもらったのが以下のモーションです。

THBT ICC should prosecute heads of IMF upon assisted countries' requests. (Ryoso Cup 2012)


(4) extremeに考える思考実験をしてみる
僕が好きなのはとことんの極限状態とか、とことん何かやってみるとか、想像の世界に思いを寄せてみることです。
なんでかというと、過去の哲学者がやっていたように本質的な議論、対立軸に近づくからです。

Assume that a large meteorite is about to hit the Earth.  The international community was able to build a perfect underground shelter which can hold and sustain a small number of people for reasonable years until human can live again on Earth.  There is no way to avert the crisis.
THW choose who survives based on a lottery-of-fate rather than considering any personal ability/professional skills.(Titech Cup 2012 R2)

これは結局資源の分配の仕方という経済学の問いですね。


いかがだったでしょうか。他にもモーションのアイディアの出し方の方法はあると思います。
(僕もこうやって体系立ててやっているわけじゃなくて、結構勘とか暗黙知の部分は多いと思いますが、言語化するとこの4つは思考パターンとしてあるのかなと思いました。)
少しでもお役に立てると幸いです。

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