2017年3月20日月曜日

HPDUの感想とSuggestion

今日HPDUの決勝トーナメントを見てきました。
どのラウンドも相当にレベルが高く、特にQFは感動しました。
え、これ高校生?と心の底から思いました。いくつかのスピーカーは既に梅子はもちろんですが、JPDU-Tのブレイクも狙えるレベルにあると思いました。

理由としてはいくつかありますが、
・普通にmotionにinherent/uniqueな話が多い
・5分という短い時間にもかかわらず、抽象と具体のスピーチのバランスがよく、具体の話がとても説得的にされている
・イラストが上手で、「いかにかわいそうなのか」のイモーショナルな説得もされている
・バーデン指摘や反論の視点がよく、例えば「それはモーションをとる理由になるのか?」というところまで踏み込んでいる

等があったと思います。
本当に今後が楽しみだと思いました。来年も予定があえばコミットしたいですし、ほかの機会もぜひ呼ばれればいきたいなと。(学会へのフィードバックもしたいですし)

うれしいことに、このブログを読んでくれている人もいるようなので、ちょっとアドバイス的なものも書いてみようかと思います。(今日言ったFBと被るかもしれませんが)

① 特に後半(2nd~Reply)のスピーチにおいては、アクターや時間軸の場合分けにより、より精緻な議論を行えると良いのでは?

かなりレベルが高いことを要求しているのは覚悟しているのですが、(かつ、大学生でも、なんなら僕でもできないことも多々あるのですが)議論がパラレルになりがちな時というのは、具体的な場合分け、具体的な状況をしっかりと意識することかなと思いました。違うアクターの話をしていたり、違う時間軸の話をしている場合があるわけです。

時間軸の話でいうと、例えばGF(THW prefer a world without marriage)は秀逸で、govが、PMの段階から結婚する前/結婚しているとき/離婚した後の話を時間軸で切ることに成功していたと思っています。(いわゆる「MECE」っぽくてすごいと思いました。)

これはクリアにPMからでたケースですが、実際のディベートでは「実はそれってこの時間軸の話だよね」とかってあるケースが多く、2nd以降で「相手の話はどの時間軸の話をしているのか、どのアクターの話をしているのか?」と整理し立論できればいいかなと思います。

つまり、それらがクリアでない場合は「それは結婚前の話だけであって、結婚後の話をしているからirrelevant」だとか、「結婚後における立論はしているものの、結婚前の話をそもそもしている」のような話で優位性を示しに行くような戦略ができるのではないか、と思いました。

アクターのほうの話でいうと、例えば、SFのTHW abolish all hate speech-related laws(wording may be incorrect)ですと、govは社会的な変革のような話をすることが多いと思うのですが、oppはinitialには(主にracistによる)mental harmの話がされることがあるかと思います。
この場合、実はspeak upする人が違うわけで、govは結構good intentionの場合だったり、discriminateされているところを変えたいと思っている人たちだったりし、oppであればマイノリティに無関心、もしくは差別的な人が暗黙の前提になっているかと思います。

そのような人がどのように動くのはそれぞれ違うことになるかと思うので、わけて話す必要がでてくるわけですね。

アクターのほうの例でもう一ついうと、例えばですが、THW allow organ transplant for profit.とかになると、poor/middle class/richというアクターが出てきたり、現状でcharityとしてorganをdonateしている人、等色々な形でアクターが分かれると思うのですが、「あなたはどの人の話をしているのか?」という前提は暗黙のまま話せれることもあり、これを特定できれば、「そのような人は変わらない」「そのような人は少数派である」のような戦略的な取捨選択にも至るのではないかと思っています。

じゃあこれってどうやるの?って話になるかもしれませんが、「そもそもこれらってどういう人たちなの?」「どの時間軸なの?」という問いを持つだけでも変わる気がします。中長期的には、実はこれらもクッキー・カッター的なものもあるので、(経済系モーションであれば、poor, middle class, richなど経済的な収入できる、sexやgender系であれば男女で切るなど)それらをストックしていくことが必要になるでしょう。

②「一番強い反論は何か?」という意識をする

僕は比較的細かい反論をたくさんしていくタイプではあるのですが、5分という限られた時間を鑑みると、「一番強い反論」を考える必要性があるかと思います。

これは色々な考え方がありますが、例えば
Not true, Not uniqueな反論よりも、Irrelevant, Rather counterproductive, "that is not a reason to propose/oppose the motion"のような反論のほうが強いことはあるかと思います。
また細かいNot analogous, factually falseのようなExampleというArgumentの構成要素の一つである部分に対する反論よりも、Argument全体に対する反論のほうが強いことはあるかと思います。

いわゆる「鋭い」反論というのは(教育学的にも)なかなか言語化が難しい部分ではあるらしいのですが、私は今仮説的には「より前提を切っている」「よりArgument全体にかかわる反論」のほうが強いと思っています。

もちろん、色々別の考え方もあると思うのですが、「1個しか反論できないとしたら?」という風に考えて取捨選択していくことは大事かもしれません。

テクニックとしては、ジャッジに「一番良かった反論はどれか?」のように聞いて行ってそれの共通項を探していくだとかできるといいのかもしれません。

なお、特に英語は堪能なんだけど、というような方や「細かい反論しがち」な人(=僕みたいな人)にとっては意識しておくと、一つレベルアップするチャンスかなと思いました。

いずれにしろ、僕もできていない、学生ディベーターでもできていないことが多いかもしれませんが、期待を込めて、ややハイボールを投げてみました。