2018年1月8日月曜日

【即興型ディベート部のマネジメント】練習における議題の選び方

Q.「普段どのようにモーションを選んだら良いと思いますか?」
このようなご質問を、部を運営している人から頂きました。

(競技ディベート目的なのか、教育ディベート目的なのかによるところはありますが、
いったん競技ディベートだと想定してみます)

その場合、色々な考えはあると思いますが、一つ大会で結果を残せるようにする(それは以前と比べてもありますし、その"結果"の定義も色々あるかと思いますが)が、部員にとって良い(勝てて嬉しい、勝てなかったとしてもそれに向けて的確な努力ができたため成長実感も大きい、等)とすると、下記のような考え方をお勧めしています。

A. 大会での出題確率×部の成熟度で考えること
私がおすすめしているのは、縦軸に「大会でどれくらい出るか?」、横軸に「部としてどれくらい対策できているか?」をとり、優先順位付けすることです。
(もちろん、他の考え方もあるかと思いますが。)

具体的には下記のようになります。


資料にも書いてありますが、出題確率はその時の時事問題、大会レベル/特性、モーション作成者等を勘案することがポイントです。
海外大会だと最近「過去のACの出題モーション」を公開していることもありますが、これはこの対策ニーズが大きくなっていることが背景にあるのではないでしょうか。

部の成熟度は測るのが難しいのですが、こればかりは色々なモーションを見ながら日々観察しておくことがキーになるかと思います。私がUTで昔部長をしていた時は、よく同期や先輩、場合によっては他大学の方に「どれくらいできているか」をうかがっていました。その結果、特に法学部のディベーターが多かったというのも相まってか、なんとなく法律系のディベートは強いということは分かったりしていた気がします。

なお、縦軸を考える際に、過去の議題の傾向から選ぶのは多くのディベーターの中でも暗黙の了解になっている気がします。(もちろん、時事、ACの傾向等もあるかと思いますが)それをもう少し精緻にアプローチすると、例えば下記のような分析をak_debateが試してみました。
1年生大会であると、政治・社会的弱者の議題が最もよく出ており、企業・労働、教育、紛争・戦争、法律なども続いてくる、という結果が見えてきました。
(なお、社会的弱者とはいわゆる"minority"関係のsocial movement関連などです)


このやり方は色々難しいところがあります。(例えば、大会といってもどこまでを対象とするか、テーマもどのように選ぶか、等。実際今回、モーションの分類をしようとしたときにとても困ったときがありました。またテーマは違っても出る議論や背後の対立軸が似ている場合とかもあるので、「テーマ」だけだと限界もあるのかもしれません。また、結局その年のACによっても大きく変わる部分もあるので、今まではこうだったけど急に変わるということも考えられます)ですが、個人的にやっている/やっていた感覚としては一定程度の成果はあるように思えました。)


したがって、部の運営者/コーチ、ないし教育を担当している人というのは上記のようなイメージをもってモーションを選ぶのが一つ良いのかもしれないなというのが示唆です。(もちろん一言で「部」と言っても、人によって横軸は大きく変わってくるので、個別化した対策も必要になるかとは思いますが…)

なお、ここまでデジタルには行っていませんでしたが、このアプローチは、私が部長を行っていた時にやっていたものです。具体的には、梅子杯を一つ大きな目標として、どういうテーマがでるか過去の議題から分析していました。(そのcontributing factorの大きさはもちろんわかりませんが…本人たちの努力も大きいですし、自主練とかは分からないですし…)

なお、これまで「部」という単位で話していましたが、これは個人という単位でも使えたりもするので、そちらでも応用できます。自分で横軸を分析するイメージですね。

いかがでしたでしょうか。モーションの選び方の参考になれば幸いです。

0 件のコメント:

コメントを投稿