2回目、3回目は細かい違いはあるものの、基本的にはブラッシュアップだったので、どちらもまとめて説明しようと思います。
Day 2はまず、Day 1のプレパを受けてその後どうなったか2人に聞くところから始めました。Eさん、Iさん共になんとなくプレパのやり方は定まりつつあるような感じでした。一方で、とはいえなかなかうまく行っていないという感覚があるようでした。
プレパでは実際に二人がプレパをするところをみながら、「例えばこういうことを意識したらどうか」「こういう問いを立てたらどうか」という部分を試してみるということを繰り返しました。具体的には、Day 1で特定された「Issue特定」→「戦略立案(勝ち筋を見つける)」→「具体性を強化する」→「Speech化」というステップで、それぞれどういう問いを立てればいいかというのが追加されていきました。
例①:
たとえば、「具体性を強化」というところは、なかなか2人の課題だったこともあってなかなかイメージがわいていなかったようです。とはいえ、別にそれがスピーチになった際にできないというタイプではなく(特にEさんは何度かスピーチを見ていましたが、別に話が抽象的な印象はなかった)のではなく、あくまでプレパの工夫次第で解決できると仮説的に思いました。
そこで「具体的にどういう人がどう辛い/嬉しいのか?」という問いを意識的に立てるようにとアドバイスしました。それまで見ていると、例えばTHBT Mexican government should adopt measures that enable the Sinaloa Cartel to monopolise the market、THW criminalize "revenge pornography" in the same way as rape、THW pay teenage girls to not get pregnant.のようなインパクトが見えやすいモーションではArgumentで勝手に具体化されていく傾向はありました。一方で、THW introduce basic income. や、THBT parents and educators should actively encourage children to invest in their physical appearance and attractivenessのような経済モーション/教育モーションであると、なかなか具体化されていないなと思ったからです。この問いを意識するようになってから話が深まるようになっていました。
例②:
他には、「戦略立案」の際に、結局押しどころがわからず、かつ特にIさんがPrincipleの話が好きで、EさんがPracticalの話が好きだった際に、好みが大きく分かれ「結局何を立てよう」というところの意思決定ができず、なぁなぁになってしまっていました。その際、どの話を立てるのかなどはもちろん色々な戦略があるとは思うのですが、いったんEさん、Iさん共に納得感があったのは「最もintuitiveな話は何か?」というintuitiveさによる優先順位付けでした。
例えば、THW ban convicted criminals from publishing the narrative about their crime.のモーションであればgovは「被害者のmental pain」は分かりやすい話として勝ちやすい傾向にあるという結論になりました。
THBT Mexican government should adopt measures that enable the Sinaloa Cartel to monopolise the marketのgovであれば、long termの話は勝ちづらいかもしれませんが、short termでは比較的moderateなactorが力を持つことで人が攻撃されたり、殺される危険性が下がる話は立ちやすいという結論になりました。
したがって、いくつか議論が出た際はまずはintuitiveかどうかという観点から優先順位付けし、それをしっかり立てること、また相手の最もintuitiveな話をいかにつぶすか考えるということで合意しました。
例③:
今までの話はどちらかというと「弱みを改善していく」話でしたが、ak_debateが重要視しているのは「強みを強化していく」ことも重要視しています。Eさん、Iさん共に優秀なジャッジであることから特にCloseになった際優劣をつけることには慣れている傾向がありました。したがって、「Clashの解消力」を一つ武器にできないかと思いました。また、ジャッジだったとしたら、という風に考えたほうが思考が走りやすいのではないかと思っていました。
そこで例えば、「戦略立案」の際には、単純に最もintuitiveな話を考えるだけではなく、その際どういうClashが生まれるか、そのClashをどのように解決するのか?というところまで踏み込めれば特にClosingでは勝ちやすいと思いました。そこで、「ジャッジだったとしたら、解消出来たら嬉しいClashは何か?」という問いを立てることを推奨しました。
例④:
また、「強みを強化していく」文脈で言うと、とくにEさんは面白いアイデアを思いつく傾向にありました。それらは必ずしも思いついた時点でwinning argumentではないものの、強いExtensionになり得たり、主要なArgumentのlogicを強化する可能性もありました。一方で、ak_debateが見ていてプレパで勿体ないなと思ったのは、Eさんは「完璧になるまで言わない、遠慮してしまう」という、Eさんの人の良さがにじみ出る結果のクセでした。これは勿体ないなと思い、最初のIssue特定の際に、「まだできていないけど」という前提でアイデアの種も共有してもらい、それが具体性強化などの際に「花が咲く」ことも必要に応じてチャレンジすることにしました。したがって、Issue特定に「迷っているが、使えそうなアイデアの種は何か?」という問いも追加しました。
例⑤:
さらに言うと、単純にOpening/Closingの練習を2人にさせるだけではなく、他にもいろいろなシチュエーションで練習しました。
例えば、プレパ練3種でもご紹介しましたが、Closingプレパ練も行いました。具体的には、ak_debateも10分ほどプレパし、Openingで言う際言う話を全部いい、その後数分のプレパ時間の後、Closingで言う話やその埋め込み方を練習しました。
この背景としては、Ryoso Cupの参加者の性質を鑑みると、北東アジア大会(NEAO)の決勝進出者、アジア大会(Asian BP)のQuarter Finalist進出者等もいたため、強いOpeningの後ClosingでExtensionがないリスクがあったからです。また、チームとして「Openingをどう上回るか?」という問いがないままいくつかのアイデアをばらまいてしまうことがあったので、「Speech化」のときに「Openingをどう上回るのか?」という問いも追加しました。
(さらに、特定の問いの追加にはなりませんでしたが、Eさんがプレパを観察する形で、ak_debateとIさんがプレパしたこともありました。これは、後で聞いたところEさんが「プレパで止まってしまったとき」ですとか「困ったとき」にどのように打開しているのか見たかったらしく、あえて少し止めたりしながらak_debateの反応を見ていたとのことでした 笑)
<Day 2~3のまとめ>
・各プレパのステップにおけるKey Question(プレパ中にたてる問い)を明確化しました。例えば、「戦略立案」の際は、「最もintuitiveな話は何か?」、「具体性強化」の際は「具体的にどういう人がどう辛い/嬉しいのか?」の問いを追加しました
・これらの問いは正直無限に立てられるものの、その際意識したのは2人が特に課題と思っている「弱み」だけではなく、「強み」も活かすことでした。例えば、面白いIdeaの種が出るEさんのポテンシャルを最大化するために「迷っているが、使えそうなアイデアの種は何か?」という問いを追加したり、EさんIさんが共通して高いジャッジとしての能力をディベートでも応用できるように「ジャッジだったとしたら、解消出来たら嬉しいClashは何か?」という問いを追加しました
いよいよ最終日になりました。この日は、ak_debateから今まであったプレパ・シートは紙を写メって送っていたのですが、当日使いやすいようにpowerpointにしてわたしました。(時間的余裕があれば最初からやったほうがよかったかもしれません)
それを見ながら、最終調整というところでプレパ・シートを見ながら確認することを特に意識しました。Day 4ともなると、だいぶプレパ・シートは定着しており、必要に応じて問いがしっかりと立てられており、プレパがスムーズになっていました。
それはak_debateから見ても、本当にスムーズになっていました。それはフィードバックさせていただいたうえで、いくつかプレパ・シートをマイナーチェンジしました。
例えば、2人ともHorizontal思考が強いというところのデメリットとして「相手がこれを言ってきたらどうしよう」と考えすぎてしまったことがあったようでした。したがって、最後に「ただし、見えない敵と戦いすぎず、場合によっては自分の話に自信をもって集中!」というのを最後に追加しました。
最後に、プレパ・シートの使い方に関してディスカッションしました。ラウンド前/中にお互いに見返し、今まで行ってきたように必要に応じてアップデートしていく、ということを当日は2人で行ってほしい旨を伝えました。(理論編の3.プレパ・シートはどのように使うのか?の内容です)
こちらにも書きましたが、最終日は詰め込むことは得策ではありません。あくまで今できる「最大出力」を出せるようにコンディショニングすることが最も重要だと考えています。
<Day 4のまとめ>
・今までの復習に代えて、プレパ・シートを最終化して、共通認識を持った。
・プレパ・シートの当日の使い方を合意した。
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