前回は、プレパ・シートの理論をご紹介しました。今回は実践編で、「どのようにつくるのか」を中心にご紹介します。今回からは実践編となります。
まず、今回のコーチの基本情報です。
【基本情報】
・コーチ対象は、ディベート6年目の院生のEさんと4年目の学部生のIさん
・Eさん・Iさん共に平均以上の成績は納めているが、とびぬけた成績はおさえられておらず、よりパフォーマンスを向上したいためak_debateに相談
・出場する大会は学部生~院生が出場できる日本の大会。今年も北東アジア大会の決勝、アジア大会の決勝トーナメントに進出した選手が出場するなど、ハイレベルな大会
・2時間のセッション×4回ほどで、計8時間ほどコーチ(1週間に1回ペースで実施)
・セッションは全てオンラインで、LINEを使用して実施(face-to-faceはゼロ)
・(無料で実施)
【Day 1:自分たちをよく知って、大まかなプレパのステップを考える】
1回目のセッションでは、まず2人の強み・弱みや、プレパレーションの課題を浮き彫りにすることが主な目的でした。したがって、まず今のプレパ時間の使い方をヒアリングしました。
プレパ時間の使い方としては、はっきりとは決めていないものの、最初に数分自分たちで考えた後、主要なクラッシュを考えて、それをアーギュメントにするという流れがあるようでした。なので、プレパのステップは、「Issue特定」→「Speech化」という2つのようです。
その後、2-3回ほどEさんとIさんに2人でプレパ練をしていただきました。その間ak_debateは黙ってみています。
ここでのコツは、government/opposition、opening/closing等できるだけシチュエーションを分けてみたり、モーションも変えてみたりすることで(抽象的/具体的、テーマ別)できるだけ偏りのない形でプレパレーションを観察することです。
それが終わったらプレパレーションの感想を聞きます。「こういうところができた」「こういうところができなかった」というような話や、「なぜそうなったのか」ということをテーマにディスカッションします。
その結果、色々ありましたが、結果的に主に下記の3点が明らかになりました。
・Iさん、E三共には「相手の話」を考えることが得意;要はHorizontal思考が強い
(おそらく、お二人とも優秀なジャッジであることが影響しているかもしれません)
・一方で、プレパレーションは発散しており、「結局どう勝つのか?」という「勝ち筋」に繋がっていない。その結果、話すArgumentもなかなか定まらない
(「相手はこういうこと言ってくるかもね」という話はIさん、Eさん共にするものの、それがなぁなぁになってしまう)
・その影響もあってか、話が具体化されず抽象的なまま
(Freedom of choiceという枠はあっても、内容を聞いてみるとアナロジーが薄かったり、ロジックも怪しかったりする。そもそもそれらが共有されていない)
上記をまとめると、相手の話を考えているため戦略的な部分がある一方で、「勝ち筋」の明確化や「具体化」が不十分という課題あるため、せっかくあるアイデアの種が生かしきれずに負けてしまうことが多い、というような状況であることが分かりました。非常に勿体ないです。
今回はこの2つが主要な課題なのではないか?という点に合意した上で、まず大まかなステップの流れを「Issue特定」→「戦略立案(勝ち筋を見つける)」→「具体性を強化する」→「Speech化」という流れにしたほうが良いという風にアドバイスしました。細かいモーションのフィードバックも行いこの日の練習は終わりになりました。
<Day 1のまとめ>
・プレパのステップは「Issue特定」→「Speech化」となんとなくあったが、それを、今課題である「勝ち方を見つける」「具体化する」というステップを意識的に追加
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