2019年9月21日土曜日

久しぶりに大会に出るときに 5つのポイント

久しぶりの更新です。

・就職活動や院試、留学等のため、暫くディベートから離れていた…
・しばらく他のサークルやバイト等をやっていたけど、久しぶりにディベートコミュニティに復帰したい…
・社会人になって集中していたので、しばらくラウンド等もできていなかった…
・一回引退宣言してしまったのだけれども、色々あってディベートしたくなった…

最後のケースはあまり無いかもしれませんが、上の3つはよくあるのではないでしょうか。

私も、就活の時はディベートから一時期離れていたり、社会人になって大会に出る頻度がすごく下がっている時期などが何度かありました。(現に、今年は半年くらい一度もスピーチしていない)

akのやり方がベストだとは思わないのですが、ポイントを5つほどご共有します。

1. 最近のディベートのトレンドが何か、を早めにアップデートする
これは特に半年や1年単位で大会に出ていない場合等はおすすめです。

10年間定点観測的にディベートを見ていても、Practical重視時期、Principleが重視になる時期、特定のディベート用語が流行する時期(mutually exclusive、counterfactual)、特定のスピーチスタイルが流行するとき(詰め込み型、ゆっくり見せる型)、特定のArgumentが流行する時期(social discourse、echo chamber)等色々あります。

その際には、例えば少なくとも
・最近の現役生がACを行っているモーションはどういうのが多いのか?
・最近のBriefingやAdjudication Examでの特徴は何か?
・最近特にみんなが見ている国内外の音源/ディベーターはだれか?
の3つを抑えると良いと思います。

私のように古い人間だとどうしても、2010年頃の世界大会の決勝を見たり、
困ったらSQ, AP, Impactだ!のようになりがちで、
スピ練をするにしても、昔見たことあるモーションに依存するような、いわゆる"comfort zone"から抜け出せていない、ということが知らず知らずのうちにあります。ぜひ私の二の轍を踏まないように…。具体的には、一回現役の練習にも(恥ずかしいですが)顔を出すなども有効です。

2. 一方で、自分が大事にしていた"ディベートの型"を取り戻す

上の話と矛盾するようですが、実はそうでもないです。時代が変わってもディベートで本質的に必要なスキルなどが大きく変わるわけではありません。

例えば結局のところ、私としてはAREAの考え方であるサンドウィッチ式が伝わりやすいというのはディベート外でも積み重なれた理論ですし、
SQ, AP, Impactの話も、近年Impactの概念がメタの話まで入り込んできている、等のチューニングは必要であったり、必ずしも比較対象がSQ, APではないかもしれないが使える部分があったり、
思考方法としてのTBHは、例えばモーションによっての向き不向きはあるものの、引き出しとして有益である部分もあります。

どう頑張っても一気に現役のころのような勘が急速にとり戻るわけではないこともありますが、一方で自分が現役のころだった時、調子が良かった時にどういうことをやっていたのか、その時の80点を取りに行くことは行ったほうがいいです。

その方法ですが、もし現役のころからルーティーンにしていたものがあれば、まずはそれを行ってみるのが良いです。akの場合は「ディベートノート」と「マターファイル」(詳細はこちら)が絶好調の時はほぼ全部頭に入っている状態だったので、まずはほこりをかぶっているそれらを読み返します。

最近は仕事柄英語もよく使うのですが、一時期使わなかったときはシンプルに一回話してみて口を慣らすこともやっています。社会人ディベーターの弁論同好会さんも似たようなことをやっていますね。(記事はこちら)。また社会人の話し方だとゆっくりと前提から話しすぎる傾向がでてくるので、それを短い時間で話す練習とかもよくやります。

現役のころ再現性高められるようにいくつか理論化している人のほうがこの復帰は早いのですが、もししたことがあまりない方であれば、

・自分がうまかったころのスピーチを聞いてみて、今の自分と比べてみる
・昔レクチャーなどをしていたらそれを読み直す、見返す
・どんなふうにプレパしていたかなどを思い出す、昔のパートナーに聞いてみる

あたりがおすすめです。

3. ラウンドはやったほうが良い、できればWhip等ラウンドの後半で、課題を一気に明確化しよう

ラウンド偏重はもちろんだめなのですが、
一方で、ラウンドは何度かやったほうがいいです。

結局プレパ練だと相手が何を言ってくるかわからなかったり、
反論や立論の優先順位のつけ方、
特にBPでの「立ち回り」等は試合をやったほうが早いです。

事実、社会人になってBPをほぼ1回もできずに大会に出ると、
全然Extensionも出せないし、反論の仕方も忘れていてあわあわし、全然パフォームしなかったときとかもありました。お恥ずかしい…。

その時の反省は、スピ練とかだけだと限界があるなということでした。

特に、PMやLOは比較的練習しやすいのですが、
Whip等、ラウンドの後半のほうがより勘が取り戻されやすいのでお勧めです。

また、ラウンドはそんなに何回もできない場合もあるので、
この前QDOのワークショップでEntingも言っていましたが、終わった後のチームメイトとのディスカッションにむしろ1-2時間かけるくらいの勢いで
「何を学んだか?」「何が良かったか?」「何を改善するといいか?」のようなディスカッションができるといいですし、
akもそちらをLINE等含めて行うようにしています。

4. 今だからこそ出せる「強み」にも注目する

ここまで、ややネガティブであったりチャレンジングな話も多くあったかと思います。
正直ディベートで復帰するって色々難しいです。それはすごくわかります。

一方で、実は「強み」もあることを忘れないでほしいです。

例えば院試であれば特定の分野の知識がよりあがっているかもしれない
留学であれば英語力があがっているかもしれない
他のサークルの経験で何か得たものもあるかもしれない
社会人になって新たに得たスキルがあるかもしれない

このように、他の経験を通じて実は新しい「強み」がある場合が多いです。
社会人であると、経済モーションが強くなるとか、よくあるパターンかもしれませんね。

また、シンプルに「久しぶりにディベートを見る」という客観性が
実は新たな戦い方のヒントの着想に繋がることもあります。

中にいたときは気づかなかったが、外から見て気づくことは色々あります。

例えば、私の場合は、イントロの重要性。昔はイントロを省いてでも3つ目のArgumentを言おうとかと思っていましたが、改めてラウンドを聞いてみると分かりづらい、ジャッジとして取りづらいというところがあるんだろうなと思い、イントロにより魂を込めて差別化するということもあるでしょう。

久しぶりに来たことで感じた「違和感」「気づき」は、戦略にも昇華できる余地があるのです。

5. 一歩セットバックして、ディベートでの目標を改めて設定する

また、やや次元が高い話になりますが、重要になるのはディベートに戻って何を得たいのか、というのをはっきりすることでもあるかと思います。

就活から戻ってきた場合は、再度リベンジし、ブレイクや優勝などが目標になるかもしれませんし、
社会人の場合は、取り急ぎ現役のころのパフォーマンスは諦めて、久しぶりにラウンドして楽しさを思い出す、とかもあり得るかもしれません。

また、長期的にみる場合は、取り急ぎ足元の大会では勘を取り戻す、この大会ではSF以上を目指す、等と時間軸をずらすことも重要です。

特に社会人としてコミットする際に「プロディベーター」として時間をたくさん割ける例外的な場合はともかく、
普段の仕事やプライベート、人によっては家庭もある中で現役とただ張り合って優勝しよう、という目標は場合によってはあいにく現実的ではないことも多いです。

akの場合、とはいえ負けず嫌いなので優勝なども含めて目標をセットするのですが、前よりも目標を下げることもありますし、
また、それ以上に「ディベートを通じて(仕事にも活かせる)自分の弱みを改善する」ことに目標を置いてきました。

例えば仕事柄経済まわりや教育周りのインプットが多くなっていた時は、
あえて国際関係等普段見ていないことをインプットすることを目標にしていましたし、

コンサルで必要なロジカルシンキング(MECE等)が弱かった時期は、
それをディベートを通じてアウトプットする、というようなことを目標に置いていました。

また、シンプルにラウンドでのアドレナリンやチームワークなど、場合によっては観光なども楽しいですよね…!社会人になるとより染みます。。。


いかがでしたでしょうか、普段と違う切り口でしたが、
参考になれば幸いです!