2018年8月4日土曜日

Do not reinvent the wheel!

最近、上級生の人に教育関係のお話をさせて頂く際に、
"Do not reinvent the wheel!"とお話させて頂いております。

Wikipediaによると下記の意味です。
車輪の再発明(しゃりんのさいはつめい、英: reinventing the wheel)は、車輪を題材にした慣用句であり、世界中で使われている。「広く受け入れられ確立されている技術や解決法を知らずに(または意図的に無視して)、同様のものを再び一から作ること」を意味する。
すなわち、実は簡単に学べることがあるにもかかわらず、それを苦労して学んでいる構図があるのではないでしょうか、と思っています。

例えばPrincipleに関して、特定の専門性(法律、経済、IR)、戦術(BPのClosingでの勝ち方)等に関しては、コミュニティを見ていると残念ながらReinvent the wheelが起きているような気がします。

逆にReinvent the wheelをしていない例は、いわゆる基本ルールに加え、AREA、Triple Aをはじめとした、1年生向けのベーシック・ディベート・スキルだと思います。

これは何もあなたのせいというわけではなく、日本ディベート界が持つ構造的な問題なのかもしれません。例えば、3年生で就職活動などをはじめとして一回ディベートから離れてしまうため指導者不足に陥ってしまうことはどの地域でもあるかと思います。ディベート・コーチというロールが(一部の大学が過去に行っていたことはありますが)あまり浸透していないこともあるかと思います。Pro-Amのように上級生-下級生が組む大会があまりないというのもあるかもしれません。また、全体的な運営体制が1年で引継ぎというところで、引継ぎの断絶が起きていることもあり得ます。

抽象化して、一般論としてReinvent the wheelをしないためには暗黙知を形式知化しアクセシブルにすること、もしくは暗黙知を継承できる制度になるかと思います。

>部の運営者の皆様
前者は、いわゆるレクチャー資料づくり、勉強会、資料共有等になるかと思いますが、例えばそれを部の単位でいうとIntelligence機能の具備もありますが、実は「レクチャー/エジュケのノウハウシェア」というところが抜け落ちている気がします。「レクチャーのレクチャー」とかが増えるといいのかもしれませんね。
現役の頃からを合わせると、10校以上に対してエジュケ等の相談を受けましたが、どうやら継続的にはないようです。昔はIXIAという部長会でインフォーマルで行われていた、ということも聞きますが。あと、UTでは伝統的に上級生が春合宿でレクチャラーを務めるような制度になっています。
あとは意外にも、「どこにどういうソースがあるかわからない」という情報の一元管理不足ということも根深いかもしれません。いわゆるディベートを熱狂的に行っている人はJPDUのセミナー資料も全部読んでいますし、ありがたいことに本ディベート自由帳も全部読んでくださっています。また、海外レクチャー系もEUDCも含め見ています。でもそうでないと、そもそも知らない…ということも大きいようです。

後者でいうと、コーチ制等があるかと思います。昔はUTでも例えばBP Noviceに向けて上級生が下級生に教える(最近だと道場という形で続いている模様)とかがあり、AGU等でも取り入れられていたと聞きます。海外ですと、Pro-Amが結構あるみたいで増えたらいいなぁと思っています。ただこれはちょっと留意が必要で、例えば社会人になると正直直前のドタキャンリスクがあっていつも申し訳ないという構図もあったりするので、それが解消されると(オーストラリアだと飛び入り参加とかもできるとか?)さらに嬉しいなと思ったりもします。

>レクチャー担当者の皆様
また、レクチャー担当の個人となると、まずは「類似資料をあさる」「他のレクチャー経験者に話を聞く」というようなところからスタートするといいかと思います。

akもUTでおそらく5年以上にわたって使われたエジュケ資料をつくるにあたっては、先輩のエジュケ資料を全部もらいました。JPDUの資料は全部読みました。Principleの今は有名となったTriple Aの型も先輩とディスカッションしたこともあります。

また、もし可能であればそういったレクチャー資料の公開等も行っていくとよいかと思います。どんな人にとっても「公共財」になるというところがあるといいなと思いディベート自由帳もスタートしているので、もしこのパッションに共感頂いたらぜひ。

Do not reinvent the wheel!