2018年1月19日金曜日

【即興型英語ディベートの練習法】ak_debate式英語の上達方法 5つのポイント

【背景】
「これをakさんに頼むのも変な話ですが、純ジャパとしての成長戦略についての寄稿文を読んでみたいです。(最近、レトリック、fluency、海外音源の聴き取り等、様々な面で帰国子女と比べてハンディキャップを感じることが多いので)」

という質問を頂戴しました。色々な回答方法がありますが、「同じ土俵に立つため」の英語力は重要かと思います。(競争戦略で言うところの「等位」にする部分)また、場合によっては「ノックアウトファクター」、すなわちそもそも「土俵にも立てない」状況になってしまうことがあり得ます。したがって、英語力の向上は至極命題になっているかと思います。

私は質問者の方が示唆してくださっているようにいわゆる海外経験のある人間です。とはいえ、全く英語の努力をしてこなかったというわけではないのと、英語の指導も英語ディベート部の部長やコーチを通じて行ってきました。また、実は英語の家庭教師/レッスン講師も行っていたりしたので、お話できる範囲でポイントを5つあげてみました。


1."伝えたもん勝ち"精神を持つ
 私が思うのは、今までお会いした多くの方(非ディベーター含む)は真面目に英語に取り組まれていることもあり、完璧主義に陥りがちです。きれいな文法で、きれいな発音で相手に伝えることを優先しているように思えます。もちろん、奇麗さを求めるのは中長期的には必要ですが、足元の取り組みとして「伝えること」が競技上も至極命題になるかと思います。
 勿論英語ができない状態が他人に見えることはとても恥ずかしい部分もあるかと思います。特に、英語力が高い人の直後にしゃべるとその差は歴然で、スピーチ中に帰りたい衝動に駆られることもあるかと思います。また、伝わらなかった時の辛さというのも引きずりがちです。私も、日本で何年か過ごした後、再び海外に戻った際、小学校の先生に全く英語が通じず、何度か試み、先生も何度か説明をしたり耳を傾けたりしてくれたのですが、最終的に匙を投げられたことは、未だに脳裏に焼き付いています。
 しかし、まずは英語をコミュニケーションツールとして捉えた際に、大目的は「伝える」ことになるわけで、その合目的性に照らし合わせればどんなに拙くても良いのです。
 私はそういう意味で、出川哲郎さんの「はじめてのおつかい」はとても好きです。この番組は、英語ができない出川さんがニューヨークなどの地で、知っている単語、ボディーランゲージ等を駆使して必死に伝え、それが花開きます。もちろんたまに奇想天外な発言もあり、それは笑いを誘う部分もあるのですが、それ以前に、私は実際にそれで伝わっていく様子を見ていて、伝えようという想いの下、どんなに拙くても、「伝わったら勝ちだ」と思うことが、重要なファースト・ステップであり、出川さんに対して笑って終わってしまうのは勿体ないなと思っています。
 これを繰り返していくと、必ずうまくなります。アウトプットを繰り返すので取りアンドエラーがなされていくかもしれません。

2.  Keep it Simpleの原則を徹底する
 完璧主義者になりがち、というところにつながっているのかもしれませんが、シンプルにすることはとても重要になります。これは特に「話す」という局面で大事になってきます。
 具体的には、whenがあったから…ifがあったから…のように文法をとても気にしがちだったりするかと思います。また、ついつい一つの文章が長くなってしまうことも傾向としてあります。また、単語という意味でも、「あ、あの言葉なんだっけな」とベストフィットな言葉が出てこず、悪戦苦闘することも多々あるかと思います。
 もちろん、それらは中長期的に改善していけばよいと思うのですが、特にスピーキングの文脈では、「シンプルに話すこと」はとても重要になります。私も海外でプレゼンテーションやディベートを中高時代に行った際に「akは言いたいことはとても良いが難しすぎて伝わらない、もっとシンプルに話せ!」と先生にアドバイスを受けました。その時、この原則を教えてもらいました。ーその際は、なんなら、ジョークを交え、「Keep it Simple Stupid!の頭文字で"KISS"の原則だ」と教えてもらいました(笑)
 具体的に英語ディベートの文脈で捉えなおすと、まずシンプルな文法で短く話すことをお勧めしています。文章は極力短くする。接続詞を使用して長くなるようだったら一回文章を切るくらいの勢いで大丈夫です。過去完了形等は難しくなってしまうので、できるだけ過去形のようなシンプルな構造に努める、等になるかと思います。また、単語も一番シンプルな言葉のレベルでいいです。"improve"という言葉が出てこなかったら、"make the situation better"のような言い換えで大丈夫です。Keep it Simpleですね。(もちろん、あとで言葉の反省とかはすればいいかもしれませんが、ラウンド後にとっておきましょう)

3. 最もベースとなる単語力を鍛えるため、文章で、書いて、聞いて、話して、覚える
 「元気 あなた ですか?」という文章を見ても、「あなたは元気ですか?」のように、言いたいことは想像がつきます。一方「xyz abc ですか?」だと、「何か聞いているようだが何を言っているかわからない」という状態になってしまうかと思います。そういう意味で、単語は最も重要だと思っています。いわゆる英語の4技能(リスニング、スピーキング、リーディング、ライティング)を横断するからだと思います。
 とはいえ、さあ、単語力を鍛えようと思ってもなかなか難しいところはあるかと思います。そこでak_debateは「文章で、見て、聞いて、話して」覚えることをお勧めしています。具体的には、私は日本の受験生のような、暗記カードをつくりました。どういうことかというと、表面に文章を書き、覚えたい単語に下線を引きます。右下には同じ単語を書きます。裏にはその意味を英語で書いていました。
 ここでのコツは、まず「想像できるシチュエーションの文章」にすることです。実際に自分が想像できる状態にするのです。稚拙な例で言うと、happyという言葉を覚えたければ自分が実際に嬉しかったシチュエーションの文章で覚えるとかですね。場合によっては例文の主語をリアルの人に代えて想像しやすくする、というようなこともやっていました 笑 仮にすぐ想像できない場合は、頑張って想像できる例文を電子辞書等で探しました。(なお、おすすめの単語帳はこちらにも書きましたが『神部孝(2006)『TOEFLテスト英単語3800』旺文社』です。)
 そして、暗記カードを使う時に「話す」ことも大事です。文章として実際音読(周りに人がいるときは黙読)して口を動かします。見るだけじゃなく、書いて話す、というようなところまで行うため五感をできるだけ使っているというのがミソです。
 これをディベートに置き換えても通じるところはそのまま多くあるかと思いますが、「想像できるシチュエーション」を一ひねりするのが良いと思います。「この単語はディベートだとどういう時に使うかな~」と思い、それを文章にする、場合によっては上手いディベーターのフレーズをそのまま書くとかも考えられます。例えば"pave the way for"という表現があります。weblioによると、道を開くとかの意味があるようです。実際例文は、「The function of the UN is to pave the way for world peace.」 国連の任務は世界平和への道を開くことだ.と書かれています。ak_debateの場合は「国連系のモーション、例えば安保理の拒否権廃止のモーションのときに使えるなぁ」とか思ったり、「また、principle一般で使えるなぁ」と思うわけです。というのも、principleは原則論を話すので、そのアクターが政府であれ国連であれ、NGOであれフェミニストであれ、何かしらの道を開くべきだという「べき論」があるからです。

4. 毎日英語は何かしらの形で触れる。「1日にまとめて」ではなく「毎日15分」
 帰国生であっても、英語をしばらく話さないと口がまわらない、だとかあります。何なら、英語以外でも例えばak_debateはピアノを3才からやっていたのですが、どんなにやる気がでんかうても、高校までは必ず15分はピアノを触っていました。万が一手をあんまり動かせないなという時は、机を鍵盤に見立てて、曲を弾き切るくらいはしていました。「1日ひかないと、取り返すのに何日かかかる」というのは音楽の世界では鉄則とされていたからです。私はこの考え方は英語でも当てはまると思っています。
 帰国生である私ですら、学生時代は毎日オックスフォードなどの有名スピーカーの音源は毎日最低1スピーチ、たいていは30分~1時間聞いて「耳をならす」ことをしていました。それに加え、その日のスピーチの復習としてのスピ練を、イントロだけ、1st Argumentという形だけでもよく行ったものです。「英語に触れないことのこわさ」を肌で感じていたからかもしれません。
 ここでのコツは、「とりあえず始める」ことと、「習慣化すること」の2つに尽きると思います。どんなにやりたくなくても、とりあえずYouTubeで流したら「まあ聞くか」くらいにはなって、だんだんはまっていきます。それから、嫌なことは習慣化するのが勝ちです。そのうち当たり前になります。例えば、ak_debateの場合は寝る前に必ずスピーチの音源を流しながら寝ました。この癖は実は受験時代からあり、英語の例文のCDを流しながら寝ていたのとまったく一緒です。「とりあえず流して寝よう」くらいの勢いでいいので、やっておく、という、その小さな積み重ねが、イチローも言っているような「とんでもないところに行くただ一つの道」だと思っているからです。

5. 英語の成果を"見える化"し、できた自分を褒める
 最後に大事なのは、英語の成果を"見える化"することです。英語はとはいえすぐはうまくならないところは当然あります。また、単語を覚える、文法を学ぶ、のような地道な作業が多いです。すぐに花が開かないし、他の人からも何なら見えづらい。なので、英語がうまくなったね、となかなかすぐには言われないわけです。
 この構造は即興型英語ディベートだとさらにあると思っており、勝ち負けの理由が必ずしも英語だけに依存しない、あくまで論理的・感情的に人を説得することに尽きるからであり、そのための要素として少なくとも、以前取り上げたような思考力プレゼン力がかかわってくるからです。さらに、だいたいディベートの中身(Matter)に対してフィードバックが中心になりがちという構造もあるかと思います。したがって、なかなか英語の成果が目に見えず、やめてしまうこともあるかと思います。(なので、もちろん、英語に関するフィードバックを自分から求めるのも大事です)
 そこで、何かしらの「指標」、つまりは「ものさし」を準備することが大事になります。目標とかKPIとかのイメージにも近いです。もちろん、この「指標」の置き方は難しいのですが、(合目的性などの要件が必要)例えば、ak_debateでは、下記のような指標を持ったり、お勧めしたりしていました。

・覚えた英単語の数 (自分で知らない単語だけをベースに(=暗記カードをつくった単語だけで構成した)テストを週1回等のペースで定期的に行って、何点とれたかを見える化していく。)
・聞けるようになったスピーカーのタイプ (帰国生で英語が早い人>英語が早い人>英語がゆっくりな人という優先順位付けで、まずは英語がゆっくりな人が聞けるのであれば、早い人を聞けるようにしよう、等)
・聞いた音源の時間 (毎日15分なのであれば、それが30日あれば450分という風に積み重ねが見えてきます)
・読んだ英語の文章の数 (毎日1記事読むだけでも、30日で30記事読んだなとなります。例えば印刷しておくと「ああこんなにやったんだな」という達成感にもつながります)
・英単語/表現をどれくらい使えたか (上記のpave the way等、「覚えた単語を使えた」ときは覚えておきました。赤ペン先生状態じゃないですが、「あ、これやったところだ!」となる瞬間は嬉しいものです)

もちろん指標は多岐にわたりますが、ポイントは成果を目に見えるようにするというこころです。(実は、指標も主に4種類あるのですが、これはまた別途どこかの機会で!)

いかがでしたでしょうか。少しでも5つのポイントが参考になれば幸いです!

0 件のコメント:

コメントを投稿