2019年10月13日日曜日

Kyushu Debate OpenにおけるEquityの取り組み

QDOにおけるEquityの取り組みをご紹介します。

・Equity Policyや、それに限らない大会の質向上の取り組みは不可欠だと思っています。
・QDOのEquityに関する取り組みも完璧ではないと思いますし、今後の改善の余地も多々あるかと思います。
・もちろん可能な限り多くの取り組みが導入されることは望ましいかと思いますが、お読みいただければわかるかと思いますが、すべての大会で全部を行うことは実現可能性上難しいこともあるかと思います。
・何かあれば、akにまでご連絡ください。(akの私見・最終決定が多々あるため、コミやほかのACの責任ではございません)

まずはEquityに関するスライドを共有いたします。



以下、各種取り組みに関してWhat?=何を行ったのか、 How?=ほかの大会で行う際のポイントなどをご共有します。

【1. Equity全般のの予防策】

A. 国際的なEquity Briefingの活用
(What?)HKDO、CBP等NEAで広く活用されており、ヨーロッパ・SEA・オセアニア等幅広い地域のEquity Officerにより運用されているEquity Briefingを採用しました
(How?)既に国内にあるEquity Briefingと大きな差はないと認識しているので、最新版の活用+それのアップデートが良いかと思っています

B. Equity Officerの選び方
(What?)Equity Officerの経験があるand/or運用に詳しい、韓国/中国/日本国籍の方計3名にお願いしました。また、これらとは別にCAP Equity Officerを1名任命し、モーションに関するEquity Violationが起きないように努力いたしました。なお、結果的に3/4名が女性でした。
(How?)上記の条件ですと、Equity Officerを務められる方が限定的になってしまう+その方々に負担が集中してしまうリスクがあるため、母数を増やす、未経験者/経験者のバランスをとる等の工夫は必要だと思っています。(=Best Effortでの対応になることが多いかとおもいます)

C. IA/ACの選び方
(What?)ディベート/ジャッジの実績に加えて、①地域/言語/ジェンダーのダイバーシティ、②過去のEquity Officerの経験の有無(6/7人がEquity Officerを経験)、③SDGsへの過去・将来の貢献可能性に関する記載を勘案して選出致しました。
(How?)国際大会である特性上、特にその候補者が多かったため実現しやすい点はあったことに加え、③はQDOの特性でもあることに留意は必要だと思いました。(=Best Effortでの対応になることが多いかとおもいます)

D. 全参加者のTerms of Conditionsへのサインへのお願い
(What?)WUDC等の国際大会の取り組みを参考に行いました。幾つかの項目がありますが、犯罪行為や反社会的行為があった際に大会から追放させていただく旨も書かれています。
(How?)こちらは、九州大学の法務関連の職員の方とも相談しながら作成したものであり、0から各大会で作成することは難しいかもしれません。もしかしたら、共通テンプレートの作成等が良いかもしれません。

E. Motionの選び方
(What?)Motion Discussionの際に、Is this fair?  Is this interesting? のような問いに加え、Could this be triggering/offensive?という問いも考慮しました。結果的に、少しでもリスクがある場合はTrigger Warningを出す、劣後するなども行いました。
(How?)何をもってOffensive, TriggeringなのかはACの中でも議論が分かれ、絶対的な答えがありませんでした。今回はComplaintがありませんでしたが、もし発生した場合でも、「完璧にすることはできない」ことへの理解を示しつつ、プロセス評価を行うことの重要性も感じました。
なお、テクニックとしてモーションをあえて抽象化する、wordingを一つ一つ練る、のような時間がかかることにはご留意ください。AC未経験者がACとして参画することを躊躇する、のようなリスクもあるのではないかなとやりながら思いました。

【2. Iron Personing/Opt Out】

A. In-Round(予選)におけるIron Personing/Opt Outの運用
(What?)"in cases of medical/deeply personal reasons"において、モーション発表後3分以内にACにご連絡いただければ認めました。
なお、deeply personal reasonsを詮索することはしないことを約束する一方で、単なる好き嫌い等で利用することは行わないようにメッセージを発させていただきました。
具体的なブレイクへの影響等はBriefing資料をご覧ください。
結果的に、Iron Personing/Opt Outは一度も発生しませんでした
(How?)運用のためには、多くのシャドウの方の準備が必要でした。QDOでは、運営の工数が必要で、かつ九州地域で行われる唯一の最大規模の大会であることから、シャドウの人数が限定的になる傾向にありました。
今回は、未経験者の1年生等に頭を下げて行うことにもなる可能性があったほどです…。最大で6人のシャドウを準備しつつ、さらに数名がOpt Outした場合は、10名程の余裕があるかどうかにもよるかと思います。
また、QDOはディベート未経験者の方やオブザーバーの方もいらっしゃり、かつ教室の使用時間も厳しいことから場合によっては混乱も予想されたため、導入に際しては議論がありました。

B. Out-Round(ブレイクラウンド)におけるBack-up Motions/Swing Teamの活用
(What?)予選と同じような状況になった場合は、別モーションを出す準備をしていました。(また、状況によってはSwing Teamによるラウンド)
結果的には、発生しませんでした。
(How?)運用のためには、モーションのバックアップを多く準備しておく必要があります。テーマでの被り等も勘案すると、3-4つ以上のBack Up Motionが必要になるかと思い、ACへの負担はあるかと思います。

【その他Q&A】
Q. AC以外のEquity Officerによるモーションの事前チェックは?
A. こちら、AC内でも議論したのですが、今回は見送りました。その理由としては、①CAP内のEquity Officerを任命することで、そのチェック機能を最大限確保したのと、②参加者が「Equity Officerも大丈夫だと感じている」前提でモーションを見た際に、本当にTriggering/Offensiveの際にOpt Out等をしづらくなるリスクが否めなかったのと、③ACの責任である部分が、Equity Officerに関しても責任範囲が広がってしまう(=Equity Officerの過度な負担のリスク)ことを感じたからです。
ただし、今回の大会ではこのように考えたので、他の大会でもそのようにすべき、という論調ではないことにご留意ください。

2019年10月6日日曜日

【1~2年生向け】大会が終わった後に学びを最大化する方法

今日は梅子杯があるみたいですね。自分が出たのが10年以上前だと思うと驚きですね…。
Twitterなどを見る限り、今年も盛り上がっているようで、行きたかったなぁと思っているakです。

結果が出た人も出なかった人もいるかと思います。梅子に出れなかった人もいると思います。(僕の同期にも何人もいます。)特にESSの方々は、セクションが決まったのが最近ということもあるかと思います。まだディベート人生は長いのもあるので、引き続き応援しています。

さて、大会というのは大体の方々が少なくとも4ラウンドは予選の試合を行い、オープンラウンドが3つはあるので3つのフィードバックは聞いており、4ラウンド目もジャッジに質問しに行っているかと思います。実は、4回もフィードバックを短期間で、かつ別大学の人たちから得られるのはとても貴重なので、学びにつなげてほしいなと思っています。

1. フィードバックをお願いすることは遠慮しなくて大丈夫です!
上の文章を読みながら「あ、4ラウンド目聞けてないや」「予選も実は時間がなくて個人フィードバックを聞けなかった…」等のようなパターンがあるかと思います。
不安がらないでください。そして安心してください、フィードバックはぜひ聞きに行って大丈夫です。
大会会場にいる場合は、その人のところに紙などをもって行くと周りも察してくれます。(談笑で盛り上がっているところでいっても、だいたい気づいてくれる…はずです。)怖かったら相手のチームや先輩等と一緒に行きましょう。また、それでもチャンスを逃してしまったら思い切ってFacebook等のメッセージを送ってみましょう。
私もFacebookでメッセージをもらうことが多かったです。大会後でも数日は覚えていることが多いので、それであればどんどん聞いてしまって大丈夫のはずです。
(なお、更にはakは図々しいので試合を見ていたオーディエンスの他大学の先輩やOBOGの方にも梅子の時に質問しに行っていました。。。今思い返すと丁寧に対応してくださった皆さんに感謝です。また、最近ですとモーションを出すACの人たちに質問するケースも増えているようです。(私も、数か月前、数年前の大会のモーションに関して今でも聞かれます)

2. よく言われたフィードバックを「グルーピング」しよう
少なくとも3-4人に言われたフィードバックですが、その場だとよくメモを取るかと思うんですが、意外と「グルーピング」することって多くの方がやっていないことだったりします。(やっている人はKeep Goingです)

多くの人に言われること、言われたことというのはおそらく外観的には正しいのだと思います。(もちろん、彼らが見ているラウンドの数のn数が少ない等はあるので留意は必要ですが。)なので、そこは聞いてみるといいと思います。

ここでのポイントなのですが、「全体フィードバック」「相手のフィードバック」「チームメイトのフィードバック」も含めてメモをとりながら、最終的に自分の強み・弱みをあぶりだす、というところにあります。というのは、必ずしもあなただけに向けたフィードバックで全部を構成していなかったり、ジャッジとしても多少言いづらい部分が他のところに入ってきているからです。

akの場合は1年生の時はよくロジックがある、抽象論は分かる、反論が良い、のようなコメントが多く直接的には言われました。一方で、チームメイトは「イラストが上手、感情的にすごくわかった」のようなフィードバックを良くもらいました。ここから導出できるのは、「ロジックや観点はいいのだけれども、感情的に訴えるような表現が足りない」というところになるかと思います。「即興型ディベートに必要な能力を身に着けるための練習法シリーズ② プレゼンテーション力」でいうと、"感情的な分かりやすさ"が改善の余地があるということでした。

ぜひこのようなことは「チーム」や「コーチ」と一緒にやってください。例えば、WUDCのDCAは、2時間くらい1ラウンドが終わった後チームメイトとディスカッションするみたいです。

3. フィードバックの際に、こちらからも質問しよう
ジャッジからすると、限られた時間であなたの今までの悩みをトレースすることは難しく、どのようなレベルで何を話せばよいのか迷ってしまう、ということがあります。

もちろん、オープンクエスチョンで聞くのも全然良いのですが、より個別具体のクローズドクエスチョンを聞けると、お互いにとってハッピーになりがちです。

質問の種類は例えばざっくりと思いつくものでも3種類あります。

A. 確認系
ーシンプルに分からなかった部分の定義は何か教えてもらう (それってどういう意味ですか?)
ー何かをより具体化してもらう (それって具体的にどういうことですか?今回のラウンドでいうとどのあたりの話になりますか?)

B. 自分の強み・弱みのアセスメント系
ー自分やチームのよかったところ、改善できるところを教えてもらう (よかったところ、チャレンジってどのあたりだと思いますか?)
ー上記の具体版 (ジャッジにはよくXだと言われることが多いんですが、今回ってどうでしたか?今、Yがうまくなれるように頑張っているんですが、どうでしたか?)

C. 改善のための方法系
ーどのように練習した方がよいか、教えてもらう(Xさんってどうやってうまくなりましたか?参考にしている人やスピーチはありますか?)

このような具体論があるとジャッジからもより聞きたいことを引き出せたりするのでおすすめです。

4. "Reason for Decision"から学び取ってほしいのは、勝ちのための「引き出し」
Reason for Decisionは、特にVoteで負けです、と言われた後に聞くのはなかなか辛いものです。絶対に勝っただろ、と思った際に出てくる怒りのような感情。負けたなぁと思った時の再度押し寄せる絶望の感情。気持ちはすごくわかります。
可能な限り、そこで思ってほしいのは「次のために、自分の成長のために聞こう」というマインドになるかと思います。難しいですが…。
大会の際は、色々なジャッジがそれぞれのReason for Decisionを説明してきます。普段聞きなれていない表現であったり、見方、重みづけだと思います。
(いわゆる「え、そこで見たの?」というような感覚もここかと思います。)

例えば、以前も「色々なジャッジのやりかたの考察 ~ジャッジが使用する基準リスト、よくあるジャッジスタイル等~」という記事でこちらを取り上げました。Principleを重視する人とPracticalを重視する人、ロジック重視・感情重視等、Diversityとしていろいろあり得るわけです。

「その見方は違う」と言って怒ったりTwitterに何か書き込むよりも、「色々な人を説得できる」(=別の土俵でも戦える)という方がかっこいいし、イケてると思うんですよね。(akは結構かみついたのでイケていなかったのですが…)ぜひ、大会を期に自分は「どういう癖を持っているのか、どういう強みがあるのか」、「ほかのこういう人まで説得するには?」と考えてほしいです。

また、より足元で分かりやすい話としては、"exclusivity"のような、普段仮に聞きなれない表現があればぜひメモってください。そしてそれがどういう意味かも聞いて、自分のものにしていきましょう。

なお、長期的には「どうすれば、上手くなれるのか? -"成長エンジンの設計方法"-」のような内容も実践いただければと思います。



この記事に関する質問も大歓迎です。https://twitter.com/ak_debate こちらへのDM等もいつでもお待ちしています。

2019年9月21日土曜日

久しぶりに大会に出るときに 5つのポイント

久しぶりの更新です。

・就職活動や院試、留学等のため、暫くディベートから離れていた…
・しばらく他のサークルやバイト等をやっていたけど、久しぶりにディベートコミュニティに復帰したい…
・社会人になって集中していたので、しばらくラウンド等もできていなかった…
・一回引退宣言してしまったのだけれども、色々あってディベートしたくなった…

最後のケースはあまり無いかもしれませんが、上の3つはよくあるのではないでしょうか。

私も、就活の時はディベートから一時期離れていたり、社会人になって大会に出る頻度がすごく下がっている時期などが何度かありました。(現に、今年は半年くらい一度もスピーチしていない)

akのやり方がベストだとは思わないのですが、ポイントを5つほどご共有します。

1. 最近のディベートのトレンドが何か、を早めにアップデートする
これは特に半年や1年単位で大会に出ていない場合等はおすすめです。

10年間定点観測的にディベートを見ていても、Practical重視時期、Principleが重視になる時期、特定のディベート用語が流行する時期(mutually exclusive、counterfactual)、特定のスピーチスタイルが流行するとき(詰め込み型、ゆっくり見せる型)、特定のArgumentが流行する時期(social discourse、echo chamber)等色々あります。

その際には、例えば少なくとも
・最近の現役生がACを行っているモーションはどういうのが多いのか?
・最近のBriefingやAdjudication Examでの特徴は何か?
・最近特にみんなが見ている国内外の音源/ディベーターはだれか?
の3つを抑えると良いと思います。

私のように古い人間だとどうしても、2010年頃の世界大会の決勝を見たり、
困ったらSQ, AP, Impactだ!のようになりがちで、
スピ練をするにしても、昔見たことあるモーションに依存するような、いわゆる"comfort zone"から抜け出せていない、ということが知らず知らずのうちにあります。ぜひ私の二の轍を踏まないように…。具体的には、一回現役の練習にも(恥ずかしいですが)顔を出すなども有効です。

2. 一方で、自分が大事にしていた"ディベートの型"を取り戻す

上の話と矛盾するようですが、実はそうでもないです。時代が変わってもディベートで本質的に必要なスキルなどが大きく変わるわけではありません。

例えば結局のところ、私としてはAREAの考え方であるサンドウィッチ式が伝わりやすいというのはディベート外でも積み重なれた理論ですし、
SQ, AP, Impactの話も、近年Impactの概念がメタの話まで入り込んできている、等のチューニングは必要であったり、必ずしも比較対象がSQ, APではないかもしれないが使える部分があったり、
思考方法としてのTBHは、例えばモーションによっての向き不向きはあるものの、引き出しとして有益である部分もあります。

どう頑張っても一気に現役のころのような勘が急速にとり戻るわけではないこともありますが、一方で自分が現役のころだった時、調子が良かった時にどういうことをやっていたのか、その時の80点を取りに行くことは行ったほうがいいです。

その方法ですが、もし現役のころからルーティーンにしていたものがあれば、まずはそれを行ってみるのが良いです。akの場合は「ディベートノート」と「マターファイル」(詳細はこちら)が絶好調の時はほぼ全部頭に入っている状態だったので、まずはほこりをかぶっているそれらを読み返します。

最近は仕事柄英語もよく使うのですが、一時期使わなかったときはシンプルに一回話してみて口を慣らすこともやっています。社会人ディベーターの弁論同好会さんも似たようなことをやっていますね。(記事はこちら)。また社会人の話し方だとゆっくりと前提から話しすぎる傾向がでてくるので、それを短い時間で話す練習とかもよくやります。

現役のころ再現性高められるようにいくつか理論化している人のほうがこの復帰は早いのですが、もししたことがあまりない方であれば、

・自分がうまかったころのスピーチを聞いてみて、今の自分と比べてみる
・昔レクチャーなどをしていたらそれを読み直す、見返す
・どんなふうにプレパしていたかなどを思い出す、昔のパートナーに聞いてみる

あたりがおすすめです。

3. ラウンドはやったほうが良い、できればWhip等ラウンドの後半で、課題を一気に明確化しよう

ラウンド偏重はもちろんだめなのですが、
一方で、ラウンドは何度かやったほうがいいです。

結局プレパ練だと相手が何を言ってくるかわからなかったり、
反論や立論の優先順位のつけ方、
特にBPでの「立ち回り」等は試合をやったほうが早いです。

事実、社会人になってBPをほぼ1回もできずに大会に出ると、
全然Extensionも出せないし、反論の仕方も忘れていてあわあわし、全然パフォームしなかったときとかもありました。お恥ずかしい…。

その時の反省は、スピ練とかだけだと限界があるなということでした。

特に、PMやLOは比較的練習しやすいのですが、
Whip等、ラウンドの後半のほうがより勘が取り戻されやすいのでお勧めです。

また、ラウンドはそんなに何回もできない場合もあるので、
この前QDOのワークショップでEntingも言っていましたが、終わった後のチームメイトとのディスカッションにむしろ1-2時間かけるくらいの勢いで
「何を学んだか?」「何が良かったか?」「何を改善するといいか?」のようなディスカッションができるといいですし、
akもそちらをLINE等含めて行うようにしています。

4. 今だからこそ出せる「強み」にも注目する

ここまで、ややネガティブであったりチャレンジングな話も多くあったかと思います。
正直ディベートで復帰するって色々難しいです。それはすごくわかります。

一方で、実は「強み」もあることを忘れないでほしいです。

例えば院試であれば特定の分野の知識がよりあがっているかもしれない
留学であれば英語力があがっているかもしれない
他のサークルの経験で何か得たものもあるかもしれない
社会人になって新たに得たスキルがあるかもしれない

このように、他の経験を通じて実は新しい「強み」がある場合が多いです。
社会人であると、経済モーションが強くなるとか、よくあるパターンかもしれませんね。

また、シンプルに「久しぶりにディベートを見る」という客観性が
実は新たな戦い方のヒントの着想に繋がることもあります。

中にいたときは気づかなかったが、外から見て気づくことは色々あります。

例えば、私の場合は、イントロの重要性。昔はイントロを省いてでも3つ目のArgumentを言おうとかと思っていましたが、改めてラウンドを聞いてみると分かりづらい、ジャッジとして取りづらいというところがあるんだろうなと思い、イントロにより魂を込めて差別化するということもあるでしょう。

久しぶりに来たことで感じた「違和感」「気づき」は、戦略にも昇華できる余地があるのです。

5. 一歩セットバックして、ディベートでの目標を改めて設定する

また、やや次元が高い話になりますが、重要になるのはディベートに戻って何を得たいのか、というのをはっきりすることでもあるかと思います。

就活から戻ってきた場合は、再度リベンジし、ブレイクや優勝などが目標になるかもしれませんし、
社会人の場合は、取り急ぎ現役のころのパフォーマンスは諦めて、久しぶりにラウンドして楽しさを思い出す、とかもあり得るかもしれません。

また、長期的にみる場合は、取り急ぎ足元の大会では勘を取り戻す、この大会ではSF以上を目指す、等と時間軸をずらすことも重要です。

特に社会人としてコミットする際に「プロディベーター」として時間をたくさん割ける例外的な場合はともかく、
普段の仕事やプライベート、人によっては家庭もある中で現役とただ張り合って優勝しよう、という目標は場合によってはあいにく現実的ではないことも多いです。

akの場合、とはいえ負けず嫌いなので優勝なども含めて目標をセットするのですが、前よりも目標を下げることもありますし、
また、それ以上に「ディベートを通じて(仕事にも活かせる)自分の弱みを改善する」ことに目標を置いてきました。

例えば仕事柄経済まわりや教育周りのインプットが多くなっていた時は、
あえて国際関係等普段見ていないことをインプットすることを目標にしていましたし、

コンサルで必要なロジカルシンキング(MECE等)が弱かった時期は、
それをディベートを通じてアウトプットする、というようなことを目標に置いていました。

また、シンプルにラウンドでのアドレナリンやチームワークなど、場合によっては観光なども楽しいですよね…!社会人になるとより染みます。。。


いかがでしたでしょうか、普段と違う切り口でしたが、
参考になれば幸いです!

2019年7月27日土曜日

「え、何このモーション」となった時に行う6つのこと

久しぶりの更新です。ディベートを長くやっていても、「え、何このモーション」となる時ってあるかと思います。初心者の方にもありがちですが、私も、国際大会を中心に見たことないモーションを見たとき、久しぶりに大会に出たときに最近の流行となっているモーションを見たとき、なります。そのようなときのTipsをご紹介します。

1. まずとりあえず落ち着いてモーションを読む、書く
慌てても逆効果になってしまいます。とりあえず、まずはゆっくりとモーションをもう一度読む、場合によって実際に書く、ということを行います。
また、私は「難しいモーションの場合、相手も焦っているはずだ」と思うことにしています。テストで難しい問題ができたときの「他の人もきっと解けないはずだ」精神かもしれません。ディベートは相対的に上回れば勝ちにはなるので、落ち着くことが大事です。

2. 何が、「何このモーション」と思ってしまった理由なのか考える
このような状況に追い込まれる際には幾つかのパターンしかないはずです。
① 単純にモーションに書かれている言葉やコンセプトを知らない
(例えば、アフリカのこの国のこういう部族、最近あった具体的な人名等をみて焦ることがあるかもしれません。)
② モーションのワーディングの関係で、意味がすっと分からない
(特に長文である場合、構文が一瞬理解できない。日本のディベート界であまり見ない表現が急に出てくる、等もあるかもしれないです。よく「あるある」だとlift sanctionsってあれ、どっち、となる方が多いとか。)
等はよくある場合ですね。その原因が分かると落ち着いてその対応策を考えられるので、便利です。

3. 分からない場合は早めに他の人に聞く
プレパ時間はあまり長くなりません。まずはパートナーに素直に「分からない」と言うことを伝えましょう。私がディベートの大会に出るときは最初にそういうルールをつくっておくこともあります。意外とパートナーが冷静でよく知っている場合があったりします。また、AC陣(Chief Adjudicator, Deputy Chief Adjudicator)等モーションの意味を聞きに行くこともできます。

4. 思考方法を意識的に切り替える
TBH思考法は、それぞれに得手不得手があります。(意外と知られていないかもですが。)したがって、チームとして普段行うプレパでない形で考えるのも時には重要です。例えば、ボトムアップ型のディベーターの場合、具体的なキーワードを知らない場合パニックになってしまうことがあります。その場合は「抽象的に考えると、これは結局政府がどの程度介入するのかって話かもしれない」「ある種、経済対環境の対立なのでは?のように、1st Principleから考える、などが有効になるかもしれません。議題によっては、片方のチームはよく分かる場合もあるので、Horizontalに切り替えることも有効です。
(思考法に関しては、概要としてのこの記事や身に着ける方法としてのこの記事などが参考になります)

5. 完璧を捨てる
最後に、1でも少し触れましたが、ディベートは相対的に上回れれば勝ちです。また、毎回自分の最高得点の更新を狙う必要もありません。私もジェミニのときは、分からないモーションが出たとき、Matter 4点 Manner 5点(今でいう、65-85点の間であれば、67点とかに相当)で辛勝したこともあります。2nd Speakerが話す3rd Argumentがないこともあります。(あるMDO EFL Championのチームは、何度か3rd Argumentが無い状態に陥ったようです。笑)普段と違うパフォーマンスではあるものの、Harm Minimizationを行う、のがテクニックです。

6. ラウンド外で、冷静になってPDCAを回す
試合が終わった後、「なんでこうなってしまったのか」という反省を基に、PDCAサイクルを回すことが重要になります。例えば単純な苦手分野の場合はそのリサーチということになるかもしれませんし。即興型ディベートは多くの議題に触れないといけないことから、議題の選び方から工夫したほうがいいかもしれません。(詳しくはこの記事参照。)

2019年5月3日金曜日

"戦場"としたいイシュー、選んでいますか?

令和になりましたね。皆さんいかがお過ごしでしょうか。

今日はディベートの戦略のヒントとなることに関してお話したいと思います。

突然ですが、皆さんは「"戦場"としたいイシュー」を選んでいますか?
それとも、取り急ぎ思いついた幾つかのイシューやアーギュメントを出していますか?
(※ イシューは、取り急ぎ相手から反論もされる"観点"、"Clash point"と同義だと思っていただいて構いません。)

最初のうちは思いついたイシューでの「ごり押し」でも勝てるのですが(何を隠そう私もそのタイプのディベーターです…)上手い相手になると、どのイシューを選ぶのか、所謂「イシュー・セレクション」が重要になります。(TBH思考法でいうHorizontalの話かもしれません。)

1. なぜ"戦場"としたいイシューが重要か?

少し話を抽象化して、「勝てる土俵を選ぶ」という表現はご存知でしょうか?自分に有利となるような分野であったり、テーマであったり、"モノサシ"であったり、色々あるかと思いますが、どこで戦うかが重要だということを表しています。

ディベートの各議題において、Gov/Oppが公平だということは、つまりは「Gov、Oppどちらにとっても有利な土俵が存在している」という意味でもあります。

より卑近な話で言うと、かなり相手から反論"されづらい"、とても強いイシューがあり得ます。説明責任も軽く、直観的(Intuitive)な話が多いかと思います。
例えば、THW mandate organ donations after death.というようなモーションで、Governmentで臓器不足が一定解消され、命が助かることはOppositionとしては戦えはしますがなかなか反論しづらいでしょうし、THW ban cosmetic surgeryのOppositionで、奇麗になれる、嬉しい、というような話も強いかと思います。

もちろん、それぞれそのような強いIssueへの対応策は諸々考えるのですが、「勝てる土俵」(≒戦場としたいイシュー)かというとそうではなく、「不利な土俵」(≒戦場とはしたくないイシュー)であることは間違いありません。

必死にミクロな反論を4-5個うったところで、「弱められてはいたが、残った」(≒mitigatoryだった)と評されることが多いかと思います。結局Closeになっても勝てない、というのはこれが原因だったりします。

2. "戦場"としたいイシューはどのように見つけるか?

では、どのようにして戦場としたいイシューを見つけるのでしょうか?

第1に、自分として"戦場"としたい基準を幾つか持っておくことが重要となります。これは、前述したような、説明責任の軽さや、直観的か否かということが基準になり得ます。Moral High Groundをとれるか(≒聞こえの良い話ができるか)、というようなものも直観的の一要素かもしれませんがあるでしょう。場合によっては、自分が知識的に知っている分野であったり、自分の信条とフィットしており話しやすい、というようなこともあるかもしれません。いずれにしろ、まずは議論単体であったり、あなたの強みと照らし合わせて考える部分が存在します。

第2に、相手に「反論されづらい」かどうかを見る必要があるかと思います。ここでは、自分の話に対して相手がどのように反論してくるか、何度か行ったり来たりすることがオススメです。どのような角度から来ても、そこそこ残りそうな話であればそれを"戦場"として相違ないということかもしれません。

第3に、あくまでこれは「相対論」となるので、他のイシューと簡単にでも良いのでスキミングできると良いです。つまり、複数イシューがあり得る場合はその中でもどれが強くなりそうか、という比較になり得ますし、相手が出してきそうな最も強いイシューと同じなのか、そうでないのか等も勘案できるとベストです。

3. どのように自分の"戦場"に持ち込むか?

ここまでくると、どの戦場で戦うかは分かったので、次は実際にその戦場に持ち込む必要性が出てきます。ここはある程度ケースバイケースではあるものの、例えば下記のような戦術が考えられます。

(a) その"戦場"に時間をかける
分かりやすい話かもしれませんが、1st Speakerの最初のArgumentから含め、スピーチのエアタイムを増やすことは一つできることかと思います。ジャッジとしても無視しづらいので。そして単に同じことを繰り返すのではなく、ロジック、例等可能な限り強めます。これをある種"squeeze the argument", "leverage the argument"というような表現を海外勢はしています。最大限活用するということかと思います。
(なお、ただし、結局のところArgumentは量×質なので、質があまりにも悪いとジャッジとしても判断してくれませんが…。)

(b) その"戦場"がなぜ大事か説明する
"This debate is about..."というようなフレーミングが一時期流行していましたが、このイメージです。なぜ話しているIssueが最も重要なのかを明示的に説明することが一手となります。結局はこのtradeoffが普通だよね、というSpirit of the Motionや、Core Issueに近いことを示すことであったり、相手の話を踏まえて"このイシューが最も重要だよね"ということを明示的/暗黙的なコンセンサスだとしてしまうパターン等諸々あります。

(c) 相手の"戦場"が関係ない/重要ではないと言いに行く
なぜ相手の話が重要ではないか、ということを示しに行くことも一つの戦術となります。明らかに関係ないよね、インパクト小さいよね、Exclusiveじゃないよね、Set-upと関係ない話をしているよね、等色々あるかと思います。

4. どのように"戦場"選びを型化していくか?

これらを一過性の取り組みとしないためには、幾つかの方法論があります。

・プレパの一つの問いにしてしまう(例えば、以前プレパ・シートについて書いたかと思いますが、ポイントとなるのは思考を走らせるための問いなので、そこに入れるのが良いかと。)
・"戦場"の基準を精緻化していく (2.の話ですね。これは、例えばうまいディベーターがどのようなイシューを最初に選んでいるのか、ジャッジがどのようなイシューでVoteを決めたのか、というようなところから考えるのも一手となります)
・大きな対立軸(≒Cookie Cutter)とセットで覚える (こちらの記事でも書きましたが、「大きな対立軸」っていくつかあります。結局はトレードオフがある程度ディベートは不可避なので、例えばRetribution vs Rehabilitation、Economy vs Environment等、幾つかのパターン認識を持つというのも効率的です)
・"戦場"選びに失敗したパターンのストック (akもよくやるのですが、なぜ失敗したのかを深堀りします。自分のバイアスが入りすぎた、相手に細かく対応しすぎた、等幾つかの恥ずかしい失敗事由にたどり着きます…)


いかがでしたでしょうか。ぜひ"戦場"としたいイシューを正しく選んでくださいね!

ーーー
主要記事まとめはこちら

2019年3月28日木曜日

3 Motions、どうやって選んでいますか?

Asianの醍醐味の一つでもある3 Motion。どうやって選んでいますか?というとなかなか答えられない人もいらっしゃいます。

ここでは、ak流のポイントを幾つかご紹介します。

① 3つの順番ではなく、まずはVetoを決める

もちろん、1, 2, 3を付けるのが最終的には大事なのですが、その中でも1, 2をどちらにするかという論点よりも、「どれをVetoするか(≒3にするか)」という論点のほうが重要です。つまり、自サイドにとって一番難しそうなモーションを選びぬくのです。

したがって、最初に3人で話し合う時は、どれをVetoするかをまずは話しましょう。

例を一つ出すと、下記のような状況になったとしましょう。

モーション Xさん Yさん Zさん
  A    1   1   1
  B    2   3   3
  C    3   2   2

この場合、Aは行うということなのでしょうが、BとCのどちらをVetoするのか?という点を最重視して議論すすことになります。この場合Xさん例えばCをVetoする理由を話し、Yさん、ZさんがBをVetoする理由を説明し、その比較を行うことになるかと思います。

② Vetoの"基準"をチームで共有する

Vetoがなかなか決まらないときにありがちなのは、Vetoの基準がチームとして存在しないことに起因することがよくあります。(もちろん、そもそもモーションがチームで見たときに悩ましい、のようなケースもありますが)巷でよく使われる基準としては下記のようなものが多いかと思います。

- 自サイドの分かりやすい、強い話が最後まで立つか?
- 相手サイドの分かりやすい、強い話にカウンターできるか?
- バーデンが重くないか?(all、neverのような場合は要注意。またモーションの性質上、分かりやすいか)
- Strategic Stance(model, counter-plan)によって大きく不利にならないか?もしくは有利にできないか?
- 自分たちが話しやすいか?(スタイルとして慣れている話、知識面でよく知っている話)

結局のところ、これらを総合してakは「勝ち筋が見えるか?」という観点を最重視しています。3行くらいでReason for decisionを説明できそうな試合展開ができそうか、というところですね。

このように基準を言語化しておけると、ブレイクラウンドなどあわただしい時にも慌てずに、基本に忠実に決めることができることが多いです。

③ 本当に困ったときの意思決定方法を決める

とはいえ、悩むことはあるかと思います。そうした際の決め方も事前に決めておくと納得感が高まりやすいです。

学生で現役だった頃からよく使っている基準は「リーダーが話しやすいか」です。結局のところリーダーでがん立ちさせる、ことが勝ちへの第一歩だからです。リーダーが自信がないと、後手に回ってしまいますし、プレパ中もMatterの共有で大きく時間を使ってしまうことにもなりかねない、という側面もあります。

他にも使ったことがあるのは、多数決です。これも分かりやすいですね。また、だれか意思決定者を置くというパターンもあります。これは賛否が分かれるかもしれませんが、「負けたら先輩のせい」マインドの重要性は以前「後輩と組む時に ~akが考えていたこと、やってもらえて嬉しかったこと~」でも書いた通りですが、あえてakが責任をとるというパターンもありました。何かあったら「僕がvetoをしくったから」ということも言えますし。また、思わぬ副産物として、「絶対に逃げられない」状態になるために必死に考えるようになるというメリットも実はあります。

④ ベストは1分半で意思決定する、という水準感で無駄をそぎ落とす

日本だと5分かけることが当たり前だという状況かと思いますが、UADCに2回、Australsに1回選手として行った経験から、中堅~強豪チームは1分半程で(場合によってはより早く)決めてきます。その時に衝撃を受けた覚えがありました。

「なんとなくの5分」の上限に甘えていたかもな、とその時思い、それ以降プレパ練では1分半で決めれるような目標として行っていました。

実は、①~③を念頭に何度かチームで合わせておくと、ディスカッションを効率的に行う仕掛けをセットにすれば十分に実現可能な水準です。「なんで1分半でできなかったんだろう?」と考えると、無駄が色々見えてきます。

例えば、細かい話でいうと、akはそのために、モーションを紙に書かないで考える癖をつけました。(書いている間に1分くらい立ってしまうことを経験したので、明確に問題だったなと思い。)

akがコーチした事例だと、他にも実はダラダラ話してしまっていた、すぐ確認したほうがよかったwordingを議論しなかった、gov/oppをしっかり確認していなかった、などよくありがちなミス・無駄に気づくというパターンなどもありました。


以上、3 Motionsの選び方に関するポストでした。

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主要記事まとめはこちら
3 motionsを選んだあとのプレパなどに関しては、「プレパ・シート」のシリーズなどがおすすめです。

2019年2月24日日曜日

Point of Information (POI)の4類型

Point of Information (POI)は即興型ディベートの醍醐味ともされています。競技ディベートの観点では、勝敗を分けえる理由にもなります。(例えば、私はある大会の決勝でPOIのやり取りの関係で優勝を逃したこともあります…)

一方で、POIに関するフィードバックはコミュニティとして少ないかと思います。この前のTitech Cupであるジャッジの方にPOIの話を(おそらく10年目で初めて)され、そういえばPOIに関して体系的に考えたことはあまりなかったな、と思い記事にしてみようと思いました。

私はPOIは4類型あると思っています。下記の4点です。
1. Clarification (確認)
2. Reminding/Hinting your argument (議論の提示)
3. Failure(相手の議論の欠点の指摘)
4. New rebuttals(新しい反論)

ak的には、幾つかのポイントがあるかと思います。

1. 4類型を引き出しとして具備せよ
POIは例えばこの4類型あるんだな、と自覚しておくことにより戦略の幅が広がります。つまり、「今はこのPOIのほうが有効だな」と言う風にケースバイケースで判断することにもつながりますし、場合によっては自分のPOIが偏っていることに気づくこともあります。まずは、自分として4つとも使いこなせるようになっておくという意識からスタートしましょう。

2. Clarificationは、最低限にすることが原則(他の3類型を基本は優先)
ただ単純な聞き逃しへの対応としてのClarification(これも定義に入りますか?等)はしっかりチームとして聞きましょう、ということに尽きるので割けるようにしましょう。どちらかというと、例えば定義が広くなり得る場合に確認し自サイドの議論を立たせようとするための確認であったり、Stanceをとらせることによって相手のケースの一貫性をつく/相手の説明責任を増やす、のような戦略的な面を除いてあまり有効ではない気がします。行うとしても1st Speaker相手かと思います。

例えば古い例で恐縮ですが、WUDC 2010 QFのTHW ban procedures that alters racial appearance.というようなモーションで、OGに対してCOはHow is this different from gender reassignment surgery?のようなPOIをしていたかと思います。これはOGが他のProcedureとの差分を説明することをある種強いているかと思います。ただ、BPという性質上、あまり議論を出しすぎるとOOに取られてしまうというなか行っているPOIだということに留意は必要です。

3. 自分が直接的に反論できないときはNew Rebuttalsを使え
AsianであればOWが新しい議論を出してきたとき、BPであればOpeningがClosingに対してであれば④のNew Rebuttalsが有効になり得ます。

特にBPであれば、直近のChina BP 2018のSFで、あるチームがOOで、CGと競っている際に、COがCGのコアとなる議論に反論していませんでした。その際GWに対してOOが直截的に反論し、それに対して対応できなかったCGを落とす理由になるなと思いながら見ていたところ、世界大会のDCAも含む他のジャッジも重くとっており、OOが上になりました。

直近のAsianのシーズンにおいても、OWで一気に議論を出される際に競っている場合はひっくり返し得る大きなファクターとなるのでぜひ活用しましょう。

4. これらの4類型は組み合わせも可能
必ずしもすべてのPOIがこの4つのどれか、というわけではなく、重なる部分もあります。便宜上分けていますが、例えばComparison的なPOIだと②と④が混ざるかと思います。具体的には、We told you the argument of X, how is this more important than Y in terms of utility?のようなPOIであれば、反論しながら自分の議論を押していることにもなるかと思います。

また、自分がすでにはなしたArgumentに対して反論が来ており、それに対する再反論で例を一つ入れ込む(直近ですと、Macau Tournament of Champions 2018のOGのImranがCOに対して行っていたような、他の国の例が当てはまらないというような反論)は、④にあたりつつも、②にも一部あたるようなものとしても捉えられるかもしれません。


以上、なかなか学ばないPOIに関するエントリーでした。

2019年1月7日月曜日

ディベート関連のお勧め資料一覧(暫定版)

2019年もどうぞよろしくお願いします!
以前Do not reinvent the wheel!という話をしましたが、では具体的にどういう資料をお勧めしているのかという話をさせてください。

(皆様の情報提供に応じて適宜アップデートしますので、お勧めの資料があればご教示ください!)

【日本語】

JPDU Resources
有名ディベーターの資料がたくさんあります。1年生の時にその時ネットにあがっていたものは全部読みました。もちろん、今の文脈では少し古くなってしまっているものもありますが、示唆に富みます。例えば、以前も、もし初心者が5日後に大会に出ないといけないとしたら、という記事でご紹介しましたがこちらのページにある奥田さんのPrinciple等は素晴らしいです。インテリジェンスに裏付けられておりかつ実践的です。
また、こちらのBPの資料は実は世界トップクラスのコーチであるローガン、シャーミラ等がレクチャーしていたADIの資料なので初心者向けではありつつも本質的な内容になっています。

Asian Bridge関連の資料
1年生のAsian入門の大会では、毎年教えることもお上手な方がお話されています。例えば2013年の分はこちらにありますが、例えば2018年はUTの栗田さんの戦略や、WADの藤田さんのArgumentに関するレクチャー資料はとても示唆に富みます。どちらも理論と具体例のバランスが素晴らしく、さすが1時代を築いたディベーター達ですね。(他の資料はFacebook Page等に上がっているかと思います)

去年の西日本のBP Noviceでは、色々な方々がディベートの練習方法などに関して書かれています。例えば、田中さん(仮)の「復習」という内容は骨太ですし、お勧めです。いかにしてPDCAサイクルを回すかということが具体論で書かれています。また、歴史的に見ても関西で殿堂入りするであろうディベーターである鍋島さんの練習方法に関する記事は、ぜひ地方大学/EFL/伸び悩んだディベーターには読んで欲しいです。

各種団体/大学ブログの記事
様々なブログで名記事があります。例えば、JPDUブログでは、圧倒的な分かりやすさを武器に独自のスタイルを築き現在はHPDUでもチーフコーチを務めている小野さんはAsianの在り方を一つ提示しています。他にも各大学のブログでは、色々な記事があります。

少し古いですが、有志によるブログです。色々な人が書いているのでオススメです。お好きな記事を検索していただければと思いますが、「純ジャパ」としての戦い方、各種大会のモーション解説、経済入門、Whipのやり方等色々あります。全般的に示唆に富みます。

後白 翼(WAD)さんの「debate音源入門
多くの人が聞いている有名音源をビジュアルにもきれいなパワーポイントでまとめつつ、音源の使い方までしっかりと踏み込んでいる良い資料です。特に1-2年生にはまず勧めたいですね。

田村 光さん(KDS)さんの「How to judge BP rounds
実力は既にご説明する必要はないですが、理論化に関して個人的に歴史的に見てもピカ一だと思う田村さんのジャッジのAll-In-Oneの記事です。ステップバイステップで相当に丁寧に書かれているので、少しBPをやりはじめたら読んで欲しいです。

yowainuさんの「弱者の遠吠え
「ディベート留学」「EFL」「地方大学」がキーワードのブログ。動画の解説では有名音源を取り上げていたり、ヨーロッパの名門校・Leidenでのディベート留学での軌跡等も読みごたえがあります。

その他各種個人ブログ
一つ一つご紹介しようと思いましたが、弁論ブログでディベートブログで良記事がありましたのでそちらをご参照ください。(なお、弁論同好会さんは視点が素晴らしく、毎回更新を楽しみにしています)

その他国内のディベートレクチャー
弁論同好会さんがまとめられているこちらのプレイリストがとても良いです。上記でもご紹介しているAsian Bridge以外にも、Asian Okahashi、Gemini等多くの練習会の動画があり、必見です。

【英語】

MonashのDebate Handbook
言わずと知れたオーストラリアの強豪校のMonash大学が出している資料です。First Principleがコンパクトに美しくまとまっています。少し長いですが、ぜひ何度も読み返してほしい内容です。また、MonashのTraining Videoもいいですね。(過去に全部分担してノートをつくる、とかやりました)

EUDC Training Center
最近特に動画を見ているのはこれですね。ディベートのスキル×知識両面で、世界のトップディベーターの分かりやすい動画が多いです。
例えば、最近観てよかったのと思うのはSeven argumentation mistakes to avoid, with Olivia Sundbergですとか、Case strategy and construction, with Ashish Kumarとか。結構全部タメになります。最近のトレンドもわかりますし。

WUDC Mexico Training
2つ前の世界大会のトレーニング資料です。特に一つ目の動画のMDGのFramingの話はシンプルかつ具体的に今のArgumentの在り方を示しているかと思います。また、余裕があればジャッジのマニュアルも読んでみるといいと思います

Alfred SniderのVideo
ディベートの巨匠のディベート動画です。(ホームページの方は動画が残念ながら消えてしまっています…)オックスフォードのリディアン・モーガンのレクチャー等含め、今見返しても面白い動画が多いです。

LoganのVideo
二回も世界大会でCAを行っているアジアのスーパーディベーター・ローガンの動画です。このWhipとReplyに関する動画だとか、具体のモーションのブレストの内容(例はこちら)などもとてもタメになります。

その他個人の動画
・世界チャンピオンであるWill Jonesのディベートレクチャーはこちら
・世界最強豪のSydney大学で、世界チャンピオンであるChris Croke、Steve Hindのレクチャーはこちら