2014年1月29日水曜日

Triple A (2) 発展

この記事は、Triple A (1) 基本 の続編にあたります。

Triple Aという型を前回説明しました。これに関していくつか論点を話しておきたいと思います。

Abstractionについて
前回話したとおり、Abstractionは「抽象論」とはいえ、具体性がかなり必要です。
そして、「論」である必要があるため、単純に「こうだよねー」だけではなくて、その基準を正当化することが必要でしょう。
よく、fairness is important!とかで終わるのですが、「どういうfairnessを守っていて」「そのfairnessがなぜ大事なのか」という話が合理的には説明される必要性があるでしょう。
(どこまで説明するかは、一般的にジャッジが分かる程度、というあいまいな表現になってしまうのですが。)

そして、ここは当たり前ですが、Abstractionは相手との関係性で規定されます。
non-contentiousなprincipleってまじ意味ないと思うんですよね、個人的に。一瞬でoppにI agreeと言われてしまうので。このあたりは、Principleというより、Stance/Caseの話になってしまうので省略しますが、要はStanceがAbstractionと整合性がないとだめだよねという話です。

Analogyについて
Analogyに関しては、近いAnalogyであればあるほど良いと思います。
例えば、tobaccoのbodily autonomyの時に、alcoholという例のほうが、junk foodより近くて感覚的に受け入れやすいでしょう。
一時期はやったcoal minerは、やっぱり遠いような気もしますしね。

また、ここではAbstractionとの関連性において「線引き」の議論になることもあるでしょう。例えばcocaineとかと何が違うの、とか。上の「相手との関係性で規定される」ってところを踏まえると、Govは、alcoholとの違いに言及するなど、柔軟な対応が求められるでしょう。

Applicabilityについて
Applicabilityは、「なぜ今回あてはまるのか」という話なので、特にこれ以上はありません。
Practicalの話とほぼつながると思うので、変にPrinciple/Practicalと分けずに考えるほうが合理的であることもあるということにとどめておきます。


最後に、2点ほど補足してTriple Aの記事を終わりにしたいと思います。

(1) なぜこの型に至ったのか?
これは、僕がKoc WUDCに行った時の感想でした。WUDCでブレイクラウンドをみていると、どんな人もExampleをPrincipleにつけていて、すごく説得的だなと思ったからです。
抽象的なPrincipleを具体化していく工程こそが、Analogy/Applicabilityだったと思い、今後日本のディベーターが海外で活躍するにはこれなんじゃないかなあと思いました。

あと、もう一つ付け加えておくと海外だとExampleを「分かって」くれる人が多いというのもありました。つまり丁寧な説明をしなくても「あそこのあれ」というだけで「あーあれね」という共通言語があるというところです。これはWUDCでAverage Intelligent Voter, Informed Global Citizenというような言い方をされるようなところからも、ジャッジの知的水準は比較的高めに設定されているのでしょう。

(2) この型の問題点とは?
これは別にこの型だけに関わる話ではないのですが、型があると「その型に当てはまってないから・・・」というジャッジング/スピーチ構成につながっていく悪循環があると思っています。
分かりやすいのはSQ/AP/Impactの型で、「SQがなくて・・・」とか「Impactが分からなくて・・・」というのは確かに説得力を欠く要因になることもあるとは思いますが、必ずしもマストではありません。

あくまで目的はジャッジを説得することで、そのプロセスにTriple Aなり、SQAPImpactがなくても、分かればいいですし、分からなければ問題というところに落ちるしょう。


2014年1月26日日曜日

Triple A (1) 基本

Triple Aについて、今更ながら解説しておこうと思います。
基本的に、1年生に最初に教える時としてのTriple Aの話です。
今度、Triple Aの「発展」という続編も書こうと思います。

Triple Aとは
Abstraction 抽象論 (どういう価値を守ろうとしていて、それがなぜ大事か)
Analogy 類似例 (似たような例は何か?)
Applicability 適応性 (なぜ今回にも当てはまるのか?)

の3つのAではじまるものの頭文字をとった、プリンシプルの型です。

例えばですが、ban tobaccoのoppで"free choice"のプリンシプルを立てる時はどのように考えるのか説明しようと思います。

Abstraction
まず、抽象論でそもそもなぜ「そもそも自由が認められるのか」という話をすると思います。
ここで大事なのは"Abstraction"とは言え、抽象的すぎたらだめということです。
この場合、具体的に守るのは「身体の自由権」(bodily autonomy)であるはずです。
特に、「自分の体を傷つけてまでも幸せを追求する権利」と言えると思います。

なぜ、そのような権利があるのでしょうか?
それは、「自分の体は自分がownしているから」という話であったり、「自分の幸せは自分のことが一番分かっているから」という話になるでしょう。

Analogy
そして、その抽象論を支える上で類似例が大事になってきます。
特にPrincipleって自由権ならまだしも、"importance of preservation of culture"だとか"representation as a part of democracy"等抽象的な話になりやすいため、それをぐっと分かりやすくするための機能を果たします。

例えば今回の場合は、他に自分の体を傷つけている自由っていうのはどういうのが認められているのでしょうか?
consumption of junk food, drinking alcohol等が例として思いつくのではないでしょうか。
このような例も、「自分の体を傷つけていても幸せを追求している例である」と説明することになります。

Applicability
そして、最後になぜ今回のモーションにも当てはまるのか、という話になります。
つまり、
・飲酒と喫煙はなぜ同じようなものなのでしょうか?
・そして今回はどういった幸せを守ろうとしているのでしょうか?

前者に関しては、Analogyのところでも多少説明しているでしょう。成年になれば、ストレスの発散などにおける幸福追求という形になるかと。
後者に関しては、タバコのユニークネスのイラストになるかと思います。
例えば、さっと吸えるという話だとか、タバコの煙が体の中を通っていくだとか、そういった話になるかもしれません。

これが、Triple Aの基本になるかと思います。
いくつか、留意点だけ述べていくと

・必ずしもAnalogyはなくても大丈夫です。場合によってはない場合もあるので。新しいPrincipleをつくるのであればなおさらです。

・繰り返しになりますが、具体的に話しましょう。"free choice"とかって何でもあてはまりますし。

・Abstraction, Analogy, Applicabilityは必ずしもこの順番で説明する必要はありません。AREAと異なり、しっかりと3つの間の峻別はつけにくいと思いますし。この要素があると説得的になるのでは?という考えに基づいてつくられています。

いかがでしたでしょうか?今ではきっと他の色々な解釈もあると思いますが、Triple Aの基本はこのようなところになるかと思います。


追記:1/29に続編をUPしました。 Triple A (2) 発展 

2014年1月24日金曜日

個性的なスピーチがしたい!というあなたへ

トップディベーター層だと、それぞれスピーチの個性があるように思えます。

(ここから自己満タイムになってしまうのですがご了承ください)
例えば、Sheng Wuは、スピーチにメリハリがある感じですね。本当に感情がのっているという印象。
Will Jonesは、マクロとミクロ、ロジックと感情のバランスが絶妙。
Chris Crokeは、あの洗練された細かさ。

まあ、挙げていればいくらでもありますね。


最近僕がよくみるのは、その時に流行っているディベーターの真似をするディベーターが多いなという印象です。
しかも、全体的にぱくってるんですよね。笑
いやはや、という感じなのですが。
まあ、もちろん僕も結構色々な人をぱくりながらスピーチを作っているので決して悪いことではないと思います。


しかし、重要なのは
【あなたの強みは何なのか?】
そして、それをベースに
【あなたはどういうスピーチを目指していくべきなのか?】

という思考だと思います。

例えば、雑ですが細かくない人がいきなり細かさをすごく目指しに行こうというのはなかなか難しかったりします。
イラストが得意じゃない人がイラスト中心のスピーカーを真似しまくっても非効率的でしょう。

みんながみんなWill Jonesになれるわけじゃないんです。それは彼の性格や過去に積み上げたものが、あなたとは違うからです。僕は例えばVictorみたいなスピーチはもうとっくの昔に諦めました。だってあんな爽やかなスピーチできないですもん。

そして、上手い人と同じスピーチをやっても勝てないんですね。
そりゃそうです。コピーは本体を倒せないんですから。
なので、新しい価値を提供しないと、勝てないんです。


あなたは何かしらのディベートにおける強みがあるはずです。それはスピーチに直接的に出てこなくても、例えばアイディアがでやすいとか、反論が思いつくとか、何か必ずあるはずです。

そういう強みを考えた上で、それを生かすスピーチスタイルとは何か、というのを考えていくのがベストでしょう。


一応なのですが、これは「弱みを克服しなくてよい」というメッセージではありません。上手いディベーターは、なんでもできます。ロールも、ロジックとイラストのバランスも、マクロもミクロも。その中で、どこを強みとするかだと思います。


でも、自分は最初強みなんかない・・・!っていう人も多いと思います。
そういうときは、「守破離」という考え方を参考にして欲しいと思います。
「守破離」という考え方は、歌舞伎とか茶道の考え方なのですが、「まずは型を守って、自分なりに破って、そして離れていく」というものです。

最初はAREAでも、上手い人のスピーチでもなんでもいいんですが、型を守ってみてください。
そして、そのプロセスの中で自分の強みを見つけて、それを破って、
自分なりの新しい「型」をつくっていくという意識を持ってください。

僕のメッセージとはいうと、とりあえずまねするのはやめましょう。
ただ、一回「守る」意味でまねするのは良いと思います。
ですが、究極的な目的は、「あなたの強みを生かしたスピーチをつくること」です。
「守破離」、ちょっとやってみませんか?

2014年1月15日水曜日

失敗した後に立ち上がること

"Our greatest glory is not in never failing, but in rising up every time we fail." -Ralph Waldo Emerson 

偉大な栄光とは失敗しないことではない。失敗するたびに立ち上がることにある。
 

いい言葉ですね。ディベートにかなり通じるところがあると思います。
ディベートは特に最初の伸びが実感できる競技なので(AREA, Triple A等)最初は成功しやすいです。ですが、その後に待っているのは失敗であることが多いでしょう。

評価されない。
勝てない。
上手くなっている実感がない。
何をやっても空回りする。

そういう時期ってありますよね。特に、1年生だと一回この時期あたりで悩むと思います。

気持ちは痛いほど分かります。ディベートをずっとやり続けようと思っていた人なんてほんの一握りだと思います。僕も、今まで2回ほどディベートをやめることを真剣に考えたことがあります。あの有名なローガンですらディベートをやめることを真剣に考えたらしいです。個人的には信じられませんでしたが、本当らしいです。

でも、もう少し頑張ってみると、ディベートの楽しさがみえてくることも多々あります。
ディベートの成長は急に来ます。ちょっとしたきっかけで一気に世界が開けてきます。


個人的には、人にもよるので全員に共通するアドバイスはできないのですが、「必ず成長する時はくるということを信じること」、それから「普段と違った工夫をしてみる」ことが大事だと思っています。


まず前者の「必ず成長する時はくる」というのは、経験則に人の成長スピードは違いますが、必ず見えないところで伸びているということです。実は、見えていないところで成長していたりします。他の人からみてみると伸びていたりもします。

久しぶりにみてもらったジャッジの方に「上手くなったね」と言われると嬉しいですよね。実は毎日0.1cmずつ成長していても分かりませんよね?それは、積み重なって10cm位伸びると、周りからわかってきてくれます。

きちんとした努力をしたら下手になることはありません。「目に見える成長」と「目に見えない成長」があるだけです。

後者の「普段と違った工夫をしてみる」というのは、特定の練習方法や姿勢だと実は効率的でないことがあるからです。

例えば、僕は2年の時に先輩の田中さんに「ジャッジをしろ」と言われました。最初は正直ラウンドをやりたい時期でしたししぶしぶやっていたのですが、そこで見えてきたのはラウンドを客観的にみる力だったり、自分のスピーチを相対化する機会だったと思います。最近は若い頃からジャッジをする機会が増えているのが、ディベート界全体のレベルの底上げにつながっているのかもしれません。(ちなみに余談ですが、初代銀杏杯のジャッジの主体が2年生なのはこういった意図もあったりします。)


最後に、もうひとつ最近ツイッターで流れてきた画像を紹介したいと思います。
「諦めるというのはこういうことだ」ということらしいです。

ディベートはつらいことがたくさんある競技だと思います。負けたらつらいし、それが如実にでるわけです。すぐ結果がでづらい、すなわち「目に見える成長」が少ない競技でもあると思います。でも、そこで立ち上がると、別の世界が見えてくるはずです。もしよければ、もうちょっとだけ、頑張ってみてください。




2014年1月14日火曜日

僕がブログをやる理由をちょっと語らせてください


僕はなんでブログをやっているのでしょうか。実は恥ずかしながらうまく言語化できないのですが、根底ではこんなことを考えています。


今ディベート界に足りないことって何なのでしょうか?さらに良くするにはどういう工夫ができるのでしょうか?



おそらくこの問いを考える上で、日本のディベート界の特性と、目指すべきビジョンを明確にする必要があると思います。

間違いなく日本の特性は、大会が多いということでしょう。韓国だと大きな大会自体は年に数回だといいます。これはプラスにとらえると、成長・交流の機会が多いということ、マイナスにとらえると大会の飽和状態が起きていること、と捉えなおすことができます。まあ、他にも色々ありますが、他には大きなところだと社会による認知があまりされていない、人口数が少ないなども挙げられるかおしれません。

日本ディベート界が目指すべきビジョン等は、ひとまずJPDUを参考にしてみましょう。


JPDUは日本のパーラメンタリーディベート団体の増加、国際大会への参加者の増加という現状を踏まえ、ディベーターの意思疎通を図り、共通の見解を生み出せるようなNational Debate Bodyとして以下の目的を持ち、国内外にて様々な事務処理や意思決定を行っています。
第2条 目的
本組織の目的は以下の3つとする。
(1) 国内機関としての国際大会に関する情報提供、準備、及び意思決定
(2) 国内のパーラメンタリーディベート活動における参加者および関係者のネットワークの構築
(3) 情報提供、イベント開催、及び教育活動を通じてのパーラメンタリーディベート活動の普及と向上

(JPDU公式サイトより)

これは言い換えると、「海外ディベート界」「国内ディベート界」「ディベート界外」をベースに整理していると言えます。

そう考えると、3つの基準のうちどれかを満たしていると合理的なのでしょう。おそらく(3)も色々工夫ができるでしょうが、感覚的に(1)(2)の方が先にできそうでしょう。

色々な答えがあると思いますが僕は多くの人がコミュニティに関われるような環境にすること、国内でディベーター・ジャッジとして成長の機会が提供できる環境にすることだと思います。

具体的には、地域ベース、ジェンダーベース、大学ベース、年齢ベースで多くの人が携わっていればいるほど良いと思っています。そう考えると、大会に多くの人が参加できるようにするにはどうすれば良いかという問いへとうつります。
僕はこういった考えに基づいて、前にも書きましたが大会における透明性の確保地域援助ACにおけるダイバーシティにより多くの人の参加ができるシステムが必要だと思っています。


そして、ディベーター・ジャッジへの機会の平等はできるだけ担保されていることが重要であり、大会における成長の機会も存分にあるべきだと思います。

そうした考えがあって、大会におけるジャッジの成長機会の提供等を過去に提唱しています。有志ブログであるMarketplace of Debating Ideasを開設したのもそういった意図があります。


そして、ディベート界に関するディベートがあったほうが良いというのは、おそらく色々なヴィジョンが日本として取れるからだと思っています。僕の考えにも限界がありますし、当然僕なんかよりいいアイディアを持っている人はたくさんいるはずです。

このブログも、少しでもディベート界のためになればなあと思いながらやっている次第です。結果はわかりませんがwww

長くなってしまいましたが、そんな感じです。

2014年1月13日月曜日

Debating Cycle Theory



当たり前に聞こえるかもしれませんが、「練習はラウンドだけではありません」。多くの人は「とりあえずラウンドしよう」と思っています。練習と言えばラウンドで、ひたすらラウンドにラウンドを重ねます。別にラウンドがだめという訳ではありません。しかし、ラウンドだけを練習と考えるのは間違いです。ラウンドだけだとどうしても非効率的で、自分の弱点を必ずしも効果的に克服できるとは限らないからです。


野球の部活だとすれば、ひたすら練習試合だけやるわけではないですよね。試合以外にノックをしたり素振りをしたり色々な練習があるわけです。例えば守備が苦手な人なら、3時間くらいかかる試合をやるよりは、ひたすら守備練習をした方がいいでしょう。


 そこで、僕が提唱しているのはDebating Cycle Theoryです。当たり前のことかもしれませんが、僕は「ラウンド」と「ラウンド外」で起こっていることを一本の連続的な現象としてみています。そして全てをつなげることを意識しながら練習することを心がけています。




 もう少し細分化するここうなりますね。ラウンド前のリサーチや予習・プレパ時間・他の人のスピーチ・あなたのスピーチ・他の人のスピーチ・フィードバック・ラウンド後の復習という連続性によってディベートが成り立っていると理解しています。

 なんでこれは重要なのでしょうか?端的に言うと、こうやって練習しないと効率的じゃないってところにメッセージがあります。例えば僕が「スピ練は行ったラウンドの復習という形で行え」と指示することがよくありますが、これはこのサイクルを意識した発言です。「自分のスピーチ」や「フィードバック」を受けて「何が問題で、どのようにすれば解決できるのか?」と考えて実際に練習するというところに意図があります。

 また、もう少し補足するとただ音源きいたりしても、レジュメを読んだりしてもそれ単体では意味を持たないというところでしょうか 。

 例えば最近注目のブロガー・京大の横山君が書いた記事で、弱者の遠吠え:「レコーダーはディベーターの必需品?」というのがあるのですがこれも別の観点から言うと「音源を聞くこと」をどのように位置づけるかという話にもなると思います。詳しい内容は僕が書いているより深いのでそちらを読んでほしいのですが、僕なりに「音源を聞くこと」を位置づけると、例えば「自分が苦手なエクステンションの位置づけの仕方を探すために聞いてみる」とかになるかもしれません。まあもちろん、音源自体をそれ目的として楽しみながら聞くのもありだと思うのですが、ディベートの能力向上という観点からみると、自分の過去のラウンドや経験と繋げることは必須でしょう。

 ちなみに補足なのですが僕が好きな音源は、その時研究している興味関心や問題意識、もしくは持っている仮説によって変化しています。(Debate Videoに過去に紹介した音源があります)

 例えばWUDC 2010 QFを紹介した時は、Solidな1st Speaker Argumentation/Initial Clashについて考えていました。「出るべき議論が1st speakerから出ていない」「その話もっと早くほしかったね」というのはDynamics批判としてとらえるのではなく、「やるべきことができていない」と言い換えることができます。しかし、何でもいえる訳ではありません。では強いPMの時って(本来出るべき議論が出ている時)どういう感じなのだろうか。また、それに対応するLOというのはどんな感じなのか、というのを考えていました。
 まあもちろん後は細かいことを言えば僕はこのワールズに出ていて何を言っているか分からないけどとりあえずガングロとか言ってる!っていうところから「うおおおおすげええええ」っていうのになって初めて価値が分かったとか、色々個人的な思い入れとかもあります。(笑)

2014年1月11日土曜日

ディベートにおける「MECE」

ディベートとコンサルティングの考え方は非常に親和性が高いのですが、その中でも一つ有用なフレームワークとして「MECE」があります。経済学部の方はマーケティング等の授業でみたことがあるかもしれません。

MECEとは、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの頭文字をとったもので、日本語で言うと「もれなく・だぶりなく」となります。よくサイトとかでみると「男/女」とか「年齢(0-10/10-20/....)」とか「需要/供給」が例としてあげられています。

参考として、このサイトが分かりやすいです。

「なにかの軸を持って、全体を網羅するような切り方ができているか?」というような観点でみると分かりやすいかもしれません。例えば、「経済活動という観点」で切っているのか、「年齢という観点」で切っているのか、等です。


僕はMECEという考え方がかなり好きで、去年の夏セミナーにおいてもレクチャーの一環で取り入れさせて頂きました。余談ですが、部内でもコンサルタントになったOBOG、もしくは内定者・志望者がいることもあってか、だんだん浸透してきています。


これって実は既にディベートにおいても導入されています。例えば、キャラクターを分析する時にincentive/capacityで切っているのはMECEと言えるでしょう。

incentiveはさらに深堀りすると、プラスとマイナスがありえるため、incentive/disincentiveに分けることができます。

他にもPrinciple/Practicalという枠組みも実はMECEと言えるでしょう。実は巷で言われている話って色々MECEだったりします。



MECEというのは現象をもれやだぶりなく分析するツールですが、もれを避けるのは特に重要です。全体感がある説明は納得がまずしやすいです。(ジャッジがすぐ、他の観点を思いつきやすく、説得力が下がってしまうからです。)

また、オープニングでMECEに分析できれば、クロージングを相当困らせることもできるでしょう。
この逆もしかりで、クロージングとしてもオープニングの話がMECEなのかみれれば、そうでないところを一気にがっと伸ばせば良いのです。



そう考えると、MECEの考え方はまだまだ応用可能性があるのではないでしょうか。
アイディアベースで考えるのではなく、「分析の仕方、本当にMECEですか?」と考えると分析が思いつきやすいですし、ジャッジとしてもフィードバックがしやすくなるはずです。一つの手段として是非使ってみてください。

2014年1月7日火曜日

Video: UADC 2013 Main Grand Final



個人的には、DPMのバレリーと、DLOのケルビンが好きです。
バレリーは馬鹿にしながらのフリップが素敵で、ケルビンは落ち着いたマナーとかっこいい3rdが好きです。
ちなみに一票差でgovが勝ちました

2014年1月5日日曜日

7 suggestions to Promote Adjudicator's Learning Opportunity


現状の問題として、ジャッジがフィードバックを受ける機会が少なくジャッジの成長の機会が少ないことがあげられます。
つまり、ディベーターはジャッジからのフィードバックを受けて今後の改善ができる機会が提供されています。
しかし、ジャッジは点数の評価はされるものの、具体的にどのようなことが必要でどのようにすればジャッジの改善ができるか知る機会が少ないのが現状です。

したがって、以下のシステムを提案します。


(1) フィードバックシートの項目具体化+アクセスの担保
現状のフィードバックシステムだと、点数は分かっても何が必要かというのが分かりづらいです。
そこで、項目を細分化してその点数を公開するのはどうでしょうか。
例えば、現状だと1-10もしくは1-5の評価でReason For Decisionの説明の評価をすることが多いですが、

・【全体的だったか?】ラウンドで起こったことを網羅的に理解できていたか?多角的な観点からラウンドをみることができていたか?(ex. Principle/Practical, Role Fulfillment, etc.)
・【比較ができていたか?】差を説明する際、用いた基準は適切だったか?また、基準下で公平に比較できていたか?
・【具体的だったか?】「説明の深さ」など抽象的な説明方法ではなく、具体的にどこをみたか説明できていたか?

のような項目にしてそれをそれぞれ1-10で評価するのはどうでしょうか。
したがって、最終的な点数としては例えば【全体的6】【比較7】【具体4】のようなかんじに出るイメージです。
また、必要に応じてコメントも公開してもいいと思います。
公開の仕方は議論があると思いますが、タブのようにして出すなり、各自の開示に任せるなりできるはずです。集計が面倒くさい場合、フィードバックシートを直接手渡す(Tsukushi 2009)のもありでしょう。

(2) ラウンドとセットでReason for Decisionの動画
現状JPDUは多くのラウンドの動画がUPされています。それにさらに付け加えて、予選ラウンドにおいてReason for Decisionの説明もUPされると、ジャッジの勉強になるはずです。

(3) ブレイクラウンドのReason For Decisionの公開
ブレイクラウンドの結果発表後、ORに近い部屋で10分程度で各ラウンドのチェアーがReason for Decisionを説明するということです。(録画してUPしてもいいですね。)
ジャッジブレイクしたレベルの高いラウンドのDecisionを聞くことができます。
なおこれは、ADI 2011等で行われていました。

(4) ブレイクラウンドのDiscussionの公開
ブレイクラウンドで行われるジャッジ間のディスカッションの限定公開はどうでしょうか。
情報漏えいの可能性等もあるため、みれるジャッジは例えば初日ジャッジとして参加していた人だけや、または録画して後に公開など工夫は必要かもしれません。

(5) AC見解のASAP公表
早い段階で公開されないと、当日の対策ができる期間が限られてしまいます。
したがって、添削との兼ね合い等もあるかと思いますが早めの公開が必要でしょう。
なお、ここで全体の傾向へのフィードバックもあるといいでしょう。(Spring JPDU 2012、Japan BP 2012、Ryoso Cup 2013等で行われています。)

(6) 各ジャッジテストの添削or簡易コメント
各ジャッジテストに簡単にでも良いので添削・コメントがあってはじめて具体的に気をつけるところが分かるはずです。
なお、Gemini Cup 2011、BP Novice 2011、Autumn JPDU 2012、Ryoso Cup 2012等で行われています。

(7) ディスカッションの様子の動画作成
特にBPにおいて課題になっているのでは、どのようにディスカッションを進めるか、どのように参加していくかというところだと思います。
特に時間が少ない時にどのように行うのか、またチェアー・パネルと役割が違う時に何をすればよいのか分からない人もいるといいます。
JPDUが2012年に行おうとしていましたが、改めてディスカッションの様子の動画があると良いかもしれません。その解説もあるとさらに嬉しいでしょう。


なお、主観的なまとめです。
個別性というのは、各ジャッジのニーズにあったものがどれくらい得られるかです。
みて分かるとおり、個別性を高めようとすると、やはり負担は大きくなります。
しかし、運営に携わる人が多ければ、工夫次第でできなくもないはずですので、検討してみる余地はありそうです。


行う時 個別性 参考度 負担の少なさ 総合的実現可能性 モデル
(1)Feedback Sheet項目細分化 予選 Tsukushi 2009
(2)Reason for Decision動画 予選・決勝トーナメント 一部の国際大会(Vienna IV)等
(3)Break RoundのRFD公開 決勝トーナメント ADI
(4)Break RoundのDiscussion公開 決勝トーナメント
(5)AC見解のASAP公表 大会前 多くの国内大会
(6)各ジャッジテストの添削・簡易コメント 大会前 × △+ Gemini 2011, BP Novice 2011等
(7)Discussion動画 大会以外