2019年10月13日日曜日

Kyushu Debate OpenにおけるEquityの取り組み

QDOにおけるEquityの取り組みをご紹介します。

・Equity Policyや、それに限らない大会の質向上の取り組みは不可欠だと思っています。
・QDOのEquityに関する取り組みも完璧ではないと思いますし、今後の改善の余地も多々あるかと思います。
・もちろん可能な限り多くの取り組みが導入されることは望ましいかと思いますが、お読みいただければわかるかと思いますが、すべての大会で全部を行うことは実現可能性上難しいこともあるかと思います。
・何かあれば、akにまでご連絡ください。(akの私見・最終決定が多々あるため、コミやほかのACの責任ではございません)

まずはEquityに関するスライドを共有いたします。



以下、各種取り組みに関してWhat?=何を行ったのか、 How?=ほかの大会で行う際のポイントなどをご共有します。

【1. Equity全般のの予防策】

A. 国際的なEquity Briefingの活用
(What?)HKDO、CBP等NEAで広く活用されており、ヨーロッパ・SEA・オセアニア等幅広い地域のEquity Officerにより運用されているEquity Briefingを採用しました
(How?)既に国内にあるEquity Briefingと大きな差はないと認識しているので、最新版の活用+それのアップデートが良いかと思っています

B. Equity Officerの選び方
(What?)Equity Officerの経験があるand/or運用に詳しい、韓国/中国/日本国籍の方計3名にお願いしました。また、これらとは別にCAP Equity Officerを1名任命し、モーションに関するEquity Violationが起きないように努力いたしました。なお、結果的に3/4名が女性でした。
(How?)上記の条件ですと、Equity Officerを務められる方が限定的になってしまう+その方々に負担が集中してしまうリスクがあるため、母数を増やす、未経験者/経験者のバランスをとる等の工夫は必要だと思っています。(=Best Effortでの対応になることが多いかとおもいます)

C. IA/ACの選び方
(What?)ディベート/ジャッジの実績に加えて、①地域/言語/ジェンダーのダイバーシティ、②過去のEquity Officerの経験の有無(6/7人がEquity Officerを経験)、③SDGsへの過去・将来の貢献可能性に関する記載を勘案して選出致しました。
(How?)国際大会である特性上、特にその候補者が多かったため実現しやすい点はあったことに加え、③はQDOの特性でもあることに留意は必要だと思いました。(=Best Effortでの対応になることが多いかとおもいます)

D. 全参加者のTerms of Conditionsへのサインへのお願い
(What?)WUDC等の国際大会の取り組みを参考に行いました。幾つかの項目がありますが、犯罪行為や反社会的行為があった際に大会から追放させていただく旨も書かれています。
(How?)こちらは、九州大学の法務関連の職員の方とも相談しながら作成したものであり、0から各大会で作成することは難しいかもしれません。もしかしたら、共通テンプレートの作成等が良いかもしれません。

E. Motionの選び方
(What?)Motion Discussionの際に、Is this fair?  Is this interesting? のような問いに加え、Could this be triggering/offensive?という問いも考慮しました。結果的に、少しでもリスクがある場合はTrigger Warningを出す、劣後するなども行いました。
(How?)何をもってOffensive, TriggeringなのかはACの中でも議論が分かれ、絶対的な答えがありませんでした。今回はComplaintがありませんでしたが、もし発生した場合でも、「完璧にすることはできない」ことへの理解を示しつつ、プロセス評価を行うことの重要性も感じました。
なお、テクニックとしてモーションをあえて抽象化する、wordingを一つ一つ練る、のような時間がかかることにはご留意ください。AC未経験者がACとして参画することを躊躇する、のようなリスクもあるのではないかなとやりながら思いました。

【2. Iron Personing/Opt Out】

A. In-Round(予選)におけるIron Personing/Opt Outの運用
(What?)"in cases of medical/deeply personal reasons"において、モーション発表後3分以内にACにご連絡いただければ認めました。
なお、deeply personal reasonsを詮索することはしないことを約束する一方で、単なる好き嫌い等で利用することは行わないようにメッセージを発させていただきました。
具体的なブレイクへの影響等はBriefing資料をご覧ください。
結果的に、Iron Personing/Opt Outは一度も発生しませんでした
(How?)運用のためには、多くのシャドウの方の準備が必要でした。QDOでは、運営の工数が必要で、かつ九州地域で行われる唯一の最大規模の大会であることから、シャドウの人数が限定的になる傾向にありました。
今回は、未経験者の1年生等に頭を下げて行うことにもなる可能性があったほどです…。最大で6人のシャドウを準備しつつ、さらに数名がOpt Outした場合は、10名程の余裕があるかどうかにもよるかと思います。
また、QDOはディベート未経験者の方やオブザーバーの方もいらっしゃり、かつ教室の使用時間も厳しいことから場合によっては混乱も予想されたため、導入に際しては議論がありました。

B. Out-Round(ブレイクラウンド)におけるBack-up Motions/Swing Teamの活用
(What?)予選と同じような状況になった場合は、別モーションを出す準備をしていました。(また、状況によってはSwing Teamによるラウンド)
結果的には、発生しませんでした。
(How?)運用のためには、モーションのバックアップを多く準備しておく必要があります。テーマでの被り等も勘案すると、3-4つ以上のBack Up Motionが必要になるかと思い、ACへの負担はあるかと思います。

【その他Q&A】
Q. AC以外のEquity Officerによるモーションの事前チェックは?
A. こちら、AC内でも議論したのですが、今回は見送りました。その理由としては、①CAP内のEquity Officerを任命することで、そのチェック機能を最大限確保したのと、②参加者が「Equity Officerも大丈夫だと感じている」前提でモーションを見た際に、本当にTriggering/Offensiveの際にOpt Out等をしづらくなるリスクが否めなかったのと、③ACの責任である部分が、Equity Officerに関しても責任範囲が広がってしまう(=Equity Officerの過度な負担のリスク)ことを感じたからです。
ただし、今回の大会ではこのように考えたので、他の大会でもそのようにすべき、という論調ではないことにご留意ください。

2019年10月6日日曜日

【1~2年生向け】大会が終わった後に学びを最大化する方法

今日は梅子杯があるみたいですね。自分が出たのが10年以上前だと思うと驚きですね…。
Twitterなどを見る限り、今年も盛り上がっているようで、行きたかったなぁと思っているakです。

結果が出た人も出なかった人もいるかと思います。梅子に出れなかった人もいると思います。(僕の同期にも何人もいます。)特にESSの方々は、セクションが決まったのが最近ということもあるかと思います。まだディベート人生は長いのもあるので、引き続き応援しています。

さて、大会というのは大体の方々が少なくとも4ラウンドは予選の試合を行い、オープンラウンドが3つはあるので3つのフィードバックは聞いており、4ラウンド目もジャッジに質問しに行っているかと思います。実は、4回もフィードバックを短期間で、かつ別大学の人たちから得られるのはとても貴重なので、学びにつなげてほしいなと思っています。

1. フィードバックをお願いすることは遠慮しなくて大丈夫です!
上の文章を読みながら「あ、4ラウンド目聞けてないや」「予選も実は時間がなくて個人フィードバックを聞けなかった…」等のようなパターンがあるかと思います。
不安がらないでください。そして安心してください、フィードバックはぜひ聞きに行って大丈夫です。
大会会場にいる場合は、その人のところに紙などをもって行くと周りも察してくれます。(談笑で盛り上がっているところでいっても、だいたい気づいてくれる…はずです。)怖かったら相手のチームや先輩等と一緒に行きましょう。また、それでもチャンスを逃してしまったら思い切ってFacebook等のメッセージを送ってみましょう。
私もFacebookでメッセージをもらうことが多かったです。大会後でも数日は覚えていることが多いので、それであればどんどん聞いてしまって大丈夫のはずです。
(なお、更にはakは図々しいので試合を見ていたオーディエンスの他大学の先輩やOBOGの方にも梅子の時に質問しに行っていました。。。今思い返すと丁寧に対応してくださった皆さんに感謝です。また、最近ですとモーションを出すACの人たちに質問するケースも増えているようです。(私も、数か月前、数年前の大会のモーションに関して今でも聞かれます)

2. よく言われたフィードバックを「グルーピング」しよう
少なくとも3-4人に言われたフィードバックですが、その場だとよくメモを取るかと思うんですが、意外と「グルーピング」することって多くの方がやっていないことだったりします。(やっている人はKeep Goingです)

多くの人に言われること、言われたことというのはおそらく外観的には正しいのだと思います。(もちろん、彼らが見ているラウンドの数のn数が少ない等はあるので留意は必要ですが。)なので、そこは聞いてみるといいと思います。

ここでのポイントなのですが、「全体フィードバック」「相手のフィードバック」「チームメイトのフィードバック」も含めてメモをとりながら、最終的に自分の強み・弱みをあぶりだす、というところにあります。というのは、必ずしもあなただけに向けたフィードバックで全部を構成していなかったり、ジャッジとしても多少言いづらい部分が他のところに入ってきているからです。

akの場合は1年生の時はよくロジックがある、抽象論は分かる、反論が良い、のようなコメントが多く直接的には言われました。一方で、チームメイトは「イラストが上手、感情的にすごくわかった」のようなフィードバックを良くもらいました。ここから導出できるのは、「ロジックや観点はいいのだけれども、感情的に訴えるような表現が足りない」というところになるかと思います。「即興型ディベートに必要な能力を身に着けるための練習法シリーズ② プレゼンテーション力」でいうと、"感情的な分かりやすさ"が改善の余地があるということでした。

ぜひこのようなことは「チーム」や「コーチ」と一緒にやってください。例えば、WUDCのDCAは、2時間くらい1ラウンドが終わった後チームメイトとディスカッションするみたいです。

3. フィードバックの際に、こちらからも質問しよう
ジャッジからすると、限られた時間であなたの今までの悩みをトレースすることは難しく、どのようなレベルで何を話せばよいのか迷ってしまう、ということがあります。

もちろん、オープンクエスチョンで聞くのも全然良いのですが、より個別具体のクローズドクエスチョンを聞けると、お互いにとってハッピーになりがちです。

質問の種類は例えばざっくりと思いつくものでも3種類あります。

A. 確認系
ーシンプルに分からなかった部分の定義は何か教えてもらう (それってどういう意味ですか?)
ー何かをより具体化してもらう (それって具体的にどういうことですか?今回のラウンドでいうとどのあたりの話になりますか?)

B. 自分の強み・弱みのアセスメント系
ー自分やチームのよかったところ、改善できるところを教えてもらう (よかったところ、チャレンジってどのあたりだと思いますか?)
ー上記の具体版 (ジャッジにはよくXだと言われることが多いんですが、今回ってどうでしたか?今、Yがうまくなれるように頑張っているんですが、どうでしたか?)

C. 改善のための方法系
ーどのように練習した方がよいか、教えてもらう(Xさんってどうやってうまくなりましたか?参考にしている人やスピーチはありますか?)

このような具体論があるとジャッジからもより聞きたいことを引き出せたりするのでおすすめです。

4. "Reason for Decision"から学び取ってほしいのは、勝ちのための「引き出し」
Reason for Decisionは、特にVoteで負けです、と言われた後に聞くのはなかなか辛いものです。絶対に勝っただろ、と思った際に出てくる怒りのような感情。負けたなぁと思った時の再度押し寄せる絶望の感情。気持ちはすごくわかります。
可能な限り、そこで思ってほしいのは「次のために、自分の成長のために聞こう」というマインドになるかと思います。難しいですが…。
大会の際は、色々なジャッジがそれぞれのReason for Decisionを説明してきます。普段聞きなれていない表現であったり、見方、重みづけだと思います。
(いわゆる「え、そこで見たの?」というような感覚もここかと思います。)

例えば、以前も「色々なジャッジのやりかたの考察 ~ジャッジが使用する基準リスト、よくあるジャッジスタイル等~」という記事でこちらを取り上げました。Principleを重視する人とPracticalを重視する人、ロジック重視・感情重視等、Diversityとしていろいろあり得るわけです。

「その見方は違う」と言って怒ったりTwitterに何か書き込むよりも、「色々な人を説得できる」(=別の土俵でも戦える)という方がかっこいいし、イケてると思うんですよね。(akは結構かみついたのでイケていなかったのですが…)ぜひ、大会を期に自分は「どういう癖を持っているのか、どういう強みがあるのか」、「ほかのこういう人まで説得するには?」と考えてほしいです。

また、より足元で分かりやすい話としては、"exclusivity"のような、普段仮に聞きなれない表現があればぜひメモってください。そしてそれがどういう意味かも聞いて、自分のものにしていきましょう。

なお、長期的には「どうすれば、上手くなれるのか? -"成長エンジンの設計方法"-」のような内容も実践いただければと思います。



この記事に関する質問も大歓迎です。https://twitter.com/ak_debate こちらへのDM等もいつでもお待ちしています。