2018年2月13日火曜日

【即興型ディベートの練習方法】音源を活用した1人でもできる練習のデザイン方法/具体例4選

相変わらず寒いですね、ak_debateです。
最近「1人で練習するには?」というご質問をたくさん頂戴するようになりました。

(なお、身に着けたい能力ベースでは、(思考法プレゼンテーション力英語力)をすでにご紹介差し上げていたり、プレパ練お勧めの本マターファイル・ディベートノートなど、色々すでに書かせて頂いているのでそちらもご覧ください。)

今回は、「音源」にフォーカスして書いてみたいと思います。音源を活用すべきというのは海外のディベーターも言っていますが、とはいえどのように使うのかという話に踏み込んでいるのはあんまり無いなと思って書きました。

【1. 練習のデザインにおいて重要な問い】
ak_debateは前提として、音源だけでは当然練習は不十分であり、弊害を生む時もあるとは思っていますが、一方で有益な部分も多々あり、うまくデザインさえすればよいと思っている派です。どういうことかというと、下記の3つの問いにこたえてみてください。

1.今あなたはどういう能力を身に着けたいのでしょうか?
2.その能力を身に着ける上で、他の方法と比して、音源はどのように役立ちますか?
3.どのように成果を測りますか?

1.は最上流で見失いがちです。何の目的もなく音源を聞いても意味ないです。あくまで練習方法はHowであり、身に着けたい能力であるWhatから逆算しましょう。

2.は、日本では特に一部大学生の間で「音源病」があるからです。とりあえず音源を聞こうという状態です。音源を聞くのは数ある練習法の1つなので、固執する必要はなく、"Why 音源"という問いに答えられないのであれば別の練習方法のほうが適切です。

3.も重要です。とりあえず聞いて「うーん勉強になったな」となるのではなく、実際に能力向上につながらないと練習としては意味がないです(趣味なら別です)もちろん、勝ち負けないしディベートのスピーカースコア等個人によって最終的な成果は違うでしょうが、それにつながるような目標を設定しましょう。

【2. 具体的なデザイン例】

例えばak_debateは下記のようなシーンで音源を使っていました。

パターン① 英語力を維持・向上する("耳を慣らす")ための音源活用
こちらは、問いに対応すると、
1.今あなたはどういう能力を身に着けたいのでしょうか?
→英語力、特にリスニング力(相手が何を言っているのか英語で理解する力)

2.その能力を身に着ける上で、他の方法と比して、音源はどのように役立ちますか?
→国内ではネイティブ・スピーカーにあたる機会が少なく、集中して聞くことによって、次に出る大会でネイティブ・スピーカーやスピードが速いスピーカーにあたっても聞けるようになる。これはラウンドを行うよりも効果的

3.どのように成果を測りますか?
→①音源をどれくらい聞いたかという時間、②レベルの高い音源/普段のラウンドの英語の理解度

特に、英語力というのは「毎日積み重ねる」ことが重要であることから、ak_debateは、世界大会の決勝の音源は現役時代は毎晩寝る前に聞いていました。最初はぽかんとよく分からない内容だったりもするのですが、何度も聞くうちになれてくるため成長も実感しやすいものとなっております。
ちょっと古いですが、WUDC 2010 GFWUDC 2010 QF、あたりはお気に入りのスピーカーも多いので今でもたまに聞きます

なお、英語力に限って言うと、「少しストレッチ」して聞くのが重要です。最初から世界大会の決勝を聞くというハードランディングも人によってはありだと思うのですが、それは個人的には最終goalにしつつ、たまに聞くようにし、普段は「4-6割くらいしか分からないもの」を「8割くらいわかる」ようにもっていくとよいと思います。そういう意味で、国内のブレイクラウンドなどから始めるのもいいかもしれません。その次は北東アジアとか。(東南アジア、イギリスの発音などは難しい人が多いようです)

パターン② よく分からないテーマにおいてKey Issuesを特定するための音源活用
こちらは、問いに対応すると、
1.今あなたはどういう能力を身に着けたいのでしょうか?
→特定のテーマにおける「入門」的な内容(何が"重要"とされる議論なのかなんとなくヒントを知りたい)

2.その能力を身に着ける上で、他の方法と比して、音源はどのように役立ちますか?
→本来であれば基本書・学術書だとか、ニュースだとかを見るほうが良いし、ネットでググるほうが良い(特定のテーマであればなおさら)。特に、ディベーターがそのテーマに明るいとは必ずしも限らないので、Intelligenceはそういった1st Hand Informationから「センシング」するほうが圧倒的に良いです。一方で、14分で肯定・否定側のなんとなくの話が分かるのであれば1インプットとしては効率的

3.どのように成果を測りますか?
→特定のディベートノートにおける内容の多さ、特定のテーマにおけるアイデア数/勝ち数

例えば、Israel-PalestineであればAustrals 2012 SemiUADC 2014 Semi、ReligionであればAustrals 2014 GFを聞きました。また、日本人ディベーターが苦手なArgumentを立てるという意味では、例えばstate abuseのようなargumentであれば、This house prefers a world with memory writing technology.(HWS Robin 2016 R4)のOOを聞くのもいいと思います

そしてこれらは、聞いたら必ずマターファイル・ディベートノートにも反映すると効率的です。

パターン③ 特定のマナーを身に着けるための音源活用
こちらは、問いに対応すると、
1.今あなたはどういう能力を身に着けたいのでしょうか?
→特定のマナー(全体的なスタイル、具体的なword economy、レトリック、クロージングでのFraming等)

2.その能力を身に着ける上で、他の方法と比して、音源はどのように役立ちますか?
→もちろんこれはディベートに限らない有名なスピーチを聞くのもいいのですが、短い時間で何かを示すという意味で、特にClosingでのFramingはディベートで見るほうが効率的

3.どのように成果を測りますか?
→ディベートノートにおけるマナーの理論の数、ジャッジからマナーに関して褒められた数

特に日本だとなかなかMannerに関するフィードバックがもらえないことも多いと思います。(本来的にはもっと行うべきだと思っていますが。)

例えば、word economyをあげる意味では僕はクリス・クロークを追いかけました。あの短い時間であんなに反論できるのはすごいなと。(WUDC 2010 GFのMOです。それ以外でもWUPIDの予選のLO、Student Economic Review DebateのDPM)彼から「いかに効率的に反論するか」というマナーは学びました。フレーミングに関しては、秀逸なのはMDO 2011 SemiのGWのローガンはジョークや、ゲーム性に訴求しながらこのディベートにおいてはzero-sumであることをかなり時間をかけて説明しています。Wikileaksのモーションにおけるシャーミラはwordingによるrelevancyを説明するイントロが上手いです。このExtensionの仕方は線引きスタイルとしてとても参考になります。Closingのフレーミングが上手いなと思うのは、例えば国内だとJapan BP 2013 SemiのCOですし、Japan BP 2015 SemiのCOあたりです。どちらもmotionのwordingに忠実にうまくsolidなopeningを抜いているパターンだと思います。海外ですと、UT MARAは上手いなと持っており、WUDC 2015の予選の抜き方としてOpeningを簡略化した上で、一気に新興国の話を具体名を羅列することで雰囲気も含めて持っていくところはいいなと思っています。

なお、「なぜ、このMannerがよかったのか?」「どうすれば自分もできるのか?」という問いまであわせて、ディベートノートで考察するところまでを目指してください。

パターン④ アセスメント/実践の模擬フィードバックとしての音源活用

これは、今までのパターンとは少し異なります。というのも例外的に問いが当てはまらないからです。総じてGeneral Commentsや自分のスピーチに関するフィードバックが欲しい際に、音源を活用するというパターンです。(ただし、3つめの問いに関しては、問題を発見できた数、というところになるかもしれませんね)

どういうことでしょうか。具体的には、実際に行ったラウンド/スピーチ/プレパ練の後に、似たような、もしくは同じモーションの音源を聞くことで「模擬フィードバック」を得に行く練習方法です。

ak_debateはよく、プレパ練と組み合わせて行っていました。実際にプレパ練をしてそのsideの音源を聞いてみる。そこでひたすら自分と音源との差分を分析するのです。例えば、Matterの観点では「ああこういうアイデア出なかったな」だとか、Mannerでは「同じことを言っているけどこういう言い方のほうが効果的だな」というようなことを学ぶのです。もちろん自分のほうがうまくいっているパターンもあるので、音源を盲目的に信じるのは良くないのですが、gapが何か、そしてそのgapを埋めるためには何を必要か、と考えることが有効になります。

これは特に、具体的な問題意識がまだ芽生えていない場合に「どこに問題があるか」という「アセスメント」を行う上で有効です。というのも、ぼんやりとgeneralにフィードバックをもらうのは当然大事なのですが、それがactionableな、具体的な目的ドリブンで練習できるほうが、一気に能力をあげることができるからです。

いかがでしたでしょうか。
もちろん、これ以外の練習方法もあるのですが、3つの問いをベースに音源の活用方法をデザインするということの重要性はお分かりいただけたかと思います。これらは1人でもできる内容なので、ぜひあなたの練習方法をデザインしてみてください!
(なお、ご紹介した例は海外音源が中心だったのですが、より初心者の方はぜひJPDUの音源等を活用してみてください)

(なお、主要記事まとめはこちらです)

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