【はじめに】
「上手くなりたい!」
これは、目標の違いはあるにしろ、すべてのディベーターが思うことだと思います。
akも負けず嫌いであったことから、常にうまくなりたいと思っていました。
一方で、「上手くなる方法」があまり体系化されていないのではないか?という問題意識を持っていました。なんとなく、例えば1st SpeakerだったりClosingだったりでの「各論」はあるものの、「総論」としてどのように上手くなるのか?ということを整理することで、より多くのディベーターの成長に寄与できるのではないかと思いました。
そのような意図があり、学会発表も今年の3月にしているのですが、そこでのフィードバックやまた最近考えたことを受け、先日、Tokyoの全体練習会でまさにタイトルのような意識の高い内容のレクチャーをさせて頂きました。ポジティブな反響もあったので、少し内容をアップデートしてこちらも共有させて頂きます。(なお、普段文字が多いことも受け、パワポの練習をしたいので今回はテイストを変えてパワポも一部いれてみました)
【"成長エンジン"の設計において必要な3つの問い】
突然ですが中長期的に成長するため、あなたは下記の3つの問いに対する答えはありますか?また、3つ全ての問いを、常に問い続けていますか?ちょっと紙を出して書いてみるなり、自分で考えてみるなりしてみてください。
もしすでに問い続けている場合は、さすがだと思います。akの場合は、これをしっかり考え始めるのがいつだったのか・・・と思うと恥ずかしくて言えないかもしれません。ただ、周りで上手い人は常にこの3つの問いを何かしら持っていたのではないかと思います。
(なお、蛇足ですがこれは種明かしをすると、教育の現場でも取り入れられているシンプルな問題解決 のフレームワークに沿っています。①がTo-Be(目指す姿)、②がAs-Is(現状)、③がApproach(アプローチ)ですね。)
ただ、多くの場合この3つの問いを意識的に答え続けている人は少ないと思います。その場合、陥りがちな罠というのは下記のスライドです。
【ディベーターが陥りがちな罠】
どれも、ぎくっとしたことがあるのではないでしょうか?
何を隠そう、どれもakが見事にはまった罠です。
特に1-2年生のとき、とりあえずSQ/AP/Impact等の型に終始した後、①目指す方向もわからないまま、②格好いいスピーチもできないな、つらいなと思いながら、③ひたすらにラウンドを繰り返しました。ある種、合併症を引き起こしていたことになります。
少しだけ自分語りをすると、akは上級生のエジュケにも恵まれ、かつパートナーにもかなり恵まれ、客観的には最初結果が出たと言われています。(ありがたいことに、実際1年生の全国大会である紅葉・梅子を連覇し、JBP(当日の冬T)では1年生で全体のベストスピーカーをとることができました。今よりも圧倒的に調子にのっていましたが、WUDC(世界大会)では4試合連続4位をとり撃沈。6ラウンド終わっても3点というぼろぼろの結果でした。年明けをしても、Titech Cup、Debate no Susumeといった大会ではことごとく負け、優秀な伝説級の先輩と組んだ大会でも思うような結果を残すことができませんでした。
そんな中、ディベート戦国時代と呼ばれていた時代であることも相まって、同期はどんどんうまくなっていきます。主要な大会で結果を残す同期を見て、うらやましく、かつ悔しい思いをし続けました。そんな中、やみくもにくそーと思い、なんとなくひたすらにラウンドを馬鹿みたいに繰り返しましたが当然うまくなりません。Geminiのトライアウトにおいても、部長であるにもかかわらず上位チームであるAをとれなかったということは、akとして悔しさしか残りませんでした。
「英語がうまいだけで上手くならなっていない」「結局1年目がうまかっただけ」と、はっきりとは言われなかったものの、それをひしひしと感じ続けていたのがakでした。
そんな中、徐々に上昇傾向に戻ってきたのが下記の3つを意識し始めてからです。
【ak_debateが取り組んだこと】
一番のきっかけは、2年生になってエジュケ(トレーニング)をする立場になったことだと思います。たくさんの後輩が入ってきて、どうやれば教えられるのか必死に考えるわけです。特に当時は、高校生の経験者も入部してきたり、全国模試でトップ10に入るような"化け物級"がたくさん入部したわけです。いわゆる「突き上げ」状態。akの場合はそれまでの部長陣が圧倒的な成績を残していたことから、上からのプレッシャーも勝手に感じていました。(何か言われたわけではないです、決して。)そのあたりから、「ディベートはそもそも何か?」「Argumentとは何か?」「PrincipleとPracticalの違いは?」「強いRefutationとは何か?」のようなことを考え、かつ質問されるようになりました。(=①)このような中、①必死にディベートとは何か、強いディベーターとは何か考えることで、あれ、今自分はこれできていないよな、これはできているな、という現状把握にもつながりました。そんな中、あ、akは別に格好いいスピーチはできないのであると。とはいえWUDCでも唯一評価された反論力をヒントに、Matterで勝負していこうと決意したわけです(=②)。そこでいかにMatterがつまったスピーチを作るかの営みが始まりました。ラウンドを行ってフィードバックをもらってその再スピーチを先輩に見てもらうことを頼むという自己中心的なことをやることを行ったのもこのころからです。いわゆる「スピ練」(スピーチ練習)だけをやり始めたのもこのころです(=③)
別にその後、自分の実績をつらつらと書いたところでも誰も楽しくないので書きませんが、成長軌道に乗り始めたのはこのころだったと思いました。今思うと、本当に3つの問いに、苦しい時でも向き合い続けることだなと思いました。
とはいえ、今までの話はあくまでakの場合だったと思います。それをもう少し再現性の堅い形で、別の角度であるステップ別に考えたものが下記になります。
【ステップ別に、中長期的にうまくなるための取り組み】
結局、当たり前のことでしかないかもしれませんが、インプット・プロセス・アウトプットの繰り返しでしかありません。それぞれのステップにおいていかに効率化をはかるかが、しいて言えばkeyなのかもしれません
これでいうと、akがブログをやる理由は色々ありますが、(主には多くの人にディベート・リソースを公開して、他の人の参考になればというところですが)一つ自分のメリットとして感じていることは、実はiiiのアウトプットを強制的に行うことで、他の人を巻き込むことができるところです。幸いなことに最近はこのブログは英語即興型以外の人からのフィードバックも頂戴しており、それを契機に「ここはいいんだな、ふむふむ」と思ったり「なるほど、そういう視点もあるならこうしたほうがいいかも」のようにブラッシュアップしていくことができているため、akの理解が深まっています。そういう意味で、ぜひ早い段階からブログを書いてほしい(akが読みたいだけ)というのもあります、という蛇足でした。
いかがでしたでしょうか?今回はあえてpowerpointも使いながらの文章にしてみました。
ぜひ、feedback頂けると幸いです。
あえてやや抽象論もあるかと思いますので、「特にこの部分」のようなリクエストがありましたら、ぜひご連絡ください。
2017年10月15日日曜日
2017年9月10日日曜日
即興型ディベーターは「ディベートノート」と「マターファイル」を持て
即興型ディベートでは、プレパ時間における電子媒体でのリサーチは禁止されています。一方で、今までの紙媒体での資料の持ち込みは可能となっています。
国際大会に行くと、Economistを持ち歩いていたり、「マターファイル(Matter File)」と呼ばれるリサーチした結果を持ち歩いている人がいます。
私も現役時代はファイルでいうと2冊分、特に国際関係のリサーチ結果を中心に持ち歩いていたりしました。(大学院の授業もそれに関連していたので、場合によっては試験用につくったノートがそのままディベートに流用されることもありました)
背景としては、ak_debateは細かい内容まで覚えるのは苦手だったので、細かい地名とか人名とかは持ち歩くことにしていたというところです。特に、議題が多岐にわたる中、全部覚えておくことは難しかったので。
過去に一度もノート/ファイルをしっかりと人に見せたことはありません。ak_debateの競争優位性にかかわるのでお断りしてきました。なのですが、そろそろコミュニティに還元したほうがいいなと思ったので、そのポイントを一部ご紹介します。
私は現役生に対しては、「ディベートノート」と「マターファイル」を持て、とアドバイスしています。
【ディベートノート】
「ディベートノート」とは、ディベートのスキルに関連する内容を纏める本になります。
これは実は主に2パートに分かれていて、①総論と②各論があります。
(ak_debateは面倒くさがりだったので、大きなノートを2分割してつかっています)
①総論:
具体的には、すべてのラウンドで使えそうな理論や自分の癖とその対応法、ロール特有の話、フォーマット(NA, Asian, BP)特有の話に関してまとまっています。(また、細かい話だと英語表現などに関してもまとまっています)
これは、ak_debateはかなり楽をしたい派だったので、上記のようなセクションがすでに分けられており、ジャッジからのフィードバックをその関連する場所に書いていくスタイルをしていました。例えばジャッジからのフィードバックで、「どのようなラウンドでも使える話」が来た瞬間に、関係あるページを探し、そこにコメントを書いていました。
例えば、signpost(いろいろな定義がありますが、ここではArgumentのタイトル)に関する部分では、例えば下記のようなことが書かれています。
・抽象と具体のバランスを必ず持つ
(抽象的な1. principle, 2. practicalは辞める⇒内容がわからないため。一方で、具体的なミクロすぎる話は話が分かりづらくなる)
・(参考)抽象的な話と具体的な話をあえて両方交えるスタイルもあり
(ウィル・ジョーンズっぽく;"or, if you prefer, principle of ..."のように言い換える)
・相手チームも考慮しているようにサインポストする
(in terms of X, which is better? Nature of Y; a or b?)
・サインポスト間の全体最適も行う
(3つArgumentがあればそのMECE感も担保する。キャラクター/時間軸等)
②各論:
これは、各テーマに応じて使える話を纏めています。
Economics、Politics、CJS、Environmentのような抽象的なレベルで1-2ページずつ使っています。
ここでのコツは、過去に考えた内容はすべて書きつつ、リサーチもして重要なポイントも抑えたうえでラウンドを行い、フィードバックをもらうことです。つまり、「今まで知っている知見」を全力投球した後、フィードバックがくるので「あ、そういう視点もあるんだな」となって進化していくため最大出力が強化されます。
例えば、taxというページでは、税金の類型化が(おそらくwikipediaか何かで当時は調べていたのですが)書かれています。富の再分配(redistribution)、景気調整(built-in stabilizer)、(産業保護含む)経済政策(economic policy)、sin taxと書かれています。
(これが網羅的なのかどうかなどはパッと見わからないですが、主要なものがまとまっていたのでしょう)
読み直していて気づきましたが、英語でも必ず書いていたり、関連する事例も書いてあったりするので、すぐディベートで使えるような状態にしている意識があったようです。
このように、ディベートノートは「汎用性が高い内容」になっています。たとえるならば、すべてのラウンドで必ず二塁打が打てるように意識してつくっていました。
【マターファイル】
こちらは、②の各論ノートとの違いが難しいのですが、かなり細かい調査結果になります。ぱっと見直すと、特に国際関係を中心にまとまっています。
イスラエル・パレスチナ問題における主要なステークホルダーや事件、EUにおける仕組みとその意思決定プロセス(ASEANとの比較含む)、アフリカにおける軍事介入の成功例/失敗例とその背後にあるメカニズム等がぱっと見た感じありました。
これらのファイルは正直「ホームラン型」の内容になっており、あたれば遠く飛ぶが、毎回使えるとは限らない内容になっています。なので、優先順位も比較的下げていましたが、もし今またディベートができるならば、こちらを圧倒的に精緻化して勝ちに行くと思います。(職業柄、リサーチも早くなりましたし。。。)
(余談ですが、また、ここは大変ではありますが確実に力がつく道でもあるので、個人/組織として大きな強みを具備できていない場合はチャレンジすることも大事かと思います。)
こちらも、ディベートノートと共通するのは「すぐラウンドに使えるようにする」ことで、特定部分を少し読んでカスタマイズするとすぐ試合で使えるようになっています。
(参考)
象徴的だったのは、アジア大会(UADC)のブレイクラウンド。アジアの強豪NUSに当たった際、アフリカにおける軍事介入のモーションでした。
まずプレパ時間は、素直にモーションを読みながら、かつ必要に応じてディベートノートのほうを使いながら主要な立論を考え、相手への主要な反論もつくりきりました。その際、Whipだったので、最後の5分くらいは私はマターファイルをさらに開いて、必要に応じて例を前のスピーカーに伝えました。
調子が良かったためディベートもよく見えていたため、試合を通じて"intervention" vs "negotiation"のボトルネックがあることも理解できたため、、negotiationがなぜうまくいかないのか、interventionがなぜうまくいくのかという話を過去の交渉/介入例を使いながらスピーチしたところ、80超えの点数が付き、「Whipで試合がひっくり返った」と、いつも動画で見ていた憧れのオーストラリア人ディベーターに言われたことは、僕の中でも大きく印象に残っています。
長くなりましたが、ディベート上達のために、ディベートノート、マターファイル両方を持つことをお勧めしています。マターファイルはまだしも、少なくともディベートノートは負担も少なく簡単にできるうえ、すぐ成長につながりやすいためお勧めです。
国際大会に行くと、Economistを持ち歩いていたり、「マターファイル(Matter File)」と呼ばれるリサーチした結果を持ち歩いている人がいます。
私も現役時代はファイルでいうと2冊分、特に国際関係のリサーチ結果を中心に持ち歩いていたりしました。(大学院の授業もそれに関連していたので、場合によっては試験用につくったノートがそのままディベートに流用されることもありました)
背景としては、ak_debateは細かい内容まで覚えるのは苦手だったので、細かい地名とか人名とかは持ち歩くことにしていたというところです。特に、議題が多岐にわたる中、全部覚えておくことは難しかったので。
過去に一度もノート/ファイルをしっかりと人に見せたことはありません。ak_debateの競争優位性にかかわるのでお断りしてきました。なのですが、そろそろコミュニティに還元したほうがいいなと思ったので、そのポイントを一部ご紹介します。
私は現役生に対しては、「ディベートノート」と「マターファイル」を持て、とアドバイスしています。
【ディベートノート】
「ディベートノート」とは、ディベートのスキルに関連する内容を纏める本になります。
これは実は主に2パートに分かれていて、①総論と②各論があります。
(ak_debateは面倒くさがりだったので、大きなノートを2分割してつかっています)
①総論:
具体的には、すべてのラウンドで使えそうな理論や自分の癖とその対応法、ロール特有の話、フォーマット(NA, Asian, BP)特有の話に関してまとまっています。(また、細かい話だと英語表現などに関してもまとまっています)
これは、ak_debateはかなり楽をしたい派だったので、上記のようなセクションがすでに分けられており、ジャッジからのフィードバックをその関連する場所に書いていくスタイルをしていました。例えばジャッジからのフィードバックで、「どのようなラウンドでも使える話」が来た瞬間に、関係あるページを探し、そこにコメントを書いていました。
例えば、signpost(いろいろな定義がありますが、ここではArgumentのタイトル)に関する部分では、例えば下記のようなことが書かれています。
・抽象と具体のバランスを必ず持つ
(抽象的な1. principle, 2. practicalは辞める⇒内容がわからないため。一方で、具体的なミクロすぎる話は話が分かりづらくなる)
・(参考)抽象的な話と具体的な話をあえて両方交えるスタイルもあり
(ウィル・ジョーンズっぽく;"or, if you prefer, principle of ..."のように言い換える)
・相手チームも考慮しているようにサインポストする
(in terms of X, which is better? Nature of Y; a or b?)
・サインポスト間の全体最適も行う
(3つArgumentがあればそのMECE感も担保する。キャラクター/時間軸等)
②各論:
これは、各テーマに応じて使える話を纏めています。
Economics、Politics、CJS、Environmentのような抽象的なレベルで1-2ページずつ使っています。
ここでのコツは、過去に考えた内容はすべて書きつつ、リサーチもして重要なポイントも抑えたうえでラウンドを行い、フィードバックをもらうことです。つまり、「今まで知っている知見」を全力投球した後、フィードバックがくるので「あ、そういう視点もあるんだな」となって進化していくため最大出力が強化されます。
例えば、taxというページでは、税金の類型化が(おそらくwikipediaか何かで当時は調べていたのですが)書かれています。富の再分配(redistribution)、景気調整(built-in stabilizer)、(産業保護含む)経済政策(economic policy)、sin taxと書かれています。
(これが網羅的なのかどうかなどはパッと見わからないですが、主要なものがまとまっていたのでしょう)
読み直していて気づきましたが、英語でも必ず書いていたり、関連する事例も書いてあったりするので、すぐディベートで使えるような状態にしている意識があったようです。
このように、ディベートノートは「汎用性が高い内容」になっています。たとえるならば、すべてのラウンドで必ず二塁打が打てるように意識してつくっていました。
【マターファイル】
こちらは、②の各論ノートとの違いが難しいのですが、かなり細かい調査結果になります。ぱっと見直すと、特に国際関係を中心にまとまっています。
イスラエル・パレスチナ問題における主要なステークホルダーや事件、EUにおける仕組みとその意思決定プロセス(ASEANとの比較含む)、アフリカにおける軍事介入の成功例/失敗例とその背後にあるメカニズム等がぱっと見た感じありました。
これらのファイルは正直「ホームラン型」の内容になっており、あたれば遠く飛ぶが、毎回使えるとは限らない内容になっています。なので、優先順位も比較的下げていましたが、もし今またディベートができるならば、こちらを圧倒的に精緻化して勝ちに行くと思います。(職業柄、リサーチも早くなりましたし。。。)
(余談ですが、また、ここは大変ではありますが確実に力がつく道でもあるので、個人/組織として大きな強みを具備できていない場合はチャレンジすることも大事かと思います。)
こちらも、ディベートノートと共通するのは「すぐラウンドに使えるようにする」ことで、特定部分を少し読んでカスタマイズするとすぐ試合で使えるようになっています。
(参考)
象徴的だったのは、アジア大会(UADC)のブレイクラウンド。アジアの強豪NUSに当たった際、アフリカにおける軍事介入のモーションでした。
まずプレパ時間は、素直にモーションを読みながら、かつ必要に応じてディベートノートのほうを使いながら主要な立論を考え、相手への主要な反論もつくりきりました。その際、Whipだったので、最後の5分くらいは私はマターファイルをさらに開いて、必要に応じて例を前のスピーカーに伝えました。
調子が良かったためディベートもよく見えていたため、試合を通じて"intervention" vs "negotiation"のボトルネックがあることも理解できたため、、negotiationがなぜうまくいかないのか、interventionがなぜうまくいくのかという話を過去の交渉/介入例を使いながらスピーチしたところ、80超えの点数が付き、「Whipで試合がひっくり返った」と、いつも動画で見ていた憧れのオーストラリア人ディベーターに言われたことは、僕の中でも大きく印象に残っています。
長くなりましたが、ディベート上達のために、ディベートノート、マターファイル両方を持つことをお勧めしています。マターファイルはまだしも、少なくともディベートノートは負担も少なく簡単にできるうえ、すぐ成長につながりやすいためお勧めです。
2017年8月27日日曜日
プレパ練3種(80点プレパ練/プレパ・コンサル/Closingプレパ練)
プレパ練(プレパレーションの練習)というのは、すっかりディベーターの練習方法になっています。
位置づけとして、野球に例えるとラウンドは「練習試合」になりますが、プレパ練はその一部を切り取る形であり、例えばノックや素振りだという風にご理解ください。
具体的には、15分-30分のプレパレーション・タイムの効率化を目的に行うパターンが多いです。特に、意思疎通が難しくなる3人での場合、初めて組む相手である場合等によく使われます。実際のラウンドよりも時間が短くて済むメリットもあり、好きな人は多いです。
とはいえ、ただやみくもにプレパ練をしている人も多いかと思います。(よくあるパターン:モーションを選び、15-30分程プレパして「なるほどねー」ってなってちょっと反省するパターン)
ここでは、場合によってはより効果的になり得る、ak_debateが行っていた/行っているプレパ練のパターンを3つほどご紹介します。
(他もいろいろありますが、いったんこれくらいで!)
①「80スピーチづくり」のプレパ練(主に1人、時間は1時間程)
これは、あえて時間をかけていいスピーチを作るパターンです。(akの場合は、これにスピ練(スピーチ練習)をセットに行っています。)
意図としては、「マックスの出力」の最大化です。要は、例えばホームランを打撃練習で打てない人が、実際の試合でホームランは打てる確率ってすごく低いですよね。逆に、ホームランを普段から打てていれば、実際の試合では二塁打くらいは打てるかもしれないですし、ホームランも打ちやすくなります。
具体的にはどういうことかというと、時間をかけてでもいい+リサーチをしてでもいいので、満足のいくスピーチを作りきるところにあります。
例えば、Argumentに関してもどうすれば一番伝わるのか?を意識しながらロジックを手厚くしながら、一番ベストな例も選び、その説明の仕方も考えます。必要に応じて、ネットで音源やリサーチをして、よりベストな例を探しに行きます。
「これならいける」というレベルまでスピーチを粛々と作りこみます。必要に応じて、第三者にも聞いてもらってフィードバックを求めてさらにレベルアップさせていきます。
Tipsとしては、一回やったモーションの復習とするほうがいいとは思っています。つまり、ちゃんとすぐどこを直すかが分かるので。(このロジック分かりづらいからよりわかりやすいものを探す、具体例がなかったのでドンピシャなものを探しに行く。特定の部分の説明が長かったので短くする、等)
②プレパ・コンサルティング(主にプレパ練をしている2-3人に対して、見る、時間は実際のプレパ時間+そのフィードバック約5-15分)
これは、プレパ練を「見る」というパターンです。例えば、実際のペアがいる際にそのプレパの様子をずっと見ます。その内容をフィードバックしていく形です。
ここでのコツは、①アウトプットになろうであろう話に関するフィードバック(例:こういう話も出せばよかったんじゃない?こういう視点もあったよね?」も行うのと同時に、②そのプロセスに対してもフィードバックすることです。つまり、どうすればよりプレパが効率的になったのかを第三者的に指摘することが鍵になります。
なので、akが行う際は必ずプレパ全体を見ています。どこでコミュニケーション・ロスが発生しているのか、どこでより効率的にできるのか、何度も見ているうちにポイントは明らかになってきます。
例えばですが、よくあるパターンは議論の「発散」と「収束」のバランスが悪いパターンです。いきなり「収束」しにいってしまう場合では、議論の決めうちになってしまいます。一方で、「発散」が多すぎる場合は、どこかで「では、アーギュメントにするとどうなるかな?」というような問いを持っていく必要があります。なので、チームを見ていて、「ちょっと発散が多い気がするから、10分したらさすがに収束させにいこう」というだけで、プレパの時間が効率的になっていきます。
また、単体としては強いのにチームとしてシナジーが出ていないパターンもよくあります。それはいろいろなパターンがありますが、例えばチームとしてTBHの思考パターン(Top-Down, Bottom-Up, Horizontal)のバランスが悪いことに起因することもあります。そういった場合は、意識的に「XXさんはあえてBottom-Upで考えてみようか」というと、急にプレパがスムーズになることもあります。
③Closingプレパ練(minimumではOpening役1人、Closing役1人、大体15分-30分)
これは「akゼミ」時代によく部内で行っていた手法です。プレパ時間10-15分ほどでまずOpening役が話します。「このArgumentをこういうロジックとこういう例で話す、またこういう話も相手からくると思うからこういう反論もだいたいする」というのを出せる限り出します。そのあと、Closing役は2-3分の準備時間を置いたうえで、「Closingではこういう話をこのように出し、このようなExtensionにしていくい」という風に紹介させます。その際、判定基準はClosingが「Openingを抜き切れているか」という点です。なので、「いやあ、今回はOpening抜けなかったね」とかという所感のフィードバックがされます。
ここでのコツですが、Openingは上級生がやるほうがいいです。そうすればするほど、Closingの難易度があがっていきます。日本勢は特にClosingに弱い傾向があります(=強いOpeningの後に差別化できていないことが多い)その原因はまた別途どこかで分析してみようかと思いますが、Closingに専念する形での練習スタイルになります。
面白いもので、Closingプレパ練は、繰り返しが大事です。最初はOpeningが勝ちがちですが、何度もやるとだんだんClosingが抜き始めます。それをみて、Openingもまた強化されていきます。部全体の底上げに特に有効だと思っています。(蛇足ですが、加藤はOpening役をよくやってました。途中から後輩に負けはじめ、悔しさを覚え自分のプレパをより精緻化するインセンティブになりました 笑)
なお、変化球として、Closing役のチームを複数おくのもgoodです。Closingチーム1は、「この話を出します」といった後、Closingチーム2は、「私たちだったらこういう話をClosingで出します」というところで、競わせるパターンです。
いかがでしたでしょうか?
他にもいろいろなパターンがあるかと思いますが、プレパ練もひと手間加えると、効果があがることもあるのでぜひいろいろチャレンジしてみてください :)
位置づけとして、野球に例えるとラウンドは「練習試合」になりますが、プレパ練はその一部を切り取る形であり、例えばノックや素振りだという風にご理解ください。
具体的には、15分-30分のプレパレーション・タイムの効率化を目的に行うパターンが多いです。特に、意思疎通が難しくなる3人での場合、初めて組む相手である場合等によく使われます。実際のラウンドよりも時間が短くて済むメリットもあり、好きな人は多いです。
とはいえ、ただやみくもにプレパ練をしている人も多いかと思います。(よくあるパターン:モーションを選び、15-30分程プレパして「なるほどねー」ってなってちょっと反省するパターン)
ここでは、場合によってはより効果的になり得る、ak_debateが行っていた/行っているプレパ練のパターンを3つほどご紹介します。
(他もいろいろありますが、いったんこれくらいで!)
①「80スピーチづくり」のプレパ練(主に1人、時間は1時間程)
これは、あえて時間をかけていいスピーチを作るパターンです。(akの場合は、これにスピ練(スピーチ練習)をセットに行っています。)
意図としては、「マックスの出力」の最大化です。要は、例えばホームランを打撃練習で打てない人が、実際の試合でホームランは打てる確率ってすごく低いですよね。逆に、ホームランを普段から打てていれば、実際の試合では二塁打くらいは打てるかもしれないですし、ホームランも打ちやすくなります。
具体的にはどういうことかというと、時間をかけてでもいい+リサーチをしてでもいいので、満足のいくスピーチを作りきるところにあります。
例えば、Argumentに関してもどうすれば一番伝わるのか?を意識しながらロジックを手厚くしながら、一番ベストな例も選び、その説明の仕方も考えます。必要に応じて、ネットで音源やリサーチをして、よりベストな例を探しに行きます。
「これならいける」というレベルまでスピーチを粛々と作りこみます。必要に応じて、第三者にも聞いてもらってフィードバックを求めてさらにレベルアップさせていきます。
Tipsとしては、一回やったモーションの復習とするほうがいいとは思っています。つまり、ちゃんとすぐどこを直すかが分かるので。(このロジック分かりづらいからよりわかりやすいものを探す、具体例がなかったのでドンピシャなものを探しに行く。特定の部分の説明が長かったので短くする、等)
②プレパ・コンサルティング(主にプレパ練をしている2-3人に対して、見る、時間は実際のプレパ時間+そのフィードバック約5-15分)
これは、プレパ練を「見る」というパターンです。例えば、実際のペアがいる際にそのプレパの様子をずっと見ます。その内容をフィードバックしていく形です。
ここでのコツは、①アウトプットになろうであろう話に関するフィードバック(例:こういう話も出せばよかったんじゃない?こういう視点もあったよね?」も行うのと同時に、②そのプロセスに対してもフィードバックすることです。つまり、どうすればよりプレパが効率的になったのかを第三者的に指摘することが鍵になります。
なので、akが行う際は必ずプレパ全体を見ています。どこでコミュニケーション・ロスが発生しているのか、どこでより効率的にできるのか、何度も見ているうちにポイントは明らかになってきます。
例えばですが、よくあるパターンは議論の「発散」と「収束」のバランスが悪いパターンです。いきなり「収束」しにいってしまう場合では、議論の決めうちになってしまいます。一方で、「発散」が多すぎる場合は、どこかで「では、アーギュメントにするとどうなるかな?」というような問いを持っていく必要があります。なので、チームを見ていて、「ちょっと発散が多い気がするから、10分したらさすがに収束させにいこう」というだけで、プレパの時間が効率的になっていきます。
また、単体としては強いのにチームとしてシナジーが出ていないパターンもよくあります。それはいろいろなパターンがありますが、例えばチームとしてTBHの思考パターン(Top-Down, Bottom-Up, Horizontal)のバランスが悪いことに起因することもあります。そういった場合は、意識的に「XXさんはあえてBottom-Upで考えてみようか」というと、急にプレパがスムーズになることもあります。
③Closingプレパ練(minimumではOpening役1人、Closing役1人、大体15分-30分)
これは「akゼミ」時代によく部内で行っていた手法です。プレパ時間10-15分ほどでまずOpening役が話します。「このArgumentをこういうロジックとこういう例で話す、またこういう話も相手からくると思うからこういう反論もだいたいする」というのを出せる限り出します。そのあと、Closing役は2-3分の準備時間を置いたうえで、「Closingではこういう話をこのように出し、このようなExtensionにしていくい」という風に紹介させます。その際、判定基準はClosingが「Openingを抜き切れているか」という点です。なので、「いやあ、今回はOpening抜けなかったね」とかという所感のフィードバックがされます。
ここでのコツですが、Openingは上級生がやるほうがいいです。そうすればするほど、Closingの難易度があがっていきます。日本勢は特にClosingに弱い傾向があります(=強いOpeningの後に差別化できていないことが多い)その原因はまた別途どこかで分析してみようかと思いますが、Closingに専念する形での練習スタイルになります。
面白いもので、Closingプレパ練は、繰り返しが大事です。最初はOpeningが勝ちがちですが、何度もやるとだんだんClosingが抜き始めます。それをみて、Openingもまた強化されていきます。部全体の底上げに特に有効だと思っています。(蛇足ですが、加藤はOpening役をよくやってました。途中から後輩に負けはじめ、悔しさを覚え自分のプレパをより精緻化するインセンティブになりました 笑)
なお、変化球として、Closing役のチームを複数おくのもgoodです。Closingチーム1は、「この話を出します」といった後、Closingチーム2は、「私たちだったらこういう話をClosingで出します」というところで、競わせるパターンです。
いかがでしたでしょうか?
他にもいろいろなパターンがあるかと思いますが、プレパ練もひと手間加えると、効果があがることもあるのでぜひいろいろチャレンジしてみてください :)
2017年8月22日火曜日
良いPOIとは?
「良いPOI(Point of Information)とは?」
この問いはなかなか難しいです。
巷で言われていることとしては、
・短くてわかりやすい内容
・1つの内容だけに専念する
等と言われていますが、いまいち体系化されていない気がします。
なぜかというと、POIだけを切り取って説明することがとても難しいからだと思っています。
私は、POIは、現時点では「チームとしての合戦略性」×「端的さ」の2点により規定されていると思っています。上で書かれている内容はまさに後者にあたるものです。(15秒という制約条件の中で、どれくらいうまく言えるのか、が重要になるからです)
一方、前者である「戦略」の部分は今までなかなか即興型ディベートであまり語られていなかった気がします。
戦略に関する詳細は今度また別途話すとして、現時点では、「①チームとしてどのように勝とうとしているのか?」「②そのうえで、POIは効果的だったのか?」という2つを確認することでPOIの良し悪しを判断するのが良いと思っています。
例えば、下記のような事例を見てみましょう。
①戦略:チームの一貫性の観点から優位に立とうとする(相手はinconsistentだ!というところを一つの勝ちどころにしようとしている)/ チームのスタンスの証明責任を重くしようとする(相手が守りたい世界観をより丁寧に説明させる)
②良いPOI:相手のStanceに関する質問をする
例えば、THW legalize marijuanaの場合、Oppから"If you believe in free choice, how about hard drugs such as cocaine?" のようにして、govにスタンスをとらせる
→noと言ってきた場合は、自由を守ろうとしているのに、スタンスの一貫性がないよね、と指摘。cocaineとmarijuanaの違いは何か、という説明責任も押し付けに行く
→yesと言ってきた場合は、何でも自由を守りに行くリバタリアンだと指摘
例えば、THW ban political party based on ethnicityの場合、Oppから"How is this different from political party based on religion and ideology?"のように質問
→相手側は違いを説明せざるを得なくなる。説明ができなかった場合、ethnicityのuniquenessを証明する必要があったと指摘できる
→相手側がそれらも廃止する場合、「それでいうと、そもそもpolitical partyは特定の利益を代弁するはずに、それがそもそもできなくなる」のように批判することができる
(参考:悪いPOI:上記の戦略と関係ない内容)
これは一例ですが、あくまで「どのように勝とうとしているのか」というところと紐づいているのが一つ良いPOIの条件ではないでしょうか。
この問いはなかなか難しいです。
巷で言われていることとしては、
・短くてわかりやすい内容
・1つの内容だけに専念する
等と言われていますが、いまいち体系化されていない気がします。
なぜかというと、POIだけを切り取って説明することがとても難しいからだと思っています。
私は、POIは、現時点では「チームとしての合戦略性」×「端的さ」の2点により規定されていると思っています。上で書かれている内容はまさに後者にあたるものです。(15秒という制約条件の中で、どれくらいうまく言えるのか、が重要になるからです)
一方、前者である「戦略」の部分は今までなかなか即興型ディベートであまり語られていなかった気がします。
戦略に関する詳細は今度また別途話すとして、現時点では、「①チームとしてどのように勝とうとしているのか?」「②そのうえで、POIは効果的だったのか?」という2つを確認することでPOIの良し悪しを判断するのが良いと思っています。
例えば、下記のような事例を見てみましょう。
①戦略:チームの一貫性の観点から優位に立とうとする(相手はinconsistentだ!というところを一つの勝ちどころにしようとしている)/ チームのスタンスの証明責任を重くしようとする(相手が守りたい世界観をより丁寧に説明させる)
②良いPOI:相手のStanceに関する質問をする
例えば、THW legalize marijuanaの場合、Oppから"If you believe in free choice, how about hard drugs such as cocaine?" のようにして、govにスタンスをとらせる
→noと言ってきた場合は、自由を守ろうとしているのに、スタンスの一貫性がないよね、と指摘。cocaineとmarijuanaの違いは何か、という説明責任も押し付けに行く
→yesと言ってきた場合は、何でも自由を守りに行くリバタリアンだと指摘
例えば、THW ban political party based on ethnicityの場合、Oppから"How is this different from political party based on religion and ideology?"のように質問
→相手側は違いを説明せざるを得なくなる。説明ができなかった場合、ethnicityのuniquenessを証明する必要があったと指摘できる
→相手側がそれらも廃止する場合、「それでいうと、そもそもpolitical partyは特定の利益を代弁するはずに、それがそもそもできなくなる」のように批判することができる
(参考:悪いPOI:上記の戦略と関係ない内容)
これは一例ですが、あくまで「どのように勝とうとしているのか」というところと紐づいているのが一つ良いPOIの条件ではないでしょうか。
2017年7月18日火曜日
Definitionの戦略
日本語即興型の大会にいらして下さっていた方からご質問をいただきました。これは英語でも通じる話だと考えさせられましたので、どちらのオーディエンスにも向けて書いてみます。
まず、いただいた質問は下記のとおりです。
注:予選最終試合の議題(地球に巨大隕石が衝突することが発覚した。国際社会が最善を尽くした結果、人類の唯一の生存方法としてシェルターを開発したが、生存可能な人数は限定的である。 国際社会は生存する人類を、個人の能力や専門性を考慮せず、くじ引きにより決定する)
まず、非常にハイレベルな質問ですね。私個人の見解として、2点挙げたいと思っています。
①まずおっしゃる通り、ジャッジの考え方が大きく異なる部分はあるかと思います。
即興型で特徴的なのは、あくまで内容だとされているからです。また、細かい実現可能性はさておき、どちらにしろ起きる現象の是非について議論してほしい、というところもあるかと思います。
事実、特に近年、Definitionによって生じるメリット/デメリット(Argument)の扱いは「とられない」傾向にあるかと思います。(この傾向は、加速化していると個人的に感じています)
背後にある考え方としては、上記のような範囲を問題とする定義(生存人数など)であれば、単純にHard Case(ラディカルなもので、メリットも立ちやすい一方、デメリットも大きくなる)、Soft Case(差分が小さいもので、メリットも少ない一方、デメリットも小さくなる)なのかの違いになるのみで、その他の議論に大きく影響しないため、そのジャッジの方も「定義不要」とおっしゃったのだと思います。
②一方で、近年そのような傾向が国内で強まっているようにも感じますが、それはDefinitionを戦略的に活用するチームが少なくなった、ということも原因かと思います。
(①と鶏と卵の関係でもあるかもしれませんが)
国内でも、昔はDefinitionを細かく練り上げるチームが多かったイメージがあります。(特に、調査型出身者や、細かい議論が好きな人に多かったと思います)
海外でも比較的そうだったと思っていて、例えば2011年頃まで特にアクティブだった、TateというマレーシアのディベーターはDefinitionを戦略的に活用することで有名でした。
例えば、下記の動画では2:40程Definitionに使っています。(スピーチの1/3に相当!)
Definitionを「戦略的に行う」というのはどういう意味でしょうか。2つの意味合いがあると思います。
(1)自らのサイドのArgumentをより際立たせる
例えば、THW make parental leave mandatory.
において、(1か月とかよりも)1年ほどの育児休暇を導入する、という話にしておくほうが、自分が話すであろう子育ての話などがより際立つかと思います。
THW not cover unhealthy lifestyles under the national healthcare system.
においては、unhealthy lifestylesを喫煙、飲酒などに設定しておくほうが、より具体的にジャッジがイメージできるでしょう。
(2)相手のサイドのArgument、反論を弱める
THW introduce affirmative action for LGBT in the parliament.
において、「既存の議席の中で行うのではなく、新たに議席を追加し、その議席をLGBTが争うようにする」という定義をTateは行っていますが、
これは、一見、相手のデメリットである「議席が奪われたことによる反発」等を消しに行っている戦略と見せることができます。
THW allow euthanasia for children.
において、親の同意を必須とすることも、子供の"immaturity"を消しに行く戦略かと思います。
実はかくいう私も、Definitionには比較的凝るほうです。
特に実は、アジア大会では相当に気を付けます。なぜなら、感覚的ではありますが、Definitionにより厳しいジャッジ/ディベーターが多いと個人的には感じていたからです。特にDefinitionをしっかり行わないことで評価を下げられるケースや、否定側がその重箱の隅のような内容をつついてくるケースもあったからです。
例えば、アジア大会で下記のような議題が出ました。
THW reduce a prisoner's sentence for every state-approved book that they read
変にジャッジのVoteをぶらしたくないと思った私は、下記のようなDefinitionにしました。
a. state-approved bookは、政府が設置し、民主的正当性が担保できるような第三者委員会によって決める。決め方は文科省が教科書を決めるような方式を参考にする。
b. 選ばれる本から、反社会的な内容は除く(リハビリにつながる内容)
c. 1冊によってどの程度刑期を削減できるかは本の難しさなどにも依存するが、1冊読んで1年減らすような形ではなく、おそらく1月単位。
d. 1冊きちんと読んでいるかを確認するために、レポートの提出も義務付ける。内容をしっかりと理解しているかなどは国語の教師に値する人材が判定
a,bを支えに、自分のサイドのリハビリ(改心)の話を伸ばし、c,dのような話から否定側がいうであろう、「さぼるのではないか」「不公平なのでは」というような話を削りに行っています。また、d.を活用して「本を読むという行動がpatienceやdiligenceを生み、社会復帰がしやすくなる」のような話も立論しました。
ジャッジ(オーストラリア大会準優勝経験等)からは「細かいね!(笑)」と言われたものの、対象がわかりやすく、それが不公平ではない形できちんと立論にも効いていたため高評価をもらい、(それもあってか)勝利しました。
長くなりましたが、私も質問者と一緒で、Definitionをしっかり行うことは、確かにジャッジの"ブレ"を減らすことにつながりやすいと私は考えています。
ただ、ジャッジが近年あまり評価せず、Definitionをもとにメリット/デメリットを大きく建てるチームがいなくなってきていることから、最近は下火になっているというところかと思います。
一方で、ジャッジ/相手にもよるという月並みな答えにはなってしまいますが、今後Definitionを戦略的に使うチームなどが出てきたら、また考え方が変わるのかもしれません。
まず、いただいた質問は下記のとおりです。
大会を拝見して「即興はdefinitionより内容重視」とはこういうことかと思いました。ただそこで、でもdefinitionしないと選手はジャッジのvoteのブレを制御しにくいのでは?と疑問も浮かびました。
例えば、予選最終試合の宇宙船が10人乗りなのか1万人乗りなのか。ここは即興なら定義しなくともよい、と講評で聞きました。でも、くじで10人決めるのと1万人決めるのって野党側が出す生命維持の価値観でみたときの印象がかなり違うように思います。
ジャッジングの物の考え方が根本的に異なるのか、それとも定義するしないの度合いはケースバイケースであり、定義によって勝敗が変わるケースもあるのか。ご教示いただけないでしょうか。
注:予選最終試合の議題(地球に巨大隕石が衝突することが発覚した。国際社会が最善を尽くした結果、人類の唯一の生存方法としてシェルターを開発したが、生存可能な人数は限定的である。 国際社会は生存する人類を、個人の能力や専門性を考慮せず、くじ引きにより決定する)
まず、非常にハイレベルな質問ですね。私個人の見解として、2点挙げたいと思っています。
①まずおっしゃる通り、ジャッジの考え方が大きく異なる部分はあるかと思います。
即興型で特徴的なのは、あくまで内容だとされているからです。また、細かい実現可能性はさておき、どちらにしろ起きる現象の是非について議論してほしい、というところもあるかと思います。
事実、特に近年、Definitionによって生じるメリット/デメリット(Argument)の扱いは「とられない」傾向にあるかと思います。(この傾向は、加速化していると個人的に感じています)
背後にある考え方としては、上記のような範囲を問題とする定義(生存人数など)であれば、単純にHard Case(ラディカルなもので、メリットも立ちやすい一方、デメリットも大きくなる)、Soft Case(差分が小さいもので、メリットも少ない一方、デメリットも小さくなる)なのかの違いになるのみで、その他の議論に大きく影響しないため、そのジャッジの方も「定義不要」とおっしゃったのだと思います。
②一方で、近年そのような傾向が国内で強まっているようにも感じますが、それはDefinitionを戦略的に活用するチームが少なくなった、ということも原因かと思います。
(①と鶏と卵の関係でもあるかもしれませんが)
国内でも、昔はDefinitionを細かく練り上げるチームが多かったイメージがあります。(特に、調査型出身者や、細かい議論が好きな人に多かったと思います)
海外でも比較的そうだったと思っていて、例えば2011年頃まで特にアクティブだった、TateというマレーシアのディベーターはDefinitionを戦略的に活用することで有名でした。
例えば、下記の動画では2:40程Definitionに使っています。(スピーチの1/3に相当!)
Definitionを「戦略的に行う」というのはどういう意味でしょうか。2つの意味合いがあると思います。
(1)自らのサイドのArgumentをより際立たせる
例えば、THW make parental leave mandatory.
において、(1か月とかよりも)1年ほどの育児休暇を導入する、という話にしておくほうが、自分が話すであろう子育ての話などがより際立つかと思います。
THW not cover unhealthy lifestyles under the national healthcare system.
においては、unhealthy lifestylesを喫煙、飲酒などに設定しておくほうが、より具体的にジャッジがイメージできるでしょう。
(2)相手のサイドのArgument、反論を弱める
THW introduce affirmative action for LGBT in the parliament.
において、「既存の議席の中で行うのではなく、新たに議席を追加し、その議席をLGBTが争うようにする」という定義をTateは行っていますが、
これは、一見、相手のデメリットである「議席が奪われたことによる反発」等を消しに行っている戦略と見せることができます。
THW allow euthanasia for children.
において、親の同意を必須とすることも、子供の"immaturity"を消しに行く戦略かと思います。
実はかくいう私も、Definitionには比較的凝るほうです。
特に実は、アジア大会では相当に気を付けます。なぜなら、感覚的ではありますが、Definitionにより厳しいジャッジ/ディベーターが多いと個人的には感じていたからです。特にDefinitionをしっかり行わないことで評価を下げられるケースや、否定側がその重箱の隅のような内容をつついてくるケースもあったからです。
例えば、アジア大会で下記のような議題が出ました。
THW reduce a prisoner's sentence for every state-approved book that they read
変にジャッジのVoteをぶらしたくないと思った私は、下記のようなDefinitionにしました。
a. state-approved bookは、政府が設置し、民主的正当性が担保できるような第三者委員会によって決める。決め方は文科省が教科書を決めるような方式を参考にする。
b. 選ばれる本から、反社会的な内容は除く(リハビリにつながる内容)
c. 1冊によってどの程度刑期を削減できるかは本の難しさなどにも依存するが、1冊読んで1年減らすような形ではなく、おそらく1月単位。
d. 1冊きちんと読んでいるかを確認するために、レポートの提出も義務付ける。内容をしっかりと理解しているかなどは国語の教師に値する人材が判定
a,bを支えに、自分のサイドのリハビリ(改心)の話を伸ばし、c,dのような話から否定側がいうであろう、「さぼるのではないか」「不公平なのでは」というような話を削りに行っています。また、d.を活用して「本を読むという行動がpatienceやdiligenceを生み、社会復帰がしやすくなる」のような話も立論しました。
ジャッジ(オーストラリア大会準優勝経験等)からは「細かいね!(笑)」と言われたものの、対象がわかりやすく、それが不公平ではない形できちんと立論にも効いていたため高評価をもらい、(それもあってか)勝利しました。
長くなりましたが、私も質問者と一緒で、Definitionをしっかり行うことは、確かにジャッジの"ブレ"を減らすことにつながりやすいと私は考えています。
ただ、ジャッジが近年あまり評価せず、Definitionをもとにメリット/デメリットを大きく建てるチームがいなくなってきていることから、最近は下火になっているというところかと思います。
一方で、ジャッジ/相手にもよるという月並みな答えにはなってしまいますが、今後Definitionを戦略的に使うチームなどが出てきたら、また考え方が変わるのかもしれません。
2017年7月9日日曜日
日本語即興型ディベートの可能性 メモ
今日は日本語即興型のディベート大会に審査員として行ってきました。
(PJのマネジメントに少しだけかかわらせていただいており、大会には、議題のアドバイスと、事前資料作成などで携わりました)
即興型/調査型のディベーターがいりまじっていて、とても新鮮でした。
どっちもいいところがあって、すごくよかったです。
思ったことをいくつか、箇条書きで。
・即興型と調査型の大きな差分は①想定しているジャッジ像(専門家VS一般人)、②プレパ時間、③議題の幅
・調査型の優位性は、(①からくる)議論の厳密性とエビデンスの重視、(②、③からくる)Horizontal思考の徹底的な鍛え上げとリサーチ力
・即興型の優位性は、(①からくる)トップダウン/マクロ・ミクロのわかりやすいストラクチャーや感情的な説得力、(②からくる)即興性・スピード感、(③からくる)多くの議論への対応(教養/柔軟性)
・英語即興型と比べた際に日本語即興型の優位性は、日本語であるがゆえのよりクリティカルさ、political correctnessへの配慮、言葉への込める重さ等。
>All
日本語即興型ディベート面白いのでは?と思っています
>英語即興型ディベートをやっているみなさん
・調査型のHorizontal思考と議論の厳密性は盗むべき
・長時間かけて考えるのはたぶんもっとやったほうがいい(調査型はそこに命かけてるので。さらにいうと、うまい即興型の人は結構やってます)
と思いました。取り急ぎ
(PJのマネジメントに少しだけかかわらせていただいており、大会には、議題のアドバイスと、事前資料作成などで携わりました)
即興型/調査型のディベーターがいりまじっていて、とても新鮮でした。
どっちもいいところがあって、すごくよかったです。
思ったことをいくつか、箇条書きで。
・即興型と調査型の大きな差分は①想定しているジャッジ像(専門家VS一般人)、②プレパ時間、③議題の幅
・調査型の優位性は、(①からくる)議論の厳密性とエビデンスの重視、(②、③からくる)Horizontal思考の徹底的な鍛え上げとリサーチ力
・即興型の優位性は、(①からくる)トップダウン/マクロ・ミクロのわかりやすいストラクチャーや感情的な説得力、(②からくる)即興性・スピード感、(③からくる)多くの議論への対応(教養/柔軟性)
・英語即興型と比べた際に日本語即興型の優位性は、日本語であるがゆえのよりクリティカルさ、political correctnessへの配慮、言葉への込める重さ等。
>All
日本語即興型ディベート面白いのでは?と思っています
>英語即興型ディベートをやっているみなさん
・調査型のHorizontal思考と議論の厳密性は盗むべき
・長時間かけて考えるのはたぶんもっとやったほうがいい(調査型はそこに命かけてるので。さらにいうと、うまい即興型の人は結構やってます)
・日本語でやるほうがもしかしたらより説得的なのかどうか精査できる場合があるのかも?(昔一部の大学でやっていた日本語即興型もありなのかもしれない)
と思いました。取り急ぎ
2017年5月26日金曜日
ディベート2.0時代の幕開け
ディベート2.0
このコンセプトだけ先出しさせてください。
自分としてもまだ練り上げているところですが、
この前非ディベーターの方に講演でお話ししたところ、とても反応がよく。
取り急ぎ、自分のメモとして。
このコンセプトだけ先出しさせてください。
自分としてもまだ練り上げているところですが、
この前非ディベーターの方に講演でお話ししたところ、とても反応がよく。
取り急ぎ、自分のメモとして。
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