2018年8月4日土曜日

Do not reinvent the wheel!

最近、上級生の人に教育関係のお話をさせて頂く際に、
"Do not reinvent the wheel!"とお話させて頂いております。

Wikipediaによると下記の意味です。
車輪の再発明(しゃりんのさいはつめい、英: reinventing the wheel)は、車輪を題材にした慣用句であり、世界中で使われている。「広く受け入れられ確立されている技術や解決法を知らずに(または意図的に無視して)、同様のものを再び一から作ること」を意味する。
すなわち、実は簡単に学べることがあるにもかかわらず、それを苦労して学んでいる構図があるのではないでしょうか、と思っています。

例えばPrincipleに関して、特定の専門性(法律、経済、IR)、戦術(BPのClosingでの勝ち方)等に関しては、コミュニティを見ていると残念ながらReinvent the wheelが起きているような気がします。

逆にReinvent the wheelをしていない例は、いわゆる基本ルールに加え、AREA、Triple Aをはじめとした、1年生向けのベーシック・ディベート・スキルだと思います。

これは何もあなたのせいというわけではなく、日本ディベート界が持つ構造的な問題なのかもしれません。例えば、3年生で就職活動などをはじめとして一回ディベートから離れてしまうため指導者不足に陥ってしまうことはどの地域でもあるかと思います。ディベート・コーチというロールが(一部の大学が過去に行っていたことはありますが)あまり浸透していないこともあるかと思います。Pro-Amのように上級生-下級生が組む大会があまりないというのもあるかもしれません。また、全体的な運営体制が1年で引継ぎというところで、引継ぎの断絶が起きていることもあり得ます。

抽象化して、一般論としてReinvent the wheelをしないためには暗黙知を形式知化しアクセシブルにすること、もしくは暗黙知を継承できる制度になるかと思います。

>部の運営者の皆様
前者は、いわゆるレクチャー資料づくり、勉強会、資料共有等になるかと思いますが、例えばそれを部の単位でいうとIntelligence機能の具備もありますが、実は「レクチャー/エジュケのノウハウシェア」というところが抜け落ちている気がします。「レクチャーのレクチャー」とかが増えるといいのかもしれませんね。
現役の頃からを合わせると、10校以上に対してエジュケ等の相談を受けましたが、どうやら継続的にはないようです。昔はIXIAという部長会でインフォーマルで行われていた、ということも聞きますが。あと、UTでは伝統的に上級生が春合宿でレクチャラーを務めるような制度になっています。
あとは意外にも、「どこにどういうソースがあるかわからない」という情報の一元管理不足ということも根深いかもしれません。いわゆるディベートを熱狂的に行っている人はJPDUのセミナー資料も全部読んでいますし、ありがたいことに本ディベート自由帳も全部読んでくださっています。また、海外レクチャー系もEUDCも含め見ています。でもそうでないと、そもそも知らない…ということも大きいようです。

後者でいうと、コーチ制等があるかと思います。昔はUTでも例えばBP Noviceに向けて上級生が下級生に教える(最近だと道場という形で続いている模様)とかがあり、AGU等でも取り入れられていたと聞きます。海外ですと、Pro-Amが結構あるみたいで増えたらいいなぁと思っています。ただこれはちょっと留意が必要で、例えば社会人になると正直直前のドタキャンリスクがあっていつも申し訳ないという構図もあったりするので、それが解消されると(オーストラリアだと飛び入り参加とかもできるとか?)さらに嬉しいなと思ったりもします。

>レクチャー担当者の皆様
また、レクチャー担当の個人となると、まずは「類似資料をあさる」「他のレクチャー経験者に話を聞く」というようなところからスタートするといいかと思います。

akもUTでおそらく5年以上にわたって使われたエジュケ資料をつくるにあたっては、先輩のエジュケ資料を全部もらいました。JPDUの資料は全部読みました。Principleの今は有名となったTriple Aの型も先輩とディスカッションしたこともあります。

また、もし可能であればそういったレクチャー資料の公開等も行っていくとよいかと思います。どんな人にとっても「公共財」になるというところがあるといいなと思いディベート自由帳もスタートしているので、もしこのパッションに共感頂いたらぜひ。

Do not reinvent the wheel!

2018年6月25日月曜日

ディベートを辞めたくなったあなたに4つの問いかけ

他の部活と同様、ディベートを辞めたくなる時ってあると思います。特に、ディベートは辛い時期があります。
ak_debateもそうです。特に全然伸びずに自分はディベートが向いていないんだなと日々思ったときは何度もありました。他のサークル活動と比較したこともありました。"引退"として、9ヵ月間一切ディベートの大会やイベントに出なかったこともありました。

ディベートを辞めたくなる理由は人によりますが、結論として辞めるのもありですし、距離を置くのもありですし、またはがむしゃらに再スタートするのもありだと思います。私は以下のような4つの問いかけをさせて頂くことが多いです。

1.改めて、今ディベートを辞めたい理由って何なんだろう?
 まず、ここの言語化はかなりつらい部分もあると思います。感情の吐露にもなることが多く、akも過去に紙にがーーーっと書き殴ったりして無理やり思考を言語化したり、多くの先輩を捕まえては愚痴を聞いてもらったりしたこともあります。
 これを考える上では、いつごろから辛くなったのか、もやもやしたのか、そのきっかけは、等を考えることが多いです。そしてそれはなぜか、というのをWhyを繰り返しながら考えていきます。
 その結果として、辞めたい理由を分類します。例えばそれがディベートの競技に起因するものなのか、コミュニティに起因するものなのか、もしくは一時的なのか恒常的なのかなどが分かってくるかと思います。これが例えば結構競技・コミュニティ両方にまたがり、恒常的なのであればもしかしたら辞めるという選択肢が現実的になってくるかもしれません。
 そしてその原因を考えます。例えば競技だとしたら何でうまくならないのか、のようなことを考えるわけです。その結果として原因が自分でどうしようもないものとどうにかしようのあるものにも分かれてくるかと思います。自分でどうにかできそうだったらそれを解消する、とかになるかもしれませんし、逆にどうしても解決できないとかであれば諦めるとかかもしれません。
 
2.ディベートをやりたいと思ったきっかけって何なんだろう?やりたいと思った瞬間は何だろう?
 ディベートを始めたきっかけって人それぞれだと思います。また、やり続けようと思った理由もそれぞれだと思います。どういうところが楽しいと思ったり、感動したり、心が動いたりしたのでしょうか?
 これも、競技やコミュニティの話になるかと思います。akの場合は先輩が色々なアイデアをポンポン出せることに感動していたり、英語力を維持したいなと思ったりしていたのが最初で、それが徐々に人の成長に寄り添える喜びなどに代わっていきました。特にakゼミ等のコーチを通じてそれを感じました。理不尽さ、不条理さをなくしたいという自分のミッションにミートする部分が多いと思ったのもあると思います。最近は色々アカデミックな面やディベート初心者向けへのチャレンジ環境も魅力的ですし、OBOG会をはじめとした組織運営も非常に楽しいです。それら関係なしにかけがないの無い友人が属しているというのも大きいかと。

3.例えば、これから1年、2年とディベートを続けたとするとどういう未来が待っているのだろうか?自分は将来どうありたいのか?
 この問いも重要です。時間は有限のため全部やることはできません。どうしても何かしらの優先順位もつけないといけなくなります。
 個人的な所感ですが、競技ディベーターとしてトップを目指してコミットすることはその分かなりの時間的投資を要することにはなるかと思っています。何ならコスパが悪いと評している人もいます。思考力・知識・プレゼン力を上げていく必要性がありますし、当然これはコミュニティが成熟すればするほど相対的に満たさないといけない水準もあがっていきます(=競争は激化します)。もちろん例えばそれがそういう優勝というような結果ではなく、あくまで自分のディベート力を身に着けたいというような教育的意義であれば、その目標が達成されるまでかもしれません。
 ちなみにakは社会人1年目はディベートを"引退"していました。その最大の理由は、私がそんなに器用な人間ではないということと、自分の将来である理不尽さや不条理さを解決したいというミッションに照らし合わせたときに、明確に職業上得られるスキルをつけることが優先順位として高くなるからです。いくらディベートと社会人スキルの一部が重なるとはいえ、未知のスキルのほうが多い中、新しいスキルを身に着けるというのはかなりチャレンジングでcomfort zoneからも抜けないといけません。うまくバランスをとれる人ならともかく、ある種、やり方もわかっているディベートに行くことをakの場合"逃げ道"としてしまうことがありそうだと私の場合は判断し、あえて"引退"にしたわけです。(もちろんもっと器用な人とかはうまくできるでしょうし、これは決して社会人ディベーターを批判している意図では当然ありません)。今は改めて足りないスキルを訓練したり、またはコミュニティビルディングやディベート普及、教育や研究等別の理由があるため"比較的"適度な距離感をもってディベートに携われるようになりましたが、最初からやっていたらできなかったと思います。
 他にも、学生時代から院の研究が忙しい時期、就職活動の時期などはあまりディベートしませんでした。あとはその意思決定はしませんでしたが、他のサークルに入る、だとかをしていたとしたら(ちなみに2年くらいまで2つくらいサークルはやっていましたし、イベントとかはM1とかでも私は出ていました)さらに競技の優先順位は下がっていたかと思います。ディベート以外のコミュニティや活動も当然魅力的なので。
 ネガティブなことをかなり書きましたが、もちろん一方で、ディベートで継続的に得られる短い時間での思考力や、勝つために必死に得られる知識、人を説得するという汎用的なスキルが身についていく様や、それ以上にコミュニティのあったかさなどはとても魅力のため、そこに居続けるという未来もわくわくするものでもあるとは思っています。

4.これらの結果、ディベートとどう向き合うか?
以上の3つの問いに答えると、おのずと今後どうするかというオプションが見えてきます。それは例えば下記のようなパターンになり得るかと思います。

・ディベートに起因しないような一時的な悩みだったのでとりあえずまた明日からがむしゃらに頑張る
・ディベートに起因する問題であり、それを解決できるようにする(例:XXの観点から伸び悩んでいたのでそれを伸ばすためにYYをする)
・しばらくディベートをやった結果の燃えつき症候群だったのでしばらくディベートから距離を置く
・他のやりたいことがあるのでしばらくはそちらを優先する
・ディベートをきっぱりやめて、別のことにコミットする

私自身、この4つの問いは定期的に考えます。どのような選択肢を選ぶのかも、あなた次第だとは思います。ただ、この4つの問いを考えてみると、思考が一歩前進するかもしれません。

2018年6月22日金曜日

大会直前の準備方法

大会直前って不安ですよね。最後の2-3日にak_debateが何をやっているのか、4点ご紹介します。

その1:
「大会中に意識すること」を書きだすリストを最終化します。これは「イントロを短くする」「Intuitiveなイラストをする」とかが5個くらい並んでます。大会中には必ずプレパ用バインダーの一番下のページにおいて、何度も見返しています。

その2:
今までのラウンドの復習をします。やった練習を思い出して、こういうこと言えたなぁというディベート各論的なことであったり(ディベートノートを更新する)、スキル的にこういうことがうまくなったなーとか学びを棚下すイメージです。新しいことよりも定着重視です。新しいことをやり始めちゃうとなかなか一気に習得できないんで。

その3:
自分のディベートの調子を最大限に高める工夫をします。ディベート10年目でもいまだにやっているのは、自分がお手本にしている、こういうスピーチをしたいなという有名音源を聞いてイメトレしたり、調子が良かった時の自分を聞いてモチベートしています。仮に直前で調子が悪かったとしても、寝て切り替えるくらいの勢いです。

その4:
そして最後に、身体的なコンディションを整えることを最優先します。結局持っているスキル・やる気がいくら高くても体調が悪いと元も子もないので、ゆーっくりお風呂に入って、好きな音楽(僕の場合いきものがかりとか)聞いてリラックスします。

少しでも参考になれば幸いです。Good luck!









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2018年5月31日木曜日

【御礼】10万アクセス&1000フォロワー超え! + ブログを書いている理由

ついにブログの10万アクセス、Twitterの1000フォロワー超えを達成いたしました!

ブログを始めたことろはこんなにアクセス数が伸びるとは思っていませんでした。読んでくださっている皆様のおかげです。

ふと過去ログを振り返ると、2012年にスタートしているようです。もう6年たつということで早いものです。最初はひっそりと行っていたのですが、今ですとこのブログを読んでくださっている、ないしはak_debateのアカウントを普段フォローしてくださっている、という声を掛けてくださる方も増えました。大変嬉しい限りで、それが励みになっています。

なぜブログを書いているのでしょうか?それは私が理不尽さ・不条理さが嫌いだというところに根差していると思います。例えば、それがいわゆる強豪校じゃない場合、先輩が就職活動等でいなくなってしまった場合、地理的に簡単に試合ができる状況にない、部を立ち上げようとしているけれども仲間がいない、練習機会が限られている…等、大学生であれ、社会人であれ、中高生であれ、色々な理不尽さ、不条理さってあると思います。要は自分でコントロールできない要因でディベートの楽しみを知れないだとか、うまくなれるはずなのになれない、のようなことって辛いと思います。

それから、教えることによって、他の方が「できるようになった」という場面に立ち会うのが好きなんだと思います。人に教えるというのは責任が重く頭を悩ませますが、その分やりがいも大きいことです。ふと途中から自分の結果も当然さることながら、必死にコーチした後輩が活躍していたことに嬉しさを覚えることも増えました。(それでも負けず嫌いなので負けると悔しいですが 笑)

それから、日本ディベートコミュニティ全体が強くなってほしい、という想いもあります。私がディベートを始めたきっかけのひとつは「世界で戦える」ところに魅力を覚えたからです。昔テートという超絶強いマレーシアのディベーターが言っていたことですが、「君たち(日本人)が言ったからといって、説得力を持たないわけではない」というようなことは印象に残っています。考えてみれば、日本人だからという理由で頭が悪いわけでもないはずですし、説得力を持たないわけでもないはずです。もちろん英語などのハンデはあっても、勝つポテンシャルはあるはずです。ここ数年で東南アジアも強くなりました。北東アジアも活躍するようになりました。次は日本がより世界に羽ばたいてほしいと思っています。僕は1年生で世界大会に行って4回連続最下位を取るなど、散々な結果でした。最後の年で意気込んでもメインブレイクには到底届きませんでした。そういう意味ですと、その夢をコミュニティに託しているのかもしれません。それが、ある種"公共財"の提供なのかなと思っています。ここには、私が運よく先輩・同期・後輩から教わったこと、自分で考えていることをできる限り言語化・理論化したいという意図があります。

このような想いから、ブログを書いているんだと思います。勿論私の理論も完ぺきではないところも多々あるかとおっもいます。それでも、少しでも理不尽さ・不条理さが解消されれば、少しでも成長に寄り添えれば、少しでも日本が強くなれば、という思いで書いていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

2018年5月20日日曜日

【80点超えのスピーチシリーズ各論⑤】Reply編

総論としての「80点超えのスピーチをするには」を受けた、各論シリーズです。
今までのPrime Minister編、Leader of the Opposition編、Deputy Speakers編、Whip編の続編となります。

厳密に言うと、Replyは1/2の点数なので40点超え、ということになりますが、そちらはご容赦頂ければ幸いです。

Replyに関しては、下記がポイントだと思っています。

1.ラウンドの固有のまとめを、Whipと異なる形で出す
Whip編でも書きましたが、「汎用的なフレームを活用しながら、ラウンドに固有な纏め方を探す」ことが重要になるのはReply Speakerも同様です。ただ一つポイントとなるのは、Whipとは異なる纏めの方法が推奨されていることです。
この理由は定かではないのですが、「同じ纏め方だと飽きちゃうから(Newがないから)」という点に尽きる気がします。Whip、Replyでチームとしての優位性を示すチャンスが2回ある中で、同じフレームで戦うことは一本足打法にならざるを得ないのでお勧めはしないです。

2. "Biased Adjudication"として勝ちの理由を示す
特にオーストラリアでは、Whipとは異なりReplyは"Biased Adjudication"になる必要があると教えています。これを解釈すると、どのようなことが考えられるでしょうか。ジャッジのReason for Decisionに近い言葉を使うということになるかもしれません。
例えば、Failureの指摘が考えられます。これは改めてDrop等が発生しているというようなClash basedの議論もあるかもしれませんし、相手の議論の強度に関してRelevancy、Logic、Uniquenessの薄さ等を指摘することもあるかと思います。特にかなり競っている場合はこれがVoting Issueになり得る可能性もあります。
あとはNewになるのかは見せ方次第な部分もありますが、優位性の軸(インパクトの大きさなど)を示すことも可能かもしれません。

3. 伸ばせる部分は伸ばし続けること
NA StyleだとそもそもNew examplesがReplyでOKであることからそれを出すことでぐっと具体性を引き寄せることもあるかもしれません。ただ、NAではなくReplyであったとしても、ギリギリ、イラストでは伸ばしきれる余地があることもあります。すでに出た話を最大限伸ばしにかかることは非常に重要です。
私自身、あるクロースな試合の決勝で、リーダーが話した話を改めてごり押して勝利をもぎとったことがあります。意外と主要なポイントを伸ばすことがキーになることもあるという好例かもしれません。
どの部分を伸ばすかというのは、あくまで強い部分、すなわちExclusiveであったり、Intuitiveであるような部分が優先になるのではないでしょうか。

4. 反論ができないにしても、前のスピーチを踏まえること
これは意外と教わらないポイントですが、例えばGov Replyの場合Opp Replyを踏まえることも重要です。例えば、Emotionalに訴えかけられた際は、Emotionalに返しつつもLogicalな部分で優位性を保つということもあり得ます。また、例えばOpp ReplyでFailureを指摘されていた場合は、そのFailureが存在しないことor相手にも同じ軸でFailureがある、というような暗黙の反論もあり得るかと思います。反論以外でも対応方法はあるという示唆ですね。

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2018年5月6日日曜日

後輩と組む時に ~akが考えていたこと、やってもらえて嬉しかったこと~

皆さんGWはいかがお過ごしでしょうか。
エリザベス杯に残念ながら間に合わなかったのですが、akが後輩と組む時に気を付けていたことを知りたい、というリクエストを頂戴したので書いてみます。
akも色々な先輩と組ませて頂いた中で、やってもらって嬉しかったこと+やろうとしていたことを取りとめもなく書かせてください。

(ここでの前提は、先輩ということで一定程度ディベートの能力・経験は比較的高い、ということにしています。毎回そうとは限りませんが…笑)

1.あくまでパートナーとしてフェアな関係性を目指すために、Welcomingな雰囲気をつくる
これが一番大事だと思います。結局のところ、先輩ー後輩間にはどうしても何もしない場合だと遠慮というか、力関係が発生してしまうことは避けられないと思います。("power imbalance"ってやつですね)

普通のパートナーでも、「あなたなことを大切に思っている」「あなたの意見・スピーチにも価値がある」というようなコミュニケーションはチームビルディング上肝要ですが、いい先輩方はそれを特に意識してくださっていたように思えます。

例えばですが下記のようなBehaviorに落ちるのではないでしょうか。

・プレパの間で出たアイデアをちゃんと聞いてくれて、それがスピーチに組み入れられる
(例えば、akが思いついた話がちゃんとArgumentになっていくことがある)
・ラウンド外でしっかりと褒められる/リスペクトが払われる
(例えば、ある伝説的な先輩は「akくんはとても組みやすいね」とふとおっしゃってくださったことがあり感激しました)
・フィードバックが双方になされる
(だいたい先輩から後輩への一方通行になりがちですが、先輩も後輩からの意見を求める。例えば、akは「もしよければ僕もフィードバック欲しいんだけど・・・」と話して、困惑された場合「あ、じゃあ良かったところ褒めて(笑)」と言って話しやすそうなところを言ってもらい場を温めてから、「しいて言うとしたらスピーチのどの辺が気になった?」と聞くようにしています。その時出なかった場合は「あ、まあ今後また気になったら教えて!」といって閉じて2回目に聞くと教えてくれたりします)

こうすることによって、勝ち負けに関係なしにラウンドが楽しくなりますし、さらには後輩もよりリラックスして発言してくれるより好循環に入りやすくなるため、チームとしてのパフォーマンスもあがります。

正直、後輩の視点ってめちゃめちゃ参考になります。私もああその話全然思いつかないなぁとか、結構ありますね。(後輩のおかげで勝てたラウンドとかも結構あります)なのでこの1.の話を言い換えると、後輩のいい話をどんどん出してもらえるようにする環境づくり、というところだけは先輩の役割かなと思います。あくまで走りたいなら道路ちゃんと整備するだとか、花を咲かせようとするなら土くらいちゃんと耕すか、くらいの心づもりかもしれません。

2.チームとしての"成長エンジン"の設計;その際、普段よりも人一倍パートナーのディベート力を分析し、勝ちに繋げる

では、後輩と組んで勝ちに繋げるためにはどうすれば良いのでしょうか。
結局のところ、チーム全体としての「総力」が勝敗には基本的に直結します。
となると、チームとしての総力をあげにかかることが重要になるわけです。

そのためには、"成長エンジン"の記事でも書きましたが、To-Be、As-Is、Approachをしっかり考えることが重要になります。この場合の3つの問いは、下記の3つになります。

1.どういうチームになりたいのか?
2.今、パートナーと自分はどういう状態か?(今どういうチームか?)
3.なりたいチームになるためには何が必要か?

1.はブレイクのようなディベートの実績的なこともあるかもしれませんし、イラストがうまくなる!のようなものもあるかと思いますが、
特にキーとなるのは2.となります。

自分のことをよく知ることはもちろんですが、パートナーのディベート力を人一倍分析することが重要となります。

どういうことかというと、例えばパートナーがPracticalが強いと。で、あなたもPracticalが強い。そうだとすると同じことを繰り返してしまいがちでチームとしての最大出力があがらないとかありますね。となると、例えば自分はPrincipleをうまくなる、とかしていくことも場合によってはあるわけです。

例えばakが一回あったのは、後輩をみているとすごくマクロな話が強いと。いわゆるフレーミングはいいのだが、具体論があまりないと感じていて、ジャッジからもそういうフィードバックを多くもらっていました。そこでやったのは、当然具体的にするためのコツみたいなことはその後輩に教えつつ(例えば、こちらで書いたような内容です)、特に具体的な話は意識してプレパでakが詰めるようにしました。一部それを言ってもらったり、どうしてもその後輩がカバーできなかった部分のイラストはあえてakがイントロで言う等するようにしたりしました。

そんな風に今の段階で目立つ強みがない、という場合は彼/彼女ができることを起点に「役割」をお願いする、というところかもしれません。特に、自分の強み/弱みと掛け合わせて考えることがポイントです。例えば、akは具体的な話があるほうが議論がしやすいタイプなのです。(チープな言い方ですが、「叩き台」があればそこからブラッシュアップするほうが得意)なので、一人の後輩にお願いしたのは相手が何を言うか考えてくれない?ということもありました。後輩が考えてくれる相手の話は確かによくて、じゃあそれをどうやって上回ろうか、という議論に時間をより効率的に割くことができるようになったこともありました。

また中長期的な教育の意味も込めて、今までやった練習方法などはかなり積極的に教えるといいとも思います。参考になった練習法やディベート資料はどんどんシェアしましょう。個人的に一度あったのは、昔ICU出身の先輩の方と組ませて頂いたときに、リサーチのメソッドを教えてもらったことがあります。具体的にはPost Itに具体的なArgumentと具体例が貼ってあると。スピーチのときにはそれをぱっと貼って話せるようにしている、と聞いてすごく合理的だなと思いました。(なお、この練習法を最初に始めた人は、世界大会で日本人記録を持っている方です)akも一時期やってかなり役立ちましたが、今はより自分にフィットした形にカスタマイズしディベートノートとマターファイルにしました。また、普段読んでいるメディアなども色々教えてもらいました。

3. 定期的にコミュニケーションをとり、より良いチーム作りを目指す

akはかなりこれをどのような人ともやるのですが、定期的にラウンドやディベートに関してコミュニケーションをとることは意識しています。具体的には、下記をよくコミュニケーションしていました。

・今悩んでいること
・より先輩としてサポートできそうなこと
・より先輩として改善できること

例えば、よくあるパターンというのは、後輩に「独裁的に」なりすぎていないかということです。あと、例えばスピーチづくりなどもPrime Ministerだとついついかなり指示してしまうこともあります。これだと組んでいる側からすると「先輩の言いなり」になっている感がぬぐえなくなってしまう場合もあります(一方で、それを欲しがる場合もありますが…)

なのでそういったこともざっくばらんに聞いていったりできるとより良いですね。

あとくだらないかもしれませんが、akは一緒に食事をとることも結構意識しています。美味しい食事を一緒に食べるとチーム力ってあがるだとか、場合によっては手作りの食事を食べたりすると結束力があがるだとかという研究もあるようです。(最近だと色々な会社が取り入れたりしているだとか。もちろん人それぞれだとは思うので、強制とかはしませんが。)たまたまですが、昔ある大会で、関東圏に住んでいない後輩と組んだ時は家に泊まってもらったのですが、ついでに大したことはないですが手料理もふるまわせて頂きました。後で聞いたところ「手作りの食事をふるまってくださったおかげでだいぶ距離が縮まりました、同じ釜の飯を食った、じゃないですけど」と言ってくれたので、効果があったのかもしれません。
(ちなみにもちろんですが食事中にフィードバックなどはしません。楽しく食べることに集中したいので雑談です 笑)

4. マインドとしては「勝ったら後輩のおかげ、負けたら自分のせい」として臨む

これは特定のアクションに落ちないのかもしれませんが、このスタンスでいる人って格好いいなと思います。
やや蛇足ですが、社会人になっていい上司もこの要件を満たしていると思います。ミスがあっても、上司が矢面にたち「そうですね、ごめんなさい」と言い、「しっかりとリードできずにすみません」と謝られたこともありその時はこの人すごいな…と思いました。

ディベートで言うと、昔尊敬する他大学の先輩と組ませて頂いた時があったのですが、その人の実績を鑑みると十分決勝トーナメントで勝ち進めなかったことがありました。結果が出たときは当然のごとく落ち込みましたし、ああ僕のせいだなぁと思っていたところ、先輩が「あの負けは僕のせいだ」とおっしゃった際は改めてこの先輩は恰好いいなと思った次第です。

あと、ジャッジのイケてないフィードバックのパターンとして、言い方が悪く結果的に「足を引っ張ってしまった」人をかなり責めることがあります。「リーダーでは全然立ってなくて~」「Memberが反論で機能していなくて」のようなことは、フィードバックとしてはあんまりイケてないので他の言い方が当然必要ですが、そのような言葉を聞いて落ち込んでしまうことがあります。そういう時に「あのいい方はちょっと無いよね」「まあ確かにXXの観点はそうかもしれないけど、Yの観点とかよかったし」等のフォローができるといいなぁと思いますね。

ここで言えるのは、ついつい人は他責にしがちです。自責って結構辛いですからね。やれモーションのせいだと言ってACを批判し、やれジャッジのせいだと言ってジャッジにイラジャとラベルを貼りがちです。akも何度もおそらくやっていたので反省しかないのですが、その中でチームメイトである後輩のせいにしたい、というのは無意識的に分かりやすいところではある逃げ道だとは思います。ただ、先輩の責務としてそれを言い訳に絶対にさせない気概で組む、というのが一つ個人的には刺さる先輩像だと感じています。

これは勝敗に少し直結しないかもしれませんが、人として先輩として意識したいポイントかなと思っています。

以上となります。ご参考になれば幸いです。

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2018年4月28日土曜日

【即興型ディベート初心者向けポスト】 プレゼンテーションの型・"AREA"

スピーチって結局どうすればいいの?というなった際に、ディベートを始めたばかりの皆さんが最初に触れるのがAREAというプレゼンの型だと思います。

Assertion、Reasoning、Example、Assertion の頭文字で、主張(結論)、理由、例、主張という、結論のサンドウィッチ形式で話すのが良いとされています。
(ちなみに余談ですが、人によってはOREOと呼ぶこともあるようです。この場合はOはOpinionということです。)

念のため図示化するとこうなります。

Assertion
Reasoning
Example
Assertion

例えば、タバコ禁止(THW ban tobacco.)という議題であれば、下記のようなパターンがあり得ます。

Assertion タバコは健康に悪いので禁止すべき
Reasoning タバコには有害物質が含まれているし、中毒性もあるため継続的に健康リスクが高まる
Example 肺がん、脳卒中や心筋梗塞を引き起こすこともある
Assertion なので健康に悪いタバコは禁止すべき

ここまではよく教わります。ですが、意外とコツとセットでは教わらないこともありまるので、ak_debateが教える際に伝えている点を3つシェア致します。

1.R(理由付け)は直観的 and/or複数で
第1に、Rである理由に関してですが、理由はできれば直観的なものや、複数(できれば3つがよく説得的とされます)挙げられると良いです。
ややハイレベルなことを申し上げますと、理由が出ない場合はTBH思考法を試してみるといいでしょう。初心者の方には、中でもBottom-Upで考えること(具体的にどういう人が影響されるのか?等)をオススメしています。
逆に理由が出すぎる場合は、似たような話をグルーピングするといいです。
ここは余談ですが、プレゼンのとき3は覚えやすい数字だとされています。2つだと少ないな、4つ以上だと多すぎて覚えられないな、となるようです。

2.E(例)は解像度をあげて感情に訴えかけろ
第2に、例はほかの人と共通の理解が得られるほどに解像度を上げる(想像できるほど具体的にする)ところまで深掘りできると良いです。どのような人が、どのように影響されるのかをストーリー的に話せるとよく、特に不満、不安のような負の感情に訴えかけられると良いです。
ak_debateがよくやるのは、具体的な映像を頭に思い浮かべることです。漫画、小説、映画のようなフィクションに頼ることもありますし、家族や友人などの顔を思い浮かべることもあります。またニュースで見たことのあるドキュメンタリーで特集されている人のことを思い出すこともあります。

3.あらゆるレベルでAREAを徹底しろ
第3に、AREAは、スピーチの中のあらゆるレベルで使うと良いということです。サイド全体として言いたい大きなAREAもあれば、具体例としてのアーギュメントとしての小さなAREAもありえます。また、反論もAREAで話すとよいです。相手はこういったがそれは成り立たない、なぜなら・・・例えば・・・のようになります。
要は大きなAREA、小さなAREAを積み重ねる、というイメージでしょうか。いつどこでもAREAを徹底するということですね。

(多くの教育現場で教えられている、いわゆるSQ AP IMPACT(Status Quo, After Plan, Impactの略で、現状(政策導入前)の現象-政策導入後の現象-その重要性)などのフレームの中でもそれぞれでAREAで話すことをおすすめしています)

終わりに
いかがでしたでしょうか。ぜひデビュー戦に向けてAREAを自分のものにして下さい。なお、この話し方はディベートに留まらず、プレゼン全般、就活、社会人生活でも役立つシーンがあるので是非!

補足 AREAのスピーチの型
高校や大学の教育現場では、AREAをもとにしたスピーチのワークシートを準備していることもあるようです。例えば、立論では下記のようなパターンを準備しているようです。型にはめることはよくないですが、守破離でいう守のときには使いやすいのでぜひ。その後、AREAを崩したり、よりいい言葉に言い換えたりするような柔軟性が持てるとよいですね。

[英語]
<Argument>
(A) Our first argument is _______.
(R) We have __ reasons.  / This is because ____
(E) For example, .... / Let me give you an example.
(A) Therefore, ....

[日本語]
<立論>
(A) 第一に・・・
(R) 理由は_つあります・・・/なぜなら・・・
(E) 例えば・・・/具体例を挙げると・・・
(A) したがって・・・

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